浅田舞・真央姉妹5月20日発売の『女性セブン』が、【「密着姉舞とギャンブル」姉妹の袋小路】との見出しで元フィギュアスケート選手・浅田真央の近況を報じている。なんでも最近になって、真央が住んでいた1LDKの単身者用マンションに姉の舞が移り住み、姉妹は“同居状態”にあるのだという。自身もフィギュアスケート選手だった舞は引退後に解説者・スポーツキャスターへ転身、また国民的スターである妹の素顔を明かすサービストークも重宝されて、タレントとしてバラエティー番組でも引っ張りだこに。その奔放な性格からか、熱愛をスクープされることも多かった。「中でも結婚目前と言われた相手が『ONE OK LOCK』のTAKA。2018年に交際が明らかになると、翌年のワンオクの北米ツアーにも同行したりとすっかり世話女房の様相。ところが、彼は遊び足りなかったのか、互いの結婚への意識にズレが生じて2019年の夏頃には破局に至ったのです」(スポーツ紙芸能デスク)TAKAとの別れが精神面に、仕事面に影響を及ぼしたのか、翌2020年に15年間所属した大手マネジメント事務所との契約を終了。個人事務所に移籍した舞だったが、以後はコロナ禍もあってか、目に見えて減っていったメディア露出。そんな折に、冒頭の女性セブンが捉えた舞の姿というのがーー。「周囲にバレたくなかったのか、キャップにメガネで素顔を隠し、そして黒いマスク姿の彼女がGWにひとりで訪れたのがパチンコ店。当たりやすいとされる5月5日の“ゾロ目”を狙ったのか、朝にフードデリバリーサービスを受け取ると、そのまま6時間ほどスロットとパチンコを“ハシゴ”して打った、とあります。たまの息抜きというよりは、かなり手慣れた“打ち筋”から察して結構な頻度で通っているのかなと。舞さんのイメージからは想像できない意外な一面ですね」(同・芸能デスク)北京五輪に姿がなかった真央現状の仕事ぶりを公式HPで確認すると、テレビ出演を果たしたのは昨年11月が最後で、2022年2月の北京五輪でもスポーツキャスターとしての姿はなかった。インスタグラムは更新しているようで、4月に社交ダンス大会に出場したことを報告している。YouTubeチャンネルも昨年9月に開設しているのだが、チャレンジ企画を中心とした動画を5本投稿して以降は、これも11月を最後にパッタリとストップ。チャンネル登録者数は1万人台と順調とは言い難そう。そんな舞と同様に、“稼ぎどき”の北京五輪に登場することはなかった妹の真央。自身のインスタグラムを更新し、《坂本花織選手、銅メダル!おめでとうございます!》と祝福のコメントを送るだけにとどめた。2010年のバンクーバー五輪銀メダリストで、フィギュアスケート人気を支えてきた彼女が五輪にいないのは、いささか不自然に思えたが……。五輪開幕のおよそ1年前の2021年4月、2018年からスタートしたアイスショー『浅田真央サンクスツアー』を完走した真央。すると翌5月に、姉を追うように同じ大手マネジメント事務所を離れているのだが、この浅田姉妹の選択に広告代理店営業担当は首をかしげる。「現在は揃って別のマネジメント会社と契約を結んでいる姉妹。前事務所は坂本花織選手をはじめ、現役のトップスケーターや有名アスリートらが所属していて日本スケート連盟と、そして各テレビ局やナショナルクライアントとも関わりが深い。移籍で揉めたとは聞きませんが、匡子さん(舞と真央の母、2011年に他界)が亡くなって以降、“母親代わり”として公私に真央ちゃんをサポートしてきた女性マネージャーと袂を分けるほどですから、もしかすると何か大きな決断をさせる出来事、トラブルがあったのかも」北京五輪に参加しなかった理由を、2月に『週刊女性』が確認したところ、《北京五輪に関するメディアの出演依頼はありましたが、浅田がプロデュースする新たなアイスショーの全国開催に向けた準備を、今は最優先で行っているところです。》あくまで真央自身のスケジュールの都合からオファーを断ったとして、前事務所とのトラブルについては明確に否定していた新マネジメント会社。「真央は寂しい思いをしています」13歳で世界ジュニア選手権を制して“天才少女”として名前が伝わると、その天真爛漫な笑顔で世間を魅了して一躍、国民的スターになった真央。「国内外を含めたフィギュアスケート大会は、俄然注目を集めてテレビ放送権は高騰、多くのスポンサーが出資を希望する“ドル箱”に。それに伴って、ジャンプ成功で溢れるほどの笑顔を見せていた少女を取り巻く環境も大きく変化したのです。それこそ別世界の華やかな舞台も経験し、一方でお金に執着する大人たちも目に映っていたかもしれない。もはや自分だけのスケートではない、常に結果が求められるプレッシャーからか、リンク上で見せる笑顔が少なくなっていったように見えましたね」(前出・広告代理店営業担当)そして2017年4月、「悔いはない」と引退を決意した真央はスッキリとした笑顔とともに、どこかホッとしたような表情も見せていた。「フィギュアから離れたら、普通の女の子なんですよ」とは、フィギュアスケートを取材するスポーツライター。「国民的スターの“しがらみ”から解放された今、真央ちゃんが損得なく頼れる、甘えられるのが姉の舞ちゃんだけなんでしょう。まだ子どもっぽいところもありますし、舞ちゃんがお母さん代わりとして近くで妹をサポートしているのでは? なんというか、互いに支え合って、依存しあう関係なのかも。結構、寂しがりですしね(笑)」2020年5月放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)に舞が出演した際に、真央からの本音アンケートが紹介される場面があった。【恋人がいる舞さんと、お一人様になった舞さん、どちらが好きですか】という質問に、《1人の舞の方が好き。恋愛している舞は全て相手に合わせて自分を失ってしまい、家族のことも忘れてしまうので真央は寂しい思いをしています》と回答していた真央。姉は現在“お一人様”なのか、同居生活を望んだのは妹の方なのかもしれない。
2022年05月20日中学1年のあどけない羽生結弦と田中刑事(’07年『全日本ノービス選手権』公式パンフレットより)《競技人生を通して得られた経験の数々は、私の人生においてかけがえのない宝物です》4月11日、フィギュアスケートの田中刑事が、自身のSNSで引退を発表した。「田中選手は羽生結弦選手と同い年で、幼いころからよき仲間、よきライバルとして切磋琢磨してきました。’18年の平昌五輪には、羽生選手とともに日本代表のひとりとして出場しています。日野龍樹さんも同期のひとりでしたが、昨年すでに引退を発表しており、羽生選手の同期はいなくなってしまいました」(スポーツ紙記者)羽生結弦が田中刑事にどうしても勝てなかったこと羽生、田中、日野の同期3人が出会ったのは、’04年のこと。「長野県の野辺山高原で夏に行われていた、『全国有望新人発掘合宿』でのことです。『野辺山合宿』と呼ばれていたこの合宿では、体力の測定やスケート演技のテストを行って強化対象となる選手が選ばれ、選手には通知表のようなものが渡されます。荒川静香さんや浅田真央さんなども、かつてこの合宿に参加していました」(同・スポーツ紙記者)今となっては2度の冬季五輪金メダル、全日本選手権では6度の優勝を果たすなど、輝かしい戦績を残している羽生だが、当時はその片鱗を見せることはなかった。スポーツライターの梅田香子さんが、当時について明かす。「その年の演技のテストでは、日野選手がダントツの評価で、田中選手がその次、羽生選手は、高い評価を得ることはできませんでした。このこともあり、強化対象には日野選手、田中選手はすんなり決まりましたが、羽生選手については迷ったようで、最後に名前が足されたといいます」初めて間近で見た同期たちの演技は、羽生を奮起させるきっかけとなっただろう。それを示すように、羽生は合宿参加4年目となった中学1年のときに、作文にこう綴っている。《久しぶりに見た皆の滑り、皆やっぱりうまくなっていた。ぼくは負けてたまるかと思いながら練習した》さらに、羽生がどうしても田中に勝てなかったことがある。「2キロのランニングです。野辺山は高地なので空気が薄く、大人でも体調を崩すほど、走るには過酷な環境。なので、小学生だった田中選手や羽生選手にとっては相当厳しいものでした。羽生選手は、最初の数年はいつもランニングで苦労して、女子選手にも抜かれていたほど。そんな中、田中選手は余裕の1位でした」(梅田さん)その試練も、羽生は力にかえた。《野辺山には、もう1つ疲れる要素があった。それは酸素の量。野辺山は標高がかなり高いので酸素の量が少ない。このつらい状況でもやらなければならない。だが、皆同じ状況でがんばったのだからと思うと気合いが入った》(前出・羽生の作文より)田中刑事という存在のおかげで、羽生は高い“ヤマ”を乗り越えていった─。梅田香子’09年から在米。著作に今川友子との共著『フィギュアスケートの魔力』(文春新書)など多数。長女は米国認定フィギュアスケート・インストラクターとして活動中
2022年04月21日中京大学の入学式で取材に応じた鍵山優真「これまでは実感がなかったんですけど、入学式に参加したら、“本当に大学生なんだな”と思いました」4月5日、北京五輪と世界選手権で銀メダルを獲得したフィギュアスケートの鍵山優真が、中京大学の入学式に参加した。「中京大学は、浅田真央さんや安藤美姫さんなど、フィギュアスケートのトップ選手が多く通っていたことでも知られています。現在も世界選手権金メダルの宇野昌磨選手や、ペアで銀メダルを獲得した三浦璃来選手らが在学中です」(スポーツ紙記者)僕はちゃんと4年で卒業したいので…入学式後の会見には、コーチである父・正和さんに買ってもらったという新しい紺のスーツ姿で登場。少し緊張した面持ちで、中京大を選んだ理由についてこう話した。「スケートをやるうえでの環境がいちばんの決め手となりました。中学や高校はあまり行けていなかったので、大学生活こそは楽しみたいと思いながらも、スケートでもっと上を目指したいと思ったので。父とも、“環境で選ぶならここしかないよね”という話をしました」(鍵山、以下同)中京大には国際スケート連盟の基準を満たしたスケートリンクがあり、選手にとってはこの上ない練習環境が整っているのだ。スポーツ科学部に進学する鍵山は、もちろん勉強にも意欲を見せている。「栄養のことやトレーニングの仕方、身体づくりなどは今後につながってくると思うので、しっかり勉強したいと思います」これからは、かなりハードな新生活になりそう。「単位が大変になると思います(笑)。僕はちゃんと4年で卒業したいなって思ってるので、大学生活とスケートをしっかり両立させたいです」大学生活と競技の両立、その難しさ“4年で卒業”なんて、わざわざ目標に掲げることのようには思えないけれど、先輩スケーターたちはそろって苦戦していた様子。「中京大学の先輩である浅田さんは、’09年に入学して、1年間の休学を挟んで’15年に卒業しています。宇野選手も、’16年に入学して現在も在学中です。また、早稲田大学に通っていた羽生結弦選手は8年生で卒業しています」(前出・スポーツ紙記者)スポーツジャーナリストの折山淑美さんも、大学生活と競技を両立する難しさを憂慮する。「試合では遠征があり、当然、日々の練習時間を確保する必要もあります。大学の勉強や課題などをこなす時間をつくるのはかなり難しいでしょう。特に本格的なシーズンに入ると、練習以外はほとんど何もできないのではないでしょうか」あの選手たちも……。「北京五輪金メダリストで、アメリカの名門・イェール大学を休学していたネイサン・チェン選手は北京五輪を終えて、復学して勉強に集中したいと言っています。羽生選手もコロナ禍に卒論を仕上げていましたが、試合がなくなり時間ができたおかげだと思います」(折山さん、以下同)鍵山は先輩金メダリストたちに倣って、大学4年で迎えるミラノ・コルティナ五輪での金メダルに向けて、競技を優先させるだろう。「本人も“なにがなんでも4年で卒業”と思っているわけではないでしょう」学業とスケートを両立する難易度は高いけど、金メダル級の努力で頑張ってほしい!
2022年04月14日2022年4月11日、フィギュアスケートの田中刑事(たなか・けいじ)選手が、現役を引退することを発表しました。7歳の頃にフィギュアスケートを始め、ジュニア選手権や世界大会で活躍してきた田中選手。2018年の平昌オリンピック冬季競技大会では、フィギュアスケート男子に代表として出場しました。田中選手は今季限りで現役を引退し、今後はプロスケーターとして活動しながら指導者を目指すといいます。現役を引退するにあたって、自身のTwitterでこのように想いを明かしました。このように長い間充実した競技人生を歩むことができたのは、ひとえにこれまでご指導くださいましたコーチの方々や関係者の皆様方、支えてくれた家族や友人たち、切磋琢磨し合ってくださった選手の皆様、そして、応援してくださっているファンの皆様のおかげです。競技人生を通して得られた経験の数々は、私の人生においてかけがえのない宝物です。本来ならば、お一人お一人に直接感謝の気持ちをお伝えしたいのですが、まずはこの書面にて、心より御礼を申し上げたいと思います。@deka_1122ーより引用皆様にご報告があります。こちらをご一読いただけますと幸いです。 pic.twitter.com/ViSsavz68m — 田中刑事 Keiji TANAKA (@deka_1122) April 11, 2022 2018年には人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の主人公である東方仗助のコスプレで演技を披露し、ネットで話題になった田中選手。その後も『ジョジョ愛』をフィギュアスケートで見事にアピールし、エンターテイナーとしても多くの人を笑顔にしました。田中刑事、『ジョジョ愛』炸裂のエキシビジョンに反響!「最高」「リーゼントやばい」今後について、田中選手は「フィギュアスケート界に貢献できるよう、より一層努力してまいります」と意気込みを語っています。田中選手の歩む新たな道が素晴らしいものであるよう、きっと多くのファンが応援していることでしょう![文・構成/grape編集部]
2022年04月11日左から時計回りに羽生結弦(JMPA代表撮影)、宇野昌磨、鍵山優真北京五輪の感動が冷めやらぬ中、フィギュアスケートの世界選手権が行われた。「フランスのモンペリエで開催され、男子シングルには、宇野昌磨選手、鍵山優真選手と、友野一希選手(23)が出場しました」(スポーツ紙記者、以下同)宇野昌磨は世界選手権で初優勝し、世界歴代3位という高得点で自己最高を更新した。友野一希は6位に終わったが、北京五輪で銀メダルを獲得した鍵山優真は前回大会に続き2位になり、日本勢がワンツーを果たした。しかし、ケガによる欠場も相次いだ大会でもあった。「代表に内定していた羽生結弦選手は、北京五輪の公式練習で4回転半に挑んだ際に負傷した右足が完治していないため、3月1日に欠場を発表しました。北京五輪金メダリストのネイサン・チェン選手も慢性的なケガをこれ以上悪化させないために欠場。羽生選手の代わりに補欠から繰り上がって出場することになっていた三浦佳生選手(16)も、左足の肉離れにより出場できなくなりました」それでも日本の男子選手は、活躍が期待されていた。「北京五輪銀メダリストの鍵山選手、銅メダリストの宇野選手は、海外メディアからも優勝候補として注目を集めていました。そして、羽生選手の“代打の代打”の友野選手は、1月の『四大陸選手権』で2位、3月20日まで行われていた『プランタン杯』では優勝しており、好調そのものでした」躍進を見せた友野一希選手そして、前評判どおりの結果に。「ショートプログラムで日本男子が1位から3位を独占すると、フリーでも会心の演技を見せ、宇野選手が金メダルを獲得。今シーズンの締めくくりとして、素晴らしい結果になりました。羽生選手が不在でも、日本男子の存在感を世界にしっかりアピールできましたね」今回の躍進で、友野の名前を初めて知った人も多いはず。スポーツジャーナリストの折山淑美さんによると、突発的な事態に強いという。「平昌五輪が行われた2018年の世界選手権では5位になった選手です。そのときも、羽生選手が欠場することになり、補欠の一番手だった無良崇人選手が辞退したことによる“代打の代打”としての出場でした。2016年の世界ジュニアにも、出場予定だった山本草太選手がケガをしてしまったため、代打で出場しています。“表現力もジャンプも”と、複数の要素で上を目指そうとするため、演技が安定しない時期もありましたが、こういった場面できちんと結果を出せる選手です」2度目の世界選手権出場となった鍵山は、北京五輪を終えて帰国してから、お世話になった人への挨拶や大学入試、高校の卒業式と、とにかく大忙し。「帰国したら会いに来てくれるとは聞いていましたが、いきなりお土産のビンドゥンドゥンのTシャツを持って歌いながら現れて(笑)」と、一昨年から鍵山の靴の調整をしている『小杉スケート横浜店』の鷹取吾一さんが明かす。春から新生活を始める鍵山優真選手「普段は、ゲームやアニメの話をよくしますが、最近は会える機会も減ってしまったので、近況報告が多いですね。そのときは、世界選手権に佳生くんが出場する予定だったので“佳生くんから電話かかってきたよ、めっちゃ緊張してた(笑)”という話をしていました。佳生くんとは、仲がいいみたいです。春から中京大に進学するので、なかなか会えなくなるのが寂しいです。ただ、靴の調整のときは横浜に帰ってくるみたいなので、定期的には会えると思います」鍵山は“教科書のような滑り”とも評されるが、鷹取さんもその一翼を担っている。「以前までは、靴に合わせた滑り方をしていたようですが、今は優真くんの滑りに合わせて調整しています。無理せず自分のタイミングで跳べて、無駄な動きをせずに身体が使えるようになってきたのではないでしょうか」(鷹取さん)『星槎国際高校横浜』の卒業式では、同級生たちと久々に再会。その様子を教えてくれたのは、スケート部監督の松下清喜先生。「同級生で体操選手の岡(慎之助)ともスノーボードの吉沢(光璃)とも、楽しそうに話したり写真を撮ったりしていましたよ。卒業式の挨拶では“無事に卒業できたのはみなさんのおかげです。新しい目標に向かって頑張ります”と話していました。ひとまず、卒業できたことに安心した様子でした」一方、宇野は愛犬や家族とのつかの間の休息を過ごし、最終調整はスイスで行った。「行きつけの焼き肉店を家族で貸し切りにして、北京五輪での活躍を労ったそうです。コーチのステファン・ランビエール氏には、お土産として米をプレゼント。また、スイスでは自炊をする機会もあったようです」(宇野の知人)若手に乗しかかる“王者の呪縛”それぞれがリフレッシュして挑み“羽生だけじゃない”ことを見せた世界選手権。新たな4年が始まる来シーズン、さらに勢いを見せていくには、何が必要か。「宇野選手、鍵山選手の更なる飛躍は、ここからの伸びにかかっています。今までは、勝利へのプレッシャーを羽生選手が背負ってくれたおかげで、無心で試合に挑めた部分がありました。しかし、これからはそれを自分たちで背負いながら、戦っていかなければなりません。なので、技術の向上だけでなく、どう精神的に成長していくかがいちばんのポイントとなるでしょう。宇野選手は“勝ちたい、世界一になりたい”と意識しすぎて苦労した時期もありましたから……」(折山さん)長年“絶対王者”といわれ続けた羽生にとって、それは“王者の呪縛”でもあっただろう。3月15日に95歳となった宇野の祖父、宇野藤雄さんは「昌磨は練習や試合で忙しいのでなかなか会えていませんが、世界のトップで戦うプレッシャーをかわすことのできる子です」と太鼓判を押す。「鍵山選手や佐藤駿選手(18)や三浦選手など、同世代が競り合っている中で、少し上の世代にいる宇野選手、そこにしぶとく割り込む友野選手と今の日本男子は層が厚いです。特に宇野選手と鍵山選手には、羽生選手が一身に受けていたプレッシャーを背負っても高いレベルで戦えるようになってもらわないといけないですし、それだけの素質はある選手だと思います」(折山さん)日本男子フィギュアの未来は明るい!折山淑美’90年代初頭からフィギュアスケートを取材し、’10年代からは羽生結弦を丹念に追っている。’21年には羽生との共著『羽生結弦 未来をつくる』(集英社)を刊行
