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不登校の子どもの卒業式、どんな形が正解?息子が本格的な不登校になったのは、コロナ禍1年目の小学校6年生の時でした。相次ぐ臨時休校や分散登校、マスク登校というこれまでの日常からかけ離れた生活の中で、もともと息苦しかった学校生活がさらに息苦しくなりました。それでも「友だちに会いたい」と頑張って登校していた時期もあったのですが、日々変わりゆく学校の決まりごとに戸惑い、特別支援学級の新しい先生の指導方法が息子には合わず、支援教室にたった一人で取り残されることが多くなり、とうとう限界が来て登校できなくなってしまいました。「卒業式をどうするか」という話を持ちかけられたのは、3学期の始めでした。その頃、特別支援学級に所属はしていたものの、担当の先生とのコミュニケーションが難しく、ほとんど会話ができない状態だったため、提案してきたのは学校管理職である教頭先生でした。私は息子の気持ちと心身の状態が第一だったので、正直卒業式などどうでもよく「息子が出たいなら全力でサポートするけども、出たくないなら出なくてもよい」というスタンスでした。学校側から出していただいた提案はこんな感じでした・頑張って卒業式に出る・卒業証書授与だけでも出る・卒業式終了後に校長室で卒業証書授与を行う・卒業式終了後に体育館にて教職員のみで簡易卒業式を行う全てが出席を前提とするもので、人前や集団が難しい息子の状態を考えるととてもじゃないけれど現実的と思えませんでした。「とにかく卒業式には出てほしい」という学校の意思だけは伝わりましたが、私は「大変申し訳ありませんがどれも難しいと思います」と答えました。すると教頭先生はこのような提案をしてきました。「じゃあお母さんだけ!教職員一同と体育館でお母さんに卒業証書を授与させてください!」それではただの見せ物でしかないように思えました。泣きたい気持ちを抑えながら、「では出れたら出る。これでいいですか?」とその場限りの答えを出しました。学校側も一旦それで納得してくれました。Upload By 花森はなそれぞれの未来へと向かう卒業式小学校の卒業式当日。私はすぐにでも家を出られるよう、メイクも洋服もそれなりに整えた状態で、息子にどうしたいか、最終的な気持ちを聞きました。結果はやはり「行きたくない」とのことでした。式はもうとっくに始まっていましたが、卒業証書と記念品を受け取るためだけに、私は下の娘だけを連れて学校に向かいました。ちょうど学校に着いた頃、卒業生たちがたくさんの拍手と祝福を浴びながら、体育館を出てくるところでした。顔見知りの子どもたちに写真撮影を頼まれて、「おめでとうー!」と言いながら笑顔で何度もスマホのシャッターを押しましたが、心の中ではずっと泣いていました。息子の出席を望んでいた訳ではないのですが、『どうして息子はここにみんなといられないのだろう。みんなと卒業したかったのに』という思いが拭いきれませんでした。息子が「行きたくない」と言ったのは『卒業式』で、みんなと『卒業』はしたい気持ちはあったのです。みんなは地元の公立中学校に進むけれど、息子が進学するのは特別支援学校で、道は完全に別れてしまいます。友だちと笑い合うことのできる、最後の機会でした。卒業式が終わったばかりでお忙しいだろうと思い、廊下で隠れるように卒業証書を受け取りました。教頭先生は「せめてちゃんと授与を……」と最後まで仰ってくださいましたが、私は固辞しました。小学校の半分を、行き渋りや不登校、付き添い登校からの再登校、そしてまた不登校と輝かしい学校生活を送ることができなかった私たちには、この形が一番ふさわしいと思いました。担任の先生に感謝の気持ちをお伝えして、未来への喜びあふれる学舎を後にしました。それが私たちの卒業式でした。Upload By 花森はな特別支援学校の卒業式は…?特別支援学校中等部に進学した息子ですが、環境が変わったからといってすぐに登校できるようになったわけではありませんでした。大人への信頼を失くしてしまった息子が、もう一度『大人』や『先生』に心を許すことは難しく、それでも特別支援学校の先生方は根気強く息子と向き合ってくださいました。小学校高学年の時は、私の付き添いなしでは授業が受けられなかった息子が、登校できた日は1人で1日学校で過ごしてくることができたのです。特別支援学校の先生の細やかな気遣いや配慮が、息子の固く冷たく閉ざされた心を溶かしていくのが分かりました。1人の人間として尊重し、成長をサポートしてくださるその姿勢がありがたくてしょうがありませんでした。中学3年生の3学期を迎え、卒業式が近づいてきましたが、正直なところ、卒業式のことを考える余裕は全くありませんでした。息子も私も、特別支援学校高等部への進学ではなく、外部の通信制高校を受験するための試験対策でいっぱいいっぱいだったのです。作文や面接の練習には先生も付き合ってくださり、なんとか受験を終えることができた私たちは、そこでやっと「卒業式」の話し合いをすることとなりました。小学校の卒業式のことを先生方に話しました。特別支援学校の先生方の意見は「今の息子くんの状態でも卒業式はしんどいんじゃないかなと思うんです。でも、僕たちはここで息子くんとお別れになってしまうので、せめてさよならは言いたいです。卒業証書がもし受け取れそうなら、教室で。担任陣と息子くんとお母さんでお別れ会をしましょう。無理はしなくていいです。息子くんがもし来れなかったら、何人かだけでも息子くんにお別れを言いに行かせてください」と仰ってくださいました。息子の答えは「行きたい。最後やから、先生に会いたい」でした。Upload By 花森はな本当の卒業は、過去からの卒業だった卒業式当日の放課後、私と息子は特別支援学校へと向かいました。教室では、担任の先生だけではなく、これまでお世話になった1年生や2年生の時の担任の先生まで来てくださいました。息子の到着に合わせて、校長先生が教室まで来てくださり、卒業証書授与が行われました。名前を呼ばれると、息子が大きく「はい!」と返事をして前に出て、証書を受け取りました。一度も練習したことがないのに、しっかりとした大きな声で、最後にはガッツポーズまでして。その様子に涙ぐんでいる先生もいらっしゃいました。そのあとは先生方と写真を撮ったり、思い出話をしたり。息子と先生方の思い出は、ほとんどが家庭訪問の時のものでしたが、担任の先生は数少ない登校日に撮った写真を、手作りのアルバムにまとめて「息子くんの卒業アルバムだよ」と渡してくださいました。そこには、先生方の思いがしっかりと感じられました。「息子くんなら大丈夫だよ」「パソコンでゲーム作ったらまた教えてな」「学校にもいつでも遊びに来てくれていいんやで」と楽しく笑いながら、正門前に呼んだタクシーのところまで、先生方がお見送りしてくれました。小学校の卒業式では複雑な思いを抱えながら帰った道を、今度は未来への希望と共に息子と帰りました。今度は間違いなく『卒業』したと思いました。小学校の卒業式の時に感じた、孤独や失望感、学校への未練のようなものも全てこの卒業式で取り払われたような気がしています。卒業式はこれまでの信頼の積み重ね節目として、卒業式というのは大切なものです。もちろん、学校式典としての卒業式に参加できることが理想ではありますが、うちの息子のように集団が難しかったり、人が多い場所とだとパニックになってしまったり、長時間の待機や雑音が気になってじっとしていられない子どももいると思います。多くの児童が在籍する学校では、対応が難しいケースもあるかもしれませんが、「誰のための卒業式か」というのを考えていただけたらなと思います。「ぜひ卒業式に!」と言うならば出席を前提とせず、無理なら無理で、本人の状況に合わせて、『できそうなこと』と『難しいこと』を丁寧に検討していただきたいです。3学期を迎え、いよいよ卒業式のことを学校と話し合う時期になったという方もいらっしゃるかもしれません。全ての子どもにとって卒業式は大切なもので、その気持ちは尊重されるものです。「卒業式に出ない」という選択も、同じように尊重されるべきだと思います。私が学校側に提案していただいたような部分参加や、少人数での卒業式、別室での卒業証書授与、卒業式にもいろいろな形があります。過去の事例なども含め、実現可能なものがあるかどうか学校管理職の方に一度相談してみるのも良いと思います。今春、卒業を控えた子どもたちが後悔のない卒業式が迎えられるよう、心から願っております。執筆/花森はな(監修:鈴木先生より)私は、学校の先生方に「子どもファースト」で物事を考えてほしいと常々感じています。例えば、対人・視線恐怖や社交不安により人前に出るのがはばかれる場合は、個別で卒業式をやるという選択肢があるのです。また、卒業式に参加しなければ証書がもらえないわけではありません。宿題についても一律で出すのではなく、不登校などで授業に遅れているお子さんの場合は、その子のレベルに合った宿題を出すことが望ましいのです。少しでもハードルを下げてできた達成感を味わえることが重要です。また、「中学進学にあたり、IQの結果がないと特別支援の教育委員会で議論できない」といった理由で2年前にやったばかりのIQテストを受けるように言うなど、本人のためを思っているとは考えられないケースも見受けられます。型にはめた教育の時代はもう終わりなのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月30日発達障害のある私。大学入学、そして退学。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました30代の当事者です。24歳の時、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能です。ADHD(注意欠如多動症)の傾向もあります。また軽度脳性麻痺があるため、身体障害者手帳を持っています。特性としては、言語が比較的得意、目からの情報処理の力が低く、抽象的な指示が苦手……などといった点があります。周りからは「真面目で頑張り屋」と言われる性格です。私は高校3年生の時法律に興味を持ち、法学部への進学を決めました。自宅から通える大学のオープンキャンパスで「ここなら頑張れそう」と感じ、志望校としました。でも、入学後わずか半年も経たないうちに、対人関係でつまずいてしまいました。大学中退後は、障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました。今回はそのお話をさせていただきます。人間関係がストレスに。通学時、大学の最寄り駅で糸が切れてしまった私1年次からゼミがある学校だったのですが、ゼミ内での人間関係がとてもぎくしゃくしてしまいました。何とか通学しよう、勉強を続けたいと頑張ろうとしましたが、ある日、大学の最寄駅で糸が切れてしまいました。「もう無理だ」と感じ、身体が動かなくなってしまったのです。Upload By ユーザー体験談その時、思わず電話したのは、卒業式の時に『何かあったらいつでも先生に連絡してきなさい』といってくれた高校時代の担任の先生でした。朝早い時間帯でしたが、藁をもすがる気持ちで電話をかけると、電話に出てくれた先生は、私の様子でただごとではないと察したのか、『とにかく休め、今はとにかく休め』と電話越しに強く言ってくれたのを覚えています私はそのまま休学することになりました。Upload By ユーザー体験談「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみては?」とのアドバイスを受けてしばらく休んだ私、やがて『この先どうしようか?』と考えられるようになりました。そこで、休学してやり直すか、思い切って退学するか、とても悩みました私は高校1年生の頃から社交不安症で、メンタルクリニックに通院していました。その時からの主治医に相談すると、「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみて、メリットが大きい方を選んでは?」とアドバイスをいただきました。担任の先生は『休学してやり直しても良いんだぞ、そういう道もある』と言ってくれましたが、私なりに考え、納得して、退学を選びました。それでも、応援してくれた先生方に申し訳ない気持ちや、志した道を途中であきらめざるを得なかったことへの悔しさは消えませんでした。大学中退後の模索。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型などでの働き方と感じたこと大学を辞めてから、私はさまざまな働き方を経験しました。それぞれで行ったこと、感じたことをお話しします。私は身体障害者手帳を持っていたので、障害者雇用でいくつかの人事総務系の仕事に就きました。雇用形態は契約社員かパートです。高校では挨拶の大事さを学んでいたので、挨拶だけはどこに行っても褒めていただきました。あとはWord、ExcelなどのOffice系のソフトにも高校から触れていたので、その点も困らずに済みました。会社によっては任せる仕事がないのか、電話の応対以外はただぼーっとパソコンを眺めたり、書類整理の単純作業が多かったです。逆に信頼していただけたことでは、いろいろ任せていただき、その結果キャパオーバーに……。さまざまなことがありました。この時、私は抽象的な指示が通りにくいと感じるようになりました。少しでも強みが増えればと、ビジネス系の検定を取得しました。※「Word」「Excel」は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。就労移行支援は複数利用しました。どこも出だしこそ順調なのですが、「通院後にも来て欲しい」とか「目標を高く持って欲しい」と少しずつ要求が高くなると、体力的にも精神的にもついていけなくなりました。また、「相談しすぎです」というスタッフと「もっと頼ってもらっていいい」というスタッフの板挟みになったり、ほかの利用者さん同士の口論で過呼吸を起こしたこともあります。実習で、「姿勢が悪い」とフィードバックを受けたこともあります(脳性麻痺の特性で座位の保持が大変なのを、支援する側も、企業側にも理解いただけていないことを痛感しました)。Upload By ユーザー体験談A型では事務補助全般をやらせていただきましたが、個人情報を扱っている入力メインの職場だったので常に緊張感がある職場でした。当時新規で新たに施設を増やしたところだったので、スタッフも利用者も皆手探り状態で、ストレスを強く感じました。学びなおしへの一歩、通信制短大を卒業このように働く中で私は発達障害の可能性を指摘され、24歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能や視覚認知に困難さがあることも分かりました。その後、精神保健福祉手帳を取得しています。医師から「一般的にこんな簡単に仕事を辞めない」と言われ、自分の社会性の弱さに気づかされましたが、逆に「これで自分の特性を知ることができた」とほっとした部分もありました。そんな中も、私は法学を学び直したいという気持ちが消えませんでした。ただ、独学で法律を勉強するのは難しいとわかっていたので、次に興味のあった、高齢者福祉と心理学を通信制短大で学び、何とか2年間で卒業することができました。基本的にスクーリングは金土日の週末で開催され、さまざまな年齢や立場の方が参加されていました。「一緒にがんばろう!」と過ごす3日間はとても貴重な時間でした。中でも特に手話のスクーリングは印象的で、最後の単位認定試験が手話の自己紹介だったので、仲良くなった方々と何度も練習したのが良い思い出です。また学生同士の集まりも多く、年齢的にまだ一番年下くらいだった私は、いつもありがたいことにいろんな先輩に可愛がっていただけました。周りには短大を卒業後、そのまま大学3年次に編入される方も多かったのですが、私は経済面に加え、残り2年間をこのまま突き進むには体力面で不安があるため、一旦編入は見送りました。選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる今、私は創作活動を中心とする就労継続支援B型事業所で、イラスト制作やピアノ演奏に取り組んでいます。最近ではクリスマスカードが商品化され、これからもっと多くの作品を作っていきたいと思っています。これまでの経験で感じているのは、「選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる」ということです。そう考えることで、開く道があるのだと思います。大学への登校中、「もう無理だ」と糸が切れたあの日から思いもしなかった道を歩む自分がいます。今後の目標は、通信制大学で学び直し、最終的に卒業することです。Upload By ユーザー体験談今も自分の特性に悩むことは多いです。でも「頑張る」のではなく、自分が笑顔でいられることを指標にした「顔笑る(がんばる)」気持ちで、一歩ずつ進んでいこうと思っています。エピソード提供/YOSHIMIイラスト/マミヤ(監修:初川先生より)卒業、そして福祉的就労の今という流れを共有ありがとうございます。さまざま大変な思いをされたり、理解されないつらさもありながらもご自身がつらくない道を開拓され、また学びたいことを大事に持ち続けられていることが印象的です。発達ナビをご覧の保護者の方には、高校・大学や特別支援学校高等部などをお子さんが卒業したら、そのままどこかしらに就職し、そこでずっと働いていくものだというイメージを持たれていることもあるかもしれません。もちろんそうした場合もありますが、お子さんの発達的な特性や得意不得意と仕事やその職場が合っているかどうかは、予想しきれない面もありますし、つらいところで無理して働くことがよいわけでもありません。さまざまな経験の中で、自分にはこれが合っている、これができる、こうしてくれると助かるということをつかみながら、仕事や職場を変えることもあることは知っておきたいところですね。また、仕事をするうえでは、発達的な特性や得意不得意がなかなか作用してくる面もあります。指示の出し方1つにしても、言葉での指示がよいのか、文字による視覚的なものがよいのか。1つずつがよいのか、あらかじめリストのように見通しを持ちつつまとまった指示出しがあるとよいのか。そうしたあたりについて、今は民間事業者でも合理的配慮が義務になりましたが、まずは本人が自分の特性や得意不得意をわかったうえで、事業者や企業側と話し合っていくプロセスを経由するということです。YOSHIMIさんも語られているように、経験の中でこうしてくれると助かった、こういった配慮がないと難しかったなどを、できれば学齢期から積みながら仕事選びや大学での学びの継続等に活かしていけるとよさそうですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月29日いつから?何から?わが家の場合の入学準備私には2人の息子がいます。長男けんとは現在、小学3年生。特別支援学級の情緒クラスに在籍しています。3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。発達障害グレーゾーンの次男ゆうきは小学1年生。通常学級に在籍しています。以前、病院の先生に「ASD(自閉スペクトラム症)の診断をするかどうかの境界付近」と言われたことがあります。Upload By ゆきみ次男ゆうきは勝負で負けてしまったり、うまくできないことがあったりすると切り替えができず、立ち直るまでに時間がかかってしまいます。こども園に通っていた時から集団行動を離れてクールダウンが必要になることがありました。特別支援学級に在籍することも考えたのですが、長男けんとと同じクラスになる可能性が高く、いろいろな方に相談し考えた結果、通常学級に在籍することに決めました。長男けんとの場合は、年長の春頃から入学に向けていろいろと準備を始めたのですが、次男ゆうきの場合は、就学時健康診断を終え、年長の1月頃から放課後等デイサービスと保育所等訪問支援施設を探し始めました。担当の相談支援専門員の方に相談して…次男ゆうきは週2~3日、放課後等デイサービスに通わせたいと考えていました。そして、もしも担任の先生が許可してくださるなら、専門知識のある方が保育所や学校で子どもの様子をみてくださり、担任の先生とお話をしてくださる保育所等訪問支援を利用したいと思っていました。しかし、通常学級の担任の先生に、次男ゆうきの特性についてお伝えしたり、配慮の希望を出したりしたい場合、どこまでお願いしていいのか分かりませんでした。Upload By ゆきみ担当の相談支援専門員の方と、通っていた児童発達支援施設の方に相談し、放課後等デイサービスと保育所等訪問支援施設を探すことにしました。そして保育所等訪問支援施設が無事に決定(※わが家の場合、保育所等訪問支援を実際に利用できるかどうかは、入学後に担任の先生に確認をとったあとになるとのことだったので、正式に契約をしたのは入学後でした)。そして、相談支援専門員の方にご紹介いただいた放課後等デイサービスへ、次男ゆうきと一緒に見学へ行くことにしました。こども家庭庁|「保育所等訪問支援ガイドライン (令和6年7月)」保育所等訪問支援は、保育所・幼稚園・認定こども園、小学校・中学校・高等学校、特別支援学校、乳児院、児童養護施設、放課後児童クラブ(以下「保育所等」という。)など、こどもが集団生活を営む施設を訪問し、集団生活への適応のために専門的な支援を行うものである。即決?放課後等デイサービスでの見学で…Upload By ゆきみ見学へ行く前は、とても緊張していた様子の次男ゆうき。部屋へ入ると集団課題の「転がしドッジボール」が行われていました。しばらく見学していると、指導員の方が「ゆうき君も一緒にやってみる?」と声をかけてくださいました。ゆうきは心配性で、新しいところに飛び込んでいくのが苦手なのですが、その時はすんなり参加することができました。同い年くらいのお子さんが多く、楽しそうな雰囲気だったこともあるかもしれません。本人が帰り際に「また来たい!」と話してきたので即決!「行きたい!」という気持ちが次男ゆうきの場合は必要かなと思い、その放課後等デイサービスに通うことに決めました。提出するか悩んだサポートブック長男けんとが特別支援学級に入学する時は、サポートブックを作成し、学校に提出しました。サポートブックとは、その子の情報や特性、困りごとがあった際に有効な関わり方などを記す資料のことです。私はインターネットで見つけたサポートブックのテンプレートを自分でダウンロードし、印刷して記入しましたが、私の住んでいる地域では、地域の役所で記入できるサポートブックをいただけるようです。次男ゆうきもサポートブックを作成しようかと思い悩んでいましたが、通っていた児童発達支援施設の先生が、ゆうきの施設での様子を記した資料を作成し、入学前の3月頃、小学校宛てに送ってくださったので、サポートブックの作成はしませんでした。私からも担任の先生に伝えておきたいことを厳選して……・ゆうきの困りやすいシーン(失敗したり負けたりすることがとても苦手で、立ち直るまでに時間がかかること……など)・その場合は、こうやるとうまくいくことが多いという情報(クールダウンが必要になるかも、など)というような内容を、ご挨拶も含めて1枚の紙にまとめ記入し、入学式の日の帰り際に担任の先生にお渡ししました。心配性で、見通し不安のある次男のためにUpload By ゆきみ次男ゆうきが年長の2~3月頃、図書館で小学校生活について書いてある本を何冊も借りてきて、一緒に読みました。どんな科目があるのか、どんな教室があるのか、どんな行事があるのか……何となくでも見通しがたったほうが安心につながると思ったからです。長男けんとの時は学校からのご提案で、入学式前日に学校へ見学に行き、入学式の流れを聞いたり実際に座る場所の確認をしたりしてくださいました。次男ゆうきは通常学級ということもあったのでこちらからもお願いしませんでしたが、入学式のだいたいの流れは家庭で説明しました。次男ゆうきは通常学級に在籍しているので、今でもどこまで学校にお願いしていいのか分からなくなる時があります。悩んだ時は1人で悩まず、次男ゆうきを支えてくださるいろいろな方々に相談をさせていただきながら、これからも成長を見守っていけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:新美先生より)次男さんの就学に向けた準備について詳しく教えてくださりありがとうございます。通常学級在籍ということで、どこまで学校側にお願いできるのかを迷いながら進めていかれたことが伝わってきました。地域差もあり一概には言えませんが、通常学級であろうが特別支援学級であろうが、お子さんに必要な合理的配慮は求めていくことはそんなに遠慮しなくてもよいと思います。必要だと思う支援を求めたうえで、学校側との相談、交渉し、過度に負担にならない範囲の合意を得ていくプロセスが合理的配慮には必要ですよね。とはいえ保護者としては迷うからこそ、記事に出てきたように、保育所等訪問支援を使うのはいい方法ですね。保育所等訪問支援の担当者なら、その地域のほかの学校の状況もある程度把握しているので、その地域のスタンダードを参考にしながら、通常学級内でできる、お子さんに必要な支援を具体的に提案していただけるのではないでしょうか。通常学級だからといって保育所等訪問支援の利用を断られることはあり得ないのでおすすめです。長男さんの時に書いたサポートブックは次男さんの時には使わず、児童発達支援施設からの資料提出と、保護者の方からは1枚の紙に厳選してまとめてお伝えしたとのことでした。これもすごく重要なポイントで、サポートブックのように情報量が多すぎるとかえってしっかり見てもらえないリスクもあり、特に通常学級と言うことを考えると、1枚の紙にまとめるというのは得策だと思いました。また、入学前に、小学校生活の本を読んだり、入学式も分かる範囲で流れを説明するなど事前の準備もばっちりですね。