石丸幹二と柿澤勇人がWキャストで主演を務めるミュージカル『ジキル&ハイド』が、2023年3月に再演されることが決定した。2001年の日本初演から2007年まで4回にわたって主演を担当した初代・鹿賀丈史の跡を継ぎ、2代目の主演を務めた石丸。その後2016年と2018年の再演を経て、唯一無二のジキル/ハイド像を構築し、高い評価を得ている。そんな彼にとっては今回が最後の『ジキル&ハイド』となり、新たに3代目として出演する柿澤とともにWキャストで主演を務める。なお公演に関する詳細は後日発表となる。<公演情報>ミュージカル『ジキル&ハイド』2023年3月上演予定ミュージカル『ジキル&ハイド』公演ビジュアル【スタッフ】音楽:フランク・ワイルドホーン脚本・詞:レスリー・ブリカッス演出:山田和也上演台本・詞:高平哲郎【キャスト】ヘンリー・ジキル / エドワード・ハイド:石丸幹二 柿澤勇人(Wキャスト)公式HP:公式Twitter:
2022年07月27日舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の初日レッドカーペットイベントが8日、東京・TBS赤坂ACTシアターで開催され、ハリー・ポッター役の石丸幹二と向井理が参加した。「ハリー・ポッター」シリーズ8作目となる同舞台は、原作者J.K.ローリング自ら原案を練り上げ、「家族、愛、喪失」をテーマにハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを舞台化した作品。アジアとしては初上演となる。ハリー・ポッター役は藤原竜也、石丸幹二、向井理のトリプルキャストで、初日は藤原が演じる。石丸は「いよいよ待ちに待った初日を迎えました。3カ月くらい一緒に稽古場で稽古してきて、この日が来たんだなと、じわっときているところです」と心境を述べ、「必ずびっくりする作品ですから期待してご覧になっていただければと思います」とアピール。向井も「4月から稽古が始まって3カ月間皆さんと一緒に汗を流してきたわけですが、まず魔法の世界にようこそ! 本当にたくさんの魔法、イリュージョン、いろんなことが起こります。皆さん観劇される方が楽しんでもらえる演目に必ずなっています」と自信をのぞかせ、「僕もハリーの一員として皆さんに楽しんでもらえるようにこれからもっともっと努力していきたいと思います」と意気込んだ。レッドカーペットイベントには、綾瀬はるか、市村正親、井上尚弥、鹿賀丈史、鈴木亮平も参加した。撮影:加藤千雅
2022年07月08日6月16日(木)にプレビュー公演が開幕する舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』より、 ハリー・ポッター役の藤原竜也、石丸幹二、向井理の扮装写真が解禁となった。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、ハリー・ポッターシリーズの19年後、父親になったハリーとその息子アルバスを中心に描かれる新しい物語。これまでにロンドン、ニューヨークなど世界6都市で上演されており、アジアとしては初、世界では7番目の上演に。ハリー・ポッターファンのみならず、ハリー・ポッターに馴染みがない方でも十分に楽しめる作品となっている。世界最高峰の技術が詰まった珠玉の舞台がいよいよ日本で開幕する。公開された写真では、ハリー・ポッターの衣装に身を包んだ藤原竜也、石丸幹二、向井理の姿が切り取られている。公演のチケットは9月末分まで完売となっており、 現在は10月~12月分の先着先行チケットはホリプロステージにて販売中。一般発売は6月11日(土)より。■公演概要プレビュー公演日程:2022年6月16日(木)~7月7日(木)会場:TBS赤坂ACTシアター上演時間:3時間30分(予定)※休憩あり本公演日程:2022年7月8日(金)~12月30日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター上演時間:3時間30分(予定)※休憩あり主催:TBSホリプロThe Ambassador Theatre Group特別協賛:Sky株式会社■金額(全席指定・税込、 プレビュー公演&本公演ともに同金額)SS席:17,000円S席:15,000円S席(6歳~15歳):12,000円A席:13,000円B席:11,000円C席:7,000円9と4分の3番線シート:20,000円(特典付き)ゴールデン・スニッチ チケット:5,000円※未就学児入場不可※ゴールデン・スニッチ チケットは、 前週に抽選販売。各公演枚数限定で、 座席はお選びいただけません。※正規販売サイト以外のネットオークションや転売サイトなどでご入場券をお買い求めになられた場合、 ご入場をお断りする場合がございます。ホリプロステージ: 【一般発売】発売日:6月11日(土)10:00~
2022年06月03日7月8日に本公演開幕を迎える舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。開幕に先立ち、藤原竜也・石丸幹二・向井理のトリプルキャストによるハリー・ポッター3人のキャスト扮装写真が3日13時、公式Webサイトと公式SNSにて初公開された。この扮装写真の撮影が行われたのは5月中旬。開幕に向けた連日の稽古の合間をぬって撮影された。実際に舞台上で身につける衣装に袖を通し、それぞれの役になりきった3人の表情が舞台への期待を高める。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者J.K.ローリングらが舞台のために書き下ろした物語であり、小説の最終巻の19年後が描かれている。2016年のイギリス・ロンドンでの初演以降、ニューヨーク、メルボルン、サンフランシスコ、ハンブルグ、トロントと世界6都市で上演され、あたかも目の前で魔法が繰り広げられているかのような演出や、観る人を魔法の世界に引き込むストーリーで世界中の観客を魅了し続けてきた「ハリー・ポッター」8番目の物語。今年7月、世界7番目の都市、アジア初上陸となる東京での舞台が幕を開ける。
2022年06月03日舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』製作発表が17日、東京・TBS赤坂ACTシアターで行われ、主人公ハリー・ポッターを演じる藤原竜也、石丸幹二、向井理らが出席した。本作は、ハリー・ポッターシリーズの原作者であるJ.K.ローリング自ら原案を練り上げ、「家族、愛、喪失」をテーマにハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを舞台化した作品。ハリー・ポッターの世界観を忠実に再現した舞台空間や衣裳、目の前で飛び交う魔法の数々、心躍る音楽など劇場で体感するすべてが、観客を魔法の世界へ誘う。ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞を含む60以上の演劇賞を受賞した本作は、世界では7都市目、アジアとしては初上演となる。父親となったハリー・ポッターを演じるのは、藤原竜也、石丸幹二、向井理のトリプルキャスト。オーディションに挑み、タイトルロールの座を勝ち取った。藤原は「4月の頭から(稽古が)始まって、優秀なスタッフに導かれながら、僕ら日本人キャストが必死にしがみつき食らいついた1カ月強でした。ありがたくもプレビューまでひと月、時間が残っています。インターナショナルチームが理想とするハリー・ポッターを完成させるためにもうひと踏ん張り全員でともに走りながら頑張っていけたらと思っています」と意気込み、「昨日初めて劇場に入ったのですが、感動をひと足先に味わい非常に興奮したことを覚えています」とハリー・ポッターの世界観あふれる劇場に感激。石丸は、以前海外で同舞台を見たときの感想を「こんなにお客さんが盛り上がるショーがあるんだと実感しました」を述べてから、「きっとこれは日本で開幕したら大ブームになるんじゃないかなと。会場に入ってからショーが終わるまで魔法の世界に飛び込める。私たちもそれが表現できるように精一杯頑張っていきたい」と語った。向井は「1カ月以上の稽古期間を経て昨日から劇場入りすることができました。100人近いチームだと思いますが、コミュニケーションがとれてとてもいい状態のチームだなと実感しています。長く続けていくうちにもっともっと絆は深まっていくと思いますが、始まる前にこれだけチーム感が出来上がっているチームはあまり経験したことがないので楽しみです」と手応え。「魔法が大きなテーマですが、魔法の世界観だけでなく1人の人間として受け取ってもらえることがたくさんあると思っています。何度も足を運んで細かい部分まで生で体験していただきたい」とアピールした。製作発表には、ハーマイオニー・グレンジャー役の中別府葵、早霧せいな、ロン・ウィーズリー役のエハラマサヒロ、竪山隼太、アルバス・ポッター役の藤田悠、福山康平、スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大、斉藤莉生、マクゴナガル校長役の榊原郁恵、高橋ひとみも参加。TBSテレビ代表取締役社長の佐々木卓氏、ホリプロ代表取締役社長の堀義貴氏、演出補のコナー・ウィルソンも登壇し、MCは日比麻音子TBSアナウンサーが務めた。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、7月8日に東京・TBS赤坂ACTにて開幕する(プレビュー公演は6月16日~7月7日)。
2022年05月17日6月に上演されるS-IST Stage『ひりひりとひとり』のキービジュアルと全出演者の個別イメージビジュアルが公開された。本作は、2020年に上演を予定していたものの、新型コロナウィルスの影響を受け中止となった演劇作品で、2022年に改めて初演を迎える。石丸さち子作・演出の完全オリジナル作品となり、6月10日(金)から19日(日)まで、東京・よみうり大手町ホール(東京都千代田区)にて上演される。S-IST Stageは、ミュージカル『Color of Life』(作・演出)、舞台『BACKBEAT』(翻訳・演出)、 舞台『キオスク』(演出)等の 石丸さち子が作・演出する舞台演劇作品を、東映プロデュースにて上演する企画。本作は、 石丸さち子による完全オリジナルの脚本と、音楽家・森大輔の生演奏で上演される。俳優“春男”にまつわる物語が、 濃密な会話劇と、詩、音楽、歌で創られていく本作。石丸さち子が「演劇だから出来ること」を改めて自分に問い質して生み出した、演劇と役者の未来を描く、新たな演劇作品となっている。公開されたビジュアルは、作品世界観を反映したイメージビジュアルとなり、本編ビジュアルとは異なるもの。鈴木勝吾演じる主人公“春男”が、粉塵のような雑音の中に閉じ込められているイメージを捉えたキービジュアルと、鈴木勝吾、梅津瑞樹、伊藤純奈、百名ヒロキ、周本絵梨香、塚本幸男と音楽家・森大輔の個別イメージビジュアルが公開された。また配役も発表。各プレイガイド先行(抽選先行)が、4月28日(木)12:00~5月9日(月)23:59にて実施となる。詳細は本作特設HPにて。石丸さち子と森大輔、そして6人の俳優が紡ぐ新たな物語に期待したい。【あらすじ】ひとりの俳優をめぐる物語。ひとは向き合う、自分に、他人に、世界に。ひとは向き合う、過去に、未来に、今に。たくさんのひとりが、ひりひりと今日を重ねていく。世界はまだ見ぬ明日へ。工藤春男は、父の家庭内暴力、それを苦に家族を捨てる母といった、愛情に恵まれない家庭に育った。思春期には、烈しい統合失調の症状とともに暮らしていたが、家を出ること、詩を書くこと、演劇と出会うことで、心は落ち着きを見せ、持ち前の表現力や独創性が評価されはじめていた。所属する劇団の公演、チェーホフの「かもめ」でトレープレフをキャスティングされた春男は、いつものように稽古をし、いつものように仲間と時を過ごしていたが、実家で父が孤独死したという報せがはいる。父という、自分の記憶からすでに消していた深い憎悪の対象の死を、どうして受け容れればよいかわからない春男。心はどんどん過去に遡り、思春期に自分で生み出した珍妙な別人格二人が現れる。耳の中に始終聞こえていた雑音はボリュームを増し、やがて新たな幻覚まで登場して......。春男が突然稽古を休んだ日、恋人でもある伊達夏子は、心落ち着かぬまま稽古場にいた。Wキャストでトレープレフをキャスティングされた親友の玉木賢は、芝居の最中に突然、台詞がしゃべれなくなり、夏子の胸に生まれた「ざわざわ」は止まらない。東京に戻ってきた「ちりちり」した春男と、なんとかつながろうとする夏子と賢。春男はやがて、二人とともに、生まれ育った街に向け「ひりひり」した旅に出る。どこか遠いところで幻聴のように鳴り続ける音楽とともに。それは三人それぞれが、自分と向き合う旅でもあった......。六人の俳優と一人の音楽家が絡み合い、ひりひりとした物語を軽妙な笑いと、軽やかな身体、豊かな音楽とともに語っていく。《開催概要》■タイトルS-IST Stage『ひりひりとひとり』■作・演出石丸さち子■音楽・演奏森大輔■出演(配役)鈴木勝吾(工藤春男)、周本絵梨香(伊達夏子)、百名ヒロキ(玉木賢)、梅津瑞樹(ぴーちゃん)、塚本幸男(西郷さん)、伊藤純奈(りぼん)、森大輔(鉱石ラジオの音楽家)■会場よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)■日程6月10日(金)~19日(日)■チケット全席指定8,800円(税込)■公演特設HP
