金と時間を費やしたい。そして、自分のものだと、周りに自慢したいのだ。
祐二と付き合い始めてから、3か月が経っていた。そろそろ恋の初めの新鮮な時期も過ぎ、やや会う頻度も落ちてくる頃だ。これが仕事で忙しい男だと、恋愛に関しては一息入れて、多忙な日常に戻って行くのがつねだ。
事実、祐二とのデートの約束も、ここ2週間何もなかった。それはいつもと同じこと。想定内だ。
ただ、少しだけ気になっていることがある。
先週何気なく、土曜夜に何をしているのか聞こうとしたら、はぐらかされたのだ。そして、次に会った時、明らかに祐二の様子がおかしかった。変だな、と思い、あれこれ聞いたら、初めはごまかそうとしていたが、最後に、元カノと会っていたことを白状した。
「彼女と、1か月前から約束してたんだ。それで、ちょっと食事したんだよ。別に何もないよ。仕事の話して、お茶飲んで別れただけ」
祐二は、しどろもどろになりながら言い訳した。
行った場所を問い詰めると、2人が付き合っている時によく行っていた、近所の洋食屋だという。スマホで調べると、出てきたのは本当にしょぼくれた街の洋食屋で、口コミもついていないような店だった。