保育園と小学校では雰囲気ががらりと変わるので、入学初日~始まった当初に面食らってしまわないように、事前にご本人が小学校生活をイメージできるように知らせておくことはとても大切だと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月28日現場に合った制度を目指して介護・障害福祉の事業やサービスは、多くの法律や規定に基づいて運営されています。しかし、法律策定や運用の見直しでは、現場の声が十分に反映されないことも少なくありません。こうした状況を変えようと立ち上がったのが、一般社団法人 全国介護事業者連盟。さまざまなニーズやサービスのある介護・福祉業界の声を取りまとめ、現場の声を政策に活かせるようにと提言活動を行っています。今回は、理事長の斉藤正行さんに、連盟の活動内容や保護者の皆さんに注目してほしいポイント、メッセージを伺いました。Upload By 発達ナビ編集部――2018年に全国介護事業者連盟を設立されました。設立当初の思いを教えてください。斉藤理事長:私たち、全国介護事業者連盟は、その名の通り、最初は高齢者介護の分野からスタートしました。介護や福祉に携わる人の中には、実態に即していないガイドラインの見直しに、「なぜこういうルールになるんだろう?」と首をかしげ、不満を感じた人も多いと思います。私自身も、介護・福祉の業界に身を置いて20年以上になりますが、現場の声が届かないことに危機感を抱いてきました。そうした現状を変えようと2018年6月に設立したのが、全国介護事業者連盟です。のちに障害福祉事業部会を立ち上げ、現在は介護と障害福祉の両輪で活動しています。――2018年以前には、介護・福祉事業者の声を取りまとめる団体はなかったのでしょうか。斉藤理事長:いえ、実はその反対で、たくさんの団体がそれぞれに活動している状況でした。例えば障害者福祉であれば、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援、放課後等デイサービス……と、法人の種類やサービスごとに団体がありました。その結果、意見が集約されず、発言力が小さくなってしまう傾向があったのです。しかし、社会保障全般が大きく変化していく中、今後も現場の声が法律策定や運用に反映されないままでは、働く人たちや利用者さんを守ることはできません。介護・福祉の事業者が大同団結して、現場の声をきちんと届けようという思いで、全国介護事業者連盟を設立し、障害福祉事業部会も立ち上げました。驚異的なスピードで全国的な組織に拡大――現在では、大きな組織へと成長されました。斉藤理事長:構想段階では、「必要性は分かるけれど……」と難色を示される事業者さんも多かったのです。ですが、なんとか形を作ってスタートしてからは、組織の拡大は非常に速いペースで進みました。現在、全国5,800社、約3万5,500事業所 (2024年12月末時点)の皆さんに、一般会員として参画いただいています。介護では200万人、障害福祉では100万人が働く、重要なインフラサービスです。合わせて300万人の皆さんの声を代表し、現場主導での介護・障害福祉のルールづくりを進めるために、さらなるシェア拡大を目指していきたいと考えています。――全国各地に広がっていることも、全国介護事業者連盟の大きな特徴ですね。斉藤理事長:そうですね。介護・福祉ともに、都市部と地方とでは、運営のあり方や課題も異なります。業界を代表する団体となるには、全国的な組織でなければいけないということは、設立当初からの構想でした。高齢者介護については、昨年、47都道府県すべてに支部を設立することができました。3年半遅れてスタートした障害福祉事業部会は、現在、33支部です。2025年度には、47都道府県すべての支部設立を目指しています。大きな規模の事業者だけでなく、地域密着型で中小事業者の皆さんの声も吸い上げていくことが、私たちの使命だと考えています。介護・福祉業界で働く人の生活を守る――全国介護事業者連盟の活動の成果としては、どのようなものがありますか。斉藤理事長:私たちの活動の中心は、政策提言です。たとえば障害者就労についての委員会、障害児の通所系サービスのあり方についての委員会などを設置し、全国各地の専門家も交えて意見交換したうえで、要望書にまとめて、厚生労働省やこども家庭庁に提出しています。また政府や厚生労働省、こども家庭庁が設置している委員会にも、全国介護事業者連盟から委員として参画しています。また、全国介護事業者連盟の全国大会では、最先端の介護や障害福祉の取り組みや事例を発表しています。いずれは学会のように発展させ、エビデンスに基づいた情報を発信していく場としていきたいと考えています。Upload By 発達ナビ編集部――令和6年度は、報酬改定(介護や障害福祉の事業に必要な報酬を国が見直すこと)の面でも、介事連の働きかけの成果があったと伺っています。斉藤理事長:はい、介護報酬は1.59%、障害福祉サービス等報酬は1.12%のプラス改定となりました。物価高騰の状況なども鑑みれば十分とは言えませんが、比較的大きめのプラス改定を勝ち取ることができたのは、政府や厚生労働省に何度も足を運び、現場の状況を訴え続けてきた成果だと感じています。――介護・福祉に情熱を持って働く人たちが適切な報酬を得ることは、サービスを利用する側にとっての願いでもあります。斉藤理事長:もともと介護・福祉業界は、ほかの産業に比べて低賃金であることが課題でした。さらに給与差が拡大すれば、人手不足に拍車がかかり、必要なサービスが提供できなくなります。その改善のために、従来3種に分かれていた処遇改善加算(職員の給与を改善するための加算制度)を一本化し、その金額についても上増する方針が決まりました。――煩雑な仕組みをシンプルにしていくことで、現場の皆さんの負担を減らす効果も期待できるのですね。斉藤理事長:処遇改善加算を一本化することは、計画書や実績報告書を作成する時間の削減にもつながります。結果として、利用者さんと向き合う時間が増え、より質の高いサービスの実現にも貢献する取り組みだと考えています。とはいえ、介護・福祉の制度は、まだまだ複雑だと感じます。働く人や利用する人にとっても分かりやすい制度にしていくことが求められます。障害福祉分野の課題は?――障害福祉の分野で、斉藤さんが現在、特に課題だと感じていることはなんでしょう?斉藤理事長:今回の報酬改定では、就労継続支援A型について「生産活動に取り組んでいなければマイナス評価」という、非常に大きな変更がされました。この変更で、すでにこの半年で約7%の事業所が閉鎖するか、就労継続支援B型に移行しました。これによってA型の事業所で働いていた障害者の方が、約5,000人解雇されています。これはかなり深刻な問題です。このほかにも、放課後等デイサービスや生活介護などでも、マイナス改定の影響が出ています。成果重視、生産性向上という視点からの改定でしたが、これによって切り捨てられるサービスがないようにしなければなりません。――福祉的就労で働いている方、またこれから福祉的就労を考えている保護者の方にとっても心配なニュースです。今後、どのような対応が必要だとお考えですか?斉藤理事長:この先には、さらなる大改革が待っていると思います。高齢者が増える一方で、2040年には現役世代の人口が今より2割も減少すると予測されています。社会保障を使う人は増えるのに、サービスを支える労働者人口はどんどん減っていくわけです。ルールや制度の見直しに加え、我々事業者も経営や運営のあり方などの面で変化に対応する取り組みが必要です。共生社会実現にむけての取り組み――全国介護事業者連盟の今後の活動の展望について教えてください。斉藤理事長:組織をより拡大するとともに、現場で働いている皆さんにまで取り組みを共有し、裾野を広げていきたいと考えています。そして、最大のミッションである現場の処遇改善に向けて、きちんと声を届けていきます。また、2025年のトピックとしては、大阪・関西万博が挙げられます。万博のテーマである「いのち輝く 未来社会のデザイン」は、介護や福祉とも密接につながります。全国介護事業者連盟としてもパビリオンのプロデュースなどを行い、介護や福祉の未来について情報発信をしていきたいと思っています。――より多くの人に関心を持っていただけるチャンスでもありますね!斉藤理事長:はい。また、介護と障害福祉の連携もテーマです。共生型サービスの最新事例などを発信し、共生社会の実現を加速するための取り組みや事例を広めていきたいですね。――介護・福祉業界を活性化するためには、啓蒙活動も大切ですね。斉藤理事長:いま、介護や福祉では、人手不足が大きな問題となっています。これは保護者の皆さんにとっても、心配な状況だと思います。私たちの取り組みによって業界全体の健全化が図られ、持続的に発展できる仕組みがつくられていけば、職員にとってはもちろん、利用者さんや保護者の皆さんにもとっても大きなプラスになると思います。働いている人の所得が上がり、モチベーションが高まり、介護や障害福祉で働きたいという人がもっと増えることは、サービスの質や専門性の向上にもつながります。私たちも、現場に即した制度づくりに加え、教育や研修にも力を入れ、より安心して、お子さんがのびのびと成長できる場を提供していきます。――自身が高齢になったあとのことを不安に思われている保護者の方も多くいらっしゃいます。将来の福祉活用のヒントを教えてください。斉藤理事長:どうしてもお子さん優先になりがちですが、介護を含めてご自身が必要になると思う情報をしっかりキャッチしていただきたいですね。そして、お子さんについても、適切なサービスをきちんと利用できるように準備していただきたいと思います。また、障害のある方が加齢とともに介護が必要となったときには、介護保険へスムーズに切り替えることが大切です。介護と障害福祉の連携団体である私たちも、積極的に情報発信していきたいと思います。――最後に、発達ナビの読者の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。斉藤理事長:超高齢社会と言われる今、お子さんの将来について考えるとどうしても不安が先立つという方も多いでしょう。しかし、私は明るい超高齢社会の構築は、絶対に実現できると考えています。高齢者や障害がある方、誰もが安心して過ごせる共生社会をつくっていく。そのためには地域共生社会づくりが、何よりも重要です。悲観せずにそれぞれの立場で考え、手を取り合って、一緒に頑張っていきましょう。――ありがとうございました。取材・編集:発達ナビ編集部執筆:浦上 藍子大学卒業後、ベンチャー企業のコンサルティングをおこなう企業に入社。2003年に介護業界に転身。異業種から介護業界を見る中で、さまざまな課題を感じる一方、社会を支える介護や福祉に魅了される。介護・福祉業界の健全な発展をめざし、2018年に全国介護事業者連盟を設立。※ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから「一般社団法人 全国介護事業者連盟」のWebサイトに遷移します
2025年01月27日小学校での生活を振り返ってUpload By もっつん息子のタクは小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されました。小学校の6年間は長いようであっという間でした。子育てと仕事、タクのサポートや習い事など大変かつ充実した日々を送っていました。高学年の頃のタクの学力は、真ん中くらいだったのではないかと思います。好きな教科や分野はすごい記憶力を発揮してどんどん理解できるのに対して、苦手意識のある教科はほとんど学習拒否状態でした。例えば算数の暗算や公式の暗記は得意ですが、筆記が苦手なので途中の式を何度言っても省略して減点になってしまったり文章問題になると意図が読み解けずに固まってしまったりすることがありました。そんなタクをなんとか机に向かわせてくれたのが、特別支援学級という居場所でした。授業参観で何度も見学に行きましたが、タクに構いすぎず放任しすぎずちょうど良いタイミングでアドバイスの声かけをしてくださる先生を見て「さすがだなぁ」と感心しました。おかげで学力テストを受ける際は得意教科は通常学級で受けることができました。仲が良い友だちと点数を競い合ったのは、タクにとって学習への自信がつくきっかけになったと思います。学習面以外でも学校での過ごし方は高学年になるにつれて、分かりやすい問題行動は目立たなくなっていきました。家庭で全力で向き合ってきたことに加えて、特別支援学級で過ごした時間がタクの情緒も成長させてくれたのだと思います。通常学級に戻りたいと思っていたあの頃Upload By もっつん小学1年生の後半にスクールカウンセラーの先生と相談しながら特別支援学級へと転籍を決めたわが家ですが、「学力と生活態度次第で通常学級に戻れるかもしれない」ということだけが当時の私には希望のように思えていました(入学した時が通常学級だったのでタクの本来の居場所だと思い込んでいました)。早く通常学級で過ごせますように……と思いながら、3年生・4年生と進級する度に引き続き特別支援学級が相応しいと学校から知らされる度に落胆していました。今となっては特別支援教育への知識や理解が乏しく、気持ちの余裕がなかったからそんな思考になっていたのだと分かります。ですが、当時はマイナス思考になってしまうことについて、さらに悩むというループに入ることもありました。そして5年生・6年生へと進級する頃にはだんだん受け入れられるようになっていきました。途中で何度も大きなトラブルが起きて投げ出したいほどつらい時期もあったけどなんとか乗り越えて、ありのままのタクを受け入れる覚悟が積み上がってきたのではないかと思います。中学校進学に向けて6年生の後半に学校で面談した際に「中学校も引き続き特別支援学級が相応しい」と言われた際には何の躊躇もなく受け入れられました。タクにとって過ごしやすくて、実力を伸ばしてくれる環境が何よりも大切だと実感した結果だと思います。ちなみにタク本人は「どっちでもいい」と言っていました。タクにとっては特別支援学級で学習することはとても自然な日常になっていたので、中学でもこの調子で過ごしてほしいと思いました。中学校でも特別支援学級?Upload By もっつん小学生から中学生になる際に心配なことはたくさんありました。学習内容が難しくなり授業時間も伸びるので、今まで以上に困難を感じるのではないか?慣れ親しんだ支援の先生とタイプが全然違う厳しすぎる方針だったらどうしよう?あとは中学卒業後の進路について特別支援学級だということが不利にならないか(内申点の有無など)。私たちが住んでいる地域は、子どもの数が少なく進学先は地元の公立中学校の1択で同級生全員持ち上がりでしたが、中学生特有の人間関係の複雑化によるいじめなども心配していました。入学前には特別支援学級の担任になる予定の先生と面談をしました。中学の特別支援学級の教室も少人数制でクールダウンのためのソファが置いてありました。内申点についてはいろいろな対応をとっている学校があるかと思いますが、タクの通う中学では通常学級と同じように評価されるということでした。心配事がたくさんありましたが、直接教室を見学して話すことで心配事をどんどん消化することができました。事前に小学校から引き継ぎがあり、タクの大まかな性格や、学力を把握してくださっていました。そして小中交流授業の際に、すでにタクは担任予定の先生と挨拶を済ませていました。改めて私からもタクの得意不得意や要注意してほしい点などを直接伝えることができて、面談をやってよかったなと思いました。中学校は学習量が増えていきます、求められる自主学習Upload By もっつんタクが中学校に進学した頃は世の中はちょうどコロナ禍で、行事や面談が簡略化されたりリモートに切り替わっている時期でした。濃厚接触者とみなされた方もいらっしゃるので、慎重に慎重を重ねて入学式は何度かに分けて少人数で行われました。PTAなどの仕事も控えめだったので私としても助かりました。入学してみて小学校との一番の違いは学習量の多さだと思いました。中学校は毎月のように定期テストや実力診断テストがあります。それは(個別に配慮はありますが)特別支援学級でも同じでした。クラス全体での成績の順位も具体的な数字で出るので、本人のやる気がかなり重要だと思いました。宿題は自主学習を提出することになっていたのですが、自ら課題を考えてこなすのが苦手なタクは、市販のテキストを使って勉強していました。それをそのまま提出しても自主学習とみなす配慮をいただき助かりました。勉強は好きじゃないようでしたが、先生やお友だちに恵まれて過ごすことができました。たくさんの人のサポートのおかげで充実して過ごせた事に感謝Upload By もっつん中学生活を振り返ると、大変なトラブルも何度かありましたが、きっと楽しく生活できたのではないかと思います。これまで、タクの気になる行動に対して、私も間違った接し方をしてしまった事もありますが、その時はタクの子育てや躾を自分でしっかりしなくちゃいけない!と過度にプレッシャーを感じすぎていたのが原因の一つになっていました。一人で抱え込もうとして失敗したのをきっかけに自身の通院やカウンセリングを受けて、中学校生活では自分自身の恥を捨てて多方面に相談するように意識しました。学校外で起こったトラブルも包み隠さず、速やかに先生に報告して翌日から注意して見てもらったりと協力してもらいました。児童相談所と家庭支援センターで定期的に面談をしたり、教育委員会の窓口に行ったりしたことがあります。ただでさえ思春期に差しかかると子育ては難易度が増す傾向にあるので、たくさんの人の力をお借りするのが大切だと思います。わが子がより充実して幸せな人生を歩むためという視点を忘れなければ、「支援を受ける・制度を活用する」という選択はすごく素敵なことだと思います。タクは中学校の3年間で身長もぐんぐん伸びたし内面も成長してくれたと思います。今は中学・高校卒業後にやりたい道も定まってきたようです。やりたい事が見つかってからはあれだけ苦手だった勉強を自主的に勉強をするようになり、自ら湧き上がってくるヤル気の大切さが見えました。これからもタクのことを応援していきたいと思います。執筆/もっつん(監修:新美先生より)息子さんの中学進学時について詳しく聞かせてくださりありがとうございました。通常学級と特別支援学級を比べて、なんとなく、通常学級のほうが上、できれば通常学級に行きたいけどやむを得ず特別支援学級に行っているみたいなイメージを持ってしまうことはあるとは思いますが、本来そこに上下関係はなく、お子さんにとって一番学びやすい、過ごしやすい場所を選ぶという意識が大事ですよね。通っていると、お子さんの様子を見て、こうしたことが実感できてくるのかなと思います。タク君は、小学校中学校と特別支援学級の先生やそのほか周囲のさまざまなサポートもあって、大きく成長されたのですね。お子さんの成長には、家庭の支えが何より大事ですが、家族以外の他者との関わりも非常に大事です。苦手なことや、心配な行動があっても隠したりごまかしたりしないで、さまざまな方に関わってもらうことが、ご本人の成長につながることは多いですね。素敵なエピソードを聞かせてくださり感謝です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月26日具体的な解決策が満載!『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に体調管理するための本』Upload By 発達ナビBOOKガイド大人になってから発達障害の診断を受けたという方の中には、日頃から疲れやすさや体調不良に悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。実は、多動性や不注意、こだわりといった特性や、感覚過敏や感覚鈍麻が、その原因のひとつかもしれません。本書では、発達障害当事者の方が抱えやすい「睡眠」「食生活」「病気」「健康」「生活の乱れ」「メンタル」などの悩みについて、体調管理をしやすくなるためのアイデアを数多く紹介しています。例えば、デジタル機器を使った管理方法や、100円ショップのアイテムで実践できる内容など、紹介されているアイデアはご自身のペースで取り入れやすいものばかり。こんなサービスがあるんだ!こんな便利なものがあるの?と新たな発見があるかもしれません。ぜひ本書を参考にためしてみてはいかがでしょうか。早期発見で適切な支援へつなげる!『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』Upload By 発達ナビBOOKガイド学校に行くのを嫌がる、勉強をやろうとしない……そんなお子さんの困りごとの背景には、もしかしたら学習障害(LD・SLD/限局性学習症)があるのかもしれません。学習障害(LD・SLD/限局性学習症)は、発達障害の一つです。読み書きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。知的な遅れはないため、幼児期では気づきにくく、就学後に初めて「みんなと同じように読み・書き・計算ができない」という事態に直面してから判明する場合も多いため、適切な支援がないまま勉強が嫌になり、登校渋りにつながることもあります。本書は、学習障害(LD・SLD/限局性学習症)に関する基礎知識だけでなく、学校で受けられる合理的配慮、家庭でのサポート方法、お子さんの困りごとに合わせた具体的な学習の工夫なども紹介しています。学習障害(LD・SLD/限局性学習症)への理解と適切な支援に役立つ一冊です。自分らしさに自信を持って『あなたがあなたであるために 補注新装版 自分らしく生きるための自閉スペクトラム・ガイド』Upload By 発達ナビBOOKガイド2005年の初版刊行以来、累計発行5万部のロングセラーとして親しまれてきた『あなたがあなたであるために 補注新装版 自分らしく生きるための自閉スペクトラム・ガイド』が、この度補注新装版としてアップデートされました。本書は、臨床医として多くの子どもたちに関わってきた著者による、ASD(自閉スペクトラム症)の当事者、主に中高生を対象に書かれたガイドブックです。ASD(自閉スペクトラム症)を脳の特徴として捉え、自分自身や周囲の人との付き合い方、暮らしやすくするための工夫を解説しています。本書の大きな特徴は、ASD(自閉スペクトラム症)の特性のポジティブな面が強調されていることです。個性を大切にしながら、その人らしい人生を謳歌していくために、まずは自分自身を知り、サポーターを見つけ、暮らしやすくなる工夫を実践していく……そういった一連のプロセスについて、分かりやすい言葉で、具体的な手立てが記されています。もっと自分自身のことを知りたいと思い始めたお子さんに、おすすめしたい一冊です。読む楽しみを一人でも多くの子どもに!『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩学校図書館10の事例』Upload By 発達ナビBOOKガイド目が見えない・見えにくい、活字の図書を読むのが難しいなど、さまざまな事情で本を読みたくても読めない子どもたちがいます。そんな「本の飢餓」の状態を解消するために、いま「読書バリアフリー」へのニーズが高まっています。2019年、「読書バリアフリー法(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)」が施行されましたが、今でも十分な環境整備が進んだとは言えない状況です。本書では、読書バリアフリーを学校で推進するための環境づくりのポイントや、読書バリアフリーに取り組んでいる学校図書館の10の具体的な事例を、実際の写真と共に紹介しています。また、学校の先生方から寄せられた疑問について、Q&A方式で分かりやすく解説しています。さらに、高知県と高知市の図書館等複合施設「オーテピア」が備える多様なバリアフリー図書、国立国会図書館の取り組み、日本点字図書館・サピエ図書館の教育機関との連携などをコラムで取り上げ、読書バリアフリーについてより理解を深めることができます。「みんなが読める」を理想で終わらせないために、読書バリアフリーにどのように取り組んでいくべきか示してくれる一冊です。誰もが読書をできる社会を目指して~読書のカタチを選べる「読書バリアフリー法」~(啓発用リーフレット)|文部科学省LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月25日【放課後等デイサービス・児童発達支援探し、その後の短期入所、ショートステイなど】アンケートの結果発表!発達ナビ利用者の皆さんから寄せられたコメントも紹介!Upload By 発達ナビ編集部施設探しはおおむねスムーズにいった:50%施設探しは大変だった:38%その他 :12%発達ナビでは利用者の皆さんへアンケートにて「放デイ(放課後等デイサービス)、児発(児童発達支援)」についての体験を募集いたしました。「施設探しはおおむねスムーズにいった」が50%、「施設探しは大変だった」が38%、「その他」が12%という結果になりました。今回は「施設をどのように探したか」についてのコメントを抜粋してご紹介いたします。・施設探しは大変だった二人とも、特性が違うため、それぞれの特性に合わせたデイサービスを探すのが難しかったです。ひとつは、相談できる場所としてのデイサービス事業所を選び、二人ともが利用して、さまざまな課題について相談しました。また、特性に合わせて、姉弟分離し、子供達それぞれが、デイサービスで生き生きと過ごせるような時間を作ってもらいました。常に、姉弟のセットでは、個々への対応が中途半端になると考えたからです。・施設探しはおおむねスムーズにいった入学前に2つの放課後デイを見学させてもらい、より息子が好きそうな方の放課後デイに決め小学4年生の現在も利用しています。 By 発達ナビ編集部短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある (21%)短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことはない (79%)長期休みなど、ずっと子どもと一緒だと仕事や家事が進まない、体力的に厳しい、叱ることが多くなって反省ばかり……などといった場面も増えるのではないでしょうか。