2022年04月28日ミュージカル『Color of Life』、舞台『BACKBEAT』の演出で知られる石丸さち子の作・演出の完全オリジナル作品『ひりひりとひとり』が2022年6月10日(金)から19日(日)まで、東京・よみうり大手町ホールで上演されることが決定した。主演は鈴木勝吾が務める。本作は舞台演劇作品を東映プロデュースにて上演する企画「S-IST Stage(エスイストステージ)」のひとつで、様々な舞台やミュージカルを手がける石丸さち子が作・演出する。2020年に上演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響を受け、中止。2022年に改めて初演を迎える。俳優“春男“にまつわる、俳優6人と音楽家1人、7人による物語を濃密な会話劇と、詩、音楽、歌で作り上げていく。鈴木勝吾を主演として、ほかに梅津瑞樹、伊藤純奈、百名ヒロキ、周本絵梨香、塚本幸男と音楽家・森大輔が出演。劇中で森が生演奏を披露する。石丸は上演にあたり「自力では這い出せない痛みの中から救いだしてくれる芸術の力に思いを馳せつつ、ひとりの痛みと喜びを、密やかな祭のように、大騒ぎの輪舞のように描きます」と思いを語り、主演の鈴木も「心を込めて、命を削って、身体をはって必ず届けられるように創りあげたいと思います」とコメントを寄せている。<石丸さち子コメント全文>『ひりひりとひとり』は、稽古と上演期間が2020年の緊急事態宣言発令期間に重なり、上演できなかった作品です。2022年に改めて初演に立ち向かうと決まった時から、その書き直しの方向性について、ずっと考え続けてきました。世界の、演劇界の、「ひりひり」した感覚が、大いに上書きされてしまったからです。それが。新しく書き直したものは作者にも演出家にも馴染まず、結局一周二周して、ほぼ元の形に戻ってきました。初演の公式サイトに、わたしはこう書きました。「演劇は、今も昔も、世界を映す鏡です。そして世界は、数え切れないひとりひとりの、書き換え不可能な一瞬を積み重ねています。たったひとりを描くこと、ほんの一瞬を描くことが、世界を描くことになり、永遠を描くことになりうる......という可能性に、いつも表現者は無限の夢を抱き、希求し続けます。」上演はできなかったけれども、「工藤春男」という主人公はすでに生まれていて、その過去や現在を、簡単に変えるなと、彼から訴えられているようでした。本作で光をあてる、そのひとりの職業は、俳優です。ひりひりとした、その生きる実感を、演劇や音楽の恵みがどれほど支えてきてくれたか。自力では這い出せない痛みの中から救いだしてくれる芸術の力に思いを馳せつつ、ひとりの痛みと喜びを、密やかな祭のように、大騒ぎの輪舞のように描きます。世界情勢が思いがけないスピードで悪化する中、心穏やかに暮らすのが難しい今。ご観劇の皆様に、何をお届けできるでしょうか?その受け取っていただくお届け物の形や匂いや味、手触りや歯ごたえを、稽古で探っていきます。演劇ならではの、たくさんの人生が寄り集まり一緒に探る、というやり方で。初演できなかった「ひりひりとひとり」の出演者、初演に立ち向かう「ひりひりとひとり」の新しい出演者、すべての思いを、舞台の上に載せて。「僕は、私は、俺は、あなたは、何処に、誰に、つながっているんだろう?」作・演出 石丸さち子<鈴木勝吾コメント全文>やっと皆様にこの作品を届けることができます。2020年、新型コロナウィルスの影響で上演が叶わなかった。石丸さち子さんとずっと作品を作りたいね、と語り、そして東映の中村さんに携わってくれないか、と話をしてから随分と経ちました。やっとです。(石丸)さち子さんは本当に繊細で情熱と愛情のある人間であり、作品をつくることに心血を注ぐ方。彼女の紡ぐ言葉と、作品を作り上げる姿が憧れであり、共に作品を創れることが誉れであり幸せです。世界と自分との乖離に想いを抱える青年の話。だけどきっと誰もが心の中にあるものだと思う。胸の中にあって言葉にしたくて身体を爆発させたくて心を届けたくて、どうしても伝えたくて…そんな方法は人それぞれあって、でもきっと、思うように行かなくて、僕も同じです。だから芝居と演劇が僕にはあって救われる。そして皆様に届けることができる。心を込めて、命を削って、身体をはって必ず届けられるように創りあげたいと思います。大切に大切に、激しく育て必ず。僕もとても楽しみです。劇場でお会いしましょう。<公演概要>S-IST Stage『ひりひりとひとり』作・演出:石丸さち子音楽・演奏:森大輔出演:鈴木勝吾梅津瑞樹伊藤純奈百名ヒロキ周本絵梨香塚本幸男会場:よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)日程:2022年6月10日(金)~19日(日)チケット一般発売日:5月29日(日)10:00より特設HP:
2022年03月25日今夏、日本で上演される舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演する日本オリジナルキャストが22日、発表された。俳優の藤原竜也、石丸幹二、向井理が、19年後のハリー・ポッターを演じる。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、子供時代のハリー・ポッターの19年後を描く、舞台のために書き下ろされた8番目の物語。東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となる。父親になったハリー・ポッターを演じるのは藤原竜也、石丸幹二、向井理の3人。回替わりで主役のハリー・ポッターを演じるトリプルキャスト制となる。度重なる映像オーディションを経て、昨年春には来日した海外スタッフとの対面オーディションに臨み、アジアで初となる世界的ヒット舞台のタイトルロールの座を勝ち取った。そのほかのキャストも発表された。本作は2016年にロンドンで開幕して以来、前編と後編を2本の芝居で見せる2部制で上演されてきたが、2021年11月、ブロードウェイにおいて2部制の前編を第1幕、後編を第2幕とする1部制が誕生した。東京公演はこの1部制での上演となる。上演時間は休憩を含めて3時間30分を予定している。会場のTBS赤坂ACTシアターは、現在改装中。今年の春には、ハリー・ポッターの世界観を実現した劇場として生まれ変わる。また、チケット金額も発表となった。通常の座席のほか、ハリー・ポッターの世界観を存分に味わえる「9と4分の3番線シート」も発売される。特別なデザインをあしらったチケットと限定の非売品グッズの特典に加え、ひと足先に劇場ロビーに入って魔法の世界を独占できるという、ハリー・ポッターファンにとってはたまらない座席だ。さらに、抽選で当選した人のみが5000円でチケットを購入できる希少な「ゴールデン・スニッチ チケット」も発売。抽選は毎週行われエントリーするには公式ホームページからメルマガ登録が必要となる。そして、7月8日の初日に先立ち、6月からプレビュー公演を実施することも決定。プレビュー公演の詳細は2月17日正午に発表となる。さらに、2月23日と24日の2日間限定で、プレビュー公演のチケットを発売することも決定。プレビュー公演のチケットを購入できるのはTBSチケットとホリプロステージのみ。どちらも事前に会員登録が必要となる。○■藤原竜也世界で愛されている大ベストセラーシリーズに出演できること、大変光栄に思います。海外スタッフによる数度のオーディションは緊張しましたが、非常に貴重な経験となりました。“ハリー・ポッター”という世界を、ファンの方だけでなく、演劇を観たことのない方にも楽しんでいただけるよう、とにかく精一杯演じます。○■石丸幹二ブロードウェイで観た時の興奮が忘れられない。めくるめくような魔法の嵐に、どよめきが湧きおこり、ハリーたちと一緒に客席もハラハラドキドキ。こんな夢のような体験を、日本で味わえるなんて。しかも、今度は俳優として舞台上で。皆さん、ぜひお楽しみに!○■向井理舞台でも魔法がたくさん出てきて、自分が演じていなくても観に行きたいほど面白い舞台です! その作品に出演者として最初に関われることがとても楽しみで、オーディションに参加してよかったと思っています。今までどおり、真摯に作品に向き合いたいと思います。○『ハリー・ポッターと呪いの子』キャスト一覧ハリー・ポッター藤原竜也/石丸幹二/向井理ハーマイオニー・グレンジャー中別府葵/早霧せいなロン・ウィーズリーエハラマサヒロ/竪山隼太ドラコ・マルフォイ松田慎也/宮尾俊太郎ジニー・ポッター馬渕英里何/白羽ゆりアルバス・ポッター藤田悠/福山康平スコーピウス・マルフォイ門田宗大/斉藤莉生嘆きのマートル美山加恋ローズ・グレンジャー・ウィーズリー橋本菜摘デルフィー宝意紗友莉/岩田華怜組分け帽子木場允視エイモス・ディゴリー福井貴一マクゴナガル校長榊原郁恵/高橋ひとみ安藤美桜、安楽信顕、千葉一磨、半澤友美、川辺邦弘、小松季輝、前東美菜子、みさほ、扇けい、尾尻征大、岡部雄馬、織詠、大竹尚、大内慶子、佐竹桃華、佐藤雄大、篠原正志、鈴木翔吾、田口遼、田中彩乃、手打隆盛、上野聖太、渡邉聖斗、薬丸夏子、横山千穂(※名前の表記はアルファベット順)
2022年01月22日ミュージカル『蜘蛛女のキス』の開幕を約1ヵ月後に控えた稽古場で、同性愛者の主人公モリーナ役を務める石丸幹二と、演出の日澤雄介がインタビューに応じた。アルゼンチンの作家マヌエル・プイグの小説を原作にミュージカル化され、1993年のトニー賞7部門を制した本作。『キャバレー』『シカゴ』で知られるジョン・カンダー(音楽)とフレッド・エブ(歌詞)が手がける楽曲は人気が高く、1996年以降、日本でも定期的に上演されている。劇中では、ラテンアメリカにある刑務所の一室を舞台にした物語が展開。映画を愛するモリーナは、社会主義運動の政治犯バレンティン(相葉裕樹 / 村井良大:Wキャスト)と同室に。最初は互いを理解できず激しく対立する2人だったが、モリーナは映画スターのオーロラ、また彼女が演じる蜘蛛女(安蘭けい:2役)について語る。二人は次第に心を通わせていき──。ブロードウェイで本作を鑑賞した石丸は当時、バレンティンに共感したという。同性愛者のモリーナは「特別な個性がないとできない役」と捉えていたが、自身が年始に主演した『パレード』の本国版で同じ役を務めたブレント・カーヴァーがモリーナに扮したと知ると親近感が湧き、「彼がやった役に自分も挑戦したい」という気になったエピソードを明かす。同性愛者が抱える葛藤を掴むのは難しい。そこで石丸は、劇団四季時代に浅利慶太から受けた「劇中の舞台になっている時代の様式を身につけることでキャラクターの中身に近づける」というアドバイスを思い出す。また、ピンクや赤といった鮮やかな色の衣装を稽古場で身にまとうように。「はだけていた胸元を看守の前で隠す所作にゾクっとした」という日澤の言葉を受け、石丸は「女性としての防衛本能かも。内面もモリーナに近づいてきたんですかね」と微笑んだ。自身が旗揚げした劇団チョコレートケーキで、史実をベースにした社会派の人間ドラマを生み出している日澤。本作でグランドミュージカルを初めて手がけるが、「登場人物の心情や関係性に迫るストレートプレイの演出とスタンスを変えることはない」と話す。「水と油のような関係のモリーナとバレンティンがどうやって互いを認め合い尊重するのか。彼らの“心と心の交流”を丁寧に描くことで生まれる化学反応を現代の客席にお届けできれば」と意気込み、インタビューを結んだ。公演は11月26日(金)~12月12日(日)に、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、12月17日(金)~12月19日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティへ巡演する。ぴあでは座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2021年11月05日舞台『いとしの儚』が10月6日(水)に開幕する。鎌倉後期に書かれた「長谷雄草紙」に相を得て書き上げられた、扉座の横内謙介による脚本で、これまでに、扉座劇団公演、パルコ劇場、明治座、韓国などで上演されてきた名作だ。人間のクズで愛することなど知らずに育った男と、その男に育てられた少女の、 滑稽で純粋な愛を描いた物語 。プロデューサーがいつか上演したいと長年温めてきた企画を、6人のキャストで上演する。主人公の鈴次郎を演じる鳥越裕貴と、演出の石丸さち子に話を聞いた。(※インタビューは稽古開始前に実施されました)鎌滝さんの視線に儚だなと(鳥越)彼は翻弄されたい(石丸)ーー脚本を読んでどんなことを感じましたか?石丸まず、横内さんの作品だと驚きました。同じ早稲田大学で、卒論の先生が一緒になり、先生に会いにキャンパスを並んで歩いたことがありました。何年もお互いにそれぞれ演劇を生業としてきて、横内さんの作品をやるときが来たんだという面白さが先にありました。こういう形での再会は嬉しいねと、メッセージのやりとりをしました。読んでみた第一印象は、なんてピュアな物語だろうと。作家の力と、作品のもつ独特の叙情と美しさ。賭場の吹き溜りの中に咲いた美しい愛情という、作家が書いた一番本質のところを大切にして、面白くしていきたいなと思います。ーー鳥越さんは、戯曲を読んでどんなことを感じましたか?鳥越自宅でしんみりと読んでいたんですが、最初は本当に、鈴次郎に対して「胸くそ悪いな、こいつ」と思いました。その胸くそ悪さが印象に残っていましたが、最後の純粋に人を愛する綺麗さを知った瞬間に、心が温まるというか。みんながいろいろなことにイライラしたり、ぶつけられない怒りがある中で、この作品を観ていただくことは、今足りていないものを皆さんに提供できるんじゃないかなと感じました。ーー鈴次郎を演じるうえで、役について思ったことをお聞かせください。鳥越僕も基本的に演劇のことしか考えられないという意味での「クズ」なので、鈴次郎にとっての博打が僕にとっての演劇みたいなものですが、本当にそうなると周りが見えなくなるんですよね。いい意味で、その共通点を引っ張りつつ演じたいと思いました。ーー本来沢山のキャストで上演する作品を、6人のキャストで演出するプレッシャーみたいなものはありますか?石丸もちろん正直な話をすると、無理があると思うんです。でも、リスクや制限がかかることから面白い演出が生まれてきたりします。6人でやってみたいという提案を、6人だからこその作品になったという面白さに変えていけるようにプランを練っているところです。ーーキャスティングの狙いについては、いかがでしょうか。石丸儚役にはイメージがものすごく強くありました。儚は、鈴次郎という男のロクでもない生活、欲望が生み出したクリーチャーで、親の背中を見て汚い言葉を覚えたりはしても、世界との出会い方が鮮烈で純粋です。