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「ママ」より先に数字を覚えた自閉症の長男ASD(自閉スペクトラム症)の長男「ハジュ」は、興味の幅は狭いものの、一度ハマると本当に夢中になります。特に数字への関心はとても強く、日々の生活でも数字に関わる場面が大好きです。今回は、そんな数字大好きハジュの日常生活で起きたちょっと困ったことや逆に役立ったこと、数字に夢中になるあまり起こったエピソードをお話したいと思います。2歳になる少し前、ハジュが、じーっとテレビのリモコンを見つめていました。ボタンを押したいのかな?と思いましたが、どうやらリモコンにあるチャンネルの数字に夢中になっていたようです。それから、床に敷いていたパズルマットの数字を見つめるようになり、どんどん数字に惹かれていきました。この頃、ハジュはまだあまり言葉を話していなかったのですが、「これはハチだよ」「これはロクだよ」と教えているうちに、「あち(8)」「おく(6)」と話し始めたんです。なんと、彼の初めての言葉は「ママ」ではなく、数字でした(笑)。Upload By スパ山数字に夢中すぎて心配…ママ友たちから「早くから数字に興味があっていいね!」とうらやましがられることもありました。でも、私は次第に心配を抱えるようになったのです。ハジュの数字への興味は、ただの好奇心を超えて、どんどん深い没頭へと変わっていきました。すると、思いもよらない困りごとが……。世の中には数字があふれているので、外出時は、あらゆる場所で足を止められてしまうようになりました。駐車場、エレベーター、看板……。数字のある場所に吸い寄せられるので、道路の速度表示を見つけて飛び出しそうになることも。青ざめながら慌てて止めた経験も一度や二度ではありません。スーパーに行けば値札に大興奮、ホームセンターではメジャーコーナーに釘付け、駐車場の数字を順番に踏んで進むこだわり。さらに、エレベーターに乗れば、一度最上階から最下階まで行かないと気が済まない。これでは、日常生活がまともに進まないと感じるほどでした。数字というものが、こんなにも日常を支配する存在になるとは想像もしませんでした。Upload By スパ山数字が大好きな長男との毎日を乗り切る方法!ハジュが数字まみれで過ごしていた頃、わが家はカオス状態。次女が生まれ、長女の小学校入学と、目が回るような忙しさでした。でも、目を回している場合ではなかったので、何とかしなければ!と、私は奮闘しました。当時通っていたグループ療育の先生や専門機関に相談したり、インターネットで情報をかき集め、試行錯誤の日々。「これは良さそう」と思ったものは、片っ端から試しました。そんな中、特にハジュに効果的だったのが、残り時間が見えるタイマーとメモ帳でした。例えば、ハジュが数字に夢中になっている時、タイマーで残り時間を見せてあげます。そして、次の予定をメモ帳に絵で描いて「ほら、次はこれだよ」と伝える。数字好きのハジュにとって、時間も数字の一部だからか、タイマーには全く抵抗がありませんでした。むしろ、タイマーを見て納得して動いてくれるのです。もちろん、外出先にタイマーを持っていくのを忘れることもあります。そんな時のために、スマートフォンにも見えるタイマーのアプリをインストール!「あ、忘れた!」と思っても、スマホさえあれば何とかなります。今思えば、数字が好きなハジュだからこそ、時間も数字で管理するというのは、彼にピッタリの方法でした。Upload By スパ山どうしても譲れない時もある現在小学4年生になったハジュは、今でも数字が大好きです。愛読書は、3歳上の姉の数学の教科書。ゲームに夢中になってもおかしくない年頃ですが、ハジュはむしろ、算数ドリルに夢中です。こう聞くと、まるで勉強好きな秀才のように思われるかもしれませんが、実際は少し違います。彼が得意なのは、あくまで「算数」だけ。ほかの教科に対しては、あまり興味がないようです。それでも、ハジュにとって算数は特別なもの。問題が解ける喜びを感じる一方で、どうしても解けない問題が出てくると、時には癇癪を起こしてしまうこともあります。さらに、もっとドリルをやりたい!と要求がエスカレートし、こちらの予定を伝えても聞き入れてもらえないことも……。そんな時は、私も腹をくくって、彼が納得するまで付き合うことにしています。夜遅くまで問題を解いていることもありましたが、算数に対する熱意を発散させることも、彼にとっては大切な時間だと思っています。Upload By スパ山普段から頑張っているハジュだからこそ、この「算数熱」が彼自身のバランスを保つ手助けになっているのかもしれません。親として、その熱を尊重しつつも、少しずつ上手に付き合っていく方法を見つけていきたいと思っています。執筆/スパ山(監修:新美先生より)自閉スペクトラム症の特性の一つに興味の偏り、興味あるものへの没頭というのがあります。ハジュくんの数字への興味、算数熱について聞かせてくださりありがとうございます。パパ、ママよりも数字から話し始めるとは、筋金入りの数字オタクですね!!!飽きることのない数字への興味が算数熱につながったのですね。ゲームより算数の問題を解くほうが楽しいなんて羨ましく感じてしまいます。この、興味の偏りの向きは、なかなか周りがコントロールできないものですよね。算数が好きになってほしいとか英語が好きになってほしいといくら思っても、周りの思うようにはならないものです。興味がありすぎてそこから離れられずに危険だったり大変だったりすることもありますが、例えばハジュくんがタイマーで時間管理をしたように……興味の偏りをうまくつかって日常を回しつつ、好きなことをとことん楽しむ時間も十分に確保して楽しんでもらうことが生活の安定につながりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月12日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶUpload By 発達ナビ編集部2022年に国連から日本へと推進が通達され、大きな注目を集めているインクルーシブ教育。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで、推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第5回は、江東区家庭教育支援チーム、通称「江東もっく」の本田和恵さんにお話を伺いました。地域の特性を活かした「木育」プログラム――本日はよろしくお願いします。まずは、本田さんが代表を務める江東区家庭教育支援チーム、「江東もっく」のことから伺えればと思います。江東もっくがスタートしたのは、令和2年。江東区でも、家庭と地域や学校をつなぐ「家庭教育支援チーム」を設置しようという声が上がったのが、最初のきっかけです。家庭教育支援チームとは、子育て経験者や元教員やPTAなど、地域のさまざまな人や専門家によって構成されるボランティア団体。文部科学省の認可を受け、子育ての相談にのったり、親子で参加できる講座やワークショップ、地域の情報の提供などを行うものです。ただ、当時は家庭教育支援チームといっても、まだあまり知られていなくて、設立当初は本当に手探りの運営でしたね。――江東もっくは、「木育」を取り入れているのが、大きな特徴ですね。このアイデアは設立当初から?江東区は、江戸時代から材木業で栄えたという歴史を持ちます。木のある街の家庭教育支援なんだから、「木育」も入れよう、ということで、ここはすんなり決まったんです。江東もっくには3つのルームがあって、そのうちの1つが木育の部屋。「もっくプレイルーム」という名で、子どもが木を使って遊び、学べるルームです。――木の香りがいいですね。気持ちが落ち着きますよね。大人もリラックスできます。やすりをかけただけのなんでもない木でも、いろんな形のものを並べたり、積み上げたりするだけで、子どもたちは楽しそう。子どもたちの感覚を育てるのにも、いい影響があると感じています。保護者にも子どもと離れてリラックスする時間を――設立当初は手探りの運営だったということですが、苦労されたことがあれば教えてください。まず、立ち上げの時期はコロナ禍でしたから、「誰も来ない」なんてことも多かったですね。ただ、私たちのメンバーには、保育士、保健師、手話の先生、元校長や保護士、それから不登校の子どもを育ててきたお母さん、本当にさまざまなバックグラウンドを持った人が集まっています。いろんな人がいるからこそ、誰がきても大丈夫。みんなでアイデアを出し合い、手話のワークショップ、就学相談など、少しずつプログラムを決めていきました。――プログラムなどを決めていくなかで、本田さんがいちばん大切にされていたことはなんですか?私自身も子どもに発達障害があり、不登校になった時期も経験しています。子育て中のお父さん、お母さんが、休める場所を作りたいという思いはずっと強くありましたね。とくに障害のあるお子さんを持つと、子どもから片時も目を離せない、という保護者が多い。でも、親にとっても、自分の時間を持つことって大事なんですね。いい意味で、子どものことを忘れられる時間が必要だと思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――確かに、親になると子ども中心で、自分の時間はなかなかとりにくいですね。たとえば、今日は「おしゃべりハンドメイドの会」といって、おしゃべりしながらハンドメイド作品を作るワークショップを開催しました。参加したお母さんたちは、みんな途中から真剣に黙々と作業されていましたね。「久しぶりにこんなに1人で集中しました」という感想もいただきました。それこそが、私たちが大切にしたいこと。だから、「悩み相談」みたいなことはあまり掲げていないんです。――お悩みへのアドバイスなどもしない?ええ。アドバイスというより、ただお話を聞く。でも、ひとときでも子どもと離れる時間が、何よりのリフレッシュになるんだと思います。手を動かしながら夢中になって、可愛い作品を制作して。そういうことって、なかなか家庭ではできないですから。――お母さん、お父さんと離れられない子も、ここではすぐに慣れて遊び始めるそうですね。今日来ていた男の子も、最初は恥ずかしがっていましたけれど、もうあっという間に走り始めましたね。私たちはあまり声をかけず、子どもが自然に興味を持ったもので遊ぶ、というのがいいなと感じています。続けることで「場」が認知される――「保護者の支援の場を作る」ということも、江東もっくの活動の大きな目的ですね。保護者同士のつながりを作ったり、支援を推進するために必要なことはなんでしょう?まずひとつは、「続ける」ということでしょうか。私たちにも「誰も人が来ない」という時期がありましたが、「何のために活動しているのか」というところから、何度も話し合いをしました。対象年齢を区切ったほうがいいのではないか、という案も出ましたね。でも、やはり年齢や、障害の有無などでボーダーを作りたくない、というのが結論。いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい。喋っても喋らなくてもいい。そういう自由な場所にしたいな、と思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――続けていくためのポイントはなんですか?やはり助成金の話なども知っておく必要がありますね。「お金がない」で終わってしまってはもったいないです。私たちも補助金を受けられるようになったので、利用者の方から参加費をいただかなくても運営できるようになりました。メンバーには教育関係の専門家も多く、運営についての情報収集もみんなでできるのは心強いです。それから、この場所があるということもポイント。「今週もあるよね」って来てくれる利用者さんも多いんですよ。――メンバーのみなさんは、どのようなつながりでチームに参加されることになったのですか?元校長のつながり、PTA役員をしていた人の紹介など、志を持つ人同士の地域のつながりがベースです。心理カウンセラーの方もいるし、本当に多彩なメンバーです。ひとつ課題をあげるとすれば、メンバーの高齢化かな(笑)。IT関係はみなさんちょっと苦手なので、SNSの発信などは私が一人で担当しています。PTA活動から始まった脱・孤育ての取り組み――江東もっくが掲げる「脱・孤育て」というフレーズにも大変共感します!私が子育て中、PTA活動をしていたときから、「脱・孤育て」という言葉を使っていたんです。PTA活動って、忙しい保護者には敬遠されがちな面もあるかと思いますが、学年をまたいだ交流ができるから、本当にいろいろな情報交換ができるんです。子育ての悩みや経験談なども話せて、私自身もPTAで孤独な子育てを抜け出せた一人です。これをもっと広げていきたいな、というのが江東もっくの思いです。――そもそも本田さんがPTA活動に取り組もうと思われたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?子どもが1年生のときに「もしかして発達障害かな?」と、気になる様子が見えるようになったんですね。私はせっかちなのですぐに病院に行ったところ、診断が出ました。理由がわかれば、あとは対策をするだけ。学校生活が送りやすいようにと先生に相談をしたのですが、当時はまだ合理的配慮という言葉も知られていないし、先生の理解も得られなかったんです。子どもも学校に行けなくなってしまって。――まだインクルーシブ教育という概念もない頃ですね。そうなんです。でも、子どもがまた学校に通うには、学校全体で理解を深めてもらう必要がある、と痛感して。学校にいろいろお願いするなら、自分もできることをしなきゃいけない。それに親である私が、学校のことを何も知らないのではダメだな、とも考えました。それまでPTAへの興味はまったくなかったのですが、180度転換!PTA会長まで務めることになりました。――学校と話を進めるなかで、最も大変だったのはどんなことですか?人それぞれに考え方が違うことですね。わが子の障害を認めたくない、という保護者の方もいる。「障害=できない子」ではなくて、親や学校がちょっと動いてあげれば楽になる、生きやすくなることがたくさんあります。でも、なかなかそれが理解されないハードルは感じていました。だから、脱・孤育てにもつながりますが、保護者教育が大切なのではないか、と思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――保護者の方が情報を得られる場所が必要だ、ということですね。その通りです。孤独に子育てをしていると、なかなか情報も入ってこないし、一人で抱え込んで親子共に苦しくなってしまう。――PTA活動をするなかで、手応えを感じたエピソードがありましたら教えてください。子どもが不登校になる前に、担任の先生とうまく話し合いができないことがありました。それで、学校の全クラスの授業を見学したんです。そうすると、「もっとこうしたらいいのではないか」という点がたくさん見えたんですね。それをまとめて、校長先生に渡しました。すると、ガラッと学校全体の授業が変わったんです。校長先生がちゃんと向き合ってくれて、先生も研鑽をしてくださったんだな、と。――全クラスの授業を見学するのは、それだけでも大変ですよね。そのモチベーションはどこから?元々はわが子のためですが、学校に入ってみると困っている子がたくさんいることを目の当たりにして。そしたら、自分の子だけでなく、すべての子にとっていい環境になればいいな、と思うようになりました。どうせやるなら、みんなのために、という感じですね(笑)。アートで人々をつなぐ「アートパラ深川」――アートパラ深川の取り組みについても、教えてください。江東区には、東京オリンピック・パラリンピックの会場がたくさんありました。それで、アートのパラリンピックを江東区でやろう、東京工芸大学の教授が中心となって立ち上げたのが、「アートパラ深川」です。私は、最初の年はボランティアで、翌年から実行委員会のメンバーに加入しました。――多忙ななか、実行委員として参画することにした決め手はなんですか?やはり作品のすばらしさです。美術館でシーンと黙って鑑賞するのではなく、コミュニケーションを大切に、おしゃべりをしながらアートに触れられるのがアートパラ深川。観に来られたアーティストの皆さんと話をすると、本当にその内容がおもしろくて。全国公募をするのですが、全国から集まる作品を最初に拝見できる感動も実行委員の醍醐味です。――すてきですね。街を歩くように、おしゃべりしながらアートを観られるんですね。はい、深川の街中を美術館にしようという試みですから。今年で5回目を迎え、認知度も上がってきました。『共に生きる』社会をめざすという趣旨に賛同して協力してくださる企業も増えています。多様な人々が当たり前に共に暮らす社会へ――江東もっく、PTA活動、アートパラ深川、どの活動にも共通する本田さんの教育観についても教えてください。アートパラ深川のコンセプトは、共生社会。ただ、残念ながら、現在の社会のあり方はまったく共生社会にはなっていない。口で言うのは簡単ですが、どう実現していくかですよね。学校も、特別支援学級と通常学級って分断されていて、もっと一緒にやる機会を増やすべきだということは、ずっと言い続けてきました。障害のある子もない子も一緒にいるのが当たり前の環境だったら、特別扱いもしないし、どういう助けをしてあげたらいいかが自然に身につくはずです。大阪でも実践している学校がありますね。――『みんなの学校』という映画にもなった、大阪市立大空小学校ですね。ええ。実現できている学校もある。でも、多くの場合、学校でも社会でも分断されてしまっているから、たとえば親切のつもりで車椅子に勝手に押してしまったりするようなことが起こるんです。車椅子って、その人にとっては体の一部のようなもの。