発達ナビでは「長期休みでの子どもの障害者支援施設や児童福祉施設などの短期入所(ショートステイ)、家族のレスパイトケア」についてのアンケートも行いました。「短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある」が21%、「短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことはない」が79%と約2割の方が短期入所を利用したことがあるという結果になりました。短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアの利用については以下のようなコメントが寄せられています。・短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがある子どもが支援学校中学部に進学した頃からレスパイトを利用し始めました。友人(支援学校の先生)から「今後のことを考えて、先生、親以外の大人と接する経験をした方が良いと」アドバイスを受けたこともきっかけの一つです。・短期入所(ショートステイ)、レスパイトケアを利用したことがないかかりつけの児童精神科へのレスパイト入院を申し込んでいるが、なかなか空きが出ないのと、本人が超絶拒否(必要性が云々というよりとにかく嫌だ)。必ずしも入院が必要な程の問題行動があるわけではないので、強制入院させるのも抵抗はあるが、個人的にはシンドイのが正直な気持ち。児童発達支援や放課後等デイサービスもですが、短期入所(ショートステイ)も地域によって探し方の難しさに差があるようです。短期入所など、今のお子さんの年齢などを考えると「まだ早い」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、事前に自治体のサービス内容などを確認しておくと安心かもしれません。放課後等デイサービス、児童発達支援、短期入所(ショートステイ)などの関連コラムはこちら公立の特別支援学校を希望することに決定したかしりりあさんの長男のりーくん。就学先は決定し、次に待っていたのは放課後等デイサービス探し!理想通りの施設にはなかなか出合えない……でも求める条件は譲れない……りーくんに合っていそうなところやご夫婦の希望を話し合った結果……。幼児期から外遊びを嫌がる傾向が強く、体を動かす機会が少なかった娘さん。体育の時に走るのが遅いことをからかわれてからは学校を休みたがり、「みんなの声がうるさいから」と体育を見学するようになってしまいました。静かな環境で運動の経験を積んだほうが良いのかも?と運動療育の放課後等デイサービスに通うことになりましたが……。2つの事業所を経験して感じたエピソードは施設探しの参考になりそうです。放課後等デイサービス探しを意識したのは息子さんが年長の夏、就学相談を経て特別支援学級への進学を決めた時だったという苗さん。そんな苗さんの住む地域にはなんと36の放課後等デイサービスが!特色もそれぞれ。放課後等デイサービス探しは「やることが多い」「関係者が多い」「出向く場所が多い」「よく分からない用語がいっぱい」と大変だったと振り返っていただきました。みんさんの住む地域には、近所に特別支援学校があるので、放課後等デイサービスの数は比較的多いほうだとのことでした。でも多いからこそ、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の次男Pくんにどの施設を選べば良いのか分からず悩むことになりました。まずは利用可能な放課後等デイサービスの情報を集めましたが全ての施設を見学する時間も余裕もありません。みんさんの考える、数ある放課後等デイサービスの中からわが子に合う施設を選ぶポイントとは何だったのでしょうか。4歳で知的障害(知的発達症)と診断された現在33歳の息子さん。中学生からレスパイトを利用し、20歳でショートステイに登録、現在はグループホームで暮らしています。レスパイトの想定外だったメリットや「お守り」になったショートステイ、特別支援学校高等部卒業後の進路など「親なきあと」に備えた準備は必見です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月24日長男とは全く違った次男の乳幼児期次男かーは長男りーとは3つ違いの兄弟です。妊娠中の経過は良好でしたが、当時は新型コロナウイルスが流行中だったため、家族は出産時の立会いや入院中の面会ができず、孤独な入院期間でした。ですが退院してからは、初めての育児だった長男の時よりも自分の気持ちに余裕があり、楽しんで育児ができていたと思います。かーは赤ちゃんの頃から表情が豊かな子でした。また人の輪の中に入るのが好きなようで、家族(特に母親の私)にスキンシップを求めてくる様子が見られました。当時はちょうど、3歳を過ぎても発語がなかった長男りーが、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた頃でした。りーの乳児期とは全く違うかーの様子に、私は「これが定型発達の子の育児なのかな……?」と期待をしていました。定型発達?発達障害?次男の成長に戸惑いもかーの育児が大変だと感じ始めたのは1歳を過ぎてからでした。平均的な時期に歩き始めたかーでしたが、よちよち歩きでどこまでも一人で行ってしまうような、ものすごく活発な男の子だったのです。買い物に連れて行き、ショッピングカートに乗せようとすると激しく拒否。一緒に歩きたがるので仕方なくカートから降ろすと、つないでいる私の手をさっと振りほどき、店内を走り回ります。幸い、私と触れ合っていると安心するのか、抱っこやおんぶは嫌がらない子だったので、買い物にはおんぶひもが必須でした。Upload By かし りりあ店内を走り回るという行動は、幼少期の長男りーにもありました。しかし、りーは自分が楽しいから走る(後ろを振り返らない)という様子だったのに対し、かーは「親が追いかけてくれる」のを期待して走っているように見えました。私がすぐに追いかけずに待ってみると、ピタっと止まって振り返り、私の表情を見ているように感じました。また、かーは手遊びやダンスが好きで、テレビの子ども向けの歌や私の手遊びを楽しそうに真似していました。りーも歌や手遊びが好きですが、自分でやるのではなく、人の歌やダンスを見聞きするほうが楽しいようでした。そういった点もりーとは違い、これも定型発達児の反応なのかな……と、私を迷わせることになります。1歳半まで発語なし……でも「指差し」が希望にUpload By かし りりあかーは1歳半になってもまだ言葉を話すことはありませんでしたが、少しずつ指差しをするようになっていました。この「指差しができる」ということは、私の中ではかなり大きなポイントでした。というのも、長男りーはなかなか指差しができず、1歳半健診で発達を見てもらった際にも、指差しができるようになると言葉の発達につながるということを聞いていたためです。かーは発語こそないものの、りーが1歳半の時にはできなかった指差しができていたので、話せないのは環境の影響か、個人差の範囲かなと考えていました。Upload By かし りりあ1歳半健診では要観察。しかしある日突然……!?そうして1歳半健診を迎えたのですが、その時点でもかーの言葉は出ていなかったので、経過を見ることになりました。しかしある日かーが……Upload By かし りりあ「マンマ」「ママ」と言い出したのです。ごはんの時や私と一緒にいる時に、まるで私に呼びかけているかのように言い続けたのです。うれしさのあまり、かーの経過を見てくれていた保健師さんには「言葉が出たのでこれからはもう大丈夫です!」と伝えました。早速私は「言葉が出る」「言葉が増える」という絵本や玩具を買い与え、かーの好きな手遊びや歌で言葉を引き出そうとしました。しかし、そこからかーの言葉が増えることはなかったのです……。かーのそれからについては、また別の機会に書いていこうと思います。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)発語がない場合、初めに否定しなければいけないのは難聴の有無です。先天性のものから中耳炎後の後天性のものまであります。正確にはABR(聴性脳幹反応)という検査で確認できます。難聴以外でも言葉の出方が奥手なお子さんはいます。表出性言語障害と言われており、集団に入ってから発語が増えていくのが特徴です。一般的には2歳までに単語が、3歳までに2語文が出ればいいとされています。難聴がないのであれば、早めに集団の中に入れてあげることもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月24日孫との同居で義父母は体調を崩したけれど。お年玉は高額、誕生日プレゼントも現金で⁉現在11歳の一卵性双生児の息子たちTとYは、2人ともASD(自閉スペクトラム症)です。Tは慎重派。嫌なことがあったり希望が通らない時は全部人のせい。自分の考えや言う通りにならないと貧血を起こすまで絶叫し続けて気絶するように眠っていました。最近急に成長して、分別ある行動がとれるようになりびっくりしています。Yは発言が一方的で、コミュニケーションに難があり。過集中で聴覚過敏があり、学校が騒々しすぎるとときどき行けなくなります。本人もコミュニケーションの難しさに最近気づき、イライラが募って勉強に支障が出たり、叫んだり、自傷行為が出てきたり、大変な時期になってきました。そんなわが家と同居を始めた義父母。発達障害がどういうものか知らない状態で、息子たちの言動の壮絶さを目の当たりにして、最初は体調を崩してしまいました。それでもASD(自閉スペクトラム症)について一生懸命に調べてくれ、今では子どもたちに愛情たっぷり。「優しくも厳しい祖父母」として接してくれています。でも、毎年子どもたちへのお年玉と誕生日のプレゼントとして渡される「現金1万円」に頭を抱えています。孫がかわいいのはありがたいのですが、両方合わせたら年に2万円……私としてはあげすぎだと思うんです……。「お金は使えば減る」って発達障害の子どもにどうやったら伝わる?Upload By ユーザー体験談子どもたちはお年玉をもらえば「わーい!お金!」と大はしゃぎ。さっそく「これでゲーム課金ができる!」と喜びます。ですが、私としてはそれをそのままスルーすることはできません。「お金は使えば減る」ことを理解できていない息子たち。そんな状態で大金を持たせるのは、教育上よくないのではと思うのです。毎年、私が預かって子どもたちの口座に貯金しているのですが、子どもたちから「あのお金、出して!」と何度もねだられる日々が始まります。「なんとかお金の教育をしなくては!」と覚悟を決めたのですが、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちと向き合いながらのお金教育は、決して簡単ではありませんでした。特性のある息子たちへのお金の教育!わが家の作戦5年生になってから「お金の教育」のためにいろいろな方法を試しました。「使えば減る」を見える化するために、家計簿のようなお小遣い帳を持たせました。なにかあったらその都度お小遣い帳へ書き込んでもらい、月末には手持ちの現金とすり合わせて支出を確認しています。お年玉が高額なため、毎月のお小遣いは300円にすることに。そして片付けへの意識、お金の使い道などについてじっくり考える時間を持たせたいとも考え、以下のようなルールを設けました。・ゴミ放置:大きさにかかわらず1つ10円徴収・本放置:1冊につき5円徴収・月に2回設けている「学校休める」権利を使わなかった場合:1日100円で買い取り・課金をしたい場合は、1日考えてそれでもするか考えた上で課金・お手伝いは無償:家族の一員として、家庭内の役割を担う意識を持ってもらいたいのでこれらのルールを通じて、慎重派のTは「使うと減る」ということを少しずつ理解し始めました。むしろ「減るのが嫌だから使わない」というケチ(?)の境地に到達。漫画を買うにしても自分のお金は使わず「あの漫画面白いんだよ、お父さんも読んでみてよ」と父におねだりをし親のお金で楽しむという高度なテクニックも身につけました。しかし、衝動性が強いYにはあまり響かず……。一度ハマると課金衝動が止まらない彼は、1日たっても1週間経っても「やっぱり課金したい!」と2千円もポンと課金。Tとの所持金差は1万5千円にもなってしまいました。そして先日は、ゲーム中に怒りが爆発し、タブレットを殴って破壊!手首を痛める事態に。そこで親が介入し、イライラを抑える方法を一緒に見つけられるまではタブレットを没収、課金も全て禁止としました。そしてYの所持金からタブレットを買うために1万円を徴収。それでも「ゲームやりたい!課金したい!」と言うY。まいってしまいました……。「課金したい!」が止まらない息子へのわが家の対策は?Upload By ユーザー体験談ゲーム、課金欲を抑えられないY。どうすればいいか頭を悩ませた結果、視覚優位の彼にとってグラフが有効ではと思い当たりました。それまでは「お金の減り」を視覚化するために出納帳を使っていましたが、見えるのは数字だけ。これにさらにグラフを導入することで分かりやすくなると思うのです。さっそくグラフ化を続けていますが、心なしか前よりは落ち着いてくれたような……。これからも継続していきたいと思います。発達障害のある息子たちに「お金」について伝えたい私自身、普段の買い物はほぼキャッシュレスで、現金に触れる機会も減ってきています。子どもたちは、もっと現金に触れることが少なくなっていくでしょう。「お金」という実態が昔よりも捉えづらくなっている今、特性のある息子たちが「お金」を学ぶハードルは高くなっているのかもしれません。それでもお金について学ぶことは、将来自立するためにも必要な力です。ファイナンシャルプランナーなどに相談して適切な金銭教育を模索しながら、根気強く向き合っていきたいと思います。そしてやはりお年玉や誕生祝いが現金1万円というのは我が家にとっては大きすぎると思うのです……。勇気を振り絞って「誕生祝いは図書カードにしていただけませんか?」とお願いしようと思っています。正直、気まずさもあります。でも、子どもたちの成長のためには必要なステップだと信じています。イラスト/志士ノまるエピソード提供/tom(監修:室伏先生より)お子さんへの金銭教育について共有くださり、ありがとうございます。お小遣い帳の導入とグラフによる視覚化、お小遣い制度とそれに伴うルール作りなど、具体的に共有してくださって参考にしたい保護者の方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。さまざまな工夫をされて根気強く向き合われるご家族のお姿、とても素晴らしいです。ゲームの課金は特に現物として物が増えるわけではないので、大人でもお金を使った実感がしにくいこともあり、制限が余計に難しいかもしれませんね。また、キャッシュレスの生活が中心となり、家族が意識的に伝えていかなければ、普段実際に手にしているもの、食べているものの値段を経験する機械が減ってしまっているかもしれませんね。現金でのお小遣いは、金銭感覚を育てるという意味でとても有意義なものだと思います。さらに、自分が欲しいものだけでなく、生活に必要なものの金銭感覚を身につけたり、やりくりすることを身につけるための方法として、お買い物をお願いするというのも有効な一つの手段かもしれません。例えば、これとこれを買ってお会計して残った分はお小遣いにする、買い物の内容をみて合計金額を当てるゲームのようにして楽しむ、などです(年齢や特性によって工夫が必要かもしれません)。私たちも、特性のあるお子さんへの金銭教育について、考えていきますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月23日大学院生の兄と自宅学習中の妹わが家のASD(自閉スペクトラム症)きょうだい、お兄ちゃんのタケルは修士課程の2年生です。朝早くフィールドワークに出かけ、昼頃には帰宅します。授業がある日は午後から大学に行くこともありますが、家が近いこともあって授業が終わればすぐに帰宅し、データ入力や分析を繰り返しています。妹のいっちゃんは通信制高校の3年生。睡眠障害があるため起床時間が不規則ですが、勉強も趣味のゲームも自宅でできるため、外出する機会は少なめです。ただし、習い事に通ったり私の買い物に同行したりすることもあるので、「外に出たくない」というわけではなく、「暇だから街に出かける」という発想がないだけのようです。そんな二人は、必然的に家に同時にいることが多くなります。Upload By 寺島ヒロそれは遊びなのか?お兄ちゃんの「カテキョごっこ」よく見かける二人の「遊び」は、いっちゃんがタケルに何かを教えてもらう場面です。内容は数学や漢字などの勉強に限らず、役に立たないけれど面白い雑学が多いです。こうした雑学こそ、子どもたちにとっては楽しいようです。Upload By 寺島ヒロタケルの話し方には、ASD特有の早口や長いセンテンスという特徴がありますが、同じASDのいっちゃんはそれを気にせず、身振り手振りを交えて楽しそうに聞いています。「私は説を言います」きょうだいで検証タケルが話題を振ることもあります。それはたいてい「私は説を言います」という言葉で始まります。もちろん、取り立てて大きな「説」ではないのですが……。Upload By 寺島ヒロいっちゃんは兄の考えたネタを手早く画像や音楽に落とし込み、それをタケルが自身のSNSの掲示板に投稿することもあります。その反応やコメントを二人で楽しむのが日常です。スポーツやショッピングも嫌いじゃないけれど…二人が言葉や表現で「遊び」を生み出すようになった背景には、漫画やゲーム、インターネット動画の影響が大きいと思います。特に、科学的な考察や検証をテーマにした自然系動画はきょうだいの普段の口調や興味に大きな影響を与えています。友だちとスポーツをしたり、街に出かけて刺激を受けたりすることがなくて大丈夫なのか、と心配されることもありますが、ASD特有の事情があります。たとえば、「友だちと時間を合わせて定期的に練習するのが難しい」「感覚過敏のため街に出るのは控えたい」といった理由です。その結果、「そもそもそこまでスポーツやショッピングに興味がないので頑張りたくない」という結論に至るようです。家の中に閉じこもっているだけに見える二人ですが、それぞれの視点で世界を捉え、独自の楽しみを見つけています。私はその様子を見ながら、わが家が「ゆりかご」となり、何か大きなものが育っていくといいなあと期待しているのです。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)ごきょうだいの関係性やご自宅での過ごし方について、詳しく共有くださりありがとうございました。きょうだいは、小さい頃は一緒に遊んでいても、年齢が離れるごとにコミュニケーションが減っていってしまいがちですが、今でもとても素敵な関係性を維持されているのですね!お互いに得意なことを持ち寄って、お二人で素晴らしい世界を育てている姿に感銘を受けました。家庭の内外にかかわらず、強く信頼で結ばれていて、一緒に楽しむことのできる人間関係を持っていることは、これから生きていく上で大きな強みになりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月22日「こども園に行きたくない」にショック!フルタイム勤務を辞めた私特別支援学級に通う7歳の息子がいます。医療機関での診断はまだ受けていませんが、3歳で受けた発達検査の結果などを見ると、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がそれぞれあるような気がしています。私は、息子が生まれる前からフルタイムで働いていましたが、息子がこども園の年中になった頃、発達特性が目立ってきて、登園をぐずるようになったことに伴い、働き方をフリーランスに変えました。目立ってきたのは「不器用さ」と「認知のゆがみによるネガティブ思考」です。息子が年中さんになったあたりから、周囲の子たちに比べて不器用さが目立ってきました。教室に飾ってあるお絵かきや塗り絵が飛び抜けて拙かったのを覚えています。縄跳びは今もできませんし、ボール遊びも苦手でした。息子は自分でもそれが分かるみたいで、「下手だからやりたくない」という発言が増えていました。また、この頃から被害妄想的な発言、「○○くんが僕のこと笑ってる。僕のことをバカにしてる!」などと主張することが増えたのです。ですが、園への送迎の時に友だちとのやり取りを見ていても、先生から園での様子を聞いても、そのような事実はなく、何やら本人が誤解しているという感じでした。Upload By ユーザー体験談そして息子は「こども園に行きたくない」と言うようになりました。これまでにはそんなことはまったくなく、楽しそうに登園していたので、少なからずショックでした。何となくの直感なのですが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない。息子が今抱えているしんどさに気づかないふりをして無理にこれまで通りのペースを保とうとすると、あとで余計にこじれるのでは」という気がしたのです。持ち帰り仕事で私が深夜に作業していることも、息子への対応で苦慮していることも夫は心配してくれていたので、「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と言っても、特に反対はありませんでした。Upload By ユーザー体験談児童発達支援、宿題対応……フリーランスになって受けた恩恵時間調整がしやすい働き方に切り替えたことで、就学準備や息子のケアに充てられる時間が確保でき、平日昼間の児童発達支援利用もできるようになったので、息子の不安定さは目に見えて落ち着きました。現在息子は小学校1年生で、知的障害特別支援学級に在籍していますが、担任の先生やお友だち達にも恵まれ、心理的安全性を確保しながら過ごせているためか、勉強も意欲的に取り組めていて、いい感じに子育てできていると思います。今息子が苦戦しているのは「宿題」です。1問解くのに時間がかかっているのですが、問題が分からないというよりは宿題に取り掛かるための気持ち作りに時間がかかっている印象です。息子は私が隣にいることで宿題への負担が軽減されているようなので、私は「待つ」姿勢に徹して一緒に宿題を見ています。宿題を見る時間をじっくり取れるのも、時間に比較的融通がきくフリーランスだったからかなと思います。その結果、時間がかかりますが、息子は「宿題しんどいな~」と言いながらも必ず最後まで取り組むことができています。授業参観などでは先生の質問に積極的に発言し、担任の先生からも「授業に楽しんで参加できていますよ。朝のスピーチなども自分から進んでやってくれるし、とてもいい状態です!」とのお言葉。年中時代のネガティブ&無気力な姿を見ていただけに、その言葉がとても嬉しかったです。Upload By ユーザー体験談いいことばかりじゃない⁉経済的な不安しかし、その代償と言いますか、今、私の貯金が大大大ピンチです。仕事に充てられる時間が激減したため、今は会社員時代の貯金を取り崩している状態です。夫婦の生活費はほぼ折半ですが、私が育児にかける時間が多いため、負担割合は「夫6:私4」としています。それでも、貯金が底をつくのは時間の問題です。今後の働き方を再検討しなければなりません。Upload By ユーザー体験談子どもが生まれる前、夫に代わって私が生活を支えていた時代があったので、夫は私に「働き方を変えて、もっとしっかり稼いで」とは言いにくいんじゃないかと思います。とはいえ、「休みの日は、もっと俺が息子を見るわ。息子の送迎とかも、できる限り協力するし」と言われるので、私にもうちょっと働いてほしいと思っているのかな~とも感じています。今は、息子の登校に付き添いをしていたり、平日の午後に、送迎が必要な個別療育の放課後等デイサービスに通っています。まとまった収入を得やすい週5の時短勤務や、フルタイムなどの働き方にシフトすると、おそらくこれらを続けることは難しく、こだわりの強い息子を説得するのは大変だろうなぁ……と悩みは尽きません。あと、転職適齢期を大幅に過ぎた自分が、どこで働くかという問題もありますよね(汗)。母子分離不安がある息子。障害者手帳の取得も視野に入れてさらに、働きかたを変えていくための第一歩は、息子の「母子分離不安」を軽減することです。息子は「6年生になるまで一緒に登校して!」と言うほど、私への依存が強い状態。どうしたらいいか考えていたのですが、今後障害者手帳の取得に向けて、児童精神科を受診しようと思っています。これまでは特に必要性を感じる場面がなかったので手帳の取得を検討していなかったのですが、手帳取得によってなにか現状が変わればいいな、との思いからです。手帳取得によって手当が得られるわけではないことは知っていますが、収入を増やすことと支出を減らすことについて、いろいろな角度から考え続けたいと思っています。エピソード参考/苗イラスト/keiko(監修:室伏先生より)息子さんの特性や、お母様のお仕事についての悩みなど詳しく共有くださり、ありがとうございました。フルタイムからフリーランスでのお仕事に変更される時には、大きなご不安やさまざまな葛藤があったことと思いますが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない」と息子さんに全力で向き合われてきたお姿、とてもかっこいいなと思いました。発達障害のあるお子さんへの経済的な支援の一つに、特別児童扶養手当があります。特性はあるものの生活への支障がそれほど強くないお子さんや、知的障害(知的発達症)の軽いお子さんでは手当を受けるのが難しい場合が多いですが、生活に一定程度以上の困難さを伴う場合には手当を受けることができます。