2022年5月18日 09:00
展覧会開催のお知らせ 特別展『北斎 百鬼見参』 北斎や門人による、怖い鬼、哀しい鬼、愛すべき鬼等、約145点の鬼の浮世絵が集結!<期間:6月21日(火)~8月28日(日)>
北斎は、古来描き継がれてきた雷神にのっとり、雷神の背後に雷太鼓を描いていますが、乗り物は雲でなく雷獣に、顔は険しく恐ろしい形相とするなど、独自性を出しています。
*1 読本(よみほん):江戸時代後期に流行した小説の一種で、挿絵とともに楽しまれました。
●2章 鬼となった人、鬼にあった人
日本の歴史において、鬼となった人、鬼にあった人の存在が数多く伝えられています。本章では実在した歴史上の人物のうち、鬼となった人、鬼にあったとされる人々の事績やエピソードをもとに制作された北斎の作品を紹介します。壮絶な恨みを抱いて鬼となった人、鬼に助けられた人、強力な呪術で鬼を使役した人など、鬼にまつわる多彩なエピソードを通して、古来日本人が、不幸のうちに亡くなった人々を鬼としておそれ、不思議な出来事を鬼と結びつけて考えてきたことを感じていただけるでしょう。
<平家一門>
葛飾北為「摂州大物浦平家怨霊顕る図」すみだ北斎美術館蔵(後期)
源頼朝から刺客を放たれた源義経は、文治元年(1185)に大物浦(兵庫県尼崎市)から西国に逃亡しようとし遭難してしまいます。その史実が『平家物語』などで語り継がれるうちに、平家の怨霊の祟りによるとされ、能や歌舞伎の演目「船弁慶」