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「自分の体型」について、他人からとやかく言われたことはないだろうか。「そんなに食べると太るよ」や「もう少し痩せた方が可愛い」など、どんな体型をしている人でも何かしら言われたことがあるだろう。そんな思い返すとイライラしたり、ムカついたりしてしまいそうな「ちょっとした一言」を共有するムーブメントがツイッター上で起きているという。"Keep eating like that and you're going to be a butterball." My Dad when I was 12. Pls RT and share a body shaming comment. #TheySaid— Sally Bergesen (@oiselle_sally) May 25, 2017 12歳のとき、父に「そうやって食べ続けていると丸々に太っちゃうよ」と言われた。これをリツイートして、body shaming(ボディ・シェイミング)な発言を共有してください。#TheySaidアメリカ・シアトル発の女性向けスポーツブランド「Oiselle(オゼル)」の創始者でCEOのSally Bergesen(サリー・バーゲセン)の呼びかけによって始まった、#TheySaid(彼らは言った)のハッシュタグ・アクティビズム。このアクティビズムの背景にあるのは、Body shaming(ボディ・シェイミング)と呼ばれる概念。これには「相手の体型についてとやかく言うこと」また「その体型が恥だと思わせること」、そして「自分の体型を人と比べ、恥ずかしいと思うこと」の意味があり、太っている/痩せすぎている、胸が大きい/小さい、背が低い/高いなど、あらゆる身体的な特徴に対して使われる。(参照元:Oxford Living Dictionaries, Urban Dictionary)#TheySaidでは、「自分の体型について何か言われてプレッシャーをかけられ、自分の体型を恥じる原因となった他人の一言」が共有されているのだ。Photo by Public Domain Pictures''If you want him to like you, you know you gotta lose weitgh, right?" – My mother to me when I was 8. #TheySaid— Daniela Figueira (@figueira_dani) June 8, 2017 8歳のときに母に言われた。「彼に好きになってほしいなら、痩せなきゃいけないのはわかってるでしょ?」#TheySaid#TheySaid "the spaghetti we're having for dinner is fatter than your skinny sick self" dad when I was 13— Khawla | خولة (@universal_tho) June 8, 2017 #TheySaid「今晩食べているスパゲッティは、お前の病的に細い体より太いな」と父が13歳の私に言った"you'd be so beautiful if you were skinny"#TheySaid— jess ✨ (@smoakyfelicity) June 9, 2017 「あなたが痩せていたら、とてもきれいだったのに」#TheySaidA classmate: "You look so good now, those salads are working!" I was 13 and throwing away my lunch everyday instead of eating. #TheySaid— Paola de Varona (@pdvarona) June 2, 2017 クラスメイト:「あなたの今の体型いい感じね、そのサラダが効いてるんだよ!」。私は13歳で、毎日昼食を抜いていたボディ・シェイミングは人にどんな悪影響を及ぼすのだろうか?他人の体型について何か言った本人は、悪気はなかったのかもしれない。だが、その「たった一言」は相手を傷つけるだけでなく、相手が自身の体型を嫌う原因にもなる。そして摂食障害を誘発したりストレスで病気にかかる可能性が高まったりと、さらなる悪影響を及ぼすこともあるのだ。(参照元:The New York Times, Upworthy)どんな体型の人でも生きやすい社会になるように、これから育っていく子供たちがどの成長過程においても自分の体型に対してポジティブでいられるように、「人の体型に対して他人があれこれ言う文化」をなくしていくことが重要ではないか。Text by Shiori KirigayaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【Politically Incorrect Dictionary】p.2 「太った〜?」&「痩せた〜?」 みなさんは“Politically Incorrect”というコンセプトをご存知ですか?これは、「社会的にNG」な言動のことを指します。“Pol...
2017年06月19日「世界の大きさはどれくらい?」 そう聞かれたら、あなたはどう答えるだろうか?想像ができないくらい大きいと思う人もいるだろうし、そもそも想像したことのない人もいるだろう。しかしその規模を自ら確かめてみようとした少年がいた。イギリスに住む9歳のトビー君は、手紙というツールを使って、“世界とはどんなものであるのか”自分なりの答えを導き出したのだ。ニュージーランドに手紙を書いてみたい! すべてはこの一言から始まった。当時5歳だったトビー君は、両親から「仕事が忙しく夏休みの休暇が取れない」と告げられ、家族での旅行を諦めていた。しかし彼はその事実にショックを受けるのでも、わがままを言って両親を困らせるのでもなく、代わりに「A Letter to New Zealand」という一冊の本を読むことにしたのだ。この本には、イギリスから出された一通の手紙がどのような“旅”を経てニュージーランドに届くのかについて書かれていた。トビー君はこの本に刺激を受け、すぐにニュージーランドに手紙を書くことを決意したのだ。(参照元:Writing to the World Facebook) 最初はニュージーランドに住む知り合いに手紙を送ったが、返事がすぐに来たことに嬉しくなり、他の国へも手紙を出してみたいと野望を抱く。そしてその気持ちに応えるべく、母のザビーネさんがFacebookを使って文通相手を募集し、今では国連加盟国の193ヶ国すべて、計1158通の手紙を出すことに成功した。(2017年6月現在)年齢性別問わず、9歳になる今でもほぼ毎日彼は手紙を送っている。(参照元:Writing To The World)彼だけが知る「おいしいティラミスの作り方」や、「日本の特別な文化」「僕が手紙を書く目的はとにかく世界を知りたいからだよ。彼らの歴史はどのようなものなのか、普段はどんなものを食べているのか、学校は楽しいのか…とにかく僕が知らない色々なことが知りたいんだ」そうトビー君は話す。(引用元:Writing To The World)その好奇心に応えるかのような返信が彼のもとには日々届けられている。例えばアルジェリアに住む少年からは「僕の国にはこんな動物がいるよ」と絵付きの手紙が送られてきたり、イタリアのお菓子好きからは秘伝のおいしいティラミスのレシピが書かれた手紙が送られてきたり、日本に住む33歳の女性からは花見や温泉といった彼女の視点から見た日本独自の文化について書かれた手紙が送られてきた。もちろんトビー君も自分の街の歴史やおすすめ料理のレシピ、文化について綴り彼らに返事をした。 人々は互いを理解し合うことで、もっと世界を良くできると思ったよ引用元:Yahoo!オーストラリア これまでに受け取った手紙の中にはローマ法王やウィリアム王子からのものもある。もしかしたらトビー君はインターネットの検索では知り得ないリアルな情報を手にしているのかもしれない。一通の手紙が知らせた「悲惨な世界」実はすべての手紙がトビー君をわくわくさせるわけではない。アフリカの南スーダン共和国から受け取った手紙は衝撃的なものだった。その手紙の送り主は南スーダンで人道支援をしている人からで、ここに住む人々は切手を買うお金すらないため、郵便のシステム自体がないということが綴られていた。また他にも好きな食べ物を考える以前に、貧困のため食べること自体が難しい人々がいること、政府の支援が不安定なため洪水などの被害に苦しみ続けている人がいることを手紙により知ったのだ。そこでトビー君は彼らのためになにかできることはないかと考えた。その結果、食べ物やテントなど生活に必要なものが一式入った「シェルターボックス」という箱を買うための寄付活動を開始した。(参照元:JustGiving) 現在までに3040ポンド(約42万円)が集まり、これらのお金はシェルターボックスを買うための資金として全て慈善団体に寄付されている。 「トビーが多くのメディアに取り上げられることで世界の状況を知る人が増え、たくさんの人が寄付に協力をしてくれました」と、母ザビーネさんは語る。トビー君が興味を持って自ら動き、導き出したアイデアはこれまで知られているようで知られていなかった世界の問題にスポットライトを当てたのだろう。(引用元:Writing To The World)世界の大きさを決めるのは、「あなた自身」
2017年06月19日世界規模の動画プラットホームYOUTUBEで、自身のチャンネルから様々な形でエンターテイメントを届けてくれるYOUTUBER。ファッション、メイク、お笑い、スポーツ…ジャンルは幅広い。その中には「社会がよくなるためには?」を考え、5分前後の動画を発信する社会派YOUTUBERが存在する。Be inspired!は彼らをGOOD YOUTUBER、略してGOODTUBER(グッチューバー)と呼んでいる。 そして、社会問題に取り組むグッチューバーを紹介する連載『Biが選ぶ今週のGOODTUBER(グッチューバー)』を通して、みなさんが家族、恋人や友人と考えるきっかけを作りたい。※動画が見られない方はこちら連載第2回目にBiが選んだGOODTUBERはMadelynn(マディリン)。ロサンゼルス在住の彼女はフェミニストであり、動物由来の食べ物や製品を否定し、使用を拒否する絶対菜食主義のVegan(ヴィーガン)でもある。そんな彼女はオシャレ好きの一面も持ち、日本が大好きで、しばしば日本にも訪れている。ユーチューバー発!“新品を買わない”で楽しめるファッションって?2013年4月24日、1,110人以上の衣料労働者が犠牲になったバングラデシュの「ラナ・プラザ」ビル崩壊の事故をきっかけに始まったファッションレヴォリューション。今回はその取り組みのひとつで、マディリンも参加したユーチューブ上で行われている“Haulternative”(ホールタナティブ)を紹介したい。彼女自身もH&MやForever21などのブランドを利用していていたが、ファストファッションの闇を知り、それ以来ファストファッションを買うことをやめ、「自分が買った服はどこで、どのように作られたのか?」を考えるようになった。多くの人にオシャレを楽しみながら、「ファッション産業でどのような問題が起こっているか」に興味を持ってほしいという。私たちも参加できる“ホールタナティブ”「人権・環境問題を考えながら洋服を選ぶことって大変そう」、「オーガニックとか、フェアトレードとか聞いたことあるけど難しそう」と思うかもしれない。しかし案外取り組めることは多く、母親が昔着ていた洋服をもらったり、小さくなったデニムをバックにリメイクしたり、新品の洋服を買う時には味わえない楽しさがある。友達同士で洋服を交換し、ユーチューブに動画をアップして、実際にホールタナティブに参加してみるのはどうだろか。***Madelynn
2017年06月18日買った後に食べるご飯やデザートのことで頭がいっぱいでプラスチックの環境問題など全く考えられずコンビニやスーパーに行けばついつい受け取ってしまうプラスチックスプーン。 確かにプラスチックは安価であるし便利である。しかし私たちが何気なく受け取ってしまうプラスチックのスプーンやフォークが世界中で毎年4000万トンも捨てられそのほとんどが1回使われただけで捨てられてしまっていることもまた事実である。(参照元:BUSINESS INSIDER) そんな中プラスチックスプーンにとって代わる画期的なスプーンが登場したという。プラスチックはもういらない。穀物で作られる「エコ・スプーン」とは食品業界にも迫りくるプラスチックの環境問題を解決すべくインドのBAKEYSが創り出したのは「食べられるスプーン」。この食べられるスプーンはもろこし、小麦、米などの穀物からできており環境にも体にも優しいスプーンだ。さらに味も3種類展開しておりクラッカー感覚で食べられるという。 スプーンを食べればゴミになることもなく体内で消化される。もしスプーンを食べずに捨てたとしてもこのスプーンは4~5日で分解されなくなるようにできており環境破壊に加担することもない。(参照元:BAKEYS)プラスチックによる環境汚染が叫ばれて久しいがこれだけ私たちの生活において欠かすことのできないプラスチックをいきなりゼロにするというのははっきり言って不可能である。しかしこの「食べられるスプーン」が世界へ普及することがプラスチックのゴミを少しでも減らすことにつながり、環境問題を考えるきっかけにもなるだろう。 BAKEYSのプロジェクトはまだまだ始まったばかり。将来的にはスプーンだけでなくフォークやお箸といったものからコップやお皿といったものまで展開していきたいと考えているという。(参照元:Mashable)私たちの生活に「使い捨てのプラスチック製品」がない日もそう遠くないのかもしれない。All photos by BAKEYSText by Nozomi HasegawaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!プラスチックはもう要らない。人間や動物が「食べても死なないレジ袋」登場 世界中で毎年「1兆枚」も消費されているビニール袋。1枚10gだとすると、その重さ約1000万トン。おおよそゾウ200万頭分だ。(1頭5トン計算)それら全てのビニール袋が海に捨て...