そういう役を演じるには、何も色のついていない本能の強い人を選びたいと思っていました。ネットフリックスの『愛なき森で叫べ』に出ていた女優を観ていいなと思っていたら、なんと出てくれることになりました。鎌滝(恵利)さんは今回が初舞台になりますが、ものすごくまっすぐで、世界に対してためらいのない女の子という印象があり、この作品にはぴったりだと思います。鳥越僕がビジュアル撮影をしているときに「何か視線を感じるな」と思ったら、2階の方から「こいつはどういうものなんだ」という鎌滝さんの視線を感じて、この人は本当に儚だなと感じたいうか。生まれたばかりで、何かを得よう、吸収しようとする熱みたいなものを視線だけで感じたときに、これはものすごいことになるだろうし、負けていられないなと思いました。燃えるようなものを強く味わったので、早く稽古をしたくてたまらないです。あとは、石丸さんの熱があればなんとかなるし、その熱を役者魂で超えていきたいです。僕自身もとても向上する作品になりそうだなと感じております。石丸儚に翻弄されていく鳥越君が楽しみです。きっと彼は翻弄されたいんです。演出家と女優と二人三脚で鳥越君を翻弄していきたいなと思っています。今まで舞台上で味わったことのない感情を味あわせてあげるつもりで、私は今準備をしていますので(笑)。鳥越(笑)。やさぐれている役の方が発見があってしっくりくる(鳥越)石丸生きることの最上の喜びは儚くても美しい、そんな物語を、鳥越君と鎌滝さんで生み出してほしいです。そして、その周りの登場人物がものすごく人間的です。魅力的な人物たちを六人で演じ分けようと思っていたのですが、原田優一さんというとんでもない名優と出会えることになったので、みんなの役は少しずつにして、あとは原田さんにキャスティングしました。私よりもサービス精神があるんじゃないかと思われる原田さんと、どんなふうに工夫して、この舞台がおもしろくなっていけるか探りたい。腹を抱えて笑っていただいて、その中にどうしようもなく切なく、夢のような愛の物語が描けるかですね。山﨑晶吾君は、美容師から演劇の世界に入ってきた人で、最初から演劇だけをやってきた人とは違った魅力がありました。この芝居に関しては、それぞれの人生を重ねて深追いしたほうが面白い芝居になると思うので、山﨑君とはそういう作業をしたいと思っています。全然出自の違う俳優さんを集められたらいいなとも思っていました。今まで出会う機会のなかった久ヶ沢徹さんが、一番人間の本質的な悲しみや慈愛に満ちた心をどういうふうに表現してくれるんだろうかと、ものすごく興味がありました。『いとしの儚』メインビジュアル辻本祐樹君とは会って話をしました。2.5次元では、現実から離れた二次元の世界を、今を生きる俳優が演じる独特のリアリティーですが、今回は思い切り3次元に落とし込みます。とは言え、現実そのままだとお客様が引いてしまう。逆に美しい手触りだけでは、鑑賞物として引いて観てしまう。ぐいぐいと揺さぶられたあとに気持ちを昇華できるカタルシスが訪れる、そんな瞬間が尊いんです。ーー鳥越さんは、他の共演者の方々に関してはいかがですか?鳥越鎌滝さんと山﨑さんは初めてご一緒します。優一さんとは撮影のときに会いましたが、僕が仕える身分でしかないような、トップの強さを感じました。すごくいろいろなことを回してくださるんだろうなと思っています。そして、僕的には久ヶ沢さんの鬼がじわじわと来ています。きっと稽古中もずっと好きだろうと思うくらい、愛のある中に鬼としている久ヶ沢さんを見るのがすごく楽しみです。辻本さんとはる・ひまわりさんの作品でも、何度か共演させてもらっているので、また新しい辻本さんが見られるのを、単純にファンとして楽しみにしております。ーー観客の皆様は、新しい鳥越さんを見られることを楽しみにしていると思います。鳥越僕は、見た目も相まって、元気溌剌とか、かわいい感じの役が多いですが、以前演じたときにも、時代物でやさぐれている役の方が、いろいろと発見があってしっくりくるところがありました。とても楽しみです。複雑な役をやってもらえる(石丸)「石丸さん=愛」(鳥越)ーーおふたりは、昨年中止になってしまった公演で、一緒に稽古をされたと伺いましたが、お互いの印象はいかがですか?石丸そのときは、鳥越君の役は明るくて、バックボーンにいろいろ苦労を抱えている人の友人役でした。今回演じる鈴次郎は、最悪の環境で育って、犯罪を犯し、その先に、夢を見ることを諦めてしまっています。博打に魂を売ってしまい、博打以外の何もかもを失った男が愛を見つけてしまったときに……という物語ですが、こういう複雑な役をやってもらえることが本当に嬉しくて。すごく期待しています。鳥越石丸さんの演出作品は、いろいろ観させていただいていますが、やはり「愛」を描く作品から、純粋な気持ちを忘れているかもしれないと、僕も気づいたりするんです。石丸さんが演劇界に5人いれば、今大変なことも全然余裕だと思います。石丸(笑)。鳥越本当に5人欲しいんです。石丸さんのパワーはひとりでもすごい。本当に出会えてよかったなと思います。演出家としても、人間としても、ありがたいです。ーー石丸さんと、鈴次郎役を作るという意味で、何か思うことはありますか?鳥越僕の中で石丸さんとの稽古は「すべて出す」。そして、僕がどれだけこの作品に愛を込められるかで決まってくると思います。「石丸さん=愛」なので、この作品に全力で愛を注ぎます。ーー具体的な演出について伺えることはありますか?石丸六本木の劇場と、江戸時代の吹きだまりがリンクして、お客様の心をくすぐるような美術にしたいと思います。「鬼」と呼ばれる存在が、「今の時代」まで語り継いできた物語。人ならざる生き物が語るからこそ胸に迫る、愛の本質、長い長い時間の人間の物語を描きたいです。そして、どの役にしても、ルーツを考える作業をやりながら立ち上げたい。博打に取り憑かれた人間たちと鬼を結ぶもの。此岸と彼岸を結ぶ川、その川渡しの存在、彼岸の死者から生まれて此岸に生きる儚。いろいろなものがビジュアルでもうまく表せるといいなと思っています。また、かみむらさんの音楽には、ものすごくわい雑でいながら、洗練された印象を期待しています。清濁あわせのむような。賭場というわい雑な吹き溜りから生まれてくるのに、美しく人の心に凪をもたらすような音楽を目指せればと思っています。愛していい夢を見ていいと鈴次郎を応援してやってほしい(石丸)ーー最後に、お客様へメッセージをお願いします。鳥越“いとしの儚”石丸さち子さん演出バージョンは、より人間の原点に戻ると思います。人間の不器用さや純粋さが如実に見えてきそうで、その作品に出演できる事が嬉しくてたまりません。どうしようもないクズが何かに気づく瞬間を、自分がこの台本を初めて読んで味わった感覚を、皆様に味わって頂けるよう、稽古に励みます。どうか、劇場で体感して頂きたいです。石丸今までもお客様が最後のピースだと信じてやってきましたが、こんなに実感する時代はないです。人間はこんなにわかり合えないものなんだと痛感することが多い現在です。賭場の人間模様もひどいものですが、そんな世界に生まれる、儚くも美しい愛の存在を描きます。この作品のテーマのひとつは「誰でも夢を見るべきだ」ということです。誰でも夢を見る権利がある。自分の夢のサイズを自分の過去現在で限定しないで、もっといろいろなところに手を伸ばして冒険をしてほしいな、と。夢を見ただけ、自分が手を伸ばす飛距離が遠くなり、また出会いがあって、人生がきっとおもしろくなる。鈴次郎という、もともとは人間味のある存在なのに、人生の道を踏み外して夢を諦めていた男が、儚と出会って、夢を見ることを自分で選ぶ瞬間の美しさ、かけがえのなさに、たどり着きたいと思っています。だから、お客様にも私たちと一緒に、愛していいんだよ、夢を見ていいんだよと、鈴次郎を応援してやってほしいです。どんな人だってそうやって夢を見ていいんだと応援する気持ちが、ほんの少し自分に跳ね返ってきて、劇場を出たときに、新しい一歩に向けて勇気が出たなと思うようになれば。また、お伝えしたいのは、劇場に足を運んでくださるお客様が、どれだけ私たちに夢と力を与えてくださっているかという感謝です。私たちは舞台で夢を見ていていいんだ、やっていていいんだという勇気を客席からたくさん頂いているので、お客様にその夢や勇気をたくさんお返ししたいんです。取材・文:岩村美佳『いとしの儚』2021年10月6日(水)~10月17日(日)六本木トリコロールシアター作:横内謙介演出:石丸さち子出演:鳥越裕貴 / 鎌滝恵利 / 辻本祐樹 / 中村龍介 / 原田優一 / 久ヶ沢徹※ソロ政役・山﨑晶吾は体調不良により降板、代役として中村龍介が出演しますチケット情報
2021年09月18日ミュージカル『オペラ座の怪人』でデビュー後、17年にわたり劇団四季のスターとして活躍してきた石丸幹二。退団後は歌手、俳優として活躍の場を広げ、2013年の出演ドラマ『半沢直樹』で人気が拡大。現在、テレビ番組『題名のない音楽会』6代目司会者としても親しまれている。昨年にはデビュー30周年を迎え、記念企画が目白押しだ。『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』チケット情報昨年は軌跡をたどる『The Best』とデュエット集『Duets』の2枚のアルバムを発売。過去のアルバムからの選曲で、それぞれ新録音も1曲ずつ収録。『Duets』では石丸の歌声とデュエットできるカラオケ仕様の6曲も追加した。今年は6月2日(水)に劇団四季時代の映像特典付き、初の2枚組映像作品『石丸幹二 ORCHESTRA CONCERT 2016&ONLINE LIVE 2020』の発売が決定。続く4日(金)からスタートするのが、全国5都市を巡るデビュー30周年『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』。会場ごとに多彩なゲストを迎え、初日の大阪公演には石丸が「歌声に惚れ込んだ」という演歌歌手の島津亜矢が登場する。コンサートでは「観客の心に寄り添い、心の中で口ずさめるような」選曲にこだわったという石丸。『ふるさと』『あすという日が』といった耳馴染みのある楽曲から、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』より『真っ赤なスカーフ』、劇団四季時代から現在までの出演ミュージカルの代表曲など約17曲を予定。島津とのデュエット曲には『美女と野獣』を選んだ。「演歌ではない歌をオーケストラと共に歌ってもらったらきっと大きな花が咲くだろう」と期待を寄せる。「短いようで長かった」と音楽と共に歩んだ30年を振り返る石丸。ベストアルバムのライナーノーツには楽曲に込めた思いや当時の心境を克明に記した。「一枚の写真と同じですね、まるでアルバムをめくるように一曲ごとにいろんなことが思い出されて。聴いてくださる方もご自身の記憶と重ね合わせて楽しんでいただけたら」。舞台人として鍛錬を積んだ劇団時代を経て、第2章と位置付けるその後の13年でとりわけ磨いてきたのが、歌手としての個性だ。退団直後の休暇中に聴いたアンリ・サルバドールのアルバムがひとつの転機となった。「彼が80歳を過ぎてカムバックして出したアルバムで、囁くような唱法が新鮮でした。一生歌い続けるなら目指すのはこの唱法だなと。今までにないものを取り入れようとスタートしたのが第2章の始まりでした」。そんな“つぶやき唱法”はひとまずアルバム等でご堪能を。大劇場では変わらずオペラティックな歌唱で観客の心を満たし続ける。「総勢80名近いフルオーケストラとの共演はやっぱりゴージャスですよね。今回のツアーでは初めてご一緒する楽団もあり、人や音楽の輪が広がっていくのが楽しい。お客様もきっと会場に身を置くことで、歌声や音に包まれる心地よさを感じられると思います」。公演は6月4日(金)、大阪のザ・シンフォニーホールを皮切りに、東京、愛知、広島、札幌を巡演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年05月28日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。1月22日(金)に兵庫県立芸術文化センターにて開幕した本作にオットー・トゥルスニエク役として出演する橋本さとしに、作品の魅力や共演者とのエピソード、コロナ禍で思った事などを聞いた。ストレートプレイに飢えていた――最初に、ご出演が決まった時の心境を教えてください。ここのところ、劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』というエンタテインメント性の高い舞台や、『ビリー・エリオット』というミュージカルに出演させていただいたので、「ど」が付くストレートプレイに自分の中で飢えていたところがありました。このタイミングでお話をいただいたのは、僕にとってはとてもありがたくて、喜ばしいことだったんです。やはり僕はストレートプレイが自分の原点だと思いますので、この作品でもう一度、自分の演技的な基本に立ち返って、自分の中から湧いてくる感情に乗せたセリフ回しというものを、再スタートと言えば、少し大袈裟な言い方になるかもしれませんが、ここから何かを構築させていければなと。気合十分です。――『偽義経冥界歌』も『ビリー・エリオット』も、どちらも「父」役でしたね。そうなんですよ。一方は地獄のお父さんで、もう一方は炭鉱夫のお父さん。いろいろなお父さんを演じさせていただいて、僕もそういう役柄を演じるような年齢に差し掛かっているのかなとすごく実感しました(笑)。殺されて生き返るような冥界にいるお父さんと、超現実的な1980年代の労働者組合のストライキの真っ最中で戦いながらも、家族の間で揺れ動くリアリティのあるお父さんの役と、幅広かった。両方演じられてとても楽しい1年になりましたね。――その中で、今回は舞台となるキオスク(タバコ店)の店主オットー・トゥルスニエク役を演じられます。オットーという役も、まさに血はつながっていないですが、フランツという青年にとっては、親父的存在でいる役柄なんです。フランツという田舎で育った純朴な青年が、ウィーンの街に出てきて、第二次世界大戦目前の、ナチスドイツが台頭する現状を目の当たりにする。そのきっかけになる、オットー・トゥルスニエクというおじさんで、彼が人生観のスイッチを押してあげる役という意味では、親父的ポジションにいるのではないかなと思います。