急に体に触られたら誰だっていやですよね、そういうことが想像できなくなってしまう。――どういう手助けが必要なのかわからない、ということは多いと思います。なんでも手助けすればいいわけではなくて、必要なのは心配りなんだと思うんですよね。多様な人々が当たり前に共生する社会の実現のために、共に生きる場をもっともっと増やしていかなければ、と思います。Upload By 発達ナビ編集部――本日はありがとうございました!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月11日こだわり強めのASD(自閉スペクトラム症)小5息子、怒ると「出ていく!こんな世界嫌だ!」と癇癪現在小学校5年生の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けています。基本的には優しい性格で、車が大好きです。ただ、許容範囲が狭めで、怒ると大きい声で「出ていく!こんな世界嫌だ!」と言うなど、癇癪が出てしまいます。また、マイルール=こだわりが強いという面があります。例えば『宿題をしなくてはならない』という、一見(それならいいことなのでは?)と思えるようなマイルールがあるのですが、これは体調不良でも、疲れていても眠くても、絶対に絶対にやらなければならないと決めているので厄介です。宿題がどうしてもできない……となると怒ってしまい、どうにもなりません。「具合が悪いときはやらなくていいんだよ。やめていいんだよ」と説得しても聞いてくれず、大変です。また、学校では勝ちにこだわり、負けたらその後の授業に参加ができず、教室にこもってしまうこともあります。Upload By ユーザー体験談そんな息子は、幼稚園の頃からスクールバス通学。バスが好きなのでそれはいいのですが、つい先日、このバス通学に対して息子のこだわりが出て、トラブルがおこりました。「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」突然玄関から聞こえた声息子は、朝ごはんをのんびり食べがちです。そしてもうすぐバスの時間だと大急ぎで準備をして、時間ギリギリセーフ!が日課なのですが、その日は余裕でごはんを食べ終わり、私は「今日はせかさなくてもいいわ~、良かった~♪」と思っていました。そして登校準備を済ませた息子が玄関を出た時のことです。「もう学校行かない!やだ!一生行かない!」と、突然息子が大声で怒鳴り散らす声が聞こえてきたのです。機嫌が良かったのに、何事!?私は慌てて息子の様子を見ました。Upload By ユーザー体験談興奮して、肩で息をしている状態の息子。タブレット、ランドセルを投げて……わが家の前には道路があり、その道路の反対側にバス停があります。扉を開ければバス停が見えるのですが、その時バスが定刻より早く着いていたのです。どうやら『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というマイルールがあったようで、バスが見えた瞬間、息子はパニックになってしまったのでした。息子はすぐ室内に引き返し、手に持っていたタブレットをクッションの上に、そしてランドセルも床に投げました。とても興奮して、肩で息をしている状態です。室内にいた幼稚園年長の妹は、兄の怒鳴り声を聞きいて両耳を両手で押さえていました。妹は兄が癇癪を起こす様子は見慣れているものの、少し怯えていましたので、私は妹を抱きしめ「大丈夫だよ。バスが早く来てたから怒っちゃったみたい」と伝えました。その後私は運転手さんのところへ向かい、今日はバスに乗りませんと話しました。バスに乗っていたほかの児童や運転手さんは、何事なのか不思議そうにこちらを見ていました。きっとバスの中でも息子の怒鳴り声が聞こえていたと思います。申し訳ないやらいたたまれないやら……なんとも言えない気持ちでした。「行きたい」「でもやだ」「こわい」独り言を言う息子。でも、自分で立て直そうとする姿に感動リビングで怒っていた息子に対して私は「学校行かなくてもいいよ。休んだら?」とだけ言って、あとは何も声をかけずクールダウンするのを待ちました。こんな時にさらに声をかけると、どんどんヒートアップしてしまうからです。私は(仕事は遅刻確定だな……)と諦めました。息子はしばらく突っ伏したり、うろうろしたりしていました。そして、「行きたい」「でもやだ」「こわい」と独り言をぶつぶつ。怒りでいっぱいだった気持ちが弱くなり、そして自ら深呼吸をして自分を落ち着けているようでした。Upload By ユーザー体験談その後息子は「学校へ連れていって」と自分から私に言ってきました。私は「分かった」と車で息子を学校へ連れていきました。今までは一緒に昇降口まで行き、担任の先生に迎えにきてもらって教室に行っていた息子でしたが、今回は「一人で大丈夫」と、車から降りて一人で昇降口へ入って行きました。こだわりから癇癪を起こしてしまったけれど、その後自分でクールダウンして、一人で学校へ入って行った息子の後ろ姿を見た私は、(小さい頃はこんな風に一人で落ち着けなかったのに……まだ困ったことはあるけれど、息子はどんどん成長しているんだな。すごいな)と、とてもとても感動しました。Upload By ユーザー体験談そういえば、最近は勝ちへのこだわりも少なくなり、応援したりできる場面も増えたように思えます。いつも気持ちを立て直すことができるとは限りませんが「まぁいっか!」と思えることがどんどん増えていってくれればこんなに嬉しいことはありません。『バスよりも早くバス停に着いていないとダメ』というこだわりが出て今回はパニックになってしまいましたが、こういうことも今後は少しずつ減っていくのかもしれないなと思った出来事でした。イラスト/星河ばよ※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:井上先生より)投稿者の方も書いていらっしゃるように、思わぬ癇癪というものは100%防ぎきることはできません。ですが、なってしまったあとに親御さんも冷静に対処して、ご本人も一人で時間をかけながら落ち着くことができて本当によかったと思います。こうした経験を積み重ねていくことによって、イレギュラーなことに対しても少しずつ対応できるようになっていくことでしょう。年齢を重ねていく中で、一人で落ち着けるスキルを身に付けていけるといいですね。日々の出来事の中では大変なこともありますが、少し長い目でも見ながら子育てしていけるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月10日発達障害のある娘の1人行動。どこまで許可したらいいの?タイミングは?広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学2年生。現在娘は、歩いていける場所、道が分かる場所であれば、1人で外出します。また、何度も行ったことのあるショッピングセンターでは、家族と別行動して、1人で買い物もします。Upload By SAKURA発達障害あるなしに関わらず、子どもの1人行動をどこまで許可するかというのは、親にとって悩みどころ。許可する年齢や、範囲は家庭によってさまざまです。特に発達障害がある子の場合、特性の内容も違うため、年齢では判断できません。今回は、娘がいつ、どのタイミングで、どれくらいの1人行動をするようになったかの話をしたいと思います。娘は、小学校に入学した当初、登下校にスクールバスを利用していました。バスが止まる場所は、家から徒歩10分ぐらいのところだったので、1人で歩けるようにと付き添い、練習したのですが……。Upload By SAKURA何か注意を引かれるものがあると、止まってしまったり、前を見ず歩いたりするため、朝はバスの乗り遅れを防ぐため、1人で行かせることを断念しました。そのうちに、長男が保育園に通うことになったため、朝は2人一緒に学校に送ることになりました。スクールバスは帰りのみの利用になりましたが、それでも私の心配はつきませんでした。まず、無事にバスに乗れるかが心配でした。もし、乗り遅れたとしたら、それは娘にとって不測の事態です。娘は、小さな頃から、予測不能の事態が苦手。パニックを起こしていないか、どうしていいか分からないのに、誰にも助けを求めず、その場に一人佇んでいないか、私はとにかく不安でした。Upload By SAKURAバスに乗れたとしても、その先も心配でした。バスから降りる場所は、家のすぐそばで、徒歩2、3分でしたが、それでも私は気が気ではありませんでした。バスの時間は正確ではなく、10~20分遅れることもありましたが、私は家の前の道まで出て、バスをずっと待っていました。そのうち娘が、Upload By SAKURA私が待っていることを嫌がるようになりました。本心を言えば……無理に決まってる!ですが……せっかく娘に自立する心が芽生えているのに無視するのはよくないと思い、Upload By SAKURA次の日から、隠れて娘を見守り、何も知らなかったふりして、娘を褒めるというパターンになりました。そのうち、娘が少しずつ周りを見るようになったことに気がつき、これなら、1人で大丈夫かも……と思えるようになり、こっそり見に行くのをやめました。小学2年生からは、短時間の留守番を頼むように小学2年生からは、放課後等デイサービスの利用が始まり、朝は私が車で送り、帰りは放課後等デイサービスの送迎があったため、1人で歩くことはなくなりました。この頃から私たちは娘に、短時間の留守番を頼むようになりました。Upload By SAKURA誰か来ても、例え知っている人でも鍵を開けないことを約束させ、20分、30分、40分と留守番の時間を増やしていきました。小学4年生になる頃、数時間の留守番ができるようになっていたので、夫の提案で、1人外出の練習を始めることになりました。Upload By SAKURA最初は、近所の自動販売機まで。思った以上に娘はノリノリで、喜んで1人で出発しましたが、待つ間、私はソワソワしっぱなしでした。Upload By SAKURA鬱陶しいほどに心配し、夫は呆れていました。片道15分ぐらいの道だったので、娘は30分ちょっとで帰宅しました。Upload By SAKURAこのおつかいを、私は今でも忘れません。娘の成長を感じた瞬間でした。おつかいをきっかけに、増えていった娘の行動範囲そのおつかいをきっかけに、娘の行動範囲は増えていきました。学校への迎えが遅くなる時、学校に近いおばあちゃんの家まで歩いたり……近所のコンビニまで行ったり……ショッピングセンターで別行動したり……時間を決めて、お店で待ち合わせしたり……回数を重ねるたび、私の娘に対する心配度は減っていきました。中学2年生の今は、1人行動の心配もほとんどありませんし、丸一日の留守番も、安心して任せることができます。留守番中、家事もこなしてくれるので、とても助かっています。Upload By SAKURA私たちが住んでいる沖縄県は、電車がなく、家は田舎でバスの本数も少ないため、公共の交通機関を使って、1人で行動したことはまだありません。しかし娘も、もう1年半ほどで、高校生。高校生になると、公共機関のバスを使って学校に通うことになります。まだ1人でのバスは未経験なので、中学生のうちに練習したいと思っています。執筆/SAKURA(監修:井上先生より)スモールステップで少しずつ一人でお留守番したり外出したりする練習をされたことと、それを始められるタイミングもお子さんの気持ちを尊重されたのが良かったと思います。一人での外出を何歳から始めるかはお子さんの状態やご家庭の事情だけでなくその地域の環境も関係してきます。特に女の子の場合は、夜道や人通りの少ない道を避ける、携帯電話などで通話をしているふりをして通り過ぎるなど、時間帯や道順などにもルールを決めて進めていくことが大切だと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月09日自閉スペクトラム症の弟と暮らす兄、謎の少年が織りなすヒューマンサスペンス!TBS系金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」10月11日(金)スタートUpload By 発達ナビニュースTBSドラマ初主演の柳楽優弥さん、今注目の若手俳優・坂東龍汰さんの初共演が話題のTBS系金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」が10月11日(金)よりスタートします。小森洸人(柳楽優弥さん)は、市役所で働く真面目な心優しい青年。両親を事故で亡くした後、ASD(自閉スペクトラム症)の弟・美路人(坂東龍汰さん)と共に暮らしています。変化が苦手でイレギュラーな出来事への対応が難しい美路人に合わせて、洸人も日々決まったルーティーンの中で平穏に過ごしていましたが、「ライオン」と名乗る謎の男の子と出会ったことをきっかけに、2人は“ある事件”に巻き込まれて……というストーリー。本作は兄弟の絆や繋がりを描くヒューマンドラマでありながら、先が読めない展開でサスペンス的要素もある完全オリジナルドラマです。脚本は、火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』や『おっさんずラブ』シリーズを手掛けた徳尾浩司さん、そして今回が連続ドラマデビュー作となる一戸慶乃さんが共同で担当します。きょうだいの前に突然現れた男の子「ライオン」は何者なのか、いったい誰が、なぜ彼をおいていったのか?戸惑いつつも徐々にライオンを受け入れていく中で、洸人と美路人の関係性にも変化が……?どんな境遇にあっても「大切なものを守りたい」と願う人々の、家族愛にあふれたドラマをぜひご覧ください。【詳細】放送予定:2024年10月11日(金)スタート(毎週金曜22:00放送)脚本:徳尾浩司、一戸慶乃出演:柳楽優弥、坂東龍汰齋藤飛鳥、佐藤大空、柿澤勇人、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、桜井ユキ、岡山天音/でんでん、向井理 ほか※クリックすると、発達ナビのWebサイトからTBSテレビのWebサイト 金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」ページに遷移します。フリースクール運営NPO法人・見晴台学園「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」10月12日(土)~13日(日)愛知県立大学長久手キャンパスにて開催Upload By 発達ナビニュース愛知県名古屋市でフリースクールなどを運営する「見晴台学園」は、LD・SLD(限局性学習症)の子どもの父母による”手づくり教育”の先駆けとして、1990年に無認可の5年制の「高校」から始まりました。その後NPO法人となり、卒業後の生活・自立をサポートする「自立支援センターるっく」を開始、2013年10月にはさらなる学びの場として「NPO法人見晴台学園大学」を開校しました。この度開催される「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」は、2023年の見晴台学園大学創立10周年、そして第32回「ペスタロッチー教育賞」受賞を記念して、洲崎福祉財団助成事業として企画されたものです。※「ペスタロッチー教育賞」は、広島大学などにより、毎年優れた教育を行っている人や団体に、スイスの教育思想家「ペスタロッチー」にちなんで贈られている賞です。2日間にわたって行われるイベントのオープニングを飾るのは、海洋ゴミで楽器をつくる“海洋ゴミ楽器集団”「ゴミンゾク」によるバリアフリーコンサート。その後も、全国各地で先駆的な活動を行っている方々によるシンポジウムや、ワークショップ「聞いて、食べて、体験してきゃ~!名古屋名物“青柳ういろう”を深堀り」、見晴台学園大学10周年記念の実践報告など、気になるプログラムが満載です。障害のある青年たちの「大学教育」「社会参加」「自己実現」といった、豊かな人生のあり方について知見を深めると共に、さまざまな立場の方と交流し、コミュニティを広げる機会です。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【詳細】開催場所:愛知県立大学長久手キャンパス開催日時:2024年10月12日(土)~13日(日)参加費用:一般3000円(当日受付は+500円)障害者・学生無料(ただし大学院生は含まず)Upload By 発達ナビニュース※クリックすると、発達ナビのWebサイトからPeatixのWebサイト「知的・発達障害青年の自立と学びを考える全国フェスティバル」ページに遷移します。産官学の体験型コンテンツを多数展示!「みんなの脳世界2024~超多様~」10月12日(土)~13日(日)開催Upload By 発達ナビニュース最近よく聞く「ニューロダイバーシティ」という言葉。経済産業省のWebサイトによると以下のように定義されています。ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念でもあります。個人の特性の違いを尊重しながら、一人ひとりがそれぞれの場所で各々の「ちから」を発揮できる社会の構築を目指して発足した「ニューロダイバーシティプロジェクト」。その取り組みの一つとして開催されるイベント「ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGE TOMORROW-」の中で、「みんなの脳世界2024~超多様~」の体験型展示が10月12日(土)・13日(日)に行われます。本展示では、5つの展示エリア(多様な世界・多彩な世界・個の拡張・環境の調整・社会の創造)を巡りながら、私たちは「個人」と「環境」の相互作用で構成されている「脳世界」に生きていること、私たちは「超多様」な存在なのだということを、さまざまなアプローチから体験することができます。