2017年06月17日飲み会の席で「あいつ殴ろうぜ(笑)」とふざけあったことがあるだろうか?友達と一緒に「なんか社会おかしいよね」と憤り、声をあげようとしたことはあるだろうか? それだけで、犯罪者として目をつけられるかもしれない、と聞いたらあなたはどう思うだろか?「共謀罪」が成立した今、それは現実になる。
2017年06月16日雑誌やネットでお気に入りのブランドやスタイルをチェックして、休日にショッピングに出かけて服を買う…。そんな光景は日本の若者のありふれた日常のように思えるかもしれない。でも実はそれが「特権」だったと聞いたらあなたは驚くだろうか?好きな服が着れるという「特権」値段的に気に入った服が買えない、というのは規模は違うにせよ誰もが一度は経験しているかもしれない。しかし今回は経済面の話ではない。日本を含む世界のファッション業界が、服のターゲットを限定しすぎているという事実について考えたい。 サイズ一つをとってみても、大抵のショップは一定以上“細い人”のものしか用意していない。プラスサイズの人や、トランスジェンダーで身長の高い人が女性の服を着たい時はどうすればいいのだろうか?また、健常者だけを考慮して作られた服が市場を埋めているという事実を否定できる人はいないだろう。 ファッション市場が設定しているスタンダードに当てはまらない人々にとって買い物は一種、「挑戦」と言ってもいいのかもしれない。そういった意味で、好きなように好きな服を着れるのは「特権」なのだ。 そんな不平等なファッション業界に立ち向かうため、みんなが着れるファッションブランド「REBIRTH GARMENTS」を立ち上げたのが、アメリカ在住のSky Cubacub(スカイ・クバークブ)。スカイ・クバークブ Photo by Matthew Butlerシカゴ在住のデザイナー兼服職人のスカイ・クバークブは生まれてきた体と心の性別が必ずしも一致しているわけではないジェンダー・クイアである。また、“有色人種”であり、精神障がいを抱えているため、健康な白人異性愛者が“社会の普通”とされているアメリカではいくつにも重なるマイノリティというわけだ。 そんなスカイ・クバークブだからこそ、生み出せるのがカラフルで奇抜なスタイルのクールな服たち。100%オーダーメイドなためこれまでメインストリームのファッション業界が無視しつづけてきた人々の希望を完璧に具現化できる。Photo by Grace DuValPhoto by Armando Lozanoみんな違ってみんな美しい。スカイ・クバークブの服を実際に購入した人々のリアクションはポジティブなものばかりだという。 REBIRTH GARMENTSの服はマイノリティ・コミュニティにポジティブな影響を与えている。服を買った友達はみんな自信と希望が持てたと言ってくれる。クライアントやモデルと一対一で徹底的に話し合い、彼らに合った服を作っているからファッションデザイナーっていう要素は自分の活動の一部にしかすぎなくて、どちらかというと自由に服を選ぶ権利のないマイノリティの人々に必要なものを提供するのが使命って感じる。 そう話すスカイ・クバークブはRadical Visibility(ラディカル・ビジビリティ:「過激に目に見える」という意)というムーブメントの先駆者である。ラディカル・ビジビリティとは社会が目にしたくないところ(体型、セクシュアリティ、身体障がいなど)にスポットライトを当てるようなイノベーティブなデザインを用いた服。あらゆる理由でマイノリティとされる人々を社会に無理やり溶け込ませるのではなく、胸を張って主張させるのだ。Photo by Grace DuValそんなスカイ・クバークブのファッションの裏には揺るぎない信念がある。 全ての人が美しいって、心の底から信じている。みんな自分の美しさを認め、他人の美しさを受け入れられるようになればいいだけ。美に多様性があるのは当たり前だって知ればいいだけ。社会に埋め込まれた「美の基準」から意識的に解放される必要があるかもしれないけど。Photo by Armando Lozano変わらなければならないファッション業界様々な理由でマイノリティとされる人を考慮した服を作るのは、精神的な面で非常に大事だが、同時に地球のためにも必要である。ファストファッションブランドの服は長く着れないし、買うべきではないのだ。 ファストファッションは安いし買いたくなるのはわかる。でもそれを続けたら、限界に達して、資源はなくなる。ファッション業界は、石油業界の次に環境に悪いんだ。製造の過程でも多くの人の命が奪われているのにも関わらず、未だに続いているのがおかしいぐらいだよ。Photo by Grace DuVal環境面、労働環境面そして消費者に差別的だという面でもファッション業界には改革が必要だ。REBIRTH GARMENTSは将来のファッション業界があるべき姿を見せてくれているのかもしれない。あなたがこのブランドの服を買って着るかどうかは個人の自由だが、スカイ・クバークブの言う「全ての人は美しい」という信念から私たちが学べることは多いのではないだろうか。 ***REBIRTH GARMENTSAll photos by REBIRTH GARMENTS unless otherwise stated. Interview by Nanao ImazuText by Noemi Minami ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!あの高級ブランド「フェラガモ」が目をつけた。女子大生のときに世界初の「オレンジのゴミ」からできた服を作った女性起業家。 イタリアの女子大生二人が大学在学中に開発したのは、世界初の果物からできた生地だった。2012年、Adriana Santanocito(アドリアナ・サ...