児童精神科の受診には、手帳の取得や、手当に関する相談以外にも、医師、医療スタッフによる問診、お子さんの観察、発達・知能検査などを通して、ご本人の特性の理解を深めたり、その子に合った支援の方法を一緒に考えることができるというメリットもあります。息子さんとお母さまが共に安心して過ごせる道が見つかりますことを、私もお祈りしております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月21日先生の得意分野もさまざま……学校での支援、どう連携していくと良い?学校の先生の中でも、その先生の得意分野やサポートが必要なお子さんへの支援経験などはさまざまです。場合によっては、わが子の担任の先生について、「困っていることをなかなか理解してもらえない」「対応方法がうちの子に合っていない気がする」といったように感じることもあるかもしれません。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。特別支援教育自体が全然わかっていない先生が担任になってしまい不安です。中度の自閉症でADHDの中3の息子は、支援級の情緒学級です。息子の担任のA先生についてなのですが、あまり発達障害の知識がなくて、子どもたちが言うことをきかないと、たびたび怒鳴ります。普段は優しく穏やかなのですが、怒ると別人で、かなり怖いです。普通学級ならそれでも良かったのかもしれないですが、支援学級では、もう少し別の指導もできるのではないかと感じていました。小学一年生の母ですが、支援学級の先生との話が噛み合わなくて悩んでます。子どもが何となく家で言っていることで、親として少しSOSを出していると思われる事があるのに先生は例えで話としかとらえてくれなくかったり、お友だちから隠れて叩かれたり蹴られたり等している事については、お母さんの見たことではなく子どもの意見はどうなんですかと言われ嫌がっていると答えるとそれはお母さんの感じていることではと言われます。今回は、学校と連携していくときのコツについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。経験の浅い先生に特別支援の専門性を高めてほしい……効果的な支援のための伝え方は?A:支援の経験が少ない先生の場合には、具体的に要望を伝えると良いかもしれません。例えば、「去年こういう支援がうまくいったので、今年も最初のうちはお願いできますか?」というように、具体的な対応方法や手立てを提案しながら相談すると良いでしょう。また家庭で使用しているスケジュールなど、教材をお渡しするのも1つの方法です。まずはお子さんが今何に困っているか、現状についての認識を先生とすり合わせます。その上で「口頭だけでなく、昨年使ったカードを今年も使っていただけますか?そのほうが、子どもも見返せるので自分でできると思います」など、できるだけ具体的な対応を相談してみると、先生も対応しやすいかもしれません。またお子さんの特性を共通理解しやすくするためのツールを活用するという方法もあります。その1つとして、LITALICO発達特性検査があります。LITALICO発達特性検査はお子さまの特性について、背景要因と支援のアイディアがカテゴリごとに得られるものです。印刷して学校と共有することで、個別の教育支援計画の参考にしていただいたり、話し合いのときに活用したりすることができます。担任の先生と保護者とでお話をするだけではなかなか支援が進まない、理解が得られないなどの場合、特別支援学級のほかの先生や主任教員、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなどを入れた複数のチームで相談を進めてもらうという方法もあります。学校での配慮や支援は、その学校や教室の物理的環境や人的資源によっても変わってきます。チーム体制で話し合うことで、お子さんを取り巻く環境の中での実行可能な手立てが見つかりやすくなるかもしれません。Upload By 発達障害のキホンまとめ:学校での支援事例を参考にしてみよう保護者が学校での支援についていろいろな事例を知ることも、わが子に合う支援を見つけていくことに役立つかもしれません。国立特別支援教育総合研究所による支援例なども参考にしてみても良いでしょう。◇参考:指導・支援|国立特別支援教育総合研究所・発達障害教育推進センター(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月20日「受験生の親としてどうしたらいいですか?」Upload By 丸山さとこ息子のコウは、現在高校受験生です。中学1~3年の頭まで家庭学習は主にタブレットで行っていましたが、2年生の夏期講習と冬期講習をきっかけに3年生からは塾に通うようになりました。講習や体験授業を経て選んだ今の塾にコウは満足しているそうです。「今日は相似をやったよ~」「休憩中に自分が考えたゴロ合わせを出しあって盛り上がった」と塾であったことを帰りの車中で楽しそうに話してくれたりします。そんな現在の塾に入塾して間もない頃、塾長先生と電話でお話しする機会がありました。「ご質問はありますか?」と聞かれ「受験生の親としてしたほうがいいことや、しないほうがいいことはありますか?」と伺うと、先生は意外なことを教えてくださいました。アドバイスを求めた私への、先生からの意外な言葉は?アドバイスを求めた私は「口うるさく言わない」とか「過去問をあまり早くに解かせない」などの定番の言葉を想定していたのですが、先生からのアドバイスは「お子さんの味方でいてあげてください」というものでした。Upload By 丸山さとこ「これから受験生として頑張っていく中で、コウ君は学校の先生や塾講師など周囲の大人たちから『こんな成績ではダメだ』『ここができていない状態では志望校は受からない』などと否定的なことをたくさん言われると思います」「そんな風に周りからは厳しいダメ出しが増えてしまうからこそ、保護者の方は『応援してるよ』と肯定的に伝えて、味方でいてあげてください」そう先生がおっしゃるのを聞いて、私は目から鱗が落ちるようでした。「そうか……周囲から現実的で否定的なアドバイスが続く中、肯定的な味方でいられるのはその子の親なんだ!」と深く納得しました。Upload By 丸山さとこそうして、私は彼に対して否定的なことを言わないようにし、常に味方であるよう努めることにしました……となるわけもなく、私は相変わらず毎日コウに口やかましく小言を降らせています。それでも、意識の片隅に『味方でいてあげてください』が残っていることで、『追撃の手を緩めて応援するスタンスを示そう』という考えを持ちやすくなっていると感じます。「勉強しないなら志望校を変えなさい。嫌なら勉強しなさい」ではなく、「志望校変えるか勉強するかどっちかにしようよー。受かりたい?じゃぁ頑張ろう」と言えるのは、『彼の志望を応援することが大事なのだ』という意識のおかげです。Upload By 丸山さとこ祖母からも「受験生の空気がないねぇ」と言われるほどノンビリムードのコウですが、最近は彼なりに頑張っているのが見て取れます。以前は受験勉強が嫌になると「志望校変えようかな?」と迷うこともあったコウですが、3年生の2学期に入ってからは「志望校合格のために頑張る」と言うようになりました。模試では第一志望校がB判定のため「あと少し頑張れば受かる可能性があるのに」とヤキモキしてしまう私ですが、2学期が終わろうとしている今、一周回って「やるかやらないかも含めて現在のコウの実力だからな~」と良い意味で(?)諦めが生まれています。焦る時も諦める時も、『応援しているよ』の気持ちを第一にコウの受験を見守っていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)受験生の親の心構えとして大事な視点を教えていただきありがとうございます。塾の先生のアドバイス、「お子さんの味方でいてあげてください」というのはとてもいい言葉ですね。受験に関しては、誰かがシビアな情報を提示することが必要になります。でもそういうことは学校の先生や塾の先生など受験について詳しい外部のプロに任せることが大事です。どうせ親の言うことなど聞きません。現在の成績から予想される志望校の合格可能性の提示や、勉強の仕方のアドバイスなどは外部に任せるのがいいでしょう。任せられる相性の良い塾の先生に出会えたことはラッキーだと思います。受験勉強の期間は、シビアな現実に直面したり、思うようにいかなかったりすることがあるものです。そんな時に、どんなあなたも応援しているよという姿勢で、安心できる家庭環境を提供することが保護者にできるいちばん大事なことかもしれません。受験真っただ中にダラダラしている様子に見えると、小言を言いたくなる時もありますが、丸山さんが記事の中に書かれていた「やるかやらないかも含めて現在の実力」というスタンスで、本人丸ごとを応援して、一番の味方でいてもらえるといいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年01月20日不登校、行き渋りとは?160人以上が回答!読者アンケート結果や令和5年度の統計結果など不登校とは、心理的な問題や人間関係など、病気や経済的な理由以外で年間30日以上の欠席があり、学校に行けない状態のことを指します。不登校の原因は一人ひとり異なり、さまざまなタイプが考えられます。早期の介入と適切な支援が重要です。行き渋りとは、学校に行きたがらない、または登校に時間がかかる状態のことです。毎日登校していても、本心としては「学校に行きたくない」「学校がつらい」などと感じており、新しい環境への適応の難しさ、人間関係の悩み、学習の遅れなどが原因として考えられます。お子さんの様子をよく観察し、何がつらいのかを一緒に探ることが大切です。Upload By 発達障害のキホン子どもに不登校がある…約25%子どもに行き渋りがある…約31%子どもに不登校があった…約7%子どもに行き渋りがあった…約17%不登校も行き渋りも特にない…約19%※2024年12月16日時点の結果です発達ナビ利用者の皆さんへのアンケートの結果は、「子どもに行き渋りがある」が約31%で、次いで、「子どもに不登校がある」(※発達ナビ利用者へのアンケートのため、年間30日以上の定義を満たしてない可能性もあります)の約25%と続きました。過去に不登校、行き渋りがあった人数も含めると、約8割近くの方が不登校や行き渋りに悩まれているという結果になりました。不登校、行き渋りは発達に特性があるお子さんにとっては身近にある大きな悩みと言えそうです。「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(文部科学省)によると小・中学校における不登校児童生徒数は346,482人(前年度299,048人)であり、11年連続増加し、過去最多となりました。増加の背景としては、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」など児童生徒の休養の必要性を明示した法律が浸透し、保護者の学校に対する意識の変化などがあげられます。また、引き続きコロナ禍の影響なども考えられます。しかし、特別な配慮を必要とする児童生徒に対しての早期からの適切な指導や必要な支援にもまだまだ課題があると言われています。参考:令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省小学校からの行き渋り・不登校は中学進学後も続き……試行錯誤の結果は【発達ナビ読者体験談】Upload By 発達障害のキホン小3の頃の担任の先生の対応がきっかけで行き渋りが始まったASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。その後発達障害をクラスメイトにからかわれるようになり不登校に。中学に進学後も行き渋り、不登校は続いていましたが中学生になった息子さんには小学校の頃とは違う「ある思い」があり……。不登校や行き渋りのさまざまな原因、背景要因、保護者の方も心配されるところです。どのように息子さんが乗り越えたのか……気になった方も多かったようです。不登校からの進学先は?学びの多様化学校(不登校特例校)やフリースクール、通信制高校などさまざまな学びの場所出席日数と内申点に重点を置いている高校などでは受験が難しくなる場合もあります。 ただ、それらを重視しない高校や、不登校でも通いやすいさまざまな高校があります。例えば通信制高校、フリースクール、学びの多様化学校などです。単位制ではない高校の場合、各科目ごとの出席日数が重視されるので、3年間通えるかも考えて親子で相談しながら進路を選ぶことが重要です。通信制高校とは、インターネットやテレビなどの通信手段によって教育を行う高校です。学校教育法第4条において、通信制課程は「通信による教育を行う課程」とされています。さらに、通信制課程における教育の方法等については、「高等学校通信教育規定」に定められています。自分のペースで学ぶことができることが特徴の通信教育。近年では学習時間や時期、方法などを自ら選択してスタートラインも目指すゴールも異なる多様な生徒に対して教育機会を提供しています。参考:高等学校通信教育の現状について|文部科学省フリースクールは法や制度などによって定められた学校でないため、その定義はさまざまです。文部科学省では「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」と示しています。フリースクールは国からの助成金などはないですが、自治体からの助成金がある場合もあります。例えば東京都では小・中学生1人につき月額最大2万円の助成金が適用されます。※利用料が月2万円を下回っている場合は、利用料と同額となります。自治体によって助成の有無や内容は違うので一度問い合わせをしてみましょう。参考:フリースクール・不登校に対する取組|文部科学省参考:利用者向け東京都フリースクール等利用者支援事業を開始フリースクール等の利用料を助成します!|東京都学びの多様化学校(不登校特例校)とは、不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校です。不登校児童生徒の学習状況に合わせた少人数指導や、勉強の進み具合によって指導方法を変えるなど一人ひとりの生徒に合わせた支援を行います。また、学校外での学習プログラムの積極的な活用など工夫されたプログラムが組まれている学校が多く見られます。学びの多様化学校(不登校特例校)は、一般の学校と同様に卒業資格や、大学や専門学校等の進学資格を得られるなどのメリットもあります。令和6年度現在、学校数は35校となっています(公立学校:21校、私立学校:14校)。参考:不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要参考:学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧|文部科学省専門家が解説!発達障害と不登校、行き渋りは関連あるの?対策や支援の方法などもQ:子どもの発達障害と不登校や行き渋りに関連はあるのでしょうか?A:かならずしもそのような訳ではありませんが、発達障害のない子どもと比較してそのようなリスクは高いと言えます。ASD(自閉スぺクラム症)の子どもは社会性(対人関係)やコミュニケーションに苦手さがあったり、こだわりが強いなどの特性があることが多いと言われています。それらの特性から友だち関係がうまくいかない・環境に慣れないなどのトラブルやストレスが生じ、行き渋りや不登校のきっかけになる場合もあるとされています。Upload By 発達障害のキホンQ:不登校や行き渋り、保護者のできる対策や支援の方法が知りたいですA:不登校に関してはできるだけ早期の対応をすることが重要です。登校したくない・休みたいなどの言葉が増える、朝起きない、食事や着替えに時間がかかる、学校を出る時間が遅れる、遅刻早退が増える、保健室で休む時間が多くなる、休み時間に孤立するなど兆候が見られた場合は何か学校でしんどいことがあるのかな、など本人のしんどさについて話を聞くことが大切です。学校に行くように指示するだけではなく、本人の視点に立ってその気持ちを理解し、学校場面の環境調整や合理的配慮を進めていくことが大切です。Upload By 発達障害のキホン不登校・行き渋り関連コラムはこちらから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月19日相模女子大学「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」2024成果報告会が2月1日(土)に開催Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース神奈川県の相模女子大学では、相模原市と共に、文部科学省委託事業の一環として発達障害や知的障害のある若者を対象としたインクルーシブな生涯学習プログラム(「インクルーシブ・プログラム」)の開発を行ってきました。4年目となる2024年度の成果について、当事者や在校生が中心となり、企画・運営した実践内容、メンバー同士で議論したプログラムの意義などを発表します。また、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の梅永雄二先生によるオープニング講演や、発達ナビの記事監修やセミナー登壇されている相模女子大学人間心理学科教授の日戸由刈先生による本事業のねらいについてなど、第一線で活躍されている専門家のお話も聞くことができます。障害の有無にかかわらず、誰もが生涯を通じて学びを続け、人生をより豊かなものとするために、大学がどのような取り組みを行っているのか知ることのできる貴重な機会です。ご興味のある方はぜひ聴講してみてはいかがでしょうか。【詳細】イベント名:さがみはら・学ぶ楽しみ発見プログラム(インクルーシブ・プログラム開発事業)2024成果報告会「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」日時:2025年2月1日(土)13:00~16:00(12:30より入室可能)場所:相模女子大学7号館711教室または、オンライン※どちらかを選択申込方法:専用フォームより申し込み※お申し込みの方には、2025年1月末日を目途に、会場でご参加の方には会場案内を、オンラインでご参加の場合にはZoomのURLが運営側から共有されます。申込締め切り:2025年1月24日(金)※定員500名(会場100名、オンライン400名)定員に達した時点で締め切り※ZoomおよびZoom(ロゴ)は、Zoom Video Communications, Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。※クリックすると、発達ナビWebサイトから相模女子大学の『さがみはら・学ぶ楽しみ発見プログラム(インクルーシブ・プログラム開発事業)2024成果報告会「大学で、みんなが楽しく学べる生涯学習プログラムの探究」』申込フォームに遷移します。診療待機期間の短縮へ!ファストドクター「小児発達オンライン」サービス提供開始Upload By 発達ナビニュース子どもの発達が気になった時、児童精神科などの専門医療機関を受診したいと思っても、予約の電話がなかなかつながらない、ようやく予約ができても診察は数か月先、そもそも近くに専門の医療機関がほとんどない……といった方も多いのではないでしょうか。そのような課題を解決するため、ファストドクター株式会社は、提携医療機関の専門医の協力のもと、オンラインでの相談・診断が可能なサービス「小児発達オンライン」の提供を2024年12月2日より開始しました。本サービスでは、発達障害が疑われる、またはすでに診断を受けたものの、専門医療機関への受診が難しい3歳から18歳までの子どもを対象として、オンラインでの重症度判定(トリアージ)と初期治療、必要に応じて地域の医療機関で対面診療を受けられる支援を行います。また、公認心理師や臨床心理士に相談できるオンラインカウンセリングの関連サービスで、心理検査や個別支援を受けることも可能とのことです。場所や時間といったさまざまな制約で、専門医の受診をあきらめていた方も、早期に必要な支援へつながることができる本サービス。自宅からいつでも発達の悩みを専門医に相談できる……そんなことが当たり前になる日も近いかもしれませんね!※クリックすると、発達ナビWebサイトからファストドクター株式会社『小児発達オンライン』Webサイトに遷移します。ラッピングバスも走行中!JR東海グループ、障害者アーティストのアール・ブリュット作品を採用Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース「生(き)の芸術」を意味するフランス語である 「アール・ブリュット」。その解釈はさまざまですが、「専門的な美術教育を受けていない人による、既存の作品や文化、流行などに左右されない芸術表現」とも言われます。JR東海グループでは、多様性のある社会の実現を応援すべく、国内で活躍する障害者アーティストのアール・ブリュット作品を、各グループ会社のサービスやプロダクトなどで採用してきました。アーティストの作品採用に関しては、JR東海の特例子会社であり、共働共生を理念に掲げる株式会社ジェイアール東海ウェルがコーディネーターを務めています。JR東海グループの一つであるジェイアール東海バス株式会社では、2025年4月8日まで、1台の高速バスに東海地区で活躍する障害者アーティストの作品をラッピングし、各地を走行する取り組みを行っています。また、JR東海バスのグッズのデザインにもアール・ブリュット作品を取り入れ、JR東海公式通販Webサイト「JR東海MARKET」内にある同社のオンラインショップ「JR東海バス部」やイベントなどで販売しているとのことです。障害者アーティストの活躍の場がますます広がる本取り組みによって、街中で作品を目にする機会も増えていきそうですね。※クリックすると、発達ナビのWebサイトから株式会社ジェイアール東海ウェルのWebサイト『JR東海グループにおけるアール・ブリュット作品の採用について』のページに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2025年01月18日高級ウールのニットが着られず母に叱られていた幼稚園〜小学校時代当時は自覚もなく、誰も知らなかったものの、小さな頃から感覚過敏のあった私。着る服には苦労しました。秋冬になると特に、暖かい獣毛でできたニットなどの服が増え、これらが私にはチクチクするのでしんどかったのです。祖母が質のいいウールの毛糸を使い、素敵なセーターなど編んでくれるのですが、これがどう着てもチクチクする。特に、祖母が腕をふるって編んだ模様編みのところなど、デコボコ部分のゴロゴロした感じもあいまって、本当につらいのです。チクチクしてしんどい、と訴えても、当時は誰も感覚過敏などという言葉は知りません。「高級なウールを使っているのに。おばあちゃんが愛情込めて編んでくれたのに、あんたはなんてワガママなの」と母に叱られ、無理に頑張って着ていましたが、首などの皮膚は真っ赤になってしまい、学校が終わる頃には不快刺激に耐え続けたことでぐったり疲れ切ってしまうほどでした。周りとは体感気温の感じ方が違いすぎてつらかった中高校時代中高になると、もともとの自律神経の不安定さに加え、二次障害での自律神経の乱れも加わったのか、まだティーンなのに更年期? と思うほどのひどい冷えのぼせを感じるように。夕方、教室に西日が入ってくる時間帯など、クラスの私以外みんながセーターを着込んでいるのに私は顔を真っ赤にしてブラウス1枚になり、ブラウスの腕をまくりあげ、ネクタイをゆるめて下敷きで顔をあおいだりしていました。それで手足は氷のように冷たいという……。通学電車でも、車内が暑くてクラクラしてくるほどで、コートを脱ぎジャケットを脱ぎセーターを脱ぎ……という感じでした。今でこそ、自分には自律神経の問題があったのだろうと推測することができますが、当時はともかく漠然と「自分がだらしないからだ。みんなこういうのを顔色にも出さないように我慢してるんだ。それに比べて私は……」と思っていました泣制服のセーター、ブレザー、コートにはウールが使われており、これらはやはりチクチクしました。ウールなんてみんながチクチクするものだろうと思っていたので、みんな文句も言わず我慢して着ていて偉いなあ、などと思っていたものです。大人になっても、不快なものを我慢して着ていた大人になっても、自分が何が着られて何がダメなのかが分かっていませんでした。というか、「世間の皆さんはたとえしんどくてもお洒落とかのために我慢して着るという強靭な精神を持っているのだ」と思い込んでいたのです。このため長いこと、のぼせやすいし首が痒くなりやすいからタートルネックは鬼門なのに頑張ってタートルネックを着たり、高級なウールなんだからこれぐらいはみんな耐えてるんだと思ってやはり首を真っ赤にしたりしながらウールのセーターを着たりしていました。長袖Tシャツの重ね着が流行れば、ゴソゴソして嫌なのに頑張って着てみたり、重たいし立ったり座ったりのときにもたついてしんどいロングコートを一生懸命着てみたり。30代後半、ついに化学繊維のニットが心地よいと気づく30代になってようやく自分のASD(自閉スペクトラム症)を自覚した私。同時に自分の感覚過敏にも気づきました。それで、タートルネックを避ける、ゴワゴワした素材のものを避ける、重たいものも避けるなど工夫を重ねていきましたが、「快適に着られるニットが見つからない問題」には引き続き頭を悩ませていました。しかしある日、私はついに「化学繊維で作られたニットは実は獣毛よりも肌が敏感な人に向いている可能性がある」という情報を目にします。確か発達障害関連の英語の記事がソースだったと思います。