例えば、「多様な世界」エリアでは、実際に脳波計を付けて画像を見て、画像のどの要素に着目していたのかを脳波で捉える「あなたのモノの見方」、「多彩な五感」エリアでは、ASD(自閉スペクトラム症)の方に多く見られる感覚過敏が体験できる「ASD知覚体験シミュレータ」などがあります。「個の拡張」エリアでは、色覚特性を持つ人の色覚補助ツールや多様な色の見え方を体験できる「色のめがね・色のシミュレータ」、「環境の調整」エリアでは、環境の変化が個人の強みや弱みにどのように影響するのか、”ちょっと変わった三輪車”で体感できる「環境によって変わるってどういうこと?」などがあります。また、「社会の創造」エリアでは、お子さまを特性から理解する「LITALICO発達特性検査」の展示もしていますよ。Upload By 発達ナビニュースたくさんの展示の体験を楽しみながら、ニューロダイバーシティへの理解を深めるきっかけにしてはいかがでしょうか。日時:2024年10月12日(土)~13日(日)11:00〜17:00場所:東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー1 階ポートホール 東京都港区海岸 1-7-1入場料:無料 「ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGE TOMORROW-」内で開催※クリックすると、発達ナビのWebサイトから「みんなの脳世界2024~超多様~」のWebサイトに遷移します。映画『まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~』10月18日(金)より公開!レジェンド声優11人が歌うエンディング曲「Get in touch!」もUpload By 発達ナビニュース一般社団法人Get in touchのエンターテイメント集団「まぜこぜ一座」による映画「まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~」が、10月18日(金)より全国の劇場で公開されます。一般社団法人Get in touchは、誰も排除しない「まぜこぜの社会」をめざし、2011年に俳優の東ちづるさんらが中心となり活動をスタートしました。2017年には、車椅子ダンサー、全盲のシンガーソングライター、義足のダンサー、ドラァグクイーン、こびとレスラーなど、多様なパフォーマーからなる「まぜこぜ一座」を旗揚げ。今回公開される映画は、「まぜこぜ一座」の舞台『歌雪姫と七人のこびとーず』の公演後に起きた座長・東ちづる殺人事件をドラマチックに描いたサスペンス仕立てのストーリー。事件の真相に迫るうちに見えてきた劇団員たちの不満と本音、果たして犯人はーー。笑いと涙、極上のエンターテイメントの背後にあるメッセージに、観た後はモヤモヤしてしまうかも!?ほとんどの俳優が本人役で出演するというユニークな設定の映画本編はもちろん、三ツ矢雄二さん、山寺宏一さん、日髙のり子さんほか11人の超豪華声優陣が無償ボランティアとして参加したエンディングテーマソング「Get in touch!」も必聴です!Upload By 発達ナビニュース【詳細】映画「まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~」10月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森他、全国順次公開監督:齋藤雄基企画・プロデューサー:東ちづる脚本:エスムラルダ出演:東ちづる、大橋弘枝、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以 / 石井正則、芋洗坂係長、山野海※クリックすると、発達ナビのWebサイトから映画『まぜこぜ一座殺人事件~まつりのあとのあとのまつり~』のWebサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月09日自閉症中2息子、将来なりたいものはある?Upload By かなしろにゃんこ。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の息子リュウ太は小さい時から電車と車が大好きで、その話ばかりしているような子どもでした。中学2年生の秋に「来年度は進路を決めることになるけど、何かやりたいことあるの?」と聞いてみると「将来は、鉄道関係か車業界の仕事がしたいかな~」と言いました。ちょうどオープンスクールの時期だったこともあり、見学を兼ねて行ってみることにしました。Upload By かなしろにゃんこ。向かったのは、自宅から電車で40分、都心にある私立の高校です。見学した当時、普通科と鉄道の運輸科、自動車の整備を学ぶ機械科の3つの科がありました。その高校のオープンスクールでは、学生が作るお好み焼きや焼きそばやなどの屋台があって、老若男女さまざまな人が集い、楽しい雰囲気でした。運輸科では鉄道サービスを学ぶカリキュラムについて、機械科では自動車の仕組みをじっくり学んでいくカリキュラムについてなど、生徒の方々が丁寧に説明してくれました。実際に授業で使っている機械や道具、教室も見ることができました。Upload By かなしろにゃんこ。「もうすぐ受験なんだから」「勉強しないと!」と言われてもピンと来ていなかったオープンスクールがきっかけとなりリュウ太は進路を真剣に考えるようになったのですが、数年後にこの時どう思っていたのか本人に聞いてみました。リュウ太は「オープンスクールスクールに行く前は『もうすぐ高校受験なんだから進路を決めないと』『将来やりたいことはなに?』『受験に向けて本腰入れて勉強しないと!』とか親に言われても全くピンときてなかった。『受験』そのものがイメージできなくて、その時期が来たら流されるままになんとかするんだろうな、くらいにしか考えていなくて。まず受験って何をするのか、どんなことが待っているのかも分からないのに親が勝手に騒ぎすぎ!受験なんて経験していないから本当にリアルに感じられなかった」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そして「オープンスクールに行って学校見学をして『自分も進学したらこんな風になるのかな』とビジョンが見えたよ。興味がある学科とか学校を体感することで高校で何をやりたいか考えることができたかもしれない」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。そうなんだ、体験していないことを親が先回りして受験だからとアレコレ勉強しろと伝えても子どもって何も分からなかったし、感じてなかったのか!とこのとき初めて分かりました。そして、言葉よりも経験が必要だったのねとも思いました。中学2年生でオープンスクールで学校を見に行ったのは思いつきからの行動でしたが、もっと早くからほかにも学校見学をしていたら意識が変わって、何か違う道も開いたかもしれませんね。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、オープンスクールで見学した高校に進学したいと決めますが、成績や提出物などの問題で内申書的に難しく、担任の先生の判断でその学校を受験することを断念。代わりに自動車整備士を目指すための専修学校を目指すことにしました。オープンスクールで行った高校に入学することは叶いませんでしたが、このことがきっかけとなりリュウ太は好きなことを職業にしたいと専修学校に進み、その後その分野で就職もしたので、結果として良かったのかもしれません。オープンスクールでの学校見学は、リュウ太の人生のターニングポイントになっていたのかな?と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くんの進路選択における学校見学のエピソードをありがとうございます。大人になったリュウ太くんが言っていましたが、子ども本人にとって、「高校」「受験」「進路」「そのための勉強」など、あまりピンとこないものです。場合によっては、必要以上に恐ろしいものと受け止めてしまう場合もあります。まずは、高校というものがイメージできない場合もありますので、まさに百聞は一見に如かず、実際に高校へ行ってみたことが良かったと思います。また、本人の興味関心のある学科・コースがあったり、入りたい部活があったりするところから行ってみたのもすばらしいですね。遠出が苦手なお子さんは近くの(頑張ったら入れそうな)高校から見に行くのでもいいと思います(興味もそんなにないのに遠くの学校に行ってしまうと、緊張と疲れで“高校”全てについていい印象から遠ざかってしまう可能性もあります)。実際には、はじめに見学に行った高校には進学しなかったようですが、そういう場合もあると思います。「ここにする!」と決めきらずに、要素として見ていく(好きな学科がある、近い、入りたい部活がある、制服が素敵など)中で、次なる候補も複数見ておけると良さそうです。秋は文化祭や体育祭など、公開される行事も多い時期。ぜひ親子で見に行ってみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月08日わが子を中心に学級崩壊?環境が変わり、席に座っていることが困難に……小3になり、コチ丸は授業をおとなしく受けられなくなってきました。新しく担任になった先生は、授業の進め方がやや一方的だったこともあり、ただでさえ興味ないことには無関心なコチ丸は、授業への興味がすっかり薄れてしまったようです。落ち着きのない性格も相まって、じっと座っていることが苦痛になったのだと思います。ある日、担任の先生から呼び出しを受けて学校へ行くと、「コチ丸くんを中心に学級崩壊が始まっている」と言われました。授業を座って受けていられないコチ丸は、授業中に教室内を歩いたり、担任の先生が授業をしている横で、教卓の上に腰掛けたりとやりたい放題で、ほかの子どもたちもつられて落ち着きがなくなってきているとのことでした。Upload By あき学校には発達障害の診断が出たことは伝えていましたが、小さな学校で特別支援学級の設置はなく、通級指導教室などの仕組みもまだ整っておらず、担任の先生は「コチ丸くんにおとなしくしてもらうしか方法がない」の一点張りでした。このままではらちが明かない!と思った私は、県の教育委員会に直接電話して現状を伝えました。すると、翌日には市に話がいき、小学校に伝わったのか、すぐに校長先生と面談をすることになりました。母子家庭の中で、コチ丸にとっても私にとっても大きかった祖父の存在その後は頻繁に学校から連絡をもらうようになり、担任の先生と校長先生とコチ丸と私で話し合いをしました。「席を立ちたい時は先生に断ってから行く」「授業1時間のうち、〇分以上は席に座る」など、ルールを決めて授業を受けるという話し合いを行いましたが、毎回守れるのは数回だけ。下手したら一度も守られることはないまま、コチ丸は教室を出ていったり歩き回ったりしてまた呼び出しを受ける……そんな繰り返しでした。学校が面白くなくなってきたコチ丸は休むことも増えていきました。実家には私の祖父が一日中家にいたので、コチ丸は祖父に面倒を見てもらっていました。祖父は昔ながらの考え方の人だったので、コチ丸が学校に行かないことを随分と心配していました。同時に、母子家庭で育ったコチ丸にとって同性の祖父の存在は大きく、祖父のことをとても慕っていました。祖父はコチ丸が中学に入った年の夏に亡くなりましたが、最後までコチ丸が学校に通えないことを案じていたように思います。コチ丸は中3になる頃には欠席もなく学校に通えるようになり、さらに生徒会長も務め上げて中学を卒業したので、あと数年生きてくれていたら自信に溢れたコチ丸の姿を祖父に見せることができたのにと思うと、今も心残りです。Upload By あき体育館で昼寝!図書館におこもり!マイペースな学校生活小4になったコチ丸は、学校に行かない日もありましたが、学校に行ったら行ったで教室を抜け出し、体育館で眠っていたり、図書館に入って本を読み漁ったり……校内を縦横無尽に歩き回って自由気ままに生活していました。この年に、学校内に特別支援学級ができましたが、コチ丸は友達の手前、特別支援学級に行くのは抵抗があったようで、所属することはありませんでした。ただフラフラと校内を歩いていると、たまに特別支援学級の先生に声をかけてもらい、ちょっとした手伝いをしたりしていたようです。またこの時期、地元の放課後等デイサービスを土曜日だけ利用してみたこともありました。当時は今ほど放課後等デイサービスも多くなく、市の外れにある田舎の学校に送迎してくれる施設もありませんでした。平日フルタイムで働いている私としては、土曜日だけでもSSTなどを受けられるなら……と思って何度か通ってみましたが、この放課後等デイサービスでは期待していたような支援を受けることはできず、私もコチ丸もそこに通い続ける理由を見つけられなかったので辞めてしまいました。何を尊重するのか?一か八かで決めた育児方法当時のコチ丸は「やりたいことしかやりたくない」という、一方だけ見たらワガママなような、でも違う視点から見たら発達障害の特徴のような、判断がつけ難い特性を持っていました。宿題は一切やらなかったし、放っておくとゲームは隠れて何時間もやっていたりするし……。叱るところなのかもしれませんが、宿題をやらない、時間割に従わない、学校へ行かない、わが家は全てOKにしました。もちろん、後々のことを考えたら将来の不安もめちゃくちゃありました。しかし、無理をさせてコチ丸が心を壊してしまうほうがつらいという思いと、好きなことだけやっていったら自分の道を見つけられるかもしれないという願いもありました。Upload By あき私がこのような考えに至った理由の一つが、コチ丸の記憶力の高さでした。コチ丸は小学校の図書館の本をほぼ全部読み漁るくらいの読書家で、歴史から生物・天体・化学まで、いろんなことに興味がありました。例えばテレビを見ていて動物が映った時に、私には「鹿か何かの仲間かな?」くらいしか分からないような動物の名前を正しく言え、さらにはその動物の特徴まで全て、テレビの解説よりも先に話してしまうということが多々あり、「頭の中はどうなってるんだ?」と驚かされました。Upload By あきまるで図鑑を読み上げるように一気に正確に話す様子をみると、親バカですが「この子は何か特別なことができるのでは?」と思ってしまい、思い込みの激しい私の性格が災い(?)して、好きなことだけとことんやらせてみよう!と無謀にも思ったのでした(笑)。その後、コチ丸は地元を離れ私立中学へ進む道を決め、中学卒業後は馬の勉強をするため北海道の高校を選び、今はいきいきと学校生活を送っています。中学生になっても「〇〇は……」の「は」と「わ」も区別がつかない、九九もまともに言えないコチ丸に、やはり多少なりとも勉強はさせたほうが良かったのか?と中学を卒業するまではハラハラしていましたが、高校生になった今、自ら勉強をするようになり、成績も上位に入っています。今になって、自分が望む進路には勉強が必要だと悟ったようです。中学受験や趣味のドラムを続ける過程で「自分の好きなことをやるためには、これだけはやらなくてはいけないということが時にはある」と、自然と気づいていったのだと思います。まだ道は半ばですが、今のところありがたいことに、母が伝えたかったことを自ら学んでくれているのかなと実感しています。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)シングルで子育てをされている中で、お子さんが「学校に行きたくない」と言われた時の混乱とショックは大きかったのではないでしょうか。その中で、おじいさんの存在は、お母さまにとってもコチ丸くんにとっても大きかったことと思います。学校の中で障害特性に配慮してもらうことが困難な場合、在宅という選択肢を選ばざるを得ないこともあると思います。子どもが不安定な時期は短期的な視点に陥りがちですが、少し離れた目線から長期的な視野で見守っていくことも大事になります。そういった意味でも、おじいさんのような方が側にいてくださったことは、大きな安心になったのではないでしょうか。同じような状況で悩まれている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、一人で悩まずに、勇気を出して相談できる方をつくっていかれると良いかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月07日『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編が完結。はるき編、みき編のエピローグも公開。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど【2024年9月】読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラムです。今回は2024年9月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。大反響!『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がついに完結。はるき編、みき編のその後を描いたエピローグも必見です。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど、ぜひご覧ください。苗さんの息子さんは特別支援学級に通っている小学校1年生。全領域DQ(発達指数)が境界域です。