2017年06月16日必要な情報が簡単に手に入れられて便利なインターネット。時間があればついつい、SNSで友達の近況をチェックしたり、気になるお店の情報を調べたり、誰かからメッセージが届いてないかとスマートフォンを見てしまわないだろうか。そんなことをしている人が気づかないうちになっているという「ネット依存症」には、ドラッグと同じくらいの中毒性があると、研究の結果わかったそうだ。日本人口の半分近くが「ネット依存」まずは「ネット依存」の定義を確かめたい。実は、現時点では明確な診断の基準がなく、スクリーニングテストで依存の程度を判断し、それを参考に対策をとるのだという。程度の差はあるにせよ、インターネットを使っていないと落ち着かないような状態が広く「ネット依存」と呼ばれている。(参照元:久里浜医療センター, 総務省)2016年の調査によると、ネット依存傾向が強い人が10代以上の日本人全体の8.2%。だが、中程度の依存傾向の人は46.1%もいる。また、10代から20代の若者ではそれぞれ10.3%、55.2%と世代別に見ても最もネット依存の傾向が強い。ちなみにこれらネット依存の傾向は、アメリカやイギリスのほうが少し強い。(参照元:総務省)「ドラッグ依存」と通じる、「インターネットの依存性」私たちはどうして、インターネットを使うのがやめられなくなるのだろう。そんな疑問を解決してくれる、とある研究結果が先日発表された。科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された、「インターネット使用による生理的な変化」に関する研究で判明したのは、「ネットの依存性はドラッグの依存性と似ている」という事実だ。これは驚くべきことながら、「ドラッグは依存性が強いもの」という認識を持っている多くの人にとって納得してしまうものではないだろうか。
2017年06月15日2017年4月に「Forbes誌が選ぶ、アジアを代表する『30歳未満』」に選出された“デニム兄弟”が日本に存在する。二人の名前は島田 舜介(しまだ しゅんすけ、1994生まれ)と山脇 耀平(やまわき ようへい、1992生まれ)。 彼らは大好きなデニムを「つくる人」にも「つかう人」にも価値を生み出していきたいと決意し、デニムブランド「EVERY DENIM」を2015年9月に立ち上げた。そしてブランド立ち上げから1年と9ヶ月経った今、前代未聞の“移動するデニム工場”を設立しようとしている。島田 舜介(弟)と山脇 耀平(兄) ものづくりは“純粋なカッコよさ”だけではないことを知った兄弟が作った最高のデニム兵庫県で生まれ、幼少期を過ごした兄弟。小さいころからジーンズが好きで、いつも父親のお下がりを履いていた彼らは「こんなに好きで毎日履いているジーンズがつくられている現場を、いつか見てみたい」と考え、弟の舜介氏が大学進学で“国産ジーンズ発祥の地”岡山に行くことをきっかけにジーンズ工場を初めて見学。そこで見た「ものづくりの現場」に圧倒され、“純粋なカッコよさ”を多くの人に知ってもらいたいの一つの思いで、2014年12月から工場の職人さんや経営者の方を取材して、ものづくりへの想いやこだわりを発信する活動を開始した。しかし、生産現場に足を運び取材を重ねる中で、日本のものづくりの問題点に気付く。それは、国内の服作りの規模が年々縮小していることや、産業構造上思うようなものづくりができていないことなど。自分たちは、本当に情報発信だけをしていていいのか。もっと直接的に、強く力になることはできないのか。ものづくりは“純粋なカッコよさ”だけではないことを知った兄弟は、自分たちが「ものをつくる人」と「ものをつかう人」のどちらに対しても価値を生み出していきたいと決意し、2015年9月にデニムブランド「EVERY DENIM」を立ち上げた。彼らの理想は、職人さんが作っていてワクワクする様な想いのこもったデニムを生み出すことと、そのデニムを多くの人に想いを込めて永く履いてもらうことだ。今ではもう4種類のデニムを製造、販売している。EVERY DENIMの新作 4thモデル「Brilliant」 モノを長く大切にするために思いついた「新しい販売方法への挑戦」「モノを長く愛用することの楽しさをEVERY DENIMを通じて知ってほしい」と語る背景には、日本のものづくりの現場を支えたいという想いがある。その楽しさに気づくには、生産者と使用者との繋がり、自分なりの軸で選択した責任、人から贈り物をもらった時の暖かさ、製品の質の良さなど、きっかけは様々である。これらのきっかけを作るために、兄弟は特に、服の販売方法にこだわりを持っている。そのために兄弟は店舗を持たず卸売もせず、全国各地の試着販売会などでの直接販売にこだわっているのだ。試着展示会の様子 そして、そんな兄弟は今、新たな小売のカタチに挑戦しようとしている。それは移動するデニム工場”えぶり号”だ。EVERY DENIMの製品をのせ日本各地を巡り、全国にデニムを届けるキャラバンになっている。このキャラバン特徴は3つ存在する。1.工場の雰囲気を体感できる 内装のテーマは「ミニ工場」。実際にデニム工場で使用されているミシンや工具をディスプレイし、ものづくりの現場の雰囲気が体感できる。2.その場で試着、購入できるAll photos by EVERY DENIMText by Ayane KumagaiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!メインストリームに負けない。マイノリティ集団がLevi’sとDazedと社会に訴えた「多様性のかっこよさ」 アメリカの老舗のジーンズブランドのLevi’s(リーバイス)。彼らをスポンサーに、イギリスのカルチャー誌Dazed and confused (デイズドアンドコンフューズド)の...
2017年06月15日カルト*1といえば、日本人なら「オウム真理教」を思い浮かべるだろうか?彼らの起こした「地下鉄サリン事件」や「松本サリン事件」のような凶悪事件は、20年以上経った現在でも人々の印象に強く残っている。だが、残念ながら世界には彼らのような信者の人生や社会を破壊する行為を行なうカルトが他にも存在するのだ。 そんな「カルトの実態」を教えてくれるオンライン動画を、インスピレーション溢れるプレゼンテーションで有名な「TED Talks」のオンライン学習ツール「TED-Ed」が先日公開した。(*1)カルトには、ある特定の対象を熱狂的に崇拝するという意味もあり、必ずしもネガティブな意味ではない。だが、ここでは極端な思想を信仰することや、その集団という意味の「カルト」を使っている。
2017年06月14日近頃、ニューヨークやロンドンで、スタイリッシュで意識の高い若者がこぞって始めているのは都心で農作業を営む、アーバン・ファーミング(都市の農園)。その中でも最先端なのが都市型農業「ヴァーティカル・ファーミング(垂直農法)」なのではないだろうか。LEDライトをコントロールすることで、狭い空間でも室内で農業を営むことを実現させたテクノロジーの進化には驚かされずにはいられない。 しかし、今回紹介したいのは、ヴァーティカル・ファーミングより更に先を一歩行く、大都会ニューヨークのブルックリンの屋上で見つけた“ある農園”である。
2017年06月14日「フォトジェニック」という言葉を頻繁に聞くようになってどのくらい経っただろうか。フォトジェニックとは「写真写りがいい」という意味。インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどのSNSに自分の私生活の写真を投稿することが当たり前になった今の時代を反映したような言葉だ。SNS上では、自分の気に入った写真だけを公開して「自分のなりたい自分」を演出することが可能であり、そんな他人の写真の溢れたSNSのタイムラインを見ていてうんざりしたり劣等感を抱いたりする若者も多いという。
2017年06月13日炊き出しじゃなくて、必要なのはチャンスです これは、アメリカ、ボストンを拠点にホームレスと障がいを抱える人のために支援活動を10年以上続けてきたLiz Powers(リズ・パワーズ)がホームレスたちから繰り返し聞いた言葉。 2016年の時点でアメリカのホームレス人口はなんと56万5千人近く、非常に深刻な問題である。(参照元:2016 State of Homelessness) 年々増加し続けるホームレスに心を痛めたリズはボランティア現場での経験と、自身が芸術畑出身なのを活かし、アートを使ってホームレスをサポートするビジネスを思いつく。リズ・パワーズ氏誰も気づかなかったホームレスたちの傑出した才能リズはソーシャルワーカーとしてアート・セラピーをホームレスや精神障がいを抱える人たちに行っていた。アート・セラピーはホームレスや精神障がいを抱える人にアートの授業を設けることで、人と接する機会を増やし、アートによる自己表現の場を提供するのが目的だった。しかし、様々な場所で活動を続けていくうちに彼女は多くのホームレスや精神障がいを抱える人が傑出した芸術の才能の持ち主だと知る。 すでにアメリカには1000以上の同じようなコミュニティが存在していたが、残念ながらそれまではセラピー用に作られたアートは捨てられてしまうか、倉庫でホコリをかぶるのがオチだ。そのことを知ったリズはこれまでにない、ホームレスと精神障がいを抱えた人の作品を売るアートプラットフォームを設立することを思いつく。 そして2013年に兄、Spencer Powers (スペンサー・パワーズ)と共にArtLiftingという会社を立ち上げた。All pictures & image by ArtLifting Text by Noemi MinamiーBe inspired!この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ポートランドに存在する、アート溢れるホームレスの「聖域」 アメリカ、オレゴン州ポートランドに「ディグニティ・ビレッジ」と呼ばれるホームレスの暮らす地区がある。日本語にすると、ちょっと堅いけれど「尊厳の村」という意味。つまり、自分は生きてい...
