敵対していたテスを受け入れる賑やかな楽曲で、早霧演じるテスは「男には負けない!私は女だけど男!」と男たちの中心に立つ。
使用される楽曲は1980年代に発表されたものが中心で、どれも華やか。作詞作曲はジョン・カンダー&フレッド・エッブによるもので、これまでに『シカゴ』『キャバレー』『蜘蛛女のキス』など数多くのミュージカルで耳に残る楽曲を生み出し多くの人を魅了してきた。「楽しいナンバーが多い。全曲堪能できるお客様がうらやましい」(早霧)と歌う姿も楽しそうだ。ダンスシーンも多く「こんなに歌いながら踊るなんて」(宮尾)と本人は驚いた様子だが、“バレエ王子”宮尾の踊りも堪能できる。
早霧は宝塚退団後、初めて女性役を演じるが「男でも女でも、自分と違う人であることは同じ」と、性別にこだわらずひとりの人間として役作りに挑む。見どころは「ひとりの男性と出会い、仕事と家庭の両立をはかりながら、どうテスが変わっていくのか」(早霧)。
30年近く前の作品だが、仕事に人生を注ぐ女性の増えた現代により強く共感できるパワフルなミュージカルだ。公演は5月19日(土)から27日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、6月1日(金)から10日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアターで上演される。
取材・文:河野桃子