2022年03月29日フィギュアスケート選手の宮原知子が26日に自身のアメブロを更新。現役の引退を決断したことを報告した。この日、宮原は「本日は、私の24歳の誕生日です!」と切り出し「このような日に、私から皆様へご報告したいことがあります。この度、現役を引退することを決断いたしました」と報告。「唐突なご報告で申し訳ございません」と述べ「いつが良いか思案した結果、自分の誕生日にしよう!と思い、本日となりました」と説明した。続けて「今シーズン、スケート人生で1番、自分と向き合い、毎日を大切に過ごしてまいりました」と振り返り「これまで以上に、もうこれ以上はできないと納得いくまで練習し、試合に臨んだシーズンでした」とコメント。「私の中で悔いはなく、やりきったという気持ちでいっぱいです」と心境を明かした。また、今後について「夢は沢山ありますが、まずはプロスケーターとして自分のスケートを極め、新境地を開いていけるよう、これまでの経験を活かして頑張っていきたい」と説明。「詳細につきましては4月1日にメディア公表をいたします際にお話しさせていただきます」と予告した。最後に「スケート人生を通してサポートしてくださったコーチの方々、家族、友達、スケート連盟の方々、スポンサーの方々、ファンの皆さま、関係するすべての方々に感謝申し上げます。本当に本当に本当にありがとうございました」とつづり「一言では伝えきれない気持ちでいっぱいです。この気持ちを少しでも自分のスケートで恩返しという形でお伝えできますよう、精進いたします」と決意のコメント。「新しい幕を切り開いた、新しい宮原知子を今後ともどうぞよろしくお願い致します」と呼びかけた。
2022年03月26日羽生結弦撮影/JMPA「僕も……、出たいです(笑)」羽生結弦が、日本オリンピック委員会の公式Twitterに投稿された動画でこう話した。「現在、’30年の冬季五輪を北海道の札幌で開催しようと、招致活動が行われています。今回の動画もその一環で、ほかにも、フィギュアスケートの鍵山優真選手、宇野昌磨選手や、スキージャンプの小林陵侑選手など、北京五輪で活躍した選手たちも参加。それぞれが札幌五輪への思いを語っています。’30年冬季五輪は年内にも開催地が内定する見込みです」(スポーツ紙記者)貴重なチャンスに羽生も本気か羽生のこの発言を受けて、ファンたちは歓喜の声を上げている。「8年後には35歳となっている羽生選手。コーチとして帯同するのか、開会式や閉会式に登場するのか、はたまた代表選手として出場するのか、どんな形で札幌五輪に出てくれるのか楽しみです」(羽生のファン)動画では、“出たい”と言いながら思わず笑ってしまった羽生。リップサービスのようにも思えるが、2度の冬季五輪出場経験があり、現在はフィギュアスケート振付師として活動する村主章枝さんは“あながちそうでもないのでは”と推察する。「自国開催の五輪というのはやはり特別。前回、日本で冬季五輪が開催されたのが’98年長野五輪で、次が’30年札幌五輪だとすると、その間は32年。タイミング的に、出場できるチャンスはなかなかないので、羽生選手も案外本気かもしれませんね(笑)」しかし、北京五輪で表彰台にのぼったのは10代や20代の選手だけ。35歳で出場できる可能性はあるのだろうか。“アダルトな羽生結弦”を五輪で見られる可能性「30歳を越えると身体のダメージの回復が遅くなるので、若いときと同じ練習方法では難しいかもしれませんが、それを工夫すれば問題ありません。男性のアスリートで35歳以上の方もたくさんいますから」(村主さん、以下同)実際、北京五輪代表の座を小松原美里・小松原尊組と争い、3月21日から行われる世界選手権にアイスダンスで出場する高橋大輔も、現在36歳。また、競技を長く続けることには、メリットも。「私自身、今は指導や振り付けをやっていますが、33歳まで競技を続けた経験が生きていると思います。’06年のトリノ五輪で4位となった後、成績は下り坂の傾向でしたが、そのときの経験で、選手を育てるいろんなアプローチを学び、身体の使い方の引き出しが増えました。長く競技を続けると、その先のキャリアに生かすことができる面もあると思います」そして、村主さんはこんな可能性も指摘する。「28歳以上が出場できる『国際アダルトフィギュアスケート競技会』という大会があり、年々規模が大きくなってきています。“アダルト”といっても、落ち着いた大人の雰囲気の大会というよりは、かなり本気の世界大会。若い選手と変わらない熱い戦いをしています。’30年の札幌五輪のころには、日本でももっとメジャーな大会になっているかもしれませんし、それに羽生選手が出る可能性もあるでしょう。そうなれば、オリンピックで“アダルト”な羽生選手が見られるかもしれません」年齢を重ねたゆづの大人の魅力も見てみたい!
2022年03月17日羽生結弦(JMPA代表撮影)羽生結弦が、3月にフランスのモンペリエで行われる『世界選手権』に出場しないことを発表した。「感動を呼んだ北京五輪から帰国し、3月1日の0時ちょうどに隔離期間が明けると、翌日の3月1日に欠場が発表されました。理由は、北京五輪の練習中に負傷した右足の捻挫がまだ完治していないためです。羽生選手の代わりとして補欠の三浦佳生選手が繰り上がり、日本男子は、北京五輪銀メダルの鍵山優真選手、銅メダルの宇野昌磨選手を含めた3選手が出場します」(スポーツ紙記者)羽生のピンチヒッターとなった三浦はどんな選手なのか。フィギュアスケート評論家の佐野稔さんに聞いた。「今年1月に行われた『四大陸選手権』で3位になったのが三浦選手です。『四大陸』では日本選手の活躍が目立ち、2位が友野一希選手、4位が三宅星南選手でした。三浦選手は16歳とまだ若いですが、4回転トーループ、サルコウが跳べて、ループもあと少し。非常に早くから注目されていた選手で、『世界選手権』では“台風の目”となることもありうる有力選手です」どんな展開になるのか注目が集まるが、羽生のファンのSNS上では、今回の欠場を機に引退を心配する声が上がっている。《これでもし引退したらロンカプ様も競技では観られなくなるのか》《引退しないでっ!!広いリンクで、もう一度(いや何度でも)見たい見たい見たいー》羽生引退後のスケート界に不安いまだ羽生の口からは語られない進退だが、いつかは訪れる“羽生不在の未来”には不穏な空気が漂う。「金銭的な問題が心配されているんです。日本スケート連盟は、フィギュアスケートによる収入をその競技だけで使うのではなく、スピードスケート、ショートトラックも合わせた3競技に振り分けていますから、フィギュアだけでなく、ほかの競技にも影響が……」(スケート連盟関係者)そんな懸念が生まれるスケート連盟のお金の流れについて、スポーツライターの梅田香子さんが教えてくれた。「日本スケート連盟の収入源のひとつは“選手の登録費”です。区分ごとに決められた1人1万円程度の金額で、選手は連盟に登録をしていないと、試合には出られません。ですが、登録している人数が多くありませんので、さほどの収入にはなりません。やはり“テレビの放映料”や“スポンサー料”が重要な収入源です。羽生選手のようなスターがいるかいないかで、大きく金額が変わってきます」その使い道は、主に選手の育成だという。「スケート連盟はリンクの運営はしていませんが、費用を負担したうえで一般企業が運営するスケートリンクを貸し切り、強化選手のために練習の機会を設けているのです。放映料などによる収入が増えたことによって、日本の多くのリンクでこういったことができるようになりました」(梅田さん)“フィギュアの顔”ともいえるスター選手が不在になると……。「もしも羽生選手が競技を引退する場合、テレビの放映料などが今ほど入ってこない可能性はあります」(梅田さん)“ポスト羽生”の期待がかかる選手では、羽生ほどの存在になりうるような選手はいるのだろうか。「『世界選手権』に出場する三浦選手は羽生選手を尊敬していて、食事に関するアドバイスも受けたことからファンからも“弟分”のように見られています。また、『四大陸選手権』で世界のスケートファンにその存在を知らしめた三宅選手は王子様のようなルックスでも知られています。ただ、羽生選手はその圧倒的な人気を10年以上揺るぎないものにしていますから、ここまでの選手はなかなか現れないのではないでしょうか」(フィギュアスケートファンの女性)前出の佐野さんも続ける。「羽生選手の今までの実績は“超一流”にさらに“超”がつくくらい。“100年に1人”と言えるほどの選手なのは間違いありません。また、俳優やアーティストと違って、羽生選手のように世界規模でファンがいるスポーツ選手はなかなかいません。この先“羽生の再来”と言われる選手が出てくるのは限りなく不可能に近いと思います。私たちは、羽生選手と同じ時代を生きていることをラッキーだと思っていたほうがいいくらいでしょうね」羽生の次を担う存在がいなければ、やはりスケート連盟の収入減の可能性は否めない。それにより、さらなる次世代へも影響し、先細りの危機が。「スケート連盟の費用負担によるリンクの貸し切り練習の機会が減ることが考えられます。すると、選手が自費でリンクを借りたり、練習場所を求めて海外に行ったりする必要が出てきて、経済的に余裕のある家庭以外はスケートを続けることが難しくなってしまう。結果、限られた選手しか育たなくなり、世界で活躍する“第二、第三の羽生選手”も出てきづらくなりますよね」(梅田さん、以下同)競技人口を増やすことに注力それを防ぐために、スケート連盟は別の手を打とうとしている。「放映料による収入を当てにはせず、フィギュアが盛んな外国にならって、競技人口を増やすことに注力しようとしています。そうすれば、登録費による収入も増えますし、できることの幅も広がりますから」さらに、梅田さんは“ファン組織の構築”も重要だという。「会費制のサポーターシステムを作って、例えば、ファンが判定をしてそれをプロの審判による判定と照らし合わせるなど、ファンが楽しめる仕掛けをすれば、競技全体が盛り上がり、競技人口の増加にもつながって、レベルも上がっていくでしょう」これからも、国際大会の上位を日本選手が占める光景を見続けるために、ぜひ実現してほしい!佐野稔元フィギュアスケート選手。’76年インスブルック五輪に出場経験があり、’77年世界選手権では3位となった。現在は複数メディアでフィギュアスケートの解説をしている
2022年03月08日羽生結弦2月21日、北京五輪での熱い戦いを終えた日本選手団が帰国した。「空港には約300人のファンが詰めかけ、帰国を待ち構えていました。中でも羽生結弦選手のファンが最も多く、到着する5時間前から待機していたという人も。22時ごろに姿を見せた羽生選手は“ありがとうございます”と何度も口にしながら会釈をしてファンの前を通過していきました。羽生選手の写真が大きく使われた新聞を見せてアピールするファンを見つけると“あら”とうれしそうに声をあげる場面もありましたよ」(ファンのひとり)3月にフランスで開催される予定の世界選手権の代表にも選ばれている羽生だが、出場についてはまだ明らかにしていない。「北京五輪での練習中に右足首を捻挫し、痛み止め薬を通常の数倍量飲んでいることもあり、まずは足を休めることが先決。ケガの回復や自身の気持ちなどを考えて、総合的に判断すると話していました」(スポーツ紙記者)中でも注目を集めたのが、エキシビションを終えて行われた囲み取材での、“今後”に関する発言だ。アイスショーなのか、競技なのか「フィールドは問わないって自分の中では思ってます。(中略)こうやってたくさん見ていただける“羽生結弦のスケート”というものを、ちゃんと僕自身、もっともっと納得できるような形にしていきたい。(中略)それがアイスショーなのか、競技なのか」これを受けて、ファンの間では多くの臆測を呼んでいる。羽生を長年取材し、北京五輪での会見では、演技の満足度を問いかけ“らしい質問ですね”と羽生から声をかけられたスポーツジャーナリストの折山淑美さんはこう推察する。「羽生選手自身、まだこの先についてじっくり考えてはいないでしょうし、質問されたから答えただけ。“まだ考えていません”とも言えたはずですが、彼はまじめだから“フィールドは問わない”と話したのでしょう」また、羽生がスケートを追求する“フィールド”も多くの可能性があるという。「羽生選手が卒論のテーマで研究したような、AIを活用したジャンプの理論をさらに突き詰めてフィギュアスケートをもっとわかりやすい競技にするなど、表現を追求する方法は競技やアイスショー以外にもたくさん考えられます」(折山さん)とはいえ、羽生が例に挙げたひとつが“アイスショー”だ。競技としてのフィギュアスケートとは何が違うのか、アイスショー出演経験もある元フィギュアスケート選手の渡部絵美さんに聞いた。「アイスショーには、決まったルールがなく、好きなことができます。採点もないので、ジャンプも自分の得意なものを跳べばよいですし、北京五輪のエキシビションでネイサン・チェン選手が披露したバックフリップのような、競技では禁止されている技も可能。曲の長さなども当然自由ですから、自分の表現力を遺憾なく発揮できます」より芸術性を高めていけるわけだが、羽生の“先輩”もその道を歩んでいる。「羽生選手と同郷の荒川静香さんは、’06年にトリノ五輪で金メダルを獲得した後、アマチュア競技を引退すると、プロに転向しました。’07年からは、自身で企画したアイスショー『フレンズオンアイス』を毎年開催しています」(アイスショー関係者)そのこだわりが強いことでも知られている。「荒川さんが求めるレベルに達した美しい滑りができないとキャスティングされず、それは元オリンピアンの有名選手でも同様です。アマチュア競技引退後、タレント活動などに忙殺されて練習機会が減ると、声がかからなくなってしまうほど。羽生選手もスケートの芸術性を追求する姿勢は図抜けていますから、同じ道筋をたどることも考えられるでしょう」(アイスショー関係者)羽生の行く末はいかに─。
2022年03月01日2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部ドンバス地方の住民を保護するためとして、ロシア軍に特別軍事活動を承認することを表明しました。それと同時に、ウクライナ軍に撤退を呼びかけたプーチン大統領。対してウクライナのゼレンスキー大統領は、全土に戦時体制を導入しました。同月25日現在、ロシアの侵攻を受けたウクライナでは、複数の都市が攻撃を受けています。メドベージェワ選手、反戦のメッセージで抗議軍事活動の表明が行われた同月24日、ロシアのフィギュアスケート選手であるエフゲニア・メドベージェワ選手が、Instagramのストーリー機能で投稿。黒い背景につづられたメッセージは、メドベージェワ選手の優しい性格が伝わる、心からの願いでした。jmedvedevaj スクリーンショット何かの悪夢のように、一刻も早く終わりますように。jmedvedevajーより引用(和訳)戦いが起これば多くの人が傷付き、命を落とします。メドベージェワ選手が投稿したのは、この『悪夢』が終わることを願った平和を祈るメッセージでした。また、『平和の象徴』とされるハトの絵文字が使用されている点からも、メドベージェワ選手の想いが伝わってきます。投稿は日本でも話題になり、メドベージェワ選手の勇気ある行動に多くの人から称賛の声が上がりました。・メドベージェワ選手の勇気に、心からの拍手を送りたい。・恐れずに声を上げていて、本当に素晴らしい。ロシア国内からの批判は大切だと思う。・反戦の意思表明をするメドベージェワ選手に感動して、涙が出た。産経ニュースによると、同月25日現在、ロシア各地でウクライナ侵攻へのデモが行われているといいます。デモを受け、モスクワでは少なくとも956人が治安当局に拘束。ほか、全国44都市で1745人以上の拘束が確認されています。参加者からは「ウクライナ人の前に立つのが恥ずかしい。謝りたい」「経済制裁、国際的孤立…ロシアはこれで終わりだと思う」という声が出ているという、ロシア国内でのデモ。きっとメドベージェワ選手だけでなく、多くのロシア人が平和を願っているのでしょう。平和を守るために私たちは何をすべきかを考え、1日も早くこの『悪夢』が終わることを祈るばかりです。[文・構成/grape編集部]
