婚前契約は必要? 弁護士が教える“結婚前にしておくべきこと”<財産編>
――「契約」というとカタイ印象ですが、“2人の約束事”ととらえればいいのかもしれませんね。
「そうですね。海外では『プレナップ』とも呼ばれる一般的な制度ですが、日本ではまだまだ浸透していません。ただ、日本では、結婚後の夫婦間の約束は、夫婦関係が破綻していないかぎりいつでも取り消すことができるとされているので、結婚前に契約しておくのは重要なポイントになります。
現代では家族の姿は多様化し、夫婦それぞれが自分のライフスタイルや生き方を重視するようになりましたが、離婚の原因で最も多いのは、性格の不一致。婚前契約書を作るなかで、結婚後のビジョン、価値観などをお互い冷静に見つめることができるので、むしろ結婚後に円満な夫婦生活を送りやすくなるメリットもあるんです。
また、円満な関係のときであれば公平な取り決めができ、離婚時のトラブルを防止できます。また、離婚したときのデメリットもよく理解したうえで結婚生活を送れるので、結婚後に軽率な行動にも出にくいとも思われます。
いまは内縁・事実婚関係、同性婚、再婚、高齢者婚など、夫婦の形も多様化しています。法律上の保護が十分でない場合は、婚前契約をすることで、お互いの希望をかなえやすくなる面もあります。