2023年10月30日 16:00
ドラマ『時をかけるな、恋人たち』美術デザイナー・後藤レイコの仕事術に迫るインタビューを公開 レトロフューチャーなセットに注目!
セットイメージデザイン画
──ディテールにこだわっていく段階で、後藤さんがまず決めることは?
雰囲気やトーンですかね。ひと口に「レトロフューチャー」と言っても、映画の『ブレードランナー』を思い浮かべる人もいれば、『2001年宇宙の旅』をイメージする方もいますよね。その中で、私は『サンダーバード』を連想しました。各自それぞれ抱いている「レトロフューチャー」にギャップが生まれないよう、共通認識を持つようにしています。
SFラブコメですから、高尚で重厚なセットというよりキッチュな感じを出したかった。ただセットまでコミカルにしてしまうと……やり過ぎかな、と。大人がつくる大人のラブコメですし、切ない展開もあることから、すべての色にグレーが混ざっているようなくすんだカラーリングの空間を提案しました。
セット写真
──セットを拝見したら、タイプライターなど懐かしい小道具がたくさん置いてありました。近未来的な作品の世界観に、レトロを持ち込んだ意図や狙いはどこにあるのでしょうか?
アナログ感の演出といいますか、手垢をつけたかったんですよね。監督も同じ意見でした。いま世の中に出回っているガジェットは小型化され、凸凹がないものになっていく。