なんでも、ウールなどの獣毛は、高級かどうかにかかわらず意外と繊維が太くて刺激が強いことがあるのだそうです。化学繊維は獣毛よりも細くて柔らかく、かつ強いものが非常に安価に作れる。けれど獣毛の場合、化学繊維並みに繊維の細いものとなると極端に脆くて高価なものになってしまう。結果的に「ウールだとチクチクする人が、快適に着られるニットを選ぶ場合、化学繊維で作られたものを選ぶと着られることが多い」ということになるようです。それで、試しに原材料に「毛」と書かれていないニットを探して着てみたら……チクチクしない! 感激しました。個人的な感想としては、アクリルは膨らみ感があって温かく、ナイロンは滑らか、レーヨンはテロテロとして気持ちよく吸湿放散性もあるので蒸れずに快適、といった感じです。「私の定番」を見つけていく化学繊維のニットはともかくチクチクしないので、「とりあえず着られる」のが最大の利点です。次に、安価なのが魅力。ただもちろんデメリットもあります。だいたいの化学繊維は帯電しやすい、蒸れやすい。それから、獣毛と比べて暖かさや素材感に劣る、少しでも高級志向のブランドやラインになるとそもそも獣毛の入っていないニットの取り扱い自体がない、といった点があるかな。それでも、「獣毛のほうがチクチクする場合がある」という情報は、私の秋冬の服選びを劇的に変えました。トップスはアクリルなどの化学繊維のニットにするか、綿のブラウスやカットソーなどの下に暖かく感触のよいババシャツを着る。ボトムスは通年素材のものの下に厚手のなめらかなタイツやレギンスを重ねる。どうしても獣毛入りのものを着たいときはジャケットなどにして、襟元の首に触れるところに不織布テープを貼ってガードする。冬のアウターは、しっかり暖かい、機能性に優れた薄手のダウンジャケットに落ち着きました。軽い、フィットしてかさばらない、下に薄手のニット1枚でも暖かい。かといって歩いていて汗をかいてきても蒸れなくて快適、ストレッチがきいていて楽。もうフェルトとかのロングコートには戻れません。着られるものを、着たいように着ていきたい本当に、服はしんどいものを我慢して着る必要ないと思います。自分の素材に対する反応をよく吟味してみて、自分が何がダメなのかわかったら、あとは自分を責めることなく、そのダメな要素をいかにして避けられるかを考えて服選びをすればいい。そう思えるようになって、私はとても楽になりました。宇樹義子/文(監修・鈴木先生より)感覚過敏のあるASDの方にとって、チクチクや静電気はつらいものです。自分に合った服を着るのが一番です。同じメーカーで同じ素材の服を好んで着る方も大勢います。学校の制服が嫌な方もいます。男性だと詰襟が嫌でブレザーの学校へ転校した方もいます。女性でもジャージーが好きで卒業アルバムもジャージー姿で写った方もいます。最近私の外来ではASDの方に自律神経失調症(起立性調節障害)を併存している方を多くみかけます。天候にも左右されやすく、特に季節の変わり目が苦手で調子をくずす方が多いです。今回の「私」のような方は決して珍しくないのです。ただ、神経発達症を診断できる医師が少ないので、30代以降の大人になってようやくASDやADHDを自覚する方が増えています。神経発達症の症状は子どもの時からあるので、「大人になってしまった神経発達症」なのです。そのような方々には、さまざまな問題を解決し、今後の人生をより生きやすくするためにも一度神経発達症を専門にしているクリニックに出向いて相談することをお勧めいたします。きっと生きやすくなるヒントが見つかるはずです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月18日ずっと頭の片隅にあった「就学先選び」2歳10か月でASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)の診断がついたまゆみも年長さんとなり、わが家も避けては通れない決断の時期を迎えました。そう、就学先の選定です。「いずれこの子の人生の岐路を私が選ぶ時が来る」という思いは診断がついた頃からずっと頭にありましたが、具体的に就学に向けた情報収集を始めたのはまゆみが4歳になる頃でした。少し早めに動いた理由は、居住地における情報を得ることが何よりも重要だと思ったからです。インターネットで得た情報も無駄にはなりませんが、福祉に関しては地域差が大きいため、あくまで参考という位置づけです。Upload By にれこれらのことを正確に知ろうと市の発達支援室に就学相談を申し込むと、「年少児の年齢で就学相談に来た人は初めてです」と驚かれてしまいました。私自身は、早いうちから地域の事情を確認したのはじっくり考えるために正解だったと思っています(ただし私の住む地域の場合、学校見学に行けるのは年長になってからでした)。最初の就学相談から約2年、まゆみの成長と発達にいろんな涙をこぼしながら、頭の中には常に「特別支援学校か、特別支援学級か」の選択肢が浮かんでいました。どちらかを希望しているわけではなく、あくまで「まゆみにとって一番いい場所を探したい」という思いだけで、「やっぱり特別支援学校が安心かな」「特別支援学級の方が本人は喜ぶかも……?」と、日によって気持ちは揺れ動いていました。そして遂に、本腰を入れて考える時期がやってきたのです。いよいよ本格リサーチを開始!まずは特別支援学校から年長の春。最初に見学へ向かったのは特別支援学校でした。住んでいる自治体には施設がないため、特別支援学校を選ぶなら隣の自治体にある特別支援学校へバス通学することになります。理由は後述しますが、この頃には親の目から見ても「就学先を特別支援学級にした場合も、おそらく1~2年後には特別支援学校へ転校することになるだろう」と考えるようになっていたため、まゆみの手を握りながら「時期をいつにするかだけで、いずれこの子もここに通うんだなぁ」とドキドキしながら門をくぐりました。見学させてもらった結果、個別の手厚さで考えるなら特別支援学校を選べば間違いないと思いました。先生方もさすがの知識豊富さで、適切な環境も整っており、支援についての不安な部分は感じられません。仮に特別支援学校を選ばなかった場合でも、在住の市では特別支援学級から特別支援学校への転校は難しくないため、「18歳までなら、こんなにサポートを得られる場所がまゆみにはあるんだ」と知れたことは、就学先選びの枠を超えてまゆみを育てる中での大きな安心になりました。一つ気にかかったのは、生徒数が少ない上にほとんどが男子児童ということで、お友だちが好きなまゆみには少し寂しいかもしれない、ということです。けれど先生方は優しく、高学年にはまゆみに話しかけてくれるような女の子もいて、可愛がってもらえそうな環境だと感じました。特別支援学級の評判が良いA小学校へ次に向かったのは、自宅から二番目に近く、「特別支援学級がとても良い」という評判が療育先ネットワークから聞こえてきているA小学校です。通常学級のクラスと同じならびにある特別支援学級は、視覚支援やクールダウンスペースなどの配慮が行き届き、一目見ただけでもよく環境調整されていると感じました。授業風景を見学していても、心得のある方が指導されているのが分かります。さらに、校長先生が自ら案内してくださる中で知って驚いたのは、校長先生ご自身に県の子どもの発達医療センターの前身施設で勤務されたご経験があり、しかも赴任されたばかりということでした。障害児の保護者の界隈では「特別支援学級の評判がいくら良くても、年度が替わって担任が異動になるとガラッと変わることがある」なんて話はよく聞きますが、校務を司る校長先生が特別支援に明るい方であれば、特別支援学級においても一定のレベルが担保されるのでは?と、その辺りの突っ込んだ質問もさせてもらいました。すると、「人員配置の都合があるので絶対とは言えませんが、仮に初任者であっても意欲ある人をと考えていますし、在任中は特別支援の質を保つつもりです。また、仮に教室を出てしまうようなことがあっても、補助員は必ずつくので特別支援学級のお子さんを一人にすることは絶対にありません」との心強い答えが。前向きに取り組まれているのが感じられ、信頼できると思いました。二度目の見学からはまゆみも連れていったのですが、テンションが上がり切って飛び跳ねているまゆみを見た校長先生は「かなりよく動く子ですね……まぁルーティンが確立すれば大丈夫かな」と苦笑されていました。本来の校区であるB小学校へ最後に本来の校区であるB小学校の特別支援学級へも見学へ行き、こちらでも校長先生が丁寧に質問に答えてくださいました。こちらの特別支援学級は通常学級とは階が違い、場所も校舎の端っこでした。率直な感想を言うと、「どうして特別支援学級だけこんな離れた場所にあるんだろう。お友だちが好きなまゆみにとっては、通常学級と階が違うのは寂しいかもしれない」と思ったのですが、あとから先輩ママのフォロワーさんに教えてもらった話では、特別支援学級に通う子の中には通常学級に近いと落ち着かない子も多いので、あえて離れた場所に教室を設置しているケースがあるそうです。中を覗くと特別支援学校を模したと思われる造りになっており、室内に手洗い場や畳スペースがありました。教室の場所もトイレの真ん前……と、ハード面だけでいうなら幅広い障害程度の子を受け入れられそうなポテンシャルを感じます。少し考える必要があったのは、授業見学をする中で聞いた「現在、特別支援学級には3年生以下の児童はおらず、今年は特別支援学級の見学申し込みもほかにないため、もしうちにするならまゆみさんは1名だけの特別支援学級になる可能性が高い」という言葉です。校長先生は「まゆみの不利益になり得る」という話しぶりで教えてくれたことでしたが、マンツーマンの手厚い支援が望めるという点では決して悪いことではありません。重要なのはどんな先生が担当してくれるかですが、これは私が希望を出せることではないので祈るのみ……。また、B小学校へは何事もなければ次女のあずさも通うことになるため、この点をどう考えるかも悩むポイントでした。難しいのは、何を重視するか当初は三番目に近い小学校へも見学に行く予定でしたが、歩きで通うには少し距離があるのと、近隣小学校の特別支援学級が2校とも良かったため、特別支援学校・A小学校・B小学校の3つに絞って考えることにしました。それぞれに通った場合のメリットとデメリットを紙に書き出して考え始めると……これがもう、脳ミソから煙が出るんじゃないかというほど悩みました。何を重視するかで結論が変わるのです。Upload 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にれそもそも、1~2年で転校することになるだろうと思いつつ、特別支援学級を選択肢から外せない理由がこれでした。まゆみの人生を俯瞰して考えた時に、今現在で何を優先すべきかの答えが出せなかったのです。「まゆみのコミュニケーションの取りづらさを考えると特別支援学校がいいだろう。本人も無理なく過ごせそう」と思っても、保育園でお友だちとまゆみとのほのぼのエピソードを聞くたびに「年長になってお友だちのことが目に入るようになった」という事実が私の心を揺さぶりました。主治医に就学先の相談をした時に言われた「特別支援学校にするなら、同級生の集団の中に入る機会はもうなくなりますよ」という言葉が頭の中でリフレインします。定型発達児の模倣や集団行動ができるようになり、やっと子ども同士でのコミュニケーションの萌芽が見えてきた大切な時期なのに、同級生の集団と離れるのは果たしてまゆみのためになるのだろうか……。一番迷っていたのはこの点でした。また、言動からは想像がつきにくいのですが、まゆみは拗音や促音を含むひらがな・カタカナの読み書きと、数の合計・分解がある程度できます。これは療育先での先生と本人の努力が積み重なった結果なのですが、1年生のお勉強に関しては少しだけ貯金があったことも迷いに拍車をかけました(こんな言い方をしていますが、特別支援学級を選択肢に入れられる水準にまで学力を伸ばしてくださった療育の先生には感謝ばかりです……!)。自分だけで考えていると落とし穴がありそうなので、療育先や主治医の先生とも相談を重ねましたが、みんな揃って「見た感じの印象よりもできることが多いので、判断に迷うんですよねぇ……」という回答。やはり最終的に決めるのは親である自分なんだというプレッシャーで夜眠れなくなることもありました。困ったら、いろんな視点から検討する結論から言うと、就学先は「A小学校の支援学級」で申請しました。メリット・デメリットで考えていても決められなかったので、リスクから考えてみた結果です。確定している環境変化を前に、障害児の保護者が一番懸念することは【わが子がこれまで積み上げてきたものが崩れること】ではないでしょうか。現在の神経発達症育児の主流は「迷ったら、子ども本人に負担がかからない道を選んであげる」という考え方ですが、これは上記のリスクを回避すべく言われているように思います。言い換えるなら「不適応を起こして二次障害になるくらいなら、最初から伸び伸びできるほうを選んであげましょう」ということで、私もこの考えにはおおむね賛成です。わが家の場合も、安全策でいくなら特別支援学校に軍配が上がります。しかし……・特別支援学級の評判がよいA小学校が近くにあること・A小学校は児童数が少なく、先生と児童に丁寧な関わりが持てる土壌があること・赴任されたばかりの校長先生が特別支援に理解が深く、在任中は特別支援の質を保つつもりだと明言されていること・まゆみ自身に他害や自傷といった面での困難さがなく、排泄がほぼ自立していること・サポートは必要なものの、1年生の勉強ならどうにかついていけそうなことこれらの条件が揃っている幸運の中、果たして懸念するようなリスクは高いといえるのか?むしろ、同級生集団からの学習機会の損失のほうが、まゆみの人生をトータルで見た時のリスクになるのでは?そんな考えが頭をよぎります。ちなみにこの段階で、不確定要素の多いB小学校はリスクが排除しきれず候補から外しました。あとは、特別支援学校とA小学校のどちらにするかですが……。ここで改めて夫と意見のすり合わせを行いました。各校へ一緒に見学へ行った夫は最初からずっとA小学校を推しています。話し合いの結果、以下の点からまずはA小学校の特別支援学級へ通い、まゆみの成長を見ながら翌年以降は特別支援学校へ移るタイミングを慎重に見るという方針で決まりました。Upload By にれ教育委員会の出した判定と親の希望が違う!どうする⁉しかし、ここからまた一波乱ありました。教育委員会から出された判定は「特別支援学校が望ましい」というもので、固まったはずの方針はグワングワン揺らぎました。月曜に判定の電話をもらい、金曜日までに就学先の最終回答をしなくてはいけないということで、考える時間は5日間しかありません。もう一度、全てイチから検討し直そう!!と、白紙の状態から考え出しましたが、数か月かけて悩んできた道のりを数日間で再現するだけで夫婦の結論はやはり「A小学校の特別支援学級」になります。でも、教育委員会がそう判定するからには特別支援学校にしたほうがいいんだろうか?社会性が伸びつつある今、もう少しだけ同級生集団と過ごさせてあげたい私の考えは間違っているんだろうか?特別支援学校が妥当と判定された子が特別支援学級へ行くと、先生やほかの子の迷惑になってしまうだろうか……?どうにも苦しい気持ちになり、A小学校の校長先生に事情を話すと、キョトンとした声で「そもそも、どういう理由で特別支援学校という判定になったんですか?」と聞かれてハッとしました。確かに、その理由を知らないことには悩んでいても仕方がありません。けれど、膨れ上がった不安はもう止まらず、言葉が次々と口を突いて出てしまいました。「ですが先生、重ねてのお伝えになるんですが……希望通りにA小学校へ入学させていただけたとしても、親を含めた周囲の支援者全員が『1~2年で特別支援学校へ転校するのが現実的なところだろう』と考えているんです。そんな境界上にいる子が腰かけのように特別支援学級に在籍することで先生方やほかのお子さんに迷惑がかからないでしょうか。私も夫もA小学校にお願いしたいと考えていますが、その点をとても心配しています」すると校長先生はこんな言葉を掛けてくださいました。「それは親御さんが考えることじゃないんですよ。それをどうにかするのが我々の仕事です。お母さんはまゆみさんにとって一番だと思える道を考えてください。まゆみさんがうちに6年間通ってもらう中で私たちも可能な限りのことはしていきます。一緒に成長を見守っていきましょう」「6年間」という言葉に、腰かけのつもりで受け入れるのではなく、可能な限りまゆみの新しい居場所になろうとしてくださっている意思が伝わって恥ずかしながら号泣しました。いずれA小学校を去る時が来るとしても、この時の気持ちはきっと忘れません。こうしてまゆみは【A小学校の特別支援学級】へ就学することになりました。就学先選びを振り返ってドキドキしながら教育委員会に最終回答を伝えると、「特別支援学級ですね、分かりました!」とアッサリした返事。拍子抜けして電話を切った瞬間、全身に震えが来てボタボタと涙が止まらなくなったことに自分で驚きました。何年も頭の中にあり、身を引き絞るほどにわが子の未来を考えて選び取ったまゆみの進路です。人ひとりの人生に関わる決断の重さを知りました。周りを見ていると、就学先選定は「まったく迷わなかった」という人と、「ノイローゼになりそうなほど迷った」という人に二分される気がします。子どもの発達や家庭の事情はそれぞれですし、どちらが良いということはありません。わが家よりもっと判断の難しいケースもあるでしょう。ただただ、この関門を通る全ての親御さんにお疲れ様ですと言いたい気持ちです。余談ですが、特別支援学校と判定された理由はその後に思いがけず知る機会がありました。おそらく自治体によって判定方法が異なるのと、正規の手続きで知らされたわけではないため詳細は伏せますが……わが家と同じ状況になった人の参考になるかもしれないので個人的な感想だけ書いておきます。Upload By にれ教育委員会に不満があるのではなく、日頃の本人を知らない方々が限られた資料と20分の面談で進路を決めるシステムに限界があるのです。まゆみのような、医師やベテランの先生方でも判断に迷うような子はなおさらで、日頃から本人に接している知識と経験のある人の意見をよく聞いて、チームを組んで就学先選びを進められたら理想だなと思います。わが家の選択が良かったかどうかは時間を重ねてみないと分かりませんが、「考えるべきことは考えつくしてまゆみの人生のコマを進めた」という完全燃焼感があります。今後もこんなことはあるのでしょうが、きっとその積み重ねが親を強くしてくれるんだろうなぁ……なんて燃え尽きた頭で思いました。当事者の意向が最大限に尊重されるようになったのも2013年の学校教育法施行令の改正からで、それまでは決して当たり前ではありませんでした。涙を呑んだ人も多かったはずです。4月からの一年を当たり前だと思わず、多くの幸運と多くの人の厚意の結果与えられたものと感謝して、小学生になるまゆみの伴走を務めたいと思います。執筆/にれ(監修:新美先生より)就学時の学校選びについてとても詳しく書いていただきありがとうございます。にれさんの行動力がすごいです。まずは候補になる学校・学級はどんなところがあるのかについての情報収集ですね。普段通っている病院の主治医・リハビリ担当者や、療育施設担当者などに複数聞いてみるとよいでしょう。一人だけだと偏ることがないとはいえないので、複数の人に聞いてみるといいかもしれません。候補の学校がいくつかめどがついたら、見学に行きましょう。本人を連れていくと突っ込んだ質問をゆっくりする時間がとりにくいと思ったら、保護者のみで行く日と、本人も連れて行く日を別に日程をとってもらえるといいかもしれません。にれさんも話題にされていたように、学校は異動があるというのが盲点になります。見学して、この先生なら信頼できると思って決めたのに、年度が替わったらお目当ての先生が異動してしまって話がぜんぜん違うよ……というのはあるあるです。「この人」と一人の人のみで決めるのはリスクがあります。赴任してどれぐらいか、お住まいの地域で異動が何年単位かといった情報は参考にしつつ、異動はあるかもしれないということも考慮に入れておきましょう。もっとも大切にするのは、お子さんが毎日そこに、楽しくのびのび通えそうかという視点です。見学に行った際の保護者の直感や、お子さんのことをよく知っている病院・療育・園の担当の先生などの意見も参考に、保護者が最善と思える選択をしていくしかないですよね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月17日小3から特別支援学級に転籍し、ありがたかった個別の配慮ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けている息子のトールは、小学2年生まで通常学級に在籍し、小学3年生から特別支援学級に転籍しました。トールは特別支援学級に行くようになって、イライラしたり不安を感じたりすることが減っていったように思います。通常学級では、人の多さや周りの物音に過敏になって、ストレスを溜めているようでしたが、特別支援学級ではそれが解消されていました。また、特別支援学級の先生は、トールのその日の調子に合わせて宿題を出してくれるので、宿題のことで家でイライラするようなこともなくなっていきました。Upload By メイまた、トールの様子に合わせて1日のスケジュールを柔軟に変更してくれることもありました。トールは国語と算数だけを特別支援学級で受け、それ以外は通常学級で受けていたのですが、今日は朝から不安感やイライラが強いな……と感じた日は、そのことを先生に伝えておくと、通常学級に行く時間を減らして特別支援学級で少しゆっくり過ごすなどの対処をしてくれました。そのように個別に対応してくれるので、配慮してほしいことやトールのことで悩んでいることを、担任の先生に話しやすくなったのは大きな変化でした。トールにとっても、時間をかけてじっくり話を聞いてくれる担任の先生は、とても大きな存在になったと思います。Upload By メイまた、特別支援学級の先生の話し方や子どもたちへの声かけの仕方は、わたしにとっても参考になる部分が多く、発達障害に理解のある先生と日々を過ごせることに、大きなメリットを感じています。心配だった友だち関係や勉強面……特別支援学級へ転籍した影響は?転籍前に心配していた、通常学級の子どもたちとの関わりですが、やはり転籍前と比べて関わりが減ったのは事実です。通常学級の子どもたちが休み時間に遊びに誘ってくれることもあったようですが、トールは元々一人で過ごすことが好きなので、特別支援学級で落ち着いて静かに過ごすことが多いようです。交流学級(特別支援学級に籍を置きながら、通常学級で授業に参加すること)でどのように過ごしているのか心配もありましたが、授業参観や運動会、修学旅行などで、通常学級の子どもたちと仲良く話していたり、みんなとの楽しそうな写真を見たりすると、トールなりの距離感で周りの子どもとの関係を築いているのだと分かり、安心しています。Upload By メイまた、勉強面に関しても、通常学級の子どもたちから遅れることなく受けられています。テストも同じものを受けていて、平均よりも良い点数を取れている教科も多いとのことです。最近は特に熱中している分野があり、その分野のテストではいつもとてもいい点数をとっていて、自分で検定に挑戦するなど、日々知識を深めています。Upload By メイ自分らしく過ごした4年間。中学校でも特別支援学級へ最初は不安の多かった特別支援学級への転籍ですが、トール本人にとっても、親であるわたしにとっても、とても良かったのではないかと思っています。トールはもうすぐ中学校の特別支援学級に進学します。慣れ親しんだ小学校や担任の先生と離れることに不安はありますが、仲良くしてくれる同級生のお友だちと一緒に進学できることや、去年まで小学校の特別支援学級に在籍していた先輩がすでに中学校にいてくれることは、トールにとってもわたしにとっても大きな安心になっています。中学校もトールにとって楽しい場所になるよう願いながら、わたしもサポートしていけたらと思っています。執筆/メイ(監修:新美先生より)通常学級から特別支援学級に転籍したことについて詳しく教えていただきありがとうございます。通常学級は35人程度の生徒が一つの教室で、基本的に同じことを同じやり方で授業を受けたり活動したりします。このため発達障害特性があると、多くのお子さんにとってはそれほど気にならないことがストレスになったり、ベストパフォーマンスが出しにくいことがあります。トール君の実例からも分かるように、特別支援学級だと、自分のペースに合わせてある程度時間配分したり、活動のしかたを柔軟に調整したりなど、通常学級より合理的配慮を受けやすいですね。また、人数が少なく先生との距離も近いので、先生とコミュニケーションも取りやすいのもメリットです。先生も特性についての理解が厚いとより、相談もしやすいですね。学童期のうちに自分の特性に合った環境や活動のやり方を自分で選んだり調整する練習ができることや、他人と自分のことについて相談する練習ができることは、大人になってからの自立のためにとても役に立つスキルを練習していることにもなります。不安だった転籍も、親子ともにとてもよかったと思えたのは何よりです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月16日3年生に進級。特別支援学級の担任が変わり、クラスが落ち着かなくなってきて……Upload By マミヤ2年生の3学期に転校をした娘。転校前は、学校を4時間目で早退したり、苦手な給食をお弁当に変更するなどしながら、何とか学校に通っている状態でした。しかし転校した小学校では、特別支援学級の担任の先生も理解があり、最終的には学校で丸一日過ごせるようになり、拒否していた給食もみんなと一緒に食べることができるまでになっていました。そして3年生。娘はどんな先生が担任なのかとドキドキしながら登校して行きました。