2023年10月26日 17:00
「ヨーヨー・マ&キャサリン・ストット デュオリサイタル2023」名古屋公演レポート
来年が没後100年のガブリエル・フォーレ「子守歌」で始まり、ドヴォルザーク「我が母の教えたまいし歌」、セルジオ・アサド(名ギターデュオ「アサド兄弟」の兄の方)「メニーノ」、ナディア・ブーランジェの「歌」を経て再びフォーレの「蝶々」で閉じる小品メドレー。多くが歌を原曲とするのを意識してか、2人ともゴリゴリ&バンバンとは弾かず、繊細で滑らか(レガート)な音の連なりで客席の耳を吸い寄せる。時間の進行とともに歌の呼吸が深くなり、情熱をこめながら豊かな歌を奏でる。「蝶々」は見事に天を翔けた。
コンバンハ! ヨーヨーが日本語で語りかける。「蝶です。なんて美しい。森英恵さんのシンボル、蝶の嫌いな人はいません。
自然、人の営み、音楽、芸術、科学、宇宙…。私たちはその宇宙から学ぶこともできれば、できないこともあります。それが今日のプログラムです。どうぞ、お楽しみください」
マイクが置かれると間髪を入れず、キャサリンがドミートリイ・ショスタコーヴィチ「チェロ・ソナタ ニ短調 作品40」冒頭のピアノを弾きだす。1934年、28歳の作曲家がボリショイ劇場の首席チェロ奏者ヴィクトル・クバツキーの勧めで書いた作品だが、旧ソ連の独裁者スターリンの大粛清が始まった年でもあり、後に顕著となる軽妙な諧謔(ユーモア)