2017年06月13日先月22日、英・マンチェスターで行われた歌手アリアナ・グランデのコンサート後に爆発物を使用した“テロ”が起き、22人の犠牲者が出た。一時はコンサートツアーを中断していたが、事件の追悼として、今月4日にアリアナ・グランデがジャスティン・ビーバーやケイティー・ペリーらの有名歌手を引き連れ、5万人を動員する慈善講演を同地で行なった。そこで歌手らが「テロに屈しない」というメッセージを観客に訴えていたのを聞いただろうか。その“テロ”と他の暴力事件はどう異なるのか、あなたは答えられるだろうか?人々が合意できない、“テロリズム”の定義「テロリズム」をオックスフォード辞典で調べてみると、「政治的な目的で非合法な暴力や脅迫を、主に市民に向かって行なうこと」だと書かれている。(引用元:Oxford Dictionaries)またケンブリッジ辞典では、「政治的な目的を持つ暴力的な行為(の脅威)」だとされている。(引用元:Cambridge English Dictionary)つまり、一般的には政治的目的のために暴力や脅迫を用いた行為が“テロリズム”と呼ばれているのだ。
2017年06月12日普段の生活で私たちが「しないこと」や「できないこと」を私たちの代わりにやったり、発信したりして、笑いや驚き、時に新しい発見を与えてくれるYOUTUBER。彼らの中には、社会がよくなるために動画を発信する社会派ユーチューバーが実は存在する。そんな彼らをBe inspired!は、GOOD YOUTUBER、略して「GOODTUBER(グッチューバー)」と命名。 5分前後の動画で語られる「ある社会問題に関する1クリップ」を、Be inspired!が毎週ピックアップする連載『Biが選ぶ今週のGOODTUBER』を本日からスタート。通学、通勤などの移動中や、誰かを待っている間などのスキマ時間でぜひチェックして、普段の会話のネタにしてみてほしい。※動画が見られない方はこちら記念すべき連載1人目のGOODTUBERはKat Blaque(キャットブラック)。アメリカ人ユーチューバーとして活躍すると同時に、イラストレイターとしても活動している彼女は、実は男性から女性になったトランスウーマン。2010年12月からユーチューバーとしてのキャリアをスタートし、人種・ジェンダーに関する社会問題を中心にポップでカラフルな動画をYoutube上にアップロードしている。女性は「レイプされないための服装」や「レイプされるような人がいない静かな道を歩かない」といったような「レイプされないためには?」を学ぶが、一方で男性に“Consent”つまり“セックスをする同意”の教育がなされていないことを彼女は言及している。被害者であるにも関わらず、スカート丈が短いことがレイプされた原因にされ、性犯罪の被害者になるのは避けられないことだと正当化されることが多い。 女性が「ノー」と拒絶していることを、男性は「“ノー”=“イエス”」、「“ノー”と主張し続けているのはもっと誘ってほしいから」と間違った認識がレイプカルチャーとして構築され、「“ノー”=“ノー”」というセックスするうえの「同意」が社会で行われいないことを彼女は動画上で主張している。女性だけじゃない、男性もレイプカルチャーの被害者になる。レイプの被害者は女性だけではない。4万世帯の家庭にレイプ・性暴力の調査を行った結果、男性に対するレイプ事件が38%だと明らかになり(参照元:Slate)、実際に未成年の男の子が女性教諭にレイプされた事件も起きている(参照元:DAME)。しかし女性から男性に対してのレイプになった途端、「若い年齢でいい経験をしたことを感謝すべきだ」と犯罪視されにくい。 また男性が男性にレイプ被害を受けるケースもあり、「ゲイだと思われたくない」と周りに相談できないことがあると彼女は説明する。根を広げるレイプカルチャーを変えていくためには?私たちも知らず知らずのうちにレイプカルチャーの渦の中に取り込まれている。「短いスカートを履いてたら、電車で痴漢されてもしょうがない」とか、「女性が胸元が広がっているTシャツを着ているのは胸を見てほしいから」と思ったことはないだろうか?レイプカルチャーはレイプという犯罪そのものではなく、「性犯罪に巻き込まれる方が悪い」と心のどこかで被害者に偏見を抱くことであり、「本当の悪は何なのか?」を判断する必要があるのだ。***Kat Blaque
2017年06月11日人にはさまざまな傷がある。目に見える傷、心の中にある傷。人に見せてきたものもあれば、一度も見せたことがないものもあるだろう。その1つ1つの傷を見ると、辛い経験を思い出してしまうかもしれないし、その傷を負ってしまったときのことを懐かしく思うかもしれない。そんな「傷」をテーマに写真を撮るプロジェクトを行なった24歳のフォトグラファーがいた。
2017年06月09日「恋人いるの?」って聞いていいの? ダメ?【Politically Incorrect Dictionary】は、Be inspired!編集部が「社会的にNG」な言葉/コンセプトを集めて作った辞典。「社会的にNG」とは、簡単に言えば、政治的、経済的、文化的背景から「それどうなの?」と思ってしまうもの。今回は、12回目ということで、「恋人いるの?」を考えてみたいと思います。Political Correctnessは欧米で、政治の場から日常まで頻繁に議論されるテーマです。毎回お伝えしますが、この辞書が絶対正しいわけではありません。建設的な反論や批判は、大歓迎です。より良い社会にするために、一人一人が考え、言葉を吟味することが大事です。この辞書がそのきっかけになればいいなと思い、この辞典は生ました。
2017年06月09日たかが髪、されど髪。 中学生の頃、自分が癖っ毛なのが嫌でストレートアイロンを親に頼んで買ってもらった記憶がある。誰かに言われたわけじゃなかったけれど、真っ直ぐな髪が美しいと空気で感じていた。ただ単純に2000年前半の流行りだったのかもしれないけれど。 もしあなたがアフリカ系の女性だったとしたなら、あなたが感じるその「空気」は時代の流行りの問題ではない。なぜならあなたの髪は「差別」の対象だから。髪が差別されるってどういうこと?と疑問に思う人もいるかもしれないので、まずいくつかビデオを紹介したい。自然な髪は禁止。美しくない。※動画が見られない方はこちら学校ではなんでそんな髪してんの?とイジめられた道端で私の髪について侮辱的な言葉を叫ばれた白人みたいになって受け入れられたかったから、私は髪を真っ直ぐにしていたこれはハンガーゲームでブレイクしたアマンドラ・ステンバーグを筆頭とするアフリカ系の女優やミュージシャンたちが共有した体験談の一部だ。※動画が見られない方はこちら私の髪が鳥の巣みたいで、あなたは羊みたいに見えるわよと先生に言われた南アフリカにあるPretoria High School では校則でアフリカ系の人の自然な髪が禁止されていた。教師は生徒たちに対して髪にストレートパーマをかけることを命令したり、髪の毛を編み込む伝統的なヘアースタイル、コーンロウを禁止していたそうだ。我慢できなくなった生徒たちは2016年の2月に大規模なプロテストを行い、その実情が世界に知れ渡った。(参照元:The Washington Post)これもアフリカ系の人の髪に対する差別の氷山の一角にしかすぎない。 「学校の校則で禁止される」というのは異常だが、どうやらアフリカ系の人の髪や伝統的なヘアースタイルは「真面目ではない」というステレオタイプが世界的に根付いているそう。Micの記事によると、Googleで「プロフェッショナルな髪」と調べると大多数が白人女性で、「プロフェッショナルではない髪」と調べると、アフリカ系女性の自然な髪が出てきたそうだ。世間の持つ偏見を反映していると言えるだろう。 こういった差別的なステレオタイプのせいで、アフリカ系の女性たちは髪に自信が持てず、「自分らしい美」に対して自信が持てなくなることも少なくない。この一連の差別は「白人的な美」が多くの国で美の基準となっているからと言えるだろう。日本も例外ではない。雑誌や広告をみれば白人モデルを多く目にするのではないだろうか。美しいナイジェリアの女性の髪を存分に見せつけるGIFそんな歴史を踏まえて、今最も紹介したいGIF(ジフ:若者の間でインターネット上で大流行りのアニメーション画像)がある。 1968年から40年間以上にわたってナイジェリアの伝統的で美しい千以上のヘアスタイルを撮り続けた写真家J. D. Okhai Ojeikereにインスパイアされたアメリカ人アーティストMedina Duggerのプロジェクト、Chromaでフランス人のアーティストFrançois Beaurainがコラボレーションして作ったGIFだ。 J. D. Okhai Ojeikereは2014年に亡くなられたが、そのレガシーは現代のアーティストによって引き継がれたのだ。極めて今時なGIFという形で。冒頭でも述べたが、たかが髪、されど髪。日本では気づきにくいかかもしれないが、髪には歴史的、政治的意味合いがある。自分の髪が気に入らない朝もそのことを思い出して、自分の髪も、他人の髪も自然のままを愛してあげよう。***Medina Dugger & François BeaurainAll images from ChromaText by Noemi Minami ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“元ヤク中”で「現役バーバー」の男が、無料でホームレスの髪を切り続けて見つけた「人生に大切なこと」。 オーストラリアのメルボルンで、理容師として働く一人の男がいる。Nasri Sobhani(ナシール・ソバハニ)さん28歳だ。これだけ聞けばどこにでもいそうな理容師である...
2017年06月08日Illustration byPOTECHI「未来を担っていく若者」である私たちは物心ついたころには「失われた20年」がはじまっていて、ゆとり教育を受けて育った。この失われたといわれる「時代の産物」である私たちは成長期を終え、さとりがちな大人になりつつある。「不遇の世代」「欲がない」「内向き」など様々なレッテルを貼られることがあるが、「社会を良くしたい」と願い、立ち向かう人はいつの時代にもいるように、私たちの世代にもいる。 確かに過去の世代とは違って、熱が失われがちな、引きこもりがちな、スマホと向き合いがちな世代かもしれない。でもそこから私たちのスタイルで起こすレボリューションがあるのだ。この連載では、さとり世代なりの社会を良くする方法とはどんなやり方なのかを紹介していく。そして、イラストから執筆まで、記事製作を「失われた20年」「さとり世代」でおこなっていく。その名も『さとり世代が日本社会に起こす、半径5mの“ゆる”レボリューション』。食の命に感謝する、一見野蛮な大学生そんな彼は「食糧廃棄問題」へのアプローチのひとつとして月一回自主イベント「モッタイナイト」を開催している。名前の通り、一人暮らしの大学生が冷蔵庫に入れっぱなしにして忘れかけている“余り物”や飲み会でのフードウェイストを持ち寄って、皆で料理して「もったいないを夕ご飯にして食べちゃおう」というシンプルなイベントだ。 食材は皆で持ち寄ったものを使うだけなので参加費はかからず、施設利用料の500円のみ。事前にカレーやビーフシチューなど、作るものを提示して、持ち込みやすい環境をつくることを心がけている。 参加しやすい環境作りの一方で、食糧廃棄問題について考えることを押し付けない。“堅苦しいことはしない、利益も考えていない。楽しんでもらえればいいし、自分もみんなで集まって料理して、楽しいからやっている。それで、家に帰ったりして誰かがふと食糧廃棄とかについて考えてくれたらそれは嬉しい”イベントの意図は、食べ物はいのちである感覚を知ってほしいというところにあり、それから感謝をするか否かは人それぞれに任せるという。そして、あくまでも“楽しい”を軸におこなうのが彼のやり方だ。「いただく命」と私生活を共にするそう語る彼の自転車のサドルにはイノシシの毛皮が敷かれていた。彼は絶妙「いただく命」を私生活に馴染ませつつ、目立たせている。原動力は「怒り」“食べ物を身近に感じるようになった。スーパーでは食べ物を間接的にしか手に入れられないから。自分の生活は自分でつくる。これが本当に生活しているということなんだと思う。 スーパーで食べ物を手に入れることが当たり前だけれど、当たり前を疑ってみて欲しい。常識を疑ってみるってすごく大切なこと。常識を疑うと当たり前なことに感謝の気持ちが生まれて、そこから思いやる気持ちが生まれる。食糧廃棄問題に限らず、皆が常識を疑ったら社会はもっとよくなると思う。” 一見やんちゃな大学生、しかし彼の目先には食糧廃棄問題にとどまらない、“社会がよくなる”がみえていた。 取材を通して、彼の「人を惹きつける力」みたいなものを目の当たりにした。それは食糧廃棄問題にまっすぐに取り組む姿勢や、正直な感情を原動力にしていることもあると思うが、それ以上に持ち前のはじけるような明るさだったり、素直さみたいなもので“彼だから惹きつけている”というものを感じた。 実際にモッタイナイトにも参加したが、彼を慕う後輩がたくさん彼の活動に興味を持って来ていたり、彼の高校以来の友人が訪れていて、そこからまた環が広がっていくのは、菅田悠介の人柄でこそ起きているんだと思った。
