やっぱり女は守られたい?それとも自立したい?ディオールとシャネルの関係 で見る20世紀半ばのファッション《連載:ファッションオタクのサーバエンジニアが見る女性とファッション・スタイルの文化史(3)》
と耐え難いほどの屈辱を感じます。そして1954年、コレクションにカムバック。しかし、フランスのファッション誌は「1930年の亡霊」、「退屈で胸もウエストもヒップもない」「大失敗」と残酷に切り捨てあざ笑います。
しかしその記者たちの攻撃はリウマチで指が不自由な71歳の、自立した彼女の闘争心に火をつけ、やめることはありませんでした。そんな中、アメリカはココ・シャネルのカムバックを称賛します。アメリカ最大手のベストセラー雑誌「ライフ」がココ・シャネルを大々的に報道しました。シャネル初期から存在した動きやすく快適なジャージー素材のドレスだけでなく、オフィスなどの公の場に最適なツイードスーツは、簡素かつエレガント。これらのスタイルは消費の中心が「仕事を持ちキャリアを築き人生を切り開こうとする女性」へと変化していたアメリカにおいて、大歓迎を受けました。
「シャネルが世にもたらしたのは、モード以上のもの、それは革命である」と。
それらがきっかけとなり、今日に至るまで、ファッションに興味があるなし関わらず、彼女のスタイルは世界中のすべての人に浸透していったのです。第四回は若者文化と共に新しい価値観の台頭した1960年代、70年代のファッションについて考えてみたいと思います。