中国茶文化学者、日本中国茶研究所所長 楊多傑氏のインタビュー記事を『人民日報海外版日本月刊』にて公開
また、楊氏は現地に足を運ぶフィールドワークに積極的であっただけでなく、机に向かって根気強く実直に学問を修める点でも優れていた。
こうした研究態度も、楊多傑氏が一般的な茶文化の専門家とは一線を画し、専門的な知識や経験をより多く物にするに至った要因であろう。
各地の茶畑に足を運ぶ
最新刊の『中国最美茶詩』を例に挙げてみよう。原書中で引用した詩句について、楊多傑氏は煩を厭わず幾度も種々のテキストを調査し、校勘して遺漏を補ったうえで、読者にその詩句の精華となる部分および全体の要諦を明白な言葉で示してくれる。また、古代の詩歌にまま見られる稀にしか使われない文字には丁寧に読み方がつけられており、そうした細やかな気配りからも、氏が文化の普及と知識の大衆化に意を注いでいることを見て取ることができる。そのため、日本語版を出版するに当たっては、そうした原著者の苦心と意気を尊重し、訳者は原著の精神を訳出すると同時に、工夫を凝らして訳の文体にも留意したという。
近年、楊多傑氏は、民間で散佚したり海外に流出した、茶文化に関わる善本古籍の収集と保護、整理に重点を置いている。巣作りに精を出す燕さながら、倦まず弛まず、ただ茶を愛する人と後学のために進んで労を執っているのである。