2017年06月08日今から50年程前、インターネットが運用され始めた。そして30年近く前には商用のネットワークが普及し始め、現在となっては誰もがスマホをもち、インターネットを通じて人と繋がらないことの方が珍しくなった。そんなインターネットの普及は、ネット依存、SNS中毒、そして陰湿なネットいじめなど、さまざまな負の側面をこの社会に生み出してきている。しかし、インターネットを通じて多くの人とつながれたおかげでいじめから救われたという10歳の少女がアメリカ・ロサンゼルスにいた。まだ10歳だけど気高いの。#FlexinInHerComplexionその少女の名前はKheris Rogers(ケリス・ロジャーズ)。彼女がアフリカ系の生徒が4人しかいない小学校に通っていたとき、「肌の色」を理由に他の生徒や先生からいじめられていた。それを見かねた母親は、より多様なバックグラウンドの生徒が通う学校へ彼女を転校させる。だが、転校先では驚くべきことに、彼女と同じアフリカ系の生徒たちから「細い体」と「肌の色」を理由にいじめにあったのだ。それを知った少女の姉は、ツイッターにある写真を載せることにした。
2017年06月06日Mette Touborg|メッテ・テュボーライア(Lejre)市長社会主義人民党(SF)所属2009年より現市長。2度の再選を経て、現在3期目。社会主義人民党では副党首を務めたこともある、自他共に認める有力議員。20年以上国会議員だった父を持つ、いわゆる二世議員でもある。本党は、社会民主主義と環境保護を掲げ、国会では約9%の議席を持つ。国内計98市あるうち、女性市長はわずか12市のみ。シェラン地域北部のライア市は、そのうちの一つ。市のホームページはこちら。Photo from Lejre Kommune―デンマークでは2週間後(当時、6月18日)に総選挙を控えていますが、メッテさんは出馬されていませんよね?自分で言うのもなんですが、私は党内で唯一の市長だということもあって、出馬すれば当選がほぼ確実。なので、政党からは「頼むから出てくれ」と、何度もお願いされて。でも今回は「ごめんなさい」と。私にはLejre(ライア)市でやることがまだたくさんあるので。―市政に対する思いが強いんですね。ここはどんな地域なんですか?ライア市は、49の小さな町と村からなる、人口2万7千人の小さな地方です。一番大きな町でも人口はたった4千人弱。デンマークというとても小さな国の、さらにその中の小さな場所。56万人もいる首都コペンハーゲンと同じように国を動かすほどの力はありませんが、ライアはライアの強みがあります。それは、首都まで自動車で1時間以内という近さにあって、かつ自然豊かだということ。特に水資源が豊富で、コペンハーゲンで供給される水全量の15%は、ライア市が供給しています。採れたての新鮮な食品だって、鮮度を落とすことなく即座に届けられますし。Photo by VisitLejre―「仕事は都心だけど家は田舎」という人が多いのはいかにもデンマークらしいですが、起業家が多いのにはビックリしました。シェラン地方にはライア市を含めて17の市があるんですが、その中で最も起業家が生まれているのがライアなんです。何をやっているかというと……みんな本当にバラバラで(笑)。デンマーク国内で初めてのドローンを開発し始めた起業家とか、特殊な技術を持ったボーリング会社とか、国内で有数のクラフトビール会社も2つありますね。―なぜわざわざライア市で起業する人が多いんでしょうか?もちろん理由は一つじゃありませんが、都市で起業するより、ここで起業した方がコスト的に安いからです。デンマークには国税と地方税の二つがあるんですが、ライア市では、個人事業主でも法人でも地方税は一切取らないので。これは戦略というより、「どうやったら都市と差別化できるか?」「より魅力的な地方になれるか?」と現実的な判断をした結果でした。なので、そういう会社や組織とコミュニケーションを取る、専属の自治体メンバーが常駐しているんですよ。私だって、週に一度は直接会って、不満を聞いたり、要望を聞く時間を取っていて。これは小さな地方だからこその強みですよね。ただ無農薬だけじゃない、地方のオーガニック革命の可能性Photo by Lejre Kommune―「オーガニック」というキーワードを媒介として、コミュニティができたように、デンマークではコミュニティがとても重要視されていますよね。そうですね。こうやってある程度似通った価値観を持つ人が集まって、狭い範囲で生活していると、もうみんな知り合い状態なんですよ。近所の人が困っていたら「私に何かできることがある?」とすぐに声をかけるし、バスに乗って知らない人がいたら「どこから来たの? 困ったことがあったら言ってね」と。そうすると、市民はもっと安心して、より豊かな暮らしができるんです。オーガニックに力をいれ始めて数年して、不思議なことが起こりました。コミュニティができただけじゃなくて、「ライア市はオーガニックに力を入れている」という事実が、市民のアイデンティティになって、市民の結束力が強まったんです。Photo by VisitLejre―お話を聞いていると、メッテさんも信頼できるし、なんか僕もここに住みたくなってきました!(笑)ありがたいことに、市民はすごく私を信頼してくれているんですよ。つい最近、「政治家についてどう思っているか?」というEUによる国勢調査があって。その結果、デンマークでは、国会議員よりも地方議員の方が好意的だとわかったんです。私の感覚的にも、共感できる結果ですね。―デンマークは僕が思っていた以上に地方の権限が強いように感じました。少なくとも中央と対等な立場にはありますね。たしかに私たち地方は、中央政府が作った枠から逸脱することはできません。でも、その枠が大きければ問題ないし、狭めようとするならそれに抵抗すればいい。地方の人はみんなそう思っています。たとえば、なぜ無農薬野菜を作って販売するのが難しいのか調査したところ、それは政府による規制や法律が障壁となっているからだとわかったんです。そこで、私は政治家と直接話したりして、いかに規制を緩和させるか、オーガニック食材が流通しやすくするにはどんな法律が必要なのか調べて、実際にいくつかの法律を改正することができました。どんな地方にも、都市にはない可能性があると思います。私たちはたまたま「オーガニック」に着目しただけ。そして、中央にすべての引導を渡さないように努めることもまた、地方の存在意義だと私は思います。ライアって、すごく魅力的でしょう? ほら、これで私たちのところへ移住する決心は固まった?(笑) ※この記事はウェブメディア「EPOCH MAKERS」の提供記事です。EPOCH MAKERS – デンマークに聞く。未来が変わる。世界の片隅で異彩を放つ、デンマーク。この小さな北欧の国は、情報化がさらに進んだ未来の社会の一つのロールモデルになり得る。EPOCH MAKERSはその可能性を信じて、独自の視点から取材し発信するインタビューメディア。URL: by Taiga Beppu ーBe inspired!この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!今日が今日のためにある国デンマーク、無料だらけの社会福祉の実態とは? 福祉国家として有名な北欧の国、デンマーク。消費税率25%、国民負担率約70%(日本は約40%)と、かなりの高納税国である。その一方で、医療費無料、出産費無料、教育費無...
2017年06月05日「デートレイプ」という言葉を知っているだろうか?デートレイプとは、友人や知人など顔見知りの人の犯行によるレイプのことを指す言葉。これによく使われるというのが、相手の意識を失わせるドラッグを混ぜた飲み物だ。最近ニュースでよく耳にするTBS元支局長にレイプされたというジャーナリストの女性の被害も同様の手口であったと考えられる。デートレイプドラッグで意識を失ってからでは自分では抵抗できないため、飲み物を口に入れる前に何か対策が欲しいところだ。そこでマイアミに住む3人の高校生が、デートレイプ防止に期待できる、とある製品を開発したという。
2017年06月05日「猫は英語で何と言いますか」と聞かれたら「cat」と答えるだろうか?「cat」以外にも、子猫を意味する「kitten」、猫科の動物を意味する「feline」、猫ちゃんというようなニュアンスの「pussy」など「猫を表す言葉」はたくさんあるのだ。スクリーンプリント「Free Butt Sex!(アナルセックスに自由を!)」 Image by HOMOCATS「HOMOCATS」(ホモキャッツ)は、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動するアーティストのJ.モリソンのビジュアルアートプロジェクト。同プロジェクトはホモフォビア*1等のあらゆるフォビア(嫌悪)と闘って平等を求め、社会の規範やステレオタイプに挑戦する目的を持つが、なぜ「猫のモチーフ」を多用しているのか理由を尋ねてみた。 彼は猫の独立性、頭の良さ、ユニークな感性が大好きで、一般的に“女性的”だとされている猫と、ゲイの男性が“女性的”であるというステレオタイプの類似性を組み合わせたら面白いと考えたのだという。そして、彼にとってHOMOCATSは「現代アメリカの抱える難問」を表したものなのだそうだ。(*1)同性愛者などセクシュアルマイノリティに対する嫌悪スクリーンプリント「We are tired of homophobia(もうホモフォビアはたくさん)」 Image by HOMOCATSZINE「Modern Problems(現代の問題)」 Image by HOMOCATS彼がアートプロジェクトを通じて実現したいのは、自分の「社会や政治に対するコメントを発信する猫のミーム*1」を作ることで、今までもそんな内容のZINEやスクリーンプリントの作品を発表している。最近ではジョン・レノンとオノ・ヨーコのベトナム戦争への反戦歌『Happy Christmas』の歌詞「WAR IS OVER (IF YOU WANT IT)」(戦争は終わった、あなたが望むなら)を文字った「TRUMP IS OVER (IF YOU WANT IT)」(トランプ政権は終わった、あなたが望むなら)のデザインで、多様性に寛容でないトランプ大統領政権に反対するメッセージを発信している。同デザインのTシャツを着て、反トランプデモに参加する人々もいるようだ。(*1)人から人へ広がっていく情報や行動、コンセプト、メディアのことアーティストJ.Morrison本人世の中には理不尽なことが多く存在する。例えば、どうしてゲイの男性は、ゲイであることで差別を受けるなど異性愛者の男性と同じ権利が享受できないのだろうか。そんな問題を解決するため、現在まで多くの人が活動してきている。そのなかでも、J.Morrisonの作品は目を引くデザインで視覚に強く訴えてくるのが特徴だ。彼のメッセージが込められているTシャツを着たりバッグを持ったりするだけでも、自分がどんな考えなのか、何を問題だと感じているのかまわりの人に発信することができる。このようにアートには、堅苦しくない「ソフトパワー」として社会を動かす力があるかもしれない。Image by HOMOCATS***HOMOCATSInstagram: @homocatsJ. MORRISONAll photos by @homocats unless otherwise stated. Text by Shiori KirigayaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「生き苦しさ」以外に、アートやカルチャーの「素敵なものを共有する」アプローチで今の時代に響かせたい。Letibee取締役 外山雄太 幼い頃から、いわゆる“女らしさ、男らしさ”はよくわからなかった。まわりから見たらセーラームーンとウルトラマンのどちらも好きで、周囲の反応からは女の子ともよく遊ぶ“ちょっと変な子...
