中国茶文化学者、日本中国茶研究所所長 楊多傑氏のインタビュー記事を『人民日報海外版日本月刊』にて公開
そうした姿に天も心を打たれたのか、氏は日本に流出していた明代の問奇閣刊本『茶経』を手に入れる機会に恵まれたのである。さらにはこれを『多聊茶収蔵茶文献珍本叢刊 明刊問奇閣本茶経』として、中国書店から原寸大かつ色味も復元したうえで影印出版し、初刷りの1000部はあっという間に売り切れたという。氏の次なる一歩は、日本東方出版社と提携し、「日本中国茶研究所文庫」百冊シリーズの刊行である。
■灯火を伝える:多聊茶――文化としてのブランド
八年前、楊多傑氏は人気のある音声コンテンツプラットフォーム「himalaya(喜馬拉雅)」に、「多聊茶」という名称のチャンネルを立ち上げて連載を開始した。そこでは茶界の大御所や栽培の専門家らと対話を重ね、界隈で伝わる謬説を正し、確かな知識を広めることに努めている。また、日頃から愛好者を集めて茶に関する書籍や詩を読み、茶文化を学び、茶文化を研究する場ともしている。そうして、中国における茶文化の普及と伝承に全精力を傾けてきた。「多聊茶」の名称は、氏の名に含まれる「多」の字に由来するが、のちに楊氏はこの「多」の一字にさらなる意味を込めるようになった。
すなわち、茶文化の普及に全力を尽くし、「多」