くらし情報『文春砲も真っ青。400年前のドロドロ不倫愛憎劇』

文春砲も真っ青。400年前のドロドロ不倫愛憎劇

古楽のベテランから、森谷や小林、そしてやや意外なことにカウンターテナーの藤木も、バロック・オペラ初挑戦の新進歌手まで広く起用しているのは、古楽に軸足を置きながら多様なフィールドで活躍する鈴木ならではの、唸らせるキャスティングだ。

2009年の新国立劇場での上演に続いて2度目のポッペア役を演じる森麻季は、「悪女といわれるポッペアだが、実は誰かを殺したり陥れたりたりはしない。自分の命も顧みずに選んだ愛は真実だと思う」と語る。なるほど、悪意ではなく、今年流行した「忖度」を自然に促す魔性の女というところかもしれない。まさに現代的。演奏会形式(管弦楽=バッハ・コレギウム・ジャパン)での上演ながら、田尾下哲の演出(舞台構成)がつく。25人を超える登場人物(歌手によってはひとり3役、4役を演じ分ける)の関係をわかりやすく整理してくれるから、休憩含め4時間弱の長丁場でも、バロックだとか古楽だとかの専門知識がなくても、存分に楽しめるはず。モンテヴェルディ・イヤーにふさわしい記念碑的公演になりそうだ。
《ポッペアの戴冠》は、作曲家の没年である1643年にヴェネツィアで初演された。自筆スコアは残っておらず、後年の2種類の筆写譜(ヴェネツィア稿とナポリ稿)

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