「夫は息子に関心がないわけではないのですが、息子との絡み方が不得手で……」とパートナーと息子さんとの関係性が悩みの種の苗さん。パートナーへの伝え方など、専門家のアドバイスも参考になりそうです。現在14歳、中学3年生のまんまゆうままさんの娘さん。11歳直前でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。中学校の一時期学校へ行けなくなる事がありましたが今は楽しく通えるようになりました。学校に行く「きっかけ」となった出来事とは一体何なのでしょうか?発達ナビユーザーの体験談をもとにしたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」。みき編の第3話です。ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみき。学校の勉強についていけず自己肯定感は下がり「学校へ行きたくない」というようになりました。その様子を見た母は――。「発達障害の子どもと私たち」みき編の第4話(最終話)です。学校の勉強につまづき、つらい思いをしているみき。保護者とみきは自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望したのですが、判定委員会の結果は「不可」。転学できないと知ったみきは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」と泣きじゃくり……。1話から4話まで、マンガ発達障害の子どもと私たち「みき編」の一気読みはこちらから!発達ナビユーザーの投稿を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けている小学2年生のはるきさんは、今は「元気をためる期間」だと学校へ無理に行くことを辞めました。ASD(自閉スペクトラム症)の小学4年生のみきさんは、通常学級の学習についていけず、知的障害特別支援学級へ転籍しました。 二人はその後、どのように過ごしているのでしょうか?今回はエピローグ、そして中学校、高校進学について専門家からのコメントをお届けします。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月06日学童?放課後等デイサービス?長男の小学校入学を翌年に控えた11月。就学相談の結果、無事に希望が通り、特別支援学級へ就学することが決まりました。ホッとしたのも束の間、次なる悩みが出てきました……。Upload By プクティそれは長男の「放課後の居場所」をどうするか?ということでした。わが家は共働きのため、小学校が終わった後、長男が過ごす場所が必要になります。小学校内に設置されている学童へ通うのか、はたまた放課後等デイサービスを利用するのか……。私たち夫婦はその2択で悩んでいました。児童発達支援センターへ相談自分たちだけでは決めかねたので、児童発達支援センターで相談させていただくことにしました。Upload By プクティ調べてもらうと、わが家から近くて通いやすい場所には、放課後等デイサービスが1つもないということが分かりました。少し遠くになってよいならいくつかあるけれど、どこも人気があるので、すでに満員でキャンセル待ちになる可能性が高いということでした。Upload By プクティ放課後等デイサービスが近くになく、遠いところでもどこも激戦という話を踏まえて、私たちは再び考えました。長男が通うのは特別支援学級だし、やはり通常学級の子たちとの関わりも持ってもらいたいという願いもあり、学童に入ることを決めました!そして学童に通い出し…Upload By プクティ幸い、学童には空きがあり、小学校入学と同時に入ることができました。入学してすぐの時期は学校に慣れることを優先し、放課後に学童は利用せず自宅で過ごしていた長男。私も長男に合わせ仕事量を減らし、帰宅した長男に学校の様子を聞いたり、宿題を見てあげたりしていました。そして特別支援学級に通い出して1ヶ月経ち慣れてきた頃、まずは様子を見るため1時間から学童の利用を始めました。学童への引き渡しは学校側で行ってもらえるということでしたが、初めての日は特別支援学級の担任の先生から離れようとせず、なかなか学童へ行くことができなかった長男。落ち着くまで、しばらく担任の先生が付き添ってくれていたそうです。しかし、1度行ったことで学童の楽しさを感じられたからか、行き渋ったのは初日だけで、2回目からは一人で学童へ行くことができるようになりました。長男の様子を見て大丈夫そうだと感じたので、学童に通い始めてから1ヶ月後には、2時間程預けることも多くなりました。Upload By プクティ学童に通い始めて半年ほど経った今では、すっかり環境に慣れたようで、通常学級の子とも一緒に遊ぶなど関わる時間が増えて、本人も学童の時間を楽しんでいるようでした!今のところ毎日学校にも学童にも嫌がらず楽しそうに通ってくれているので、とても安心しています。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)長男さんが学童の時間を楽しんでいるとのこと、本当にうれしいですね。学童か放課後等デイサービスの選択で迷われる親御さんは多いですが、お子さんが快適に楽しく過ごせることが一番大切ですよね。学童のメリットは、プクティさんもおっしゃってくださった通り、通常学級のお子さんとの交流ができる点です。一方で、ケアできる大人の数に対してお子さんの人数が多いため、サポートが行き届かず、お子さんの特性によっては過ごしにくい場合もあります。放課後等デイサービスでは、施設ごとに異なる療育やプログラムが提供されており、お子さんに合った場所を見つけやすいです。ただ、希望する施設に空きがないことや、複数の施設に通う必要が出てくる場合もあります。また、送迎が必要だったり、利用時間が学童より短いこともあり(特に長期休暇など)、保護者の勤務に影響を与えることも考えられます。どちらを選ぶにしても、実際に見学して、親子で安心して過ごせる場所を見つけられるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月05日夏休みは恒例の三世代旅行へ!子どもが喜びそうなプランを計画Upload By みかみかん今年の夏休み。わが家はたーちゃんと夫と私、そして私の両親の三世代で旅行をしました。大好きなじぃじ、ばぁばと思い出をつくってほしくて、毎年1回はこのメンバーで安近短の旅行をしています。今回は、近くにファミリー向けの遊園地のある、プール付きのホテルに2泊することにしました。遊園地やプールに喜ぶたーちゃんの姿を想像しつつ、私も旅行の計画を楽しく練っていました。旅行1ヶ月前。不安感が強いたーちゃんの心づもりができるように、旅行の話をよく持ち出したり、泊まるホテルや遊びに行く遊園地の動画を見せました。その時のたーちゃんは「早く旅行にいきたい!」と言っており、場所見知りはしないだろうと私も夫も考えていたのです。Upload By みかみかん準備は完ぺき!のはずが、旅行にトラブルはつきもので……そして、旅行当日。自宅から車で1時間ほどの場所でまずは大好きなじぃじばぁばと合流し、レストランで食事をするはずが……。なんと、じぃじばぁばと会って早々、たーちゃんは「おうちに帰りたい」とぐずり出してしまいました。たーちゃんの好きな食べ物もありましたが、「食べたくない、帰りたい」と言って聞かず。ほかのお客さんの迷惑にもなりかねないので、私と夫とたーちゃんの3人はお昼ごはんを食べず、早々にホテルへ向かいました。Upload By みかみかんまだチェックイン時間前のロビーでぐずぐずのたーちゃんと時間を潰しながら、「たーちゃんの無理のない旅行にしたいけど、楽しみにしていた予定が変更になってがっかり……」と私は心の中で大人げなく思っていました。初日には観光する予定もありましたが、たーちゃんの機嫌が直りそうにないので、チェックインしてからも3人でずっとホテルで過ごすことに。ホテルの部屋はすぐに気に入ったたーちゃん。大好きなカードゲームをして、たーちゃんの気持ちが上向いてきたところで、私も気を取り直して、ホテル併設のプールへと誘ってみます。しかし、たーちゃんは「プール行かない!」の一点張り……。気持ちは上向いても、切り替えることは苦手なたーちゃん。カードゲームをやめることができずにいました。Upload By みかみかん結局、じぃじとばぁばがホテルに来てからも、部屋でカードゲームばかりでした。ホテルの広い食事会場での夕飯は、慣れない場所やたくさんの人に緊張しているのか、ほとんど食べてくれず、早く部屋に戻りたいとぐずります。そして、戻ってきた部屋でお菓子をポリポリ……。「絶対喜ぶはず」と思った遊園地でも、まさかの入園拒否!?2日目。予定していた遊園地では、看板に書いてあったキャラクターが怖かったらしく、入口で大泣き。「絶対入らない!」と、断固拒否でした。「たーちゃんの好きな乗り物や、かき氷もあるよ!」と説得しましたが、ホテルにトンボ返りすることに。以前の私ならば、想像していた旅行にならずにイライラしてしまったかもしれません。しかし、たーちゃんの特性を理解したうえで、たーちゃんが楽しんでくれることをこの旅行では最優先にしていたので、気持ちを切り替えることができました。特性がなければ、「たーちゃんは入れるかな?遊んでくれるかな?泣かないかな?」という心配をすることはないのに……と思うことはありますが、予定通りにいかないこともあると分かっていました。私の父と母には迷惑をかけましたが、スケジュール通りに旅行を完遂することが目的ではないと共通認識を持っていたので、突然の予定変更でも受け入れてもらえました。結局、たーちゃんは旅行のほとんどをホテルの部屋でカードゲームをして過ごしました。2日目の午後。たーちゃんにつきっ切りでホテルに籠っていた私たち夫婦を見かねてか、「たーちゃんを預けて2人で出かけてきたらどうか」と父と母が提案してくれました。どうせならば、と子連れでは行けないような場所へ、数時間出かけさせてもらうことに。想像していた家族旅行ではなかったけれど、予定を柔軟に変えて、たーちゃんも大人も楽しめる旅行になったのではないかと思います。予定通りにはいかなかったけれど。楽しめたのなら結果オーライ!3日目。帰りの車内で「旅行、何が楽しかった?」とたーちゃんに聞くと、「カードゲーム!」と返してくれました。じぃじやばぁばと、大好きなカードゲームができて楽しかったようです。Upload By みかみかん大人が想像していたような旅行にはならなかったけれど、たーちゃんがホテルステイをエンジョイしてくれたのなら、それで良かったのだと思うことにしました。旅行は良くも悪くも刺激がたくさんあります。予想しない事態になった時も、大人が気持ちを切り替えてプランを変更し、本人に無理のない旅行にすることが大事だなと学びました。もしかすると、旅行への心づもりが必要だったのは、たーちゃんではなく私のほうだったのかもしれません。難しいこともあるかもしれませんが、障害のあるお子さんも保護者の方も旅行を楽しんで、たくさんの素敵な思い出をつくることができたら良いな、と思います。執筆/みかみかん(監修:井上先生より)4歳半という年齢から考えると、家以外の場所に行くということだけでも、お子さんにとっては大きな刺激になります。ましてや泊りがけの旅行に行くということは、本人にとってもご家族にとっても、大きな冒険だったと思います。おじいさんおばあさんも一緒ということで、そういう面でも気を遣われたと思いますが、みんなで一緒に楽しむということを唯一の目標にするのではなく、それぞれが行った先で楽しみを見つけていくという点からは、素晴らしい旅行体験だったのではないでしょうか。今後お子さんが成長していく中で、行ける場所や楽しめる場所は広がってくると思いますし、その中で少しずつ良い思い出が重ねられるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月04日自閉症息子、悪循環の無限ループで不登校に現在12歳、中学1年生の息子は、9歳でASD(自閉スペクトラム症)、反抗性挑戦障害(反抗挑発症)と診断を受けています。完璧主義で衝動性が強い息子は、興味の限局性があり、他責的、怖がり、人見知り、分離不安、自己肯定感の低さなど、母親としては心配な面が多々あります。そんな息子は、小学校3年生の後半からまだら登校が始まり、4年生からは完全に不登校となりました。勉強についていけなくなったことが不登校に繋がったと感じています。勉強についていけなくなった→完璧な自分じゃない→劣等感→不登校→学校へ行けない自分が許せない→劣等感→みんなに白い目で見られたくない→怖い→さらに行けない……という悪循環の無限ループに陥った息子。ただ、「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」と担任の先生と約束したため、一人で登校できなくなってしまった息子に私は毎日付き添いをしました。イライラしながらも学校へ顔を出しに行ける日もあれば、途中で引き返すこともある日々でしたが、この母子登校でさまざまなことがありました。Upload By ユーザー体験談信号を渡れないと「最悪!」。歩行者を「あの人避けてくれなかった!」常にイライラしながら歩く日々一人で登校できない理由について、本人は「虫がいるから怖い」と言っていました。ですが、虫除けや、帽子や上着を勧めても全て拒否。「この世から虫を全部消して!」と騒ぐので困りました。ただ、本当の理由は虫ではなかったのだと思います。以前は1人で登校できていたので、不登校になってしまったことが原因なのでしょう。また、幼少期はそれほどでもなかったこだわりが、この不登校期間に強くでるようになりました。一番困ったこだわりは「信号が青だったら絶対に渡る」こと。これは、信号までの距離が離れていたとしても、青の信号が見えたら適用されます。数十メートル先の信号に向かって急に走りだし「お母さん!早く!」と私に怒り出します。到底間に合わない距離なのにです。結局渡れず次の青信号を待つことになると「お母さんが遅いから!」と怒りながら、「さっきの青で渡れなかった!最悪!」と責め立てるので困りました。「別に急ぎの用事もないから、次の青で大丈夫だよー」と話しても、納得してくれませんでした。Upload By ユーザー体験談また、自分のペースで目的地まで行きたい息子は、歩くペースを乱されることを極度に嫌がりました。出会い頭で自転車の人やほかの歩行者がいて、お互い右に避けるか左に避けるか……という場面になると「あの人避けてくれなかった!」と不機嫌になりました。私は「仕方ないよ。相手の人も上手く避けられない場合があるからね……。息子君は運動神経がいいから避けるのが上手いでしょ?避けてあげたら良いんじゃない?」と、持ち上げてみましたが、あまり変わりませんでした。我慢できず「そんなことで今後どうするの?」と言ってしまった私。息子はパニックに毎日毎日、家でも外でもこのようなことが繰り返され、私は息子と一緒にいること自体憂鬱になっていました。それでも厳しい言葉を浴びせてはいけないと気持ちに蓋をしていましたが、ある日の登校中、その蓋が壊れてしまいました。通学路に虫がいることに対して怒り始めた息子に対して「世の中の虫を全部消すなんてできないのは分かるよね?ある程度は克服しなきゃいけないことなんだよ。外に出ない生活なんて無理だし、自分ができることをするしかないんだよ」いけないと分かっていましたが、耐えられなくなってしまったのです。そしてこれを聞いた息子はパニックになってしまいました。私に「生まれてきたくなかった!」と叫び走って家に帰ってしまいました。私は息子を追いかけながら、やはり言ってはならなかったと心底後悔しました。Upload By ユーザー体験談息子は機嫌のいい日は私と手を繋ぎたがったり、おちゃらけたりすることがありました。通学路でのトラブルの後、私は息子が繋ぎたければ繋ぐし、離したければ離す、息子が安心して学校までたどり着けるように心を砕き続けました。中学校でリセット!学区外の特別支援学級へ進学すると、登校できるように!小学生中はこのような日々でしたが、中学に進学するにあたっては学区外の特別支援学級のある中学へ進学しました。その中学にはなかなか学校に行くことができなかった小学校時代の知り合いがいなかったため、気が楽だったようです。また、自分に合ったクラスに入り、自分に合わせた勉強の進め方をしてくれることが安心につながったようで、中学からは登校できるようになり、私は本当に安心しました。今も朝は私が送っていますが、帰りは1人で帰宅するようになりました。そして次第に「虫が~」や「すれ違う人が~」などの不満も言わなくなりました。Upload By ユーザー体験談登校できるようになってよかったと思いますが、今後も息子の様子を慎重に気にかけていきたいと思います。今までは「家族」しか世界になく、家族に依存をしがちでしたが、これから中学、高校と成長するにつれて息子の交友関係も広がるはずです。自分のことは自分で考えて、自分で決めて自分で行動し、相手の気持ちを考え、望んでいた結果ではなくても受け入れることができるようになって欲しいです。イラスト/志士ノまる※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)母子登校についての貴重な体験談をありがとうございます。登校渋りがでるお子さんは、完璧主義だったりこだわりがあったりして、失敗することへの不安が強い傾向にあります。学校へ向かう道ですれ違う人や虫にイライラするのは、学校に行くことへの不安や、自分が学校になかなか行けないことによるプレッシャーが根底にあるのかもしれませんね。発達に偏りがあると、「他人との境界線をうまくひけない」、「気持ちの切り替えが苦手」といった特性が出ることがあります。他人や環境など、自分以外のものが自分の予想と違う動きをしたときに不安になってしまうのです。