『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』(公開中)の公開記念舞台挨拶が2日に都内で行われ、石丸幹二、芳根京子、かが屋(加賀翔・賀屋壮也)、ドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、今井一暁監督が登場した。同作は『映画ドラえもん』シリーズの第43作目で、藤子・F・不二雄生誕90周年となる記念すべき年の公開となる。“音楽”という身近なものをテーマに、地球の危機を救うべく、ドラえもんたちが壮大な物語を繰り広げる。ドラえもんとのび太たちが素敵な仲間と出会い、“音楽”を通じて心を通わせ、新たなハーモニーを生む大冒険となる。○■『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』舞台挨拶にゲスト声優たち登場同作にゲスト声優として参加した石丸。「僕も実は学生の頃から音楽の勉強をずっとしてきた人間なんですけども、改めて音楽って人の心をつなぐんだなと実感しまして」としみじみ。「『題名のない音楽会』という番組で司会者をしているんですが、来週の土曜日に『地球交響楽』の特集をします。芳根京子ちゃんもフルートを吹きました」と紹介した。芳根は「まさか自分が出させていただけることになる日が来るなんて、本当に夢のようで。スケジュールに入ってるのを見た時にびっくりしちゃって。『どういうこと?』と思ったんですけども、あの本当に収録に参加させていただきまして、本当に幸せでした」と喜ぶ。「素晴らしい美しい音色を聴かせていらっしゃいます」と太鼓判を押した。また「これから究めたいものは?」という質問には、石丸が「芳根京子さんのフルートの音が素晴らしくて、僕も吹いてみたいなと思いました。京子さんの音に触発されましたので、夢ですけど、フルートを吹く!」と回答。ドラえもんは「石丸さん、サックスも吹けてお歌も歌えて、次フルートに挑戦!?」と驚く。芳根は「小学校の頃から吹奏楽をやっていました。ペットボトルを当ててふ〜っとやると音が出るのと、同じ原理なんですよ。瓶でもペットボトルでも筒状のものを口にあてて吹く練習をしてました。あれが出れば音は出ます!」とアドバイスをしていた。
2024年03月02日今年60周年を迎える日生劇場の9月公演ミュージカル『ラグタイム』が、9月9日(土)から開幕。それを前に、出演する石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、EXILE NESMITHがゲネプロに臨み、意気込みを語った。『ライオン・キング』『キャバレー』といった名作が激戦を繰り広げた1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネート、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞したミュージカル。20世紀初頭のニューヨークを舞台に、ユダヤ人、黒人、白人にルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする。石丸が演じるのは、娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人・ターテ役。ブロードウェイでの初演を観劇して以来「この作品を日本で上演し、それに出演することが夢でした」と深い思い入れを示し、「こうして夢が叶い、非常にうれしいと同時に、お客様の反応に期待と不安が入り交じった状況」と率直な気持ちも明かした。日本初演の演出に挑む藤田俊太郎については、「こうしたいという思いと、あなたならどうしますかという受け取りのキャッチボールが密で柔軟」と評し、「大きなテーマは、つながりと愛。ぜひお客様に届けられれば」と話していた。新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニスト・コールハウス・ウォーカー・Jr.役の井上は、「さまざまな人種を、いかに自分たちなりに表現できるか模索している。見た目や、分かりやすい記号ではなく、文化や動作、その人となりで表現できれば」と語り、「日本のミュージカル界にとって、大事な作品になると思うので、ぜひ、勇気が湧くトライアルの証人になってもらえれば」とアピールする。安蘭は、正義感にあふれ人種の偏見を持たない、裕福な白人家庭の母親・マザーを演じ「このカンパニーでしか作れない『ラグタイム』が誕生すると思う」と自信のコメント。差別が色濃く残る時代において慈善活動をはじめ、教育者や作家として活動したブッカー・T・ワシントン役に挑むNESMITHは、「このお三方と一緒に立っているのが、信じられない」と武者震いし、「台詞やシチュエーション、葛藤の先に、自分の父親や自分のルーツがあるのかなと重ね合わせながら、稽古していた。この作品は忘れられない歴史の一部」だと、しみじみ語っていた。取材・文・撮影:内田涼<公演情報>ミュージカル『ラグタイム』脚本:テレンス・マクナリー歌詞:リン・アレンズ音楽:スティーヴン・フラハティ演出:藤田俊太郎【キャスト】石丸幹二:ターテ井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr安蘭けい:マザー遥海:サラ川口竜也:ファーザー東啓介:ヤンガーブラザー土井ケイト:エマ・ゴールドマン綺咲愛里:イヴリン・ネズビット舘形比呂一:ハリー・フーディーニ畠中洋:ヘンリー・フォード&グランドファーザーEXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン新川將人、塚本直井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博【東京公演】2023年9月9日(土)~30日(土)会場:日生劇場【大阪公演】2023年10月5日(木)~8日(日)会場:梅田芸術劇場 メインホール【愛知公演】2023年10月14日(土)~15日(日)会場:愛知芸術劇場 大ホールチケット情報公式サイト
2023年09月09日ミュージカル『ラグタイム』の公開稽古が23日に行われ、石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、藤田俊太郎(演出)らが登場した。同作は20世紀初頭のニューヨーク、アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代を舞台に、ユダヤ人、黒人、白人とそれぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする姿を描く。1998年にトニー賞ミュージカル部門において13部門にノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門受賞、今回が日本初演となる。石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、遥海、川口竜也、東啓介、土井ケイト、綺咲愛里、舘形比呂一、畠中洋、EXILE NESMITHらが出演する。演出の藤田は「この作品の深いテーマを追い求めて稽古しています」と話し、まず公開されたのは劇中の幕開きを飾りカンパニー全員で歌う「Ragtime」。石丸が演じるユダヤ人たち、井上が演じる黒人たち、そして安蘭が演じる白人たちが、時代を捉えた音楽・ラグタイムに乗せて、一触即発の気配の中、重層的なハーモニーを繰り広げる。2曲目は「The Getting’ Ready Rag」(井上、遥海、アンサンブル)。気鋭の若き黒人ピアニスト、コールハウス・ウォーカー・Jr.(井上)が、黙って出て行った恋人・サラ(遥海)への想いを歌うところに、同胞たちが次々と集まってくる。情熱的かつ迫力のダンスシーンが繰り広げられる中、コールハウスは仲間たちに励まされ、愛するサラとよりを戻すために生まれ変わろうと努力し、サラに見直してもらうためにも"夢の象徴"でもあるヘンリー・フォードの新車・モデルTを買うことを決意する。稽古の歌い出しでは、井上がセリフを噛んでしまい、周囲のキャストが歓声ではやし立てるなど、和気あいあいとした空気が流れていた。3曲目は「Wheels Of a Dream」(井上芳雄、遥海)。コールハウスとサラが、2人の間に生まれた息子・リトルコールハウスの輝く未来と幸せを願い、黒人にとっての理想の世界を目指そうと2人が誓う、同作を代表するビッグナンバーのひとつだという。2人の歌声には、そばで見ていた安蘭も思わず涙し、自分の出番を前に目元を拭っていた。最後は第2幕で歌われる「Our Children」(石丸幹二、安蘭けい)。石丸演じるターテと、安蘭演じるマザーの運命的な出会いから数年が経ち、再会した時のナンバーで、それぞれの子供たちが仲良く遊んでいる様子を通して、ひと時の幸福を感じながら、ターテとマザーが心の深い部分でつながっている姿を見せる。東京公演は日生劇場にて9月9日〜30日、大阪公演は梅田芸術劇場 メインホールにて10月5日〜8日、愛知公演は愛知芸術劇場 大ホールにて10月14日〜15日。
2023年08月23日今年60周年を迎える日生劇場の9月公演ミュージカル『ラグタイム』の製作発表会見が7月24日、都内で行われ、出演する石丸幹二、井上芳雄、安蘭けいに加えて、演出を担当する藤田俊太郎が出席した。物語は20世紀初頭のニューヨーク。アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代。ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする。1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネート、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞した伝説的ミュージカルだ。石丸が演じるのは、娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人・ターテ役。この物語の中心を担う役どころだ。ブロードウェイでの初演を実際に目にしたといい、「音楽のパワーに乗って、心が動いていった。いつか日本で(上演の機会が)来ないかなと願っていた」と振り返り、「オファーをいただき、非常に興奮しました」と20数年越しの願いの実現に、喜び爆発。舞台は100年以上前だが、「今でもAIが席巻したり、新しい物を乗り越えていかないといけないのは変わらない。どんな夢をもって戦っていくのかを問いかける社会派ミュージカルになれば」と意気込んだ。石丸幹二新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニスト・コールハウス・ウォーカー・Jr.役の井上は、「8月いっぱいまで(帝国劇場で)『ムーラン・ルージュ!』で、9月頭にはこちら。おかしなスケジュールですが(笑)、この夏は燃え尽きるつもりで、日々、本番と稽古に励んでいる」と闘志メラメラ。安蘭は、正義感にあふれ人種の偏見を持たない、裕福な白人家庭の母親・マザーを演じ、「女性なら誰しも演じたい役」と魅力を語った。井上芳雄安蘭けい日本のミュージカル界を代表する3人だが、同じミュージカル作品で共演するのは、これが初めて。石丸は「いまだかつてないこと。どんな“うねり”が生まれるのか楽しみ」と興奮しきりだ。石丸と同じ東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業している井上は、「石丸幹二になるために頑張ってきた。背中を追っている、ずっと憧れの先輩」と敬意を示し、「やっとご一緒できる。今まで石丸さんサイドに断られていたんじゃないかって(笑)」と初共演に期待を膨らませた。安蘭は『スカーレット・ピンパーネル』『蜘蛛女のキス』で石丸と共演しており、「尊敬しておりますし、絶対的な信頼感と安心感がある」。井上とは、『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』以来の共演で、「ミュージカルは初めて。どうなるかとても楽しみです」と話していた。演出の藤田は「震えるような思い」と本公演に関わる思いを語り、「少しずつ稽古が進むなかで、キャストの皆さんの素晴らしさ、スタッフの熱量に震えています。一つの作品で、これだけ震えるなんて。きっと初日には、また震えが来るはず。こんなに興奮できることはない」と文字通り、武者震いしていた。藤田俊太郎(演出)取材・文・撮影:内田涼<公演情報>ミュージカル『ラグタイム』脚本:テレンス・マクナリー歌詞:リン・アレンズ音楽:スティーヴン・フラハティ演出:藤田俊太郎【キャスト】石丸幹二:ターテ井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr安蘭けい:マザー遥海:サラ川口竜也:ファーザー東啓介:ヤンガーブラザー土井ケイト:エマ・ゴールドマン綺咲愛里:イヴリン・ネズビット舘形比呂一:ハリー・フーディーニ畠中洋:ヘンリー・フォード&グランドファーザーEXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン新川將人、塚本直井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博【上演日程】2023年9月9日(土)~30日(土) 東京・日生劇場2023年10月5日(木)~8日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール2023年10月14日(土)~15日(日) 愛知・愛知芸術劇場 大ホールチケット情報公式作品HP:
2023年07月24日ミュージカル『ラグタイム』の製作会見が24日に都内で行われ、石丸幹二、井上芳雄、安蘭けい、藤田俊太郎(演出)が登場した。同作は20世紀初頭のニューヨーク、アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代を舞台に、ユダヤ人、黒人、白人とそれぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする姿を描く。 1998年にトニー賞ミュージカル部門において13部門にノミネートされ、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門受賞、今回が日本初演となる。同作をブロードウェイで観て以来、出演を切望していたという石丸は「オファーを受けた時は大変興奮いたしました。1998年か99年くらいで、当時『ライオン・キング』などいくつかの名作が上がってる黄金期、どれもこれも全く自分の浴びたことのないものを劇場から浴びている、この幸福の中で唯一『ラグタイム』だけは出てみたいと思ったんですよ」と明かす。理由としては「やはり音楽でした。よくよく見るとアメリカの歴史の物語ですし、いろんな人種によっていろんなことが起こっているんですけど、それを超えてくるのが音楽のパワーで、外国人である私たちもなぜかその音によって心動いていくわけなんです。よその国の話ですけど、これを日本でやったら皆さんどのような反応をするんだろうとまず思いました」と熱弁した。共演については、安蘭が「幹二さんの稽古場でのスタイル、あり方を尊敬していますし、舞台上でも信頼を感じて、絶対的な安心感がある」と絶賛。石丸は「この3人が集まるということは未だかつてなかったので、ド・ミュージカルという作品でどんな効果が生まれてどんなうねりがあるのか、僕も非常に楽しみ。とうこちゃん(安蘭)とは2作一緒にやってるので、今回は大人の男と女の関係で素敵なシーンが生まれてくるだろうなというイメージが強く沸きます」と期待を寄せた。今回の演出プランについては、「3つの人種のユダヤ、黒人、白人と出てきますので、どう表現を分けながら融合していくかが演出のテーマ」と藤田。井上が「本来の肌の色を演じるけど、そういう外見の変化ではやらないんですよね」と尋ねると、「衣装で分けるということで、お客様には明確にわかるように。衣装だけではなくて、いろんな仕掛けでお客様にわかりやすく渡していく」と練っている様子。実際に振付師から「ユダヤらしい動き」を入れられているという石丸も「振り付けと身体表現も。俳優がそんなにたくさん出るわけじゃないので、どんどん役が変わっていくんです。そこで出てきたときに、その人がその人種の動きをすることによって、今は移民なんだとか。白人の役を演じているんだってことが明確にわかるように、仕分けている」とあ説明した。最後に挨拶を求められると、安蘭は「今、多様化と謳われている時代ですけれども、実はそこにはまだまだ人種差別、区別みたいなものがある。もう1回改めて考え直せる機会になるような作品になればいいなと思っています」とメッセージ。石丸は「(今回演じる)ターテという役がすごくチャップリンと被るんですね。100年ぐらい前に起こったことなんですけれども、すごく身近に感じております。そして今やAIが世の中を席巻してきて、当時もみんな新しいものに翻弄されながら、なんとかそれを乗り越えたけど、私たちにもまた今回同じことが来て、我々も乗り越えなくちゃいけない。どうやって乗り越えるのか、どんな夢を持って、どうやって戦うのかみたいなことを、今回この作品で提示していくと思うんです。ですから、他人事では全然なくて、国は違いますけれども、世の中で起こっていることとすごく向き合った作品を、今皆様に投げかける、社会派ミュージカルだと思います」と語った。