2022年02月25日フィギュアスケート男子シングルで銀メダルを獲得した鍵山優真(JMPA代表撮影・2022年北京五輪)《おめでとうを何回言っても足りないから何度も言う!鍵山優真選手銀メダルおめでとうございます!》《鍵山くんおめでとう!!!!キスクラ、毎回かわいい表情みせてくれてありがとう!!!!!!!!》得点が発表されるキス・アンド・クライで無邪気に喜ぶ様子にも注目が集まったのは、北京五輪で日本フィギュアスケート史上最年少の銀メダルに輝いた鍵山優真。「鍵山選手はすでに4年後のミラノ五輪を見据えて“金メダルを目指して頑張りたい”と宣言しています。まだまだのびしろしかない年齢ですから、可能性は十分にあるでしょう」(スポーツ紙記者)そんな鍵山は、『星槎国際高校横浜』に在学中の現役高校3年生だ。その素顔を、同級生で自身も体操選手として活躍する岡慎之助選手が明かしてくれた。「普段は“カギ”って呼んでいます。それか“ゆまさん”ですね。僕は、名字か“慎ちゃん”と呼ばれています」北京五輪での快挙に、アスリート魂が燃えたという。「いつもどおりの、優真らしい演技だったと思います。オリンピックという大舞台で勢いに乗った演技ができるところに、すごく感動しました。自分の心にも火がついて“優真みたいにならなきゃダメだ、頑張ろう”という気持ちになりました」学校ではアニメの話も高校は通信制で、鍵山と岡選手は月に1度ほど顔を合わせるかどうか。アスリートのクラスは生徒数がたった4人で、男子は鍵山と岡選手の2人だけ。「授業はまじめに聞いていて、休み時間にはゲームをしている姿を見ますね。私生活や趣味は普通の高校生と同じ。オンオフの使い分けが上手なんだと思います」アスリート同士の2人は教室で何を話すの?「学校では、あまりスポーツの話はしないんです。オフの日は“好きなことをやる”と決めているのかもしれません。体操も身体をひねる技があるので、冗談で“教えてあげるよ”と話したことはありますが(笑)。あとは、アニメについて“あのシーンよかったよね”と話すこともあります」そんな学校生活での最大の思い出も教えてくれた。「授業でスケートリンクに行く機会があり、みんなで楽しく滑ったあとに優真の演技を見せてもらいました。生で見るのはそのときが初めてだったのですが、4回転ジャンプも披露してくれて本当に感動しました。それがいちばん心に残っています」なんとも驚きの授業だが、もちろん一般的な教科もある。「優真は頭がよくて、どの教科もできるんですよ。もちろん、普段の予習・復習も頑張っているんだと思いますが、授業中の理解力もすごく高い。以前、数学を教えてもらいました」まもなく高校を卒業する“カギ”勉強以外にも驚くところがあるそうで……。「集中力ですね。学校で絵を描いていたときもすごく集中していて。練習の様子はわかりませんが、そういう部分が、スケートにも生かされているんだと思います」描いていたのはマンガのキャラクターだというが、それもかなりの腕前だったそう。スケートでは、演技やステップなども評価される“オールラウンダー”を目指す鍵山は、私生活ではすでにオールラウンダーなのかも。まもなく高校の卒業を迎える2人。岡選手は最後の思い出づくりを楽しみにしている。「まずはオリンピックのメダルのお祝いをしたいですね。学校で会う日も、優真は放課後に練習があったりして、一緒にごはんに行ったことがないので、次に会ったらおいしいものを食べに行きたいです。何を食べるかは、まだ考え中です(笑)」岡 慎之助 徳洲会体操クラブ。’19年『世界ジュニア体操競技選手権大会』個人総合金メダル。’21年『全国高等学校総合体育大会』では個人総合で3位に輝く
2022年02月23日フィギュアスケート男子シングルに出場した羽生結弦(JMPA代表撮影・2022年北京五輪)2月20日、閉会式が行われ、北京五輪が幕を閉じた。「同日、フィギュアスケートのエキシビションも行われ、出場選手には、アメリカのネイサン・チェン選手、鍵山優真選手、宇野昌磨選手などのメダリストと、羽生結弦選手や、個人戦をコロナ陽性で欠場することとなってしまったアメリカのヴィンセント・ジョウ選手などが国際スケート連盟によって選ばれました」(スポーツ紙記者)エキシビションに向けて、羽生は準備に余念がなかった。「個人戦を終えた4日後の2月14日には練習を再開させています。その後も何度か練習を行い、これまでの羽生選手のスケート人生を振り返るかのように、歴代のプログラムを披露し、調整していました」(同・スポーツ紙記者)それでも、不安がつきまとう。2月14日に行われた会見で、試合前日の練習での右足のケガについてこう口にしたのだ。「先日の練習で足を痛めて、4回転半で思いっきり片足で降りにいって、そのときに捻挫しました。その捻挫の程度も思ったよりもひどくて、本来だったら、普通の試合なら完全に棄権していただろうなと思いますし、今もちょっと安静にしていないと本当はいけない期間で、ドクターの方から“もう10日は安静にしてね”と言われているんですけど、それくらい悪くて」こうした発言や、演技後に見せた刀を収めるしぐさなどから、一部メディアでは引退説も取り沙汰されるほど。4回転半をやり切る決意しかし、羽生が通っていた東北高校フィギュアスケート部顧問の佐々木遵先生の目には、今も羽生の闘志は燃えているように映ったという。「まだ引退はしないと思っています。4回転半の成功まで、あと本当にもう少しですから。その“あと少し”が大変なんだと思いますが、足が限界でなければ、4回転半をやりきるんじゃないかなと思っています。会見での羽生くんの姿を見て、“そんなに簡単に俺は諦めないぞ”と言っているように感じました」では、右足のケガの状態はどうなのか。スポーツ関連の負傷に詳しい久我山整形外科ペインクリニックの佐々木政幸院長に聞いた。「足首は、外側のくるぶしから大きく3つ靱帯が出ていて、捻挫というのは、簡単に言うと、この靱帯の傷です。治すには2~3週間は動かさず、安静にすることがいちばんです。羽生選手は10日間の安静ですから、かなりひどい状態というわけではないと思います」とはいえ、ジャンプをするのはケガを悪化させそうなもの。「本来であればとにかく安静にするのがいちばんですが、ケガが治りきるまで動かないでいると、今度は関節が固まってしまう場合があります。そうすると競技への影響も考えられるので、関節が固まらないように適度に足を使いつつ治療を進めるという方法もあるでしょう。医師やトレーナーなどの判断を仰ぎながら決めたことだと思います」(佐々木院長、以下同)しかし、そのために羽生が“許容量以上”の痛み止めを飲んだと発言したことも、物議を醸している。「薬は、許容量を超えると副作用が大きくなります。一般的によくあるロキソニンやボルタレンなどの痛み止めの主な副作用には、胃腸障害があります。もちろん胃薬も一緒に飲んでいるとは思いますが、普通の量ではとても痛みを抑えられず、胃よりも足の痛みを鎮めることを優先したのでしょう。いずれにしても、ずっと身体を酷使しているから、傷が治りきる前に次の負担がかかっており、常に火に油を注ぐような状態で、完全回復はしていなかったのではないでしょうか」自分の挑戦する姿が励みになればそれが、ケガを繰り返す原因にもなっている。「靱帯は一度傷ついてしまうと、どうしてもゆるみが出たり、柔軟性が失われたりして“手負い”の状態になります。そうなると、本来はしなやかで衝撃に耐えうるはずの靱帯が、再び捻挫を起こしやすくなってしまうのです。そして捻挫を繰り返すと、そのたびに靱帯の強度が落ちる場合が多く、いくら固定をしてもケガをする前の状態には戻りません。こういった状態でスケートをするのは、本当はよくはないと思います」それならば、エキシビションへの欠場を決めたうえで、試合後すぐに帰国し、治療に専念することもできたはず。羽生はなぜそれをしなかったのか。2月14日の会見後に行われたNHKによるインタビューで、羽生はこう話している。「身体を痛めつけてでもやりたい表現であったり、見てもらいたい演技があるので、今はとにかくそこに全身全霊を込めたいなと思っています」羽生が4回転半を目指し続けた理由だと話した“9歳の羽生”を育てた都築章一郎コーチは、コロナ禍で暗い世界を憂えての発言ではないかと推察する。「東日本大震災で被災し、多くのみなさんから応援や励ましをいただいた経験から、今コロナで悩んでいる世界の方々に“自分のスケートがみなさんの励みになれば”という思いが強くあるのでしょう。だからこそ、どうしても滑りたいという強い意志を持っているのだと思います」皆が一つになることの素晴らしささらに、羽生なりの哲学もある。「羽生選手は験担ぎや神社巡りが好きな信心深いところがあります。それもあってか、“人にしたことは自分に返ってくる”という考えを強く持っています。なので、人のためになる行動をしようと意識もしていますし、自然とそれができるのです」(スケート連盟関係者)ファンからの応援について聞かれた羽生は、次のように感謝を表した。「何かをきっかけにしてみんながひとつになることが、どれだけ素晴らしいことなのかを、東日本大震災から学んだ気がしていて。もちろんつらい犠牲の中でのことですけれども、僕の演技が、みなさんの心が少しでもひとつになるきっかけになっていたら、やっぱり僕は幸せ者だなと思います。東日本大震災とか災害ではなくて、もっと何か健康的に、何かを犠牲にすることのない幸せな方向の(ひとつになれる)きっかけだったらとてもうれしいなと思って」“何かを犠牲にすることのない”と羽生は口にしたが、その足はケガが治らないまま。それでも、羽生は献身的に世界がひとつになることを願う─。佐々木政幸慶應義塾大学医学部の整形外科学教室に入局し、大学病院や関連病院を中心に診療後、久我山整形外科ペインクリニックを開業
2022年02月22日フィギュアスケートに人生を懸けてきた女性の夢と恋を描くロシア発のラブストーリー『ICE』が邦題『ICE ふたりのプログラム』として全国公開することが決定し、ポスタービジュアルが解禁となった。大怪我を負い、夢破れたフィギュアスケート選手のナージャ。絶望に塞ぎ込む彼女の前に現れたのは、明るくて無鉄砲なアイスホッケー選手サーシャ。型破りな手法で懸命にリハビリを支えるサーシャのおかげで次第にナージャは笑顔を取り戻す。やがて、再びスケートができるまでに回復したナージャ。彼女の新たな夢と恋への挑戦が始まる…。本作は、2018年ロシアで『ブラックパンサー』『フィフティ・シェイズ・フリード』を抑えて2週連続1位を記録し、年間興収4位を記録した大ヒット作品。主演はロシアを代表する名女優クセニア・ラパポルトの娘アグラヤ・タラーソヴァ、共演はロシアの映画賞であるゴールデンイーグル賞を2度受賞を果たす実力派アレクサンドル・ペドロフ、続編の『ICE2』でゴールデンイーグル助演女優賞を受賞したマリヤ・アロノーヴァが務める。フィギュアスケート大国ロシアで製作された圧巻のスケートシーンとまばゆい映像美がラブストーリーを彩る注目作だ。この度解禁されたポスタービジュアルは、“恋が夢を輝かせる―”のコピーとともに、ペアのフィギュアスケート選手ナージャと青年サーシャが氷の上で見つめ合う姿が幻想的に表現されており、夢と恋に葛藤しながらもまっすぐに向き合うふたりの姿ともリンクする。現在開催中の2022年冬季北京オリンピックでも話題のフィギュアスケート。氷上で展開する心ときめくハートフルなラブストーリーに期待が高まる。『ICE ふたりのプログラム』は5月13日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2022年02月18日浅田真央「いろんな思いがあっての、五輪だったと思います。どんな思いで戦いましたか?」わずかに声を震わせながら、羽生結弦にインタビューしていたのは金メダリストの荒川静香。「今回の五輪では、日本人選手の活躍もありますが、驚くような出来事もしばしば。“ロシアの天才”カミラ・ワリエワ選手のドーピング発覚や、五輪3連覇を有力視されていた羽生選手もメダル獲得ならずでした」(スポーツ紙記者)荒川だけでなく、元選手である鈴木明子や村上佳菜子が競技について解説する言葉にも、強い思いが込められる。ただ、フィギュア人気の火つけ役といわれた彼女の姿は、見当たらない……。「2018年の平昌五輪は引退直後でしたから、さすがに出演はないと思いましたが、北京五輪ではコメンテーターや解説者として出演するものだとばかり。それがフタを開けたらどこにもないんです、浅田真央ちゃんの姿が……」(スポーツライター)2005年、15歳でシニア部門の国際大会に初出場し、優勝。彗星のごとく現れた天才少女に世間は釘づけにされた。「真央ちゃんは小学生のころから、スケート関係者の間で“将来は表彰台の常連になる”と言われていました。トリノ五輪で荒川さんが金メダルを獲得しましたが、年齢規定で出られなかった真央ちゃんが出場していたら違った結果になっていたかも。同じ時期のGPシリーズで、荒川さんは真央ちゃんに負けていますから」(スポーツ雑誌編集者)日本スケート連盟との確執メキメキと力をつける浅田と比例して、フィギュアのテレビ中継も増え、ブームを巻き起こした。「真央ちゃんは2010年のバンクーバー五輪で銀メダルを獲得。2011年12月には母親の匡子さんが病気で他界するのですが、同月にあった全日本選手権で優勝。ただ、ここから少しずつ調子を落としていきます。さまざまな負担が彼女に重くのしかかっていたのだと思います。最後の五輪出場となった2014年のソチでは6位でしたが、あの演技は本当に美しかったですね」(同・スポーツ雑誌編集者)その後、1年の休養を経て復帰をするが、2017年に現役を引退。あれから5年の歳月が流れた今、こんな話も。「たびたび“真央ちゃんと日本スケート連盟の間には確執がある”と報じられ、業界でもまことしやかに噂されているんです。引退後は連盟に関した仕事をしていないことや、北京五輪で見ないのもその影響だって。連盟にいいように働かされた真央ちゃんが“もう嫌!”となったという構図も、わからなくはないのですが」(前出・スポーツ紙記者)確かに2005年度に約6400万円だった連盟の黒字額は、浅田の影響で2013年度には約11億円に膨れ上がっている。2014年のソチ五輪では、スケート連盟が浅田の合宿所として用意したのはアルメニア共和国にあるスケートリンク。そのリンクの氷には砂が混じっており、本番前なのにスケート靴のブレード部分が摩耗してしまうという出来事が。それが報道されると、ファンたちから連盟に批難が殺到したこともあった。実際に浅田と連盟の間には“確執”があるのか。フィギュア関係者が匿名を条件に詳細を明かす。「“アルメニアのリンク”については、みなさんが思っているイメージとはだいぶ事情が違います。海外で練習場の手配をするというのは、どの競技でも大変なこと。質の悪いリンクで練習しなければいけないこともあるのは、選手たちもよくわかっています」浅田を馬車馬のごとく働かせて荒稼ぎしていたということもない?「日本スケート連盟というのは、実態は“スケート好きのおっちゃんとおばちゃんの集まり”なんです(笑)。役員の中には地方で審判の仕事をしている人もいて、連盟からの収入だけでは生活できません。純粋にスケートが好きで携わっている人ばかり。2007年に真央ちゃんのコーチがいなくなったときも、連盟総出で探すほど必死にサポートしました。亡くなった真央ちゃんのお母さんはずっと身体が悪かったのですが、それも連盟が支えていました」(同・フィギュア関係者)前事務所とのトラブル説が浮上では、なぜ北京五輪で姿を見せていないのか。「真央ちゃんは昨年に事務所を移籍しているのですが、前事務所との間でトラブルがあったようで……」(同・前)今度は事務所間のトラブル説が浮上してきた。長年にわたって浅田とCM契約をしている寝具メーカー『エアウィーヴ』の高岡本州社長に話を聞くと、「事務所を移籍したのは事実ですが、私たちとのお付き合いはまったく変わっていませんし、トラブルがあったとも聞いていません。1月末に新CMの撮影を行ったときに真央ちゃんと会いましたが、今年もアイスショーを企画しているようで、そうとう練習されているみたいです。単に忙しかっただけではないでしょうか」新CMの撮影とは、ファンにとってうれしい情報だけど、本当に忙しいだけなのか。所属事務所に聞くと、「北京五輪に関するメディアの出演依頼はありましたが、浅田がプロデュースする新たなアイスショーの全国開催に向けた準備を、今は最優先で行っているところです。新型コロナの感染状況を見ての判断となりますが、開催は今年初夏ごろのスタートを目指しています。そのため、長期間にわたり拘束されるメディア出演はお断りさせていただいているのです。当然、前事務所やスケート連盟とのトラブルは、いっさいありません」アイスショーの準備に大忙しだというのだ。浅田真央が描く次の夢舞台とは浅田は2018年から自身がプロデュースするアイスショー『浅田真央サンクスツアー』を全国で開催してきた。そこにはこんな願いがあると、前出の高岡社長が明かす。「サンクスショーは、これまで真央ちゃんを応援してくれた人への感謝や、子どもたちにもフィギュアの魅力を知ってほしいという、彼女の思いからスタートしています。通常のアイスショーはチケット代が1万~3万円しますから、家族みんなで見るのは難しい。そこで1番いい席でも7500円という、安い価格で販売しているのです」そんな浅田に共鳴し、サポートをしてきたという。「当社では席の一部を買い取り、小さなお子さんたちを招待させていただき、ショーの後に真央ちゃんがレッスンをしてくれるという企画も行いました。後進の育成にも興味を持たれているようで、すごく楽しそうに指導していましたよ」(高岡社長)今後も多くの人にフィギュアの魅力を伝えていきたいという思いを持つ浅田だが、“新たなスケートリンクをつくるのが夢”とも語っている。昨年1月に都内のスケート施設が閉館するなど、練習場となるリンク自体が不足している現状。これでは選手も育たない。浅田は高岡社長にも相談しているようで、「以前に差し入れを持って練習場にお伺いしたことがあるのですが、時間は夜の10時でした。真央ちゃんですら、深夜でなければリンクが借りられず、練習することも難しい状況。だからこそ、真央ちゃんの夢として“真央リンクをつくりたい”という思いは、雑談の中でお聞きしています」(高岡社長)今は浅田が思い描く“夢舞台”に、一直線のようだ。
