沖澤のどか、三浦文彰が彩る日本フィル定期 7月9日、10日開催
(C)Felix Broede
今をときめくアーティストが日本フィル7月東京定期のステージを彩る。しかも最愛のレパートリーを携えての登場だ。最高のピンチヒッターではないか。
すでに多くのオーケストラの指揮台に立ち、ひたむきかつ明晰な音楽観で信頼を得ている沖澤のどか。10代の頃からピアノ、チェロ、オーボエに親しんできた。オーケストラの調べが好きだった。
近年の歩みを駆け足で記せば、日仏の国際指揮者コンクール優勝で脚光を浴び、ベルリンに留学。これまでに日本の愛すべきマエストロたち、リッカルド・ムーティから教えを受け、2020/21年のシーズンからベルリン、カラヤン・アカデミーの奨学生としてキリル・ペトレンコのアシスタントを務めつつ、内外の檜舞台に名乗りを上げ始めた俊英──となる。
中欧の名門や老舗オーケストラも関心を寄せるライジングスターのひとりだが、彼女にあせり、力みはない。ウィーンのオペレッタは少し真面目過ぎたけれど、調べの移ろいや色あいの変幻に想いを寄せ、オーケストラ、聴き手とコミュニケート出来る若きマエストロだ。しなやかな技と音楽観を体得した上で、これから一歩ずつ歩んでいく。
そんな今どきの正統派、沖澤のどかが、メンデルスゾーンの味わい深く、しかも劇的な交響曲第3番「スコットランド」