2023年07月24日「いろいろな作品のお話をいただくたびに、『僕でいいのだろうか?』と思い悩むのですが、今回は演出家の石丸さち子さんとまたお仕事ができることが自分のなかではとても大きなことでした。『この人を信じてついていけば大丈夫だ!』と思っているので、精一杯、頑張ります!」7月8日に幕を開た舞台『オイディプス王』で主人公のオイディプスを演じる三浦涼介(36)。近年、彼が出演した舞台『マタ・ハリ』『フィスト・オブ・ノーススター』で演出を担当した石丸との再タッグに強い意欲を見せた。というのも石丸は、三浦が「お芝居のお仕事で初めて楽しいと思えた」という蜷川幸雄のもとで演出助手を務めた経験を持ち、蜷川さんの稽古で味わった感覚と同じものを感じた人。「蜷川さんの作品に出させていただいたとき、お稽古中、僕の芝居を見て、『お前は一人で寂しく生きていたんだな』と仰ったことがあったんです。そのときにこの人に何か伝わっているんだという確かなものを感じたんです。そして、その後に石丸さんとご一緒したとき、同じように僕の芝居に涙を流してくれて、蜷川さんへと同じような感情を抱きました。」近年は、『ロミオ&ジュリエット』『エリザベート』『メアリ・スチュアート』なども含む舞台を中心に活動している三浦だが、ギリシャ悲劇に挑戦するのは本作が初。しかも、『オイディプス王』といえば、紀元前より約2500年にわたって世界の観客を魅了し、日本でも幾度となく上演されてきたギリシャ悲劇の最高傑作だ。「僕自身、ギリシャ悲劇はとても遠い存在で、役者としての技量も、僕の力ではとても及ばないと思っていました。でも、今回は石丸さんから『あなたに近い王を演じなさい。あなたらしさを出せばいい』と言われてお稽古をスタートさせたこともあって、ある意味、自分というものを初めて知る作品になるだろうなと思っています。裸になるような気分ですね(笑)」三浦涼介らしいオイディプス王とはどんな人なのだろうか。「人との距離が近い人というのかな。オイディプスは王だからと権威の象徴として存在するのでなくて、人に寄り添うような姿が見えてもいいと思っています。この数年、僕自身、すごく悲しいことと向き合わなきゃいけないことが多かったので、この作品で描かれている不条理さと何か通ずるところがあるような気がして。過酷な運命を背負ったオイディプスに自分を重ねることもあります」開幕まで約1ヶ月は「とても苦労した」と明かすいっぽうで、「できる限り悩みまくるのが自分に合っているような気がする」とも。「基本的にどんな作品でも苦悩するんです。本当にスロースターターですし、共演者からも『何をそんなに悩んでいるの?』って言われることもあるくらい悩み症で(笑)。でも、ギリギリのところにいないとダメで、一個一個、自分で積んでいく作業をしないと自信が持てない。これはもう昔から変わらなくて。役があるから話せたり、強くなれたり、楽しい思いをさせてもらったり、いろんな場所に連れていってもらえるというのがあって、だからこそ、役を理解して役としてステージに立ちたいという思いがすごく強いんだと思います」俳優デビューは’02年。『3年B組金八先生』『仮面ライダーオーズ/OOO』などに出演し、若くして注目されたが、俳優の仕事はすぐに辞めると思っていたという。「20年後の自分がこんなにもお芝居に没頭しているなんて、当時は想像もしていなかったですね。ただ、僕には常に導いてくれる人がいて、『次はこういう作品をやってみたら』『こういう演出家とやってみれば』とレールを敷いてくれた。それが今、その導きがなくなってしまって、初めて自分で探した道を進むという経験をしています」そう語る三浦に「その導いてくれた人は誰か?」と尋ねると、4年前に亡くなった母親がそういう存在だったと明かした。「どうしたらいいのかわからなくなってしまうこともありましたが、仕事を続けていることで心が休まるときもあって……。でも、おかげさまで、というか、自分を支えてくれる周りの人たちの存在に改めて気づくことができました。若いころから芸能界に入って、誰かが手を差し伸べてくれるのが当たり前で生きてきてしまったから、自分のそばにこんなに素敵な、優しい人たちがいっぱいいるんだと気づけたことはすごくよかったと思います」また、役者として演劇の世界で成長してきた彼にとって、蜷川幸雄も導いてくれた人の一人。「『わたしを離さないで』(’14年)という作品で蜷川さんに出会いました。当時は、この舞台が終わったら、芸能界を引退しようと思っていたのですが、蜷川さんと仕事をしていくなかで、『もっと蜷川さんと仕事がしたい』『もっとこの人を喜ばせたい』という思いが強くなって、それで結局、役者を辞めずに今がある。この仕事をしていると、たくさんの人と出会えるけれど、そのぶん別れも多い。内向的な性格ですが、いったん心を開くととことんだったりもするので、人との別れは本当に辛いんですよ。でも、だからと言って、先のことを考えていてもしょうがない。今、目の前にいる人と、目の前にあるものと精一杯向き合うことが大切だと思っています」そんな三浦にとって癒やされるときは?「わんちゃんと一緒にいるときですね。僕が20代前半のころに大阪で出会って、ペットショップから新幹線で連れてきたんですよ。もう13歳になりますが、その子の存在が癒しですね」(ヘアメイク:春山聡子/スタイリング:村瀬昌広)【公演情報】パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念『オイディプス王』<東京公演>2023年7月8日(土)〜7月17日(月・祝)パルテノン多摩大ホール<兵庫公演>2023年8月19日(土)兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
2023年07月12日パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念として、ギリシャ悲劇の最高傑作『オイディプス王』が登場する。この作品に関わった経験を持つ石丸さち子が演出を手がけ、その石丸がオイディプスに三浦涼介を抜擢。三浦と石丸の思いによって、新しいオイディプスが作られようとしている。転機となった『マタ・ハリ』での出会い──三浦さんがタイトルロールを演じられる『オイディプス王』。石丸さんには演出する思いを、三浦さんには出演する思いを、それぞれ聞かせてください。石丸プロデューサーから『オイディプス王』をやりませんかというお話をいただいて、私はまず、ギリシャ悲劇というと様式的に演出されることが多いけれども、リアルに捉えてみたいと思ったんです。過酷な運命を背負ったオイディプスというひとりの人間が、その運命とどう向き合い、受けとめていくか。言ってみれば自分探しの旅のような物語ですから、今につながるものとして演出したいと。『オイディプス王』メインビジュアル。オイディプス:三浦涼介、イオカステ:大空ゆうひ、クレオン:新木宏典(荒木宏文改め)これまで、役者としてコロス役で一度、蜷川幸雄さんの演出助手として二度、『オイディプス王』に参加してきた私としては、そうすることで過去の記憶を覆し、新しい演出ができるのではないかと思ったんです。そしてそのためにも、三浦涼介さんでやりたいと思いました。ちょうどそのとき、『マタ・ハリ』(’21年)という作品で初めてお仕事をさせていただいていて。彼となら新しく、すぐそこにある物語として演出できると思ったんです。三浦僕のほうはもう、作品の名前よりも何よりも、石丸さち子さんとまたお仕事ができるというところに惹かれ、とにかくこの人についていきたいという思いでした。というのも、いつも「これでいいんだろうか」と悩みながらやってきたなかで、その『マタ・ハリ』では、「この人を信じてついていけば大丈夫だ」という思いで進んでいけたんです。それは、蜷川幸雄さんのお芝居に出演させていただいたときに抱いた感情と似ているのですが。石丸さん演出のミュージカル『マタ・ハリ』(2021年)より、アルマン役を演じる三浦さん撮影:岡千里/写真提供:梅田芸術劇場僕の芝居を観て石丸さんが涙を流してくれたときに、「伝わっているんだ」という明確な何かが感じられて、「お芝居が楽しい。もっとやりたい」と思えたり。ミュージカルの歌の表現もいつも不安で怖かったんですが、石丸さんの演出によって、歌もひとつのお芝居であると勇気づけられたり。石丸さんと出会って、学べたことや、これまでにない思いになることが、たくさんあったんです。三浦さんを通して、生きることの凄まじさに胸打たれた──稽古が始まって、その新たな演出の手応えはいかがでしょう。石丸さんは SNS() に、「かつて色んな形で複数回この素晴らしい戯曲に関わってきただけに、新たに読み解けるか一抹の不安があったが、三浦君と稽古初日を過ごしただけで、雲散霧消した。 初めて向き合っている感覚」と書かれていましたね。石丸初日の本読みで三浦さんは、台本に書いてあることにまっすぐ反応し、オイディプスという人間を、リアルに体験してくれたんです。知らずして父を殺し、母と交わるというオイディプスの運命に、物語のなかの出来事としてではなく、本当に自分のこととして出会っていってくれた。その姿を見て私は、人間はなんと不条理ななかで生きているんだろう、こんな運命を背負ってしまった人間はどれほどの辛さを抱えているんだろうと、涙が止まらなくなって。別に泣くことがいいとは思っていないんですけれども、三浦さんを通して、生きることの凄まじさに深く胸打たれたんです。今までは、この登場人物がひとりの人間であるということを想像する力が欠けてたのではないかと、新たに『オイディプス王』と出会った思いにもなりました。と同時に、こんなに人間という存在をえぐり出して描いている作品に最近出会っていないかもしれないなと、2500年前に書かれていながらずっと今日まで生き続けているこの作品の力も実感して。すばらしい稽古のスタートラインを切れたと思っています。──三浦さんはどんな思いで本読みに臨まれていたのですか。三浦初日はやっぱり緊張するんです。石丸さんがいらっしゃる安心感がどこかにありながらも、キャストもスタッフも初めましての方ばかりなのでなおさら。でも、オイディプスが出会っていくことが、悲しいものと向き合わなきゃいけないことが多い今とどこか通ずる部分があったり、三浦涼介としても何かわかってしまう部分があったりして。そういうところが自分を先に進めさせてくれたというか、最後まで気持ちが途切れずに歩めたかなとは思います。ただ、最初は本当に素直に読みましたが、難しい台本ですからここから稽古を重ねていろんなことを学び、知っていったあと、もう一度あの素直なところに戻れるのかなという不安もあります。石丸不安に思うことはないです!理解して再構築していくのが稽古であり、俳優のやることは基本嘘ですけれども、いくら嘘でやろうとしても、演劇の本番って、真実を、素直を呼んでくる力があって。何より、三浦さんは心が動いたときに、私が想像もしていなかったような素敵な発見をする人で、演出としてはそこに持っていきたいと思っていますから、不安に思わないでください。三浦ありがとうございます(笑)。「言葉」との闘いの先にある、リアルなオイディプス王を──三浦さんが難しい台本だとおっしゃっていましたが、確かに膨大な言葉によって紡がれていて、表現するのは大変そうです。三浦大変だということもわからなくなるくらい大変です(笑)。大変と言っている場合でもないというか。でも、石丸さんが、この言葉を発するときにはどう思っているのかということを、こと細かく教えてくださっているので、それがありがたいです。石丸今回は現代劇と同じように、なぜこの言葉が出てきたんだろうというところから読み解いているんです。ミステリーの要素もあるので、起こったことをきちんと伝えるためには、そういう心理だけではなく、どの言葉を立たせるかといったことも必要で、俳優は本当に大変ですが。でも、三浦さんは、理解して心が動けば言葉が出てくるので。三浦気持ちが入っていると出てくるんですけど、考えてしまうとわからなくなるんです。だから、言葉にとらわれていると、相手に気持ちを渡せないし、相手からも受け取れないので、そこは本当に頑張らなきゃいけないんですけど。でも、石丸さんについていけば大丈夫だと思っています。石丸早くに俳優をやめた私には、オイディプスを演じるのがどういうことなのかよくわからないくらい大変なことだと思います。でも、三浦さんのオイディプスは、苦悩することが美しくなると思うんです。俳優を目指していた大学時代、どういう人が俳優になれるのかと教授に聞いたことがあって、こう言われたことを記憶しています。この世界で起きるどうしようもないことに喜んだり悲しんだりしている現実の人間の雛型に自分の身体を使ってなれる人、それを現実より少し美しく表現できる人が俳優になれるんだよと。三浦さんはまさしくその条件を持っている人だと思います。これだけつらい人間の悲劇を観てカタルシスを覚えるところにギリシャ悲劇の醍醐味はあると思いますが、今回は、それをリアルに感じていただけると思っています。自分の運命を知ったときのオイディプスの選択に、様式で演じるときの強さとはまた違うものを私自身も感じているんです。三浦僕も悲劇というところにとらわれていましたが、決してそれだけではないなと思っていて。最後には希望を持って帰っていただけたらな、そこにたどり着きたいなと思っています。取材・文:大内弓子撮影:塚田史香ヘアメイク:春山聡子スタイリング:村瀬昌広ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント★三浦涼介さんのサイン入りポラを1名様にプレゼント!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<公演情報>パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念『オイディプス王』【演出】石丸さち子【出演】三浦涼介大空ゆうひ新木宏典浅野雅博 外山誠二 吉見一豊 今井朋彦悠未ひろ 大久保祥太郎 相馬一貴 岡野一平 津賀保乃 林田航平 小田龍哉 丸山厚人 福間むつみ皆川まゆむ 笠井瑞丈 鷹野梨恵子 嶋崎綾乃 モテギミユ 栗朱音 藤村港平【東京公演】2023年7月8日(土)~2023年7月17日(月・祝)会場:パルテノン多摩 大ホール【兵庫公演】2023年8月19日(土)会場:兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールチケット情報ぴあアプリでは三浦涼介さんのアプリ限定カットをご覧いただけます。ぴあアプリを ダウンロード(dpia-app://contentAll?contentId=f24b26d7-2aa2-42b4-bc3a-4eeffd7fd25c&contentTypeId=2) すると、この記事内に掲載されています。
