2023年10月13日 12:00
タラ号海洋プロジェクトの成果:巨大ウイルス、遺伝子組成の変化による環境適応が明らかに
海洋研究や海洋保全に取り組むTara Ocean財団(フランス・パリ、以下 タラ オセアン)が2009年から2013年まで行った「タラ号海洋プロジェクト」で得た、大規模な海洋メタゲノムデータから、国際研究チームは巨大ウイルスが進化の過程で遺伝子組成を変化させることにより、環境に適応してきた可能性を明らかにしました。また本研究結果が、国際的に有名な科学ジャーナル「Nature Communications」においてオンライン公開されました。
この国際共同研究には、日本から京都大学化学研究所 特定研究員の孟 令杰氏と、タラ オセアンの日本支部である、タラ オセアン ジャパン理事の緒方 博之 同教授が参加しています。
タラ号海洋プロジェクトの調査の様子(C)Vincent Hilaire
■ウイルスの適応と研究背景
特殊な環境に生息する生物は、特有の遺伝子を保持し、環境に適応することがあります。例えば、寒冷域の魚類は、不凍タンパク質の遺伝子を保持することで、凍結から身を守ります。一方ウイルスの場合は、その増殖サイクルは宿主に依存しています。そんなウイルスが新たな環境に進出する際、どのような変化が起こるのでしょうか。