2017年06月02日マザー・テレサじゃなくてもあなたは世界を変えられると知って欲しいそう話すのはオーストラリアの女性社会起業家、Jacqueline Haines(ジャクリーン・ヘインズ)氏。それでは私たちに何ができるのか?彼女の提案はなんと、大人のオモチャを買うこと。一体、大人のオモチャで世界を変えるとはどういうことだろうか?Vavven創始者のJacqueline Haines(ジャクリーン・ヘインズ)氏重工エンジニアリングの業界で高い地位を築いたヘインズ氏は、自身の会社を立ち上げるためにキャリアチェンジを行った。そしてその新しいキャリアとは、セックス業界。 「セックスは売れる」というんだから、売れるだけ売って、そのお金をいいことに使おうと思った。 ヘインズ氏の会社Vavven(バベン)は「エシカル」な大人のオモチャを売る会社。デリケートな部分に触れる大人のオモチャだから何よりも安全で良い質であることが重要。Vavvenは製品の製造過程の透明性を重要視し、質はどこにも負けないと自負している。そして、売り上げの3分の1は全て非営利の「性と生殖に関する健康と権利」のための団体に送られる。これが彼女の言う「私たちにできること」。Vavvenの製品を買えば買うほど、十分に病院や性教育にアクセスできない人々を救えるのだ。また、“正しい性教育”の発信に力を入れているのがこの会社。ウェブサイトのブログではマスメディアでは目にできないような「生理中にセックスを楽しむ方法」などリアルなセックスの話、また映画やポルノが作り上げたセックスにおいての「男性視点」を打破するコンテンツが盛り沢山。サービスは年齢、ジェンダー、性的趣向に関係なく全ての人を対象としている。あまりにオープンな性のぶっちゃけトークにクスッと笑ってしまうが、それも計算の上。自分たちのことを大真面目に捉えているわけではありません。世界は変えたいけど、興味のない人に考えを押し付けてもうまくいかないでしょ。深刻な問題を面白おかしくライトにとらえて、みんなが考え始められるようにしたいのです。セックスとは人間の基本的なニーズで喜びだと考えるVavvenは、人々がオープンにセックスを楽しめる社会作りに貢献しようとしている。セックスを「タブー視」しない世界では、正しい避妊の方法が教育され、性病で病院に行くのにも気まずい思いをしなくても済むようになる。もちろん、パートナー内でコミュニケーションが増えればセックスの喜びも増えるだろう。以前Be inspired!でインタビューをした「演技一切なしのポルノビジネス」を切り開くCindy Gallop(シンディー・ギャロップ)とそういった面では思想が重なると言えるかもしれない。 セックスは人間の基本的なニーズです。生と喜びを運んでくれます。でも人によってはセックスが恐怖と恥そして痛みの元となっているでしょう。私たちの目的はそれを変え、人々の健康を重要視し、教育やキャンペーンを通して「人と親密な関係を持つ」平等な機会を皆さんに与えることです。人を「性の道具」のように扱うことは絶対にしません。私たちはただ、セックスについて話し、楽しむのが重要だと伝えたいだけなのです。(Vavvenのホームページより)創設者ヘインズ氏は、このビジネスを成功させることで資本主義の世界でも「良いことをして稼ぐのは可能」だとビジネスの世界に知らしめたいそうだ。 ビジネスパーソンとして「お金を稼いで良い生活をしながら社会に貢献する」、カスタマーは「自分への快楽を通して他人を救う」。彼女の目指す「自分への喜びの上に成り立つ社会貢献」なら多くの人が興味を持てるのではないだろうか? ***VavvenAll photos by VavvenText by Noemi MinamiーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“禁断”のセックスについて考えるキッカケを作る「23人の色褪せない裸」。 2017年4月29日〜5月7日はジェンダーやセクシュアルアイデンティティーに関係なく、すべての個人が自分らしく幸せに生きられるような社会を目指しイベントを行うレインボーウィ...
2017年06月02日「パラレルキャリア」という単語を聞いたことがあるだろうか?これは経営学の父ピーター・ドラッカー氏が、1999年に発表した著書「明日を支配するもの」の中で提唱した言葉。2017年に就活や転職活動を行っている人は知っていて損はないコンセプトだろう。 パラレルキャリアとは本業と別に情熱を持って取り組める活動をすること。執筆や写真、またはボランティア活動でもいい。仕事とは違う分野に挑戦することで、仕事もプライベートも充実させるという考えだ。ちなみに何が副業と違うかというと、パラレルキャリアは収入を目的としていないというところ。副業の場合、自分の興味に関係なく経済的な理由で仕事を掛け持ちすることもある。それに比べてパラレルキャリア はやりがいのあることならどれだけ稼げているかは関係ないのだ。しかし、パラレル(平行的)というぐらいなので、本職と同じぐらい真剣に取り組むことが重要となってくる。(参照元:Living in More Than One World)Photo by coyotこのコンセプト自体は上記で述べた通り、1999年から存在する。ではなぜ今、注目すべきなのか。それは一つの会社で定年まで働くことを前提とした終身雇用のスタイルが日本で古い考えとなってきているから。不景気のせいで、たとえ大企業でも現実的に終身雇用が保証されていなくなってきていることや、AIやITを中心とする第4次産業革命により、「フリーランス」や、プロジェクトごとに違うフリーランサーや企業に頼む「アライアンス」など多様な働き方が生まれてきているのが影響している。(参照元:経済産業省)Photo by ijmaki世界でも日本の「仕事一番の精神」は有名な話。不当な残業、社畜化や過労死など仕事環境に対する問題は山積みである。事実、毎年3万人前後の自殺者がおりその中でも2千数百人が「勤務労働」を原因としている。(参照元:日経ビジネス)生きるために働いているはずが、仕事のために死んでいく人々の存在。日本の働き方には改革が必要なことは明らかだ。パラレルキャリアで既存の社会のシステムを解決することはできない。しかし人々の仕事への態度を変えるきっかけにはなるかもしれない。 パラレルキャリアのいいところは、仕事外でもネットワークが広がり、人間として視野が広がること。そういった刺激は人生に充実感を与え、個人の自信へも繋がる。これらは本職のパフォーマンスにポジティブに影響するだろう。また、今の仕事が上手くいかなくても、「私には他の選択肢がある」と知れれば本職に関して悩みすぎず、いい距離が保てる。転職しなければならない時や退職後はそれまでにパラレルキャリアの活動から培った経験やネットワークが役立つだろう。ただ、あまりパラレルキャリアに熱中しすぎると、本職に支障をきたしかねないので、上手くバランスをとることは必要だ。Photo by Clarissa Budiman大手企業が面接を開始し、本格化しはじめた今年の就活。「一つの会社に入って、その会社に人生を捧げる人生設計」に違和感を感じている人は、「一生面倒見てくれる会社」を基準にするのでなく、その仕事がなくなっても幸せな人生設計が立てられるような会社選びをするのもありなのかもしれない。Text by Noemi MinamiーBe inspired!
