値引きはしないのに増収増益を続けている「吉田カバン」の仕事術
もともと吉田カバンの商品は、手間ひまをかけて制作する職人さんの工賃と、材料費や運送費などの諸経費、そして一定の利益を乗せて「販売価格」を設定したもの。余分な上乗せは一切していないのだそうです。
つまり値引きをしたとしたら、つくり手側は誰も幸せになれないというわけです。
■百貨店との取引を減らした理由
かつて、吉田カバンの主要販路は百貨店だったそうですが、2000年代に入ってから、百貨店との取引を徐々に減らしていったことがあったのだといいます。
普通に考えれば、百貨店はきわめて重要な顧客であるはず。なのになぜ、そんなことをしたのでしょうか?
著者によればその理由は、売り場の方との「考え方の違い」だったのだとか。
というのも、いつのころからか百貨店からの要求がどんどん強くなっていったそうなのです。
「吉田カバンの販売担当をする店員を2人雇ってくれ」といわれるときもあれば、「売り場のディスプレーは全部負担してほしい」「小品を置くための什器は持ち込んでくれ」というように、吉田カバン側の負担が大きくなっていったということ。
そして、値引きをしない吉田カバンの商品はそれまで「セール除外品」