型のない無手勝流な鶴瓶噺は、続けないとダメなんです。
撮影:源賀津己
2023年の春も、鶴瓶噺の季節がやってくる。「日常で起こる本当の出来事が一番おもしろい」と語る男が、日々残しているメモからチョイスしていたのは285個の鶴瓶噺の素。2022年のエピソードからの厳選した数である。あらゆる出来事があっという間に過去になるスピード狂の時代に、笑福亭鶴瓶は焦らずゆったりと今日も自然体だ。2022年を振り返って、真っ先に思い浮かんだというキーワードも“らしい”ものだった。
「2022年は……友達が増えました。『A-Studio+』とか『鶴瓶の家族に乾杯』といったテレビの仕事は、たくさんの人と出会うでしょ。すると、友達が増えていく。
2022年はドラマや映画もあったから、そっちでもそうなんです。『しずかちゃんとパパ』というドラマでは、耳が聞こえない父親役で全編手話だったんですね。その現場では手話を教えてくれた人たちと仲よくなれてうれしかったんですけど、とにかく厳しかったんです、うちのマネージャーが。同時進行で映画の現場も入っていてヘトヘトなのに『手話、練習しましょう!』と。『いいけど、俺、死ぬよ』と小声で言いましたからね(笑)。じゃあ、映画の現場はどうだったかといえば、マイナス14℃で。