2017年06月02日ウィキペディアがどんな人によって書かれているか知っているだろうか?性別はなんと男性が91%と圧倒的に多く、女性が8.5%で、トランスジェンダーの人が1%以下。そのせいで男性の視点に偏った記述が多いだけでなく、例えば、映画の説明で「レイプシーン」とするべきところを「セックスシーン」と書かれたページもあるという。そんな現実を知り、図書館司書、学芸員、アーティスト、学生、教授たちが立ち上がった。「信頼される史上最高の百科事典」を目指すウィキペディアそもそも、ウィキペディアとは何だろうか。2001年にアメリカで創始されたウィキペディアは、「質においても量においても史上最高の百科事典」を作る共同プロジェクトを目指す、非営利団体が運営する無料のオンライン百科事典だ。
2017年06月02日「お年寄りを大切にしなければならない」ということは、多くの人が理解しているだろう。しかしお年寄りを大切にしたならば、何かしらの“得”が自分にもあっていいのかもしれない、そう考えたことはないだろうか。 そのような考え方は道徳心に反しているようにも思える。しかしこれからの高齢化社会を乗り切るためには、何かを与えた分だけきちんと還ってくるようなギブアンドテイク式の仕組みが必要なのだ。実は、海外ではすでにそのような取り組みが開始されており、功を奏しているのだとか。「若者」と「お年寄り」を繋ぐ、「出会い系サイト」Photo by Ondergrondsスマホで出会い系アプリにアクセスし、気になる異性の写真やプロフィールをチェックしてメッセージを送る。近頃、誰かと出会うのはなんとも簡単になった。しかしオランダ・アムステルダムで話題となった「出会い系」は一味違う。若者がスマホから検索している“出会いたい相手”は、恋人候補でなくなんと、「お年寄り」なのだ。 そんな一風変わったマッチングサイトの正体は『ONDERGROUNDS(オンダーグランズ)』。若者とお年寄りのコミュニケーションを促進させるために立ち上げられたサービスで、若者はONDERGROUNDSのサイトから自分が話したいと思っているお年寄りを選び、会うためのアポイントメントを取り付けていく。 そこで見事にマッチングしたら互いが決めた駅で待ち合わせをして、一緒に地下鉄や電車に乗り込み会話をするのだ。初めて会った者同士が隣に座り20分ほどの時間を過ごす。“移動の時間を利用する”というなんともカジュアルに設定された雰囲気の中で、若者は自分が経験したことのない時代の話を尋ね、そしてお年寄りたちはそんな彼らの要望に応えるかのように自身の経験を事細かに話していくのだ。サイト内には登録しているお年寄りたちの顔写真やプロフィールが詳細に書かれているため、マッチングのズレも少ない。誰もが胸に抱く「知らない誰かと話したい」を、形にしたこのサービスを考え出したのは、オランダに住むジュリアンさんとマノンさん。彼らは若者が知らない人と話す機会が少ないことに気が付き、年齢や生活環境の違いを越えて普段は話すことのない者同士を結びつけるべきだと考えたことが始まりだ。(参照元:A City Made By People)特に今の若者はインターネットの普及によって、孤立しやすい社会の仕組みの中にいると思います。スマートフォンを手にしていたらいつでも友人と繋がることができ、どんなに多くの人に囲まれていても日常で知らない人と会話をすることなんてほとんどないでしょう。でも、想像して欲しいんです。電車やトラム(路面電車)でたまたま隣に座った人の過去をふと覗いてみたいと思うことは誰にでもあるはずなんです。(引用元:POPUPCITY)ONDERGROUNDSのユーザーのカリーナさんPhoto by Ondergronds知らない者同士が話をする…それを追及した結果、若者とお年寄りが一番正反対であり最も互いが楽しめる組み合わせだと思ったそうだ。そしてこのマッチングは見事にぴったりとはまった。サイトに登録をしているお年寄りの一人、カリーナさんはこう語る。うちの近所にもたくさんの人が住んでいるけれど、平均年齢はかなり高くて、若者と交流する機会はほとんどないんです。人々は、遅かれ早かれ自分の人生にとってなにが重要か、どんなことに幸せを感じるのか疑問に思うときがあると思います。そんな想いを私たちの世代は経験し、自分なりの答えを出してきました。若者たちも同じように感じる瞬間があると思いますが、その想いを私たち世代は共有できるんです。そういった意味で私たちのような年寄りと出会うチャンスがあることはとても重要なことだと思います。(引用元:THE PROTOCITY.COM)お年寄りだけではなく、若者たちも自分たちとは異なる誰かと会うことを常に求めている。そんな両者の需要をうまいこと満たしたのがONDERGROUNDSなのだ。サイト登録料や利用料はなく、もちろんジュリアンさんとマノンさんに収益があるわけでもない。しかしこのマッチングサービスは、若者からもお年寄りからも好評であったため期間を限定して今までに4回も行われた。(参照元:nrc.nl)今ではオランダ国内にとどまらず世界での展開も視野に入れている。お年寄りの「隣人」になれれば、居住費は「タダ」Photo by Humanitasこのように、どちらかが無理をするのではなくお年寄りと若者の両者の求めているものをうまくマッチングさせる取り組みは他にも行われている。例えば、同じくオランダに月30時間お年寄りと時間を共有することで学生はそこでの居住費がタダになるという老人ホーム、『Humanitas(ヒューマニタス)』がある。この施設の目的は、お年寄りたちの近くに「良き隣人」がいることでお年寄りたちの生活を活気づかせること。学生たちに課せられる制約は特になく、一緒に食事をとったり、ただ話をするなどお年寄りの迷惑にならなければ時間の使い方は自由である。学生たちもお年寄りから学ぶことも多く、お年寄りだけではなく学生たちにとってもプラスとなるポジティブな関係が生まれているようだ。誰かが誕生日の際はパーティーが企画され、幅広い年齢層が一緒になることでまた違った盛り上がりを見せている。(参照元:Huffington Post)またブラジルに580校もの校舎をもつ語学学校『CNA English School』も、Skypeを使って生徒と世界の裏側にいるお年寄りがランゲージパートナーとなる学習サービスを開始した。生徒は自分たちが学びたい言語を母国語とするお年寄りと話すことでスピーキング力がアップし、お年寄りは誰かと話す機会に恵まれる。まさに両者にとって好都合のサービスであろう。「思いやり」より、「ギブアンドテイク」Photo by Humanitas周知の事実だが、日本の高齢化は今後ますます進み、2060年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると言われている。(参照元:内閣府HP)これは世界的に見ても最も高い数字だ。そんな深刻な状況の中、今社会で推進されていることはお年寄りを尊敬する心を育てたり、お年寄りを大切にすることである。 だが若者とお年寄りが世代の格差を越え、心地よく暮らしていくためには若者とお年寄りの「ギブアンドテイク」が確立された「マッチング」ではないだろうか。もちろん“思いやり”や“道徳心”も必要な要素の一つではあるが、そんなきれいごとばかりに頼ってはいられない。 「お年寄りを若者が大切にする」という構図ではなく「お年寄りも若者も得をする」という考え方のほうが、より社会を活気づかせていくはずだ。 先述した通りオランダではすでに様々な取り組みが行われているが、オランダの高齢化率は18.23パーセントで日本の26.34パーセントに比べると低い。(参照元:GLOBAL NOTE)だがそれにも関わらず、高齢者と若者が上手に付き合える仕組みが次々と生まれている。 インターネットの普及によって、今の時代、誰もが簡単に出会いたい人と出会える時代になった。だからこそ、思いやり精神ばかりに頼るのではなく“気づき”と“アイデア”によって、若者とお年寄りのマッチングが成立するサービスが日本にも数多く生まれて欲しい。Photo by HumanitasText by Asuka YoshidaーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「68人家族です」。米ポートランドで見つけた孤独な子供と高齢者が一緒に暮らす「新しい家族のかたち」、ブリッジ・ミドウズ 日本やアメリカをはじめ、先進国での少子高齢化や格差社会問題は、目立った解決策もないままズルズルと悪化しているようだ…。そんな中、全米一非営利団体が多いと言われる街、オレゴン州ポ...
2017年06月01日日本では、パートナーと一緒になるためには、法的な枠組みでは「婚姻法」つまり「結婚」という選択肢ひとつしかない。「事実婚」なるものはあるものの、法的には保護されない。 しかし、フランスでは結婚とは違うパートナーとの契約方法があるというのだ。結婚よりも“ゆるい”関係、フランスのPACSとはPhoto by Anthony DELANOIXPACSとは連帯市民協約のことで、1999年に同性カップルの権利を法的に守るためにできた制度。つまり「カップルが共同生活を送る旨の契約」で、日本で言う事実婚に近い、もしくは同棲を法的に手続きするというもの。 法的に手続きをおこなうと、「民法」「労働法」「税法」「社会保障法」において、待遇やメリットがある。結婚をしても同じだけ、もしくはそれ以上の待遇が受けられるのだから結婚でいいのではと思うかもしれないが、結婚とPACSには大きな違いがある。 まず結婚なら離婚の際に裁判所の介入が必要なのだが、PACSは書面手続きのみで解約が行える。 また、双方揃っての手続きがなくても、PACSは一方の手続きで解約を行えるため、結婚するよりも簡単に別れられるのだ。それでも結婚のように受けられる待遇Photo by Brooke CaglePACSのメリットはもちろん別れる時のことだけではない。そもそもこれはパートナーと一緒になるための制度。 パートナーが同じ会社で働いている場合、同時期に有給休暇を取ることを認められている。つまり、カップルで旅行や、イベントごとがある際は合法で休みを取れるということだ。さらに一方が転勤する場合、その勤務先近くにパートナーも転勤することを考慮されるという。 それ以外にも、税金が共同課税であったり、社会保障についても結婚と同等のメリットがある。フランス社会で一般的となったPACSという関係Photo by Fabrizio Verrecchiaフランスでは、結婚の前段階としてPACSを契約する人がいたり、若いカップルがPACSというかたちでパートナーとして認め合うなど、PACSは柔軟に活用されている。2014年には、結婚の件数が24万1千に対し、PACSの件数はなんと「17万3千」。(参照元:フランスニュースダイジェスト)完全に結婚とは違う、パートナーとの契約のかたちとしてフランス社会に受け入れられているのだ。 現代社会ではLGBTQやジェンダー問題など、「多様な価値観を受け入れること」が求められつつある。その中で結婚とは異なる、パートナーと一緒に生きていくPACSという選択肢が日本にも存在すれば、多様な愛に溢れた国になるのではないだろうか。(参照元:フランスの新家族制度・民事連帯協約(PACS)について)Text by Hinako OhnoーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「結婚」も「性別」もない時代 「ゴールデンウィークをレインボーウィークに!」初夏を感じさせるような日々がつづく東京。連休に合わせて「Tokyo Rainbow Pride2015」が開催中された...