2023年06月30日石丸幹二と柿澤勇人がWキャストを務めるミュージカル『ジキル&ハイド』が、3月28日(火) まで東京国際フォーラム ホールCにて上演中だ。2001年の日本初演から8度目の上演となる今回の公演では、鹿賀丈史の跡を継ぎ4度目のタイトルロールを演じる石丸幹二が有終の美を飾り、そして新生ジキル / ハイドとして柿澤勇人がそのバトンを受け取り、ミュージカル界屈指の難役にWキャストとして挑む。演出は、日本初演より本作を手掛けてきた山田和也が務める。ジキル役:柿澤勇人ジキルとハイドの間で揺れ動きながらも破滅的な運命を辿る娼婦のルーシー役に、『メリー・ポピンズ』のタイトルロールを演じた笹本玲奈と、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で、退団後も抜群の歌唱力を武器に目覚ましい活躍を続ける真彩希帆。そしてジキルの婚約者で彼を一途に信じ、支え続けるエマ役に、本作でグランドミュージカル初出演となるDream Amiと、乃木坂46在籍時からその演技力・歌唱力に定評があり、卒業後も多くのミュージカルで着実なステップアップを見せる桜井玲香が演じる。左から)ルーシー役:真彩希帆エマ役:桜井玲香左から)エマ役:Dream Amiルーシー役:笹本玲奈そのほか、ジキルの親友でストーリーテラーでもある弁護士アターソン役は、『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役をはじめ確かな歌唱力で数多くのミュージカルに出演してきた石井一孝と、『リトルマーメイド』エリック役で日本オリジナルキャストを務めた上川一哉。エマに想いを寄せ、ジキルと対立するストライド役に、2011年の石丸版初演より同役を演じるベテラン畠中洋。研究にのめり込んでいくジキルを心配しながらも支える執事プール役を、紀伊国屋演劇賞や読売演劇賞に名を連ねる佐藤誓。そしてエマの父親で病院の理事であるダンヴァース卿を栗原英雄、と日本ミュージカル界屈指の強力な布陣が集結した。左から)ジキル役:石丸幹二アターソン役:石井一孝上演時間は25分の休憩を含む約2時間55分。東京公演は3月28日(火) まで上演。その後、4月8日(土)・9日(日) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール、4月15日(土)・16日(日) 山形・やまぎん県民ホール、4月20日(木)から23日(日) にかけて大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。<コメント>■山田和也(演出)ブロードウェイで『ジキル&ハイド』を観劇したのは1998年、日本版の初演は2001年でした。それから自分でも驚くような年月が流れたのですが、つい昨日のことのように感じる時もあったりします。気がつけば「私の演出家生活の中でもっとも長くつき合っている作品」になっているのですが、だからと言って今さら気負うということもなく……。いつも通り、平常心です。今回で8度目の上演になるのですが、上演の度に新たな発見や気づきのある作品です。特に今回は「初参加となるキャスト」が多いので、その分「新しい解釈」「新しい表現」が稽古中にも随所に見られて、とてもスリリングな体験でした。物語前半の「ジキルと(その友人の)アターソンの友情」を今まで以上にしっかりと描いてみたくなったのですが、その結果その先のストーリーの見え方が変わったり……。新たな発見のひとつです。初演以来20年を経ても色褪せることのない……どころか一段と輝きを増す『ジキル&ハイド』。その魅力を「ぜひ全身で」浴びにいらしてください。劇場でお待ちしています。■石丸幹二(ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役)私にとりまして最後の『ジキル&ハイド』、幕が開くのが楽しみです。今回でラストとなる稽古では、過去10年のアルバムを繰るような思いになるのかと思って臨みましたが、実際は、今回はこうしよう、といった新たなチャレンジが噴出。加えて、『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演しながらの稽古でしたので、自分への課題をクリアするのに精いっぱい。まだまだ感慨に浸る余裕はないようです。5年前の前回のジキルは色に例えるとグレーからスタートしましたが、今回は冒頭、真っ白でいたいと思います。それが理事会で受けた衝撃やダンヴァース邸での人々とのやりとりによって、自分の中の黒いものが滲み出していく。徐々にグレーが増したところで〈時が来た〉を迎える、そんな作り方になったかな。歳を重ねたことにより、人間のさまざまな側面についてのストックも増えたはず。存分に出し切りたいと思います。この10年、真摯に向き合ってきました。私にとってのラストステージは、新たなキャストを多く迎え、さらに新鮮味が増し、魅力に溢れています。お楽しみください。■柿澤勇人(ヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役)今回が僕にとって初めての挑戦となります。『ジキル&ハイド』は既に繰り返し上演されている作品ではありますが、稽古の中では自分なりの解釈やアイデアを提案させていただいたりと、役者としてとても楽しい時間でした。演出の山田和也さんをはじめ、スタッフの皆さんに感謝しています。この作品はとてつもなくエネルギーを要するフランク・ワイルドホーンさんのミュージカルナンバーがありますので、その素晴らしさも物語と併せてお伝えしなければならないという課題に日々、向き合った稽古の時間でもありました。そして、これほどまでに身体と心、そして喉を酷使するとは、思ってもいませんでした。初演の鹿賀丈史さん、2代目の石丸幹二さんがこの作品をお1人で務められていたことが、今でも信じられません。人間の二面性を体現するということが、それほど果てしない道なんだと感じています。そして、その先に見えるものが何なのか、今はまだ僕もわかっていませんが、それを楽しみに、自身の実験が成功するよう、日々頑張りたいと思います!劇場でお待ちしております。<公演情報>ミュージカル『ジキル&ハイド』『ジキル&ハイド』ビジュアル【東京公演】2023年3月11日(土)~3月28日(火)会場:東京国際フォーラム ホールC【愛知公演】2023年4月8日(土)・9日(日)会場:愛知県芸術劇場 大ホール【山形公演】2023年4月15日(土)・16日(日)会場:やまぎん県民ホール【大阪公演】2023年4月20日(木)~4月23日(日)会場:梅田芸術劇場メインホールチケット情報はこちら:
2023年03月23日ミュージカル『ジキル&ハイド』の公開ゲネプロが11日に東京・東京国際フォーラム ホールCで行われ、石丸幹二、笹本玲奈、Dream Ami、石井一孝らが登場した。同作はR.Lスティーブンソンによる小説のミュージカル化作。19世紀のロンドンを舞台とし、医師・科学者のヘンリー・ジキル(石丸幹二/柿澤勇人)が、「人間の善と悪の両極端の性格を分離する」という研究のもと作り上げた薬を自ら飲むことで、エドワード・ハイドという残忍な人格が生まれ、一つの身体に宿った二つの魂が死闘を繰り広げることとなる。2012、2016、2018年に引き続き、今回の4演目にしてファイナルとなる石丸幹二と、今回の2023年より新たに参加する柿澤勇人を迎え、11日より開幕。さらにジキルとハイド、双方と関わっていくこととなる娼婦ルーシー(笹本玲奈/真彩希帆)、ジキルの婚約者エマ(Dream Ami/桜井玲香)、エマの父親であるダンヴァース卿(栗原英雄)、病院の秘書官のストライド(畠中洋)、ジキルの執事プール(佐藤誓)らが出演する。東京公演は東京国際フォーラム ホールC にて3月11日~3月28日、名古屋公演は愛知県芸術劇場 大ホール にて4月8日〜9日、山形公演はやまぎん県民ホールにて4月15日〜16日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて4月20日~23日。○石丸幹二 コメント私にとりまして最後の『ジキル&ハイド』、幕が開くのが楽しみです。今回でラストとなる稽古では、過去10年のアルバムを繰るような思いになるのかと思って臨みましたが、実際は、今回はこうしよう、といった新たなチャレンジが噴出。加えて、『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演しながらの稽古でしたので、自分への課題をクリアするのに精いっぱい。まだまだ感慨に浸る余裕はないようです。5年前の前回のジキルは色に例えるとグレーからスタートしましたが、今回は冒頭、真っ白でいたいと思います。それが理事会で受けた衝撃やダンヴァース邸での人々とのやりとりによって、自分の中の黒いものが滲み出していく。徐々にグレーが増したところで「時が来た」を迎える、そんな作り方になったかな。歳を重ねたことにより、人間のさまざまな側面についてのストックも増えたはず。存分に出し切りたいと思います。この10年、真摯に向き合ってきました。私にとってのラストステージは、新たなキャストを多く迎え、さらに新鮮味が増し、魅力に溢れています。お楽しみください。○柿澤勇人 コメント今回が僕にとって初めての挑戦となります。『ジキル&ハイド』は既に繰り返し上演されている作品ではありますが、稽古の中では自分なりの解釈やアイデアを提案させていただいたりと、役者としてとても楽しい時間でした。演出の山田和也さんをはじめ、スタッフの皆さんに感謝しています。この作品はとてつもなくエネルギーを要するフランク・ワイルドホーンさんのミュージカルナンバーがありますので、その素晴らしさも物語と併せてお伝えしなければならないという課題に日々、向き合った稽古の時間でもありました。そして、これほどまでに身体と心、そして喉を酷使するとは、思ってもいませんでした。初演の鹿賀丈史さん、2代目の石丸幹二さんがこの作品をお1人で務められていたことが、今でも信じられません。人間の二面性を体現するということが、それほど果てしない道なんだと感じています。そして、その先に見えるものが何なのか、今はまだ僕もわかっていませんが、それを楽しみに、自身の実験が成功するよう、日々頑張りたいと思います!劇場でお待ちしております。○演出:山田和也 コメントブロードウェイで『ジキル&ハイド』を観劇したのは1998年、日本版の初演は2001年でした。それから自分でも驚くような年月が流れたのですが、つい昨日のことのように感じる時もあったりします。気がつけば「私の演出家生活の中でもっとも長くつき合っている作品」になっているのですが、だからと言って今さら気負うということもなく……。いつも通り、平常心です。今回で8度目の上演になるのですが、上演の度に新たな発見や気づきのある作品です。特に今回は「初参加となるキャスト」が多いので、その分「新しい解釈」「新しい表現」 が稽古中にも随所に見られて、とてもスリリングな体験でした。物語前半の「ジキルと(その友人の)アターソンの友情」を今まで以上にしっかりと描いてみたくなったのですが、その結果その先のストーリーの見え方が変わったり……。新たな発見のひとつです。初演以来20年を経ても色褪せることのない……どころか一段と輝きを増す『ジキル&ハイド』。その魅力を「ぜひ全身で」浴びにいらしてください。劇場でお待ちしています。
2023年03月14日7月よりパルテノン多摩・大ホールにて、パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念『オイディプス王』が上演されることが決定した。ソポクレス作の『オイディプス王』は、紀元前より2500年にわたり観客を惹きつけてきた世界最高峰と称されるギリシャ悲劇で、日本でもこれまで幾度となく上演されている。本公演では、かつて蜷川幸雄演出版で演出助手を務めた石丸さち子が演出を担当する。主演のオイディプス王には俳優、音楽活動と表現の場で常に輝きを放つ三浦涼介、先王ライオスの妻であり、オイディプスの母、後にオイディプスの妻となるイオカステに元宝塚歌劇団宙組トップスターの大空ゆうひ、イオカステの弟クレオンに話題作の舞台出演が続く荒木宏文、預言者テイレシアスに文学座所属の浅野雅博、神官・使者の二役に俳優、演出家とさまざまに才能を発揮する今井朋彦の出演が決定した。<キャスト・スタッフ コメント>■三浦涼介歴史あるこの「オイディプス王」という作品世界に足を踏み入れる事は恐さすら覚えます。過去の作品は錚々たる顔ぶれで身が引き締まる思いです。人生も役者としても未熟ではありますが真心を込めて演じます。石丸さんとの3度目の……新たな再会です。期待と希望に胸を膨らませてその時を楽しみに待ちます。魅力的な俳優の皆様。初めての共演の方々からもたくさんの事を吸収し、切磋琢磨し精進してまいります。この令和の時代に、この作品をどのように皆様のもとにお届けできるのか。是非ご覧になってください。■大空ゆうひ昨年の7月にリニューアルオープン企画の公演でパルテノン多摩の舞台に立ち、1年後にギリシャ悲劇で同じ劇場に出演する事に御縁を感じています。これまで三作の翻訳劇で石丸さんと御一緒していますが、古典作品で演出を受けるのは初めてです。過去に名優の方々が挑まれた大作に、石丸さんと実力派揃いの共演の方々と臨める事を楽しみにしており、精進していきたいと思っております。■荒木宏文この度出演させていただくことになり、とても光栄に思っています。悲劇というのは、演じる事での心の負担はとても大きいモノではあります。しかし、客観的に知ることのできるエンターテインメントだからこそ、観ていただいた方の心に伝わり、その痛みを理解し、教訓にしていただけるのではないかと考え、伝える意義があると思っています。その先の、その方の人生にとって同じような悲しみが生まれない事を祈りながら、真摯に作品と向き合い、お届けしたいと考えています。宜しくお願いします。■演出 石丸さち子『オイディプス王』の演出をとお話をいただき、タイトルロールに三浦涼介さんが決まった時から、よく知っていたはずの古典が、わたしの中で初めて出会う新しい物語として動き出しました。演劇は時代を映す鏡です。今を喜び、今に苦しみ、まさに今を生きる俳優が、苛酷な運命を背負った一国の王を、どう生きるのか。空と大地の間で短い人生を与えられた人間の生き様を、信頼する大空ゆうひさん、盤石の共演者とともに、丁寧に描いていきたいと思っています。<公演情報>パルテノン多摩リニューアルオープン1周年記念『オイディプス王』作:ソポクレス翻訳:河合祥一郎演出:石丸さち子出演:三浦涼介、大空ゆうひ、荒木宏文、浅野雅博、外山誠二、今井朋彦 ほか【東京公演】2023年7月公演会場:パルテノン多摩・大ホールチケット料金:9,000円(全席指定・税込)一般発売:2023年4月予定チケットはこちら:パルテノン多摩チケット 042-376-8181(10:00~19:00 休館日を除く)問合せ:042-375-1414(9:00~22:00 休館日を除く)【兵庫公演】2023年8月公演会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール公式サイト:
2023年02月21日2023年3月より上演されるミュージカル『ジキル&ハイド』の製作発表記者会見が12月20日、都内で行われ、主演のヘンリー・ジキル/エドワード・ハイド役の石丸幹二と柿澤勇人が出席。共演の笹本玲奈、真彩希帆、Dream Ami、桜井玲香、石井一孝、上川一哉、畠中洋、栗原英雄、演出の山田和也と共に登壇した。前列左から)演出の山田和也、出演のDream Ami、笹本玲奈、石丸幹二、柿澤勇人、真彩希帆、桜井玲香後列左から)上川一哉、石井一孝、栗原英雄、畠中洋ミュージカル『ジキル&ハイド』は、19世紀のロンドンを舞台に「人間の善と悪の両極端の性格を分離できれば、人間のあらゆる悪を制御し、最終的には消し去る事ができる」という仮説を立て、開発した薬で人体実験を試みようとするジキル博士と、彼を取り巻く人々の運命を描いた恐ろしくも美しい物語。2001年に鹿賀丈史主演で日本初演、そのパワフルな楽曲とスリリングな物語が話題を呼び、2003年・2005年・2007年と絶え間なく再演を重ねるほどの人気作に。石丸は2012年よりジキル役を務め、2016年の再演、2018年の再再演を経て今回が4度目の主演。そのバトンを引き継ぐ柿澤を新たに迎え、初演以来初めてジキル役Wキャストとなる2023年版で有終の美を飾る。ミュージカル『ジキル&ハイド』より、「時が来た」を披露する石丸幹二と柿澤勇人会見冒頭では石丸と柿澤が劇中歌「時が来た」を歌唱披露。力強く美しい歌声で歌い上げ、公募によるオーディエンスも参加する会場を一気に“ジキハイ”ムードに。会見では、日本初演以来、四半世紀近くに渡り上演されている本作について、山田が「準備を始めたのは20世紀だったんだなとびっくりしました。長い生命力を持った作品に携われたこと。そのご恩にまず感謝しています」と感慨深く語り、前回(2018年)から5年近く経っているが、「自分の意識のなかではついこないだのように感じています。それくらいインパクトのある作品」と石丸も熱い想いをのぞかせ「この役をやるにあたっては非情に体力が必要背筋をだということを思い出しました。カッキ―(柿澤)に負けないように、私も体力をつけて臨みたいと思います」と背筋を伸ばす。山田和也石丸幹二初演の鹿賀バージョンと石丸バージョンの両方を観ているという柿澤は、「大スターたちがやる役だと思っていたので若造の僕がやるとは思っていなかった」と恐縮しながらも「若輩者なりにがむしゃらに、皆さんの刺激を受けながら、そして石丸さんのいいところ、素敵なところを沢山盗ませてもらって、なんとか新しいジキル&ハイドがつくれたら」と意気込む。柿澤勇人ジキルとハイドの間で揺れ動きながらも破滅的な運命を辿る娼婦のルーシー役は、2012年より石丸と共に出演している笹本と、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で、退団後も数々のミュージカルに出演、本作には今回が初参加となる真彩のWキャスト。2012・16年はエマ役、2018年にルーシー役を務めた笹本は、「ふたつの違う世界からヘンリーとハイドをみて、本当にこの作品にかける想いというのは今までにないくらい大切な作品になってきました。