恋愛情報『【小説】地雷な彼/恋愛部長』

【小説】地雷な彼/恋愛部長

スカートを痛いほど握りしめていた。なんで、こんなところに来たんだろう。なんで、馬鹿みたいに浮かれて、自分から来てしまったのか。

将は、まだスマホから目を離さない。気楽な調子で、うるさげに、指で上へ上へと画面を追いやっている。涙が、盛り上がってきて、こぼれそうになった。

この男は、私の、失恋の記号。何度会っても、引き戻す。
私がどんなに遠くへ行こうとも、引きずり戻す。私が、みじめだった、あの頃へ。いっしゅんで、私の記憶を戻してしまうのだ。何度会っても、何度やり直しても。この男は、私の人生に落ちた、消すことのできない、黒いシミなのだ。

唯香は、苦い後悔の中で、ようやくそう悟ったのだった。

■決別、そして・・・・・・

「だから、言ったでしょ?自分を捨てた男に会うなんて、狂気の沙汰、よ」

相変わらず古臭い言い回しの好きな岬に、そう言われて、唯香は、こくりとうなずいた。

「わ!変わったかも!ってお互いが盛り上がるのは最初だけ。
ちょっと話しているうちに思い出してくるのよ。この男はこんな男だった。この女はこんなところが苦手だった、って。

そういう目で見られたらこっちだって、元の自分に戻っちゃう」

関連記事
新着まとめ
もっと見る
記事配信社一覧 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.