──一転して、今度のコンサートでは、王道中の王道、チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番(第1楽章)です。
幼い頃から弾きたいと思っていた曲です。オーケストラも重厚で、派手で華やかなイメージがあると思うんですけど、実際勉強してみるとすごく繊細で、心の中でうごめくような感情、微妙な感情の変化を表現できたらなと思います。誰もが知っている曲なので、より難しくなるとは思うんですけれども。
──聴いて影響を受けたピアニストの演奏はありますか?
あまり誰の演奏という意識では聴かなくて……。いろいろ聴いてもレッスンを受けても、それぞれの解釈があるので、それらをうまく取り入れながら、自分の音楽にしていかないとならないので。
──優勝から3か月あまり。周囲の環境がずいぶん変わったのではないですか?
少しずつ本番が増えてきたり、忙しくなって、半分慣れないままですけれども、常に何かあったほうが自分のモチベーションになるので、今のところ楽しくやっています。
その中で、本番に引っ張られるのではなくて、本番をうまく次に繋げていくためのステップにできるようにと考えています。若い勢いのある演奏だけでは、今後どこかで通用しなくなると思うので、誰もが弾くような曲でも、ひと味もふた味も違う、“あ、上手いな”と思わせる演奏ができるように、内面的な部分をもっと磨いていきたいと思います。