だから、気がつくと心が離れ気味になってしまう。それが、夏花の恋愛のパターンだ。
さびしい、というのとはちょっと違う。恋人の心が離れたとも思わないし、相手が浮気しているとも思わない。なぜなら、自分が浮気されるなんてありえないのだから。
今まで、付き合った男と別れる時は、いつも自分から切り出していた。振られたことは一度もない。それは、男と付き合い始めた中学時代からこの歳までずっと、だ。
「夏花って、ホント、男心つかむのうまいよね~」
いい男との出会いを求めるパーティーなんかに参加する女友達にもよく言われる。自分でもそう思う。小さい時から、わかっているのだ。男が女に何を求めているのか。
「カラダ」、なんて無粋な答えではもちろんない。男だって、自分の傍に置く女は使い分けてる。遊び感覚で、カラダだけの関係を持ちたい女がいる一方で、本命として大事にしたい女もいるのだ。
夏花は、自分の価値をよく知っている。
それを一番高値で見せる術も。だから、ハイスペックの男性がどんどん寄ってくるのだ。
若くてキレイで、適度に頭がよく、しかも男を適度に振り回す。ちょっと金がかかりそうな“いい女”。そういう女に、男はハラハラさせられたい。