に出演した際に、秋元文学の、民衆の息吹を鮮やかに描き出す魅力に触れている。
「秋元さんの言葉はすごくストレートなので、性格的に変化球を投げたがる私としては(笑)心構えが必要です。相当体にパワーを溜めていないと、直球は投げられない。『元禄港歌』の時は市川猿之助さんの存在がとても大きくて、私たちを引っ張っていってくださいました。今回は、自分がそういう存在になれたら…と思います」
演出のいのうえひでのりとも、『今ひとたびの修羅』(2013年、原作・尾崎士郎、脚本・宮本研)ですでに共作済みだ。ダイナミックな“いのうえ美学”によって立ち上げられた情念渦巻く人間模様。その劇空間を、「自分の殻を破るのに、ものすごくエネルギーが必要だった」と、息を深く吐いて振り返った。
「今回もそういう経過をたどるのだろうな…と思いますね。
正直に言うと、いのうえさん独特の“魅せる”表現の仕方を、恥ずかしいな~と思う時が稽古場ではあるんです。ええ~、そんな正面を切ってその台詞を言うの!?って思ったり(笑)。でもそれを重ねていくと、本番では、恥ずかしがっていた自分を懐かしむくらいになっているんですよね」
すでに何作も息を合わせている堤については「その役として誠実に存在できる、心のきれいな人。