恋愛情報『【小説】向こう側の彼女/恋愛部長』

2019年8月29日 22:00

【小説】向こう側の彼女/恋愛部長

だから、気がつくと心が離れ気味になってしまう。それが、夏花の恋愛のパターンだ。

さびしい、というのとはちょっと違う。恋人の心が離れたとも思わないし、相手が浮気しているとも思わない。なぜなら、自分が浮気されるなんてありえないのだから。

今まで、付き合った男と別れる時は、いつも自分から切り出していた。振られたことは一度もない。それは、男と付き合い始めた中学時代からこの歳までずっと、だ。


「夏花って、ホント、男心つかむのうまいよね~」

いい男との出会いを求めるパーティーなんかに参加する女友達にもよく言われる。自分でもそう思う。小さい時から、わかっているのだ。男が女に何を求めているのか。

「カラダ」、なんて無粋な答えではもちろんない。男だって、自分の傍に置く女は使い分けてる。遊び感覚で、カラダだけの関係を持ちたい女がいる一方で、本命として大事にしたい女もいるのだ。

夏花は、自分の価値をよく知っている。
それを一番高値で見せる術も。だから、ハイスペックの男性がどんどん寄ってくるのだ。

若くてキレイで、適度に頭がよく、しかも男を適度に振り回す。ちょっと金がかかりそうな“いい女”。そういう女に、男はハラハラさせられたい。

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