くらし情報『本質に迫る新たなつう像。小林沙羅《夕鶴》初挑戦』

本質に迫る新たなつう像。小林沙羅《夕鶴》初挑戦

小林沙羅

(C)石阪大輔


「全国共同制作オペラ」の一環として新制作上演される日本オペラの名作、團伊玖磨《夕鶴》[10月30日(土)東京芸術劇場コンサートホールほか]。
主役つうでロール・デビューを果たすのがソプラノ小林沙羅だ。いつかは演じたいと願っていた待望の初役。清楚な容姿と可憐な歌声は役のイメージにぴったりだけれど、今回はそのイメージ、つまり白い雪景色の中の美しいつう像自体を捉え直すことになりそう。
「演出の岡田さんが目指しているのは、それを打ち崩すようなイメージ。白いつうではない。鶴でさえない。先入観を一度消さないと先に進めないなと思っています」
演劇界の鬼才・岡田利規が初めてオペラ演出を手がける舞台。
もともと演劇少女だった小林は、小学生ながらに坂東玉三郎主宰の大人向けの演劇塾に参加して直接指導も受けたという経歴の持ち主。演劇への関心はオペラ歌手の中でも人一倍だ。しかしその彼女をしても岡田の舞台作りには新鮮な驚きがいっぱいだという。
「ドキッとしたのは、『そこは僕にとってはどうでもいい』という言葉です。たとえば、つうが本当に与ひょうを愛しているのかどうか。演じる私にとってはとても大事なのですが、岡田さんはどちらでもいいと。

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