知られざる美術工芸の魅力を約280点の作品で紹介する『嗅ぎたばこ入れ 人々を魅了した小さな容器』をたばこと塩の博物館(東京・墨田区)で9/21~12/22開催
鼻煙壺があります。内画鼻煙壺は壺の口から筆先の曲がった筆を入れ、墨や水彩絵の具で裏返し描き(逆絵:さかえ)の手法により壺の内側に文字や絵画を描く「内画技法」を用いて製作された鼻煙壺です。19世紀に民間で生み出されたものとされますが、今日では中国の細密工芸を代表する美術工芸品として、鑑賞用に数多く製造されています。
Photo.14 内画を描く様子
内画には、筆先が90度曲がった特別な筆が使われる。
Photo.15 ガラス製蓮華と金魚模様内画鼻煙壺 中国 20世紀
Photo.16 ガラス製百鶴模様内画鼻煙壺 中国 20世紀
4. 様々な地域の嗅ぎたばこ
嗅ぎたばこの風習は、アメリカやヨーロッパ、中国以外にも様々な国や地域でみられ、嗅ぎたばこ入れも各地で製作されました。
このコーナーでは、モンゴルや中央アジアの嗅ぎたばこ入れを展示します。さらに、日本での嗅ぎたばこ入れの扱いについても文献で紹介します。
【モンゴルの嗅ぎたばこ入れ】
モンゴルやチベットの人々は、古くから嗅ぎたばこを好んで嗜んでいました。いずれの民族も放牧と狩猟中心の生活を営み、その移動を馬に頼っていたこともあって、火をつけて吸う喫煙より嗅ぎたばこの方が好まれたといわれます。