アベノミクスは机上の空論!? 数字から考える「日本の人口」問題
しかし著者が懸念しているのは、後10年も経つと、「もう旅行するのもしんどいな」という人たちが数多く出てくるであろうということだとか。
つまり今後、人口が格段に減っていくことは確実で、消費も減っていくため、GDPの伸びも期待できないことになるのです。
その一方、この先数十年にわたり、若い人たちの社会保険料負担と税負担が増えていきます。これも可処分所得が減るので、GDPの減少要因となります。
だからこそ、この構造をどう変えていくかが、現在の最大の課題だということです。
■アベノミクスは「机上の空論」
この課題の難しさは、「経済が安定しないと子どもが増えない」という点にあると著者は指摘します。ただでさえ子どもを産まない理由としては経済的理由が大きいのに、経済が安定しない現在、将来不安のなかで進んで子どもを産む人が増えるとは考えにくいわけです。
そうした状況下、「アベノミクスでGDPを600兆円に」などということは机上の空論だといわざるを得ない。
著者はそう主張しています。
90年代初頭、すでに(合計特殊出生率)「1.55ショック」というものがあり、こうした事態になることはわかっていたそうです。