サロメ 田崎尚美
オペラ《サロメ》のリハーサルが、都内の稽古場で行われた。このプロダクションは、ハンブルク州立歌劇場と二期会の共同制作で、演出は世界的活躍をみせるヴィリー・デッカー。演奏はフランクフルト歌劇場総監督セバスティアン・ヴァイグレが指揮する読売日本交響楽団だ。ヴァイグレは今年、同楽団の常任指揮者に就任したばかりで、就任後初のオペラとなる。
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まず目に飛び込んでくるのは、舞台全体に敷き詰められたむき出しの巨大な階段だ。無駄なものは一切置かれず、殺風景といえるほどシンプルなステージだが、その威容に圧倒される。この舞台に照明が入って、さらにいかなる変化が起こるのかに期待が膨らむ。また奥行きと高低差が十分にあるため、登場人物の動きが平面的にならず、よりダイナミックな演技が生まれ、目を引きつけた。
この日は、6月6日(木)・9日(日)公演キャストによる通し稽古だったが、圧倒的存在感を放ったのが、サロメ役の田崎尚美だ。全編出ずっぱりの彼女は、ヨカナーンとの出会いで生まれた愛情から狂気に至る心情を見事に演じていた。激情が溢れ出す絶唱から一転、冷静にただ状況を見つめる表情、妖艶な〈7つのヴェールの踊り〉など、ひと時も目を離せない。