2023年12月31日 21:40
ボロボロの旅館を継いだ私が社長令嬢と結婚⇒「親のために結婚しただけですから」花嫁の正体は
「結婚前の私に、夫にはプロポーズをした女性がいるって吹き込んだのもこの人でした。ウチからの資金提供をやめさせるためでしょう」
だから結婚当初、彼女はいつもふさぎ込んだ様子だったのか……。全然知らなかった私は、続く言葉にさらに仰天しました。
「ここは初恋の思い出がある大切な場所なの。開発業者の手には渡さない、旅館と温泉は私が守る!」
甘酸っぱい思い出の相手は…
妻が、他の旅館にも開発業者と結託していたことを話すと告げると、幼なじみは、歯ぎしりしながら退散していきました。私は、古い記憶がよみがえりつつあるのを感じながら、妻に聞いてみました。
「あの……初恋の場所っていうのは? 君はこの街に来たことがあるの?」
「やっぱり気付いていなかった? 私は小学生のころ、1年間だけここに住んでいたの。あなたと遊んだこともあるわ」
顔も名前もすっかり忘れてしまっていたけれど……。
甘酸っぱい思い出の相手は、なんと彼女だったのです。妻は、思い出の温泉地のピンチを聞きつけ、旅館を助けるため親に相談したのだとか。しかし、再会してみれば当の私は昔のことを覚えておらず、他に婚約者がいると言われて落胆したのだそう。