すべての悩みは「人間の三大煩悩」を観察するだけで解決できる?
■ブッダの「正しい理解」の本質的な意味
「正しい理解」に反応はなく、ただ見ているだけ。動揺しない。なにも考えない。じっと見つけているだけ。そこまで徹底したクリアな心で、自分を、相手を、世界を理解することを、「正しい理解」と表現しているのです。
いわば「正しい理解」こそが、苦しみを超える道であるということ。「正しい理解」をきわめた人であるブッダが到達した境地のことを“解脱(げだつ)”と呼ぶことがありますが、これは「自由」「解放」という意味なのだとか。
だとすれば、仏教=ブッダの教えとは、「正しい理解によって、人間の苦悩から自由になる方法」ということになるわけです。
*
著者は、こうした考え方について、「これは宗教ではありません。本書が『ブッダの合理的な考え方』と呼ぶことには、明白な理由があるのです」と説いています。
たしかにそう考えると、ブッダの教えを日常生活に取り入れることには合理的な意味があるといえるかもしれません。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※草薙龍瞬(2015)『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』KADOKAWA