そうなると、余計気になるから、夏花は執拗に彼の予定を追った。
わざわざ例の洋食屋に行って、彼らが定期的にいっしょに来ていることを突き止めては、彼をなじった。
自分でも常軌を逸しているというのはわかっていた。でも、どうにもならない。彼は、彼女が彼に「会いたい」と言ってくる、と言う。
でも、そんなことってあるだろうか?もう半年以上も前に別れた男に。ただ何も要求しないで会い続けるなんて、おかしいだろう。
もしかしたら、彼のほうが彼女に会いたいんじゃないか。
彼から彼女に連絡してるんじゃないのか。そう思うと、黒い疑念がむくむくと湧いてくる。
昔のように、祐二が夏花に「会いたい」と言ってこなくなったのも、すべて元カノのせいなんじゃないかと思えてくる。
祐二は、会えないのは仕事のせいだと言う。以前の夏花なら、その言葉を信じて、悠々と構えていたはずだ。でも今は、その心の余裕がない。
「週末会えない」、と言われるとカッとなるし、「元カノと会う時間はあるくせに!」と毒づいてしまう。
夏花は、頭をかきむしった。
「ねえ、祐二、別れたいならそう言いなよ」
言ってはいけない、そうわかっていても、切り札をチラつかせてしまう。