そして気持ちの切り替えがうまくできずに、パニックになってしまいがちです。お子さんがそのようにパニックになってしまった場合は、「そんなこともあるよね」というように、気持ちを切り替えて問題解決していけるような考え方を教えていけるといいですね。とはいえ、お子さんも成長するにしたがって保護者に対して反発心も感じますし、保護者としてはつらい日が続きますよね。しかし、家族としてお子さんのフォローをできる期間は限られています。お子さんもいつかは外の世界の厳しさに直面することになりますので、その日までに保護者が少しずつ教えていく必要があります。外の世界と関わっていけるようになるためのサポートは、お子さんとの信頼関係のある保護者だからこそできることなのではないでしょうか。お子さんに寄り添い続けた結果、中学校に進んで登校できるようになったとのこと、とっても素晴らしいですね。これからもお子さんが自分らしく成長できるよう、応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月03日電車嫌いだったASD(自閉スペクトラム症)長男が急に電車好きにASD(自閉スペクトラム症)の長男のミミは、9歳から急に電車に興味を持つようになりました。そんなミミの乗り物遍歴はこちら。Upload By taeko5歳までは電車に乗ることがきたのですが、6~8歳は酔ってしまうからと拒否。そこから9歳、急に電車好きになったのです。乗り物が大好きな弟のふーとは真逆で、今まで基本的に乗り物嫌いだったミミ。休日は電車が好きなふーと私の2人で電車に乗りに出掛けて、ミミは自宅でゲームをすることが多かったですが……。もしかしたら、ふーがもっていた電車のおもちゃがきっかけかも?また、動画などの影響かもしれません。ミミは、どこからか都会の地名を覚えたようで、新宿や渋谷などに行きたいとのこと。私はミミの希望を叶えるために、週末などに電車でミミと出かけるようになりました。自分で撮影した動画を自らアップロード。漢字の勉強にもなる!電車に乗るとミミは私のスマ―トフォンで電車からの景色を撮影します(ミミは自分のスマートフォンをまだ持っていません。また一人で電車に乗るときは撮影NGにしています)。そして帰宅後、自分で動画配信サイトへアップロードし、文字を打ち込んでいます。これはローマ字入力や駅名の漢字を覚えられるので、とても良い効果になっていると思います。Upload By taekoですが、いい面ばかりではありませんでした。私はミミの「衝動性」が心配なのです。周りを見られない、衝動を抑えられない長男。いつかトラブルになりそうまず、周りのペースに合わせることができないところが気になります。電車に乗るときはだいたいふーも一緒です。ミミとふーの歩くペースは違うのですが、ミミは気にせずずんずん先に行ってしまいます。何度もミミに「団体行動だから、仲間と一緒に行動するよ。仲間を気にして歩いてね」と伝えるのですが、つい夢中になって先に行ってしまいます。先日乗り換えをする時、こちらを待たず先に行ってしまったミミを見失ってしまいました。慌ててホームを探すと、ふーがミミを発見。私はミミに注意をし、それからは後ろの様子を気にしてくれるようになったのですが……まだまだ心配です。また小学5年生になったある日の帰路、電車が混んでいて思ったような撮影ができず、モヤモヤが溜まっていたミミ。乗り換えた電車は空いていたものの、撮影スポットの先頭列車の一番前の窓のところには、新聞を読んでいる男性が居ました。すると我慢ができなくなったのか、ミミはスマートフォンを持ったまま、新聞を読んでいる男性の新聞に突進!!私は(なんで!?)とびっくりしつつすぐにミミの首根っこを引っ張りました。ですが、時すでに遅く、ミミは新聞を読んでいた男性にぶつかってしまいました。私はその人に「すみません!」と謝りました。Upload By taeko「なんで⁉」頭が真っ白に!ミミの行動に絶望的なものを感じた過去を思い出して……Upload By taekoこのようなミミの「周りにいる人に意識を向けられない」「相手がどうなるか気にならない、または気にしない」という行動には覚えがありました。ミミが3歳の頃「なんで!?」と頭が真っ白になった印象的な出来事があったのです。ある日、私とミミがお店を出ようとしたところ、目の前で当時のミミより少し幼い女の子が転びました。するとミミは女の子を助けることもなく、なんとまたいでいこうとしたのです……。幸いにも相手にぶつかることはなかったのですが、ぶつかっていたらと思うと……もうどうしたらいいのか……。私はそんなミミの行動を見て(人を人として見ていないようだ……)と絶望的なものを感じたのでした。今もまた同様の行動をしてしまうミミ。このような行動もASD(自閉スペクトラム症)の特性の一つだと分かっているのですが、どんなに本人なりの理由があっても許されないと思います。私は強い危機感を感じています。どうすればいいのでしょうか。ヘルプマークを持たせ、「コミュニケーションが苦手で、失礼なことを言うことがあるかもしれません」とコメントを書いたほうがいいのかもしれないと検討しているところです。Upload By taekoこれからもミミが「楽しいと思えること」は応援したいので、しばらくは一緒に電車に乗って、周りに気をつけながら楽しみたいと思います。執筆/taeko(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは「線」に興味を持つのが多いことから、電車好きが多くみられます。またASDのお子さんを育てていると数々の困ったことに遭遇します。困ったことに対しては保護者が正しいお手本を見せることが重要です。やって見せ、説明して、やらせてみて、できたら褒めることです。スモールステップで些細なことから始めていきましょう。改善したら、「できたよ カード」に電車のシール等を貼って5つたまったら好きな電車に乗れるなどのご褒美をあげるというトークン法で試してみてください。次からはこうしようねと絵や図で示すことです。ASDのお子さんは比較的視覚認知が高いので言葉で言う耳からの情報よりも絵で示す目からの情報の方が分かりやすいからです。耳からの情報でも、「転んだ子がいたら助けます」と何度も同じことを肯定文で言い続けることも必要です。ASDのお子さんは否定文よりも肯定文のほうが分かりやすいからです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月02日行事を嫌がるわが子。無理させたくないけれど……園や学校では、運動会や学習発表会、音楽発表会、参観日、遠足など、さまざまな行事があります。行事に向けて毎日みんなで練習をしたり、日課が変更になるなどのイレギュラーが続いたりすることもあるでしょう。行事を楽しみにしているお子さんもいれば、慣れない場面での不安などで行事が苦手という場合もあります。行事を嫌がるわが子に、どう対応したらいいか悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも、行事の参加についての質問が複数寄せられています。運動会には出たいけど、みんなと一緒にできない&やりたくなくて本人も辛いと思うのですが…私も嫌がる事は無理強いさせたくない反面、嫌な事はやらなくていいと学習させてしまわないか心配です。本当に苦痛で嫌な事は仕方ありませんが、できるけど面倒な事もサボってしまわないかと。週末、息子が学校行事の中で1番苦手な学習発表会があります。聴覚過敏があるので体育館での群読、合唱、劇などなど、なかなか耐え難い内容です。練習して頑張ろうとしていますが、耳触りと口歪め、ダブルチック症が出てます…。「もうやらなくていいよ、学校休もう」って私が言いたくなってしまいます。どこまでやらせるかの見極め、皆さんはどうしてますか?伺いたいのですが、本人がいやがる行事など(今回は合同遠足)は嫌がっても行かせたほうが良いでしょうか?今回は、わが子が行事への参加や練習を嫌がるときの対応について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。園や学校での行事を嫌がるとき、どうしたらいい?A: 子どもが行事への参加を嫌がっているときに、少し無理やりにでも参加を促したほうがいいのか、無理させないほうがいいのかというお悩みかと思います。お子さんによっては、自分のペースではなく集団で一斉に動くこと自体が苦手な場合もあります。今回いただいた行事に参加したがらないというご相談は、特に保育園や幼稚園から小学校低学年くらいまでによくある大きな悩みの一つかもしれません。「本人が嫌がっているのに参加したところで子どもにとって意味があるのだろうか」という保護者のお気持ちをお聞きすることもあります。子どもの背中を押したほうがいいのか、無理せず休んだほうがいいのか、とても悩ましいところだと思います。お子さんが行事を嫌がる場合の対応ポイントとしては、「行事に参加する・しない」の2択ではなく、行事の一連の流れを次のような3つに分けてみることです。①本人が自分でできること②少しサポートがあればできること③サポートがあっても難しいことそのうえで、一番最後の「サポートがあっても難しい」場面については無理をせず、「自分でできる・少しサポートがあればできる」場面で参加できたらまずは十分である、という風に考えていきます。「少しサポートがあればできる」という場面については、・スケジュールや手順を見える化する・タイマーなどを使って“終わり”を明確にする・待つ時間が苦手なときは休憩スペースを作る、役割を作る・感覚過敏性に配慮する・部分的に参加する・(集団練習ではなく)個別練習の時間を作るなどがよく取り入れられる工夫の例です。お子さんが部分的にでも参加できた場面については、本人と先生やご家族みんなで喜び合って、お互いの成功体験にしていけるといいですね。初めから「行事にすべて参加できる」を目指すというよりは、「本人が自分でできる・少しサポートがあればできる」場面を少しずつ増やしていけるといいでしょう。お子さんにとって良い体験で終われることが、次につながっていきます。Upload By 発達障害のキホン行事の練習への拒否感が強いときは?A: 練習への参加は、本番への参加よりも対応の優先度を下げるのも一つの考え方ですが、練習せずに本番に臨むというのも本人にとって大変ですよね。そこで練習では、まずはほんの一部分参加する、先生がしっかりサポートする(支援の量を増やす)などから始めるといいかもしれません。どの場面でどんな支援があれば安心して参加できそうかお子さんと一緒に対話をしながら進めていくこともいいと思います。毎日行事のことばかり話題になったり練習をしすぎたりすると、かえって不安が高まる場合もあります。その子に合わせて、本番に備えて控えめにしておくという対応もあるでしょう。練習がお子さんにとって嫌な経験になってしまうと、やはり本番にも影響するかもしれません。できるだけ本人にとって楽しく練習できたという経験を積み重ねて、本番に備えられるといいですね。例えば、まずは一部分、お子さんが現時点でも無理なくできる場面から練習に参加し、参加できたことを認めたり褒めたり一緒に喜んだりしていきます。そこから少しずつ参加できる部分を増やしていけるといいと思います。毎年の行事については、学年が上がるとともに参加できる幅が広がっていくお子さんも多いものです。毎年経験するうちに、流れの見通しを持てるようになったり、本人がとれる対応の選択肢が増えたり、自分なりの参加の仕方が分かってきたりするためです。その意味では、やはり就学前から小学校低学年くらいが、親子共に大きいお悩みになっていることが多いかもしれませんね。お子さんも成長していきますので、次につなげるためにも無理をしすぎず「良かった・楽しかった」で終われることを優先してみてもいいのではないでしょうか。Upload By 発達障害のキホンまとめお子さんによっては、普段と違う慣れない状況そのものが不安だったり、感覚特性により集団活動の負担が大きかったり、活動のルールが分からず参加しづらかったりすることもあります。行事や練習への参加を嫌がる場合には、「参加する・しない」の選択というよりは、嫌がる理由を聞いて、参加しやすい工夫を考えていくことが大切です。先生と連携しながら「少しサポートがあればできること」の幅を少しずつ増やしていけるといいでしょう。支援や工夫がないままに“無理やり”参加ということになると、お子さんにとっては「嫌だった経験」となり、次の行事も前向きに考えにくくなるかもしれません。環境調整やさまざまな工夫をすることによって参加しやすくなることや、部分的な参加でも「良かった・楽しかった」経験になると、お子さんの自信につながります。園や学校での行事は、やはり先生との連携も必要になってくるため、お子さんの嫌がる様子がみられるときには、家庭だけで抱えずに先生に相談することも大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月01日やっぱり学校に行きたい!先生の言葉で開けた新たな道夏休みが終わり、学校に行けない中学3年生の息子は、進路について悩んでいました。一時は就労支援を利用しての就職を目指していましたが、就労支援の利用対象者は18歳以上のため卒業後すぐに就職という道は実質不可能でした。かといって、特別支援学校高等部へとそのまま進むことにも抵抗がありました。というのも息子はスクールバスで特別支援学校に通っていたのですが、次第に車酔いに耐えられなくなり乗れなくなってしまったのです。そして、ほかの通学手段を選択するのも難しい状況でした。特別支援学校中等部に在籍している生徒のほとんどは特別支援学校高等部への進学を選択します。とりあえず高等部に進学して、あとのことはそれから考えようか……という時でした。家庭訪問に来てくださっていた担任の先生がこう言ったのです。「無理してスクールバスに乗ることないよ!通信制高校はどう!?」目からウロコでした。精神障害者保健福祉手帳(2級)を持ち、強度行動障害のある息子には、特別支援学校以外の選択肢が考えられなかったのです。「通信制高校もいろいろあるんだよ!オンラインでも大丈夫なところもあるし、パソコンのコースなんかもあるし。息子くんに合いそうな学校もあるんじゃないかな?」先生の言葉を聞いて、息子は言いました。「……やっぱり僕、学校に行きたいねん。就職と思ったけど、それは学校に行かれへんからで、本当は学校をあきらめたくないねん」先生が帰られたあと、私が真っ先にしたのは通信制高校の資料請求でした。Upload By 花森はな通信制高校とサポート校の違いって?通信制高校の資料請求には、一括検索サイトを利用しました。一校一校調べるよりも、条件を指定して資料を送っていただく方が時間短縮に繋がると考えたのです。資料請求ボタンを押してしばらくすると、数校から電話がかかってきました。その中の一校にすぐ見学に行くことに決めました。それは通信制高校のサポート校でした。通信制高校のサポート校は都会のビルの中にありました。中に入ると、個別に区切られた学習ブースでそれぞれ勉強をしていて、さながら塾のようでした。人がたくさんいる場所が苦手な息子はここにいるのは無理そうだな……と感じましたが、個別相談という形で説明をお聞きしました。まず最初にお伺いしたのは、「通信制高校」と「サポート校」の違いでした。通信制高校は、自宅学習がメインで、単位取得(74単位+ホームルーム30単位)で高校卒業資格が得られます。空いた時間で好きなことをしたり、登校日を自分で選べるなどのメリットがあります。単位制高校との大きな違いは、必修科目がある、高卒資格を取得するには単位認定試験とスクーリングに加え、レポート提出が必須になります。サポート校は、通信制の高校生の卒業をサポートする「塾」のような存在です。連携している通信制高校に籍があり、連携先の通信制高校卒業で高校卒業資格を取得できます。サポート校のみでは、高卒資格は取得できません。通信制高校は完全にオンラインという訳ではなく、学校によって登校日数が異なります。サポート校では自宅に出向いて指導をしてくださる手厚いプランもあるということで心が動きましたが、問題は学費でした。通信制高校に進学する場合、学費は通信制高校のみで済みますが、サポート校を選ぶと通信制高校とサポート校の両方に学費が発生するのです。学費の助成もあるとはいえ、母子家庭のわが家ではその費用を捻出することは難しく、サポート校への進学はあきらめることになりました。この点が早い段階で分かっただけでも、最初にサポート校での説明を受けてよかったと思いました。Upload By 花森はな通信制高校は選択肢がたくさん!通信制高校にターゲットを絞ったところで、次はどの学校に見学に行くかを決めなければなりません。息子と相談し、まずは私が息子が行けそうな学校をいくつか絞ることになりました。通信制高校一括検索サイトから届いた学校のパンフレットを1つずつクリアファイルに入れ、「土曜授業」「近い」「学び直し」などその学校の特色を付箋に書き出して印をつけました。そしてファイルボックスを3つ用意し、「○(見学)」「△(保留)」「×(却下)」の印をつけ仕分けしました。息子の場合、遠方でのスクーリングがある学校や都会すぎる学校は避ける必要があったため、仕分けしていくうちに息子が通えそうな学校の雰囲気も見えてきました。その中から数校に見学を申し込みました。A通信制高校はほぼ全日制に近い授業内容で、B通信制高校はまるで専門学校のような校風、C通信制高校は登校日数を選べるプランがあるなど、同じ通信制高校でも、学校によって内容がかなり違いました。ある学校では相談に乗ってくださった管理職の先生が、「息子くんの様子を聞くとうちの学校では難しいかもしれませんが、こちらの学校なら合ってるかもしれないので、行ってみたらどうですか?」