完璧よりも「まんざらでもない」人生を目指そう東京大学教授・玄田有史さんインタビュー(後編)
インターネットって、最初は世界中と自由にゆるくつながれるものだと思っていたけど、結局みんながネットで見ているものや参加しているコミュニティって、固定化されていてすごく閉じている感じがする。いつも行く常連のお店みたいで。それはもう“ストロング・タイズ”ですよ。
常連の店に行ってもいいけど、そこでいつものマスターと話し込むんじゃなくて、ふらりと入ってきたひとり飲みの客同士が、一期一会で肩の力が抜けた雑談をして楽しかったって言える社会の方が、僕はずっといいと思いますけどね。
――でも、雑談しているときとか、この時間って得なのかなとか、意味あるのかなって考えてしまうんですよね。
玄田:雑談ってすごく大事でしょう。それに、意味なんか考えてたら、友達なんか作れない。
ある新聞記者に、「希望を持つのに一番大事なものは何でしょうか?」って聞かれたことがあって、「それは遊びでしょう」と答えたら、「先生がおっしゃる遊びの意味がわからないので、教えてください」って。
遊びに意味を求めるのかと思って、現代の息苦しさはこれだと感じました。
遊びなんて、意味があるかどうかわからないから遊びなんです。意味があるからやるのは、遊びじゃなくて仕事でしょ。