――現段階でどのような部分に難しさややりがいを感じていますか。ストレートプレイというのは、言葉のキャッチボールや感情の受け渡しあい、バトンをしっかり相手に渡すということがとても大事になってきます。特にこの作品は、原作が小説で、日本では先にリーディング版として上演して、今度はストレートプレイになります。演者が実際に演じるという形をとっていますから、緻密に小説で描かれているところを、舞台版ではある意味すっ飛ばして描いていたりする。その分、行間の芝居と感情がすごく大事なんです。どういうものを背負って、今この場に立っているか。それが、演者にとってはとても重要なことになってくると思いますし、難しいところですね。お客様の想像力をかき立てられるような立ち方で舞台の上に立ってないと、それは本を持っていないだけであって、ただのリーディングになってしまう恐れもありますから。――役者としての説得力というのでしょうか。たたずまいから観客の想像力をかき立てるにはどうしたらいいと思いますか。正直、セリフが多いんですよ。特に長台詞。長台詞をひとつひとつ分解して、解明していくと、やっぱり不思議と全然感情が入っていなかったり、自分の中でイメージがなかったりするセリフは、セリフ覚えが悪くなって入ってこないんですよね。僕たちがよくセリフを入れるという段階は、ただ覚えて暗記するという意味ではなくて、腹に落とし込んで、それが、心臓を通って、脳みそを通って、自分というフィルターを通して、言葉にすること。それができて初めて、セリフが入ったと言えるんですね。だからそのセリフを入れる段階というのが、僕にとってはすごく重要になってきています。単純に年々セリフ覚えが悪くなっているというのもあるんですけども(笑)、そこが一番苦労するところで、役者が孤独な作業をする段階ではあります。1日でも早く、自分というフィルターを通して、感情がぎゅっと締め付けられるようなセリフを気持ちよく吐きたいですね。林君のポジティブな気持ちがいい空気をもたらしてくれる――主演の林翔太さんをはじめ共演者の方々にはどのような印象をお持ちですか。林翔太くんはとてもピュアで、僕に比べたら超真面目。すごく真摯に芝居にぶつかっていく。合っていようが間違っていようが、まずぶつかっていく姿が、とてもピュアで、いろいろな垢にまみれた自分にとっては、すごく刺激にもなるし、見習うところでもありますよね。こちらも純粋な気持ちで一緒に芝居を作っていけるというのは、共演者としてはありがたい存在です。あと、弱音を吐かないんですよね。「ダメだな」とか「疲れたな」とか全然言わない。主役というのは他の作品でも一番大変な思いをするけれど、特にこの作品はフランツという青年が背骨になっている作品なので、負担はとても大きいと思うんです。で、僕も心配になって、「調子はどうだ?」と聞いたら「バッチリです!」とか、元気に答えてくれる(笑)。そういう彼のポジティブな気持ちや心構えが、僕たちカンパニーにいい空気をもたらしていると思います。若手で言えば、(上西)星来も、とてもフレッシュですね。彼女はまっさらな状態でこの芝居に臨んで来ているので、まっさらなキャンバスにどんどん色がついてくのが、日に日に見えていて。それを見ているのも、おじちゃんとしては楽しいかな(笑)一路(真輝)さん、山路(和弘)さんなど、昔からやらせてもらっている、信頼のおける先輩にも囲まれています。現場の空気感は温かい感じがして、居心地がとてもいいです。特に吉田メタルくんとは劇団☆新感線以外で初めての共演なんですよ。実は、劇団員の頃、吉田メタルと3年間一緒に暮らしていた時期がありまして。ぼろアパートに二段ベッドを買って、あいつが上で、俺が下に寝て。自分たちはどうなるんだろうという将来の話を毎晩、銭湯に行きながらして……。いつか共演できたらいいよなっていう話はずっと20年前ぐらいからしていました。役者ってやり続けていると、一瞬離れても、続けることによって、どこかでまたピタッと磁石のように出会う。個人的な話ですが、吉田メタルと劇団以外で同じ舞台に立つというのは本当に感慨深いものがありますね。――石丸さち子さんはどういう演出家だと思いますか。僕は今回初めてなんですけども、噂に違わず、本当にパワフルです。それでいて、繊細。豪快さや大胆さもある。お客様のことを信じる力がすごく大きな方だと思うんですよね。演出家というのは、細かく細かく演出して、お客様に分かりやすくしないと不安になられる方もいらっしゃると思うんですけれど、そういうこと関係なく、無駄なところは、ザクッと切り落として、あとはお客様の想像力に任せる。本当に演劇的な原点と言いますか、基礎的なところを久しぶりに味わせていただいています。稽古場で誰よりも声が大きくて、誰よりも笑っていて、喜怒哀楽を役者以上に表現している方です(笑)。石丸さち子という台風の目に、役者が巻き込まれている気がします。時々のみ込まれそうになるんですけれども、こちらも負けずにエネルギーをぶつけていくと、それに応えてくれる方なので、やっていて、楽しいですし、あまり役者に不安を感じさせない、安心感のある方ですね。無駄なことを必要と感じられる心の大切さに気づかされた2020年――2020年はコロナ禍で演劇界にとっても大きな意味のある1年でした。橋本さんにとってはどんな1年でしたか。また2021年の抱負をあわせて教えてください。2020年、役者人生で言えば、不安というものが常に付きまとってはいましたね。劇団☆新感線も途中でアウトになりましたし(※『偽義経冥界歌』が東京公演一部中止、福岡公演全中止)、『ビリー・エリオット』もいつ始まるのか分からないなか、スタンバイをしていて(※7月初日を迎える予定だったが9月に延期)。だからこそ、舞台に立つ喜びを噛み締めた年ではありますね。今まで舞台に立ってきて、こういう事態は本当に経験したことがなかった。ちょっとしたアクシデントで1、2日、舞台が止まってしまうことはトラブルとしてはありましたが、完全に切られるのは初めてで、自信を失いかけたときもありました。日本という国において、エンタテインメントの力はここまでだったのかなと。現実を目の当たりにはしましたね。真っ先に僕らの世界が、娯楽という世界が、切られていきましたから。いただいた時間の中で、随分いろいろなことを考えましたし、今までできなかったこともできました。物質的にも断捨離をして、フリマアプリで小銭を稼いだりもしましたが(笑)、心の断捨離みたいなものもできました。なあなあで来ていたものが通用しないと気づきましたし、当たり前だと思ってやってきたことも、実は当たり前のことではなくて、すごく奇跡的なことだったと実感しました。ハートは強くなったと思います。劇団☆新感線の舞台が途中で終わって、『ビリー・エリオット』が予定より2ヶ月遅れで始まって、やっと舞台に立てた時の劇場の空気。感染対策で、キャパの半分しかお客さんをお入れすることはできなかったんですけども、拍手が大きくて、満場の拍手をいただいた。その瞬間に、僕たちがいるべき場所、立つべき場所は、ここなんだなと。不安になっていた部分は自信に変わりましたし、娯楽・エンタテインメントの必要性を感じて、それを信じることができました。無駄と言えば無駄なのかもしれないけれど、無駄なことを必要と感じられる心の余裕や潤いって、人間が生きていく上でとても大事なことだと思います。僕たちは住む家を与えたり、お腹を満たすことはできないけど、心を満たすことができるという自信になりました。そういう意味では僕にとっては有意義で意味のある1年になりました。ただ、それはまだ過去の話ではなくて、状況が継続してしまっている現実があります。まだまだ油断はせずに、自分たちがやるべきことをしっかりやって、必要とされる存在でありつづけるために、エンタテインメントというものをこれからもずっと守り続けていくという気合いをもって、皆様に心の潤いを与えていきたいなと思っています。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己公演情報『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月23日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。稽古開始後間もない12月某日、本作に出演する、元宝塚歌劇団宙組トップスターで俳優の大空ゆうひに話を聞いた。エネルギッシュな石丸演出──『キオスク』の出演が決まった時の心境を教えてください。まず、脚本を読ませていただいて、1回で理解しきれる本ではなかったんですけれど、作品の持つ不思議なみずみずしさがとてもいいなと思いました。私は、その中で様々な役割を演じます。これは何かトライできることがあるんじゃないかなと思いました。演出の石丸さち子さんとは、以前に舞台『まさに世界の終わり』(2018年)でご一緒させていただきました。その時に石丸さんから感じたパワーが圧倒的で、エネルギーをもらい、また、違う作品で石丸さんの作品世界にチャレンジしたいと思いました。──本作では様々な役を演じられるとのこと、なかなか想像がつかないのですが……。まだ全貌が本当に分からないですし、正直、これからです。(演出の石丸さんは)今は一番ストーリーとして大事な主軸を作っていらっしゃる段階だと思います。今の状況をこのまま練っていって初日を迎えるというよりも、まだ二転三転するでしょう。日々、その日の風が吹くと思って、自分もそういう気持ちで稽古に臨みたいなと思っています。稽古場では、何かうごめいているものが、エネルギー体としては存在しているんですけど、まだはっきりとしたものは見つけていない。徐々に何かが見えてくる。そんな段階でしょうか。──それは役に関してもそうですし、石丸さんの演出がそういう演出なのでしょうか。特に今回はそうですね。毎日がエチュードをやっているというか、何を振られるか分からない状況。びっくりするような演出や、思いついたアイディアを試してみようという段階です。ここからもっと発展させていくのだろうなと思います。──“びっくりするような演出”というのは具体的にどういうことですか。思っていたよりも、書かれていないところに、いろいろなことが起きるんです。それは幕が開いてのお楽しみになるかもしれないですけど。シンプルな木枠がいろいろな窓になったり、電車になったり。そういうものを自分たちで表現していく際に、決定稿みたいなものはないので、私たちも想像力を使って更にひろげたい。無茶ぶりと思えるようなリクエストにも何か落とし所を見つけていく。毎日驚いたり、面白がりながらやっています。──改めて、石丸さんはどういう演出家だと思いますか。エネルギーがすごいです。パワーの塊みたいな感じです(笑)。石丸さんの中にある熱いものを作品に全力でぶつけていらっしゃるので、役者も同じような誠実さで持って、しっかりと何かを持って稽古場に行かないと、その熱量に負けてしまう。熱量を準備しながら、日々の稽古に臨みたいと思わせるような方だと思います。──前回ご一緒された『まさに世界の終わり』から2年ほど時間が経ちました。何か変化はお互いに感じられますか。石丸さんは私のことはどう思っていらっしゃるか分からないですけど(笑)、石丸さんはいい意味で全く変わっていらっしゃらないですし、パワフルさにも全く衰えがないです。稽古中も「あーそうそう、この感じ!」というように思います。1回ご一緒していますが、私の立ち位置も前回とは違うので、ちょっとヒートアップした石丸さんにツッコミを入れられるような場面を見つけていきたいですね(笑)。厳しさも楽しみながら。少しでも演出家の意図を理解して受け入れていくみたいなことができるといいなと思います。主人公と同じ17歳の時憧れた一路真輝との共演──共演者についてお伺いします。宝塚の先輩である一路真輝さんや、主演の林翔太さんの印象を教えてください。この作品の少年は17歳なんですけど、私が17歳で初舞台の時に、初めてお会いした、そのときのスターさんが一路さんでした。当時の自分のことを思い出しつつ、今回は稽古場でお隣に座らせていただいて……。女優さんとしての見習うべき点がたくさんあり、とても魅力的な方だと思います。私が17歳だった頃にはとても想像できなかったほど気さくに話しかけてくださるし(笑)。居方も演技もいろいろ勉強させていただきたいなと思っています。林くんとは初共演。今マスクをして稽古をしているんですけれども、きっとマスクをとってお芝居をしたら、全然違うんだろうなと。まだまだきっと知らない林くんがいっぱいあるんだろうなと思います。──コロナ禍ならではのエピソードですね。「え、そんな顔だったの?」って、コロナ禍あるあるです(笑)。どんな表情をしているのかも受け取る情報量が少ない、それでも伝わって来るものを大切に稽古しています。──2020年は演劇界にとっても大きな年でした。いろいろなことを感じられたと思いますが、コロナ禍でも舞台に立つ意味や思いをお聞かせください。舞台公演が中止になって、生の舞台ができない時期は、自分たちの仕事の意味や、俳優という仕事の役割を多少は考えましたが、舞台が再開できたときに、以前よりも、舞台で何かを伝えるということ、自分が置かれている日常とは違うものを劇場でライブで体感するということは、とても素敵なことなんだなと思ったんです。これまでも、「舞台が好き」とは思っていたんですけれども、今更ながらその芸術性を感じましたし、人間にとってそういうものは必要なんだなということを改めて感じることができて。仲間たちと一緒に作品を作ることが当たり前じゃないし、それができることに感謝するようになりました。それが、自分が舞台に立つエネルギーにつながったのかもしれないです。以前より、楽しめるようになったし、ただ楽しいだけではなくて、舞台に立っているときの気持ちが強くなりました。一回離れたことで、お芝居をすることと両思いになれたような気もして。その点、私にとってはいいこともあった期間でした。世界的には不安な状況ですし、マスクをしての稽古など、今まで想像もつかないような景色を見ているんですけれども、そうしながらも、何かを発信していくことはきっと続いていくだろうなというようなことも考えました。コロナ禍で上演することの意義──このコロナ禍で上演される『キオスク』。