とほかの学校を紹介してくださいました。どの学校の説明を聞いていても共通していたのが、「ぜひうちの学校に!」というよりも「いい学校が見つかりますように!」という姿勢でした。通信制高校を選択する子どもたちは、不登校だけではなくそれぞれに事情のある子がどうしても多いので、そういったことに相談段階で寄り添っていただけてるように感じました。Upload By 花森はなさまざまな通信制高校と広がる可能性特別支援学校の先生とも積極的に情報交換を行いました。特にありがたかったのが、通信制高校合同説明会のお知らせでした。大きな会場で多くの通信制高校が集まって、ブースでの個別相談を受け付けてくれます。希望していた学校や、なかなか情報の集まらない学校について直接お話を聞くことができました。発達障害などの特性がある生徒に配慮して特別支援の資格を持つ先生がいる学校や、起立性調節障害がある生徒のために午後から授業を行う学校、カウンセラーなどのメンタルサポートが充実した学校など、通信制高校もさまざまなニーズに柔軟に対応していて、「息子も高校に進学することができるかもしれない」と希望を持つことができました。各学校での個別相談、合同説明会にと奔走した数ヶ月間でしたが、年内には志望校を2つに絞ることができました。そしてその2校に、最後は息子と一緒に個別相談に行くことになりました。Upload By 花森はな「学校をあきらめたくない」、息子の願いを叶えるためにこうして、息子の進路は一気に通信制高校を目指すことになりました。「学校をあきらめたくないねん」と言った息子の言葉を聞いて、なんとしてでも息子が行ける学校を見つけてあげたいと思い、駆け抜けた数ヶ月間でした。不登校の子どもは、けっして学校に行きたくない訳ではないのです。中には行きたくないという子もいますが、学校に行きたくても、教室や通学方法に不安があったり、自身の特性や体調、先生や友人との関係、授業や行事などの心配、集団生活での憂慮や同年代とかけ離れた生活を送っていることの焦りなど、言葉に表せない恐怖と日々戦っています。通信制高校は、そのような不安の中にいる子どもたちを支えてくれる、新たな選択肢だと思います。執筆/花森はな(監修:初川先生より)特別支援学校中等部にうまく適応できず、その後の進路で悩まれる中で通信制高校について知り、検討したエピソードをありがとうございます。不登校生徒向けの高校は地域によってもさまざまですが(不登校生徒に合う公立高校のあり方はぜひ都道府県ごとの状況をお調べください)、昨今、通信制高校やサポート校について注目が集まっている印象もありますね。今回、花森さんが調べながら気づかれたように、通信制高校はさまざま特色を持っています。また、サポート校を利用する場合には学費が約2倍(通信制高校とサポート校との2つ分かかる)ことなど、大事なご指摘がありました。個人的には、スクーリングの日数に関してや、学習に関する質問をどのように取り扱うのかといったところもぜひ確認してほしいと感じるところです。今後高校進学をされるお子さんに関しては、見学・体験を通して、本人が気に入る高校が見つかるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月30日東京都放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2024年10月1日にオープンのウィズ・ユー中板橋では、個性を伸ばし未来へ繋ぐ発達支援に力を入れています。発達障害の研究に力を注ぐ⽶澤好史教授とウィズ・ユーが共同で作成した支援プログラムなどを行っています。これらは専門職との連携により、ご利用者のあらゆるニーズに応えているようです。見学・体験予約を受け付け中とのことですのでお気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。東京都の放課後等デイサービスをもっとみる東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズ・ユー中板橋は、2024年10月1日オープンの事業所です。個性を伸ばし未来へ繋ぐ発達支援に力を入れています。児童の特性を複数のアセスメントツールを指標に基づいて把握し、プログラムされた50種類以上のエクササイズ・集団あそびを行うことで課題解決に向けた支援を実施しています。見学・体験予約を受け付け中ですので、気になる方はぜひお問い合わせください。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Apple Junior小田急相模原教室は、小田急相模原駅から徒歩約8分の場所にあります。「環境を整えた集団体験」と並行して「個々の取り出し発達支援」によって、お子さんの段階・困り事に沿った支援を行います。集団指導では工作(巧緻性)、音楽(感性)、運動(身体能力)、ゲーム(社会性)、料理(生活)、映画(協調性)の中から、毎日プログラムを行います。また、保護者の方との面談機会も月1回設けているそうです。10月は見学会も実施されるようなので、ご興味ある方はぜひお問合せください。Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior本厚木教室は、2024年7月にオープンした事業所で、本厚木駅バス約8分の場所にあります。「ひとりひとりが自信を持って生きる」をコンセプトに個別指導と集団指導を両方取り入れたプログラムを行っています。保護者の方との対話を重視し、月に1回の面談機会を設けています。また、幼稚園・保育園後の送迎など幅広く対応されているそうです。どういう教育がいいか、どういう教室がいいか、迷われている方はぜひ一度お問い合わせください。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior小田急相模原教室は、小田急相模原駅から徒歩約8分の場所にあり、幼稚園・保育園後の送迎など幅広く対応しています。「ひとりひとりが自信を持って生きる」をコンセプトに、さまざまな教材の中からお子さんのニーズに合わせたものを選んで行う個別指導と、集団指導を両方取り入れるプログラムを行っています。また、お子さんと接する時間・期間の長い保護者の方との対話を重視し、月に1回の面談機会を設けているそうです。Upload By 発達ナビ施設情報Apple Junior本厚木教室は、2024年7月にオープンしました。「環境を整えた集団体験」と並行しての「個々の取り出し発達支援」によって、お子さんの段階・困り事に沿った支援を行っています。集団指導では工作(巧緻性)、音楽(感性)、運動(身体能力)、ゲーム(社会性)、料理(生活)、映画(協調性)の中から、プログラムを毎日必ず行います。個別指導では、苦手な事は少しずつでもできるように、得意な事はどんどん伸ばせるように実施しています。また、保護者の方との対話を大事にしており、面談の機会も設けているそうです。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ときめきスクールありがとうは、宮原駅西口800mの距離にある民家改装型の放課後等デイサービスです。家で過ごすようなリラックスできる環境で、いろいろな活動に取り組み「得意なことを伸ばす」支援を行っています。ご利用者や保護者の方の多様なニーズにお応えできるよう経験豊富なスタッフの方が在籍しています。スタッフのフォロー体制も大切なポイントですが、それ以上にご利用者のその時の気持ちを考え、「やる気」や「挑戦してみよう」の気持ちを大切にした支援に取り組んでいます。埼玉県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報スターキッズ千葉ではお子さんと同じ目線を意識し、時には父や母のように、時には兄や姉のように、時には友だちのように。職員の役割分担により、お子さんが自分らしく過ごせる環境設定を行っています。また、“事業所にいるだけ”のような預かり・見守り施設ではなく、お子さんが楽しく活動し、安心して【成功と失敗】ができるよう信頼関係の構築に努めているそうです。児童福祉事業に特化した専門性とこれまでの経験を強みとし、幼児期の早期発達支援を行い、児童と保護者の方の頑張りを支援しています。千葉県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報あすきたる児童発達支援・放課後等デイサービスでは、発語や就学前のお子さんに特化した支援から、宿題や学習支援、さらには作業療法士による個に応じた心身の発達を促す手だてや、プログラミングまで、幅広いサービスを提供しています。さまざまな発達支援のグッズを準備しており、各個人に対してマンツーマンでの発達支援を行い、個々のニーズに応じた支援を提供することで子どもたちの成長をサポートしています。初めての場所では緊張しがちなお子さんも、自己肯定感と自己効力感を高めるような発達支援によって、笑顔になれるのではないでしょうか。大阪府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報sansuiスタジオは2024年7月にオープンした、門戸厄神駅から徒歩5分の場所にある事業所です。理念である【可能性と、出会う】ための発達支援として「できる」「考える」「夢中になる」の3つを大切にしています。センサリープレイ、アート、ことばあそびなど、感覚を取り入れたものから、誰かとつながるために必要な「ことば」を楽しく知ることができるプログラムまで、お子さんに合わせた発達支援を行っています。安心できる環境を作り、保護者の方と一緒にお子さんの自立を支える支援を目指しています。兵庫県の児童発達支援をもっとみる広島県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Kids spase リフライズ リトリート府中は、2024年9月にオープンしました。不登校や学校に通うのが不定期な方が対象のフリースクール型放課後等デイサービスです。学校に行けない理由は個々さまざまありますが、幅広い選択肢を通して社会性や生活の幅を広げる支援を行っています。学習支援も行っており、希望される方はオンライン教材を使用して学習することも可能だそうです。また、広いアイランド型のキッチンスペースを設置しているので、おやつ作りなども日々のプログラムで実施しています。広島県の放課後等デイサービスをもっとみる香川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと高松香西教室では未就学のお子さんの成長と発達をABA(応用行動分析)で支援しています。行動一つひとつに焦点を当てて、「今できていることはなんだろうか?」「次、どんな事ができるだろう?」と可能性を見つけ、小さなステップをたくさん実践して、成功体験を積み重ね、お子さんの可能性を広げていく発達支援を行っています。『たくさん』の課題や楽しいことに、『小さく』一つずつ向き合って、『確実に』できるようになるために、お子さんと日々関わっているそうです。香川県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月29日夏休み前の通級の先生との面談小学5年生の5月から学校に行けなくなり、その後五月雨登校だった次女。夏休み前に、保護者と通級指導教室(通級)の先生との面談がありました。Upload By まりまり私は、担任の先生以外にも、学校内に次女の事情を良く知っていて相談に乗ってくれる先生がいるということを、とても心強く感じていました。次女が低学年の頃、学校での支援になかなか繋がらずに不安な思いをしていましたが、いろいろなところに相談した結果、通級に通うことができるまでの環境になったことを、とてもありがたく感じる瞬間でした。今後のことを考えて、学校での次女の避難場所について聞いてみた先生と情報交換をして、次女の夏休み明けのことについてお話をしました。この時の次女は、本当になんとか学校に行っているという状態でした。このまま夏休みを迎えたとしたら、2学期はスムーズに学校に戻れないかもしれないという不安がありました。私は、次女のために何かできるサポートはないか考えました。そして、教室にいることに疲れてしまった時などに、一時的に次女が避難できるような場所があると良いのでは……?と思って、良く聞く「保健室登校」のように、保健室を利用することはできるか確認してみました。Upload By まりまり通級での対応この時は、コロナ禍だったこともあって保健室の利用は制限されており、そういった感じでの保健室の利用はできないとのお話でした。ただ、一時避難場所として、通級の空いている教室を利用できるとのことでした。先生のお話では、以前に通級を利用していた不登校気味の子が、避難場所として通級の教室を利用していたこともあったそうです。Upload By まりまりやっとの状態で学校に通っていた次女なので、「2学期が始まったらまた学校に行けなくなってしまうかもしれない……その時はどうしたらいいんだろう……」と、2学期が始まることを私自身かなり不安に感じていました。ですが、「もしもの時に、学校内で少し休むための場所がある」ということが分かっただけで、2学期に向けての不安が少し軽減されました。次女に話してみたところ…ところが「教室にいるのが疲れてしまった時に、避難場所として通級の教室を利用してもいい」ということを、次女に伝えてみたところ、「ええ~?通級の教室?……絶対イヤだ!」との返答が……。Upload By まりまり休めるのはいいけれど、通級の教室を使うのが気まずい、恥ずかしい、とのことでした。場面緘黙の次女にとっては、まず、「通級の教室に行って休みたい」と先生に声をかけるハードルが高く、人と違うことをするのは恥ずかしいし気まずいので、それをするくらいなら我慢するか家に帰りたい、ということでした。次女と話し合って、2学期学校が始まってから、もし教室にいるのがつらくなってしまって、その時に利用できそうだったら試しに使ってみる……という感じで話はまとまりました。夏休みゆっくり休めた次女の2学期こうして、親としては、また来るかもしれない不登校の対策を考えるなどして2学期に備えていました。次女は、夏休み期間中は毎日ダラダラと過ごして、日に日に元気になっていきました……!Upload By まりまりこうして元気をチャージした次女、2学期の始業式には無事に登校できました!……が、その翌日は休んで……次の日はまた行けて……その次の日はまた休んで……。その後は、徐々に学校に行く日が増えてきて、週に1、2回ほど休みながら学校に通うようになりました。学校に行く頻度自体は夏休み前と変わりませんが、夏休みにしっかり休んだことで、学校に通う負担が少し少なくなったように見えました。結局、次女が学校で疲れた時に通級の教室を使って休む、ということは1度もありませんでした。親としては「こうしたらラクになるのでは……?」といろいろ考えたりしますが、本人の希望・できることのなかでの最善を探っていかなくてはいけないな~と改めて思ったのでした。執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙の娘さんが、五月雨登校になりつつあるときのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。個人差がありますが、場面緘黙傾向のあるお子さんは、自分が発言したり行動したりすることへの周囲のリアクションを極度に怖れるような方もいて、目立つことや、特別扱いと感じることや、今までやったことがないことを避ける方は多い傾向があります。決まった時間の通級に行くのは決まっているからいいけれど、自分から発信して通級の部屋に行くというのはハードルが高かったのかもしれません。例えば、疲れた時に通級に行きたいと自分から発信するというのを提案する前に、休み時間に先生が迎えに来て通級で休むことを経験してみるといった、自分発信ではないこと、目立たないやり方から提案してみるなどもいいかもしれません。まりまりさんが書かれていたように、良かれと思っていろいろおぜん立てしてみても、本人が受け入れないということはありますよね。本人が安心して取れる手立てでないと意味がないので、いろいろ提案しながら本人が受け入れられるものを探していくしかないですね。まりまりさんの娘さんは、試行錯誤しているうちに、週に1、2回休みながら登校するというよいリズムがつくれてきたようでよかったです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月28日初めての発達科長男は1歳半ぐらいの頃から、こだわりの強さ、集団行動の苦手さ、同じ場所を行ったり来たりする常同行動などが気になり始めました。しかし私はあまり育てにくさを感じておらず、まだ長男が幼いのもあり、どう捉えたら良いのかとずっと悩んでいました。健診で相談しても特に指摘されることもなく、考えすぎだろうかと思ったこともありました。しかし長男は幼稚園年中の終わり頃から登園渋りが始まり、年長になってもずっと続きました。そのことや以前よりもお友だちを避け自分の世界に入り込む時間が増えたことを担任の先生も気にしてくださり、話をする中で、入学も控えているし、一度発達検査を受けてみようと決めました。もともと長男は甲状腺機能低下症で大学病院に通院していたため、同じ病院内の発達科を紹介してもらいました。本当は入学前に検査ができたら良かったのですが、検査予約が取れたのは長男が1年生の5月でした。検査の日の前に一度診察を受けた際の長男は、椅子に座ってくるくる回っており、少し落ち着きのない様子でした。そして迎えた検査の日。長男には、「今どれくらい成長したのか知りたい」と話をして検査に連れていき、特に拒否することもなく落ち着いて私と別れ、部屋へ。