この作品は心も疲れてしまう作品なので、身体と心の健康を保ちながらカンパニーと一緒にまとめていけたら」と語る。笹本玲奈主演の柿澤とは現在上演中のミュージカル『東京ラブストーリー』で永尾完治役と赤名リカ役で共演しており、司会から稽古に向けて楽しみなことを聞かれると「カッキ―が(『東京ラブストーリー』とは全く違う役柄なので、いったいどのように豹変するのか本当に楽しみにしています」と期待を寄せる。真彩希帆本作の大きな魅力のひとつでもあるフランク・ワイルドホーンの楽曲に挑戦するのが楽しみと語る真彩は「チャレンジすることがいっぱいあるので筋力づくり、声帯づくりを稽古場から聞けるんじゃないか」と胸を膨らませた。石丸から「フランクが肉食獣になれって言ってたよ」とアドバイスされると「私野菜が好きなんですけど……」と返し場内を沸かす場面も。ジキルの婚約者で彼を一途に信じ、支え続けるエマ役は共に新キャスト。本作がグランドミュージカル初挑戦となる歌手でダンサーのDream Amiと、元乃木坂46で卒業後も多くのミュージカルで着実なステップアップを見せる桜井玲香がWキャストで務める。「長年愛されるこの作品と超実力者の皆さんに囲まれて、私も今までに感じたことのない新しい自分を発見できるんじゃないかな、といまからすごくワクワクしております」(Dream Ami)、「色々なものを吸収し学びながら、エマと言う力強くそして愛情深い女性をしっかりと信念をもって演じられたら」(桜井)とコメント。Dream Ami桜井玲香歌と芝居と音楽が一体となった一級のエンタテインメントジキルの親友でストーリーテラーでもある弁護士のアターソン役は、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役をはじめ確かな歌唱力で数多くのミュージカルに出演してきた石井と、『リトルマーメイド』エリック役で日本オリジナルキャストを務めるなど実力と人気を兼ね備える上川が、こちらも共に新キャストとして挑む。石井一孝本作への出演を熱望し、「ジキルの実験室のフラスコ役でもいいから出たいと思っていた」という石井は、「日本初演前から(オーストラリアのミュージカル俳優)アンソニー・ワーロウが歌うコンセプト版CDを海外から取り寄せてまで聴いていた。それくらい好きな作品」と愛情たっぷり。ジキルを演じる柿澤とは20歳近く年の差があるため、「おじさんに見えないように、なんとか若々しさを存分に出して、カッキ―(ジキル)の親友にみえるように頑張りたいと思います」と意気込み、上川も「(劇団四季在籍時以来)久しぶりに再会したカッキ―と一緒にできること、本当に嬉しく思っております。初参加なので全力で作品にぶつかっていきたいと思います」と喜びも交えて語る。上川一哉「歌と芝居と音楽が一体となった一級のエンタテインメントだと思うので、どうぞ皆さん楽しみにしていてください」と力強く語るのは、エマに想いを寄せ、ジキルと対立するストライド役として、石丸版の初演から本作を支えるベテラン畠中。畠中洋そして石丸・柿澤・上川と同様劇団四季出身で、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での柿澤との共演も記憶に新しい栗原は、エマの父親で病院の理事であるダンヴァース卿を新キャストとして務める。「善というのが実は悪であり、悪というものが善になる。そういったところを追及して、この物語の時代と現代をうまくリンクさせていきたい」と想像を膨らませる。栗原英雄主演の石丸と柿澤について、山田は「期待以上の事をみせてくださるおふたりなので、体力が続く限り、表現の果てまでいっていただけると嬉しい」と真摯に語りつつも「毎回稽古場で石丸さんのセクシーさ、エロティックさをどうやってお客様に届けるかということでスタッフがすごく頭を悩ませている」と明かし「今までの“ジキハイ”史上、最もエロティックにやっていただけたら」とリクエスト。石丸は「ちょっと透かし絵的なエロティックさを見せていきましょうか」と返し、柿澤も「山田さんに『ちょっと柿澤それ、みんなドン引いちゃうからやめて』と言われるまでやりたいと思います」と応戦。劇団四季では石丸が退団する2007年に柿澤が養成所に入所したため共演の機会はなかったが、「憧れの存在。共演できるとは思っていなかった」(柿澤)、「これからの四季を背負っていく人間が入ってきたんだなという思いで注目していた」(石丸)と当時の印象を語る。時を経て、Wキャストとしてタイトルロールを演じるふたりが率いる2023年版ミュージカル『ジキル&ハイド』に期待が高まる。ミュージカル『ジキル&ハイド』は、2023年3月11日(土)~28日(火) 東京国際フォーラム ホールCにて上演。その後愛知・山形・大阪にて上演を予定している。<公演情報>ミュージカル『ジキル&ハイド』【東京公演】2023年3月11日(土)~3月28日(火)会場:東京国際フォーラム ホールC※追加公演として、3月23日(木)18時公演が決定。1月21日(土)よりチケット前売り開始予定【愛知公演】2023年4月8日(土)・9日(日)会場:愛知県芸術劇場 大ホール【山形公演】2023年4月15日(土)・16日(日)会場:やまぎん県民ホール【大阪公演】2023年4月20日(木)~4月23日(日)会場:梅田芸術劇場メインホールチケット情報はこちら:
2022年12月21日現在、東京・TBS赤坂ACTシアターで上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を務める石丸幹二と向井理が初日を迎えた。これを記念し舞台写真が公開された。本作は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングが、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンとともに舞台のために書き下ろした「ハリー・ポッター」シリーズ8作目の物語。小説の最終巻から19年後、父親としてのあり方に悩む37歳のハリー・ポッターとその息子・アルバスの対峙を軸に、過去と現在を行き来する形で描かれている。2016年のイギリス・ロンドンでの初演以降、これまでにロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、オーストラリア・メルボルン、ドイツ・ハンブルク、カナダ・トロントの6都市で開幕し、東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となる。父親になったハリー・ポッターを演じるのは藤原竜也、石丸幹二、向井理の3人。回替わりで主役のハリー・ポッターを演じるトリプルキャスト制となる。藤原竜也はプレビュー公演の初日となる6月16日18時15分の回、石丸幹二は8月17日18時15分の回、そして向井理は8月18日12時15分の回にそれぞれの初日を迎えた。公開された舞台写真は、榊原郁恵、高橋ひとみが演じるマクゴナガル校長や美山加恋演じる嘆きのマートルなど「ハリー・ポッター」を代表するキャラクターが中心となっている。併せて、石丸幹二と向井理に加え、演出補(インターナショナル)のデス・ケネディからのコメントが到着した。■石丸幹二 コメント初日を無事に終え、長い航海の最初の寄港地にたどり着いたような、ほっとした気持ちでいます。これからのロングラン、エネルギーを蓄えスタミナをつけ乗り切っていきます。キャスト・スタッフが一丸となって操る魔法の世界、その中で、ハリーとアルバス親子の成長物語が紡がれていきます。私らしい個性が刻まれたハリー・ポッターを、どうぞお楽しみください。■向井理 コメント4か月間稽古をしてやっと初日を迎えたという思いと、もう本番が来たか!という思いが入り混じっています。カンパニーの良い雰囲気に後押しされて、自分も舞台に立てているので、この雰囲気を大切にしたいと思っています。この作品はイリュージョンだけでなく、ハリー・ポッターの成長も見どころです。大人になっても困難なことや上手くいかないことがありますが、少しでも改善しようと努力するハリーの姿を見届けていただきたいです。長く愛される舞台になると期待していますが、その中でアップデートされたり、観劇する席によって全然違う印象を受けると思うので、何度も劇場で楽しんでいただければ幸いです。■デス・ケネディ(演出補)コメント日本のカンパニーの皆さんがこの作品に心血を注いで取り組んでくださることに、とても刺激を受けています。 我々の到着前にしっかり準備していただいたおかげで、今までにないスピードで舞台稽古が進んできました。今、空を飛び、地の底に潜り、水から出てくる、火を灯す・・・という、集中力と技術を要する重要な場面をやっていますが、これが素晴らしい出来! 日本のスタッフの的確さに感銘を受けています。『ハリー・ポッターと呪いの子』はこれまで7都市でプロダクションがおり、それぞれのカンパニーの特色を活かした独自性のある仕上がりになっています。この日本版も同じく、日本チームと海外チームが一緒に発見しながら作っています。その点、日本の俳優の皆さんが際立っているのは、心を注ぎ込んで作ってくださること。そのため、作品がとても深くなっています。何世紀にもわたって受け継がれてきた日本の演劇文化を背景に、彼らの演技には何層にもなった過去や深みが感じられます。スケールが大きく魔法に満ちた作品ですが、あくまで核となるのは芝居です。そこに嘘なく繋がれる日本の俳優たち、絶対に素晴らしいプロダクションになるとワクワクしています。冒頭の場面は、時間が凍りついた駅から始まります。舞台の前面には「INLUSTRET LUMINE(光を内にいれよ)」と書かれています。この2年間、世界はコロナ禍という闇の中にあり、それぞれが孤立していました。こうして演劇が本格的に再開したことで、私たちは集うことができる。“人生にまた光が灯りますよ”と、この言葉が伝えている気がします。新劇場は、どこに座っても目の前で起きているような感覚になれる親密さが魅力です。ロビーに敷かれたカーペット、大きく飾られたバナーなどを見て、ホグワーツに足を踏み入れる体験をお楽しみいただきたいです。そしてこの観劇をきっかけに、この先もしばしば劇場に足を運んでいただけると幸いです。撮影:宮川舞子、渡部孝弘<公演情報>舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』7月8日(金)~2023年5月31日(水) 東京・TBS赤坂ACTシアター※2023年6月以降も上演予定上演時間:3時間40分 ※休憩あり【スタッフ】オリジナルストーリー:J.K.ローリング脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン演出・オリジナルストーリー: ジョン・ティファニー【キャスト】ハリー・ポッター:藤原竜也 / 石丸幹二 / 向井理ハーマイオニー・グレンジャー:中別府葵 / 早霧せいなロン・ウィーズリー:エハラマサヒロ / 竪山隼太ドラコ・マルフォイ:松田慎也 / 宮尾俊太郎ジニー・ポッター:馬渕英里何 / 白羽ゆりアルバス・ポッター:藤田悠 / 福山康平スコーピウス・マルフォイ:門田宗大 / 斉藤莉生嘆きのマートル:美山加恋ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:橋本菜摘デルフィー:宝意紗友莉 / 岩田華怜組分け帽子:木場允視エイモス・ディゴリー:福井貴一マクゴナガル校長:榊原郁恵 / 高橋ひとみ安藤美桜 安楽信顕 千葉一磨 半澤友美 川辺邦弘 小松季輝 前東美菜子 みさほ 扇 けい 尾尻征大 岡部雄馬 織詠 大竹 尚 大内慶子 佐竹桃華 佐藤雄大 篠原正志 鈴木翔吾 田口 遼 田中彩乃手打隆盛 上野聖太 渡邉聖斗 薬丸夏子 横山千穂ルード・バグマンの声:吉田鋼太郎※藤原竜也は2022年9月末までの出演です。【チケット情報】(全席指定・税込)SS席:17,000円S席:15,000円S席(6歳~15歳):12,000円A席:13,000円B席:11,000円C席:7,000円9と4分の3番線シート:20,000円(特典付き)ゴールデン・スニッチ チケット:5,000円※未就学児入場不可※ゴールデン・スニッチ チケットは、前週に抽選販売。各公演枚数限定で、座席はお選びいただけません。関連リンク公式サイト:::::
2022年08月19日石丸幹二と柿澤勇人がWキャストで主演を務めるミュージカル『ジキル&ハイド』が、2023年3月に再演されることが決定した。2001年の日本初演から2007年まで4回にわたって主演を担当した初代・鹿賀丈史の跡を継ぎ、2代目の主演を務めた石丸。その後2016年と2018年の再演を経て、唯一無二のジキル/ハイド像を構築し、高い評価を得ている。そんな彼にとっては今回が最後の『ジキル&ハイド』となり、新たに3代目として出演する柿澤とともにWキャストで主演を務める。なお公演に関する詳細は後日発表となる。<公演情報>ミュージカル『ジキル&ハイド』2023年3月上演予定ミュージカル『ジキル&ハイド』公演ビジュアル【スタッフ】音楽:フランク・ワイルドホーン脚本・詞:レスリー・ブリカッス演出:山田和也上演台本・詞:高平哲郎【キャスト】ヘンリー・ジキル / エドワード・ハイド:石丸幹二 柿澤勇人(Wキャスト)公式HP:公式Twitter:
2022年07月27日舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の初日レッドカーペットイベントが8日、東京・TBS赤坂ACTシアターで開催され、ハリー・ポッター役の石丸幹二と向井理が参加した。「ハリー・ポッター」シリーズ8作目となる同舞台は、原作者J.K.ローリング自ら原案を練り上げ、「家族、愛、喪失」をテーマにハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを舞台化した作品。アジアとしては初上演となる。ハリー・ポッター役は藤原竜也、石丸幹二、向井理のトリプルキャストで、初日は藤原が演じる。石丸は「いよいよ待ちに待った初日を迎えました。3カ月くらい一緒に稽古場で稽古してきて、この日が来たんだなと、じわっときているところです」と心境を述べ、「必ずびっくりする作品ですから期待してご覧になっていただければと思います」とアピール。向井も「4月から稽古が始まって3カ月間皆さんと一緒に汗を流してきたわけですが、まず魔法の世界にようこそ! 本当にたくさんの魔法、イリュージョン、いろんなことが起こります。皆さん観劇される方が楽しんでもらえる演目に必ずなっています」と自信をのぞかせ、「僕もハリーの一員として皆さんに楽しんでもらえるようにこれからもっともっと努力していきたいと思います」と意気込んだ。レッドカーペットイベントには、綾瀬はるか、市村正親、井上尚弥、鹿賀丈史、鈴木亮平も参加した。撮影:加藤千雅
2022年07月08日6月16日(木)にプレビュー公演が開幕する舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』より、 ハリー・ポッター役の藤原竜也、石丸幹二、向井理の扮装写真が解禁となった。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、ハリー・ポッターシリーズの19年後、父親になったハリーとその息子アルバスを中心に描かれる新しい物語。これまでにロンドン、ニューヨークなど世界6都市で上演されており、アジアとしては初、世界では7番目の上演に。ハリー・ポッターファンのみならず、ハリー・ポッターに馴染みがない方でも十分に楽しめる作品となっている。世界最高峰の技術が詰まった珠玉の舞台がいよいよ日本で開幕する。公開された写真では、ハリー・ポッターの衣装に身を包んだ藤原竜也、石丸幹二、向井理の姿が切り取られている。公演のチケットは9月末分まで完売となっており、 現在は10月~12月分の先着先行チケットはホリプロステージにて販売中。一般発売は6月11日(土)より。■公演概要プレビュー公演日程:2022年6月16日(木)~7月7日(木)会場:TBS赤坂ACTシアター上演時間:3時間30分(予定)※休憩あり本公演日程:2022年7月8日(金)~12月30日(金)会場:TBS赤坂ACTシアター上演時間:3時間30分(予定)※休憩あり主催:TBSホリプロThe Ambassador Theatre Group特別協賛:Sky株式会社■金額(全席指定・税込、 プレビュー公演&本公演ともに同金額)SS席:17,000円S席:15,000円S席(6歳~15歳):12,000円A席:13,000円B席:11,000円C席:7,000円9と4分の3番線シート:20,000円(特典付き)ゴールデン・スニッチ チケット:5,000円※未就学児入場不可※ゴールデン・スニッチ チケットは、 前週に抽選販売。各公演枚数限定で、 座席はお選びいただけません。※正規販売サイト以外のネットオークションや転売サイトなどでご入場券をお買い求めになられた場合、 ご入場をお断りする場合がございます。ホリプロステージ: 【一般発売】発売日:6月11日(土)10:00~