大空さんはこの作品を今上演する意義をどのように感じられますか。不穏な時代、不安の時代というのは、心情的に、とても現状の私たちと重なることが多いと思います。ピュアで多感な17歳の少年の目を通して、その世界を見る。自分たちがどこに向かっているのか分からないですし、正確な道標はないと思うんですけれども、作品の中で、純粋な目で、世の中や社会情勢を見ることで、迷い込んだ状況からちょっと視界がクリアになったり、絶対的に大丈夫という保証はないけれども、微かな希望が見えるかもしれない。今この作品を上演して、お客様がご覧になってくださることによって、きっといろんなことを感じられるはず。心が動くことも大事なこと。何かを提供できる作品だと思います。──大空さんは、宝塚歌劇団を退団されてから、ストレートプレイからミュージカル、インタビュアーとしても活躍されています。幅広いお仕事の中で、ストレートプレイはどういう位置づけなのでしょうか。私の中では、あまり位置づけをしたことはありません。私はミュージカルであれ、ストレートプレイであれ、歌の仕事であれ、表面的な形よりも、もう少し奥にある根底を見ていて、その作品や音楽が持っている、一番核となる部分をいろいろな手法で表現していく。奥にあるものを感じ取って表現するお仕事をしているという感覚です。たまたまそこで歌った。たまたまそこに音楽があった。それは、表現するための必然性。もちろんそれは作り手にとってはジャンルは違うのだと思うんですけど、私の中ではあまり境界線を引かないようにしています。──最後に、お客様へメッセージをお願いします。2020年から、様々な葛藤や不安を抱えて過ごした方が多いと思うんです。世の中全体が厳しい状況の中ではありますが、何か人間らしさや、人間の心、大切な温かいものが、まだ人々の中に残っていて。この『キオスク』という作品は、そういうところに触れてくれるような、だけれども警告も含まれる作品だと思います。きっと何かを持って帰っていただけると思うので、たくさんの方に劇場にいらしていただけたらと思います。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己ヘアメイク:大宝みゆきスタイリスト:SAKAI『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月14日檀れいが、明治座『恋、燃ゆる。~秋元松代作「おさんの恋」より~』に主演する。原作となるTVドラマを鑑賞し、作品や役柄のイメージを膨らませる稽古前の心境に耳を傾けた。【チケット情報はこちら】石丸さち子が上演台本・演出を手がける本作は、近松門左衛門の浄瑠璃『大経師昔暦』をベースに、秋元松代が執筆したTVドラマシナリオ『おさんの恋』を原作としている。商家・彩玉堂に嫁いだ美しく気立てのよい“おさん”は、奉公人である茂兵衛から寄せられた一途な想いに触れて──。共演者には中村橋之助、東啓介、多田愛佳、石倉三郎、西村まさ彦、高畑淳子らが名を連ねている。男性中心社会の江戸時代を舞台に、抑圧される存在であった女性が自らの“意志”に目覚め、行動を起こしていく強さ・美しさを描きたい──。そうプロデューサーから説明を受けた檀は「東洋、西洋を問わず時代物に携わるたびに、女性は長らく苦しい時間を過ごしてきたのだな、と実感してきました」と語る。今回演じるおさんの人物像を「自分の気持ちを抑えて耐えて、ひたすら主人に仕える女性」「顔で笑っていても、心の中では冷たい涙を流している」と捉えた檀。“個人”として自由に生きられない切実さに思いを馳せつつ、「そんな彼女が、自分の想いをストレートに伝えてくる男性に出会ってどう変化するか……その葛藤や喜びを、おさんの人生に魂を吹き込みながら活き活きと表現したい」と意気込んでみせた。相手役・茂兵衛を演じる橋之助との共演経験はない。しかし、檀は過去に橋之助が出演した歌舞伎を鑑賞しており、当時の印象を「瞳がエネルギッシュに輝いており、役を突き詰めて演じることが本当に好きなんだろうな、というのが伝わってきました」と述べる。さらに「自分の心にまっすぐな茂兵衛を彼が演じたら、どんな熱量でおさんの心を揺さぶるんでしょうね?」と微笑み、「一緒にお芝居するのが今からすごく楽しみです」と期待を寄せた。座長としての気がかりは、流行中の新型コロナウイルス感染症だ。檀は不安な気持ちを吐露する中にも「苦しい時に観た舞台に心が救われるように、人間にとって心の潤いや活力になるのはエンターテインメント」の信念を打ち出す。そして「上演するからには万全な態勢で、皆さんに上質な作品を届けたい」「そのために、自分に与えられた役割を全うします」と覚悟を覗かせ、取材を結んだ。公演は10月19日(月)~11月15日(日)に、東京・明治座にて。また本作は、新型コロナウイルス感染症の予防対策を講じて上演される。8月30日(日)の一般発売に先駆け、8月28日(金)より先行先着開始。取材・文:岡山朋代
2020年08月27日オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説で、2018年には現地で映画化もされた『キオスク』が、石丸さち子の上演台本・演出により舞台化される。物語の舞台は、ナチスドイツが台頭する1937年のウィーン。田舎から出て来てキオスクの見習い店員となった17歳のフランツは、客としてやって来た精神分析学の創始者、ジークムント・フロイト教授と懇意になる。やがて年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの少女に恋をするフランツ。時代の波に飲み込まれようとする街で、少年がフロイト教授の手ほどきを受けながら、悩み行動する姿を朗読劇の形で描く「リーディングシアター」だ。フランツ役に扮するのは、今年2月に結成された関西ジャニーズJr.のユニット「Aぇ! group」のメンバーとして活躍する末澤誠也。ユニット所属以前から『ドッグファイト』『スケリグ』に出演するなどして舞台経験を重ねていたが、本作が初の単独主演作品となる。ほかに、自他ともに認めるオーストリアとゆかりの深い女優・一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、山路和弘が出演。石丸が「素晴らしく魅力的な出演者が集まりました」と胸を張る『キオスク』は、12月25日(水)から29日(日)まで東京芸術劇場 シアターイースト、1月18日(土)・19日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。文:町田麻子
2019年12月24日関西ジャニーズJr.のユニットAぇ! groupの末澤誠也が、リーディングシアター『キオスク』で初の舞台単独主演を務めることが24日、明らかになった。同作はオーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説「キオスク」を、リーディング形式で上演。1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と2人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。キオスクの見習店員となったフランツは、母の旧友でもある店主からさまざまな事を学び、また店の客である精神分析学の創始者、フロイト教授と知り合いになる。教授からフランツは、人生を楽しみ恋をするよう忠告され、やがてフランツは年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの女の子アネシュカに心を奪われる。フランツに人生を説く晩年のジークムント・フロイト教授、ウィーンでの自立の扉を開くキオスクの店主・オットー・トゥルスニエク、そして時代のうねりにのみ込まれていくオーストリア。フランツの想いと歩みを描いて、ノスタルジックな空気感を醸し出すこの魅力的な作品は、2018年秋、日本でも映画版が公開されて好評を博した。演出は、ミュージカルをはじめ多彩な作品の演出で評価の高い石丸さち子、ほかキャストには実力派で秀作への出演が続く女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、同じく様々な作品で高く評価されるベテラン俳優山路和弘と、そうそうたる顔ぶれがそろった。東京公演は東京芸術劇場 シアターイーストにて12月25日~12月29日、兵庫公演は兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて2020年1月18日〜1月19日。○石丸さち子(上演台本・演出) コメント17歳のフランツが出会う、都会ウィーン。新聞のインクと葉巻の匂いが立ちこめるキオスク。はじめての恋は狂おしく、恋と人生の手ほどきは心理学の第一人者フロイト教授。しかし、初々しい少年が喜び悩み大人に成長する自由は、ナチス・ドイツの台頭する政情に押しつぶされます。そんな時代の中にあって、なんてのびやかで無鉄砲で多感な青春でしょうか!この作品をご紹介できることに、大きな喜びと責任を感じます。素晴らしく魅力的な出演者が集まりました。フランツの人生を駆け抜ける末澤誠也さんにしっかり伴走したいと思います。○末澤誠也 コメント「舞台で主演をはらせていただく」というのが、僕の中で一つの夢でもあり、大きな目標でした。それをこんなにも早くに実現できることになり、本当に喜びと感謝で一杯です。芝居経験はまだまだ浅いですが、お芝居が大好きで、舞台に立たせていただいた際には、役者の皆さんから様々なお話を聞かせていただき、舞台上で表現させていただけることが本当に勉強になりますし、僕が成長していく大きな糧になっています。リーディングというジャンルのお芝居は初めての挑戦なので、少年フランツの成長、フランツから見て描かれる時代の変化をしっかり皆様に感じていただけるように精一杯頑張りたいと思います。是非劇場に足をお運び下さい!○一路真輝 コメント“オーストリアと日本の国交樹立150周年”の今年、その締めくくりに、リーディングシアター『キオスク』に出演させて頂ける事、とても嬉しいです。オーストリア、ウィーンは宝塚時代からずっと大好きな場所で、プライベートでもお仕事でも幾度か訪れ、わたしの身体の何パーセントかはウィーンの、オーストリアの空気感で満たされています。原作を読んでいても、地名を見るだけで景色が浮かんできて、ワクワクするのです。そして、何年も待ち焦がれていた石丸さち子さんの演出であることにも心惹かれ、石丸さんのお創りになる世界を楽しみにしています。
2019年09月24日東啓介と青野紗穂が出演するNew Musical『Color of Life』が4月26日(金)に東京・相模女子大学グリーンホールにてプレビュー公演を行い、5月1日(水)に東京DDD青山クロスシアターにて開幕する。4月25日に行われたゲネプロを取材した。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出を石丸さち子、作曲・編曲を伊藤靖浩が手掛けるオリジナルミュージカル。初演は2013年のニューヨークのオフ・オフ・ブロードウェイ演劇祭「Midtown International Theatre Festival」で、最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル演出賞、最優秀作詞・作曲賞、最優秀ミュージカル主演女優賞の4部門を受賞した。日本でも2016 年に初演され、今回は日本で3度目の上演。東と青野は共に初めての出演となる。対面客席になったことで舞台美術も大きく変わり、衣裳の雰囲気もこれまでのイメージとは違うものになった今作。そこで演じるのも、昨今『マタ・ハリ』『スカーレット・ピンパ―ネル』などミュージカル作品でその存在を示し始めた東と、『RENT』や『ソーホー・シンダーズ』などのミュージカル作品に出演する女優であると共にニューヨークアポロ・シアター「Stars of Tomorrow」で優勝を果たす実力派歌手でもある青野という、20代前半の輝き出したばかりのふたりだ。大震災によって画題を見失ってしまった和也(東)と、同性の恋人と死に別れたばかりのレイチェル(青野)が偶然飛行機で隣り合わせになり、惹かれ合い、ニューヨークの彼女の家で一緒に暮らし始めて……というストーリー。そこで描かれるのは、大きな事件というようなものではなく、和也のビザの有効期間(3か月)までの間に、ふたりが向き合って、自分自身とも向き合って、迷いながらも変化していく様だ。そのなかにあるのは、膨らんだりしぼんだりし続ける感情や刻々と進んでいく時間。それらを奏でるメロディは繊細で緻密で複雑で、東と青野は歌、身体、表情、息づかいで丁寧に丁寧に…けれど大胆さも重ねながら紡いでいく。和也の幸せな時間と、自身の根幹を揺るがす感情に戸惑うレイチェルの不安。隣同士で同じ時間を温かく過ごしながらも同じではない感情が、小さく交わす笑顔やふとした目線の動き、空気の揺れによって伝わってくる。対面客席ならではの客席との距離の近さが、そういった表現を実現しているのだろう。東と青野、そして石丸と伊藤がつくりだす、劇場でしか味わえない演劇の魅力がたっぷりと詰まった作品。ぜひ劇場で味わって!プレビュー公演は4月26日に東京・相模女子大学グリーンホール 多目的ホールにて。本公演は5月1日(水)から27日(月)まで東京DDD青山クロスシアターにて上演。取材・文:中川實穗