新しく担任になった先生は50代くらいの優しそうな先生でした。クラスメイトは3年生と5年生。前の年と同じ顔ぶれで、娘はうれしそうでした。私も少し心配していましたが、娘の様子にほっとしていました。娘の学校生活ははじめこそスムーズでした。娘と担任の先生はなかなか相性も良かったのです。ただ、クラス内には担任が代わり少し荒れている子がいたようでした。特に娘の学年の子は、1、2年生の間は特別支援教育に詳しいベテラン教師が2年連続で担任を受け持っていたこともあり、より落ち着かない印象を受けました(娘の話と、私が送り迎えの際に見たクラスの様子からの印象です)。そんな中、新学年になり娘にもうひとつ変化がありました。2年生の時にはあまり交流のなかった通常学級の授業にしっかり参加するようになったことです。通常学級の担任の先生は柔和な雰囲気で、クラスメイトも優しい子が多かったので、娘は昼休みに通常学級のクラスに1人で遊びに行くようになりました。すると、この頃から娘は、特別支援学級のクラスメイトのXくんに執着されるようになっていったのです。友だち関係でトラブル発生!先生に相談しようと思ったら……!?Xくんは娘が昼休みに通常学級へ行くことを嫌がり、「ずっと鬼ごっこだけで遊ぼう」と言ってきたり、下校の時も娘がほかの子と帰る約束をしているからと断っても、横について離れませんでした。また下校時は、私が娘を迎えに来ていても構わず、自分の下校ルートで帰ろうと毎日言ってきました。学校のルールで決まったルートで帰らないといけないから……と伝えても、「なんで?」と理解してもらえませんでした。そして授業中も大きな声で叫んだり(2年生の時はそんなことはなかった)、特別支援学級のクラスメイトでトランプをすると怒って泣いたりなどトラブルが続いていました。そんなことが続き、娘はだんだんXくんが苦手になっていきました。私もこのような状況について、特別支援学級の担任の先生に相談したかったのですが、なんと先生がゴールデンウィーク明けに体調を崩してしまい長期休暇をとることに……。担任の先生がいないので、授業は自習の時間が増え、いろんな先生がかわるがわる授業を担当し……どんどんクラスが落ち着かなくなっていきました。娘は6月まではなんとか通っていましたが、7月には早退や遅刻をしながら通うようになりました。Upload By マミヤ行き渋りは環境のせい?それとも娘自身の特性ゆえ?かかりつけ医に相談するとUpload By マミヤ娘の状況について学校の先生に相談することができなかった私は、娘が通院している発達心理のかかりつけの先生に相談してみることにしました。今、娘は学校に行くことがつらい様子だけれど、それが学校の環境のせいなのか、それとも娘自身の特性に起因するものなのかが分からなかったからです。娘は、転校前の学校でも学校に通えなくなった時期がありましたが、それは担任の先生への不信感が引き金になったところがありました。娘は、嫌な記憶をひきずりがちで、また同じことが起こるのではないか?と、過度に不安になるところがあります。そのような特性がある限り、これから先も対人関係で苦しみ続けることになるかもしれない……という思いがあったのです。病院で相談してみると、主治医の先生は「3年生になったし、久しぶりに発達検査をしてみましょうか」と提案してくれました。結果を見て必要なら投薬も検討しましょう、ということになりました。そうしてバタバタと慌ただしくしているうちに、担任の先生も復帰しないまま、3年生の1学期が終わったのでした。夏休みが明けると、娘にとっての鬼門「運動会」の練習が始まります。このままだと、また転校前と同じように、学校に行けなくなるのではないか……という不安が、私の胸の中に渦巻いていました。執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)進級による環境変化に加えて、担任の先生の長期休暇と、マミヤさんもしぇーちゃんも苦しい時間を過ごされましたね。担任の先生が、それぞれのお子さんの特性や、得意なこと、苦手なことを理解するまでには、やはり時間がかかることもあるでしょうし、特別支援学級には環境の変化を苦手とするお子さんも多いでしょうから、担任の先生の変更というのは、試練の一つになってしまいますよね(環境の変化を経験していくという意味においては大事なことではありますが……)。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんが、学校での出来事、嫌なことについて、ご家族に話して理解をしてもらうということが、簡単ではないこともしばしばあります。自分の気持ちを言葉で表現することが苦手であったり、細かな状況判断が苦手なこともあるためです。しぇーちゃんの気持ちの理解に繋がったのは、マミヤさんの観察力や、しぇーちゃんとマミヤさんの間のコミュニケーションの賜物だと思います。とても素晴らしいことです。しぇーちゃんが充実した学校生活を送れることを、私もお祈りしております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月15日就学のタイミングでの障害告知は……まだ早い?息子のスバルは1歳半健診で言葉の遅れを指摘され、2歳から何度か受けた発達検査では「言葉が遅いだけ」と診断されました。3歳になり言葉が溢れたもののASD(自閉スペクトラム症)と診断され、現在は自閉症・情緒障害特別支援学級に通っています。特別支援学級に通うと決断した時、お友だちとは少し違う道に進むことをスバルに説明する必要がありました。当時、幼稚園の年長クラスだったスバルは、みんなが当たり前にできることが自分にとっては難しかったり、先生のサポートが必要であることに気づいた時期でした。そのせいもあり「みんなと同じでありたい」「みんなと同じことがしたい」という気持ちが強く出ていました。そんな時期にみんなと同じではない少数派の道へ進むという話は、きっとスバルを傷つけることになるので慎重になっていました。この時に「ASD(自閉スペクトラム症)」や「発達障害」などの言葉を使っていわゆる障害の告知を同時に行うべきか悩みました。スバルはきっと「なぜ自分がお友だちとは違う特別支援学級に行くのか」という理由を知らなければ納得してくれないと思ったからです。しかし障害の告知をするのはまだ早すぎると思いました。私は、スバルが3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断された時「この子には障害があるのだろう」と納得してその日を迎えました。なんなら「早く療育とやらを勉強したいな」なんて前向きな気持ちでした。でもいざ目の前に「発達障害」「障害者」などの言葉が書かれた書類を置かれた時、私は呼吸ができなくなるほど泣いてしまいました。「ASD(自閉スペクトラム症)」や「発達障害」などの言葉は、たった3年前に話し始めたばかりで、ぷくぷくほっぺで、牛乳を飲んだら口の周りにヒゲができちゃう6歳のわが子にはまだ重たすぎると思いました。結局この時は障害の告知を行わず、遠回しに「視力の弱い人が眼鏡を使うように、足が不自由な人が車椅子を使うように、スバルの苦手なことを助けてくれるクラス」というような説明をしました。やはりスバルは納得しきれず、入学するまで何度か「みんなと同じクラスが良かった」と呟いていました。特別支援学級に入学後、近所の6年生のお兄さんに言われた言葉を聞いて入学後は特別支援学級に仲良しの友だちができ、みんなそれぞれ苦手がありながらも工夫し、時には助け合う生活を通して「みんなと同じ」に対するこだわりが薄れていきました。特別支援学級は居心地の良い居場所になりました。そんなある日、スバルは学校の帰り道がたまたま一緒になった近所の6年生のお兄さんに「スバルくんは特別支援学級なんだ。じゃあ何か障害があるの?」と聞かれ、スバルは「ないと思うけど……」と答えたそうです。帰宅したスバルからキョトンとした顔でそんなエピソードの報告を受け、いつか「ぼくって障害があるの?」と聞かれた時のために準備だけはしておかなければならないと思いました。障害告知の準備それからインターネットやSNSで先輩たちの障害告知エピソードを読み漁りました。その中であるエピソードに出合いました。得意分野で活躍している発達障害がある人のドキュメンタリー番組を家族で観ている時に「ぼくってこの人と似ているところがいっぱいあるね。もしかしてぼくも発達障害?」と聞かれ「そうだよ」と答えたというエピソードです。このエピソードは発達障害のマイナス面から告知がスタートしないので、とても良いなと思いました。そして『「ぼくはなんでみんなと同じようにできないんだ!もしかして発達障害?」「そうだよ」』のようなマイナス面から始まる告知はどうにかして避けようと思いました。障害告知により、おそらく目に見えない何かを背負うことになると思いますが、少しでもそれを軽くしたいのです。できることなら、その時はもう少し先の高学年くらいの年齢だと良いな、と思いました。スバル小学3年生。障害告知の時がきた……!?スバルが3年生になったある日、テレビを観ていると、医療的ケアが必要な小学生が小学校に通う様子が映されました。スバルは同じ年齢の子が困難に立ち向かいながら学校に通っていることに感動していました。その番組の中で放課後等デイサービスが登場しました。スバルも放課後等デイサービスに通っているので、少し驚いた顔で「ぼくもこの子と同じ病気なの?」と聞きました。私は「違うよ」と答え、ついにこの時がきたか!と覚悟しました。しかしスバルから次の言葉はありませんでした。(えっ。この場合は私から切り出したほうが良いの……?)と悩んでいるうちに話題が変わってしまい機会を失いました。翌日からスバルは図書室の本やインターネットでいろいろな子どもの病気を調べ始め、気になる症状を見つけるたびに「ぼくってこの病気?」と聞くようになりました。私は「違うよ」と答えました。スバルの質問に対して年齢に合わせてぼんやりとした表現でごまかすことはありましたが、嘘はつかないと決めていたのでこのままASD(自閉スペクトラム症)や発達障害にたどり着いたら正直に話をしようと思っていました。しかしなかなかたどり着きませんでした。スバルはまごうことなきASD(自閉スペクトラム症)なのですが、多岐にわたるチェック項目と照らし合わせると微妙に当てはまらない項目が多いのです。それから数週間後にとうとう「ぼくって発達障害?」と聞かれました。その顔は「まあ違うだろうけど、一応聞いておこう」くらいの軽い表情でした。逆に言いづらい……と思いながらも「そうだよ」と答えました。スバルは目を見開いて固まり、明らかに動揺していました。Upload By 星あかり私はずいぶん前から話す言葉を用意していたのに、いざ説明を始めるとしどろもどろになりました。説明するにあたりASD(自閉スペクトラム症)からくる不得意面は避けて通れませんでしたが、好きなことに対する集中力や記憶力、発想の面白さについてもたくさん話し、ポジティブな言葉が中心に来るように気をつけました。それからスバルに写真と本を見せました。3歳の頃のスバルが部屋中に車を並べている写真と発達障害の本の挿絵に描かれた車を並べる男の子のイラストです。それまで硬い表情で聞いていたスバルでしたが「これはぼくだ!」と言って笑いました。Upload By 星あかり将来の不安に涙する息子。息子の「一筋の光」になったのは……告知して良かったと思うのは、スバルが苦手なことに対して解決方法を相談できるようになったことです。同じような苦手を抱えた人の対策例を調べ「これは人目が気になる」「これならできるかも」と前向きに話し合っています。以前なら「なんでみんなと同じようにできないんだ」と嘆いていたようなことも「じゃあどうすれば良いかな」と日々の不安に対して少しだけ肩の力が抜けたように感じます。逆に発達障害があると知ったことで、将来に対する不安を口にすることも増えました。「なんでみんなと同じようにできないんだ」と思っていたことが障害によるものなら大人になってもできないままなのではないか。それによって将来、部活選びや学校選び、就職にも影響があるのではないか。自分が進む道はこの先に繋がっていないのではないか。そんな不安を拙い言葉で話し「お母さんのお腹に戻って障害のない自分に生まれ直したい」と泣きました。どんなに愛を伝えたって、どんなにスバルの良いところを並べたって不安がなくなるわけではありませんでした。ある時テレビに映った有名人を見て「この人は発達障害を公表している人だよ」とスバルに教えました。スバルもいろいろな番組で見たことがある人だったので驚いていました。それから2人でインターネットで発達障害を公表している有名人を調べました。さまざまなジャンルで活躍されている方々が出てきて、2人で驚きました。発達障害がある人もない人も同じように何かを成し遂げられるという事実が、スバルにとって一筋の光になりました。もちろん不安は消えないし落ち込む日もありますが、将来に対する前向きな言葉が増えました。今のスバルの心の中には「発達障害があってもこの道の先にはたくさんの道が繋がっている」という気持ちがあると感じています。執筆/星あかり(監修:初川先生より)スバルくんの障害告知に関する迷いや準備、実際にされてみての感触、その後のスバルくんの様子まで、一連の流れあるエピソードをありがとうございます。今回のエピソードは、同じようなテーマで悩む保護者の方にとってとても参考になる内容だと感じます。また、これまでのスバルくんの育ちや園生活のいろいろを歴代コラムで拝読してきた者としては、「スバルくん、ここまで育ったのか……!」ととても感慨深くも感じました。さて、障害告知に関してですが、タイミングと内容についてどうしたものかと悩まれる保護者の方は多くいらっしゃいます。あかりさんが考えられたように、通常学級とは違うクラスに入学する(あるいは転籍する)といったタイミング、また現状に苦戦が募ってきたタイミングなどに告知をすることで本人の努力不足などではなく、どうしても苦手なことがあること、ただ、支援や手助け、工夫によってそこは乗り越える・うまく付き合うことができるかもしれないこと、だから本人の協力や理解が必要となるような場合に告知を検討されるかなと思います。今回、あかりさんがされたように、まずは障害名を伝えるのではなく、苦手がある・それを助けてくれる場があるなどの説明であったり、あるいは、「こんなところが得意だけど、こんな苦手があって、その差がとても大きくて、つらいときがあると思うんだよね」など、得意不得意がある(苦手のレベルが激しかったり、得意と不得意の差が大きかったり)といった説明から入ることがまず1つの方法としてあります。私もまずはこうした説明をすることをお勧めすることが多いです。お子さんが自分のことを客観的に理解することはある程度の年齢にならないと難しく、また、苦手なことに日々苦しんでいる場合は客観的に自分というものを理解するよりも先に、「自分はダメだ」など、悲観的に感じていたり、傷ついていたりすることも多いです(いわゆる二次障害的な面でここは注意しておきたいところです)。苦手なことだけではなく、得意なことや好きなことなど、さまざまな面も一緒に伝え、自分というものの理解に奥行を持たせるイメージで説明できるといいなと感じます。自己理解をしていくことは、一度きりの話ではなく、成長過程でずっと続けていくことです。その1つの段階だと捉えると良いと思います。その中で「発達障害」や診断名に関しては、その扱いを慎重にされたほうがいいと思います。その言葉の意味がまだ理解できない、あるいは誤って伝わっている場合もあります。そして一度の告知でそこまで扱おうとすると情報量が多すぎて処理しきれないという現実的な課題もあると思います。あかりさんがされたような段階をふむことはとても大切な手立てです。ただ、生活していく中で、どうしても「障害」という言葉にふれたり、自分で気づく場合もありますが、周りの人にそう言われてしまうこと(悪気の有無にかかわらず)もあります。今回も上級生との会話からそうした話が入ってきました。そういうタイミングはいつ来るかわからないですし、お子さんの発達段階によってはそういう不意なタイミングではなくそろそろその話を理解できそうだという時かつ、そうした話題が世間的に扱われやすい時期(例えばニュースの特集で扱われた、そうしたテーマのドラマがあったなど)などに、「障害」について話をしていくことがあるように感じます。まずは、そうしたタイミングが来てもいいように、“説明する言葉”を保護者自身が持っておくことが大切だと思います。教科書的な説明のみならず、保護者の理解として何を伝えたいかを考えておく、お子さんにできるだけ齟齬なく伝わる言葉や説明を考えておく。そんな準備ができるとよいでしょう。医療機関で主治医の先生に相談してみるのも1つですし、学校の先生や、相談機関にかかっている場合は担当のカウンセラーと一緒に考えるのも良いと思います。主治医から説明してもらう、お子さんと保護者で一緒に障害理解の絵本を読んでみるなどのやり方もあります。そしていよいよ伝えた際に、一度で全て分からせようとするのではなく、都度説明を加えながら、少しずつ理解できるように(一度の説明を何度かで咀嚼しながらのみ込めるように)、そんな心づもりも大事だと思います。スバルくんのように、告知して良かったこともあれば、将来に対する不安がふくらんでつらくなることなど、さまざまな反応・影響があると思います。特に、つらそうな反応をされると保護者もつらくなることもあると思います。不用意に告知してそうなったなら、(不用意に)告知したことを反省したら良いとは思いますが、準備も相談も葛藤も覚悟もして告知した場合には、告知そのものをしなければ良かったと反省するのではなく、その次の段階に進んだのだということを心に留め置きたいところ。子どもからしたら、まだ分からないことが多い「障害」というものに不安になるのは当然ですし、障害がなくとも自分の人生がどうなっていくかなんて誰にも分かりません。一つひとつの不安を受け止め、今できていることを確認しつつ、地に足を付けて深呼吸しながら進んでいくイメージで対応されるとよいと思います。そういう意味で、お子さんと障害告知に関する話をするぞ(したぞ)という際には、担任の先生や関係する支援者の方々にもお知らせいただき、一緒に見守っていけるといいと思いますし、保護者の方もきっと心強くなられるのではと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月14日お友だちの名前が覚えられない!しのくんは発達障害グレーゾーン、6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。しのくんは1歳から保育園に通っていましたが、言葉が出るのが遅かったこともあり、しのくんからお友だちの名前を聞くことはほとんどありませんでした。しかし年中ぐらいから少しずつお友だちの名前が出てくるようになり、卒園する頃にはほとんどのお友だちの名前を言えるようになっていました。同じ保育園から小学校に上がる子が何人かいたので心強く思っていたのですが、入学からしばらく経っても、しのくんは新しくクラスメイトになった子の名前がなかなか覚えられませんでした。学校ではみんな名札をつけているのですが、1学期の時点ではまだひらがなが読めなかったしのくんは、名札を見てもお友だちの名前が分からず……。相手に話しかける時には「ねえねえ」と声をかけたり、お友だちの肩をトントン叩いたりするしかありませんでした。Upload By keiko2学期になり、しのくんはひらがなを読めるようになりました。ところが、2学期になったタイミングで、ひらがなだった名札の表記が漢字になり、またお友だちの名前が読めなくなってしまいました。「やっとひらがな覚えたのにな……」と私は残念な気持ちになりましたが、学校のルールなので仕方がありません。また、この頃、家に帰ってくると学校での出来事を話してくれるようになりましたが、「それを誰としたの?」と質問しても「しのくん誰かわからへんねん」とよく言っていました。学校での面談の際に、担任の先生にお友だちの名前をまだ覚えてられていないことを相談したところ……クラスでお友だちの名前を覚えられていないのはしのくんだけということが判明して、さらに落ち込みました。「しのくんの名前をみんなは覚えてくれているのに……」と私の焦りは募るばかりです。Upload By keiko学校生活のルーティンが覚えられない!しのくんは入学してしばらく経っても、なかなか学校生活のルーティンが身につかず、次の授業の準備や移動の時などに、先生の声掛けが必要な状態でした。しかし、1学期が終わる頃には学校生活の一連の流れを理解したようで、みんなと一緒に行動できるようになってきていました。ところが2学期になってみると、それまで積み重ねていた学校生活のルーティンが完全にリセットされていました。先生によるとしのくんは、学校についてすぐにやることや、移動教室での持ち物などすべて忘れているということでした……。なんとかしなければ!と焦った私は、毎日夜に翌日学校についたらやることと、移動教室の時の持ち物をしのくんと確認するようにしました。同時に、担任の先生も対策を講じてくれていました。私が学校での面談の際に教室に行ってみると、なんと先生がしのくんの机に「やることリスト」を貼ってくれていたのです!家庭と学校での工夫が功を奏したのか、しばらくすると、しのくんはルーティンを取り戻すことができました。しかし、これからまた休み明けや進級の際にはサポートが必要そうだな……と感じています。Upload By keiko周りが見えていない?マイペースすぎる日々しのくんの学校は集団登校ですが、しのくんはとてもゆっくり歩くので、私が手をつないで引っ張らないとみんなのペースについていけないため、今でも付き添って登校しています。学校でも上の空になりがちで、授業中に先生の話が分からなかった、給食が食べ終わらなかった……と不安になるような話をよく聞きます。音楽の授業など、自分の興味があることには集中できますが、苦手な国語の時間は特に話を聞いていない様子……。先生の目が届きやすいように一番前の席にしてもらってますが、どうやら前だけしか見えないことで、余計に周りの動きに気づきにくくなっているのか、一人の世界に入っていきがちのようです。Upload By keikoただし、宿題については「疲れた―難しいー」といってなかなか取り組めないことが多いものの、「先生に怒られたくない」という気持ちはあって、その日のうちにできなかった宿題は翌朝早起きしてやるなど、頑張っています!大きな問題ではないけれど、小さな困りごとがいろいろとあるしのくん。低学年の今は何とかついていけていますが、これから周囲との差が出てくるのでは……と不安に思うこともあります。幸いなことに担任の先生に理解があり、月に一回は面談の機会をいただき、こまめに情報共有ができているので、家庭と学校で連携しながらこれからもサポートしていきたいと思います。執筆/keiko(監修:室伏先生より)しのくんの小学校入学後の困りごとについて共有くださり、ありがとうございました。名前を覚えられない理由には、文字の読みが難しいことのほかにも、お顔の特徴を捉えにくい、興味関心がお友だちよりも自分の好きなことに向いてしまう、などさまざまあり、お子さんによって異なります。お名前が分からなくてもご本人が困っていない様子で、周りのお子さんとコミュニケーションが取れているのであれば、見守ってあげるのもよいことだと思います。お名前を呼べなくても、声をかける、肩を叩く、など試行錯誤してコミュニケーションを取れることはとても大切なことです。ご本人がお友だちのお名前を覚えたいという希望や、名前が分からないことでの困りごとがあるようであれば、担任の先生にお願いをして、集合写真などを利用して保護者の方がお友だちのお顔とお名前を把握し、ご自宅で少しずつ覚えていくのもよいでしょう。困りごとはありつつも、お友だちとのコミュニケーション、学校生活のルーティン、宿題に、と一生懸命頑張られているしのくんのお姿、本当に素晴らしいです。これからもしのくんの学校生活が楽しいものでありますように、私も応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年01月13日息子に発達障害があると分かってからも、相談できるママ友がいなかったもともと人見知りで、人付き合いがあまり得意ではない私。コチ丸が小学3年生でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けた時も、相談できる相手は昔からの友だちのみでした。しかも私は出産が周りより早かったこともあり、育児の相談というよりも愚痴を聞いてもらうという感じで、解決にはなりませんでした。コチ丸と年が近い子どものいる……なんなら同じ悩みを抱えているママ友ができたら現状を相談できたり、理解してもらえたりするのになーとどこかでは思っていましたが、当時の私は普段仕事をフルタイムでしていて、ほかのお母さんと顔を合わせる機会も滅多になく、会っても何を話せば良いのか分からず挨拶をするのが精一杯でした(というのも今となっては言い訳だったのかなと思ったりもしますが……)。人付き合いが苦手な母。できたらPTAも避けて通りたい……(願)。しかし小学校には人付き合いを避けられないものがありました。そう……PTAです。コチ丸が通っていた小学校は田舎の小さな学校だったため、どう足掻いても6年間のうちに1度はPTAの役員が回ってくるようになっていました。しかし、コチ丸は3、4年生の頃から学校を行き渋り出したため、必然的に私の足も学校から遠のき、なんとなくほかのお母さんたちとも(自分が勝手に)壁を感じるようになりました。振り返ると、やはりどこかで「わが子は学校に行ってないし、自分はフルタイムで働いているし……できるだけ距離を置きたい」という思いが強かったんだと思います。たまたま小学校の人数が増えてきた年に、コチ丸の学年に役員の順番が回ってきたため、私は結局6年間PTA役員をすることはありませんでした。