2時間ほどあった検査でしたが、態度も良好で問題なく進められたと先生が話してくださいました。やはり私の考えすぎだったのか…後日伝えられた結果は、特に診断は出ないとのことでした。気になる行動等は年齢と共に緩和されていくだろうから長男の場合そんなに気にしなくても良いのではと先生に話をされました。やはり私の考えすぎだっただろうか……たしかに年齢と共に変化してゆくのだろうとも思うのですが、内心はなぜかまだモヤモヤしていました。結局、具体的な対応も分からないまま、その後も気になることは生活の中でちょこちょこありましたが、悩みながらも様子を見ていくしかないのかなぁと過ごしていました。Upload By ねこじまいもみ検査後の日々も続く登校渋り小学1年生の時に1番悩んだのは、やはり入学当初から続く登校渋りへの対応でした。これも年齢と共に緩和してくることなのだろうかと常に疑問でした。実際2つ年上の長女は月日と共に登校渋りが緩和していったのですが、長男はまたそれとは様子が違うようになんとなく思いました。温かく見守り寄り添ってあげたい自分と、自分のことや下の子のことがうまく回らずイライラしてしまう自分との葛藤でした。小学1年生の10月頃、かなり悩んでいる私に担任の先生はスクールカウンセリングを勧めてくださいました。最初は私だけで。後に長男も一緒に相談へ行きました。スクールカウンセラーの先生は大変親身になってくださり、長男の学校での様子を見てくださったり1人でいる時は声をかけてくださったりしました。しかし、長男はそれが嫌だったようで、私にそのことを話してくれました。また、常同行動についても長男は学校では我慢していたのですが、いつも手に持っているお気に入りの物はカウンセラー室に置いておいて、休み時間にカウンセラー室に来て走ってもいいよとおっしゃってくださいました。しかしそれも長男には違ったようで行くことはありませんでした。スクールカウンセラーの先生が考えていろいろしてくださることも、長男はかまわれたくないことや注目されたくないことが理由で拒否。私自身も長男が望むことやスクールカウンセラーの先生にどう伝えてどうしてほしいのかよく分からなくなってしまい、進展のないまま何度も相談に行くのがつらくて途中でやめてしまいました。その後スクールカウンセラーの先生に市の教育センターにある不登校専門の相談先を紹介してもらいました。そこでは学校に行けない子たちが利用できる場所を教えてもらいました。当時長男に話をしたのですが、長男はほかの場所には抵抗があり、「休みを挟みながら学校に行く今のままで大丈夫。それで頑張れる」と話してくれたので今のまま彼のペースを見守っていこうと当時は決めました。Upload By ねこじまいもみ休みがちでもたくさん成長した1年休みがちだった小学1年生ですが、たくさんの成長が見られました。入学前まで字も読めず書けず筆圧も弱くひょろひょろの線しか書けなかったのに、濃いしっかりした字が書けるように。運動会ではみんなで協力し頑張ることの楽しさを私に話してくれたこともあったり、ずっと「友だちいない」と言っていたのに、たまにお友だちの家に遊びに行くようになったりと感動することもたくさんありました。そんな姿を見て、検査を受けても手探りの日々でしたが長男が頑張っているところ、良いところにたくさん目を向けてあげたいと改めて思いました。しかし長男の気持ちには大変波があり、言うことがコロコロ変わることも多々あるため私も翻弄されることばかり。それでも、プレッシャーを与えすぎないように、良い意味で過剰に期待しすぎないように長男なりに一生懸命生きる姿を見守りたいと思いました。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの発達科受診、検査の受検、しかし変わらず悩ましい様子、スクールカウンセラーへの相談などなど激動の小1時代についてシェアいただきありがとうございます。受診や検査受検によって、お子さんに診断が出たり、お子さんが困っている原因と思われるような得意不得意の大きなばらつきが分かったりすることはあります。ただ、一方で、それが分かったからといって、すぐにうまくいく方法もセットで分かるわけではないですし、今回のように診断も出ず、検査での結果もいまひとつしっくりこない感じに受けとめられるようなことも場合によってはあります。検査によって分かることはたくさんありますが、当然のことながら“全て”のことが分かるわけではないですし、検査室という教室や学校とは異なる特殊な環境でのパフォーマンスを測ることが多いのでそうした環境では大きなつまずきなくやれてしまう場合もあります(学校等での様子と大きく異なる結果が出たときは、例えば、環境によって左右されやすいのかもしれないといったように解釈していくこともあります)。ねこじまさんがもやもやとひっかかられていた、長男くんの根強い登校渋りや、本当に年齢によって(成長によって)改善してゆくのかという不安に関しては一朝一夕に解決するものではなく、また不安に思う保護者の気持ちもとても自然なものだと思うので、スクールカウンセラーに相談するに至ったのもよかったとは思います。ねこじまさんや長男くんに親身になって関わってくださり、さまざま提案くださるカウンセラーの先生だったのですね。長男くんの思いとは少しずれてしまったようですが、まずは長男くんがそれをねこじまさんに伝えられたのは良かったと思います。我慢していいことは何もないので、それを伝えられる親子関係で何よりだなと感じました。ただ、ねこじまさんからすると、カウンセラーの先生が良かれと思ってさまざま提案くださっているのも分かるからこそ、長男くんへの直接的な働きかけを控えてほしいと伝えるのはなかなかにハードルが高く感じられたのかもしれませんね。(私はスクールカウンセラーとして勤務していますが)カウンセラーの立場からすると、本当はそうしたことをお伝えいただき、良き程度・度合いを一緒に図りながら模索できるほうがありがたいので、伝えてほしいなとは思います(ただ、それが言いづらいのもよく分かります。そういうことを伝えやすいカウンセラーでありたいなぁと改めて思うところです)。また、スクールカウンセラーのもとへ相談する際には、保護者のみで継続される方も多くいらっしゃいます。お子さん本人が望んだ場合はぜひ来てほしいと思いますが、低学年の場合だと特にそうですが、自分の困っている話をしたくないとか、質問されても困ってしまう、特別なことをしたくない場合もあります。ご本人の希望をまず聞いていただき、あまり気乗りしてなさそうであれば、まずは大人の間で環境調整等、工夫できることを模索することを先行させる、そんなイメージで相談を開始する、あるいは、地域の情報(不登校の児童生徒が利用できる場に関してなど)を情報収集するために話を聞いてみるといったところから始めてみるのもよいでしょう。さて、最後に長男くんが小1の1年間で成長したところについても書かれていました。休みがちであっても、成長したところがいっぱいあったと振り返れるのはとても素晴らしいですね。気になること・心配なことはどうしても目が向きやすく、そしてそこに注目し続けると、成長しているところ・健全なところに目が向きにくくなってしまうものです。時には意識的に成長しているところを探してみたり、慌ただしい(あるいは波のある)毎日の中で、ふと立ち止まってお子さんが楽しそうに取り組んでいること・夢中になっていること等に目を向けてみることをおすすめします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月27日無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、希望が叶って知的障害特別支援学級に転籍したみき。二人のその後は?発達ナビ読者の体験を元にした「マンガ発達障害の子どもと私たち」。1章はるき編、2章みき編と無事完結しました。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきは、小学校3年生の運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって、不登校に。最初は受け入れていた保護者も、長引く休みに焦るようになりました。一方、5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみき。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ通っていましたが、小学校3年生から勉強につまづきが見られるようになり、小4の「学習の壁」によって登校渋りがでるように。集団授業は難しいのではと思った保護者は、みきが希望する特別支援学級への転籍を希望したのですが、結果は……。1章、2章については、以下記事からまとめ読みができます。今回は、そんなはるきとみきのその後をお届けします。専門家による進学についての解説も併せてご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談子どもの笑顔を指針に、これからも歩んで行く発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグいかがでしたか?はるきは、学校へ行くことはできていませんが、家でも笑顔が増えるとともに放課後等デイサービスという居場所を増やして元気に過ごしているようです。みきは、知的障害特別支援学級でお友だちもでき、楽しく登校できるようになりました。みきにあった環境を見つけられたようです。笑顔が増えてきたはるきとみき。ですが、これから中学校、高校と将来のことを考えると心配はつきません。発達障害があるお子さんの進路の選び方について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に解説いただきます。中学、高校の進路の選び方について【専門家解説】中学でどの学級に在籍するかについては、高校の進学が関係してくるため、注意が必要になります。例えばみきさんの場合、中学でも知的障害特別支援学級を希望される場合、入学前から高校を受験することを前提に教育課程を組んでいただくようお願いする必要があります。知的障害特別支援学級では、一般的に各教科の指導というよりは、自立活動を中心にカリキュラムが組まれることが多いため、そのため、通常の高校への進学は難しくなるケースもあると思います。自閉症・情緒障害特別支援学級や病弱・身体虚弱特別支援学級の場合は、こうした心配はありません。地域によっても多少の違いがあるので、中学校に就学する時点で、高校の進路についてもある程度相談しておくことが必要ではないかと思います。参考:3.特別支援教育に関する学習指導要領等|文部科学省教育課程の編成について2特別支援学級Upload By ユーザー体験談「発達障害の子どもと私たち」最後までお読みいただきありがとうございました。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月26日トラブルが多かった1年生。2年生からは特別支援学級へUpload By もっつんタクは小学校に入学してから、トラブルや教室からの脱走が多発していました。スクールカウンセラーとの面談の末に、2年生に進級するタイミングで特別支援学級に転籍をしました。転籍に向けて1年生の終わり頃から、何度か特別支援学級の教室を見学したり、担任予定の先生とお話しをしたりしたので、不安は少なかったです。少しだけ気に掛かっていたことは、今まで同じクラスで学んでいた友だちや保護者の受け止め方でした。憶測でいろいろと言われてしまうんじゃないかと不安な気持ちがありました。噂などを未然に防ぐために私が行ったのは、1年生の年度末保護者懇談会で「2年生から特別支援学級でお世話になることになりました!」と堂々と宣言することでした。そのためか、周りの保護者の方からの理解もスムーズだったと思います。お友だちとの関係については、先生が「タクは2年生から苦手な教科を別の教室で受けることになったよ。でも今まで通り給食や休み時間は一緒に過ごせるからね」と分かりやすく事前に説明をしてくれました。先生が自然にフォローしてくださったおかげで、何の違和感も無くクラス移行ができたと思います。タク本人に至っては、全く心配は無く特別支援学級で授業を受けることを楽しみにしていました。教室の後方にクールダウンスペース。特別支援教育ならではの配慮Upload By もっつん2年生になってからのタクは、学校での問題行動がぐっと減りました。授業中の教室から突然逃げ出してしまうということも、特別支援教室ではほとんどなくなったそうです。これは少人数で見てくれていることと、タクがソワソワ落ち着かない状態になった時に先生が早い段階で気付いてくれて声かけをしてくれていたからだと思います。授業参観をした際には、教室の後方に低い棚があってその後ろにはマットが敷かれていました。そこはクールダウンスペースとなっており、気持ちがソワソワしてしまった時には先生に伝えてからその場所で静かに過ごすことができます。落ち着いて授業に参加できるようになったら、自ら机に戻ってまたすぐに勉強を再開することができます。実際にクールダウンスペースを利用しているクラスメイトを見たこともありますが、すごく良い取り組みだなぁと感動しました。自分の気持ちの状態を自覚して行動ができるように、さまざまな工夫がされているんだと思いました。落ち着いて過ごせる時間が長くなったことで、給食や交流学級での授業中もトラブルを起こすことが減っていったのだと思います。量より質。達成感を重視した宿題Upload By もっつん特別支援学級になってから大きく変わったことは、勉強の中身です。タクの場合は使っている教科書は通常学級と同じものでしたが、授業の進むスピードがバラバラでした。得意な教科はどんどん先に進んで、飽きさせないようにさまざまな応用問題を準備してもらっていました。逆に苦手な教科については、過剰に精神的負荷がかからないように細かく分けて授業をしてもらっていたようです。苦手な課題を終わらせたら、残り時間は好きな工作をやっていいなどルールを明確化していたとのことです。タクは、SLD(限局性学習症/学習障害)の中のディスグラフィア(書字表出障害)の傾向が強くあります。黒板の文字をノートに写すのがとても苦手で、マスの中に文字を収めることがなかなかできません。そんなタクの特性に合わせて、板書が必要最低限で済むようなプリントなどを使って授業を行ってくださいました。宿題の漢字では、(右利きのタクに合わせて)左のマスに先生がお手本を書いて、それを見ながら右側に記入できるように毎日工夫してくださいました。記入は1回のみでOKで、一番下のマスまで書く必要はないと説明を受けました。最初の頃は「これじゃ簡単すぎないかな?こんなに甘やかしたらどんどん文字が書けなくなってしまうんじゃないか……」と心配になることもありました。しかし長い目で見ると、これが当時のタクにとっての適量の宿題だったんだと納得です。量をこなすよりも、出された課題を最後まで終わらせるという成功体験が必要だったのです。また、今まではとにかく文字に強い苦手意識を持っていたタクですが、文章問題を音読してもらうことによってスムーズに計算を始めることができるようになりました。汚い字でも読めない字でも全否定しない先生の存在が、タクに自信を与えてくれたのだと思います。忘れ物を減らす工夫を、先生と考えるUpload By もっつん1年生の授業ですでにつまずきを感じていたタクですが、3〜4人ほどの少人数クラスで授業を受けることにより、細かく手厚いサポートのおかげで学力が追いつきました。勉強以外の面でも、変化が見られました。教室移動などの際に忘れ物が多いタクでしたが、先生の提案により学校内用のバックを使うことになりました。中身が透けて見えるタイプで、教科書と筆箱がぴったりとおさまる小さめのものです。このバックのおかげで移動教室の際にも、忘れ物や置き忘れが劇的に減っていきました。周りの大人も本人も頑張りました!Upload By もっつん小学2年生から特別支援学級に転籍したタクですが、本人にとってとてもプラスの結果となりました。転籍の打診をされた時は、私自身は正直とてもショックでしたが……間違いなく転籍して正解だったと思います。一人ひとりに合わせたペースで授業をしてくれて学力も伸び、刺激が多い学校生活の中で安心できる場所になりました。学年が上がる度に少しずつ集中力も付いて、交流学級で受ける授業が増えました。低学年の頃は「変わったやつ」だと言われることもありましたが、今では「変わってるけど面白いやつ」にキャラ変できた!!と本人も言っています。特別支援学級に転籍という未知の道でしたが、先生たちのおかげで良い学校生活が送れたと思います。そして何よりも、少し変わり者で面白くて優しいタク本人の努力の結果だと思います。タクは中学3年生になった現在でも特別支援学級に在籍しています。長い学生生活で、親から見てつらい場面や、やるせない出来事もありましたが、心身共に成長できたのは支援のおかげだと思っています。執筆/もっつん(監修:初川先生より)通常学級に入学したタクくんが2年生から特別支援学級に転籍してみてのお話をありがとうございます。転籍を勧められるとショックを受ける保護者の方は多くいらっしゃいますが、実際移ってみるとお子さんがいきいきと過ごし、楽しそうに学習するようになったなど良い変化を目の当たりにされることも多いように感じます。転籍にあたって、1年時のお友だちや保護者の方へどう説明しようかと悩まれたもっつんさん。学年末の保護者会で自らそこをお伝えされたとのこと、勇気のいることだったと思いますが、私は最適解だったと感じます。もっつんさんが心配されたように、変な噂が出ることやそれによって同じ学校でこれからも過ごしていくタクくんにとって何らかネガティブな影響が出てしまうのは避けたいところです。