2019年04月26日東啓介撮影/坂本利幸昨年もミュージカル『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』と舞台『命売ります』で主演を務めるなど、活躍の場を広げている東啓介さん。次はキャスト2人だけのミュージカル『Color of Life』に挑戦する。今作は数多くのヒットミュージカルを手がける演出家・石丸さち子の脚本・作詞・演出で、オフ・オフ・ブロードウェイ演劇祭で最優秀ミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した人気作。それぞれに喪失感を抱えた画家の和也(東啓介)と女優のレイチェル(青野紗穂)が飛行機で偶然隣り合わせになったことから、惹かれ合い人生の喜びを取り戻していく姿を繊細に描いた温かい物語。■実際に好きになって対話したいと思う「台本を読んで、人が出会うことによってこんなに変われるなんてすごいなと思いました。誰かと出会うことで、自分の見失ったものが見つかるってことはすごく素敵だなって思って。しかも人を好きになっていったり、どんどんプラスのものが積み重なっていく感じがとてもいいんです。知らない人と出会うって不安もあるしけっこう怖いじゃないですか。でも、この2人はプラスのほうを見ていくから、いいなって思いますね」東さんが演じるのは、大震災を機に画題を見失ってしまった画家。絵を描くこと以外に世界とつながる方法のなかった不器用で純粋な男が、二重国籍で同性愛者の女性と出会い人生が変化していく。「和也は30歳なんですけど、かわいいな~って思いました(笑)。すぐにレイチェルを好きになるところとか、すごくピュアだなと。だからこそレイチェルのことを実際に好きになって、本当の気持ちで対話したいというのはすごく思ってます。和也とレイチェルとして、青野さんがかけてくれる言葉に対して純粋に答えられるようにしたいです」初共演の2人の新鮮な出会いも楽しみだ。今作で伝えたいメッセージは?「見終わった後に、誰かと出会いたくなる作品にしたいですね。まず出会おうっていう気持ちだけで、たぶんもう新しい自分だと思うんですよね。人じゃなくても、例えば今まで避けてきたもの遠ざけてきたものと向き合おうとかでもいいと思うので。何か感じていただけたらなと思います」東さん自身にとっての大きな出会いをたずねると、2人の俳優の名前が挙がった。「数えきれないですけど、加藤和樹さんと柳下大さんとの出会いはとても大きいです。和樹くんはミュージカル『マタ・ハリ』で共演させてもらって、ものすごく優しくて何でも教えてくれて。大先輩なのに本当に親身になってくれて、こんな仏のような人っているんだなって(笑)。ミュージカルの世界のこともいろいろ学ばせていただいたし、地方公演のときもずっと一緒にいました。公演が終わってからも“家にラーメン食べにおいで”って誘ってくれたり、仲よくしていただいています。事務所の先輩でもある大くんは、本当に兄弟みたいな感じなんですよね。心から気を許せるし仕事もプライベートも何でも相談できちゃう。家族のような接し方をしてくれるので、落ち込んだり行き詰まったときに、すぐ頼りたくなる人ですね」『スカーレット・ピンパーネル』『マタ・ハリ』『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』に続き、石丸演出作品への出演は4作目。石丸さんとの出会いで変われたと話す。「しっかり役者ひとりひとりを見てぶつかってきてくれて、ときには笑い合ったり、そういうことをしてくれる演出家さんに初めて出会って。さち子さんとはなぜか最初からコミュニケーションがとれたんです。それまで苦手だったのに自分から話しに行けるようになりました。しっかり話し合いができて、そこで叱ってくれたり褒めてくださったりすることで、成長を自分でも感じて。出会えてよかったというのはすごく感じています」師匠からは今回も高いハードルが用意された。歌もそのひとつ。「1曲1曲どれをとっても素敵で素晴らしいんですけど、全部難しいです。こんなに頭に入ってこない曲は初めてですね(笑)。音階の難しさであったり、フラット6個もついてるんだとか、ワ~と思いながら精いっぱい取り組んでます」■自分を褒めてあげたいと思います俳優として順調にステップアップを続ける東さん。以前、本誌インタビューで「30歳までに帝劇の舞台に立つことが目標」と話していたが、24歳にして今年11月公演のミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』で早くも実現する。「いまだに実感はないんですけど。やってきた努力の結果として携わることができるのは、自分を褒めてあげたいなと思います。でも最初に出演のお話をうかがったときは帝国劇場でやることを知らなくて。だから聞いたときは、ええ?ちょっと待ってくださいと(笑)。それは早すぎますって思いました。これがスタートですから、その先も帝国劇場のような伝統ある大劇場に立ち続けられるのかという挑戦ですね。その前に『Color of Life』でまた新しい東をお見せできると思うので、ぜひ見に来てください」New Musical『Color of Life』大震災を機に画題を見失った画家の和也(東啓介)と最愛の同性の恋人と死別したばかりの女優、レイチェル(青野紗穂)。喪失感を抱えた2人がNY行きの飛行機で偶然隣り合わせになったことから、惹かれ合い人生の喜びを取り戻していく。キャスト2人で贈る感動作。脚本・作詞・演出:石丸さち子■プレビュー公演:4月26日@相模女子大学グリーンホール多目的ホール■東京公演:5月1日~5月27日@DDD青山クロスシアター【公式サイト】ひがし・けいすけ◎1995年7月14日、東京都出身。’13年、舞台デビュー。舞台『刀剣乱舞』シリーズなど2.5次元舞台で人気に。ミュージカル『マタ・ハリ』に出演するなど若手俳優として注目の存在。今後は、中村雅俊45thアニバーサリー公演 第1部『勝小吉伝~ああ わが人生最良の今日~』(7月6日~31日)、ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』(11月5日~27日)出演予定。<取材・文/井ノ口裕子>
2019年04月21日都内某所のライブハウスで、4月中旬、舞台『BACKBEAT』の製作発表が行われた。本作は“5人目のビートルズ”と言われるスチュアート・サトクリフを中心に、ハンブルクでの巡業時代のビートルズ創成期が描かれる。この日は翻訳・演出を手がける石丸さち子のほか、キャストの戸塚祥太、加藤和樹、辰巳雄大、JUON、上口耕平、夏子、鈴木壮麻、尾藤イサオが登壇した。【チケット情報はこちら】会見冒頭に披露されたのは、バンドメンバーキャストによる『ロックン・ロール・ミュージック』と『ラブミー・テンダー』の生演奏。ハンブルク時代、ビートルズはカバー曲を演奏することが多く、この2曲も作品を象徴する重要な楽曲となる。ジョン・レノン役の加藤がボーカルを務める『ロックン~』では、熱い歌声とパワフルな演奏でバンドとしての一体感を見せ、『ラブミー~』ではスチュワート役の戸塚がボーカルを取り、恋人のアストリッド・キルヒヘルへの想いを情感たっぷりに歌い上げた。続いて全登壇者が登場。まず石丸から「本編ではビートルズのカバー曲を中心に20曲以上を生演奏します」との驚きの発表が。そのためすでにバンドメンバーは、2月から楽器のレッスンを始めていたという。だが観客の前で演奏したのは初とのことで、「今すごく気分が高揚しています!バンドマジックを体験してしまいました」とは戸塚。加藤も「初めてひとつになった瞬間でした。このバンドのグルーヴ感をもっと高めていきたい」と意気込む。辰巳はほぼギター初心者だったとのことだが、「もうすっかり味をしめちゃったので、このバンドメンバーでライブツアーをやりたいです!」との大きな夢を明かした。ビートルズがライブを行っていたクラブのオーナー、ブルーノ・コシュミダーなどを演じる尾藤は、1966年のビートルズ初来日時、彼らの前座として同じ日本武道館のステージに立っている。そんな尾藤に「皆さんの演奏、とってもグーでした」と言われると、バンドメンバーの顔にも安堵の色が。さらにビートルズ来日時のエピソードとして、「内田裕也さんも出ていたので、日本のアーティスト代表として一緒にプレゼントを渡そうということになったんです。でもとにかく警備が厳しくて!彼らの楽屋まであと3メートルというところで止められて、結局会えずじまいでした」との貴重な話も飛び出した。かつて世界中を熱狂させたビートルズ。今度はこの『BACKBEAT』の面々が、日本の観客を熱狂させてくれるに違いない。5月25日(土)から6月9日(日)まで東京・東京芸術劇場プレイハウスにて上演後、兵庫、愛知、神奈川を巡演。取材・文:野上瑠美子
2019年04月17日昨年、松本零士作の国民的アニメ漫画『銀河鉄道999』が音楽劇となって再誕し、大きな話題を呼んだ。この春、その続編となる舞台『銀河鉄道999さよならメーテル~僕の永遠』(脚本・作詞:石丸さち子、演出:落石明憲)が上演される。【チケット情報はこちら】主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教やクイーン・エメラルダス役の凰稀かなめ、キャプテン・ハーロック役の平方元基など、前作からの人気の顔が揃うなか、鉄郎の敵となる機械伯爵役で気鋭の若手俳優、前山剛久の新参加が決定した。「出演が決まり、両親や年上の方々からの反響が大きくて嬉しい」と笑顔満面。士気みなぎる表情で、新たに挑むキャラクターへの熱い思いを語ってくれた。「あらためてアニメや映画を観てみたんですが、機械伯爵の登場が意外にアッサリとしていて、あれっ!?と思って(笑)。その後に今回の台本を読んだら、機械伯爵の人物像がとても膨らんで描かれていたので、嬉しかったです」本作では、劇場版映画とは違う“真実”をすくい上げたオリジナルストーリーが展開する。昨年の前作で鉄郎と機械伯爵の対決が描かれ、その決着はついたはずだが…。続編でふたりのどのような関係が描かれていくのかが気になるところ、前山から「僕、悪役が好きなんです」と興味深い発言が飛び出した。「以前テレビドラマで1年間、悪役を演じたんですが、その時にすごく考えさせられたんです。悪役は人を困らせたり危害を加えたりとまさしく悪いイメージがあるけれど、そこには何かのトラウマだったり、必ず理由があるんですよね。嫌なことを払拭するための行為だったり、あるいは正義のためにやった行為が悪に見えてしまうこともある。そんなふうに内面に闇を抱えている悪役に、とても魅力を感じます。機械伯爵も、今回の物語では彼の悲しい過去が描かれているので、演じ甲斐があるなと思っています」さらに今回はもうひと役、機械伯爵の過去に関係する重要なキャラクターも担うことになっている。「機械伯爵では冷酷で残忍な一面を、そのもうひとつのキャラクターでは人間らしい葛藤を色濃く出していけるのではと思っていて、とても楽しみです。彼らがどんな人生を歩んできたのか、その部分を丁寧に立ち上げて、そこに前山剛久の役者としての人生を重ね合わせて作っていけたらと思っていますね」舞台の実力者が揃った共演陣に刺激を受けながら、「引っ張ってもらいつつ、僕も引っ張っていけるようにしたい」と力強く宣言。悪の深層に迫ろうとする、真摯な挑戦を応援したい。「芝居にかける熱量なら負けない。僕は不器用なので、とにかく魂でぶち当たっていきます!」公演は4月20日(土)から29日(月・祝)にかけ、東京・明治座で行われる。その後大阪公演もあり。チケットは発売中。取材・文上野紀子
2019年03月20日タイトルを聞いただけで、宇宙空間を駆ける鉄道、長い金髪を持つ謎の美女メーテル……といった印象的な絵が脳裏に浮かぶ人も多いだろう。テレビアニメ、劇場版アニメをはじめ様々なメディア展開で今なお愛され続けている『銀河鉄道999』が、原作者・松本零士監修のもと舞台化されたのは昨年の春のこと。そして今年、その後を描く新作舞台『「銀河鉄道999」さよならメーテル~僕の永遠』が早くも登場する。前作に続き主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教に話を訊いた。チケット情報はコチラ2年連続の舞台化に、中川も特別な思いを抱いているよう。「前回は『999』という“ソフト”をどう舞台に乗せるのがいいのだろうと、チャレンジをさせて頂く形でスタートしました。それを観て(もともとのアニメを製作した)東映さんも手応えを感じてくださったようで、次回はもっとオリジナルの要素を加えて、決定的な鉄郎の物語を作ってくださいと僕らに託してくれた。舞台としての『999』はある意味、ここからがスタート。鉄郎の旅が終わらないように、僕らの旅も続いている。その旅には、ワクワクドキドキするものがたくさん詰まっているんです」。そう、キラキラした目で語る。ストーリーとしては劇場版アニメを下敷きに、「最後の敵との戦い、メーテルとの別れを軸に」描かれるとすでに発表されている。前作では登場しなかったプロメシューム(メーテルの母)を浅野温子が演じることからも、女同士のドラマも見どころのひとつになりそう。ただ、中川は「そこが軸になると“外伝”になってしまいますから。あくまでも鉄郎の物語であるように、僕はしっかり存在していたい」と気を引き締める。そしてその肝になるのは“歌”だ。「この作品は、感動が説明ではなく、シンプルに観ている方の心に伝わるものになれば成功だと思うんです。じゃあ鉄郎の持つ感動力って何だろう? と考えたときに、音楽劇ですし、やはり“歌”というところがひとつのカタルシスになると思った。実際、新作はナンバーもかなり多くなっています」。今回はスタッフも一新、脚本に蜷川幸雄門下で経験を積んだ石丸さち子、演出に東宝演劇部所属の落石明憲が加わる。「『999』という作品が持つ哲学的な本質、そこにミュージカルという要素が加わった時に、ほかの何にも似ていない、2.5次元風でもなくミュージカル風でもない、『999』の世界が劇場いっぱいに広がっていくのではという期待を抱いています。硬派なバックボーンを持つ石丸さん、落石さんと一緒ならそこを目指せるんじゃないかな。僕も楽しみにしています」公演は4月20日(土)から29日(月・祝)にかけ、東京・明治座で行われる。その後大阪公演もあり。チケットぴあではWEB先着先行「プリセール」を1月24日(木)23:59まで受付中。
