一人暮らしはタフになれる楽園/誰に見せるでもない爪
第19回:「一人暮らしはタフになれる楽園」
(c)誰に見せるでもない爪
今回は、一人暮らしを始める女性からの「何かアドバイスをください」という投稿。
私は上京して10年になる。それまでは訳あって高校3年間、家事は親の分もほぼ一人でやっていたため、一人暮らしを始めた時の「一人分がこんなに楽だとは」という感覚は、端から見れば奇妙かもしれない。
社会人になってからは、より一層肩の荷が下りたような気がして、いろいろ楽しめることも増えた。
近所のラーメン屋に通う。スーパーで買ったことのない食材を調理してみる。
午前中には掃除洗濯を終わらせて、午後はがっつり制作に充てる日もあれば、朝までドラマを一気見して、ベランダに出て、朝帰りする人々を眺めてから寝る日もある。
食糧はどれくらい買うのが適量か。
お風呂で歌う声は外まで聞こえるのか。次は何の石鹸にしようか。
毎週日曜の昼になると、街宣車並みにB’zを流して走る車がいて、その度にテンションが上がる。
平日23時頃になると現れる「頑張って聞いても何の曲か分からない熱唱」で通る自転車の人が、星野源を歌っていると分かった瞬間はスッキリした。
人はそれを騒音と言うかもしれない。