コチ丸はといえば、小学校にはそんなに行っていなかったのですが、不思議と友だちがいて、何人かでお泊まり会をしたり、友だちのお母さんに映画や遠出に連れて行ってもらったりしていました。ありがたいとは思っていたものの、逆にわが家で他所のお子さんの面倒をみるという流れに発展することもなく、顔を合わせたら挨拶をする程度で、「仲が良い」ママ友付き合いはついに小学校卒業までありませんでした。Upload By あきママ友付き合いが苦手な私も性格や物の見方を大きく変える中学校生活に……。そんな息子以上に頑固で頑なな私(笑)ですが、コチ丸が中学受験して私立の「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)」へ入学することになった際に、1つ決めたことがありました。それは、中学校の親の会(いわゆるPTA)の役員になるということでした。コチ丸の決断にとことん関わって応援するため、中学3年間、私は親の会の役員として活動しました。その時はコチ丸の中学校生活をサポートしたい一心だったので、あまり考えていなかったですが、結果的に私自身の性格をも変える、大きな分岐点になりました。役員会は月に1~2回程度、丸1日行われるので、当然会社は休むことになります。私は有給を消費しながら、役員会がある日はコチ丸と車で学校まで通学し、1日役員の仕事をしてコチ丸とまた車で帰るという3年間を過ごしました。会社にはずいぶん無理を聞いていただきました。特に最後の1年は成り行きとはいえ、なんと私が親の会の会長をやらせていただくことになり、行事の度に休むうちに、ずっと溜め込んでいた有給休暇は中学校生活が終わる頃にはゼロに等しかったです……。それでも役員会の最中に親同士で子育ての悩みや進路について話したり、時には飲みに行ったり(笑)、この3年間でママ友が一気に増えたのは心強いことでした。また、会長になって、人に支えてもらいながら自分が主導して物事を動かしていくこと、時には人に頼ることなど、いろんなことを学ぶ時間になりました。なにしろ、会長をやっている以上、責任もあるので、人見知りだから……とも言っていられなくなりました。中学最後の文化祭で、親子で生徒会会長と親の会会長として、お互いの成功を手を叩いて讃えあったことは今でもうれしくて忘れられない、健気な母です(笑)。きっとコチ丸は覚えていないかもしれませんが……(涙)。Upload By あき最後に卒業式で会長として挨拶をした際には、舞台でわが子への想いも伝えることができ、ママ友、先生、会社の人たち、そしてこんな機会を与えてくれたコチ丸にも感謝ばかりでした。Upload By あき結果的に親子関係や自分の性格まで変わり、経験値を上げる素晴らしい体験に。当時を振り返って一番良かったなと思うのは、中学校でコチ丸と頻繁に顔を合わせたり、役員会のある日は1時間半近く、車で一緒に中学校に通ったりする中で、小学校の時以上に親子の時間を持てたことでした。コチ丸もまた、入学当初は親がそばにいる環境が安心感につながっていたのではないかと思います。コチ丸が通っていたのは学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)ということもあり、親の会は子どもたちの中学卒業後もサポートしていくという考えで、子どもたちが二十歳になる際に中学校で行う「二十歳を祝う会」の実行委員として、役割はまだ続いております。そして未だに役員を一緒にやったママ友たちと飲みに行ったり遊んだり……。卒業後の子どもたちより会っているかもしれません(笑)。最近では、PTAは悪しき風習なんて言われているところもありますが、3年間、とことんPTAをやってみた感想は、「やってみてよかった」です。大変なことも理不尽なことも、学校側や親同士の大なり小なり衝突もありましたし、公立や私立などで考え方や運営もさまざまだとは思いますが、母親自身が成長したり、新しいアイデンティティの場を持ったり、子どもとの関わりを深めるのに上手に活かしていけば、親子で成長する貴重な場になるのではないかと感じました。人付き合いを避けることばかり考えていた頃と比べると、自分でも驚くほどの変わりようですが、たくさんのママ友だちに恵まれている今、そんなふうに思っています。Upload By あき執筆/あき(監修:初川先生より)ママ友付き合いが苦手ながらも中学でPTA活動を始めたら「やってみてよかった」と思うに至るまでになられたエピソードのシェアをありがとうございます。ママ友がいたらいいとご自身で思ってらしたり、あるいは知識としてママ友がいると何かと助かると聞いたことがあったりしつつも、実際にはママ友づくりが難しいというお声はよく相談場面で話題に上がります。「こんな話できるのはここ(相談)だけなのでありがたい」といった感じで、なかなか(障害のある)お子さんのことをほかの保護者に話せなかったり、そもそも女性コミュニティでの付き合いが苦手であったりする方もおられます。その一方で、ママ友をつくろう、仲よくしようとすると難しくとも、PTAをやってみたら意外とよかったという話もよくうかがいます。役割がある、仕事があることでコミュニケーションが取りやすくなりますし、学校に頻繁に出入りすることで先生方と話す機会が増えたり、お子さんの様子を目にすることも増えたり、顔見知りのクラスメイトが増えたり。あきさんの場合には、一大決心されて中学校からPTA活動をされたとのこと。中学校という新しい環境で、PTA活動をされるのには不安もあったと思いますし、あきさんも書かれていたようにお子さんも新しい環境に入る時期なので良かった面もあったようですね。そして3年時には会長にまでなられて、大活躍の3年間でしたね。あきさんが書かれた通り、仲間ができ、作業中に自然と会話も増え、仲良くできる保護者さんが増えたのは何よりです。今は共働きのご家庭も多いですし、活動に参加したくともできない事情がある場合もあると思います。時代に合わせてPTAも変化している時期でもあります。ご自身に合った形で、無理なく関われる関係性づくりがなされるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月12日毎月お小遣いが足りない!と言う息子Upload By かなしろにゃんこ。息子のリュウ太には、ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の診断があります。中学時代のリュウ太は、お金の使い方がひどいものでした。リュウ太の仲の良い友だちには両親の帰宅が遅いということで、毎日1,000円のお小遣いをもらっている子もいました。一方、リュウ太のお小遣いは毎月3,000円。周りの友だちより少なかったかもしれませんが、わが家は、母の私が家で仕事をしているため、お腹が空いたときはオヤツなどを用意できるので、毎月3,000円で十分だと思っていました。しかし、リュウ太はそれがかなり不満だったようで「お小遣い5,000円にアップしてくれよ!友だちはみんな毎月5,000円以上もらってるのにさー」とお小遣いの値上げ要求を頻繁にしてきました。ですが、小遣いの金額は夫が決めていたため、私はリュウ太の要求に応えることはできませんでした。Upload By かなしろにゃんこ。そのリュウ太は、学校から帰ると友だちと週に3回は出かけるようになりました。帰宅後に「どこに行ってきたの?」と聞くと「友だちとゲームセンターに行ってきた」と言うのです。リュウ太は、ゲームセンター通いをするほどお金を持っていないはず……?週3のゲームセンター通い、お金は一体どこから?……なんと、リュウ太は私の財布からお金を持ち出していたのでした(私はお金の管理を細かくしていないため、持ち出されたことにしばらく気がつきませんでした……)。ゲームセンターで遊ぶために500円や多いときは2,000円を私の財布から持ち出していたようでした。ほかにも、私は電車に乗るためのICカードに数千円チャージしていたのですが、リュウ太はそれも持ち出し、飲み食いに使っていたようなのです。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。ICカードのチャージや財布の中の紙幣が少なくなっていることに数回「あれ?」と思ってはいたのですが、犯人と決めて子どもを疑うのは良くないと思っていました。しかし、とうとう私はリュウ太がお金を持ち出している現場を目撃してしまったのです。私は、リュウ太を叱り、どうしてお金がそんなに必要なのかを聞いてみました。Upload By かなしろにゃんこ。すると「お金がない日は、ゲームセンターで友だちや周りの人がプレイしているところを覗きこんで楽しんでいたけど、自分はもっと上手にプレイできるし、仲良くなった他校の友人を競い合ったりしたくなった」と言います。そして、(みんながゲームをしているのに自分だけできないのは惨めな気分。どうしてうちは貧乏なんだろう……お小遣いをくれないならこっそり持ち出すしかない……)という考えに行きついたそうなのです。Upload By かなしろにゃんこ。「お金って大事、お金を稼ぐのって大変なんだとか、そんなこと言われても分からない」「ゲームセンター通いは今一番やりたいことだからやめられない!」と言うので、リュウ太のこれまでを振り返っても無理に言い聞かせたり、止めてもやめることはできないだろうと思いました。勝手に持ち出すくらいなら……「親への借金」という苦渋の選択Upload By かなしろにゃんこ。きっとお金の持ち出しは繰り返されてしまう。だったら「お金を貸して、高校生になったらアルバイトをしてもらって返済してもらうしかない」と思いました。やりたいことを意地でも貫く性格なので親が根負けしてしまうんです……。きっといくら言っても止めてはくれないだろう……というあきらめの気持ちがありました。お金のことで親子喧嘩も頻発し、その喧嘩が原因で学校の課題をやらなかったり、生活態度が悪くなったりとほかの問題も大きくなっていたため、私はお金を貸すことを決めました。私の心が楽になるための選択だったかもしれません。それから、リュウ太には毎月お小遣いでは足りない分を上限2,000円で貸すことにしました。高校生になりアルバイト代で借金返済。一方で……リュウ太は、高校生になりアルバイトをはじめてから順調に返済し、中学時代に作った親への借金は3年間で返済できました。幸いなことにアルバイトや部活など、他に楽しいことができたためゲームセンター通いもなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。一方、親のお金の持ち出しはなくなったかというとそうでもなくて、高校生になってもバイト代が入る前のカツカツなときは私の貯金箱から持ち出していました。年齢とともに徐々に減っていき、20歳になる頃にやっとしなくなりました。息子との長い戦いでした。親子であれど人のお金を持ち出すのはよくないので、せめて親に借金することで自覚を持ってほしかったのです。今でも中学生の息子にお金を貸したことが良かったのか悪かったのか分かりません。わが家の苦渋の選択だった気がします。みなさんはマネしないでくださいね。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)思春期の親子のそれぞれの思いの葛藤の中で親自身も追い込まれてしまうことがあります。客観的にみると子どもさんも「無制限」ではなく「5000円」という本人なりの妥協ラインを示してきていますが、「さらにエスカレートするのでは」などの不安から親としては感情的に容認したくないという気持ちになってしまうかもしれません。かなしろさんも回想しておられるように親から借金をして、お小遣いを前払いするのは当時としてはやむを得ない決断であったと思います。アルバイトを始めて、労働に対する報酬としてのお金の価値や実感が得られたことで浪費癖も少しずつ改善していったのかもしれません。お小遣いが不足している場合、暴れたり癇癪をすることでそれが得られるのではなく、家庭の中でお手伝い労働をすることで得られるような「出来高払い」を組み合わせるなどのアイデアもあるかと思います。それぞれのご家庭で状態は異なるので唯一の正解はありませんが、お金を与える/与えない、という二分的な条件ではなく、暴れることでお金を得るのではなく、特定の労働や努力の対価としてお金が得られるなどのルールを本人と一緒に考えていくのがよいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月11日不登校と通信制高校の面接準備ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、中学3年生。体育祭には出席しないと決めた日から中学校には行かなくなった。体育祭当日。体育祭は午前中で終わるので、太郎は特別支援学級の担任の先生と午後から会う約束をしていた。先生は2日後に迫っている通信制高校の面接をとても気にかけてくださっていて、「面接の練習を」と、休んでいる間も何度も電話があった。休んでいる間は、電話で先生と太郎が直接話をすることはなく、私から太郎へ伝言していた。「先生が面接の練習をしようと言っているよ。体育祭が終わったら練習をしようね」と伝えると、太郎は「分かった」といつものように反応薄く返事をした。Upload By まゆん2日後に重要な面接を控えていたものの、学校に行けていないし、面接がうまくいかなくても仕方がないとあきらめている私がいた。場面緘黙もあるので、きっとうまく話せずに固まる姿を見ることになるんだろうな、私が代弁するように面接官の方と話をすることになるんだろうなと予想していた。なので特別支援学級の先生が最後まであきらめずに「面接の練習を」と電話をくださることに、少なからず驚いてもいた。わが子のことなのにどこか他人事のように、「先生頑張るなあ、一生懸命に熱い人だなあ、二日間の練習で何か変わるのかな」と思っている私がいた。体育祭が終わったあと、太郎は約束通りに登校した。学校から帰宅しても顔色を変えずに「今日は面接の練習を先生とした」と大まかなことは言うが詳細は何も語らなかった。通信制高校の面接当日そして面接当日太郎は珍しく気持ちを言葉に表した。「ちょっと緊張する」Upload By まゆん面接会場へ向かう車の中で、そわそわとしながら太郎は言った。「緊張するよね、大丈夫リラックスリラックス」と私は声をかけた。「うん」と返事をした太郎はずっとそわそわとしていた。いよいよ面接会場へ案内された。名前を呼ばれ、私が先頭に立って部屋へ入室した。太郎は背筋をピンと伸ばしていた。着席をする前に面接官の方から「名前と学校名をお願いします」と言われた。「〇〇中学校からきました。〇〇太郎です」初めて聞くような大きな声でハキハキと答える太郎がいた。え?こんなにハキハキと答えらるの?と私は目を大きくして逆に固まった。その後も太郎は面接官の方からの質問に対して、自分の言葉で返答をしていた。途中言葉に詰まることがあったけれど、短くハキハキと、丁寧に答えていた。Upload By まゆん面接が終わったあとに太郎は「練習で用意していた質問をされなかった」と言ってはいたが、確実に練習の成果があったと感じた。さっそく、特別支援学級の先生に面接報告の電話をした。太郎がハキハキと大きな声で答えていたことに驚いたと伝えたところ、先生はこう言った。「太郎くんは長い言葉で返事をしようとすると何を言っているのか自分で分からなくなることが多いので、短い言葉で大きな声で答えるように指導していたんです」先生の一生懸命さを、面接前は他人事のように感じていた自分を恥ずかしく感じた。太郎の限界を決めつけていたのかもしれない私はどこかで太郎の限界を決めつけていた。それは自己防衛でもあるのだと思う。今まで何度も、予想以上の太郎の限界を見ては心が痛くなっていた。その痛みを予測することで自分自身を守っていたのだと思う。しかし、それは太郎の可能性をあきらめているということにもつながっていると思った。どうせできないのだから、とか、できないことはしなくてもいい、とか、練習しても意味がない、とか、私はどこかで多様性というものを履き違えていたのだと思った。特別支援学級の先生が太郎を思う一生懸命さは、社会に出るにあたっての当然の努力を教えてくださっているようにも思えた。不登校、ひきこもり、人見知り、場面緘黙、苦手なこと、嫌いなこと、いろいろな特性や感情、状況が人それぞれあるのだけれど……それぞれ環境は違うけれど、各々の社会というものに出る日がいつかくると思う。今回の出来事は努力をするということの大切さにやっと向き合えたように思えた。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くんの通信制高校入学のための面接のエピソードをありがとうございます。太郎くん、よく頑張りましたね。太郎くんなりの努力、そして特別支援学級の担任の先生の熱意をもちろん感じますが、それらが一致した受験前の2日間だったんだろうと感じました。太郎くんは特性としてもおそらく1つずつ物事に対処するのが得意だという面も今回に通底しているようにも感じました。体育祭という心が最高にざわつくものが通り過ぎるのを待ち、そして、先生とあらかじめ約束していた「体育祭が終わったら面接練習」をしっかり守る律儀さもあるのだろうと思います。担任の先生からすると、これまでの太郎くんとの関わりの中で、気を付けることを厳選すると、「短い言葉で大きな声で」なのだとつかんでいらしたのですね。そこさえクリアできればと信じてくださっていた面もあるかもしれません。ともあれ、先生の要点を押さえた指導と、太郎くん側の心の準備とががっちり一致した体育祭後の面接練習だったのかなと想像します。機が熟した感じがしました。高校の入学のために学力試験や作文面接などさまざまなものが求められますが、そうしたものへの子どもたちの取り組み方は目を見張るものがあると感じています。義務教育である中学までとの違い、面接・作文・試験であれ自分でアクションを起こすことが入学の第一歩ということを子どもたちはよく分かっているなと思います。良くも悪くも、身近な大人からすると、“これまで通り”の展開なのではと予想してしまいますが、そうじゃない、本人なりの飛躍的な展開が出てくることも多いように感じます。太郎くんも自分の進路を自分でつかみ取るために、心の中でもいろいろと準備を進めてきたことが面接での様子から分かりましたね。成長を感じます。もちろん、狙う対象によってその“努力”や結果は変わってくるので、事前の準備(志望校決めなど)はとても重要ですが、本人なりの頑張りが発揮されそうなところ・本人が頑張りたくなるようなところを本人と一緒に考えていただいた保護者の方の尽力のおかげでもあり、“あとは本番で本人が頑張るだけ”までご準備ありがとうございましたと思うところです。そして、高校受験は人生の節目の1つでしかなく、今後もさまざま岐路が出てくると思いますが、今回の面接の手応えが、太郎くんにとってますます次の成長につながる経験となっているといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月10日「筆算は書いたら負け!」マイルールがたくさん!完璧主義の自閉症息子現在13歳の息子がASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(ODD)と診断されたのは9歳の時でした。さらに11歳でLD・SLD(限局性学習症)も分かりました。息子は幼い頃から、完璧主義。それゆえ目標が高く、無謀な目標を立ててはそれが「できて当たり前」と勝手なマイルールを作り、うまくいかないとイライラしてしまう様子がみられます。例えば、学校で算数の問題に取り組む際、筆算を書くスペースが設けられているのに「筆算を書いたら負け」というマイルールを作ります。そしてすべて暗算で解こうとしますが、うまくいかないことも多く、そのたびに怒り出すのです。「筆算を書けばいいんじゃない?」と言っても、息子には届きません。遊びの中でも、無謀な目標を立てることがあります。半日だけ練習して「プロのようにできるはず」と決めつけ、期待通りにいかないと「こんなに練習したのに!」と怒ります。当然プロのようにできるはずもないのですが、息子にとっては「当然できるべきこと」と思い込んでいるので、イライラした息子に八つ当たりされることもしばしばです。その他にも息子にはさまざまなマイルールがありますが、毎冬私を悩ませる「あるルール」があるのです。寒い!と言うのに防寒着は却下、乾燥肌で出血も薬は断固拒否……「冬でも夏服」な息子息子は8~9歳の頃から、「冬でも夏服」というスタイルを徹底するようになりました。低学年の頃は私が出した長袖やジャンパーを着ていたのですが、当時は「ちゃんとしなきゃ!」という過剰適応だった可能性はあります。その後、サッカーウエアのような上下のセットが格好いいと気に入り、そういうものを着始めてからはずっと同じような上下のセットばかりを着ていました。そして袖があるのが鬱陶しい(動きづらい)と言って、厚みのある服を嫌がるようになり、「冬でも夏服」スタイルが確立したのです。Upload By ユーザー体験談ただ、同時期に登校渋りも出ていた息子。学校へのストレスからこだわりが強く出たのかもしれません。冬でも半袖になってからは、寒さで「手がかじかむ!」と文句を言うのに、防寒着を勧めると「そんなのいらない!」と突っぱねます。手袋や上着を提案してもことごとく却下されるため、どうしようもありません。ゲームや縄跳びをしている時に、手がかじかんで思うようにコントロールできないことに苛立ち、私に八つ当たりしてくることもあります。「どうしたらいい?」と聞いてくるので、手袋をする、アームカバーをする、長袖を着る、ベストを着る、1度休んであたためてから再開する……などいろいろと提案しますが、「そんなのやっても無駄!」とバッサリ!何かしら理由をつけて全て却下されます。いつもそんな感じなので、私が何も言えないでいると、「聞いているの!?」と怒り、また「どうしたらいいの?」と聞いてくる無限ループです。この件に限らず、こちらが勧めるものを、素直に聞き入れたり、試してみたりすることはほぼありません。Upload By ユーザー体験談乾燥肌をかきむしり出血。絆創膏もはがし部屋には血痕が……また、息子はもともと乾燥肌で、冬になると特にひどくなります。皮膚が乾燥するとかゆくなってしまうので掻きむしることもしばしば。出血することもあります。でも、医師から処方された保湿剤があるのですが、これを「面倒くさい」と言って塗ってくれません。「塗らないからカサカサするんだよ」と説明すると、「分かってる!」と怒るのです。分かっているなら塗ればいいものを……。乾燥で皮膚が剥けてくると、その感触が気になりさらに剥いてしまい、出血するのでなんともかわいそうです。また、それが治りかけるとまた違和感を覚えて剥き始める……という悪循環。出血する度に私に「絆創膏貼って」と言ってくるのですが、少しすると絆創膏が鬱陶しいからと剥がしてしまいます。そのまま部屋を歩き回るので、時々床にはポツリポツリと血痕が……。どうにかして防寒と保湿をしてくれないかと悩ましい日々は長く続いています。ですが、中学生になって息子に変化がでてきたのです。Upload By ユーザー体験談少しずつ見えてきた変化息子の通う中学校には指定の制服があります。息子は現在も冬でも夏服を着ていくことが多いのですが、学校の行事などで上着の着用が義務付けられている場合は、しぶしぶ従うようになりましたUpload By ユーザー体験談また、家では相変わらずサッカーウェアのような上下を好んで着ていますが、友達と遊ぶ時などは、ゆったりした長ズボンを選ぶようになったのです。着心地とかっこよさを考慮するようになった息子、大進歩と言えると思います。乾燥肌に関しては、保湿剤を塗ることへの抵抗は続いているものの、掻きむしる頻度は減ってきました。今でも皮膚が剥けると気にすることはありますが、絆創膏を貼らなくても大丈夫な程度に改善されつつあります。このように変わってきた息子のマイルール。当時はどんなに言っても長ズボンを履いてくれなかったのに、自ら履く日がくるとは……と感慨深いです。どこかで妥協する必要があるという現実を、息子が少しずつ理解し始めたのかもしれません。今後も息子の成長を支えながら、彼自身のペースで問題に向き合う力を育んでいきたいと思っています。少しでも乾燥肌が良くなれば……という思いで、これからも保湿効果のある入浴剤を使い続けていきます(湯船に入るかどうかは息子の気分次第ですが)。イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)マイルールについての体験談をありがとうございます!お子さんのために、日々奮闘されている様子がよく分かります……本当にお疲れ様です。さて、発達の偏りのあるお子さんは、良くも悪くも「完璧主義」になりがちです。 「筆算を拒んで暗算を貫く」「冬も半袖で過ごす」といった行動も、しばしば見られます。完璧主義になる理由はさまざまで、「途中で折れると負けた気がする」「一定の手順でないと落ち着かない」「いつも同じ服だと安心する」「長袖が首や手首に触れる感覚がイヤ」などがありますね。 感覚過敏やこだわりがベースにあることがあります。感覚過敏というのは、特定の音や感触に過敏に反応することで、発達の偏りがある方にしばしば見られます。また、筆算のルールや手順が複雑に感じられ、苦手意識を持っているケースもあります。暗算のほうがシンプルで、自分のペースで計算できるため、安心感があるのかもしれません。 そういった場合は、「やってみたら簡単だった」「楽だった」という小さな成功体験を積んでいくといいでしょう。 ただ、余裕がない時は素直にアドバイスを受け入れられません。また、お子さんのやり方を否定してしまうと良くないので、お子さんのやり方には理解を示しながら、別のやり方も提案してましょう。お子さんの機嫌が良い時、余裕のある時に「試しにこれを筆算で解いてみない?」「この長袖の服を着てみない?」と声をかけてみるといいのではないでしょうか。なかなか一朝一夕にはいきませんが、根気よく続けていきましょう。