2022年02月15日2022年北京五輪、左上から時計回りに宇野昌磨、羽生結弦、鍵山優真(JMPA代表撮影)「羽生結弦のアクセルのベストがあれかなっていう感じもしてます」2月10日、北京五輪での戦いを終えた羽生結弦が、少し寂しげな表情でインタビューに応じた。2014年のソチ五輪、2018年の平昌五輪を連覇してきた羽生だが、今回は惜しくもメダルに手が届かなかった。「2月8日に行われたショートプログラムでは、予期せぬアクシデントに見舞われました。演技1つめのジャンプで、4回転サルコウを予定していましたが、1回転になってしまったのです。ほかの選手が滑った際に氷上にできた穴にハマってしまったことが原因。自身では“氷に嫌われた”と振り返っていました」(スポーツ紙記者)このミスが響き、ショートを終えて8位での発進に。フィギュアスケート評論家の佐野稔さんが振り返る。「“穴ぼこ事件”がすべてになってしまいましたね。それ以外の部分は完璧でした。2014年には、グランプリシリーズ『中国杯』の練習中にほかの選手と衝突し、頭から流血する事故もありましたが、そういった悲劇と、五輪2連覇という頂点とどちらも経験するのが羽生結弦という人間なのでしょう」そして、2月10日。世界中が注目するフリースケーティングで、4回転アクセルに挑んだ。「当日朝の公式練習では跳ばず、演技直前の6分間練習では、2回挑戦するも、どちらも転倒。そして、いよいよ本番。『天と地と』の演技冒頭で4回転半を組み込んできました。転倒による減点があり、回転不足の判定にこそなってしまいましたが、国際スケート連盟の公認大会では初めて“4回転アクセル”として認定されました」(前出・スポーツ紙記者)■「アクセルは王様のジャンプ」4回転アクセルを成功させると心に誓ったのは、小学2年生から羽生を指導していた、都築章一郎コーチのひと言がきっかけだった。「都築コーチが羽生選手に“アクセルは王様のジャンプだ”と教えたのです。そして、平昌五輪2連覇の翌日、4回転アクセルへの挑戦を初めて公言しました」(同・スポーツ紙記者)都築コーチは、北京五輪での羽生の姿に大きな感銘を受けたという。「小さいときに彼に言ったことをずっと目標に掲げて、オリンピックという大舞台で挑戦してくれたことに、本当に感謝しています。4回転半は、彼のスケート人生の集大成でしょう」その都築コーチに羽生を託したのが、4歳だった羽生をスケートに導いた山田真実コーチだ。「転んでも4回転アクセルに挑んだことに、心を打たれました。結弦は類いまれなるフィギュアの才能があるので、それもあってここまできましたが、今回の挑戦で“真のアスリート”になったように見えました」(山田コーチ)会心の演技で金メダルに輝いたのは、羽生の最大のライバルであり続けたアメリカのネイサン・チェン。「ショートもフリーも完璧で、文句のつけどころがない。4回転アクセルの次に難しい4回転ルッツという武器をショートでもフリーでも跳び、その次に難しい4回転フリップをフリーでは2回入れていますから、得点力が別格です。それをいかんなく発揮し、さらに、ダンサーのごとく踊る。ジュニア時代からダンスに定評があり、突出したものがありました。踊れてジャンプが跳べて、今のネイサン選手のいちばんいいところを見せつけました」(佐野さん)圧巻の金メダルに続き、銀メダルの鍵山優真も、世界にその存在をアピールした。「ショートプログラムで自己ベストを更新して2位につけると、フリーでもミスを最小限に滑りきりました。得点が発表されるキス・アンド・クライで、父でコーチの正和さんと喜びを爆発させる姿も話題になりました。羽生選手からは“本当によく頑張ったね”という言葉をかけられたといいます」(前出・スポーツ紙記者)前出の佐野さんも、その滑りを高く評価する。「フィギュアスケートの基本をきちんと積み上げていて、ある意味、すでに完成されています。それは、父譲りのひざの柔らかさがつくり上げていると思います。なめらかに滑っていて、ジャンプを跳んだ後の流れもきれい。それを、ひざで調整しているんです」試合後には、“演技やステップなども評価されるオールラウンダーになりたい”と話した。そのために鍵山は、父以外からも教えを受けていた。「2020年からは、浅田真央さんらを担当したローリー・ニコル氏から振り付けを学んでいます。そして、表現力に定評のある鈴木明子氏にもアドバイスをもらいながら、演技を磨いています」(スケート連盟関係者)■フィギュア界を担う宇野と鍵山その努力が実った銀メダルを、鍵山が通う『星槎国際高校横浜』スケート部監督の松下清喜先生も称賛する。「表彰台に乗ることができて、本当に素晴らしいと思います。とにかく“これからも頑張ってね”という思いです。次にタイトルを獲ったら“松下先生のおかげ”って言ってほしいかな(笑)。あとは、卒業のために試験を受けてもらうだけです(笑)」その鍵山の存在がモチベーションだったと話すのが、銅メダルに輝いた宇野昌磨だ。「初出場だった平昌五輪では羽生選手に続く銀メダルでした。北京五輪までの4年間、コーチが不在で調子が落ち込んだ時期もありましたが、ステファン・ランビエールコーチと出会って、さらなる成長を見せました」(前出・スポーツ紙記者)宇野の祖父で画家の宇野藤雄さんは、孫の功績を喜びながらも、さらなる高みを見据えている。「昌磨に会ったら、“よくやったね。これから、フィギュアを通して、自分の人格を高めることが仕事だよ”と伝えたいです。フィギュアスケートという芸術は、技術だけではだめ。人格を高めない限り、素晴らしいスケーターにはなれません。次は金メダルに向けて“ネイサン選手を超えられないならやめる”くらいの強い覚悟を持って頑張ってほしいです」2位から4位に名前を連ね、世界からも高く評価される日本男子フィギュア。しかし、3連覇を目指していた羽生にとっては苦い結果となった。ショートでまさかのアクシデントがあったが、メダルの可能性は十分にあった。「4回転アクセルではなく、ほかのジャンプにしていれば、メダルは獲っていたと思います」(佐野さん)では、なぜメダルを獲るための定石を外したのか。「“4回転アクセルをやったうえで勝ちに行く”と明言していましたから、やらなかったら“羽生結弦”をやめることになります。そんなことは彼自身、望んでいないのです」(佐野さん)まだ幼かった羽生を近くで見てきた山田コーチは、そんな彼を称える。「目指すべきところはメダルではなかったんでしょうね。失敗のおそれがあっても4回転アクセルをやるという彼のすごさ。“よくやった!”と思って泣きそうになりました」羽生を“夢”へと導いた都築コーチも続ける。「メダルと挑戦、どちらを目指すかの選択があったと思います。そこであえてメダルを捨てて、自分の理想とする目標に向かったことには驚くばかりです」■宇野と鍵山を成長させた羽生の背中挑戦したのは、羽生だけではない。「鍵山選手は、2021年12月の『全日本選手権』では構成に入れていなかった4回転ループを、新たにフリーに組み込みました。成功率が高いとはいえないジャンプですが、北京五輪で表彰台に上るためには、4回転ジャンプの種類を増やすことが必要だと考えたのです」(前出・スケート連盟関係者)そして、宇野も。「フリーは、4回転を4種類5本組み込むという、非常に攻めたプログラムです。そこに積極果敢に挑戦して、北京五輪ではふらついたところもありましたが、まずまずなところまで滑りきりました」(佐野さん)これらの挑戦が、鍵山、宇野を確実に成長させた。「羽生選手が、どれだけ転んでも、ケガをして身体がボロボロになっても、4回転アクセルに挑戦し続ける背中を見て、突き動かされるものがあったのでしょう。彼のその姿によって、後輩選手たちの士気も上がり、日本の男子フィギュアのレベルの底上げにつながっています」(前出・スケート連盟関係者)羽生結弦が挑んだ4回転アクセルは、間違いなくこれからもフィギュアスケート界を牽引する歴史になる。「挑戦しきった、自分のプライドを詰め込んだオリンピックだったと思います」と、北京五輪を振り返る羽生。それでも、羽生と同じ『アイスリンク仙台』を拠点としていた荒川静香のインタビューでは、感極まりながら言葉を紡いだ。「なんで報われないんだろうなって思いながら、この3日間ずっと過ごしていました。すごく努力したし、苦しかったし、その苦しさがここで報われたかどうかわからないですけど、正直、何も残せなかったなってちょっと思ってますけど、みなさんのなかで、勝敗関係なく、ちょっとでも“羽生結弦のスケートよかったな”って思ってもらえる瞬間があったら、それだけで今日頑張って滑った意味があるのかなと思っています」インタビューの最後には、笑顔を見せた。「自分では褒められないけど、誰かに褒めてもらいたい」大丈夫、世界中がゆづを褒めているよ!佐野稔 元フィギュアスケート選手。’76年インスブルック五輪に出場経験があり、’77年世界選手権では3位となった。現在は複数のメディアでフィギュアスケートの解説をしているゆづに届け! 世界からの賛辞“自身の夢”4回転アクセルは“世界の現実”に。フィギュア選手、大手海外メディアなどから満身創痍の羽生結弦に届いた称賛コメントを一挙紹介!「僕の中では彼が史上最高のスケーターです」ネイサン・チェン(男子フィギュア米国代表)「あなたが残したものは私たちの心の中に永遠にとどまる。あなたの勇気とプロフェッショナリズムはエンドレスだ」エフゲニー・プルシェンコ(元男子フィギュアロシア代表)「失敗しても最も華やかな桜です」中国webメディア「騰訊体育」「あなたが成し遂げたことはどれも歴史に記されるのだから、成功、失敗など問題ではない」中国国営放送「CCTV」「フィギュアスケート史上唯一のヒーローだった」中国webメディア「新浪体育」「歴史が動いた瞬間を共にできた事に感謝」安藤美姫(元女子フィギュア日本代表)「27歳のハニュウは観客の声援を受けながら胸を張って靴を脱いだ」フランス・AFP通信電子版「羽生選手の軌跡をこれまでずっと見ていたので、その思いをなんとかここで全部出してほしいという思いも高まりますから、終わった後の様子を見るとこみ上げるものがありました」荒川静香(元女子フィギュア日本代表)「彼はオリンピックの精神を完全に体現しています。より高く、より速く、より強く」陳露(元女子フィギュア中国代表)「人類が誰も挑戦したことがないジャンプに挑戦することは、本当にすごい覚悟がいる。僕だったら、もうやらないと思う。トップであり続けながら、さらにその先を目指す姿を見て感動しましたし、すごく尊敬しています」鍵山優真(男子フィギュア日本代表)「結弦さん、僕は、ありがとうと言いたいんですよ。お礼したい。だって誰もトライしたことがないものに、何があってもトライし続けましたよ」松岡修造(スポーツキャスター)
2022年02月14日“プーカラー”のティッシュカバーに「エビフライみたい」の声も(JMPA代表撮影)「羽生くんのティッシュカバー、プーさんカラーかな」「何あれ、エビフライ?可愛い」「オムライスかと思った(笑)」北京オリンピック・フィギュアスケート、男子SPが行われ、羽生結弦選手が登場した。最初の4回転サルコーが1回転サルコーになるなど、不運に見舞われ8位と出遅れた結果となったが、「今までのショート(SP)の中でも全体的にいい演技だったなと思う」と、悔しそうな表情を見せながらも手応えを口にした。そんな中、ファンが注目したのはリングサイドに持ち込まれたティッシュカバー。いつもは「羽生といえば」でおなじみのくまのプーさんだが、今回は黄色と赤の毛糸のようなもので編み込まれた“存在感ある”ティッシュカバーにSNSがザワついた。■プーさん封印でも「羽生選手の気遣い」黄色に赤といえば“プーカラー”。中には冒頭のように「エビフライにしか見えない」という声も。「一部では“習近平国家主席に似ている問題”で規制がかかってプーさんが持ち込めないのでは?なんて声もありましたが、そもそもオリンピック委員会が商標やキャラクターの扱いに厳しいんです。羽生選手はこれに配慮してプーさんを“封印”しているんだと思います」(スポーツ紙記者)実際、4年前の平昌五輪のインタビューで羽生選手は「スポンサー的な問題があり、“黄色いクマ”を持ってくることができませんでした」と話している。そもそも、羽生選手は複数の選手が同時に練習する際、自分のティッシュがどれなのかひと目でわかるよう、「特に深い意味もなく」プーさんのティッシュカバーを使っていたそう。それで勝ち続けてきたので、“ゲン担ぎ”として使い続けるようになったとか。そんなプーさんの姿は、もちろん、これまでの五輪でも姿を確認することができなかった。「前回(韓国・平昌五輪)も前々回(ロシア・ソチ五輪)にも持ち込んでいません。前回は、ショートケーキ型のティッシュカバーだったんですが、のちに、そのティッシュカバーはディズニー公式のもので、もともとプーさんとピグレットがついていたものだと判明。ファンの間でも話題になっていました」(前出・スポーツ紙記者)今回は黄色×赤で、パッと見「あれ?プーさん?」と驚いた人も多いようだが、これにも、羽生選手の“こだわり”を感じるというのは、フィギュアスケートファン。「やっぱり羽生選手といえばプーさんなので。今回のティッシュカバーも、そういう意味ではみんなの期待に応えてくれて、夢を壊さなかった。羽生選手らしい心遣いを感じましたね」■プーさんはコーチ!?そんなプーさん、近年はファンの間で「プーコーチ」と呼ばれている。「プーさんは羽生選手にとって、もはやコーチみたいな存在。大会では、“プーコーチ”に話しかける羽生選手の姿も見かけます。そんなプーコーチがいないのは、ファンにとってもちょっと心細いです。しかも、今回は肝心なブライアン・オーサーコーチも不在ですから(今回、オーサーコーチは韓国選手団の一員として北京入り)。こんな五輪という大きな大会でコーチなしって、尋常な状態ではないと思いますよ。コーチ不在で五輪に挑む、それだけでも十分、すごいことだと思います」(前出のフィギュアスケートファン)また、羽生選手を応援し続けてきた別のファンもこう話す。「オーサーコーチもプーコーチも不在でしたからね。羽生選手にとって、プーさんってどこかで精神的な支えになってると思うんです。オーサーコーチがいないのはもう慣れてるはずだから、今回は“プーコーチ不足”だったのかなって勝手に思うようにしています」SNSには、プーコーチの写真とともに羽生選手にエールを送るファンの姿も。「SPは残念でしたが、スケヲタ(スケートオタク)の間ではこのステップ・過程がソチオリンピックのときの(浅田)真央ちゃんに似ているねって。真央ちゃんもあのとき、ショートでは失敗したけど、フリーでは完璧な演技を見せてくれたので、羽生選手もきっと大丈夫。これまで羽生選手は五輪に出て“手ぶら”で帰ったことがないですから。羽生選手ならまた夢を見せてくれると思います」(前出のフィギュアスケートファン)競技後のインタビューで「みなさんの思いを受け取りつつ、完成されたものにしたいなって思います」とフリーへの意気込みを語った羽生選手。悔しさを滲ませつつも、前向きな受け答えに、称賛が相次いでいる。演技だけでなく、みんなが求める“羽生像”をどこまでも崩さない羽生結弦選手。注目のフリーは、10日に行われる。