2017年05月31日先日5月27日(土)に、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニーGetty Images(ゲッティイメージズ)が、東京で活躍する様々な女性を切り取ったフォトコンテスト“TOKYO WOMAN”を開催した。今まで“広告で描かれてきた女性“ではなく、新たな美しい女性像を切り取った写真のコンペティションだ。特別審査員にはイラストレーターや作家、俳優として活躍しフォトグラファーでもある、リリー・フランキーさんを迎え、約1,500を超える応募作品から優秀作品が選出された。 “広告で描かれてきた女性“。そう聞いてあなたは、一体どんな女性を思い浮かべるだろうか?
2017年05月30日イタリアの女子大生二人が大学在学中に開発したのは、世界初の果物からできた生地だった。2012年、Adriana Santanocito(アドリアナ・サンタノチト)はファッションデザイン学科の卒業論文として、インターナショナルコミュニケーション&コーポレーレション学科で勉強をしていたEnrica Arena(エンリーカ・アレナ)と共に新しいサステイナブルな生地の開発を決意する。 その際に彼女たちが目につけたのが、柑橘類。イタリアでは毎年70万トン以上の柑橘系のゴミが捨てられているからだ。また、既存の植物性の生地によく使われる木や麻、竹などは自然にあるものを生地制作ために刈ってしまっているのが問題だった。柑橘系の植物の皮などの「捨ててしまう部分」をアップサイクルすれば、水、土地を無駄にすることなく、環境汚染にも加担しない環境に優しい生地が実現できる。努力を重ねて試行錯誤を繰り返し、2014年のミラノのVogue Fashion’s Night Outで彼女たちはついに柑橘類のゴミからできた生地を発表。その生地はシルクのように柔らかくて軽く、染めることもできる。そして同年、デザイナーや経理、弁護士などを含む5人で株式会社Orange Fiber(オレンジ・ファイバー)を立ち上げた。 これまでに環境、ファッション、起業などのあらゆる分野のコンテストで勝利し、個人投資も受け、集めた資金は総額約370万円。最近でも、112ヶ国からエントリーが行われ、2700プロジェクト以上が提出されたH&M基金のGlobal Change Awardで見事受賞。15,000ユーロ、日本円にして約185万円を獲得した。 さらになんといっても2017年4月にはイタリアのトップブランドSalvatore Ferragamo(サルヴァトーレフェラガモ)に目をつけられ、コラボレーションを実現。歴史と権威あるコンパッソ・ドーロ賞を2016年に受賞したマリオ・トリマルキがデザインを仕掛ける美しいコレクションをEarth Day 2017で発表した。彼女たちの原料から生産過程まで全て「メイド・イン・イタリー」にこだわる姿勢も魅力のひとつだろう。環境保護と透明性を徹底的に重視したイタリア初のファッション企業となることを目標としているそうだ。 ファッション業界は、長年「エシカル」という単語からは遠い存在だった。シーズンごとに変わるトレンド、それに伴いゴミとなるまだ着れる服たち。発展途上国で行われる児童労働、クオリティが低くすぐ着れられなくなるプラスチック製のファストファッション…。しかし、環境問題を考慮し、透明性を貫く強い信念を持ったフライターグやパタゴニア、若手ではINHEELSやEVERLANEなどのブランドを見てみれば、ファッション業界もゆっくりだが確実に変わってきていると言えるだろう。今後もOrange Fiberのような起業が増えていき、「サステイナブルではない服がおかしい」という新しい常識が生まれるよう、企業も消費者も一丸となって前に進めたらいい。***Orange FiberAll photos by Orange FiberText by Noemi Minami ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「服をたくさん持つことがおしゃれではない」。“普通のバイヤー”じゃなかったからこそ気づけた「服を大切にする精神」 10年程前に日本のファッション業界に進出してきたファストファッション。低価格で流行の服が買えるからと若者を中心に人気が高まり、ファッション界において無視できない存在となったと言...
2017年05月30日「One planet living(地球一個分の暮らし)」。これは2012年のロンドンオリンピックで掲げられた持続可能性の確保を目的としたテーマだ。 実は56年ぶりに開催が決まっている2020年東京オリンピックでは招致スローガンとして掲げた「Discover tomotrrow~未来(あした)をつかもう~」をもとに全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承という3つを基本コンセプトとし、この3つ通してロンドン大会と同等の「サステイナブルさ」もしくはそれ以上の成果が求められているという。 そんな2020年の東京大会では、環境負荷の最小化、最先端テクノロジーを駆使した環境対策といったものから、「おもてなし」、「もったいない」というような日本独自の価値観の発信など様々な側面からの「持続可能性」への取り組みを重視しているのだ。(参照元:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会) しかし、大会後の新国立競技場の使用用途、さらには新国立競技場の建設における木材調達における持続可能性が疑われているという。Photo by GORIMON「オリンピックの遺産」をどうサスティナブルに活用するのかオリンピックの遺産をどう活用していくかは持続可能性をアピールすることにつながる。例えば新国立競技場の使用用途。球技の試合やコンサートといった“ただ”競技場を利用するだけでは稼働日数も限られてしまい、大きな収益は望めない。そこで東京の中心にありアクセスも良い、そして何より周辺人口において大きな可能性を秘めている同競技場が大会後も大きな収益を上げれるかは持続可能性を達成できているかの1つの答えになるだろう。(参照元:日本経済新聞)Photo by Shinichiro Hamazaki自然や文化を破壊。アンチ・サステイナブルなオリンピック。大会後のスタジアムの使用用途の問題より今私たちが一消費者として、そして日本国民として考えなければならない問題が「新国立競技場の木材調達の問題」だ。 先述したが持続可能性に配慮したオリンピックの開催を目標に掲げる東京オリンピック。その実現に向けて環境面に配慮することは大前提であり東京オリンピックの運営サイドも運営計画に製造・流通過程における労働環境の整備、人権の尊重や環境に配慮した原材料の使用、資源の有効活用の重視といった物品の調達基準を盛り込むなど対策を練っていることは確か。(参照元:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会) しかし新国立競技場での建設現場において、マレーシアのサラワク州産の木材が使用されていた可能性が疑われると同時に非難の声が巻き起こった。(参照元:MARKETS FOR CHANGE)というのも原生林が多く存在するサラワク州では、急速な伐採によりもはや原生林がほとんど残っていない上、この伐採によって先住民たちの家や生活、文化をも奪われているのである。さらに現地政府の伐採許可における汚職もたびたび疑われているという惨状だ。(参照元:global witness) そして日本は同州産の合板の最大の輸入国であり、日本のビルやマンション、フローリングなどにも同州の合板が大量に使用されている。これはもう既に日本が木材の輸入を通して環境破壊、先住民の人権の侵害に加担していることを意味している。 このような事態に対して2016年のベストPodcastに選ばれたバイリンガルニュースのホストのまみさんは以下のように述べている。 先進国の責任を持って、どこから原材料を輸入してくるのかっていうのをいかに倫理的にするかっていう取り組みが必要なんだけどそれを日本は全然できていない。 この事実がもうちょっとちゃんと日本で認知されて、例えば、最終的にマンションとかを買う人、消費者とかもそうだし、投資してる人たち、銀行とか、あとまあ不動産会社が究極のクライアントなわけだからその人たちが、いや絶対にサラワク州産の合板が入ってるんだったら買いたくないとか、投資したくないとか言えば、そこからどんどんそれが芋づる式に伝わっていって結局じゃあサラワクから買うのやめましょうかなのか、じゃあサラワクのものでももっと基準を高くしてきちんといろんな条件をクリアしたものだけにしましょうってなるのかっていう動きに繋がっていくんだけど今のままだともうやりたい放題のままで企業も全く責任をとってない状態だから 企業が違法伐採の問題無視し続けることやこの問題がメディアによってほとんど報じられることがない現状の中で彼女はパーム油の問題と重ねこうも指摘している。 この違法伐採の話とパーム油って実はつながっていて違法伐採で木をどんどん切るじゃない。で、その時は根こそぎ切ってるわけじゃなくて、使えそうな木をがーって切るんだけど、もう売れるものがなくなってくると今度はそこを全部根こそぎブルドーズしてそこにパーム油のプランテーションをたてるわけ。で、そこまでいっちゃうともうほんとにそこに住んでた動物、虫なり絶滅危惧種なり鳥なり植物なり木なりもう全部根こそぎ殺されてるわけで、それにその戻ってこないものの価値と、じゃあこれをパーム油にしますとか木材にしますっていって得られる経済的価値なんてもう全然少ないわけよ、ただその目の前のお金しか見てないっていう ▶︎パーム油についてはこちら 上記のようにただ目の前の利益を追い求めるだけでは、サステイナビリティを達成できるとは全く思えない。また私たち日本人は消費者としてこの問題をしっかりと認識する必要があるだろう。Photo by Construction Projects持続可能性によって評価されるオリンピックへやはりオリンピックと言われれば競技面に興味関心がいきがちである。もちろんオリンピックはスポーツの祭典として観る人に感動を与え人々を結びつけるものであることは確かであり、東京オリンピックでもそういった光景は数多くみられるだろう。 しかし本当の意味で東京オリンピックを成功に導くためには、バイリンガルニュースのまみさんの言うように「先進国として(サラワク州の自然破壊に)加担していくのか、責任をもってそうじゃないものを選んでいくのか」(参照元:バイリンガルニュース)といったことも重要なカギを握っているのかもしれない。 ※「2020年東京オリンピックのための熱帯林破壊は許されない」と思う方は、こちらから国際オリンピック委員会に電子メールを送ろう。 ***MARKETS FOR CHANGEText by Nozomi Hasegawa ーBe inspired! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!人、動物、環境に悪影響しか与えない「発がん油」を知らずに摂取し続ける愚かな日本人。 私たちが日常的に口にしているアイスクリームやチョコレート、ポテトチップス。コンビニやスーパーマケットで手軽に購入でき、嗜好している人も多いだろう。しかし、そ...
2017年05月29日