「オルフェオとエウリディーチェ」リハーサル写真撮影:堀田力丸
新国立劇場がオペラ芸術監督大野和士のもとで展開するバロック・オペラシリーズ、その一環として取り組む舞台、グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』がまもなく開幕する。指揮者の鈴木優人と、演出・振付・美術・衣裳・照明を担う勅使川原三郎。才気あふれる二人の刺激的なコラボレーションだ。感染拡大予防のためリハーサルは非公開で進められたが、5月上旬に実施された通し稽古の映像には、鈴木と勅使川原の陣頭指揮で、グルックの音楽に真摯に向き合う出演者たちの姿があった。
ダンサー、振付家、演出家として国際的な評価を得ている勅使川原。ダンス作品のみならずオペラにも意欲的に取り組み、その身体表現と美意識をもって数々の独創的な舞台を創り上げている。今回の舞台では花器に見立てた円形の舞台装置を用いると明かしていたが、果たして舞台上にどんな世界が立ち上がるのか、自ずと期待は高まる。
第1幕第1場、合唱メンバーたちに囲まれ装置の中央に立つのは、オルフェオ役のローレンス・ザッゾ。
亡き妻を思う彼の嘆きの歌、その切なげな声が響くと、やがて重々しい足取りの4人のダンサーが登場する。