2022年06月03日7月8日に本公演開幕を迎える舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。開幕に先立ち、藤原竜也・石丸幹二・向井理のトリプルキャストによるハリー・ポッター3人のキャスト扮装写真が3日13時、公式Webサイトと公式SNSにて初公開された。この扮装写真の撮影が行われたのは5月中旬。開幕に向けた連日の稽古の合間をぬって撮影された。実際に舞台上で身につける衣装に袖を通し、それぞれの役になりきった3人の表情が舞台への期待を高める。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者J.K.ローリングらが舞台のために書き下ろした物語であり、小説の最終巻の19年後が描かれている。2016年のイギリス・ロンドンでの初演以降、ニューヨーク、メルボルン、サンフランシスコ、ハンブルグ、トロントと世界6都市で上演され、あたかも目の前で魔法が繰り広げられているかのような演出や、観る人を魔法の世界に引き込むストーリーで世界中の観客を魅了し続けてきた「ハリー・ポッター」8番目の物語。今年7月、世界7番目の都市、アジア初上陸となる東京での舞台が幕を開ける。
2022年06月03日舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』製作発表が17日、東京・TBS赤坂ACTシアターで行われ、主人公ハリー・ポッターを演じる藤原竜也、石丸幹二、向井理らが出席した。本作は、ハリー・ポッターシリーズの原作者であるJ.K.ローリング自ら原案を練り上げ、「家族、愛、喪失」をテーマにハリー・ポッターの19年後の新たなストーリーを舞台化した作品。ハリー・ポッターの世界観を忠実に再現した舞台空間や衣裳、目の前で飛び交う魔法の数々、心躍る音楽など劇場で体感するすべてが、観客を魔法の世界へ誘う。ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞を含む60以上の演劇賞を受賞した本作は、世界では7都市目、アジアとしては初上演となる。父親となったハリー・ポッターを演じるのは、藤原竜也、石丸幹二、向井理のトリプルキャスト。オーディションに挑み、タイトルロールの座を勝ち取った。藤原は「4月の頭から(稽古が)始まって、優秀なスタッフに導かれながら、僕ら日本人キャストが必死にしがみつき食らいついた1カ月強でした。ありがたくもプレビューまでひと月、時間が残っています。インターナショナルチームが理想とするハリー・ポッターを完成させるためにもうひと踏ん張り全員でともに走りながら頑張っていけたらと思っています」と意気込み、「昨日初めて劇場に入ったのですが、感動をひと足先に味わい非常に興奮したことを覚えています」とハリー・ポッターの世界観あふれる劇場に感激。石丸は、以前海外で同舞台を見たときの感想を「こんなにお客さんが盛り上がるショーがあるんだと実感しました」を述べてから、「きっとこれは日本で開幕したら大ブームになるんじゃないかなと。会場に入ってからショーが終わるまで魔法の世界に飛び込める。私たちもそれが表現できるように精一杯頑張っていきたい」と語った。向井は「1カ月以上の稽古期間を経て昨日から劇場入りすることができました。100人近いチームだと思いますが、コミュニケーションがとれてとてもいい状態のチームだなと実感しています。長く続けていくうちにもっともっと絆は深まっていくと思いますが、始まる前にこれだけチーム感が出来上がっているチームはあまり経験したことがないので楽しみです」と手応え。「魔法が大きなテーマですが、魔法の世界観だけでなく1人の人間として受け取ってもらえることがたくさんあると思っています。何度も足を運んで細かい部分まで生で体験していただきたい」とアピールした。製作発表には、ハーマイオニー・グレンジャー役の中別府葵、早霧せいな、ロン・ウィーズリー役のエハラマサヒロ、竪山隼太、アルバス・ポッター役の藤田悠、福山康平、スコーピウス・マルフォイ役の門田宗大、斉藤莉生、マクゴナガル校長役の榊原郁恵、高橋ひとみも参加。TBSテレビ代表取締役社長の佐々木卓氏、ホリプロ代表取締役社長の堀義貴氏、演出補のコナー・ウィルソンも登壇し、MCは日比麻音子TBSアナウンサーが務めた。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、7月8日に東京・TBS赤坂ACTにて開幕する(プレビュー公演は6月16日~7月7日)。
2022年05月17日6月に上演されるS-IST Stage『ひりひりとひとり』のキービジュアルと全出演者の個別イメージビジュアルが公開された。本作は、2020年に上演を予定していたものの、新型コロナウィルスの影響を受け中止となった演劇作品で、2022年に改めて初演を迎える。石丸さち子作・演出の完全オリジナル作品となり、6月10日(金)から19日(日)まで、東京・よみうり大手町ホール(東京都千代田区)にて上演される。S-IST Stageは、ミュージカル『Color of Life』(作・演出)、舞台『BACKBEAT』(翻訳・演出)、 舞台『キオスク』(演出)等の 石丸さち子が作・演出する舞台演劇作品を、東映プロデュースにて上演する企画。本作は、 石丸さち子による完全オリジナルの脚本と、音楽家・森大輔の生演奏で上演される。俳優“春男”にまつわる物語が、 濃密な会話劇と、詩、音楽、歌で創られていく本作。石丸さち子が「演劇だから出来ること」を改めて自分に問い質して生み出した、演劇と役者の未来を描く、新たな演劇作品となっている。公開されたビジュアルは、作品世界観を反映したイメージビジュアルとなり、本編ビジュアルとは異なるもの。鈴木勝吾演じる主人公“春男”が、粉塵のような雑音の中に閉じ込められているイメージを捉えたキービジュアルと、鈴木勝吾、梅津瑞樹、伊藤純奈、百名ヒロキ、周本絵梨香、塚本幸男と音楽家・森大輔の個別イメージビジュアルが公開された。また配役も発表。各プレイガイド先行(抽選先行)が、4月28日(木)12:00~5月9日(月)23:59にて実施となる。詳細は本作特設HPにて。石丸さち子と森大輔、そして6人の俳優が紡ぐ新たな物語に期待したい。【あらすじ】ひとりの俳優をめぐる物語。ひとは向き合う、自分に、他人に、世界に。ひとは向き合う、過去に、未来に、今に。たくさんのひとりが、ひりひりと今日を重ねていく。世界はまだ見ぬ明日へ。工藤春男は、父の家庭内暴力、それを苦に家族を捨てる母といった、愛情に恵まれない家庭に育った。思春期には、烈しい統合失調の症状とともに暮らしていたが、家を出ること、詩を書くこと、演劇と出会うことで、心は落ち着きを見せ、持ち前の表現力や独創性が評価されはじめていた。所属する劇団の公演、チェーホフの「かもめ」でトレープレフをキャスティングされた春男は、いつものように稽古をし、いつものように仲間と時を過ごしていたが、実家で父が孤独死したという報せがはいる。父という、自分の記憶からすでに消していた深い憎悪の対象の死を、どうして受け容れればよいかわからない春男。心はどんどん過去に遡り、思春期に自分で生み出した珍妙な別人格二人が現れる。耳の中に始終聞こえていた雑音はボリュームを増し、やがて新たな幻覚まで登場して......。春男が突然稽古を休んだ日、恋人でもある伊達夏子は、心落ち着かぬまま稽古場にいた。Wキャストでトレープレフをキャスティングされた親友の玉木賢は、芝居の最中に突然、台詞がしゃべれなくなり、夏子の胸に生まれた「ざわざわ」は止まらない。東京に戻ってきた「ちりちり」した春男と、なんとかつながろうとする夏子と賢。春男はやがて、二人とともに、生まれ育った街に向け「ひりひり」した旅に出る。どこか遠いところで幻聴のように鳴り続ける音楽とともに。それは三人それぞれが、自分と向き合う旅でもあった......。六人の俳優と一人の音楽家が絡み合い、ひりひりとした物語を軽妙な笑いと、軽やかな身体、豊かな音楽とともに語っていく。《開催概要》■タイトルS-IST Stage『ひりひりとひとり』■作・演出石丸さち子■音楽・演奏森大輔■出演(配役)鈴木勝吾(工藤春男)、周本絵梨香(伊達夏子)、百名ヒロキ(玉木賢)、梅津瑞樹(ぴーちゃん)、塚本幸男(西郷さん)、伊藤純奈(りぼん)、森大輔(鉱石ラジオの音楽家)■会場よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)■日程6月10日(金)~19日(日)■チケット全席指定8,800円(税込)■公演特設HP
2022年04月28日ミュージカル『Color of Life』、舞台『BACKBEAT』の演出で知られる石丸さち子の作・演出の完全オリジナル作品『ひりひりとひとり』が2022年6月10日(金)から19日(日)まで、東京・よみうり大手町ホールで上演されることが決定した。主演は鈴木勝吾が務める。本作は舞台演劇作品を東映プロデュースにて上演する企画「S-IST Stage(エスイストステージ)」のひとつで、様々な舞台やミュージカルを手がける石丸さち子が作・演出する。2020年に上演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響を受け、中止。2022年に改めて初演を迎える。俳優“春男“にまつわる、俳優6人と音楽家1人、7人による物語を濃密な会話劇と、詩、音楽、歌で作り上げていく。鈴木勝吾を主演として、ほかに梅津瑞樹、伊藤純奈、百名ヒロキ、周本絵梨香、塚本幸男と音楽家・森大輔が出演。劇中で森が生演奏を披露する。石丸は上演にあたり「自力では這い出せない痛みの中から救いだしてくれる芸術の力に思いを馳せつつ、ひとりの痛みと喜びを、密やかな祭のように、大騒ぎの輪舞のように描きます」と思いを語り、主演の鈴木も「心を込めて、命を削って、身体をはって必ず届けられるように創りあげたいと思います」とコメントを寄せている。<石丸さち子コメント全文>『ひりひりとひとり』は、稽古と上演期間が2020年の緊急事態宣言発令期間に重なり、上演できなかった作品です。2022年に改めて初演に立ち向かうと決まった時から、その書き直しの方向性について、ずっと考え続けてきました。世界の、演劇界の、「ひりひり」した感覚が、大いに上書きされてしまったからです。それが。新しく書き直したものは作者にも演出家にも馴染まず、結局一周二周して、ほぼ元の形に戻ってきました。初演の公式サイトに、わたしはこう書きました。「演劇は、今も昔も、世界を映す鏡です。そして世界は、数え切れないひとりひとりの、書き換え不可能な一瞬を積み重ねています。たったひとりを描くこと、ほんの一瞬を描くことが、世界を描くことになり、永遠を描くことになりうる......という可能性に、いつも表現者は無限の夢を抱き、希求し続けます。」上演はできなかったけれども、「工藤春男」という主人公はすでに生まれていて、その過去や現在を、簡単に変えるなと、彼から訴えられているようでした。本作で光をあてる、そのひとりの職業は、俳優です。ひりひりとした、その生きる実感を、演劇や音楽の恵みがどれほど支えてきてくれたか。自力では這い出せない痛みの中から救いだしてくれる芸術の力に思いを馳せつつ、ひとりの痛みと喜びを、密やかな祭のように、大騒ぎの輪舞のように描きます。世界情勢が思いがけないスピードで悪化する中、心穏やかに暮らすのが難しい今。ご観劇の皆様に、何をお届けできるでしょうか?その受け取っていただくお届け物の形や匂いや味、手触りや歯ごたえを、稽古で探っていきます。演劇ならではの、たくさんの人生が寄り集まり一緒に探る、というやり方で。初演できなかった「ひりひりとひとり」の出演者、初演に立ち向かう「ひりひりとひとり」の新しい出演者、すべての思いを、舞台の上に載せて。「僕は、私は、俺は、あなたは、何処に、誰に、つながっているんだろう?」作・演出 石丸さち子<鈴木勝吾コメント全文>やっと皆様にこの作品を届けることができます。2020年、新型コロナウィルスの影響で上演が叶わなかった。石丸さち子さんとずっと作品を作りたいね、と語り、そして東映の中村さんに携わってくれないか、と話をしてから随分と経ちました。やっとです。(石丸)さち子さんは本当に繊細で情熱と愛情のある人間であり、作品をつくることに心血を注ぐ方。彼女の紡ぐ言葉と、作品を作り上げる姿が憧れであり、共に作品を創れることが誉れであり幸せです。世界と自分との乖離に想いを抱える青年の話。だけどきっと誰もが心の中にあるものだと思う。胸の中にあって言葉にしたくて身体を爆発させたくて心を届けたくて、どうしても伝えたくて…そんな方法は人それぞれあって、でもきっと、思うように行かなくて、僕も同じです。だから芝居と演劇が僕にはあって救われる。そして皆様に届けることができる。心を込めて、命を削って、身体をはって必ず届けられるように創りあげたいと思います。大切に大切に、激しく育て必ず。僕もとても楽しみです。劇場でお会いしましょう。<公演概要>S-IST Stage『ひりひりとひとり』作・演出:石丸さち子音楽・演奏:森大輔出演:鈴木勝吾梅津瑞樹伊藤純奈百名ヒロキ周本絵梨香塚本幸男会場:よみうり大手町ホール(東京都千代田区大手町1-7-1)日程:2022年6月10日(金)~19日(日)チケット一般発売日:5月29日(日)10:00より特設HP:
2022年03月25日今夏、日本で上演される舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演する日本オリジナルキャストが22日、発表された。俳優の藤原竜也、石丸幹二、向井理が、19年後のハリー・ポッターを演じる。舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、子供時代のハリー・ポッターの19年後を描く、舞台のために書き下ろされた8番目の物語。東京公演はアジアとしては初、世界では7番目の上演となる。父親になったハリー・ポッターを演じるのは藤原竜也、石丸幹二、向井理の3人。回替わりで主役のハリー・ポッターを演じるトリプルキャスト制となる。度重なる映像オーディションを経て、昨年春には来日した海外スタッフとの対面オーディションに臨み、アジアで初となる世界的ヒット舞台のタイトルロールの座を勝ち取った。そのほかのキャストも発表された。本作は2016年にロンドンで開幕して以来、前編と後編を2本の芝居で見せる2部制で上演されてきたが、2021年11月、ブロードウェイにおいて2部制の前編を第1幕、後編を第2幕とする1部制が誕生した。東京公演はこの1部制での上演となる。上演時間は休憩を含めて3時間30分を予定している。会場のTBS赤坂ACTシアターは、現在改装中。今年の春には、ハリー・ポッターの世界観を実現した劇場として生まれ変わる。また、チケット金額も発表となった。通常の座席のほか、ハリー・ポッターの世界観を存分に味わえる「9と4分の3番線シート」も発売される。特別なデザインをあしらったチケットと限定の非売品グッズの特典に加え、ひと足先に劇場ロビーに入って魔法の世界を独占できるという、ハリー・ポッターファンにとってはたまらない座席だ。さらに、抽選で当選した人のみが5000円でチケットを購入できる希少な「ゴールデン・スニッチ チケット」も発売。抽選は毎週行われエントリーするには公式ホームページからメルマガ登録が必要となる。そして、7月8日の初日に先立ち、6月からプレビュー公演を実施することも決定。プレビュー公演の詳細は2月17日正午に発表となる。さらに、2月23日と24日の2日間限定で、プレビュー公演のチケットを発売することも決定。プレビュー公演のチケットを購入できるのはTBSチケットとホリプロステージのみ。どちらも事前に会員登録が必要となる。○■藤原竜也世界で愛されている大ベストセラーシリーズに出演できること、大変光栄に思います。海外スタッフによる数度のオーディションは緊張しましたが、非常に貴重な経験となりました。“ハリー・ポッター”という世界を、ファンの方だけでなく、演劇を観たことのない方にも楽しんでいただけるよう、とにかく精一杯演じます。○■石丸幹二ブロードウェイで観た時の興奮が忘れられない。めくるめくような魔法の嵐に、どよめきが湧きおこり、ハリーたちと一緒に客席もハラハラドキドキ。こんな夢のような体験を、日本で味わえるなんて。しかも、今度は俳優として舞台上で。皆さん、ぜひお楽しみに!○■向井理舞台でも魔法がたくさん出てきて、自分が演じていなくても観に行きたいほど面白い舞台です! その作品に出演者として最初に関われることがとても楽しみで、オーディションに参加してよかったと思っています。今までどおり、真摯に作品に向き合いたいと思います。○『ハリー・ポッターと呪いの子』キャスト一覧ハリー・ポッター藤原竜也/石丸幹二/向井理ハーマイオニー・グレンジャー中別府葵/早霧せいなロン・ウィーズリーエハラマサヒロ/竪山隼太ドラコ・マルフォイ松田慎也/宮尾俊太郎ジニー・ポッター馬渕英里何/白羽ゆりアルバス・ポッター藤田悠/福山康平スコーピウス・マルフォイ門田宗大/斉藤莉生嘆きのマートル美山加恋ローズ・グレンジャー・ウィーズリー橋本菜摘デルフィー宝意紗友莉/岩田華怜組分け帽子木場允視エイモス・ディゴリー福井貴一マクゴナガル校長榊原郁恵/高橋ひとみ安藤美桜、安楽信顕、千葉一磨、半澤友美、川辺邦弘、小松季輝、前東美菜子、みさほ、扇けい、尾尻征大、岡部雄馬、織詠、大竹尚、大内慶子、佐竹桃華、佐藤雄大、篠原正志、鈴木翔吾、田口遼、田中彩乃、手打隆盛、上野聖太、渡邉聖斗、薬丸夏子、横山千穂(※名前の表記はアルファベット順)
