ステージでやることは、なるべく少ないほうがいい」
「録音が少ないのは、ライヴがより重要だから。ライヴでは音楽が生き生きとしている。録音のように確実すぎる状況で音楽をするべきではないと思う」
そして、なぜインタビューを受けないのかという質問には、「自分の仕事について語るべきではない。指揮者の仕事は指揮台の上だけにある。秘密はできるだけ多いほうがいい」とニヤリと笑った。
会見には21日(木)に初日を迎える《タンホイザー》(ワーグナー)の歌手たちも同席。ペトレンコ観を問われた彼らが一様に語ったのは、その無駄のないリハーサル、それを可能にする正確な楽譜の読みと周到な事前準備。しかもそのすべてが本番につながっていること。
そのおかげで歌手もリハーサルの時間を有効に使えるし、エネルギーをより良く配分できること。等々。ペトレンコ自身の言葉を裏付ける内容で、彼の音楽づくりの一端が垣間見えるやりとりだった。今回上演されるのは劇場にとって対照的な2演目。1978年に制作され長く愛されている、アウグスト・エヴァーディング演出の《魔笛》(モーツァルト)と、今年5月に新制作初演されたばかりの、ロメオ・カステルッチ演出の《タンホイザー》。