元NHKモスクワ支局長が指揮者・ゲルギエフの素顔を紹介!
(原作が描く)賭博の持つ運命という性質を意識的に引き継いでいる」と解説した。
一方、小林氏はゲルギエフの人物像について紹介。小林氏がゲルギエフに初めて会ったのはソ連が崩壊した翌年、1992年の10月。当時、30代でマリインスキー劇場の芸術監督だったゲルギエフは初対面で小林氏に「お前を知っている」と声を掛けたのだとか。小林氏は、ソ連時代からロシア語を操り、ゴルバチョフに直球の質問をぶつけて取材をしており、ゲルギエフはそれを見て「面白い質問をするジャーナリストがいる」と認識していたそう。
すぐに打ち解けたゲルギエフに小林氏は、国家の混乱の中で文化が崩壊する懸念を伝えると、彼は「政治や経済がダメになって、一緒にダメになるようなものは文化とは言わない。本物の文化によってロシアを再生させてみせる」と言い放ったという。
またゲルギエフの“育成家”としての側面も紹介。
以前から小林氏に対し「あの子に注目しておけ」と無名の若き才能についてたびたび言及していたとのことだが、そんな彼が日本人ピアニスト藤田真央の名を注目の存在として挙げたという。「若い力を育てるのが自分の仕事だというのが彼の信念であり、真央くんを育てるべき才能のトップに据えている」