2022年01月22日ミュージカル『蜘蛛女のキス』の開幕を約1ヵ月後に控えた稽古場で、同性愛者の主人公モリーナ役を務める石丸幹二と、演出の日澤雄介がインタビューに応じた。アルゼンチンの作家マヌエル・プイグの小説を原作にミュージカル化され、1993年のトニー賞7部門を制した本作。『キャバレー』『シカゴ』で知られるジョン・カンダー(音楽)とフレッド・エブ(歌詞)が手がける楽曲は人気が高く、1996年以降、日本でも定期的に上演されている。劇中では、ラテンアメリカにある刑務所の一室を舞台にした物語が展開。映画を愛するモリーナは、社会主義運動の政治犯バレンティン(相葉裕樹 / 村井良大:Wキャスト)と同室に。最初は互いを理解できず激しく対立する2人だったが、モリーナは映画スターのオーロラ、また彼女が演じる蜘蛛女(安蘭けい:2役)について語る。二人は次第に心を通わせていき──。ブロードウェイで本作を鑑賞した石丸は当時、バレンティンに共感したという。同性愛者のモリーナは「特別な個性がないとできない役」と捉えていたが、自身が年始に主演した『パレード』の本国版で同じ役を務めたブレント・カーヴァーがモリーナに扮したと知ると親近感が湧き、「彼がやった役に自分も挑戦したい」という気になったエピソードを明かす。同性愛者が抱える葛藤を掴むのは難しい。そこで石丸は、劇団四季時代に浅利慶太から受けた「劇中の舞台になっている時代の様式を身につけることでキャラクターの中身に近づける」というアドバイスを思い出す。また、ピンクや赤といった鮮やかな色の衣装を稽古場で身にまとうように。「はだけていた胸元を看守の前で隠す所作にゾクっとした」という日澤の言葉を受け、石丸は「女性としての防衛本能かも。内面もモリーナに近づいてきたんですかね」と微笑んだ。自身が旗揚げした劇団チョコレートケーキで、史実をベースにした社会派の人間ドラマを生み出している日澤。本作でグランドミュージカルを初めて手がけるが、「登場人物の心情や関係性に迫るストレートプレイの演出とスタンスを変えることはない」と話す。「水と油のような関係のモリーナとバレンティンがどうやって互いを認め合い尊重するのか。彼らの“心と心の交流”を丁寧に描くことで生まれる化学反応を現代の客席にお届けできれば」と意気込み、インタビューを結んだ。公演は11月26日(金)~12月12日(日)に、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、12月17日(金)~12月19日(日)に大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティへ巡演する。ぴあでは座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2021年11月05日舞台『いとしの儚』が10月6日(水)に開幕する。鎌倉後期に書かれた「長谷雄草紙」に相を得て書き上げられた、扉座の横内謙介による脚本で、これまでに、扉座劇団公演、パルコ劇場、明治座、韓国などで上演されてきた名作だ。人間のクズで愛することなど知らずに育った男と、その男に育てられた少女の、 滑稽で純粋な愛を描いた物語 。プロデューサーがいつか上演したいと長年温めてきた企画を、6人のキャストで上演する。主人公の鈴次郎を演じる鳥越裕貴と、演出の石丸さち子に話を聞いた。(※インタビューは稽古開始前に実施されました)鎌滝さんの視線に儚だなと(鳥越)彼は翻弄されたい(石丸)ーー脚本を読んでどんなことを感じましたか?石丸まず、横内さんの作品だと驚きました。同じ早稲田大学で、卒論の先生が一緒になり、先生に会いにキャンパスを並んで歩いたことがありました。何年もお互いにそれぞれ演劇を生業としてきて、横内さんの作品をやるときが来たんだという面白さが先にありました。こういう形での再会は嬉しいねと、メッセージのやりとりをしました。読んでみた第一印象は、なんてピュアな物語だろうと。作家の力と、作品のもつ独特の叙情と美しさ。賭場の吹き溜りの中に咲いた美しい愛情という、作家が書いた一番本質のところを大切にして、面白くしていきたいなと思います。ーー鳥越さんは、戯曲を読んでどんなことを感じましたか?鳥越自宅でしんみりと読んでいたんですが、最初は本当に、鈴次郎に対して「胸くそ悪いな、こいつ」と思いました。その胸くそ悪さが印象に残っていましたが、最後の純粋に人を愛する綺麗さを知った瞬間に、心が温まるというか。みんながいろいろなことにイライラしたり、ぶつけられない怒りがある中で、この作品を観ていただくことは、今足りていないものを皆さんに提供できるんじゃないかなと感じました。ーー鈴次郎を演じるうえで、役について思ったことをお聞かせください。鳥越僕も基本的に演劇のことしか考えられないという意味での「クズ」なので、鈴次郎にとっての博打が僕にとっての演劇みたいなものですが、本当にそうなると周りが見えなくなるんですよね。いい意味で、その共通点を引っ張りつつ演じたいと思いました。ーー本来沢山のキャストで上演する作品を、6人のキャストで演出するプレッシャーみたいなものはありますか?石丸もちろん正直な話をすると、無理があると思うんです。でも、リスクや制限がかかることから面白い演出が生まれてきたりします。6人でやってみたいという提案を、6人だからこその作品になったという面白さに変えていけるようにプランを練っているところです。ーーキャスティングの狙いについては、いかがでしょうか。石丸儚役にはイメージがものすごく強くありました。儚は、鈴次郎という男のロクでもない生活、欲望が生み出したクリーチャーで、親の背中を見て汚い言葉を覚えたりはしても、世界との出会い方が鮮烈で純粋です。そういう役を演じるには、何も色のついていない本能の強い人を選びたいと思っていました。ネットフリックスの『愛なき森で叫べ』に出ていた女優を観ていいなと思っていたら、なんと出てくれることになりました。鎌滝(恵利)さんは今回が初舞台になりますが、ものすごくまっすぐで、世界に対してためらいのない女の子という印象があり、この作品にはぴったりだと思います。鳥越僕がビジュアル撮影をしているときに「何か視線を感じるな」と思ったら、2階の方から「こいつはどういうものなんだ」という鎌滝さんの視線を感じて、この人は本当に儚だなと感じたいうか。生まれたばかりで、何かを得よう、吸収しようとする熱みたいなものを視線だけで感じたときに、これはものすごいことになるだろうし、負けていられないなと思いました。燃えるようなものを強く味わったので、早く稽古をしたくてたまらないです。あとは、石丸さんの熱があればなんとかなるし、その熱を役者魂で超えていきたいです。僕自身もとても向上する作品になりそうだなと感じております。石丸儚に翻弄されていく鳥越君が楽しみです。きっと彼は翻弄されたいんです。演出家と女優と二人三脚で鳥越君を翻弄していきたいなと思っています。今まで舞台上で味わったことのない感情を味あわせてあげるつもりで、私は今準備をしていますので(笑)。鳥越(笑)。やさぐれている役の方が発見があってしっくりくる(鳥越)石丸生きることの最上の喜びは儚くても美しい、そんな物語を、鳥越君と鎌滝さんで生み出してほしいです。そして、その周りの登場人物がものすごく人間的です。魅力的な人物たちを六人で演じ分けようと思っていたのですが、原田優一さんというとんでもない名優と出会えることになったので、みんなの役は少しずつにして、あとは原田さんにキャスティングしました。私よりもサービス精神があるんじゃないかと思われる原田さんと、どんなふうに工夫して、この舞台がおもしろくなっていけるか探りたい。腹を抱えて笑っていただいて、その中にどうしようもなく切なく、夢のような愛の物語が描けるかですね。山﨑晶吾君は、美容師から演劇の世界に入ってきた人で、最初から演劇だけをやってきた人とは違った魅力がありました。この芝居に関しては、それぞれの人生を重ねて深追いしたほうが面白い芝居になると思うので、山﨑君とはそういう作業をしたいと思っています。全然出自の違う俳優さんを集められたらいいなとも思っていました。今まで出会う機会のなかった久ヶ沢徹さんが、一番人間の本質的な悲しみや慈愛に満ちた心をどういうふうに表現してくれるんだろうかと、ものすごく興味がありました。『いとしの儚』メインビジュアル辻本祐樹君とは会って話をしました。2.5次元では、現実から離れた二次元の世界を、今を生きる俳優が演じる独特のリアリティーですが、今回は思い切り3次元に落とし込みます。とは言え、現実そのままだとお客様が引いてしまう。逆に美しい手触りだけでは、鑑賞物として引いて観てしまう。ぐいぐいと揺さぶられたあとに気持ちを昇華できるカタルシスが訪れる、そんな瞬間が尊いんです。ーー鳥越さんは、他の共演者の方々に関してはいかがですか?鳥越鎌滝さんと山﨑さんは初めてご一緒します。優一さんとは撮影のときに会いましたが、僕が仕える身分でしかないような、トップの強さを感じました。すごくいろいろなことを回してくださるんだろうなと思っています。そして、僕的には久ヶ沢さんの鬼がじわじわと来ています。きっと稽古中もずっと好きだろうと思うくらい、愛のある中に鬼としている久ヶ沢さんを見るのがすごく楽しみです。辻本さんとはる・ひまわりさんの作品でも、何度か共演させてもらっているので、また新しい辻本さんが見られるのを、単純にファンとして楽しみにしております。ーー観客の皆様は、新しい鳥越さんを見られることを楽しみにしていると思います。鳥越僕は、見た目も相まって、元気溌剌とか、かわいい感じの役が多いですが、以前演じたときにも、時代物でやさぐれている役の方が、いろいろと発見があってしっくりくるところがありました。とても楽しみです。複雑な役をやってもらえる(石丸)「石丸さん=愛」(鳥越)ーーおふたりは、昨年中止になってしまった公演で、一緒に稽古をされたと伺いましたが、お互いの印象はいかがですか?石丸そのときは、鳥越君の役は明るくて、バックボーンにいろいろ苦労を抱えている人の友人役でした。今回演じる鈴次郎は、最悪の環境で育って、犯罪を犯し、その先に、夢を見ることを諦めてしまっています。博打に魂を売ってしまい、博打以外の何もかもを失った男が愛を見つけてしまったときに……という物語ですが、こういう複雑な役をやってもらえることが本当に嬉しくて。すごく期待しています。鳥越石丸さんの演出作品は、いろいろ観させていただいていますが、やはり「愛」を描く作品から、純粋な気持ちを忘れているかもしれないと、僕も気づいたりするんです。石丸さんが演劇界に5人いれば、今大変なことも全然余裕だと思います。石丸(笑)。鳥越本当に5人欲しいんです。石丸さんのパワーはひとりでもすごい。本当に出会えてよかったなと思います。演出家としても、人間としても、ありがたいです。ーー石丸さんと、鈴次郎役を作るという意味で、何か思うことはありますか?鳥越僕の中で石丸さんとの稽古は「すべて出す」。そして、僕がどれだけこの作品に愛を込められるかで決まってくると思います。「石丸さん=愛」なので、この作品に全力で愛を注ぎます。ーー具体的な演出について伺えることはありますか?石丸六本木の劇場と、江戸時代の吹きだまりがリンクして、お客様の心をくすぐるような美術にしたいと思います。「鬼」と呼ばれる存在が、「今の時代」まで語り継いできた物語。人ならざる生き物が語るからこそ胸に迫る、愛の本質、長い長い時間の人間の物語を描きたいです。そして、どの役にしても、ルーツを考える作業をやりながら立ち上げたい。博打に取り憑かれた人間たちと鬼を結ぶもの。此岸と彼岸を結ぶ川、その川渡しの存在、彼岸の死者から生まれて此岸に生きる儚。いろいろなものがビジュアルでもうまく表せるといいなと思っています。また、かみむらさんの音楽には、ものすごくわい雑でいながら、洗練された印象を期待しています。清濁あわせのむような。賭場というわい雑な吹き溜りから生まれてくるのに、美しく人の心に凪をもたらすような音楽を目指せればと思っています。愛していい夢を見ていいと鈴次郎を応援してやってほしい(石丸)ーー最後に、お客様へメッセージをお願いします。鳥越“いとしの儚”石丸さち子さん演出バージョンは、より人間の原点に戻ると思います。人間の不器用さや純粋さが如実に見えてきそうで、その作品に出演できる事が嬉しくてたまりません。どうしようもないクズが何かに気づく瞬間を、自分がこの台本を初めて読んで味わった感覚を、皆様に味わって頂けるよう、稽古に励みます。どうか、劇場で体感して頂きたいです。石丸今までもお客様が最後のピースだと信じてやってきましたが、こんなに実感する時代はないです。人間はこんなにわかり合えないものなんだと痛感することが多い現在です。賭場の人間模様もひどいものですが、そんな世界に生まれる、儚くも美しい愛の存在を描きます。この作品のテーマのひとつは「誰でも夢を見るべきだ」ということです。誰でも夢を見る権利がある。自分の夢のサイズを自分の過去現在で限定しないで、もっといろいろなところに手を伸ばして冒険をしてほしいな、と。夢を見ただけ、自分が手を伸ばす飛距離が遠くなり、また出会いがあって、人生がきっとおもしろくなる。鈴次郎という、もともとは人間味のある存在なのに、人生の道を踏み外して夢を諦めていた男が、儚と出会って、夢を見ることを自分で選ぶ瞬間の美しさ、かけがえのなさに、たどり着きたいと思っています。だから、お客様にも私たちと一緒に、愛していいんだよ、夢を見ていいんだよと、鈴次郎を応援してやってほしいです。どんな人だってそうやって夢を見ていいんだと応援する気持ちが、ほんの少し自分に跳ね返ってきて、劇場を出たときに、新しい一歩に向けて勇気が出たなと思うようになれば。また、お伝えしたいのは、劇場に足を運んでくださるお客様が、どれだけ私たちに夢と力を与えてくださっているかという感謝です。私たちは舞台で夢を見ていていいんだ、やっていていいんだという勇気を客席からたくさん頂いているので、お客様にその夢や勇気をたくさんお返ししたいんです。取材・文:岩村美佳『いとしの儚』2021年10月6日(水)~10月17日(日)六本木トリコロールシアター作:横内謙介演出:石丸さち子出演:鳥越裕貴 / 鎌滝恵利 / 辻本祐樹 / 中村龍介 / 原田優一 / 久ヶ沢徹※ソロ政役・山﨑晶吾は体調不良により降板、代役として中村龍介が出演しますチケット情報
