玉三郎が『阿古屋』で芸の円熟と継承を示す、十二月大歌舞伎
坂東玉三郎丈取材会 (C)松竹
十二月大歌舞伎において、『壇浦兜軍記 阿古屋』Aプロと『傾城雪吉原』に主演するほか、『阿古屋』Bプロに日替わりで主演する中村梅枝と中村児太郎の指導、中村壱太郎主演『於染久松色読販 お染の七役』の監修も行うなど、八面六臂の活躍を見せる坂東玉三郎が、合同取材会に臨んだ。
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演じ手が劇中、琴、三味線、胡弓の“三曲”を弾くことで知られる女方の大役、阿古屋。六世中村歌右衛門から教わり1997年に初役で勤めて以来、長らく玉三郎だけが演じてきた役だ。今、若手の梅枝と児太郎に継承する思いを、玉三郎はこう語る。「25年ほど前に私が習った時、成駒屋さん(歌右衛門)は体調を崩されていましたので、まだ私が元気で立って演じて見せてあげられるうちに、と。もともと、阿古屋をやる俳優さんはたくさんいたそうなのですが、三味線が大変お上手だった十二代目の(片岡)仁左衛門さんが立派に(演奏)なさり、六代目の歌右衛門さんが(原曲の“本手”を弾く長唄連中に対し、阿古屋役が別旋律で演奏する)“替手”をするようになって、ますますできないものになってしまった。でも今の時代、“この人しかやらない出し物”といった観念はないほうがいいと思うんです。