幸四郎もタジタジ!? 歌舞伎愛に満ちた花形が大集合
「昼の部『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』は、『草摺引(くさずりびき)』と呼ばれる華やかな踊り。曾我五郎という歌舞伎の代表的な立役と、舞鶴という代表的な女形が出てきて、色彩的にも雰囲気的にも「これぞ歌舞伎」といえる作品です。同じく昼の部の『松浦の太鼓(まつうらのたいこ)』は、『秀山十種』と呼ばれる曽祖父が得意とした代表作の1つで、忠臣蔵外伝の名作。見どころは、人間味と愛嬌のある松浦公の繊細な感情の変化です。一生懸命演じるだけでは成り立たない役なので、私としてはどれだけ力を抜いて、感情を自由に表現できるかが重要だと思っています。夜の部『御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』も忠臣蔵にまつわる人気作。台詞劇ではありますが、真山青果の新歌舞伎は、台詞回しが音楽的で美しいので、その魅力を表現できればと思っています。最後が『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』。
今回の一座には、“面白い人”というか“おかしな人”が顔を揃えております(笑)。その演者総出演での踊りなので、おそらく相当面白いものになるのでは(笑)。昔からある長唄の踊りですが、今回は博多座の大きな舞台機構を生かした、とにかくにぎやかで派手な当一座ならではの花見踊を新たに制作中です」。