綾田俊樹×ベンガル×平山秀幸が挑む、ホームレス芝居の新たな地平
彼らの“虚実ないまぜ”話に平山は「ドラマ性を感じた」として、旧知のシナリオライター・安倍照雄に脚本を依頼したと振り返る。
今回の上演にあたって再び多摩川を訪れると、2019年10月の台風19号による氾濫で全てを流されても戻ってきた、打たれ強いホームレスの姿が。綾田は「たくましい生活力を持つ人たちを身近に感じてもらえるように」、ベンガルは「社会からドロップアウトせざるを得なかった彼らの事情を念頭に置きながら」それぞれの役どころを全うできれば、と静かに決意を新たにしてみせる。
平山は、第2回公演から東京乾電池を“追っかけ”ている生粋の劇団ファン。「(綾田とベンガルの)ふたりが気持ちよく芝居できる手伝いができたら」という思いで、本作も演出を手がける。脚本・てっかんマスターの正体は、東京乾電池の劇団員・戸辺俊介。乾電池“一味”が揃い踏みする中、劇団に縁のあるゲスト・広岡を、ベンガルが「あいつが河原に現れるだけで強烈だよな……」と評すると、綾田もすかさず「洪水以上のインパクトあるよね!」と続く。その様子を見守っていた平山も大きく頷き、「放し飼いで好きに演じてもらえたら、それがいちばんおもしろいよね」