石丸さち子「一生に匹敵する5日間」『5DAYS』開幕
開幕に際し石丸が「一生に匹敵する5日間を2時間で描きます。駆け抜ける愛、転落する愛を、俳優たちは、16m×10mの舞台をまさに走り続けて、小高い丘からまさに転がり続けて、全身で物語ります。愛という感情が、人と世界にもたらす力を体感してください」とコメントを寄せた本作。ハワル(東)とリェータ(豊原)の恋の疾走、ハワルの親友ポドフ(柳下)のどうにもならない気持ち、同じく親友ナウチ(中山)の軸である信仰、リェータの兄シーラ(大山)が盲信する幸福、そして若い彼らを“ライン”上で見つめ導くドゥーシャ(マルシア)の大きな愛…彼らの抱えるさまざまな想いが、KAAT芸術劇場の中スタジオという汗も涙も見える距離、呼吸の音まで聞こえる空間で、爆発するようにぶつかり、ぐいぐいと物語を動かしていく。和田による音楽も、いわゆるミュージカルのイメージとは一線を画すメロディラインで、そこで生まれたばかりの感情が歌となり、空間全体に広がっていくようだった。たったひとつの恋が人を動かし、周囲を動かしていくエネルギーは「ロミオとジュリエット」そのもの。しかしその先で彼らが考えること、迷うこと、選ぶものは、現代という時代設定が大きく反映されている。