くらし情報『タラ号海洋プロジェクトの成果:巨大ウイルス、遺伝子組成の変化による環境適応が明らかに』

2023年10月13日 12:00

タラ号海洋プロジェクトの成果:巨大ウイルス、遺伝子組成の変化による環境適応が明らかに

そして、それぞれの種類の遺伝子がどのような温度域・緯度域に分布しているかを示しました。
すると、合計1,591種類の遺伝子機能のうち、314種類(19.7%)の機能が寒冷域かつ高緯度域に分布していることが明らかになりました。これは極域特有のウイルス遺伝子機能といえます。

タラ号海洋プロジェクトの成果:巨大ウイルス、遺伝子組成の変化による環境適応が明らかに

巨大ウイルスの遺伝子機能の分布

また、同様の解析を真核微生物でも行った結果、真核微生物のゲノムにコードされる11,988種類の遺伝子のうち523種類(4.4%)の遺伝子が低温域(極域)に特有の遺伝子でした。これは、ウイルスにおける極域関連遺伝子の割合(19.7%)よりも小さな値で、ウイルスゲノムの遺伝子組成の方が、真核微生物に比べて温度変化に対して進化的に敏感に応答する可能性が考えられます。


タラ号海洋プロジェクトの成果:巨大ウイルス、遺伝子組成の変化による環境適応が明らかに

巨大ウイルスと真核微生物の寒冷域特有の遺伝子の割合

以上の結果から、巨大ウイルスは新たな遺伝子機能を獲得することにより特殊な環境やそこに生息する宿主に適応してきたと研究チームは提唱しています。

■今後の展望
巨大ウイルスがなぜ多くの遺伝子を保持しているのか?それは依然不明です。本研究結果から、巨大ウイルスの保持する遺伝子の一部は、環境適応に関わっている可能性が示唆されましたが、こうした環境適応が極域以外の環境、例えば深海や土壌でも起こりえるのか、また、環境適応に遺伝子がどのように作用しているのかを明らかする必要があると考えます。

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