完璧よりも「まんざらでもない」人生を目指そう東京大学教授・玄田有史さんインタビュー(後編)
ただ、おひとりさまが増えているのはある意味、社会の成熟の証でもあると思うんです。“ストロング・タイズ”の話と同じで、「組織があってはじめて人は幸せになれる」という考え方から、「組織に所属していれば安心、という生き方はもう限界かもしれない」というふうに、社会が変化してきている過渡期ならではの現象という気もする。
だから今、自らすすんでおひとりさまを選んでいる人たちは、時代のフロンティアなのかもしれない。そういう人たちが「まんざらじゃなかったかな」って思いながら死んでいける世の中になってほしいんです。
text/福田フクスケ
玄田有史(げんだ・ゆうじ)
1964年、島根県生まれ。東京大学社会科学研究所教授。専攻は労働経済学。若年者の失業問題に迫り、雇用の本質的な問題提起をした『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』(中央公論新社)で、サントリー学芸賞を受賞。
ニート(若年無業者)の問題を日本に知らしめた第一人者としても知られ、希望を個人の内面ではなく社会の問題としてとらえる「希望学」を研究・提唱している。主な著書に『孤立無業(SNEP)』(日本経済新聞出版社)、『希望のつくり方』(岩波新書)など。
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