三舩優子 撮影:源賀津己
人気ピアニスト三舩優子がデビュー30周年を迎えている。シャープなタッチから繰り出される色彩に富んだ華やかな表現が魅力。6月2日(日)に東京・富ヶ谷のHakuju Hallで開く記念リサイタルはオール・リスト・プログラム。《巡礼の年~第1年:スイス》と《巡礼の年~第2年:イタリア》の全曲を弾く。
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《巡礼の年》は4集まであり、《第1年:スイス》と《第2年:イタリア》は、20代のリストが恋人マリー・ダグー伯爵夫人とともに訪れた旅の印象を書き留めた作品。若いリストらしい技巧的なピアニズムと、文学や絵画から多くのインスピレーションを受けて表現しているのが特徴。三舩は1994年のCDデビューにも《イタリア》を選んでいた。「大学の卒業試験も《イタリア》の終曲の〈ダンテを読んで〉でしたから、デビュー盤もあまり迷わず《イタリア》に決めました。
リストのピアノ曲というとやはり、『技巧的』という言葉が第1に出てきますが、私はむしろ叙情的というか、激しさと静けさの対比みたいなところに非常に魅力を感じていました。どっしりした構築の中に繊細なものがたくさん詰まっていて、それらをひとつひとつひも解いていく楽しみがあります。