2022年02月08日五輪“3連覇”ポーズをとる羽生結弦(日本スケート連盟公式Twitterより)2月4日に開会式が行われ、いよいよ北京五輪が開幕した。「フィギュアスケートは団体戦からスタートしましたが、羽生結弦選手は出場せず、8日にショートプログラム、10日にフリースケーティングが行われる個人戦にすべてを注ぎます」(スポーツ紙記者)羽生が団体戦に出場しなかった理由を、元フィギュアスケート選手の渡部絵美さんが分析する。「3連覇に向けて集中するためだと思います。試合会場の雰囲気や氷に慣れるために、1回でも多く本番のリンクで滑ることはとても重要ですが、羽生選手は冬季五輪出場も3度目のベテラン選手。なので、問題ないと判断したのでしょう」そして、ついに始まる個人戦の勝負の行方には、世界中からの熱い視線が注がれる。「北京は、ヨーロッパやアメリカの選手にとっては大きな時差があります。国内で練習していた日本の選手は時差の影響を受けづらく、その点では有利でしょう。日本の男子選手には、表彰台を独占してほしいですし、その可能性は十分あると思います」(渡部さん、以下同)それほどに、おのおのが仕上がっているのだという。■メダルに期待がかかる日本人選手フィギュアの日本代表では最年少、18歳の鍵山優真は、初の五輪出場だ。「父でコーチの正和さんは、1992年のアルベールビル五輪と1994年のリレハンメル五輪の2度、オリンピックに出場経験があるので、それを踏まえたリアルなアドバイスを受けているはず。初出場だからと意識しすぎず、普段どおりの演技をすれば、輝かしい結果になると思います。特に、4回転ジャンプは無理のない自然な姿勢で跳んでいて、世界的にも評価されています」宇野昌磨は、団体戦ショートプログラムに挑み、アメリカのネイサン・チェンに次ぐ高得点を記録した。「今シーズンは非常に安定しています。ステファン・ランビエールコーチが渡航前の検査でコロナ陽性になってしまい団体戦には不在でしたが、連携がよくできていて、ジャンプも好調。プレッシャーがある中でもしっかりまとめてくるでしょう」3連覇の期待がかかる羽生はどうか。「羽生選手は、その表現力が見どころ。4回転半に挑むことが注目されていますが、ひとつの技だけではなく、演技全体を通して、彼ならではの壮大な世界観を表現してくれると思います」2月3日、日本スケート連盟のTwitterに投稿された動画で、羽生は北京五輪についてこう語っている。「4A(4回転アクセル)も含めて、絶対に勝ちを獲りにいきたいなと思っています」昨年12月に行われた北京五輪代表の選考会『全日本選手権』まで、五輪については明言を避けてきた羽生。3連覇への決意を固めたのは、『全日本』優勝後、五輪代表のジャージに袖を通してからだという。その思いを後押しすべく動いたのが、地元の宮城県仙台市。450人を動員する予定だったパブリックビューイングこそ、コロナの影響で中止になったが、県内外から応援の声が届いたこともあり、市役所には応援看板が設置され、等身大パネルなどの展示が行われている。「羽生選手は前回大会で、男子フィギュアでは66年ぶりとなる2連覇の偉業を成し遂げられました。3連覇を目指して、これまで培った力を存分に発揮されますよう、仙台市民一同、応援しております」(仙台市スポーツ振興課担当者)■北京はあまり考えていなかったそして、宮城県登米市には、工業高校で教師をしていた羽生の祖父の同僚を中心に結成された『羽生結弦 ふ・る・さ・と応援団』がある。エールを送るのは、団長の春日了剛さんだ。「2014年のソチ五輪、2018年の平昌五輪では、近隣住民や結弦くんのおじいさんと面識のあった人が集まって応援をしました。3連覇を果たしたら、日本人としては前人未到の偉業ですし、世界的にも素晴らしいこと。叶えられるよう、心から応援しています」多くの人の思いが込められた3連覇。当の羽生は、最新のフィギュアスケート専門誌でこう語っていた。《五輪2連覇が子どものころから常に強く描いていた夢であり目標だったので、北京はあまり考えていなかった五輪となります。(中略)2連覇を強い覚悟でつかみとることができたからこそ、この五輪で、2連覇という実績を壊してしまわないかという怖さもあります》(『アイスジュエルズ』Vol.15)そんな危惧を抱く羽生を支えたのが“精神的な柱”だと語る父の存在だった。「結弦くんのお父さんは、仙台市の中学校で校長をしています。“スケートだけじゃなく勉強もしっかりやらないとダメ”と、常日ごろ言っていた厳格な方で、2020年度には教育に関する論文が県で入選したこともあります。ただ、スケートについてはお母さんがいちばん近くで支えていることもあり、お父さんが口出しをするようなことはありません。練習の送り迎えなどはしますが、一歩下がって見守っています」(羽生家の知人)前出の春日さんも続ける。「結弦くんのおじいさんは、律義で面倒見のいい親分肌でした。なので、結弦くんのお父さんもそれを受け継いでいる部分があるかもしれませんね」■校長の父親が語った「チャレンジ」そんな父が勤める中学校では、『全日本選手権』開催中に2学期の終業式が行われた。「終業式では、羽生校長から式辞が述べられました。“年齢を重ねると時間の体感が短くなる。3年生は受験を目前に控えて焦る気持ちになると思うが、時間は万人に等しく流れるので今を大切にして、冬休みはいろいろなことにチャレンジし、自分を磨く期間にしてほしい”という内容でした」(中学校の保護者)この思いは、羽生にも届いたに違いない。「羽生選手は、悩んだときには家族に相談をするといいます。それがきっかけで、気持ちが好転していくことも多いそう。北京五輪に向けて、4回転半の成功と3連覇のプレッシャーが彼にかかりますが、お父さんの“金言”を胸に、北京五輪に向けて演技を磨き続けたことでしょう」(スケート連盟関係者)“今がいちばんうまい”と自負を持って挑む羽生の集大成。その演技で、北京から世界中を魅了してほしい!渡部絵美◎元フィギュアスケート選手。日本代表として世界選手権などで活躍。2度の五輪出場経験があり、’80年のレークプラシッド五輪では6位入賞
2022年02月08日セキセイインコのタロくんと、オカメインコのゴマちゃんと暮らしているMihoko-s(mihoko_s)さんが、TikTokに投稿した動画を紹介します。投稿者さんは、段ボール箱でできた滑り台と、指で遊ぶ『フィンガースケートボード』を用意。タロくんに遊ばせてみると、とても楽しそうに滑ってくれたのです!@mihoko_s #セキセイインコ #スケボーインコ #セキセイインコのいる暮らし #セキセイインコの日常 #フィンガースケートボード #うちの子が可愛すぎる #緊張感#堀米雄斗に届くまで #スケボー大好き #インコでもできる #budgerigar #budgerigar_life_love ♬ Edge - REZZ上手に滑り、脚でスケートボードを止めたタロくん。「うまくいったぜ!ドヤ!」と投稿者さんにアピールしているようですね!スケートボードを日頃から乗りこなしているような身のこなしに、「上手」をはじめとする、さまざま反応が上がりました。・『トリンピック』があったら出場してほしいレベル。かっこよすぎる!・決めポーズとドヤ顔がかわいい。自分はスケートボードに乗れないから尊敬する。・止め方がプロ並み。最高にクールだ。投稿者さんによると、うまく滑ることができたタロくんは、「必ずドヤ顔を見せてくる」のだとか。タロくんは、新たなおもちゃを発見し、喜んでいるに違いありません![文・構成/grape編集部]
2022年02月03日羽生結弦2月4日、いよいよ北京五輪が開幕する。「羽生結弦選手(27)の出場するフィギュアスケートは、大会初日から団体戦が行われ、男女シングルの出場選手は試合前日に発表予定です。そして、個人戦は2月8日に男子ショートプログラム、10日にフリースケーティングが行われます」(スポーツ紙記者)そして、個人戦男子シングルの最注目はやはり“直接対決”だ。「’14年のソチ五輪、’18年の平昌五輪に続く3連覇を狙う羽生選手ですが、最大のライバルはアメリカのネイサン・チェン選手(22)。羽生選手の右足のケガやコロナの影響で、今シーズン初の直接対決の場が北京五輪となります。前回の平昌五輪では羽生選手が金メダル、ネイサン選手は5位入賞でしたが、最後まで勝負の行方はわかりません」(同・スポーツ紙記者)そこで、羽生の活躍が期待される北京五輪を、さらにアツくするQ&Aを徹底取材!■スケート基礎知識 編まずは、スケートに関する基礎知識。観戦するうえではずせない初歩を学んで、北京五輪に備えよう!Q.ショートプログラムとフリースケーティングの違いは?教えてくれたのは、元フィギュアスケート選手の渡部絵美さん。「ショートは、自分がやりたい技ではなく、定められた技を2分40秒の中で行います。フリーは、4分の中で基本的には好きな動きをできます。でも、同じ種類のジャンプを2回入れてはいけないなど、細かいルールがあります。例えば、4回転アクセルがすごく得意だからとすべてのジャンプを4回転アクセルにしても、2回目以降は加点されず、無駄になってしまうのです。ですが、同じ種類のジャンプを入れる場合は、ジャンプを続ける“コンビネーション”にすれば大丈夫。フリーとはいいながらも実は複雑で、あまり“フリー”ではないですよね(笑)」(渡部さん)Q.得点を待つ場所は、どうして“キス・アンド・クライ”っていうの?「演技がうまくできたときはコーチに褒められてキスをされたり、失敗したときは泣いたり……ということからきています」(渡部さん)羽生は北京のキス・アンド・クライでどんな表情を見せてくれる?Q.審判の判定が分かれたときは?「演技の審判は9人いて、跳び方や曲など、それぞれの判断によって点数をつけます。点数が分かれたときは、審判のうち、抽選で選ばれた7人の判定から最高値と最低値を除外した値を、技によって決められた点数に変換し、その平均点を算出します」(渡部さん)羽生は4回転アクセルの成功を目標に掲げているけれど、ジャンプの回転数や技の成功・失敗の判断はどうしているのか。スポーツジャーナリストの折山淑美さんが教えてくれた。「9人の審判とは別に、回転数や技を判断する“テクニカルスペシャリスト”という人がいます」Q.オリンピックでメダルをとると、報奨金はいくらもらえる?「’18年の平昌五輪では、金メダルを獲得した選手に、日本オリンピック委員会と日本スケート連盟から500万円ずつ、合計1000万円が支給されました。羽生選手は宮城県と仙台市にそれぞれ500万円ずつ寄付しています」(前出・スポーツ紙記者)北京五輪でも、同額が支給される予定だ。Q.フィギュア選手のお給料事情は?フィギュアスケートは、衣装やシューズに交通費、海外への遠征費など、とにかくお金のかかるスポーツ。試合で賞金はもらえても、かかる経費はそれ以上の気がするけれど……。「羽生選手のように『ANA』などの企業に所属していれば、費用面のサポートはしてもらえます。また、日本スケート連盟の強化選手に選ばれると、ランクに応じた強化費が支払われます。羽生選手の場合は、『ANA』以外にもイメージキャラクターとして『東和薬品』や『P&G』など、多くのCMに出ているので活動費で困ることはないでしょう」(渡部さん)【北京五輪スケジュール】2月4日 団体戦男子ショートプログラム/午前10:15〜(NHK総合)2月6日 団体戦男子フリースケーティング/午前10:00〜(フジテレビ系)2月8日 男子ショートプログラム/午前9:30〜(日本テレビ系)2月10日 男子フリースケーティング/午前10:15〜(NHK総合)※団体戦のメンバーは試合前日に発表※試合日時は1月29日時点で発表されているものです。■ゆづスケート 編続いては、いよいよ羽生にまつわるスケートについて!Q.ジャンプの種類はどう見分ければいい?「“アクセル”は唯一、前向きで跳んで後ろ向きで下りるジャンプなので、いちばん区別しやすいです。ほかのジャンプは、エッジの向きなどの細かい違いで見分けるので、わかりにくいかもしれません」(渡部さん)上位選手のほとんどが4回転ジャンプを跳ぶ時代。羽生選手がチャレンジしている4回転アクセルも、自分の目で見分けたいところ。Q.実際どのジャンプがいちばん難しいの? 4回転アクセルの難易度はどれくらい?「選手の得意・不得意にもよりますが、一般的には、回転が多くなればなるほど難しくなります」(渡部さん)つまり、いちばん難しいのは、羽生がチャレンジしている“4回転アクセル”ということ!Q.リンク以外ではどんな練習をするの?4歳から羽生を指導し、今も北海道でフィギュアスケートのコーチをしている山田真実さんによると、「体幹のトレーニングや、体力をつけるために縄跳びと走り込みも行います。さらに、振り付けを美しく見せるために、ダンスやバレエを習って踊りを習得する選手もいますよ」(山田コーチ)氷上以外にも多くのトレーニングが必要なのだ。「羽生選手はこれまで、ダンスの基礎を習ってこなかったのですが、最近は、より演技の芸術性を高めるためにダンス動画を見て自主的に練習しているようです」(スケート連盟関係者)Q.羽生選手は4回転アクセルの練習を“死にに行くよう”と表現していたけれど、実際に大ケガや死亡事故が起こったことはあるの?「死亡事故はないと思います。ただ、練習中ですが羽生選手は足首に大ケガをしましたし、アイスダンスのリフトの際にアクシデントで落ちてしまうこともあります。氷上は硬く、コンクリートの上に落ちるようなもの。転び方が悪かったら脳振とうなどにもなることもありえます。また、シューズにはエッジがありますので、それを触ってしまったら皮膚を切ることもあります」(折山さん)Q.冬は大会で姿を見るけれど、夏は何をしているの?「夏でも8月ごろから演技会やトライアウトがあります。実は、夏がいちばん練習をする期間で、週に1度休めるかどうか……。フィギュアの選手には、シーズンオフというものがほとんどないんです」(渡部さん)実際、羽生は’21年の夏もずっと練習に励んでいた。「4回転半を成功させるべく取り組んでいて、7月ごろにはジャンプの高さを出せるようになってきていたといいます」(前出・スポーツ紙記者)Q.羽生選手はプーさんのティッシュを持ち込んでいるけれど、リンクサイドには何を持っていってもいいの?「ティッシュやドリンク、タオル、お守りなど、最低限のものだけだと思います。禁止されているものなどの細かいルールはありません」(渡部さん)では、なぜ羽生はプーさんのティッシュを選んだのか。「験担ぎです。複数の選手が同時に練習するときに、自分のティッシュがどれなのかわかるよう、目印としてカバーをつけるのが、羽生くんの世代では流行していました。そのとき、初めは特に深い意味はなくプーさんにしたようですが、それで勝ち続けてきたので、験担ぎとして使い続けています。ちなみに、演技後にファンから投げ込まれるたくさんのプーさんの人形たちは、慈善団体や通っていた幼稚園に寄付をしていますよ。寄付された先で、ファンからのラブレターがついていることもあるそうです(笑)」(前出・スポーツ紙記者)■ゆづプライベート 編最後は、やっぱり気になるプライベート。リンクでは見せない意外な顔がある!?Q.羽生選手が仲のよい選手は?「織田信成さんや、宇野昌磨選手とは仲よしです。同じ国際大会に出るなど一緒に過ごす時間が長いと仲よくなりやすいですよね。女子選手だと、高橋成美さんと仲よし。小さいころ、同じ都築章一郎コーチのもとで練習をしていましたが、このコーチがとても厳しい方。それを乗り越えて、絆が生まれたようです」(前出・スケート連盟関係者)Q.羽生選手ほどのアスリートでも、苦手なことってあるの?「実は、自転車には乗れないと公言しているんです(笑)」(前出・スポーツ紙記者)世界で活躍する選手にもこんな苦手があるなんて……。Q.羽生選手の家族はどんな仕事をしているの?「お父さん、お母さんと、4歳上のお姉さんの4人家族です。お父さんは仙台市の中学校で校長を務めており、お姉さんはスケートリンクのスタッフをしています。お母さんはすごくシャイで、取材を受けるのも“恥ずかしい!”と遠慮されるような方。パートでデパートに勤めていたこともありましたが、羽生選手がカナダに行くときは一緒に行ってサポートしていました」(別のスポーツ紙記者)Q.普段はどんな生活を送っているの?世界で活躍するアスリートには、自由な時間はほとんどなさそうだけど。「基本的には、自宅とスケートリンクの往復がほとんど。読書家なので、空き時間にはスポーツ心理学の本をよく読んでいます。『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)という本がお気に入り」(前出・スケート連盟関係者)Q.羽生選手は運転免許を持っているの?「カナダで取得しています。3か月以上カナダに住むと、日本の免許への切り替えは簡単にできるので一般的な日本の教習所に通ってはいません。カナダでは、“ちょっとそこまで”と、自分で運転することもあったようです」(同・スケート連盟関係者)とはいえ、練習にはご家族の運転で行っている様子。自分で行くのはダメなの?「免許を持っていれば、運転すること自体に制限はありません。でも、練習や試合に行くときに自分で運転する選手はいないと思います。移動時間に車で寝るなど、身体を休める必要もありますから」(渡部さん)Q.羽生選手の趣味や、ストレス発散法は?「音楽が好きで、最近はBTSにハマっています。イヤホンにこだわりがあり、50個ほど持っていて常に10個くらい持ち歩いています。その中から聴く曲に合わせて使い分けているそう。自分の耳の形に合わせた特注品も。好きなアーティストの演奏に合わせてエアギターをしたり踊ったりすることで、ストレスを発散しているようです」(前出・別のスポーツ紙記者)そんな羽生が、試合の曲に好きなBTSを選ぶことはありえる?「そういう曲は、選手がやりたいと言っても、だいたい却下ですね(笑)。“アイスショーでやってね”という感じ。ただ、これに関してはあくまで私の感覚なので、よしとするコーチもいますし、選手とコーチの話し合いになりますね」(山田コーチ)Q.羽生選手が好きなゲームは?「『モンスターハンターライズ』という、モンスターを狩るアクションロールプレイングゲームにハマっているそうです。ゲームも極めようとしているようで、かなりやり込んでいますよ」(前出・別のスポーツ紙記者)Q.SNSのアカウントはないようだけど、見ているの?「昔はよくエゴサーチをして細かくチェックしていましたが、心を痛めてしまうので、最近では文章の書き込みは見なくなりました。ただ、羽生くんをイラストにしたファンアートは“僕のことをカッコよく描いてくれていて、見るのが好き”と話しています」(前出・スケート連盟関係者)イラストを描いて投稿したら、本人がチェックしてくれるかも!Q.好きな女の子のタイプは?恋の噂はなかなか聞こえてこないけれど、やっぱり気になる話題。「見た目は派手ではなく目鼻立ちの整った子、性格は気が強い子が好みのようです。選手にとって12月は練習や試合にピリピリする時期なので“クリスマスなのにデートしてくれないの?”と言うような女の子は苦手(笑)。羽生くんは口を開けばスケートのことばかりで“スケートのことしか話さないじゃん”なんていじられるほど。だから、付き合ったり結婚したりする相手は、“スケートをやっている人”ということが条件みたいです」(前出・スケート連盟関係者)これであなたも“ゆづマニア”!!お話をしてくれたのは……折山淑美●’90年代初頭からフィギュアスケートを取材し、’10年代からは羽生結弦を丹念に追っている。’21年には羽生との共著『羽生結弦 未来をつくる』(集英社)を刊行渡部絵美●元フィギュアスケート選手。日本代表として世界選手権などで活躍。2度の五輪出場経験があり、’80年のレークプラシッド五輪では6位入賞