2021年09月18日ミュージカル『オペラ座の怪人』でデビュー後、17年にわたり劇団四季のスターとして活躍してきた石丸幹二。退団後は歌手、俳優として活躍の場を広げ、2013年の出演ドラマ『半沢直樹』で人気が拡大。現在、テレビ番組『題名のない音楽会』6代目司会者としても親しまれている。昨年にはデビュー30周年を迎え、記念企画が目白押しだ。『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』チケット情報昨年は軌跡をたどる『The Best』とデュエット集『Duets』の2枚のアルバムを発売。過去のアルバムからの選曲で、それぞれ新録音も1曲ずつ収録。『Duets』では石丸の歌声とデュエットできるカラオケ仕様の6曲も追加した。今年は6月2日(水)に劇団四季時代の映像特典付き、初の2枚組映像作品『石丸幹二 ORCHESTRA CONCERT 2016&ONLINE LIVE 2020』の発売が決定。続く4日(金)からスタートするのが、全国5都市を巡るデビュー30周年『石丸幹二 オーケストラコンサート2021』。会場ごとに多彩なゲストを迎え、初日の大阪公演には石丸が「歌声に惚れ込んだ」という演歌歌手の島津亜矢が登場する。コンサートでは「観客の心に寄り添い、心の中で口ずさめるような」選曲にこだわったという石丸。『ふるさと』『あすという日が』といった耳馴染みのある楽曲から、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』より『真っ赤なスカーフ』、劇団四季時代から現在までの出演ミュージカルの代表曲など約17曲を予定。島津とのデュエット曲には『美女と野獣』を選んだ。「演歌ではない歌をオーケストラと共に歌ってもらったらきっと大きな花が咲くだろう」と期待を寄せる。「短いようで長かった」と音楽と共に歩んだ30年を振り返る石丸。ベストアルバムのライナーノーツには楽曲に込めた思いや当時の心境を克明に記した。「一枚の写真と同じですね、まるでアルバムをめくるように一曲ごとにいろんなことが思い出されて。聴いてくださる方もご自身の記憶と重ね合わせて楽しんでいただけたら」。舞台人として鍛錬を積んだ劇団時代を経て、第2章と位置付けるその後の13年でとりわけ磨いてきたのが、歌手としての個性だ。退団直後の休暇中に聴いたアンリ・サルバドールのアルバムがひとつの転機となった。「彼が80歳を過ぎてカムバックして出したアルバムで、囁くような唱法が新鮮でした。一生歌い続けるなら目指すのはこの唱法だなと。今までにないものを取り入れようとスタートしたのが第2章の始まりでした」。そんな“つぶやき唱法”はひとまずアルバム等でご堪能を。大劇場では変わらずオペラティックな歌唱で観客の心を満たし続ける。「総勢80名近いフルオーケストラとの共演はやっぱりゴージャスですよね。今回のツアーでは初めてご一緒する楽団もあり、人や音楽の輪が広がっていくのが楽しい。お客様もきっと会場に身を置くことで、歌声や音に包まれる心地よさを感じられると思います」。公演は6月4日(金)、大阪のザ・シンフォニーホールを皮切りに、東京、愛知、広島、札幌を巡演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年05月28日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。1月22日(金)に兵庫県立芸術文化センターにて開幕した本作にオットー・トゥルスニエク役として出演する橋本さとしに、作品の魅力や共演者とのエピソード、コロナ禍で思った事などを聞いた。ストレートプレイに飢えていた――最初に、ご出演が決まった時の心境を教えてください。ここのところ、劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』というエンタテインメント性の高い舞台や、『ビリー・エリオット』というミュージカルに出演させていただいたので、「ど」が付くストレートプレイに自分の中で飢えていたところがありました。このタイミングでお話をいただいたのは、僕にとってはとてもありがたくて、喜ばしいことだったんです。やはり僕はストレートプレイが自分の原点だと思いますので、この作品でもう一度、自分の演技的な基本に立ち返って、自分の中から湧いてくる感情に乗せたセリフ回しというものを、再スタートと言えば、少し大袈裟な言い方になるかもしれませんが、ここから何かを構築させていければなと。気合十分です。――『偽義経冥界歌』も『ビリー・エリオット』も、どちらも「父」役でしたね。そうなんですよ。一方は地獄のお父さんで、もう一方は炭鉱夫のお父さん。いろいろなお父さんを演じさせていただいて、僕もそういう役柄を演じるような年齢に差し掛かっているのかなとすごく実感しました(笑)。殺されて生き返るような冥界にいるお父さんと、超現実的な1980年代の労働者組合のストライキの真っ最中で戦いながらも、家族の間で揺れ動くリアリティのあるお父さんの役と、幅広かった。両方演じられてとても楽しい1年になりましたね。――その中で、今回は舞台となるキオスク(タバコ店)の店主オットー・トゥルスニエク役を演じられます。オットーという役も、まさに血はつながっていないですが、フランツという青年にとっては、親父的存在でいる役柄なんです。フランツという田舎で育った純朴な青年が、ウィーンの街に出てきて、第二次世界大戦目前の、ナチスドイツが台頭する現状を目の当たりにする。そのきっかけになる、オットー・トゥルスニエクというおじさんで、彼が人生観のスイッチを押してあげる役という意味では、親父的ポジションにいるのではないかなと思います。――現段階でどのような部分に難しさややりがいを感じていますか。ストレートプレイというのは、言葉のキャッチボールや感情の受け渡しあい、バトンをしっかり相手に渡すということがとても大事になってきます。特にこの作品は、原作が小説で、日本では先にリーディング版として上演して、今度はストレートプレイになります。演者が実際に演じるという形をとっていますから、緻密に小説で描かれているところを、舞台版ではある意味すっ飛ばして描いていたりする。その分、行間の芝居と感情がすごく大事なんです。どういうものを背負って、今この場に立っているか。それが、演者にとってはとても重要なことになってくると思いますし、難しいところですね。お客様の想像力をかき立てられるような立ち方で舞台の上に立ってないと、それは本を持っていないだけであって、ただのリーディングになってしまう恐れもありますから。――役者としての説得力というのでしょうか。たたずまいから観客の想像力をかき立てるにはどうしたらいいと思いますか。正直、セリフが多いんですよ。特に長台詞。長台詞をひとつひとつ分解して、解明していくと、やっぱり不思議と全然感情が入っていなかったり、自分の中でイメージがなかったりするセリフは、セリフ覚えが悪くなって入ってこないんですよね。僕たちがよくセリフを入れるという段階は、ただ覚えて暗記するという意味ではなくて、腹に落とし込んで、それが、心臓を通って、脳みそを通って、自分というフィルターを通して、言葉にすること。それができて初めて、セリフが入ったと言えるんですね。だからそのセリフを入れる段階というのが、僕にとってはすごく重要になってきています。単純に年々セリフ覚えが悪くなっているというのもあるんですけども(笑)、そこが一番苦労するところで、役者が孤独な作業をする段階ではあります。1日でも早く、自分というフィルターを通して、感情がぎゅっと締め付けられるようなセリフを気持ちよく吐きたいですね。林君のポジティブな気持ちがいい空気をもたらしてくれる――主演の林翔太さんをはじめ共演者の方々にはどのような印象をお持ちですか。林翔太くんはとてもピュアで、僕に比べたら超真面目。すごく真摯に芝居にぶつかっていく。合っていようが間違っていようが、まずぶつかっていく姿が、とてもピュアで、いろいろな垢にまみれた自分にとっては、すごく刺激にもなるし、見習うところでもありますよね。こちらも純粋な気持ちで一緒に芝居を作っていけるというのは、共演者としてはありがたい存在です。あと、弱音を吐かないんですよね。「ダメだな」とか「疲れたな」とか全然言わない。主役というのは他の作品でも一番大変な思いをするけれど、特にこの作品はフランツという青年が背骨になっている作品なので、負担はとても大きいと思うんです。で、僕も心配になって、「調子はどうだ?」と聞いたら「バッチリです!」とか、元気に答えてくれる(笑)。そういう彼のポジティブな気持ちや心構えが、僕たちカンパニーにいい空気をもたらしていると思います。若手で言えば、(上西)星来も、とてもフレッシュですね。彼女はまっさらな状態でこの芝居に臨んで来ているので、まっさらなキャンバスにどんどん色がついてくのが、日に日に見えていて。それを見ているのも、おじちゃんとしては楽しいかな(笑)一路(真輝)さん、山路(和弘)さんなど、昔からやらせてもらっている、信頼のおける先輩にも囲まれています。現場の空気感は温かい感じがして、居心地がとてもいいです。特に吉田メタルくんとは劇団☆新感線以外で初めての共演なんですよ。実は、劇団員の頃、吉田メタルと3年間一緒に暮らしていた時期がありまして。ぼろアパートに二段ベッドを買って、あいつが上で、俺が下に寝て。自分たちはどうなるんだろうという将来の話を毎晩、銭湯に行きながらして……。いつか共演できたらいいよなっていう話はずっと20年前ぐらいからしていました。役者ってやり続けていると、一瞬離れても、続けることによって、どこかでまたピタッと磁石のように出会う。個人的な話ですが、吉田メタルと劇団以外で同じ舞台に立つというのは本当に感慨深いものがありますね。――石丸さち子さんはどういう演出家だと思いますか。僕は今回初めてなんですけども、噂に違わず、本当にパワフルです。それでいて、繊細。豪快さや大胆さもある。お客様のことを信じる力がすごく大きな方だと思うんですよね。演出家というのは、細かく細かく演出して、お客様に分かりやすくしないと不安になられる方もいらっしゃると思うんですけれど、そういうこと関係なく、無駄なところは、ザクッと切り落として、あとはお客様の想像力に任せる。本当に演劇的な原点と言いますか、基礎的なところを久しぶりに味わせていただいています。稽古場で誰よりも声が大きくて、誰よりも笑っていて、喜怒哀楽を役者以上に表現している方です(笑)。石丸さち子という台風の目に、役者が巻き込まれている気がします。時々のみ込まれそうになるんですけれども、こちらも負けずにエネルギーをぶつけていくと、それに応えてくれる方なので、やっていて、楽しいですし、あまり役者に不安を感じさせない、安心感のある方ですね。無駄なことを必要と感じられる心の大切さに気づかされた2020年――2020年はコロナ禍で演劇界にとっても大きな意味のある1年でした。橋本さんにとってはどんな1年でしたか。また2021年の抱負をあわせて教えてください。2020年、役者人生で言えば、不安というものが常に付きまとってはいましたね。劇団☆新感線も途中でアウトになりましたし(※『偽義経冥界歌』が東京公演一部中止、福岡公演全中止)、『ビリー・エリオット』もいつ始まるのか分からないなか、スタンバイをしていて(※7月初日を迎える予定だったが9月に延期)。だからこそ、舞台に立つ喜びを噛み締めた年ではありますね。今まで舞台に立ってきて、こういう事態は本当に経験したことがなかった。ちょっとしたアクシデントで1、2日、舞台が止まってしまうことはトラブルとしてはありましたが、完全に切られるのは初めてで、自信を失いかけたときもありました。日本という国において、エンタテインメントの力はここまでだったのかなと。現実を目の当たりにはしましたね。真っ先に僕らの世界が、娯楽という世界が、切られていきましたから。いただいた時間の中で、随分いろいろなことを考えましたし、今までできなかったこともできました。物質的にも断捨離をして、フリマアプリで小銭を稼いだりもしましたが(笑)、心の断捨離みたいなものもできました。なあなあで来ていたものが通用しないと気づきましたし、当たり前だと思ってやってきたことも、実は当たり前のことではなくて、すごく奇跡的なことだったと実感しました。ハートは強くなったと思います。劇団☆新感線の舞台が途中で終わって、『ビリー・エリオット』が予定より2ヶ月遅れで始まって、やっと舞台に立てた時の劇場の空気。感染対策で、キャパの半分しかお客さんをお入れすることはできなかったんですけども、拍手が大きくて、満場の拍手をいただいた。その瞬間に、僕たちがいるべき場所、立つべき場所は、ここなんだなと。不安になっていた部分は自信に変わりましたし、娯楽・エンタテインメントの必要性を感じて、それを信じることができました。無駄と言えば無駄なのかもしれないけれど、無駄なことを必要と感じられる心の余裕や潤いって、人間が生きていく上でとても大事なことだと思います。僕たちは住む家を与えたり、お腹を満たすことはできないけど、心を満たすことができるという自信になりました。そういう意味では僕にとっては有意義で意味のある1年になりました。ただ、それはまだ過去の話ではなくて、状況が継続してしまっている現実があります。まだまだ油断はせずに、自分たちがやるべきことをしっかりやって、必要とされる存在でありつづけるために、エンタテインメントというものをこれからもずっと守り続けていくという気合いをもって、皆様に心の潤いを与えていきたいなと思っています。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己公演情報『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月23日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。稽古開始後間もない12月某日、本作に出演する、元宝塚歌劇団宙組トップスターで俳優の大空ゆうひに話を聞いた。エネルギッシュな石丸演出──『キオスク』の出演が決まった時の心境を教えてください。まず、脚本を読ませていただいて、1回で理解しきれる本ではなかったんですけれど、作品の持つ不思議なみずみずしさがとてもいいなと思いました。私は、その中で様々な役割を演じます。これは何かトライできることがあるんじゃないかなと思いました。演出の石丸さち子さんとは、以前に舞台『まさに世界の終わり』(2018年)でご一緒させていただきました。その時に石丸さんから感じたパワーが圧倒的で、エネルギーをもらい、また、違う作品で石丸さんの作品世界にチャレンジしたいと思いました。──本作では様々な役を演じられるとのこと、なかなか想像がつかないのですが……。まだ全貌が本当に分からないですし、正直、これからです。(演出の石丸さんは)今は一番ストーリーとして大事な主軸を作っていらっしゃる段階だと思います。今の状況をこのまま練っていって初日を迎えるというよりも、まだ二転三転するでしょう。日々、その日の風が吹くと思って、自分もそういう気持ちで稽古に臨みたいなと思っています。稽古場では、何かうごめいているものが、エネルギー体としては存在しているんですけど、まだはっきりとしたものは見つけていない。徐々に何かが見えてくる。そんな段階でしょうか。──それは役に関してもそうですし、石丸さんの演出がそういう演出なのでしょうか。特に今回はそうですね。毎日がエチュードをやっているというか、何を振られるか分からない状況。びっくりするような演出や、思いついたアイディアを試してみようという段階です。ここからもっと発展させていくのだろうなと思います。──“びっくりするような演出”というのは具体的にどういうことですか。思っていたよりも、書かれていないところに、いろいろなことが起きるんです。それは幕が開いてのお楽しみになるかもしれないですけど。シンプルな木枠がいろいろな窓になったり、電車になったり。そういうものを自分たちで表現していく際に、決定稿みたいなものはないので、私たちも想像力を使って更にひろげたい。無茶ぶりと思えるようなリクエストにも何か落とし所を見つけていく。毎日驚いたり、面白がりながらやっています。──改めて、石丸さんはどういう演出家だと思いますか。エネルギーがすごいです。パワーの塊みたいな感じです(笑)。石丸さんの中にある熱いものを作品に全力でぶつけていらっしゃるので、役者も同じような誠実さで持って、しっかりと何かを持って稽古場に行かないと、その熱量に負けてしまう。熱量を準備しながら、日々の稽古に臨みたいと思わせるような方だと思います。──前回ご一緒された『まさに世界の終わり』から2年ほど時間が経ちました。何か変化はお互いに感じられますか。石丸さんは私のことはどう思っていらっしゃるか分からないですけど(笑)、石丸さんはいい意味で全く変わっていらっしゃらないですし、パワフルさにも全く衰えがないです。稽古中も「あーそうそう、この感じ!」というように思います。1回ご一緒していますが、私の立ち位置も前回とは違うので、ちょっとヒートアップした石丸さんにツッコミを入れられるような場面を見つけていきたいですね(笑)。厳しさも楽しみながら。少しでも演出家の意図を理解して受け入れていくみたいなことができるといいなと思います。主人公と同じ17歳の時憧れた一路真輝との共演──共演者についてお伺いします。宝塚の先輩である一路真輝さんや、主演の林翔太さんの印象を教えてください。この作品の少年は17歳なんですけど、私が17歳で初舞台の時に、初めてお会いした、そのときのスターさんが一路さんでした。当時の自分のことを思い出しつつ、今回は稽古場でお隣に座らせていただいて……。女優さんとしての見習うべき点がたくさんあり、とても魅力的な方だと思います。私が17歳だった頃にはとても想像できなかったほど気さくに話しかけてくださるし(笑)。居方も演技もいろいろ勉強させていただきたいなと思っています。林くんとは初共演。今マスクをして稽古をしているんですけれども、きっとマスクをとってお芝居をしたら、全然違うんだろうなと。まだまだきっと知らない林くんがいっぱいあるんだろうなと思います。──コロナ禍ならではのエピソードですね。「え、そんな顔だったの?」って、コロナ禍あるあるです(笑)。どんな表情をしているのかも受け取る情報量が少ない、それでも伝わって来るものを大切に稽古しています。──2020年は演劇界にとっても大きな年でした。いろいろなことを感じられたと思いますが、コロナ禍でも舞台に立つ意味や思いをお聞かせください。舞台公演が中止になって、生の舞台ができない時期は、自分たちの仕事の意味や、俳優という仕事の役割を多少は考えましたが、舞台が再開できたときに、以前よりも、舞台で何かを伝えるということ、自分が置かれている日常とは違うものを劇場でライブで体感するということは、とても素敵なことなんだなと思ったんです。