2019年01月21日2019年1月に開幕するミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』の製作発表が開かれ、Wキャストで主演を務める市村正親と石丸幹二をはじめ、濱田めぐみ、平原綾香、田代万里生、小野田龍之介、夢咲ねね、咲妃みゆ、鳳蘭、香寿たつき、大前優樹、加藤憲史郎、熊谷俊輝が登壇した。【チケット情報はこちら】本作は世界的名作『オペラ座の怪人』の10年後を描いた作品で、『オペラ座の怪人』のアンドリュー・ロイド=ウェバーが手掛けたもの。日本では2014年に初演され、5年ぶりの上演となる。今回は初演に続き市村と、新たに石丸がファントム役を務めるほか、初演に続き濱田と平原がクリスティーヌ、初演に続き田代、新たに小野田がラウル、今回から夢咲と咲妃がメグ・ジリー、初演に続き鳳と香寿がマダム・ジリー、クリスティーヌの息子・グスタフを今回から大前、加藤、熊谷が演じる。300名のオーディエンスが見守るなか、出演者は4曲の歌唱披露で登場。市村と石丸による『君の歌をもう一度』、濱田、平原、田代、小野田、夢咲、咲妃、鳳、香寿による『なつかしい友よ』、大前、加藤、熊谷による『心で見つめて』、濱田と平原による『愛は死なず』という本番では観られない組み合わせでの歌声が披露された。会見の冒頭では、ホリプロの堀義貴代表取締役社長より「『オペラ座の怪人』ファンの皆様も楽しめる楽曲が新たに追加され、編曲がリニューアルされたものもあります。新しい『ラブ・ネバー・ダイ』です」と今回のポイントが紹介された。劇団四季『オペラ座の怪人』日本初演でファントムを演じた市村は「『オペラ座の怪人』から30年になる来年、僕はこの作品の最中に古稀を迎えます。長く生きていてよかったとしみじみ思います。今回は曲が変わるので、5年前と同じにはならない。一生懸命覚えています!」、デビュー作が『オペラ座の怪人』ラウル役である石丸は「初演を観たとき“まさかラウルがこんなことになっているとは…”と衝撃を受けました(笑)」とその変貌への驚きを明かしつつ「お話をいただき、私の技術で大丈夫なのだろうか、市村さんと同じ役をやらせていただいて大丈夫なのだろうかと不安になりました。だけど今日、船出しましたのでそんなことは言っていられない。市村さんの演技を見ながら、歌を聞きながら、勉強させていただきます」と意気込みを語った。その後も出演者それぞれから意気込みや役への想いが語られ、最後に石丸より「皆様のご期待以上のものをお届けできるようにがんばります」、市村より「多くの方に我々のドロドロとした“泥仕合”をお見せしたい(笑)」と挨拶があり、和やかに会見は終了した。公演は1月15日(火)から2月26日(火)まで、東京・日生劇場にて。取材・文:中川實穗
2018年11月22日内博貴が主演を務める舞台『まさに世界の終わり』の東京公演がDDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演中。開幕に先がけプレスコールと囲み取材が行われ、取材には内と大空ゆうひ、那須佐代子が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、フランスの劇作家ジャン=リュック・ラガルスが1990年に執筆した戯曲で、不治の病を患った34歳の主人公ルイが18年ぶりに帰省し、母、兄夫婦、妹と過ごす短い時間を描く物語。グザヴィエ・ドラン監督による映画(邦題『たかが世界の終わり』/2016年)は第69回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、アカデミー賞外国語映画賞カナダ代表作品に選ばれた。本作では上演台本・演出を石丸さち子が手掛け、ルイを内、母親を那須、兄を鍛治直人、兄の妻を大空、妹を島ゆいかが演じる。プレスコールでは、激しい心の内側を表現するルイの独白シーンと、家族が静かに語り合うラストシーンを披露。9月に兵庫で開幕し、愛知、神奈川と巡演して、より深まった芝居をみせた。その後の囲み取材では、内が「幕が開けるまでは大変でした。今までいろいろな作品をやらせていただいてきたのですが、そのなかでもこの作品は、僕のなかでは1番難しかった」と振り返り、なにが1番大変だったか問われると「全部です!」と即答。「こういったタッチの作品は僕、初めてなので。文学的といいますか。理解するまですごく大変でした」と明かし、開幕後も「繊細な舞台なので神経を研ぎ澄ませておかないといけないし、繊細なお芝居なのでずっと集中しておかないといけない。気を引き締めてやっていかないと」と芝居に取り組む。そんな内の母親役である那須は「18年ぶりに会って、“こんなにきれいになって帰ってきて”というところから舞台が始まるんですけど、(実際に)きれいな息子で。お稽古でも“カッコよすぎる”っていうダメ出しがあったりね(笑)」と稽古エピソードを披露。内は「いやいや!」と笑いつつも「はじめは演出の石丸さんがおっしゃったのですが、それを聞いた鍛冶さんが“そんなダメ出し聞いたことねえ”って(笑)。そこから“カッコよすぎる”っていじられる…そういう和気あいあいとした稽古場でした!」。大空も初共演の内を「キャッチ力が素晴らしい役者さん。ダメ出しに反応する感覚がすごくて。すごい!と思いました」と絶賛。内はその言葉に恐縮しつつも「初めて役を引きずっている。それだけ入りこめてるのかなと思います。でも、本当に初めてのことなので不思議な感覚です」とこれまでにない作品であることを語った。公演は11月6日(火)まで東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演中。取材・文:中川實穂
2018年10月17日不治の病で余命約1年の主人公が、18年ぶりに再会する家族との1日を綴った舞台『まさに世界の終わり』が、西宮市の兵庫県立芸術文化センターで幕を開けた。同作の映画版(邦題は『たかが世界の終わり』)は、時代の寵児であるグザヴィエ・ドラン監督が手掛け、2016年カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた。この作品が舞台化されるのは日本では初めてだ。【チケット情報はこちら】本作は1957年に生まれ、1995年にエイズのため38歳で亡くなったフランスの劇作家・ジャン=リュック・ラガルスの作品。1980年代はエイズは不治の病で、ラガルスをはじめ多くの才能あるアーティストが命を落とした。エイズに対する偏見も根深く、病名を公にしない人も多かった。その時代背景と、死を宣告されたラガルスが、本作の主人公ルイに自身を投影していたことを知れば、より物語の世界に入っていきやすい。最初のシーンは、ベッドの上で病に苦しむルイ(内博貴)が、家族にもうすぐ死ぬことを知らせに行こうと決意するモノローグ。ルイは、もがきながらも手を伸ばし、何かを空中でつかもうとする。ルイの帰還を喜ぶが、18年の不在を責めるルイの妹シュザンヌ(島ゆいか)、愛情があるものの、ルイに嫉妬があり、日本の頑固親父のように頑なな兄のアントワーヌ(鍛治直人)、家族を懸命につなげようとするアントワーヌの妻カトリーヌ(大空ゆうひ)、肝っ玉母さんで、ルイに皆を励ましてほしいと頼む母親(那須佐代子)。登場人物のセリフによって、ルイの心臓の鼓動が効果音で客席に響き、彼の動揺が伝わってくる。ルイは、家族の前では物静かに微笑んでいるが、時々、織り込まれるモノローグでは、死への苦悩と、何故、家を出たのか、家族に対する葛藤を毒々しく吐露する。内の、静と動の対極の演技が印象的だ。家族との関係はやっかいだ。遠慮がない分、血や涙が流れ、後悔もする。それと同時に、かけがえがない。ルイと家族の状況は、誰もが通過するであろう鋭い痛さや深い苦さを抱えている。そう思わせてくれたキャスト全員の演技と、演出の石丸さち子の手腕が光る。映画版ではドランが脚本も手掛け、登場人物の表情や心象風景で、それぞれの心情を読み解く必要があったが、ラガルスの川の流れのような言葉を生かした舞台版(上演台本:石丸さち子)のほうが、私には分かりやすく物語に近づけた。ルイは家族に自分の死を伝えることができたのか。何かをつかみ取れたのか。ラストシーンのルイはあまりにも美しく、胸を突かれる。ここも映画とは違う。ラガルスは、約20年の間に25作品を書き残したが、日本ではあまり上演されることがなかった。彼が観客と再び出会う、そんなラガルスとの「世界の始まり」を感じた舞台だった。東京公演は10月13日(土)から11月6日(火)まで、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて。取材・文:米満ゆうこ
2018年10月05日ミュージカル『シークレット・ガーデン』の公開ゲネプロが10日、東京・シアタークリエで行われ、石丸幹二、花總まり、石井一孝、昆夏美、松田凌、池田葵、大東リッキーらが登場した。同作は、フランシス・ホジソン・バーネットによる世界的名作『秘密の花園』を1991年にブロードウェイでミュージカル化、同年のトニー賞では3部門を受賞した。妻のリリー(花總)を亡くして日々をむなしく生きる男・アーチボルト(石丸)の元に両親を亡くした少女・メアリー(池田/上垣ひなた Wキャスト)がやってくる。メアリーはリリーに導かれ、庭と家族を再生させていく。原作では描かれなかった大人たちの苦悩にも焦点を当てた同舞台は、児童向け名作を原作としながら死者の匂いもまとい、過去と現在が交錯しながら進む大人の物語に。6月11日から7月11日まで、シアタークリエで上演される。○石丸幹二コメント舞台稽古に入り、演出の"アリマ・マジック"に掛かりながら、『シークレット・ガーデン』の世界観がより深まっていくのを感じています。原作小説は子供の目線で描かれていますが、このミュージカル版は大人の物語でもあり、人生の喜び、哀しみを深く味わえる作品になっています。アーチボルドという一人の男が、伴侶の喪失から再生していく…。誰しもが経験する肉親との別れ、人生の最大の危機を乗り越えるための鍵穴が、ここにあります。アーチボルドに心を添わせてください。皆さんの心の中に堅く閉ざされた扉があるなら、きっと鍵を見つけて頂けると思います。○花總まりコメント原作の『秘密の花園』を子供の頃に読んだことのある女性は多いと思います。ミュージカル版も観れば観るほど心に響いてくる作品になりそうだなと、お稽古をしながら日々感じています。一度だけではこの作品の全貌を知ることが難しいかもしれません(笑)。ぜひ何度でもご覧ください。そして、皆様それぞれの人生と重ね合わせて、何かを感じて頂けるととても嬉しく思います。劇場でお待ちしております。
2018年06月10日東啓介主演のオリジナルRock Musical『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』が、4月3日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオで開幕した。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出の石丸さち子(「Color of Life」作・演出、ミュージカル「マタ・ハリ」訳詞・翻訳・演出など)と、音楽の和田俊輔(ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」、ナイロン100℃「社長吸血鬼」など)の初タッグで生まれたオリジナルミュージカル。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きに、血縁や国境、性別、人種、宗教など見えない“線=ライン”に隔てられた若者の、それを越えようとする姿、笑い飛ばして自由を勝ち取ろうとする姿、そして幼い魂のふれあいと成長を、「ロミオとジュリエット」同様、主人公とヒロインが愛を知って愛に死ぬまでの“5日間”を通して描く。ロミオをモチーフにした主人公・ハワル役の東啓介、ジュリエットをモチーフにしたヒロイン・リェータ役の豊原江理佳のほか、柳下大、中山義紘、大山真志、マルシアが出演する。開幕に際し石丸が「一生に匹敵する5日間を2時間で描きます。駆け抜ける愛、転落する愛を、俳優たちは、16m×10mの舞台をまさに走り続けて、小高い丘からまさに転がり続けて、全身で物語ります。愛という感情が、人と世界にもたらす力を体感してください」とコメントを寄せた本作。ハワル(東)とリェータ(豊原)の恋の疾走、ハワルの親友ポドフ(柳下)のどうにもならない気持ち、同じく親友ナウチ(中山)の軸である信仰、リェータの兄シーラ(大山)が盲信する幸福、そして若い彼らを“ライン”上で見つめ導くドゥーシャ(マルシア)の大きな愛…彼らの抱えるさまざまな想いが、KAAT芸術劇場の中スタジオという汗も涙も見える距離、呼吸の音まで聞こえる空間で、爆発するようにぶつかり、ぐいぐいと物語を動かしていく。和田による音楽も、いわゆるミュージカルのイメージとは一線を画すメロディラインで、そこで生まれたばかりの感情が歌となり、空間全体に広がっていくようだった。たったひとつの恋が人を動かし、周囲を動かしていくエネルギーは「ロミオとジュリエット」そのもの。しかしその先で彼らが考えること、迷うこと、選ぶものは、現代という時代設定が大きく反映されている。自分の人生を全身全霊で生き始めた彼らが、鐘の音が5回鳴る日に選んだものはなんなのか、ぜひ劇場で確かめてほしい。『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』は4月23日(月)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオにて上演中。取材・文:中川實穂