2022年02月01日羽生結弦北京五輪が、いよいよ目前に迫ってきた。「2月4日の初日から、各種目の順位に応じた得点で競う団体戦が始まります。羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手の3人が出場する男子シングルは、2月8日にショートプログラム、10日にフリースケーティングが行われる予定です」(スポーツ紙記者)開幕を前に、羽生はテレビ局などの取材に対して、意気込みをこう語っている。「みなさんの夢が叶ってほしいから滑り続けていて、それは、イコール自分の夢。だから、オリンピックに向けていちばんうまい自分になれるように頑張っていきたいと思います」自らのことだけでなく、“応援してくれているファンのために”と明言。羽生の人間性がうかがえる。羽生を長年取材しているスポーツジャーナリストの折山淑美さんは、こうした羽生の受け答えを、「やっぱり、しっかり考えて自分の言葉で話していますよね。中には、自分を表現することが苦手な選手もいますが、オリンピックを連覇している立場だというのを意識して、自分の発言が周りにどう影響を与えるかを理解して発言していますし、大人ですよね」と、絶賛する。■敬語ではなくタメ口だったいったい、なにが羽生をここまで成長させたのか。4歳から羽生を指導した最初のコーチで、現在は北海道でスケートの指導をしている山田真実さんに聞くと、幼いころは“普通の男の子”だったそう。「当時は、スケートだけというわけではなく、スケートをするか野球をするか……と、興味のあることをいろいろ体験しているという感じでした。特別礼儀正しいわけでもなく、本当に普通の男の子。“先生!こんにちは!”って大きな声であいさつするくらいで、敬語を使うわけでもなく普通にタメ口でしたから。スケートで活躍してから、自覚が出てきたんだと思いますよ」前出の折山さんによると、活躍に応じて意識が変わることは、スポーツ選手にはよくあるという。「実績を積み上げていくごとに周りからの目も変わってくるし、自分がその競技やスポーツ全体に与える影響も大きくなります。そういう中で、磨かれていく人間性もあります」(折山さん)世界選手権での2度の優勝やグランプリファイナル4連覇、そして冬季五輪2連覇と、数々の実績を積み上げてきた羽生は、どんな人間になろうとしているのか。「多くの人と出会い、さまざまな体験をしたことで、成長した今日の彼があります。日本中のファンの方たちから応援を受けた以上は、感謝の気持ちを持って、それをお返ししていこうと思っているのではないでしょうか」と話すのは、小学2年生から羽生のコーチを務めた都築章一郎さん。感謝の気持ちを持ち、応援に応えようとする姿勢には感心するという。■海外遠征翌日にも登校その姿勢の基礎をつくったのが、羽生が在籍していた東北高校での指導だった。東北高校フィギュアスケート部の顧問を務める佐々木遵さんが明かしてくれた。「当時の担任の先生が“成功しても失敗しても、ちゃんと学校には来なさい。大会の次の日だからと学校を休んでいたら周りの人から応援されなくなってしまう”と指導していました。身近にいる人が応援せず、外の人にはちやほやされて、という状況になってしまうと、人としての中身が薄くなってしまいますから。それを自分でも理解して、海外での試合から帰ってきても、次の日にはできるだけちゃんと学校に来ようと本人も気をつけていました」ただ登校するだけではなく……。「前もって授業の準備ができていたり、出席できないときもきちんと自分で学習していたり、常に先を読んで行動していて、高校生離れしているように見えました。もちろん、そういう部分ができていないとフィギュアの結果にもつながらないと思いますが……。ご家族から“きちんとやらないといけない”と言われていたのかもしれないですが、それでも、やるかやらないかは自分次第ですから」(佐々木さん)そして、2度の五輪王者となり、人間性にさらに磨きがかかる。2019年7月、前出の山田さんは羽生の成長を肌で感じたという。「北海道地震のお見舞いとして私のスケート教室に来てくれました。子どもたちと同じ目線で話すだけでなく、金メダルまで触らせてくれて……。私が“(金メダルは)血と涙の結晶なんだから簡単に触っちゃダメ!”と子どもたちに言っても“いやいや、全然大丈夫なので触ってください”って。2度もオリンピックの金メダルをとっているのに、“自分は特別なんだぞ”という感じはみじんも出さず、自然に受け答えしていたように見えました」■子どもたちに与える影響スケートを教える立場としても、羽生の高い人間性には大きな意義を感じているそう。「普段の態度や服装、言葉遣いを通してフィギュアスケートという競技が周囲からどう見られるのかということを、ちゃんとわきまえていますよね。意識的なのか、きちんとした言動をすることが彼にとって当たり前なのかわかりませんが、まさに一流だと思います。フィギュアスケート全体のイメージアップにもつながりますし、これからお子さんにスポーツをさせたいお母さんたちも“フィギュアってそういう世界なんだ、だったら子どもを入れても大丈夫だ”と安心感を覚えますしね」(山田さん)スケート連盟関係者も続ける。「確かに、羽生選手は結果を重ねるごとに王者としての品格が増していきました。それによって、フィギュアスケートという競技全体もより愛されるようになったので、北京五輪で勝ちたいという思いは、フィギュア界のためでもあるでしょう」羽生は、五輪王者なだけでなく、人としてもまさに王者なのかも!折山淑美 ’90年代初頭からフィギュアスケートを取材し、’10年代からは羽生結弦を丹念に追っている。’21年には羽生との共著『羽生結弦 未来をつくる』(集英社)を刊行
2022年01月28日羽生結弦選手「来月行われる、五輪2連覇の羽生結弦(27)との戦いでは、このようなミスが許されないだろう」アメリカの放送局『NBCスポーツ』が、運営するWEBサイトの記事でこう綴ったのは、日本時間の1月5日から10日に行われたフィギュアスケートの『全米選手権』でのネイサン・チェン(22)の演技だ。■最大のライバル・ネイサンが転倒するも高得点「ネイサン選手は、昨年12月に行われた『全日本選手権』での羽生選手の322.36点を上回る328.01点で、『全米選手権』6連覇を果たし、2月に開催される北京五輪の代表に内定しました。ショートプログラムでは難易度の高い4回転ルッツ-3回転トーループのコンビネーションジャンプを成功させる圧巻の演技を披露。しかし、フリープログラムでは2度も転倒しているんです。しかも、そのうち1度はジャンプではない、ステップの場面。それでもこの高得点ですから……」(スポーツ紙記者)フィギュアスケート評論家の佐野稔さんは、このミスについて、「ノリノリでやっていたところで転んでしまう、いわば“弘法も筆の誤り”ですよね。めったに見られない珍しいシーンだと思います」と驚いた様子。もし、このミスがなかったらどうなっていたのか。「ネイサン選手自身が持つ世界最高得点の335.30点に近いものになったと思います。しかし、羽生選手の点数は日本国内で滑ったもの、ネイサン選手の点数はアメリカ国内で滑ったものですから、国際スケート連盟に認定される記録にはならず、あくまで参考記録にしかなりません。なので、オリンピックでこれと同じことが起こったとしても、どうなるかはわかりません」(佐野さん)羽生は北京五輪について、「連覇は絶対に諦めたくないし、だからこそ強く決意を持って、絶対に勝ちたいなって思いました」と語っている。では、最大のライバルであるネイサンに勝つ秘策は何か。■羽生結弦に秘策はある?羽生が初めてオリンピック王者となった’14年のソチ五輪では、戦いは滑走前から始まっていたという。ソチ五輪にペアの代表として出場し、JOC理事で羽生の幼なじみでもある高橋成美さんは、それを間近で見ていた。「ゆづはもともと身体が繊細なので、現地入りする前から体調管理のためにみんなと離れて行動していて、彼なりのルーティンもあるのでそれを崩さないように周りもすごく気を使っていました」ソチへ出発する前から、さすがの徹底ぶり。今回はどうなるのだろうか。「昨年12月の『全日本選手権』では、ほかの選手との会話だけでなく、1人でいてもとにかくしゃべり続けて、周囲と関わりたい様子を見せていました。とはいえ、今回の北京五輪は“4回転半の成功”と“3連覇”がかかっていて、今まで以上に強い気持ちで挑む大会。羽生選手ほどの人なら、そんな気持ちを抑えることはできるはず。ソチ五輪のように、周囲と別行動をとるという可能性も、十分にあると思いますよ」(スケート連盟関係者)そして、’18年の平昌五輪で2度目の五輪王者となった羽生。開催3か月前に右足にケガを負ってしまい、出場予定だった複数の試合を欠場することに。ケガからの復帰戦となったのが、五輪だった。「ほとんど練習ができておらず、痛み止めを飲んでいたと試合後に自ら明かしていましたが、試合前はひと言も語っていません。“自分は完璧だ、平気だ”と思い込んでやっていたわけです。それで、ショートプログラムを見事にこなし、フリーもなんとか滑りました。一方のネイサン選手は、ショートですべてのジャンプでミスが出てボロボロだった。それは、羽生選手が見事な演技が“(ケガ明けなのに)できている”というのを見せたからだと思います。ケガの度合いは、世界中の人が知らなかった。それが羽生陣営の作戦だったわけです」(佐野さん、以下同)■4回転半の成功がカギ見事な作戦で五輪2連覇を果たした羽生。佐野さんは、北京五輪での作戦にも期待を寄せているという。「羽生選手が金メダルを獲得するには、4回転半の成功がかなり重要です」それは、彼自身の演技のためだけではない。「羽生選手が4回転半を成功させたというニュースが試合会場で流れたときに、それを聞いたネイサン選手が何を感じるかですよね」いったいどういうことか。「北京五輪には世界トップクラスの審判が集まりますが、4回転半は誰も成功したことのないジャンプなので、どのような点数をつけるかは想像がつかないわけです。それだけ、4回転半を成功させるというのは、とんでもない話。それを試合でやって、ほかもノーミスでやった人の点数がどうなるのかなんて、計り知れないでしょう。センセーショナルであり、すごいことが世の中に起こったとき、人間は動揺します。そこが、羽生選手の狙いなのです」技術の戦いだけではなく、高度な“頭脳戦”が展開されるというのだ。では、ネイサンが先の滑走だった場合は?「男子は、8日にショートプログラムが行われて、10日に行われるフリープログラムまで1日空きますが、その1日で練習をします。おそらく、2人の練習は同じ時間帯に行われるはず。そのときに羽生選手がバシッと4回転半を決めたら、それを見たネイサン選手がどう思うか。そこからもう、プレッシャーをかけているわけです」チャンスはまだある。「滑走順によって分けられたグループごとに、ウオーミングアップとして滑走直前に行われる“6分間練習”です。そこで、ネイサン選手の目の前で4回転半を当然のように決めれば、彼が動揺することは間違いありません。そうとうなプレッシャーを与えることができるでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)相手を動揺させるための“頭脳”が、2人の勝負の行方を握っている。「いちばん使うのは、身体ではなく頭かもしれません。羽生選手もネイサン選手も、精神的にはすごく強いはず。そんな中で、動揺したら負け、逆にいかに相手を動揺させるかという駆け引きはあると思います」(佐野さん)北京五輪で4回転半を成功させて3連覇という2つの夢を叶えるべく、羽生は一直線に向かう──。
2022年01月19日羽生結弦王者が帰ってきた。「2021年12月22日から26日まで、さいたまスーパーアリーナで開催された『全日本選手権』で、右足のケガから復帰して今シーズン初戦となった羽生結弦選手が見事、優勝を果たしました。2位の宇野昌磨選手、3位の鍵山優真選手とともに、2月に開催される『北京五輪』代表にも内定し、羽生選手は2014年の『ソチ五輪』、2018年の『平昌五輪』に続く3連覇を目指します」(スポーツ紙記者)新しいショートプログラムも初解禁となった。「曲は、ピアニストの清塚信也さんが羽生選手のリクエストを反映させながら、ピアノバージョンにアレンジした『序奏とロンド・カプリチオーソ』です。復帰戦とは思えない圧巻の演技を見せ、羽生選手自身も“感情を込めて滑ることができた”と振り返っていました。その言葉どおり、得点の構成のひとつ“曲の解釈”では10点満点を獲得しています」(同・スポーツ紙記者)昨シーズンから継続しているフリープログラム『天と地と』では、ついにあの大技が。「演技の最初のジャンプで、4回転アクセルに挑戦したのです。着氷が両足になり得点はマイナスとなってしまいましたが、羽生選手は“悔しいけれど頑張った”と語っています。それでもやはり、完璧な4回転アクセルを達成するべく、北京五輪に向けて動きだしました」(同・スポーツ紙記者)■メンタル面を心配する声がしかし、北京五輪に向けて順調に見える羽生に、心配の声があがっている。「メンタル面は大丈夫なのかな、と……。試合会場でひたすらしゃべり続けていたのが、少し異様に感じられるほどで。選手同士でちょっとした会話を交わすのは、まだわかるんですが」(スケート連盟関係者)いったい、どんな様子だったのか。「宇野選手や鍵山選手とは、もう何度も同じ試合で戦った仲。気心が知れている関係ですし、何度も楽しそうに談笑していました。なかなか会うことの少ない若い女子選手たちにとっては、羽生選手は会えただけでもうれしい存在。この貴重な機会に羽生選手と写真を撮ろうと列をつくっていたのですが、彼女たちにも丁寧に応じて会話していたのが印象的でした」(同・スケート連盟関係者)それだけでなく、ひとりでいてもとにかくしゃべる。「演技後に得点が出るのを待つキス・アンド・クライでは、リプレイされているフリーの『天と地と』の映像を見ながら“ちょっと早いな、こんなに慌てなくてよかった”と、自分の演技をセルフ解説。とにかくしゃべりたくて仕方なかったんでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)ここまで“しゃべりたい欲”がたまるのは、やや行きすぎた“王者に対する特別待遇”にあるという。「普段は地元の仙台で、家とスケートリンクを往復する日々で、家族以外と会う機会はほとんどないんです。『全日本』の会場でも、ほかの選手とは違う出入り口を使うなど、徹底した“隔離ぶり”。それが羽生選手を孤独にさせているのだとしたら、『全日本』でほかの選手と会えたことで、発散できていればよいのですが……」(前出・スケート連盟関係者)今も仙台でひとり練習を続ける羽生。孤独を乗り越えて北京五輪で勝ちに行く─。
2022年01月05日宇野昌磨、本田真凛「自分の成長過程を、五輪で見せられたら」2021年12月26日、フィギュアスケートの全日本選手権で男子2位となり、北京五輪の代表に決まった宇野昌磨。翌日の取材ではクールに抱負を語ったが、年明け早々に舞い込んだのはなんともホットなニュースだった。「1月1日に、フィギュアスケートの2016年世界ジュニア選手権女王である本田真凜選手との真剣交際が報じられました。交際期間は約3年で、家族ぐるみの親交がある“親公認”のカップルです」(スポーツ紙記者)銀盤のスター同士の熱愛報道。出会いのきっかけとなったのは、真凜の兄で本田家5人きょうだいの長男、元フィギュア選手の本田太一。「真凜選手は2013年の夏から『ノービスA』というクラスに昇級。このクラスは、夏の合宿が終わった後そのままシニアの合宿に合流するんです。兄の太一さんと宇野選手は先にその合宿に参加していて、世代が近い友だち同士。合流した真凜選手を、妹として紹介したそうです」(スケート連盟関係者)■中学生だった真凜に立候補太一を介して出会ったふたりだが、宇野は名古屋、真凜は関西が拠点ということもあって半年ほど距離が空いていた。急接近したのは、2014年に入ってからのこと。「台北で開催された『アジアオープントロフィー』で再会。太一さんも含め、3人ともそれぞれの部門で表彰台に上る活躍を見せました」(前出・スポーツ紙記者)その後、宇野と真凜の距離はさらに縮まっていく。「2014年、アイスショーの公演後に打ち上げで焼き肉に行った際、真凜選手の恋愛の話に。彼女が“彼氏とかほしいな~”と言ったところ、なんと宇野選手が無言で自分を指さして“立候補”。当時真凜選手はまだ中学生だったので、とりあえず連絡先を交換することになりました。ふたりのお母さんも同席していましたが、笑顔で拍手していましたよ」(前出・スケート連盟関係者)なんとも微笑ましい雰囲気で始まったふたりの交流。そこから徐々に関係は深まり、今から約3年前に交際がスタートしてからも、周りの人たちは優しく見守っていた。「真凜ちゃんが試合で滑走するときは、まず最初に昌磨くんが“がんばれ”と声をかけるんです。それを待ってから、周りの選手たちも応援の声をかける。それがお約束になっていました」(別のスケート連盟関係者)■宇野の祖父は「年頃だから」リンクサイドで繰り広げられていた、アツアツな“愛のルーティン”。家族も公認の仲ということで、愛知県で暮らす宇野の祖父で画家の宇野藤雄さんに話を聞くと……。「私は何も知らなかったんですよ。でも、同じスケート選手ならそりゃあ合うでしょう。まあ、年頃だから1回好きになるともう別れられないようになりますよ。孫の好みまではわからないけれど(笑)。結婚?本人次第ですが、もっと先の話でしょう。打ち込むべきことにちゃんと打ち込まないといけない。それは、本人がちゃんとわかっていると思います」北京五輪での活躍には、大きな期待を寄せる。「金メダルの可能性も十分あると思います。どういうことをやれば勝てるかを、ちゃんとわかっている。私は、金、銀、銅を日本で全部とれないかと思っているんです。順番はどうであれ、それを願っています。羽生結弦くんはもちろん、鍵山優真くんも非常にいい成績を出してきているでしょう。楽しみですね」(同・宇野藤雄さん)大舞台を前に明らかになった、銀盤のヒロインとの真剣交際。幸せいっぱいなニュースに負けないくらいの活躍を、五輪でも見せてほしい!