冬も半袖で過ごすのは、体感温度や寒さに対する感覚がほかの人と少し異なっていたり、服の素材や着心地にこだわりがあり特定の服しか着られないといった場合が多いようです。直接肌に触れる肌着を快適なものにすると、比較的落ち着くこともありますが、大きくなるにつれて服の見た目の好みなども出てくるので難しいところですね……。さて、スキンケアについてもお悩みなのですね。今回の体験談ではすでにいろいろと試行錯誤してくださっているのですが、一般論としてアドバイスをさせていただきますと……まず、乾燥肌や敏感肌、アトピーのあるお子さんには、ゆったりした服や、木綿などの肌触りのいい肌着を試してみてください。タグが肌に触れないものですと、なおいいですね。保湿剤やお薬を嫌がって塗ってくれない場合は、第一に、軟膏がなぜ必要なのかを根気強く説明することが大切です。納得してくれない場合も、中学生くらいまでなら保護者の方が塗ってしまったほうが確実かもしれません。言うは易しで、保護者の方は本当に毎日大変だとは思うのですが、日によって塗ったり塗らなかったりすると、「結局良くならない」という思いを強めてしまうことがあるのです……。また、状態に合わせてお薬を皮膚科で相談することも大切です。2週間前に出してもらったお薬が、今の状態に合わない、ということもあり得ます。「かゆい」というつらさを、「すぐに取ってくれない」=「無駄」と思ってしまっている可能性もあるので、炎症やかゆみがひどくなっているようであれば、お薬についても相談してみましょう。今の状態に合わせて処方されたお薬ということであれば、「お薬を使ったほうがいい」という言葉に説得力が増します。お薬を塗ったときの感触が苦手であれば、軟膏やクリームなど、お薬のタイプについても相談してみましょう。「お薬を使ったら本当によくなった!」という体験を重ねると、素直に使ってくれるようになるケースも多いものです。保護者の方の毎日の努力と、お子さん自身の成長で、お困りだった「こだわり」から少しずつ抜け出せているのですね。とっても素晴らしいことだと思います。今回のお話が、少しでもお役に立てたら幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月09日発達障害グレーゾーンの子ども、学校での支援や配慮はどうなる?発達障害のグレーゾーンとは、定型発達と発達障害の間の境界領域を指すときに使われます。明確な定義はありませんが、医学的な診断基準は満たさないものの発達障害のいくつかの特性がみられ、その特性により日常に困難がある場合使われることがある言葉です。子どもが学校で困りごとがあるけれど、発達障害の診断がない、または「グレーゾーン」と言われている場合、不安や疑問を感じる保護者は少なくありません。「診断がなくても、支援を受けられるのか」「どこまでお願いして良いものなのか」などと悩む人も多いのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。小学4年の自閉症グレーゾーンの息子がいます。今まで普通級でみんなと同じようにやれてきています。でも、やはりしんどい部分はあるようで、家では荒れたりしています。今まで何とかやってこれましたが、次は高学年なので、ますますしんどくなるのでは、と思っています。今回はそのような発達障害グレーゾーンのときの学校との連携について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。発達障害グレーゾーンのとき、学校で合理的配慮を受けられる?A:特に「診断がない場合」にどのような配慮や支援を受けられるかは、お子さんの状態や困りごとだけでなく、学校の環境や人員によっても変わってきます。合理的配慮については、合理的配慮が定められている「障害者差別解消法」の中では「障害のある人」を対象としています。合理的配慮は、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための、個別の調整や変更のことです。法律上、合理的配慮の対象者に診断書の提示は必須とされていませんが、実務上は診断書や障害者手帳等の提示を求められることがあります。そのため、医学的な診断がなく「障害のある人」に該当しない場合には、合理的配慮としての調整が難しいこともあるかもしれません。例えば、「入試の解答時間を延長してほしい」など、入学や進路に大きく影響するような場合や学校の負担が大きい場合などには、診断書や医師など専門家の意見書、検査の結果が必要なこともあります。本人が何に困っていて、どのような支援が必要なのかを客観的に示したほうが、配慮を受けやすくなることもあるでしょう。一方で、お子さんが学校で困っていることがある場合には、診断がなくとも学校への相談は可能で、状況に応じて配慮や支援を受けられる場合もあります。例えば、学校や教室の状況にもよりますが、日々の学校生活の中で先生の負担が比較的小さい範囲でできる支援もあるかと思います。・座席を前のほうにしてほしい・授業の予定変更がある場合や教科書の何ページを開くかなど、口頭指示だけでなく黒板にも書いてほしいなどこのような支援は、診断がなければ相談できないことはなく、診断の有無にかかわらず、先生と相談していくと良いでしょう。保護者の中には、学校へ支援や配慮の相談をすることに不安を感じる人もいるかもしれません。まずは連絡帳に書いて先生へお伝えし何度かやりとりをした後に、対面で相談の機会を設けるという方法も1つの選択肢です。また担任だけでなく特別支援教育コーディネーターや養護教諭など、保護者自身が相談しやすい方を窓口にするのも良いと思います。Upload By 発達障害のキホンまとめ:さまざまな合理的配慮の例を参考にしてみよう保護者が合理的配慮のいろいろな事例を知ることも、わが子に合う支援を見つけていくことに役立つかもしれません。内閣府が合理的配慮の例をインターネット上で公開しているので、参考にしてみても良いでしょう。◇参考:合理的配慮等具体例データ集合理的配慮サーチ|内閣府(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月08日小学校入学までにやっておくべきことは?わが家の入学準備Upload By プクティわが家が一番初めに行った小学校の入学準備は、勉強の習慣をつけることでした。小学校に入ると、座って学習する時間が多くなり、宿題も出るようになります。ASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われていて、新しい環境に慣れることに時間がかかるわが家の長男。幼稚園に入園したばかりの時は、毎日大泣き大暴れで大変でした。その記憶が脳裏によみがえった私は、小学校入学前に少しでも慣れておこう……!と、まずは自宅で机に向かう習慣をつけることにしました。Upload By プクティわが家が取り入れた勉強は、ひらがな練習と算数(そろばん)の2つです。当時通っていた児童発達支援施設でも、文字や数字については教えてもらっており、理解の土台ができているところからのスタートだったのでありがたかったです。長男はテレビゲームが大好きだったので、勉強が終わったらテレビゲームができるという決まりにしました。最初は促されてしぶしぶやる……という感じでしたが、繰り返すうちに段々と習慣化され、最終的には親に言われるまでもなく、朝起きたらまず勉強するという姿勢が見られるようになりました。生活リズムを小学校モードに!早寝早起きを始めるUpload By プクティそして次に行ったのが、生活のリズムを変えることでした。当時、長男は保育園に通っていましたが、朝はそれほど早く行く必要はなかったので、ゆっくり起きても登園の準備を整える時間は十分にありました。しかし、小学校に入学すると、それまでと同じ時間に起きていたのでは登校時間に間に合わないため、早起きする必要がありました。そこで、入学する数か月前から夜9時までには必ず寝て、朝は7時には必ず起きるという早寝早起きのリズムをつくるよう心掛けることにしました。長男は元々体力があるほうで、睡眠にも困り事がなかったので、寝るのも起きるのも苦労せず、すんなりとリズムに慣れることができました。ありがたかった小学校の配慮。入学式は予行練習でスムーズにUpload By プクティそしてありがたかったのが、小学校側が入学式の予行練習を提案してくれたことでした。長男は初めての場所や集団にはなかなか入ることができないので、予行練習で会場の下見ができ、通る道や座る席を確認できたことで、入学式当日は嫌がらず式に参加することができました。入学準備の大切さを実感した1年。スモールステップで自信を育んでUpload By プクティこのように、就学前に家庭でできることに取り組み、前もって準備をしておいたことで、長男は小学校へ入学してからは特に問題もなく、学校生活に慣れることができたように思います。また、特別支援学級へ就学したことで、入学前から小学校とスムーズな連携が可能になり、入学式の予行練習などの配慮をしていただけたのかなと感じました。これからお子さんが小学校に入学される方は、たくさんの不安があると思いますが、ご家庭でできることから少しずつ、スモールステップで自信をつけて、学校ともうまく連携しながら、お子さんが楽しい小学校生活を送れるように願っています。執筆/プクティ(監修:新美先生より)小学校入学に向けて行った準備について詳しく教えて下さりありがとうございます。遊びが中心で自由時間も多い保育園・幼稚園の生活から、時間で区切られて机に向かう時間の多い小学校とでは、環境変化の大きさのインパクトがものすごいです。ASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある場合、環境に慣れるのに時間がかかるお子さんが多く、この大きな環境変化に向けては、準備がとても重要になります。プクティさんは、入学前から、おうちで座って学習する時間を設けたり、就寝・起床の時間を早めに学校の時間に合わせていったりされたのですね。これはとても良い取り組みですね。もちろん、どのお子さんもすんなり納得してこのように準備できるわけではないかもしれませんが、取り組めるところから徐々に生活を変化させていくのは、いきなり一度になにもかも替わってしまうよりゆとりがあっていいですね。参考にさせていただきたいところです。また、入学前に学校の環境や雰囲気に慣れるように、可能な範囲で見学・体験をしたり、初日のスタートがスムーズにいくように、入学式の下見・予行練習などをしておくというのもとても大切です。また、園生活と学校で変わること(たくさんありすぎるのですが)は、具体的に書きだして説明しておくとか、ルールや生活についてのマニュアルをつくるといったことも、環境変化の戸惑いを減らすのに役に立つでしょう。大きな環境変化に向けて、スモールステップでできるところから準備して行くのはとてもお勧めです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月07日知人宅ホームパーティーにお呼ばれ。特性のある4歳自閉症息子、連れて行ける……?たーちゃんが4歳の時、以前働いていた職場の方から、ホームパーティーにお呼ばれされました。ちょうどその日は花火大会があり、ご自宅から打ち上げ花火が見えるということで、「たーちゃんも連れておいで」と親子での参加を勧めてくれました。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)のたーちゃんを連れていくかはギリギリまで悩んでいました。赤ちゃんの頃から不安感が強く、場所見知りと人見知りがひどいたーちゃん。たーちゃんが喜びそうな場所に出かけても、大泣き、癇癪、「こわい!」と叫ばれUターンで帰ってくることも度々……。4歳になって少しは緩和してきたものの、たーちゃんが楽しんでくれるか、癇癪が起きないか、周りの人の迷惑にならないかは、外出前も外出後も未だに気がかりでした。Upload By みかみかんASD(自閉スペクトラム症)じゃなかったら、お出かけ前は「ハラハラ、ドキドキ」ではなく、「ワクワク」だけかもしれないのに……!と特性を恨むような気持ちもありました。しかし、せっかく誘っていただいたのだから、お世話になった人たちに大きくなったたーちゃんを会わせたい、と思いました。たまには苦手なことにもチャレンジしてみて、私とたーちゃんの成功体験になったら良いな、とも思いました。さらに、たーちゃんと仲良しのPくんとPくんママが来ることも後押しになり、親子でのホームパーティーへの参加を決めました。Upload By みかみかん練習した挨拶ができなかった息子。社交的な友人の子どもが羨ましくて……パーティー当日。たくさんの人が集まっている場で、やはりいつもより緊張している様子で私にべったりのたーちゃん。事前に練習していた「こんにちは」の挨拶も、一度もできませんでした。人の少ない部屋に籠りたがり、そこで跳ねたり走ったり……。対して、初めて会う人にも自ら挨拶をして、大人の輪に入って行く社交的なPくん。癇癪を起こさないだけで花丸!と言いたいところでしたが、Pくんとの違いを目の当たりにして、溜息がでてしまいそうでした。正直、Pくんが羨ましいと感じました。さらに、偏食のたーちゃんが食べられるものが用意してもらったBBQにはほとんどなく、持ってきたお菓子を食べたりしていました。反対に、初めての食べ物にもチャレンジするPくん。Pくんのママや友人たち、久しぶり会う職場の方との会話は楽しい。けれど、Pくんとたーちゃんとの差を感じずにはいられませんでした。Upload By みかみかん友人夫婦との会話で気づいた、たーちゃんの別の一面パーティー終盤、打ち上げ花火が始まった頃、たーちゃんは、友人夫婦とおしゃべりをしていました。何度かたーちゃんと会ったことがある二人でしたが、人見知りのたーちゃんが大人としゃべっているのは珍しい光景でした。Upload By みかみかん迷惑になってないかな、と話を聞きに行くと……。「たーちゃんは興味があることへの集中力がすごいね!」「知りたい!って気持ちも強くて、話していて面白いよ!」と、友人夫婦が笑顔で言ってくれました。「花火について教えていたら、すごくよく聞いてくれたんだ」「ちゃんと教えたことを理解しているみたいで、たくさん質問もしてくれたよ」「研究職に向いているよ!」と、たーちゃんに感心しているようでした。確かに、かなり集中して友人夫婦の話を聞いたり、質問をしています。たーちゃんが花火を好きだなんて知らなかった私は驚いてその様子を見ていました。Upload By みかみかんそして、友人夫婦の言葉を聞いて、Pくんとたーちゃんを比べてばかりいた自分を恥ずかしく思いました。「たーちゃんには苦手なことがたくさんあるけれど、得意なこともちゃんとある。そのままのたーちゃんで十分素晴らしいんだ」と改めて考えさせられました。いつもたーちゃんの傍にいる私は、視野が狭くなってしまっていたのかもしれません。たーちゃんのことを新しい側面から見てくれる方々に会って、私もたーちゃんも自信に繋がりました。パーティーに参加するのは親子共に勇気がいりましたが、チャレンジして良かったです。Upload By みかみかん後日、友人夫婦から一冊の本が届きました。花火のつくり方や歴史が載った絵本です。パーティーで打ち上げ花火を見て以降花火に興味を持ったのか、たーちゃんは私や夫の読み聞かせだけでなく、一人でもよくその本を読んでいます。子どもの苦手なことについ目がいきがちですが、得意なこと、興味のあることこそ、もっと見つけてあげたいなと思います。執筆/みかみかん(監修:新美先生より)素敵なエピソードを聞かせてくださりありがとうございます。場所見知り・人見知りが強いお子さんがいる場合、お子さんのためにも、その場の雰囲気のためにも、自分のためにも、皆が集う場所に参加するのをためらう気持ちになりますよね。そのため、以前の仲間と疎遠になったりするのもよくあることです。そんな中、思い切って参加してみたものの、やっぱりほかのお子さんと比べてわが子の言動が気になってしまって楽しめないということも実際あるかもしれません。でも、ご友人夫妻さんの視点がとてもすてきですね!!人見知りのたーちゃんが、打ち解けて花火のことで盛り上がって話せていたのも、ご友人夫妻さんがフラットな視点で話しかけてくれたからなのかもしれないですね。そして、たーちゃんの興味ある話題を引き出して、それをしっかり聞いてくれて、後日、花火に関する絵本まで送ってくれるなんて!!!うれしいですね。家族以外の人が集まる場に連れて行くのは、なかなか勇気も気力もいることですが、思い切って一緒に参加したことで、家族以外の人からの視点でお子さんのことを見てもらえ、たーちゃんの強みに気づけてよかったです。他人からそんなふうにポジティブに見てもらえると実感できて、親としても心強かったことと思います。いつか、友人夫妻さんの立場で他人のお子さんにもポジティブに関われる人になりたいなとも思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月06日「学びの多様化学校(不登校特例校)」のメリット、デメリットは?「IQ高ければ配慮はいらない」って…本当に?特別支援学級からの中学進学エピソードなど【2024年12月】小学校の在籍クラス、その先には中学校の進路先……就学、進学で悩まれる保護者の方も多くいらっしゃると思います。今回は読者体験談に加えて「就学先アンケート(小学校編)」「進学先アンケート(中学校編)」の結果や発達ナビ利用者から寄せられたリアルな声もご紹介!体験談も「学びの多様化学校(不登校特例校)」への進学体験談や、学区と国立大学付属の特別支援学級や特別支援学校で悩まれた方、「IQが高ければ配慮はいらない」と就学相談で伝えられて悩んだ方、「自立」に向けての進路先などさまざまな「就学・進学」のエピソードが満載です。なのははさんの息子さんは現在14歳。11歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。小学2年生の秋頃から、不登校、登校渋りが始まったそうです。そんな息子さんが進学した中学は「不登校特例校」。進学までの道のり、オープンスクールへの参加、実際に進学してみて感じたメリットデメリットなども振り返ってくださいました。また、進学先アンケート(中学校編)の結果や発達ナビ利用者から寄せられたコメントも紹介しています。皆さんがどんな進路選択をしたのかぜひご覧ください。小学校では知的障害特別支援学級を、中学校では「学区の知的障害特別支援学級」「国立大学附属の特別支援学校」「国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級」で迷われたというあきっちさん。どのようにして決めたのか、また進学後のご様子についても教えていただきました。こちらでは、就学先アンケート(小学校編)の結果や発達ナビ利用者から寄せられたコメントをご紹介。寄せられたリアルな声はこれから就学先を考える保護者の方の参考にもなりそうです。多動や癇癪がありこだわりが強く、4歳の時にADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断された息子さん。就学相談では通常学級+通級指導教室の利用を希望しましたが、「高IQだから配慮はいらないはず」と就学相談で一方的に決めつけられてしまいます……。小学校入学時から自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍し、学年や科目によって通常学級にも通うスタイルで、学校生活を送っていたまつさんの息子さん。まつさんは引越しなどで送迎が大変な日々でしたが「ここに通わせてよかった」と感じていたそうです。そして中学への進路を考える時期になり、まつさん親子の決めた進路先は……。学びの多様化学校(不登校特例校)、特別支援学級、通常学級……さまざまな就学、進学先12月に公開された読者体験談。通常学級や特別支援学級などのほかにも学びの多様化学校(不登校特例校)への進学などさまざまな進学先のエピソードが集まりました。発達特性のあるお子さまの就学、進学先はさまざまな選択肢があります。発達ナビ利用者から寄せられたアンケート結果やリアルな声なども参考にしてお子さまの過ごしやすい環境を選択できると良いですね。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月05日2024年4月リリース!「LITALICO発達特性検査」の特徴や、お子さまのサポートに活かすヒントをまとめてご紹介新しい年が始まりました。春の就学や新学期に向けて、「もっとお子さまに合ったサポートがしたい」「園や学校、医療機関との連携を深めながら、合理的配慮についても相談したい」とお考えの保護者の方も多いのではないでしょうか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。このコラムでは、LITALICO発達特性検査の企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当した公認心理師の井上雅彦先生のインタビューを中心に、LITALICO発達特性検査で分かることや、検査結果の活用のヒントなどを解説した記事をまとめてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性を、7の大分類と18の小分類に分けて測定します。本検査をご利用いただくことで、お子さまがどのような困りごとがあり、なぜ困っているのかを多面的に理解することができます。この記事では、LITALICO発達特性検査について、その特徴や対象となるお子さまについて、検査で分かること、受検方法などを分かりやすく解説しています。LITALICO発達特性検査に企画段階から携わっている公認心理師の井上雅彦先生は、「診断の有無にかかわらず、子どもの特性を理解し、対応方法や関わりの具体的な方法を提案できるツールが必要だと感じていた」と話します。この記事では、LITALICO発達特性検査ができた背景や、この検査で解決したい親子の抱える課題について、ご紹介しています。お子さま本人にとって障害となる困りごとや子育ての課題を解決するためには、お子さま本人の特性を理解し、その特性や困りごとに応じた対応方法を保護者の方や、園や学校などの周りの人が理解することが、とても重要です。この記事では、特性を検査するとはどういう意味を持っているのか、また、特性を検査することで、どのようにお子さま・ご家族の困りごとや課題をサポートしていけるのかについて解説しています。環境調整とは、お子さまが困りごとや困難さを感じる環境を整えることを指します。ストレスや困難が生じやすい環境を、お子さまに合わせて調整することで、心理的・行動的な困難を減らしていきやすくなります。また、お子さまの特性に適した環境を整えることで、課題や困りごとが軽減できるケースも多くあります。この記事では、お子さまのための環境調整のコツや、LITALICO発達特性検査の検査結果の活用方法を解説しています。園や学校はお子さまにとって、長い時間を集団で過ごす場所になります。しかしながら、集団での行動や学習、自立活動など、家庭とは異なる状況や困難が現れたり、家庭と同じようなサポートが難しかったりという場面も……。そのため、本人に合った環境やサポートの方法を、先生方と保護者が連携してつくっていくことがとても重要です。この記事では、LITALICO発達特性検査の検査結果を活用し、園や学校とスムーズに連携するためのポイントをご紹介します。子育てや福祉に関する窓口、教育相談の窓口などの相談機関は、ヒアリングや相談内容をもとに、保護者の方にアドバイスをする、適切な支援制度を紹介する、医療的な支援に繋ぐといった機能を持っています。その際に、重要になってくるのが保護者の方からの情報です。どのようなことに困っているのか、お子さまにどのような様子や行動の傾向がみられるか、保護者の方がどのくらい困難を感じているかなどを分かりやすく伝えることで、相談の具体性や、その先のサポートの適切さが上がります。この記事では、相談機関との連携の際に、どのように検査結果を活用できるかについて解説しています。発達が気になるお子さまの専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。医療機関での問診は時間が限られていることもあるため、事前にお子さまについての情報や、相談したいことなどをまとめておくとスムーズです。この記事では、医療機関との連携の際の検査結果活用方法についてご紹介しています。「検査結果を受けて、まずは何をすればいいの?」「サポートを試してもうまくいかない場合はどうすれば?」など、検査結果の活用についての疑問にお答えします。お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントを見つけてみてください。「LITALICO発達特性検査」で春からの新生活に備えてみませんか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性等を知ることのできるオンライン検査サービスです。お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。【受検方法】:保護者の方がオンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です【検査時間】:約30分(検査結果は回答完了後、すぐに確認いただけます)【検査価格】:2,970円(税込)※受検1回分の価格【対象年齢】:本検査の対象年齢は3歳~18歳です※就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合等は、19歳も受検することが可能です※本検査はお子さまの発達特性やその背景要因、適切なサポートの方向性に関する情報を提供するためのものであり、医学的診断を目的としたものではありません
2025年01月04日