これまでも、「舞台が好き」とは思っていたんですけれども、今更ながらその芸術性を感じましたし、人間にとってそういうものは必要なんだなということを改めて感じることができて。仲間たちと一緒に作品を作ることが当たり前じゃないし、それができることに感謝するようになりました。それが、自分が舞台に立つエネルギーにつながったのかもしれないです。以前より、楽しめるようになったし、ただ楽しいだけではなくて、舞台に立っているときの気持ちが強くなりました。一回離れたことで、お芝居をすることと両思いになれたような気もして。その点、私にとってはいいこともあった期間でした。世界的には不安な状況ですし、マスクをしての稽古など、今まで想像もつかないような景色を見ているんですけれども、そうしながらも、何かを発信していくことはきっと続いていくだろうなというようなことも考えました。コロナ禍で上演することの意義──このコロナ禍で上演される『キオスク』。大空さんはこの作品を今上演する意義をどのように感じられますか。不穏な時代、不安の時代というのは、心情的に、とても現状の私たちと重なることが多いと思います。ピュアで多感な17歳の少年の目を通して、その世界を見る。自分たちがどこに向かっているのか分からないですし、正確な道標はないと思うんですけれども、作品の中で、純粋な目で、世の中や社会情勢を見ることで、迷い込んだ状況からちょっと視界がクリアになったり、絶対的に大丈夫という保証はないけれども、微かな希望が見えるかもしれない。今この作品を上演して、お客様がご覧になってくださることによって、きっといろんなことを感じられるはず。心が動くことも大事なこと。何かを提供できる作品だと思います。──大空さんは、宝塚歌劇団を退団されてから、ストレートプレイからミュージカル、インタビュアーとしても活躍されています。幅広いお仕事の中で、ストレートプレイはどういう位置づけなのでしょうか。私の中では、あまり位置づけをしたことはありません。私はミュージカルであれ、ストレートプレイであれ、歌の仕事であれ、表面的な形よりも、もう少し奥にある根底を見ていて、その作品や音楽が持っている、一番核となる部分をいろいろな手法で表現していく。奥にあるものを感じ取って表現するお仕事をしているという感覚です。たまたまそこで歌った。たまたまそこに音楽があった。それは、表現するための必然性。もちろんそれは作り手にとってはジャンルは違うのだと思うんですけど、私の中ではあまり境界線を引かないようにしています。──最後に、お客様へメッセージをお願いします。2020年から、様々な葛藤や不安を抱えて過ごした方が多いと思うんです。世の中全体が厳しい状況の中ではありますが、何か人間らしさや、人間の心、大切な温かいものが、まだ人々の中に残っていて。この『キオスク』という作品は、そういうところに触れてくれるような、だけれども警告も含まれる作品だと思います。きっと何かを持って帰っていただけると思うので、たくさんの方に劇場にいらしていただけたらと思います。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己ヘアメイク:大宝みゆきスタイリスト:SAKAI『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月14日檀れいが、明治座『恋、燃ゆる。~秋元松代作「おさんの恋」より~』に主演する。原作となるTVドラマを鑑賞し、作品や役柄のイメージを膨らませる稽古前の心境に耳を傾けた。【チケット情報はこちら】石丸さち子が上演台本・演出を手がける本作は、近松門左衛門の浄瑠璃『大経師昔暦』をベースに、秋元松代が執筆したTVドラマシナリオ『おさんの恋』を原作としている。商家・彩玉堂に嫁いだ美しく気立てのよい“おさん”は、奉公人である茂兵衛から寄せられた一途な想いに触れて──。共演者には中村橋之助、東啓介、多田愛佳、石倉三郎、西村まさ彦、高畑淳子らが名を連ねている。男性中心社会の江戸時代を舞台に、抑圧される存在であった女性が自らの“意志”に目覚め、行動を起こしていく強さ・美しさを描きたい──。そうプロデューサーから説明を受けた檀は「東洋、西洋を問わず時代物に携わるたびに、女性は長らく苦しい時間を過ごしてきたのだな、と実感してきました」と語る。今回演じるおさんの人物像を「自分の気持ちを抑えて耐えて、ひたすら主人に仕える女性」「顔で笑っていても、心の中では冷たい涙を流している」と捉えた檀。“個人”として自由に生きられない切実さに思いを馳せつつ、「そんな彼女が、自分の想いをストレートに伝えてくる男性に出会ってどう変化するか……その葛藤や喜びを、おさんの人生に魂を吹き込みながら活き活きと表現したい」と意気込んでみせた。相手役・茂兵衛を演じる橋之助との共演経験はない。しかし、檀は過去に橋之助が出演した歌舞伎を鑑賞しており、当時の印象を「瞳がエネルギッシュに輝いており、役を突き詰めて演じることが本当に好きなんだろうな、というのが伝わってきました」と述べる。さらに「自分の心にまっすぐな茂兵衛を彼が演じたら、どんな熱量でおさんの心を揺さぶるんでしょうね?」と微笑み、「一緒にお芝居するのが今からすごく楽しみです」と期待を寄せた。座長としての気がかりは、流行中の新型コロナウイルス感染症だ。檀は不安な気持ちを吐露する中にも「苦しい時に観た舞台に心が救われるように、人間にとって心の潤いや活力になるのはエンターテインメント」の信念を打ち出す。そして「上演するからには万全な態勢で、皆さんに上質な作品を届けたい」「そのために、自分に与えられた役割を全うします」と覚悟を覗かせ、取材を結んだ。公演は10月19日(月)~11月15日(日)に、東京・明治座にて。また本作は、新型コロナウイルス感染症の予防対策を講じて上演される。8月30日(日)の一般発売に先駆け、8月28日(金)より先行先着開始。取材・文:岡山朋代
2020年08月27日オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説で、2018年には現地で映画化もされた『キオスク』が、石丸さち子の上演台本・演出により舞台化される。物語の舞台は、ナチスドイツが台頭する1937年のウィーン。田舎から出て来てキオスクの見習い店員となった17歳のフランツは、客としてやって来た精神分析学の創始者、ジークムント・フロイト教授と懇意になる。やがて年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの少女に恋をするフランツ。時代の波に飲み込まれようとする街で、少年がフロイト教授の手ほどきを受けながら、悩み行動する姿を朗読劇の形で描く「リーディングシアター」だ。フランツ役に扮するのは、今年2月に結成された関西ジャニーズJr.のユニット「Aぇ! group」のメンバーとして活躍する末澤誠也。ユニット所属以前から『ドッグファイト』『スケリグ』に出演するなどして舞台経験を重ねていたが、本作が初の単独主演作品となる。ほかに、自他ともに認めるオーストリアとゆかりの深い女優・一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、山路和弘が出演。石丸が「素晴らしく魅力的な出演者が集まりました」と胸を張る『キオスク』は、12月25日(水)から29日(日)まで東京芸術劇場 シアターイースト、1月18日(土)・19日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。文:町田麻子
2019年12月24日関西ジャニーズJr.のユニットAぇ! groupの末澤誠也が、リーディングシアター『キオスク』で初の舞台単独主演を務めることが24日、明らかになった。同作はオーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説「キオスク」を、リーディング形式で上演。1937年、ナチスドイツが台頭するウィーンに、自然に恵まれた湖畔で母親と2人暮らしだった17歳のフランツがやって来る。キオスクの見習店員となったフランツは、母の旧友でもある店主からさまざまな事を学び、また店の客である精神分析学の創始者、フロイト教授と知り合いになる。教授からフランツは、人生を楽しみ恋をするよう忠告され、やがてフランツは年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの女の子アネシュカに心を奪われる。フランツに人生を説く晩年のジークムント・フロイト教授、ウィーンでの自立の扉を開くキオスクの店主・オットー・トゥルスニエク、そして時代のうねりにのみ込まれていくオーストリア。フランツの想いと歩みを描いて、ノスタルジックな空気感を醸し出すこの魅力的な作品は、2018年秋、日本でも映画版が公開されて好評を博した。演出は、ミュージカルをはじめ多彩な作品の演出で評価の高い石丸さち子、ほかキャストには実力派で秀作への出演が続く女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、同じく様々な作品で高く評価されるベテラン俳優山路和弘と、そうそうたる顔ぶれがそろった。東京公演は東京芸術劇場 シアターイーストにて12月25日~12月29日、兵庫公演は兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて2020年1月18日〜1月19日。○石丸さち子(上演台本・演出) コメント17歳のフランツが出会う、都会ウィーン。新聞のインクと葉巻の匂いが立ちこめるキオスク。はじめての恋は狂おしく、恋と人生の手ほどきは心理学の第一人者フロイト教授。しかし、初々しい少年が喜び悩み大人に成長する自由は、ナチス・ドイツの台頭する政情に押しつぶされます。そんな時代の中にあって、なんてのびやかで無鉄砲で多感な青春でしょうか!この作品をご紹介できることに、大きな喜びと責任を感じます。素晴らしく魅力的な出演者が集まりました。フランツの人生を駆け抜ける末澤誠也さんにしっかり伴走したいと思います。○末澤誠也 コメント「舞台で主演をはらせていただく」というのが、僕の中で一つの夢でもあり、大きな目標でした。それをこんなにも早くに実現できることになり、本当に喜びと感謝で一杯です。芝居経験はまだまだ浅いですが、お芝居が大好きで、舞台に立たせていただいた際には、役者の皆さんから様々なお話を聞かせていただき、舞台上で表現させていただけることが本当に勉強になりますし、僕が成長していく大きな糧になっています。リーディングというジャンルのお芝居は初めての挑戦なので、少年フランツの成長、フランツから見て描かれる時代の変化をしっかり皆様に感じていただけるように精一杯頑張りたいと思います。是非劇場に足をお運び下さい!○一路真輝 コメント“オーストリアと日本の国交樹立150周年”の今年、その締めくくりに、リーディングシアター『キオスク』に出演させて頂ける事、とても嬉しいです。オーストリア、ウィーンは宝塚時代からずっと大好きな場所で、プライベートでもお仕事でも幾度か訪れ、わたしの身体の何パーセントかはウィーンの、オーストリアの空気感で満たされています。原作を読んでいても、地名を見るだけで景色が浮かんできて、ワクワクするのです。そして、何年も待ち焦がれていた石丸さち子さんの演出であることにも心惹かれ、石丸さんのお創りになる世界を楽しみにしています。
2019年09月24日東啓介と青野紗穂が出演するNew Musical『Color of Life』が4月26日(金)に東京・相模女子大学グリーンホールにてプレビュー公演を行い、5月1日(水)に東京DDD青山クロスシアターにて開幕する。4月25日に行われたゲネプロを取材した。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出を石丸さち子、作曲・編曲を伊藤靖浩が手掛けるオリジナルミュージカル。初演は2013年のニューヨークのオフ・オフ・ブロードウェイ演劇祭「Midtown International Theatre Festival」で、最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル演出賞、最優秀作詞・作曲賞、最優秀ミュージカル主演女優賞の4部門を受賞した。日本でも2016 年に初演され、今回は日本で3度目の上演。東と青野は共に初めての出演となる。対面客席になったことで舞台美術も大きく変わり、衣裳の雰囲気もこれまでのイメージとは違うものになった今作。そこで演じるのも、昨今『マタ・ハリ』『スカーレット・ピンパ―ネル』などミュージカル作品でその存在を示し始めた東と、『RENT』や『ソーホー・シンダーズ』などのミュージカル作品に出演する女優であると共にニューヨークアポロ・シアター「Stars of Tomorrow」で優勝を果たす実力派歌手でもある青野という、20代前半の輝き出したばかりのふたりだ。大震災によって画題を見失ってしまった和也(東)と、同性の恋人と死に別れたばかりのレイチェル(青野)が偶然飛行機で隣り合わせになり、惹かれ合い、ニューヨークの彼女の家で一緒に暮らし始めて……というストーリー。そこで描かれるのは、大きな事件というようなものではなく、和也のビザの有効期間(3か月)までの間に、ふたりが向き合って、自分自身とも向き合って、迷いながらも変化していく様だ。そのなかにあるのは、膨らんだりしぼんだりし続ける感情や刻々と進んでいく時間。それらを奏でるメロディは繊細で緻密で複雑で、東と青野は歌、身体、表情、息づかいで丁寧に丁寧に…けれど大胆さも重ねながら紡いでいく。和也の幸せな時間と、自身の根幹を揺るがす感情に戸惑うレイチェルの不安。隣同士で同じ時間を温かく過ごしながらも同じではない感情が、小さく交わす笑顔やふとした目線の動き、空気の揺れによって伝わってくる。対面客席ならではの客席との距離の近さが、そういった表現を実現しているのだろう。東と青野、そして石丸と伊藤がつくりだす、劇場でしか味わえない演劇の魅力がたっぷりと詰まった作品。ぜひ劇場で味わって!プレビュー公演は4月26日に東京・相模女子大学グリーンホール 多目的ホールにて。本公演は5月1日(水)から27日(月)まで東京DDD青山クロスシアターにて上演。取材・文:中川實穗
2019年04月26日都内某所のライブハウスで、4月中旬、舞台『BACKBEAT』の製作発表が行われた。本作は“5人目のビートルズ”と言われるスチュアート・サトクリフを中心に、ハンブルクでの巡業時代のビートルズ創成期が描かれる。この日は翻訳・演出を手がける石丸さち子のほか、キャストの戸塚祥太、加藤和樹、辰巳雄大、JUON、上口耕平、夏子、鈴木壮麻、尾藤イサオが登壇した。【チケット情報はこちら】会見冒頭に披露されたのは、バンドメンバーキャストによる『ロックン・ロール・ミュージック』と『ラブミー・テンダー』の生演奏。ハンブルク時代、ビートルズはカバー曲を演奏することが多く、この2曲も作品を象徴する重要な楽曲となる。ジョン・レノン役の加藤がボーカルを務める『ロックン~』では、熱い歌声とパワフルな演奏でバンドとしての一体感を見せ、『ラブミー~』ではスチュワート役の戸塚がボーカルを取り、恋人のアストリッド・キルヒヘルへの想いを情感たっぷりに歌い上げた。続いて全登壇者が登場。まず石丸から「本編ではビートルズのカバー曲を中心に20曲以上を生演奏します」との驚きの発表が。そのためすでにバンドメンバーは、2月から楽器のレッスンを始めていたという。だが観客の前で演奏したのは初とのことで、「今すごく気分が高揚しています!バンドマジックを体験してしまいました」とは戸塚。加藤も「初めてひとつになった瞬間でした。このバンドのグルーヴ感をもっと高めていきたい」と意気込む。辰巳はほぼギター初心者だったとのことだが、「もうすっかり味をしめちゃったので、このバンドメンバーでライブツアーをやりたいです!」との大きな夢を明かした。ビートルズがライブを行っていたクラブのオーナー、ブルーノ・コシュミダーなどを演じる尾藤は、1966年のビートルズ初来日時、彼らの前座として同じ日本武道館のステージに立っている。そんな尾藤に「皆さんの演奏、とってもグーでした」と言われると、バンドメンバーの顔にも安堵の色が。さらにビートルズ来日時のエピソードとして、「内田裕也さんも出ていたので、日本のアーティスト代表として一緒にプレゼントを渡そうということになったんです。でもとにかく警備が厳しくて!彼らの楽屋まであと3メートルというところで止められて、結局会えずじまいでした」との貴重な話も飛び出した。かつて世界中を熱狂させたビートルズ。今度はこの『BACKBEAT』の面々が、日本の観客を熱狂させてくれるに違いない。5月25日(土)から6月9日(日)まで東京・東京芸術劇場プレイハウスにて上演後、兵庫、愛知、神奈川を巡演。取材・文:野上瑠美子
2019年04月17日