2022年01月04日羽生結弦、ロッテ『ガーナ』のイベントにて(’15年)12月22日から『第90回全日本フィギュアスケート選手権大会』(以下、全日本)が開幕する。■羽生、北京五輪出場の可能性は「全日本には、右足のケガでグランプリシリーズを欠場していた羽生結弦(27)選手もエントリーしています」(スポーツ紙記者)羽生を4歳から小学2年生まで指導していた山田真実コーチも期待を寄せる。「今シーズン初の試合になるので緊張はすると思いますが、どんなパフォーマンスをしてくれるか、とても楽しみです。ファンのみなさんが喜ぶ、素晴らしい世界観のプログラムを見せてほしいです」全日本は日本人選手にとって、’22年2月に開催が迫る『北京五輪』出場の最終選考会でもある。「新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』の影響で、カナダのトロントを練習の拠点にする“りくりゅうペア”こと三浦璃来、木原龍一組は唯一、全日本出場を免除される異例の五輪代表内定となりました。しかし、宇野昌磨選手や鍵山優真選手ら、ほかの種目の選手たちは代表枠をかけて戦います」(前出・スポーツ紙記者)重要な試合に向けて、選手はどのような心境なのか。’14年の『ソチ五輪』にペアで出場経験があり、現在はJOC理事としても活動し、羽生と小学生のころからの幼なじみでもある高橋成美さんに聞いてみた。「“まずはどうやって代表に選ばれるか”という気持ちでやっているんだと思います。でも、ゆづの場合は’14年のソチ五輪と’18年の平昌五輪で金メダルを獲得しているので“選ばれるため”ではなく“次の五輪で優勝するため”で4年間がスタートしているのが、ほかの選手とは違うところですよね」羽生は北京五輪への出場意欲や、3度目の優勝願望について、いまだ明言していない。■楽しみながら、ただ4回転半を’21年7月に行われたインタビューではこう話している。《平昌五輪シーズンのように「絶対に北京五輪で金メダルをとりたいか」と言われたら、そんな気持ちはなく、とにかく自分の壁というか、一般常識の壁みたいなものを乗り越えたいと思っています》(『羽生結弦 未来をつくる』より)モチベーションは北京五輪に向いてはいないように思えるが、羽生の代表入りはどうなるのか。「11月17日に日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は羽生について“(ケガの回復が遅れて全日本を欠場したとしても)選考の土台からは落ちない”と話しています。さらに“われわれとしてはしっかりと回復してくれれば、競技力を取り戻してくれると思っている”とも話しており、五輪での活躍に期待を寄せていることは明らか。なので、羽生選手が選ばれることは十分にありうるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)それでも、羽生の目指すところは“最後の夢”と語る4回転半を試合で達成すること。「今のゆづは純粋にゲームをするように、まるで少年のようにスケートを楽しみながら、ただ4回転半をやりたいと思っているのでしょう。ただ、ケガって治ったらそれで終わりではなく、どうしてもその先もケガをしやすい身体になってしまいます。その判断はどうするか……。それでも、全力でやりながらも優先順位をつけて、自分自身の熱い心を制御できるくらいのすごい選手になったと思います。目の前のことに一生懸命になりすぎていた、あのころのゆづから変わらないまま進化したな、という印象です」(前出・高橋さん)ピュアな境地でスケートを楽しむゆづなら、きっと夢を成し遂げた後の笑顔を見せてくれるはず!
2021年12月24日元フィギュアスケート選手の織田信成さんが、2021年12月7日に自身のTwitterを更新。同日に誕生日を迎えた、フィギュアスケートで現役として活躍する羽生結弦選手へエールを送りました。織田信成から、羽生結弦へ縦読みエール!2013年に現役を引退するまで、国内外の数多くの大会に出場し、活躍していた織田さん。羽生選手は、10代の頃から活躍し始め、2人はかつて、ライバルとしてしのぎを削った仲でした。2021年12月7日に羽生選手は誕生日を迎え、27歳に。織田さんが引退したのは、それよりも若い26歳でのことです。まだまだ現役の第一線で活躍を続ける羽生選手に、織田さんはエールを送りました。ゆーても私も歳なのでスケートをつづけていく大変さもあるけどなんでもらっかんてきにとりあえず頑張る!でばなを挫かれる時もあるけどきもち次第で何とかなるさっ! #羽生結弦 — 織田信成 nobunari oda (@nobutaro1001) December 7, 2021 お分かりでしょうか。このメッセージを、縦読みすると、「ゆづならできる」と書かれているのです!もちろん、文章をすべて読んでも、羽生選手を応援している気持ちは伝わるでしょう。縦読みがあることで、なおのこと羽生選手に頑張ってもらいたい気持ちを届けたかったのかもしれませんね。織田さんが送ったメッセージに、感動の声が相次いで上がっています。・うるうると泣けてくる。・どれだけの想いが詰め込まれているかのか、よく伝わる…。・全文も縦読みも、素敵!27歳を迎え、成熟した羽生選手は、今後も自分なりの最高の演技を見せてくれるでしょう![文・構成/grape編集部]
2021年12月07日羽生結弦「12月9日から大阪での開催が予定されていた『グランプリファイナル』が中止となりました。新型コロナウイルスの新たな変異株『オミクロン株』の影響で日本政府が外国人の新規入国を原則停止したことが原因です。男子シングルには、宇野昌磨(23)選手と鍵山優真(18)選手が出場予定でしたが、まずは12月22日から始まる『全日本選手権大会』に照準を合わせることになります」(スポーツ紙記者)『全日本』は羽生結弦(27)の復帰戦にもなる予定だ。■羽生結弦の誕生日企画、今年も実施!「11月27日に発表された『全日本』のエントリー選手に、羽生選手も名前を連ねていたのです。右足のケガでグランプリシリーズを欠場していましたから、今シーズン初戦に注目が集まっています」(同・スポーツ紙記者)ケガからの回復が待たれる中、羽生は12月7日に誕生日を迎え、27歳となった。地元・宮城県で発行されているタウン情報誌『せんだいタウン情報 S-style』では、羽生の誕生日を祝う企画が行われている。「誕生日の企画は、今回で2回目になります。昨年の企画で、お祝いや応援のメッセージをメールで募集したところ、日本だけでなく韓国や中国、アメリカなど国内外のファンから4000件近いメッセージを寄せていただきました。ファンの方を中心に盛り上げていただいた企画だったこともあり、地元から改めて、日ごろの活躍への感謝とお誕生日のお祝い、これからのシーズンへの応援を伝えたいということで、今年も実施することになりました」(『S-style』編集部担当者)企画では、お祝いや応援メッセージの募集だけでなく、スペシャルケーキの製作も。今年、ケーキを製作したのは、仙台市にある人気パティスリー『Patisserie TISSER』。スケートリンクをイメージしたというブルーの土台が印象的なケーキだが、いちばんのこだわりはチョコレートの細工だという。「羽生選手をイメージしたときに、チョコレートの細工で4回転半を表現したいということが念頭にありました。ぜひ4回転半を達成してほしいという願いを込めています」(『Patisserie TISSER』担当者、以下同)この“4回転半ケーキ”は全国から予約が入っているというが、羽生のもとにも……。「先日、羽生選手のご自宅に、『S-style』さんを通じて、このケーキが届けられたそうです。まだ、そのときの反応は聞いていませんが、もしかしたら羽生選手も食べてくださっているかもしれません。このケーキが少しでも力になっていたらうれしいです」現在は地元・仙台で練習をしている羽生。家族4人で、ひと足早い誕生日会が開かれたかも?では、羽生の27歳はどんな年になるのか。週刊女性は羽生に代わって、女性誌などに占いコンテンツを提供しているフォーチュンアドバイザーのイヴルルド遙華さんに占ってもらった。■羽生の27歳はどんな年に?「生年月日を基にした“木、花、太陽、キャンドル、山、大地、鉄、ダイヤモンド、海、雨”という10の要素から導き出される私の占いでは、羽生選手は“キャンドル”です。まさに、ブームを起こす火付け役というタイプ。カリスマ性があり、注目される存在で、みんなをドキドキワクワクさせる“火を付ける男”なのです」そして27歳の1年は、羽生にとって特別だそう。「27歳は24年に1度の“大大大大大運命の年”なのです!ここから、羽生選手のステージが変わっていくという感じです。30歳を目の前にしてリセットし、新しいステージに行くことになります。これからの3年間は、自分の力を最後まで出し切り、考える時期です」(イヴルルドさん、以下同)羽生の前回の“運命期”は3~5歳ごろだったという。「羽生選手の場合、1回目の運命期にフィギュアスケートという、燃えるものに出会えたことはすごいこと。10代、20代前半を通して強くなって、最強の男としての姿を見せてくれるでしょう。彼の活躍が、世界を明るくしてくれます」現在、羽生は右足のケガを抱えているが、それすらも世界を明るくする源になる。「キャンドルというタイプは、試練やプレッシャーがあるほうが燃え上がります。今はケガをしていますが“絶対に治して復活してやる!”という思いが見られるのが楽しみですね。そういう姿が人々に感動を与えるのです。キャンドルは、ろうを溶かしながら、つまり命を削りながら火をともしています。そういうストイックさに、私たちは感動を覚えて、その先の夢を見せてもらえるのです」気になる、恋愛や結婚については……!?「キャンドルは“いま自分が興味のあること”がすごく重要なタイプです。なので、目の前のものが終わらないと、新しく恋愛や結婚に目が向きません。情熱の人なので、例えば練習に情熱を注いでいたら、それに一直線。スケートよりも好きな人が出てこない限りは難しいでしょう。逆に、燃えたら強いので、好きとなったらそこからはものすごく早いかもしれません。それくらい情熱的な人です。スケートへの情熱がある限りは、恋愛や結婚はないのかなと思います」結婚のニュースが飛び込んでくるのは、まだ先かも。「キャンドルのタイプは、凡人では経験しえないような、すごくドラマチックな人生を送る人が多いです。キャンドルの火は燃え移すこともできるので、日本だけでなく海外に広がっていくことができるし、だからこそ余計に、人は目が離せなくなります。本当に人を惹きつける魅力を持っている人なのです」27歳の1年も羽生から目が離せないということ!
2021年12月07日ANAソチオリンピック日本代表応援記者会見での羽生結弦(’13年12月)「11月23日に更新されたフィギュアスケート男子の世界ランクで、鍵山優真選手(18)が1位となりました。羽生結弦選手(26)は5位、宇野昌磨選手(23)は6位です。羽生選手は、シニア2年目の後輩選手に、順位を抜かされる形になりました」(スポーツ紙記者)鍵山の快挙に、ファンからは祝福の声が寄せられているが……。■鍵山1位に祝福、羽生や宇野にも期待「フィギュアスケートの世界ランクは、今シーズンと過去2シーズンの成績からポイントを算出して決まります。なので、現在は右足のケガで試合に出場できていない羽生選手の順位が下がるのは当然です。とはいえ鍵山選手は、出場した試合できちんと結果を残し続けているからこそ、世界ランク1位になれたのでしょう」(同・スポーツ紙記者)実際、鍵山はグランプリシリーズ2戦の合計獲得ポイントで決まる、12月9日から開催されるグランプリファイナルへの進出も、トップの成績で決めている。「『イタリア杯』と『フランス杯』に出場し、どちらも優勝しました。それでも、演技にミスがあったことから“実力が足りない”と、もっと練習したいと話しています」(同・スポーツ紙記者)また、宇野昌磨もグランプリファイナルに進出。「『スケートアメリカ』で2位、『NHK杯』では優勝を果たし、“世界のトップと競い合う存在に戻ってこられた”と手ごたえを感じているようです」(同・スポーツ紙記者)スポーツジャーナリストの折山淑美さんは、今シーズンの2人の好調ぶりについてこう分析する。「宇野選手は“4回転5本の難しい構成に挑戦しないと世界のトップに立てない”と明確に意識しています。やることがハッキリしたから顔つきも変わりましたし、迷いなくできていますね。鍵山選手は、シニア1年目だった昨シーズンの世界選手権で2位になったので、“もっと進化しなくちゃ”という焦りもあったと思います。ですが“今無理をしても仕方がない”と冷静に考え、持っている力を100%出したときに、自分がどのくらいの位置にいるかを確かめるシーズンにしている。その落ち着きが、今の結果に出ているのだと思います」愛知県で暮らす宇野の祖父で画家の宇野藤雄さんは、孫の活躍に太鼓判を押す。「今度は優勝すると見ています。この先は全部1位です。“王者の風格”が出てきているのと、フリーの舞いには華麗さが加わっているからです。これは天性のもので、練習すれば身につくものではありません。もちろん練習もしなければいけないですが、その上にある得体の知れない風格は、その人が持つ天性のものなのです。芸術は、人の心を打たないとダメ。技だけではダメで、天性のものを出さないといけません。そういう感覚からとらえていくと、いちばんいいところに来ました」一方、鍵山の通う『星槎国際高校横浜』スケート部監督の松下清喜先生は、教え子の謙虚な素顔を教えてくれた。■鍵山「ロシア、半端ねぇ」「『フランス杯』の前に神奈川の高等学校体育連盟の会議があったので、“インターハイの出場選手が確定するんだけど、エントリーしておくか?”というメールを送ったら“エントリーお願いします!”という返信が来ました。インターハイは北京五輪直前の1月の終わりなので、出なくてもいいんじゃないかと言ったのですが、“万が一(北京五輪代表に)選ばれなかったら……”なんて弱気なことを言っていましたね(笑)。北京五輪の選考会でもある全日本選手権が終わるまでは、確実に出場できるかはわからないので、本人は慎重。出場する試合については、お父さんの正和さんとも相談しているようです。やっぱり、オリンピックは出てほしいですし、出るだけではなく、メダルもとってくれたらうれしいです」学校では高校生らしい様子も見せているという。「世界ジュニア選手権で優勝経験もある体操の岡慎之助くんと“ロシア、半端ねぇ”と話していたのが面白かったです。“どうして強いのか?”についても、2人で悩んでいましたね。体操もフィギュアスケートも、ロシアは強豪国ですから」(松下先生)■後輩の活躍で羽生は集中しやすくなったグランプリシリーズを欠場した羽生は、後輩たちの台頭をどう感じているのだろうか。元フィギュアスケート選手で冬季五輪の出場経験もある渡部絵美さんに、若手選手に対して抱く思いを聞いた。「私がスケートの大会に出場するようになってから10年ほどたって、伊藤みどり選手が脚光を浴びるようになりました。そのとき、私はすでに引退していましたが、ジュニアのときに3回転ジャンプを跳んでいて驚きましたし、これからの選手が出てきたな、と思いましたね。羽生くんはベテランですから、後輩たちの躍進に焦りはないと思いますが、“4回転半が目標”と聞くと、順位はどうであれ“スケート人生の総決算としてそれを跳ぶ”ということに懸けるのではないでしょうか」また、後輩たちが世界のトップと争うことで、羽生の“夢”達成を後押しするのではないかという声も。「最近の羽生選手は“4回転半の成功が目標”と何度も口にして、試合の勝敗にはこだわっていない様子に見えました。それでも試合に出場すれば、どうしても“勝つ”ことを求められてしまいます。しかし、宇野選手や鍵山選手が世界のトップを狙える存在になったことで“勝たないといけない”というプレッシャーから多少なりとも解放されるはず。そのおかげで、気負うことなく真っさらな気持ちで4回転半に挑むことができるのではないでしょうか」(スポーツライター)とはいえ、ロシア杯欠場を発表したときのコメントで、《まだスタートラインにはたどり着いていません》と語っていた羽生。いったい“夢”達成はいつになるのだろうか。前出の折山さんは、こう話す。「今は、4回転半を入れたプログラムを完成させたらどう評価されて、どういう結果になるかを純粋に考えている、そういう気持ちだけだと思います。どの大会で4回転半を入れた演技が見られるかわかりませんが、12月22日から始まる全日本選手権には出るのではないでしょうか」前出のスポーツライターも、「全日本でよい結果を出すことができれば、その先に続く“大舞台”でも素晴らしい演技を見せてくれることでしょう」と、期待を寄せる。羽生の見据える先には、どんな未来が待つのか──。
