日本の美が羽ばたく。Kバレエカンパニー『マダム・バタフライ』公開リハーサル
そしてまず公開されたのは、バタフライ(矢内千夏)とピンカートン(堀内將平)が初夜を迎えるパ・ド・ドゥ。直前には、バタフライの改宗に怒った伯父ボンゾウが乗り込んできて、結婚式を台無しにしたところだ。哀しみや不安を湛えて正座するバタフライを、ピンカートンはいたわるように後ろからそっと抱きしめる。その優しい求愛に、バタフライの表情も徐々にほぐれていく。ピンカートンにリフトされ、ひらひらと手を羽ばたかせるバタフライ。やがて愛の喜びの中、バタフライはピンカートンに肩を抱かれ、奥へと消えていく。15歳のバタフライの可憐さと心の繊細な移ろいを、余すところなく踊る矢内。堀内演じるピンカートンの紳士ぶりも印象的だ。
続いて披露されたのは、花魁道中。熊川は、ピンカートンとバタフライの出会いの場として遊郭の場面を作った。色とりどりの扇を立体的にひらめかせる女性達。その中央に立つのが、山田蘭演じる花魁だ。笑顔を見せない彼女の表情は憂いを帯び、冒頭で熊川が語った写真を思い起こさせる。女性達の艶やかな色香にすっかり当てられてしまった様子のピンカートン。ダメ押しのように、花魁は彼に流し目をするのだった。
日本的な所作を学ぶため、日本舞踊や歌舞伎の映像を参考にしたという矢内はパ・ド・ドゥについて「心の中では色々な感情が渦巻いているのですが、感情をぐっとこらえることで伝えられるものもあるのではないかと思って演じています」。