2018年04月06日脚本・作詞・演出・石丸さち子×音楽・和田俊輔によるRock Musical『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』が、4月3日(火)にKAAT神奈川芸術劇場 中スタジオで開幕する。それに先駆け、稽古場にて公開稽古が行われた。Rock Musical『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』チケット情報シェイクスピアの恋愛悲劇「ロミオとジュリエット」を下敷きに、舞台を現代として血縁や国境、性別、人種、宗教、経済など見えない“ライン”に隔てられた若者が、その“ライン”をも飛び越え命を燃やした5日間の恋を描くオリジナルミュージカル。主演は東啓介、ヒロインは豊原江理佳、そして柳下大、中山義紘、大山真志、マルシアが出演する。楽曲を中心に披露した公開稽古。一曲披露するごとに石丸は、例えば主人公・ハワル(東)とヒロイン・リェータ(豊原)が恋の喜びを歌う楽曲で、東と豊原に「ハワルの台詞(恋にまつわるある台詞)は世紀の大発見なの。その発見の喜びの中で歌い始めて!」と伝えたり、“ライン”上に暮らす女・ドゥーシャ(マルシア)が恋するふたりを祝福する楽曲についてマルシアに「果実がはじける瞬間を思い出しながら、若い恋が温かく育まれることを祈るように。それでいて自分の中に“かつて激しい恋をした人”と“母”を両方抱えておいてほしい」と話したり。熱く、俳優たちの心を揺さぶるように演出をつけていく。それに応えながら自身もアイデアや疑問をどんどん出していくキャストの姿も石丸の稽古場の特徴のひとつ。そうやってみんなでつくりあげていくのだ。この日はまだ稽古2日目であったが、和田ならではの耳に残るメロディと、石丸の脚本と演出、そして俳優たちの歌唱力、表現力が化学反応を生み、既にこのカンパニーだけの新しい世界が立ち上がりかけているように感じた。稽古後、東は「石丸さんの演出と和田さんの音楽で、すごく新しい『ロミオとジュリエット』ができているのではないかと思います!」、豊原は「演出の石丸さん、音楽の和田さんと共にこの6人のキャストでいい作品にしたい…革命を起こしたいです」、柳下は「石丸さんは本当に世界を変えようとしているんじゃないかなっていう熱量なので。僕たちはそれに乗っかって、ミュージカル、演劇の新しいものをつくっていけたら」、中山は「今、毎日の稽古やこの6人のキャストの皆さんに会えるのが、すごく楽しいです」、大山は「ミュージカルとお芝居の“線”をなくした作品になるんじゃないかなと思います」、マルシアは「とにかくすべてが新しい。みんなでひとつになってお客様の心に残る何かが届けられたら」とそれぞれコメントした。公演は4月3日(火)から23日(月)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 中スタジオにて。撮影・取材・文: 中川實穂
2018年03月09日石丸幹二撮影/廣瀬靖士人間の“善”と“悪”という誰もが持っている心の深い部分へと迫る名作を、フランク・ワイルドホーンのダイナミックな楽曲でミュージカル化した『ジキル&ハイド』。父を助けたいという思いと野心、探究心に駆られ、自らを実験台に人間の心から“悪”を切り離そうとしたジキル博士は、やがて自分の生み出したハイドという悪の人格に苦しめられていく。この作品で3度目のジキルとハイド役に挑む石丸幹二さんは「ハイドを演じるのが楽しくてしかたないんです。そう言うと語弊があるかもしれませんが」と笑う。「ハイドというのは、誰しもが心の中に持っているネガティブな面が実在化したもの。面白いのは、ハイドには何も制約がない、という点なんです。好き放題に何をやってもいいキャラクターで、社会のルールも何もないわけですよ。だからいちばんストレスのない人間としているべきなんだ、とワイルドホーンに言われました。だからジキルの中から出てきた途端、高笑いになる。解放された彼は“自由だー!”と叫ぶんです」なるほど、何のルールにも縛られず、倫理や制約から自由な存在になれたら楽しいはず。でも、そんなハイドにも弱点がある。「ハイドが唯一、抵抗を感じるのはジキルの存在なんです。ジキルに心を寄せているルーシーという女性がいて自分に対してはつれない。それで嫉妬と怒りが湧き起こってくるんです。楽しいだけの存在であるはずが、自分の欲しいものを奪おうとするもうひとりの自分がいるわけで。だからジキルを潰(つぶ)したくなるんですが、そうすると、自分を殺すことになってしまう。そこにハイドの葛藤があり、不自由さを感じるようになっていくんですね」■僕自身は嫉妬心があまりないんですハイドを演じるのに、石丸さん自身も自分の中の“嫉妬心”や“恨み”といったネガティブな感情を呼び起こしたりするのだろうか?「僕自身は非常にお花畑な人間ですので(笑)、嫉妬というような感情はあまり湧かないんですよ。妬(ねた)むより、“ま、しょうがないか”とあきらめてしまう。そこで勝負をしようというふうにはならなくて、“自分がもっとポジティブでいられる方向に心を持っていこう♪”というタイプの人間なんです。だから、ネガティブな感情は、海外の映画に出てくる凶悪犯を見たりして、想像して作ります。例えば『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士とかね。自分からかけ離れた性格の役を演じるほうが、想像しつつ作れる部分が大きいので面白かったりもするんですよ」石丸さんの役作りが印象的なのは、黒いハイドに対して、ジキルが白ではなくグレーであるところ。「僕はジキルを普通にいる、人間らしい人間として演じたかった。真っ白な人間なんていないですよね。ジキルは非常に強い好奇心と正義感、そして旺盛な自己顕示欲を持っている。自分が科学を変えていっていると思い込んでいて、そこから来る驕(おご)りがあるんですね。ルール違反すれすれなんだけど、自分の中では正しいと思っている。そんな、周りの人間の目には“あいつの思想はどこかおかしい”と映るところからグレーだし、彼の面の皮をペロッと剥(は)がせばすぐ、そこにハイドがいるんです」■難曲を歌うためには肉を食べなきゃ!こうした奥の深いテーマとともに、このミュージカルを特別なものにしているのが楽曲のパワーだ。「ブロードウェイでこの作品を見たとき、“こんなにも力強く心を打つメロディーのミュージカルを書く人がいるんだ”と衝撃を受けました。特に、『時が来た』を聴いたときには身体全体に勇気がみなぎっていくような感覚を覚えましたね。その曲を自分が歌えることは本当に幸せです。でも簡単には歌えないんですよ!(笑)ワイルドホーンは、歌う人の声がいちばんいい音で張れるようにキーを変えてくれるんですが、なおかつ、すごい馬力で歌わないといけないように作るんです(笑)。ハードルが上がるんですよ」その難曲を歌いこなすための秘策も、ワイルドホーンさんに伝授された。「彼が面白いことを言ってくれたんです。“僕が書いたミュージカルの曲を歌うなら、君たちアジアの草食人種は毎日、肉を食わなきゃダメだ”って。半分冗談なんですけど、“それくらいパワフルな歌い方を必要とするんだ、自分はそういうふうに書いているから”ということなんですね。肉を食べたからといってすぐに歌えるものでもないんですけど(笑)、日々の鍛錬は大事だとわかりました」今回は共演するキャストも大きくチェンジ。稽古(けいこ)場では新しい刺激にワクワクする日々だという。「僕は音楽畑から出てきた人間ですので、声のアンサンブルにすごく興味があるんですね。だから今回も新しい声とどう響き合うか、お互いの声をどう際立たせるか、いろいろ考えるのはとても楽しい作業です。例えば、前回まで婚約者のエマ役だった笹本玲奈ちゃんが今回はルーシー役で。エマとは正反対の艶っぽくジューシーな声を聴かせてくれたときには“うわ、僕のエマはどこへ行っちゃったんだ”と思いましたけど(笑)、すごく刺激的でした。とにかくエネルギーが途切れないようにして、お客様に“ああ、よかった。また見に来たい”と思っていただけるような作品にしたいと思います」<舞台情報>『ジキル&ハイド』1886年にイギリスで出版されたスティーブンソンの怪奇小説『ジキル博士とハイド氏』を原作に、脚本・作詞レスリー・ブリカッス、作曲フランク・ワイルドホーンでミュージカル化。1997年にブロードウェイで開幕し、大ヒットを記録した。原作にはないジキルの婚約者エマ、娼婦ルーシーというふたりの女性を登場させるなど、ドラマティックな作品に仕上がっている。3月3日~18日 東京国際フォーラム ホールC、3月24日・25日 愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日・31日 梅田芸術劇場 メインホールで上演される。<プロフィール>いしまる・かんじ◎1965年生まれ、愛媛県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科在学中の’90年、劇団四季に入団。『オペラ座の怪人』ラウル子爵役でデビューし、劇団の看板俳優として活躍。’07年に退団後は『エリザベート』『スカーレット・ピンパーネル』などミュージカルやストレート・プレイ、コンサートに多数出演。2013年にTBSドラマ『半沢直樹』で浅野支店長役を演じ、テレビや映画界でも人気者に。(取材・文/若林ゆり)
2018年03月05日2月3日、ミュージカル『マタ・ハリ』東京公演が開幕した。『ジキル&ハイド』などを手がけるフランク・ワイルドホーンが音楽を担当し、2015年に韓国で初演されたミュージカル。日本初演の今回は、主人公のマタ・ハリを柚希礼音、彼女の運命に深く関るふたりの男性、ラドゥーとアルマンの2役を回替わりで加藤和樹が演じる(初日は加藤がアルマンを、Wキャストの佐藤隆紀がラドゥーを演じた)。演出は石丸さち子。ミュージカル『マタ・ハリ』チケット情報物語は1917年、第一次世界大戦下のヨーロッパが舞台。パリではオリエンタルなダンスで人々を虜にしているダンサーがいた。名はマタ・ハリ。フランス諜報局のラドゥー大佐は、ヨーロッパをまたにかけ活躍するマタに目をつけ、スパイになるよう圧力をかける。同じ頃、マタは戦闘機パイロットの青年アルマンと出会い恋に落ちるが、実はそれもラドゥーが仕掛けた罠で…。舞台には、水墨画にも似た煙のような雲のような背景。モノトーンのシンプルなセットの中、シックな衣裳に身を包んだキャストが、戦争に苦しむ市井の人々の嘆きを叫ぶ。それぞれがワンポイントで赤い何かを手にしているのは、彼らが願う生への渇望か、命そのものか。そして「生きろ」と叫ぶ彼らの中に、誰よりも鮮やかな朱色の衣裳で、マタ・ハリが舞い立つ。柚希は、しなやかかつダイナミックなダンスが美しいだけでなく、女性らしい腰まわり、筋肉、すべてが美しく妖艶。何よりも“生”のエネルギーに溢れている。まさに、この閉塞した時代に舞い降りた女神といったインパクトだ。演出の石丸と柚希はしかし、マタ・ハリをただ“謎めいたカッコいい女スパイ”とは描かない。凄絶な過去を抱え、それでも人生に立ち向かうけなげな女性、必死に生きる普通の女性として、誰もが共感し得る感情を繊細にすくい上げる。マタ・ハリの、アルマンに恋し、普通の暮らしを望むと語る笑顔が柔らかく、可愛らしい。柚希は女性の弱さも強さもとても自然に演じる。彼女だからこそのマタ・ハリを生み出し、彼女にとって本作が女優としてのターニングポイントになるに違いないと確信させた。一方でその恋の相手であるアルマンを演じる加藤も、マタと同じく心に抱えた孤独と傷を丁寧に描く。だからこそ、彼女と自然に心を寄り添わせつつ、最初は策略で彼女に近付いた事実に苦しむのだ。色気と少年の純粋さを同居させた加藤のアルマンは、マタが恋に落ちる説得力が十分だったが、それゆえにもうひと役、マタにスパイ活動を強いるラドゥーを加藤がどう演じるのかも気になるところ。そのラドゥーを初日で演じたのは佐藤隆紀。マタを利用しつつ彼女に溺れていく男という難しい役柄を、その深みのある歌声も上手く使い、好演していた。初日には作曲のフランク・ワイルドホーン、脚本のアイヴァン・メンチェルも来場。ふたりとも笑顔で、特にフランクは「なんて素晴らしいキャスト!」と賛辞を贈っていた。2月18日(日)まで、東京国際フォーラム ホールCにて上演。なお、加藤がラドゥーを演じる日は、アルマンを東啓介が演じる。
2018年02月06日2001年に日本初演の幕が開き、今回で7度目の上演を数える大ヒットミュージカル『ジキル&ハイド』。その製作発表が1月25日、都内某所で開かれ、主演の石丸幹二ほか計22名のキャストと、演出の山田和也が登壇した。ミュージカル『ジキル&ハイド』チケット情報約200名の一般オーディエンスも見守る中、まずはカンパニーキャスト18名が登場。ミュージカルナンバー「嘘の仮面」が披露されると、会場は一気にダイナミズム溢れる『ジキル&ハイド』の世界に。続いて演出の山田、石丸のほか、メインキャストの笹本玲奈、宮澤エマ、田代万里生、畠中洋、花王おさむ、福井貴一が壇上に現れ、それぞれ舞台にかける抱負を語った。初演から演出を手がける山田は、本作について「やっぱり面白い」と切り出し、「人間のネガティブな部分がとてもドラマティックに描かれた作品です。しかもフランク・ワイルドホーンさんの実に見事で、魅力的な音楽が、作品全体を妖しく、セクシーなものにしている」とその魅力を分析する。今回で3度目のジキルとハイド役に挑む石丸は、「個人的にハイドを演じることが快感になってきました」と笑い、「まだまだいろんなところで工夫出来ると思っていて。ぺろっと剥がれた時にハイドが出てくるような、そんなジキルを今回はつくっていきたいです」と、新たな試みに意欲を燃やした。2012年、2016年とエマを演じてきた笹本は、今回娼婦のルーシー役に初挑戦するということで、「いつかやりたいとずっと思っていた役なので、今回お話をいただいた時は舞い上がってしまって、エマをやっていた自分のことはすっかり忘れました!」ときっぱり。出産を経ての約1年ぶりのミュージカル復帰作で、いかなるルーシーを見せてくれるのか。期待は高まる。またこてこての関西弁とそのマイペースぶりで笑いを誘ったのは、宮澤演じるエマの父、ダンヴァース・カルー卿役の福井貴一。劇中の好きなナンバーを聞かれた福井は、「まだ聞いたことないんやけど、これはええ歌詞やなと。あれなんて曲?」と石丸に質問。「『知りたい』。これから歌うから聞いてください」と石丸が返すと、「あっ、このあと歌うの?結構いい振りになったんちゃう?」と笑い、ドッと会場を沸かせた。その流れでまずはルーシーのソロナンバー「あんなひとが」を笹本が熱唱。さらに福井イチ押しの「知りたい」を石丸が圧巻の歌声で披露すると、会場は大きな拍手に包まれ、オーディエンスの中には目頭をおさえる者までいた。ミュージカル『ジキル&ハイド』は3月3日(土)から18日(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。また3月24日(土)・25日(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、3月30日(金)から4月1日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは現在発売中。取材・文:野上瑠美子
2018年01月31日