2021年11月30日宇野昌磨フィギュアスケートのグランプリシリーズ第4戦『NHK杯』が幕を閉じた。「4回転ジャンプを4種類5本盛り込む自身最高難度のプログラムに挑んだ宇野昌磨選手(23)は優勝という最高の結果に。グランプリシリーズの2戦を終えて、『グランプリファイナル』への出場は確実でしょう」(スポーツ紙記者)■羽生に紀平、トップ選手不在の『NHK杯』今回の『NHK杯』は、注目のトップ選手が不在という状況での開催となった。「国内で羽生結弦選手(26)の試合が見られる数少ないチャンスでしたが、“右足関節靭帯損傷”による欠場を発表。紀平梨花選手(19)も“右足関節骨軟骨損傷”の回復が遅れていることから欠場すると発表されました。また、複数の4回転ジャンプを武器としているロシアのトゥルソワ選手もケガで欠場となりました」(同・スポーツ紙記者)直前での発表だったためか、大会の公式パンフレットには羽生や紀平ら、欠場となった選手も掲載されていた。「パンフレットに掲載されたことで、これまで謎に包まれていた羽生選手の新しいショートプログラムの曲が判明しました。曲は、サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』です。フィギュアスケートでは定番の曲で、羽生選手憧れのプルシェンコ選手が使用していたことも。もともとバイオリン曲として作曲されていますが、羽生選手との共演経験もあるピアニストの清塚信也さんが演奏をしているそうです」(同・スポーツ紙記者)清塚と羽生の共演は’18年に行われたアイスショー『ファンタジー・オン・アイス』でのこと。清塚は当時のインタビューで、羽生と“再共演”することについて、こう語っていた。《もちろんまたやりたいけど、あんまり簡単には手を出したくないですね。僕にとっても、今回の出来に関しては、すごく満足していますし、羽生選手との思い出を含め、神聖なものという感覚があるので。これ面白そうじゃない?ぐらいの気持ちでは、やりたくないかな》(『Number Web』)それだけに、今回のショートプログラムの演奏は覚悟を持って引き受けたことだろう。一方、『NHK杯』に出場していた宇野は、羽生と“兄弟のような関係”を築いている。「小さいころから一緒に試合に出ていて、羽生選手が宇野選手の面倒を見てあげることもありました。“ゆづくん”“昌磨”と、お互いに下の名前で呼び合う仲ですよ」(スケート連盟関係者)それだけでなく、宇野は羽生への強い憧れをずっと抱いてきた。「宇野選手はインタビューで“最終目標はゆづくん”と言い続けてきました。宇野選手にとって羽生選手は、特別な存在なのです」(同・スケート連盟関係者)■世界と戦うために固めた“決意”そんな羽生が欠場することになってしまったが、スポーツジャーナリストの折山淑美さんによると、意外にも宇野は落ち着いているそう。「今の宇野選手は、“自分がやりたい構成をどれだけ完成に近づけられるか”ということにしか、目を向けていないと思います」それには、こんな理由があるという。「完全に気持ちが吹っ切れていますよね。コーチが不在だったり、コロナでなかなか試合ができなかったり、そういう時期を経て、“4回転5本の構成をしたい。そうしないと世界と戦えない”というのがハッキリ自分の中に芽生えて、挑戦している感じがします」(折山さん、以下同)自身最高難度の構成への挑戦が、冬季五輪への思いも変化させた。「『北京五輪』は『平昌五輪』以来2回目のオリンピックになりますが、今は挑戦し始めたばかりなので、その過程のひとつという気持ちもあるはず。“『北京五輪』が集大成”とは思っていないでしょう。『平昌五輪』の当時はそこまで考えておらず、“羽生結弦を追いかけていただけ”という感じがありました。今回は“世界のトップで戦いたい”という決意を固めていると思います」宇野が“脱・羽生”の決意に至った裏には、これまでのスケート人生の波があった。「もともと“世界のトップに立ちたい”という思いを持っていましたが、コーチ不在などの苦労をして、“スケートってトップに立つよりは楽しめればいい、楽しいほうがいい”という思いになり、それでもやっぱり“トップに立ちたい”という思いが甦って……。戦えない時期を経験したから、戦えることの楽しさも実感しているのでしょう」では、愛知県で暮らす宇野の祖父で画家の宇野藤雄さんは、そんな孫をどのように見ているのだろうか。「昌磨のことはずっと見てきましたが、よくやっていると思います。“あの年代であれだけのことがやれるなら僕も頑張ろう”と、周囲に元気を与えることができているのではないでしょうか」今後さらに活躍していくためには“転ぶ”ことが必要だそう。画家である自身の経験と重ねる。「私は絵を描くのですが、悪いところを修正するのに何年もかけます。例えば今は、3年ほど前に描いた絵を修正しています。失敗をして常に勉強を重ねると、このほうがいいとか、どうしたらいいか気がつくようになるんです。だから、失敗をしない限り向上はありません。向上するためには、転ばないといけない。転べばその理由がわかるようになって、向上につながります」(藤雄さん、以下同)そして、宇野の欠点をこう分析する。「今までの昌磨を見ていると、最大の欠点は滑りすぎること。滑りすぎて転んでしまう前に、ゆとりがあるといい。そこに気がついたら、無敵の選手になれると思います。切羽詰まってやっていたらダメ。“やろう、やろう”とすると、気が先走るでしょ。それを修正するのはすごく大変。人間的なゆとりのことですからね」オリンピックへも、ゆとりを持って臨むべきだという。「『北京五輪』は周囲が盛り上げるでしょうし、応援もヒートアップするから、意識しないというのは難しいでしょうけれど、年齢を重ねたことで、落ち着いて挑めるようになると思います。『北京五輪』はテレビ越しに応援できたらいいと思っています」新たな目標となった世界のトップに立てるか──。
2021年11月15日2018年2月27日、平昌五輪報告会での羽生結弦(汐留・ANA本社)それは“夢達成”を目前にして起きた。■シリーズ開催直前にケガ「羽生結弦選手(26)が、11月12日から開催されるグランプリシリーズの第4戦『NHK杯』を欠場することが、日本スケート連盟から発表されたのです。原因は、練習中に転倒したことによる“右足関節靭帯損傷”です。羽生選手が出場予定だった枠には、山本草太選手が出場することになりました」(スポーツ紙記者)ケガの程度や復帰時期は明らかにされていないが……。「11月26日から始まる、グランプリシリーズ第6戦の『ロシア杯』も出場が難しいとみられています。12月9日からの『グランプリファイナル』も、2試合の順位に応じて与えられるポイントの合計で上位となった6選手が出場できる大会なので、羽生選手の出場は絶望的な状況と言ってよいでしょう」(同・スポーツ紙記者)試合を1週間後に控えたタイミングでの発表に、ファンの間でも衝撃が走っている。「11月1日にNHK BS1で放送された『NHK杯』の見どころを紹介する番組では、“4回転半をしっかり『NHK杯』で決めたいという気持ちがいちばん大きいです”と語っていました。前人未到の“夢”を叶える姿を見られると思っていたのですが……。それだけ、4回転半の練習が負担になっていたのでしょうか……」(羽生ファンの女性)周囲の心配をよそに、羽生は前向きなコメントを発表している。《今回の怪我からも、また何かを得られるよう、考えて、できることに全力で取り組みます》冬季五輪シーズンの右足のケガ。きっと“4年前”のことが頭をよぎっただろう。「’18年の『平昌(ピョンチャン)五輪』が行われたシーズンにも、その直前に開催された、’17年11月の『NHK杯』を欠場しています。試合前の練習で4回転ルッツを試みた際に転倒してしまったのです。翌日に“右足関節外側靭帯損傷”という診断が明らかになりました。その後も、ケガの影響で試合の欠場が続き、『平昌五輪』の団体戦も欠場。男子シングルで復帰して、金メダルを獲得しました。当時、しばらく氷上での練習ができなかったそうです」(前出・スポーツ紙記者)■4年前の不安がよみがえるその翌年にも、右足首を捻挫している。「2年続けて右足にケガをしてしまったことで、より軽い衝撃でもケガをする可能性があり、今までと同じ衝撃でも、これまでより大きなケガになってしまうかもしれない状態だったそうです」(同・スポーツ紙記者)今回はどんな状態なのだろうか。「羽生選手は、“痛みをコントロールしながら氷上でのリハビリ”をする、ともコメントしています。なので、4年前のケガよりも、多少なりとも状態はよいのではないでしょうか。とはいえ、このタイミングでのケガは絶体絶命といえます」(フィギュアスケート関係者)小学2年生までの羽生を指導していた山田真実コーチに聞くと、「心配しています。ケガは必ず治るものなので、治療に専念してもらいたいです。どんなに本人や周りが気をつけていても、ケガをしてしまうことってあるんです。今回も、そういう感じなんだろうなと思っています」と、スポーツ選手にケガはつきものだという。「私の生徒も、大切な試合の前や公式練習のときにケガをすることがあります。そこで、治療が間に合う、間に合わないよりも、試合の重要度や選手自身の目標や気持ちによって、あえて出場という判断をすることもある。そういうときでも最善の状態で試合に出るために、直前の数時間で何をするかという瀬戸際を味わってきました。もちろん、結弦もそういう経験をしています。なので、周りが慌てる必要はないと思います。もちろん、悔しい思いはあるでしょうが、本人がいちばんわかっていることです。今は、いつどのように練習を再開するか、医師と一緒に考えていると思います。ケガをしてしまうと、“やりたいこと”もできなくなってしまうので……」(山田コーチ)羽生が通っていた『東北高等学校』のフィギュアスケート部顧問を務める佐々木遵さんは、心配しながらも期待を寄せる。「前にもオリンピックのときにケガをして、それでも復活しているので、今回もどうにか克服してオリンピックに出てくれるのではないかな、と思っています。きちんと周りにスタッフもいる状況だと思うので、多くの方に支えられて、“目標”は達成してくれると期待しています」では、達成の場はどこになるのだろうか。出場を願うファンも多い『北京五輪』について羽生は“4回転半成功の道の半ばにあるなら”としていて、意欲はそれほどでもないように思えたが……。■復活への道筋「羽生選手は“4回転半を試合で決めたい”という思いを強く持っています。それを果たすために出場を決めていた、グランプリシリーズの『NHK杯』を欠場することになってしまったので、この先、より多くの試合に出場する機会が欲しいはず。『北京五輪』も目指す必要が出てきたのではないでしょうか」(スケート連盟関係者)そのためには、年内の復帰が望まれる。「まずは『全日本選手権大会』への出場を目指さなければなりません。今年の『全日本』は『北京五輪』の最終選考会でもあります。ケガなどのやむをえない事情があった選手には、それまでの結果を加味して選考するという特例はありますが、基本的には『北京五輪』に出場するためには『全日本』への出場は必須です」(同・スケート連盟関係者)『全日本』での復帰を目指すには、こんな理由も。「羽生選手のファンは海外にもたくさんいますが、やはり日本は特別。いちばん最初に“夢”を叶える場所は、日本のファンが多く集まれるところを選びたいはず。羽生選手は、ファンのことをすごく大切にしており、恩返しをしたいという気持ちを持っているのです」(前出・フィギュアスケート関係者)それでも、ケガから約2か月で試合復帰は大変なこと。「くしくも、『全日本』の男子シングルの試合は12月24日のクリスマスイブから始まります。ファンに“奇跡”を見せてくれるのではないでしょうか」(同・フィギュアスケート関係者)最高のクリスマスプレゼントになるか──。
2021年11月09日羽生結弦フィギュアスケートのグランプリシリーズ第2戦『スケートカナダ』が幕を閉じた。「ネイサン・チェン選手は連戦となり、ほかに出場したのは、田中刑事選手や樋口新葉選手ら。一部の出場選手のビザ発給が遅れるトラブルはありましたが、無事に開催されました」(スポーツ紙記者)第2戦は試合前にひと波乱が起きていたが、第1戦の『スケートアメリカ』は、波乱の試合結果だった。「ネイサン選手がショートプログラム冒頭のジャンプで転倒してしまい4位に。フリープログラムでもジャンプのミスが続き、3位にとどまりました。’18年から続く連勝記録も、13でストップ。一方、日本の宇野昌磨選手は好発進。宇野選手史上いちばん難しいという構成に挑み、ネイサン選手を越える2位に輝きました」(同・スポーツ紙記者)自らの試合を目前にして、羽生結弦はこの結果をどう捉えているだろうか。羽生との共著『羽生結弦 未来をつくる』(集英社)を発売したばかりのスポーツジャーナリスト・折山淑美さんによると、「ネイサン選手は、出だしが不調で、徐々に調子を上げてくるタイプ。羽生選手は“4回転アクセルを入れたプログラムを完成したい”、そして“ショートを完璧に滑りたい”ということに向けて集中しているので、ほかの選手の試合結果を気にしていないと思います」と、“夢達成”に一直線だという。■羽生に立ちはだかるコロナの壁「羽生選手が出場するのは、11月12日から東京で行われる『NHK杯』と、26日から’14年のソチ五輪と同じ会場で行われる『ロシア杯』です。しかし、羽生選手が初めて冬季五輪の金メダルを手にした“出発の地”で不穏な話が聞こえてきて……」(フィギュアスケート関係者)いったい、どういうことか。「ロシアでは新型コロナウイルスの感染者数や死者数が、急増しているのです。10月28日には、1日あたりの感染者数が初めて4万人を突破したとニュースになりました。対策として、10月30日からの1週間を、ロシア国内全土の企業や学校などを休みにする“非労働日”として、通勤通学を控えるよう呼びかけています」(現地ジャーナリスト)医療ジャーナリストの村上和巳さんによると、感染拡大の一因には“ワクチン接種率の低さ”があるという。「全世界で、ワクチンの2回目の接種を終えている人の割合は約38%です。日本は現在70%を超えていますが、ロシアは約33%しかいません。一部例外はありますが、日本のようにワクチン接種率が伸びている国は、ウイルスの生存環境が少なくなり、一時的に感染者数も減ります。ところが、ロシアはアフリカの国々と同じくらい接種率が低いので、感染が拡大してしまうのは、ある意味自然というか、当然というか……」さらに、別の懸念も。「ロシアでは、新たな変異株『AY.4•2』も発見されています。一部ではデルタ株より10%ほど感染力が増しているという発表がありますが、まだ情報が少ない。ロシアは、ワクチン接種率が低いので感染が拡大しやすい。感染が拡大しやすいので変異株が登場しやすくなるという、いわば負のスパイラル状態なのです」(村上さん、以下同)『ロシア杯』の開催までは、残り1か月を切っている。「ロシアが独自で開発したワクチンは、“表面上”は効果が高い。しかし、国民からの国産ワクチンに対する信頼性が低く、接種が進まない。なので、1、2か月で状況が改善するような見込みはありません。ロシアは当面“ダークスポット”といえるでしょう」■ソチで開催されるメリット今のところ、『ロシア杯』は開催される予定だが……。「羽生選手は、昨年のコロナ禍でのグランプリシリーズを気管支ぜんそくの持病を理由のひとつとして欠場しています。感染が拡大している地域での試合には、人一倍不安を抱えていると思うのですが……」(前出・フィギュアスケート関係者)しかし、前出の折山さんによると、昨シーズンの経験を活かせば乗り切れるそう。「“どういうふうに感染を防げばいいか、だんだんわかってきている”と羽生選手本人が言っていました。大会の運営側も、ノウハウができてきています。そういう中での、細心の注意を払っての開催なので、大丈夫だと思います」ソチで開催されることも、安心材料のひとつ。「スケートの大会はすべて“バブル方式”という、選手やスタッフを泡の中に入れるように外部と接触させない方法で行っています。モスクワなどの都市と比べて、『ロシア杯』が開催されるソチは人口が少ないので、外部との接触機会は減らしやすい。なので、開催に影響はないと思います。羽生選手は、バブル方式での試合も昨シーズンに2回経験しています。そこでの対処の仕方もある程度わかっています」(折山さん)■ゆづは仙台でどう過ごしてる?試合が近づく中、羽生はどのように過ごしているのか。地元・仙台で街の人に聞くと、「昔は近所のスーパーで買い物したり、公園で遊んだりしていましたよ。高校生くらいのころには『アイスリンク仙台』の近くにあったCDショップにも、よく行っていたみたい。でも、世界的な活躍をするようになってからは見かけなくなりました。だから最近の暮らしぶりは何もわからないんです。“あそこで見たよ”みたいな話も聞かなくって。ひっそり暮らしているんだと思いますよ」(仙台市民)と、聞こえてくるのは、ずいぶん以前の話ばかり。比較的最近の出来事も本人は不在で、家族のエピソードだ。「’14年に羽生選手が『ゼビオアリーナ仙台』に出演したとき、ご両親や祖父母などの親族一同で来てくださって。みなさんとても優しい方でした。’18年には、羽生選手の祖父母と、叔母さんがお手紙を持ってきてくださいましたよ」(『漁亭 浜や』あすと長町店)そこで、観光アンバサダーを羽生に委嘱している仙台市観光課に、羽生が仙台市民にとってどんな存在なのか聞いてみた。「仙台には、羽生選手が幼いころから、その後活躍して、世界へと羽ばたいていくのをリアルタイムで見ている方が多くいます。そのことが、羽生選手への愛着や親しみにつながっているように感じます。仙台市民は、羽生選手のさらなる活躍を心より応援しています」(仙台市観光課)地元からの応援を糧に、不安を払いのける──。
2021年11月04日