保護者の方に直接お話できる保護者会という機会を活かすのはとても良い方法だと思います。子どもたちへの説明は、担任の先生とご相談の上、担任の先生からなされるのもとてもよかったですね。先生の説明の仕方も発達段階に合った良い説明だと思います。さて、特別支援学級での学びのいろいろについてもご紹介ありがとうございます。少人数だからこそ、個々人の得意不得意に合わせやすかったり、そもそもさまざまな障害・つまずきとそれへの対応に長けた先生も多くいらっしゃったりする環境です。具体的にタクくんに対する個別的な支援の実際をうかがうと、細やかに工夫いただいて、これは心強かったろうと思いますし、タクくんにとっても安心して学ぶ環境になったろうと思います。難しいことに困難を伴いながら頑張らせてもなかなか伸びなかったり、あるいは途中で心が折れたりしてしまうものです。自分にとって、しっかりと手応えと達成感を得られる課題から、成功体験を積んで学習をスモールステップで積み上げていくこと。学校生活において学習時間はなかなかの比重があります。その時間でしっかりとお子さん本人が手応えと達成感を得ながら取り組める環境になったことが、本当によかったなぁと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月26日不安とともに始まった放課後等デイサービスASD(自閉スペクトラム症)のスバルが最初に通所していた放課後等デイサービスは、とても楽しい場所でした。週に何度か外部から先生が来て、さまざまなレッスンをしてくれました。集団での活動が苦手で一斉指示が届きにくい特性を持つスバルは、それまで習い事を諦めていました。しかし特性を持つ子が集まる放課後等デイービスでは「先生やお友達に迷惑をかけるかも」と気にすることもなくレッスンに参加できることが魅力でした。もう1つの魅力は、特性のある子の対応に長けたベテランの先生たちです。放課後等デイサービスにはさまざまな特性のあるお子さんが集まるのでトラブルはあるだろうと思っていました。しかし見学時、癇癪を起こしたお子さんに対する先生の丁寧な対応を見て「ここならば安心して通わせられる!」と思い通所を決断しました。スバルは癇癪を起こすタイプではありませんが、いわゆる「空気が読めない」立ち振る舞いをしてしまうタイプのコミュニケーションに難ありっ子なので、信頼できる先生に見守られながらコミュニケーションを学んでほしいと思いました。しかし春になり通所が始まると、見学時に顔を合わせたベテランの先生たちがごっそりいなくなっていました。新しくできた系列施設に移動したとのことです。こうして不安とともに始まった放課後等デイサービスの通所ですが、スバルは楽しそうに通っていました。異変「暴れている子がいるよ」スバルの生活に放課後等デイサービスが定着してきた頃、帰宅後そんな話をするようになりました。別の小学校から通う子が毎回癇癪を起こしており、先生が数人その子にかかりきりになっているとのことでした。スバル自身は初めて見るような激しめの癇癪に驚いていたものの、心身に大きな影響はなさそうでした。癇癪について簡単な言葉で説明しつつ「心が落ちつくまでそっとしておいてあげてね」と伝えました。スバルは物理的にも精神的にも距離感が近すぎるところがあり、トラブルを察知すると無関係なのに心配して寄っていってしまうことがあります。幼稚園時代は無関係なケンカに巻き込まれたり、怒っている子の神経を逆なでしたり、先生がなだめているのを当事者みたいなポジションで聞いていたりしました。そんなこともあり「怒っている子や泣いている子はそっとしておく」「トラブルに近寄らない」という話はあの手この手で伝えてきました。その甲斐あってか、癇癪を起こしている時にはその子に近寄らず過ごせているようでした。「何もなかった」……?それからしばらく経った頃、放課後等デイサービスから帰って来たスバルは頬に保冷剤を当てていました。癇癪中のその子に叩かれたとのことでした。それからたびたび、叩かれた、引っかかれた、蹴られたと言って帰ってくることが増えました。送迎の先生からは「念のため保冷剤を……」と説明されました。スバル本人も「叩かれたけど大したことない」と言うようになりました。Upload By 星あかり先生も深刻そうではなかったし、過去の出来事からスバルは「叩く」の種類や悪意の有無があまり分かっていないようなので、手や足が当たってしまった事を大げさに「叩かれた」と伝えているのではないかと考えました。しかしそれにしても回数が多いので放課後等デイサービスの先生には「癇癪を起こしている子にスバルが近寄りそうな時は止めて欲しい」とお願いしました。先生は今まで以上に注意深く見守ると言ってくれました。その後は先生からもスバルからも「今日は何もなかった」と報告される日々が続きました。ほっと一安心……とはいかず、「何もなかった」はずの放課後等デイサービスがあった日だけ、激しめの常同行動やチックが出るようになりました。先生に質問や相談をしたいけど「何もなかった」と説明されている以上、「本当は何かあるんでしょう?」と詰め寄ることもできず、ほかの誰に相談したら良いのかも分からずモヤモヤした日々を過ごしていました。現場を目撃そんなある日、用事の帰りに偶然放課後等デイサービスの近くを通りかかったので、そのまま迎えに行って一緒に帰ることにしました。最近の様子から、放課後等デイサービスでどんな風に過ごしているのか見たいという気持ちもありました。玄関の前に立つと、玄関の隣の窓から悲鳴のような声が聞こえました。慌てて窓から中を覗くと、そこには箒を振り回すその子と、止めようとする先生、泣いて逃げ惑う子たちでパニック状態でした。慌ててチャイムを押すと、スバルと先生が飛んできました。そしてスバルは「今日もいつも通り、何もなかったよ」と言いました。Upload By 星あかりスバルは直接自分が叩かれることがなければ、ハードな現場に居合わせても「何もなかった」と表現することが分かりました。もしくは先生が「何もなかった」と説明しているのを聞いて、スバルもこの出来事を「何もなかった」に分類したのかもしれません。しかし本当はストレスを感じていてチックなど体調に表れたのだと思います。スバルは「何もない」と言いますが、体調に表れるほどにストレスを感じていることに不安に感じ、この放課後等デイサービスは辞めることにしました。知るべきは事実私はこの一件を本当に反省し、学校や放課後等デイサービスから帰って来たスバルへの声掛けを「今日楽しかった?」「どうだった?」という曖昧な質問で終わらせないように心がけるようになりました。スバルが拙い言い回しで伝えてくる今日の出来事の中のちょっとした不穏なワードを見逃さず、本人の「何もなかった」と言う感想を鵜呑みにしないように注意して聞くようにしました。そうは言っても尋問のようになると本人が話してくれなくなるので、あくまで楽しい会話のキャッチボールの中で自然に聞くような形です。そして気になることがあれば「こんな些細なことで……」と躊躇せず早めに先生に相談するようになりました。他人からの悪意や暴力に気づきにくいスバルのフィルターを経由し、ほのぼのとしたエピソードとして語られた出来事の中には重大な事件が隠されていたこともありましたし、幼稚園の頃より人間関係が複雑になっている分、注意深く見守らなければいけないと感じました。現在は目立ったチックや常同行動もなく、学校も放課後等デイサービスも楽しく通っているように感じるのでスバルの成長とともに少しずつ見守り体制はゆるくなってきています。しかし心配性の母は、今日も不穏なワードに目の奥をギラつかせながら、にこやかに学校や放課後等デイサービスでの出来事を聞き出しているのでした。執筆/星あかり(監修:新美先生より)見学に行って信頼できそうだと思ったスタッフがいるから選んだ放課後等デイサービスで、入ってみたら、そのスタッフたちがごっそりいなくなってしまったとは、想定外なことでしたね。学校や放課後等デイサービスなどでの様子をお子さん本人に聞いても、さっぱり要領を得ないというのは、よくあることですね。そもそも、空気が読めなかったり状況把握が上手じゃなかったりして、何が起きているかを分かっていないということもあるかもしれないですし、伝えるべきことがどういうことか分からないとか、どのように伝えたらいいか分からないというようなコミュニケーションの難しさがあることもあります。「楽しかった」「何もなかったよ」と答えるのがパターンになっていて、それ以上の答え方のバリエーションが増えないというようなこともよくあります。今回のエピソードではないですが、お友だちや先生に口止めされたのを真に受けて律儀に相手側に不都合なことを言わないということもまれにあります。その場に聞き手がいなかった状況を聞き取るときに、その場にいた登場人物を棒人間で書いて、その人が言ったこと、やったこと、その時どう思ったか、などを聞き取りながら図解して確認するような方法(コミック会話)をとることで、聞き取りがしやすかったり、「何があったの?」とオープンクエスチョンで聞くよりは、選択肢を選んでもらうなどのやり方で聞き取ると、少しは状況が見えてくることもあります。ただ毎回のようにやると、それこそ尋問のようになってしまって、めんどくさがられますよね。星さんもおっしゃっていたように、なにより帰宅後のご本人の様子で、そこに行かない日と比べて、イライラしていたり、何らかの症状が強まったり、こだわりが強くなっていたりと、お子さんの変化を見ることで判断するというのは大事だと思いました。なかなかお子さんから「これが大変」ということは発信してもらいにくい場合、気になる時は、実際に見に行ってみたり、スタッフの方としっかりお話ししたりして状況改善を図ったり、無理なら撤退するというのは必要な対応だと思いました。お話聞かせていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月25日無理だと思っていた習い事、事情を説明して入会特別支援学級の情緒クラスに在籍している長男けんとは、現在小学3年生。ASD(自閉スペクトラム症)と3歳の時に診断を受けました。小さい頃から数字が大好きで、何か数字を見つけると目をキラキラさせて喜んでいました。年中の時、けんとがそろばんをやりたいと強く希望してきました。しかし構音障害があるので何を話しているのか分からないことも多いわが子。じっと静かに座ることも苦手です。やっていけるのか不安だったのですが、勇気を出してそろばん教室の先生に事情を説明したところ、受け入れてくださったので習い始めることにしました。Upload By ゆきみその教室は超少人数制。先生が私の同席を許可してくださったので、隣でけんとの言葉を通訳したり、離席しないように補助をしたりしました。けんとは1年半ほどはやる気満々。みるみるうちに上達していきましたが、段々難しい問題になり、間違えが多くなると一気にやる気が低下。そのやる気のなさに私もイライラして怒ってしまうようになりました。その状態がつらかったので、小学校1年生の時にけんとと相談し、そろばん教室を辞めることにしました。アプリを活用して続け、突入したやる気モードUpload By ゆきみ「せっかくそろばんを習ったのに、辞めるのはもったいないな」と思っていた私。忘れない程度に家で簡単にできるものはないかと思い、探してみました。すると、タブレットでそろばんのようなことができる有料アプリを発見。けんとに見せてみると「やりたい」とのことだったので、試しにやってみることにしました。ゲーム感覚でやるものだったので、少しずつ続けていきました。それから1年半くらいがたち、小学2年の冬。急にけんとが「小3になった4月から、そろばんを習いたい」と頼んできたのです。以前通っていた教室にまた通うことにしました。少しずつタブレットを使いアプリでやっていたのと、たまにですがそろばんをやることもあったからなのか、復帰後はすぐに慣れました。同席なしで離席…新たな課題と対応策Upload By ゆきみ以前習っていた時は私が同席していましたが、小学3年生になったこともあり「同席しないで試しにやってみましょう」と先生が提案してくださいました。けんとは、やることを決めておき、視覚支援としてスケジュールを書いて見せると、スムーズに行動できることが多いのです。それを先生にお伝えしたところ、ホワイトボードを使い、視覚を使って説明しながら授業を進めてくださいました。Upload By ゆきみしかし、やる予定の問題を全て解き終わった瞬間(または、終わりの合図のタイマーが鳴った瞬間)席を立ちあがり、興味のあるものへとすごい勢いで離席してしまいます。ほかにも、近くの生徒さんのそろばんをのぞきに行ってしまうという行動が出てきてしまいました。パーテーションなどを使い視覚の刺激を減らす方法や、行ってもいい範囲をガムテープなどを使い示してあげる……などの対策を取れば防げることもあるのですが、習い事でそこまでお願いするのは難しいなと感じています。それでも何か離席を防げる方法はないのか……と思い、現在試していることがあります。それは、やることが終わったあとにとってほしい行動までを書き、見せることです。離席は少しずつ減っているので、ほかの生徒さんのご迷惑にならないように、これからもわが子にあう方法を試しながら探していきたいと思っています。以前と比べて成長を感じることもそろばん教室に復帰して、成長した姿も見せてくれています。まず、そろばんの珠を弾く指が、以前よりもチカラ加減を調整しながら動かせるようになったと感じることです。そして以前は、人の話を聞かずに、自分のこだわりのやり方を通すこともあったのですが、先生の教えを聞くようになりました。また、字が汚くて、書いた数字が読めず、答えが合っていても不正解になってしまうことがよくありました。ですが、復帰後は先生のアドバイスを聞いて本人が実践し、以前よりもキレイに書けるようになりました。検定試験でのありがたい合理的配慮Upload By ゆきみそろばん教室では年に数回、集団活動が苦手なけんとには難しい「検定試験」があります。試験をしている間、じっと座っていないといけませんし、声も出せません。集中しないといけない環境なので、ほかの生徒さんが気になってしまうような行動をとると、ご迷惑になってしまいます。普段の授業だけなら先生のサポートもあり、何とかなっていましたが……。検定試験は厳しいな……と思い、先生に相談しようと考えていたところ、先生からご提案をいただきました。それは、教室にほかの生徒さんがいらっしゃらない時間をつくり、けんと1人で検定試験を受けられるよう「合理的配慮」をしてくださるというものでした。一緒の空間で受ける場合、ほかの生徒さんが集中しづらくなる可能性が高かったので、ありがたすぎて感激しました。こだわりが強く、不器用。視覚的な刺激があると衝動を抑えるのが難しいけんとの特性と、そろばんとの相性が合っていない部分もたまに感じる時があるのですが、本人がやる気を出して頑張っている間、それを応援したいと思います。執筆/ゆきみ(監修:藤井先生より)けんとさんが自らそろばんに挑戦し、周りの工夫も受けながら、取り組む姿は素晴らしい成長と感じました。けんとさんのペースで学びを進められたことで、達成感や自信が育まれることは、とても大切です。ゆきみさんをはじめ、先生などの周囲の方々が日々見守り、応援されれている姿勢が支えとなっていることでしょう。けんとさんの意欲を大切に育てていけると良いですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月25日受給者証とは?福祉サービスと医療費助成などで違うの?種類や用途、手帳との違いを解説「受給者証」とは、主に障害のある方が福祉サービスや医療費助成などを受けるために必要となる証明書のことです。利用する福祉サービスなどで種類が分かれていて、通所受給者証、入所受給者証、自立支援医療受給者証など名称も異なります。受給者証は条件を満たしている方やその家族が自治体の障害福祉窓口などに申請し、審査を通ると発行されます。条件は受給者証ごとに異なっており、所得により自己負担額が変わってくる場合もあります。受給者証の申請から発行までは1ヶ月から3ヶ月前後かかる場合が多いと言われています。ただ、申請の流れや発行までの期間は受給者証の種類や自治体によって異なりますので、申請の際に窓口で確認しておくといいでしょう。障害の診断がある方だけでなく、いわゆるグレーゾーンの方も福祉サービスなどを利用する必要性が認められた場合は発行されます。参考:障害児施設|東京都福祉局参考:障がい福祉サービス|与那原町参考:自己負担上限額を定める際の所得区分の認定について|厚生労働省受給者証のほかに、障害者手帳という制度を聞いたこともあるのではないでしょうか。どちらも所持することで障害のある方へのサービスを受けられるという点は同じですが、受けられるサービスに違いがあります。障害者手帳は一定の障害があることを証明する手帳で、障害によって身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳と3つの種類に分かれています。障害者手帳を取得することで税金の控除や交通費などの割引といったサービスを受けることができます。民間事業者でも割引を行っている場合があり、携帯電話の利用料やNHKの受信料、テーマパークなどの入園料が割引になることがあります。なお、障害者手帳だけがあっても児童福祉法や障害者総合支援法などに基づく障害福祉サービスや、障害や希少疾患がある人などが対象の医療費の助成は受けることができません。別途受けたいサービスや制度ごとに受給者証を取得する必要があります。※療育手帳は「愛の手帳」(東京都)「愛護手帳」(名古屋市)など、ほかの名称の地域もあります。参考:障害者手帳|厚生労働省参考:障害者手帳・障害年金|国立精神・神経医療研究センターこころの情報サイト福祉サービスを受けるための受給者証児童通所受給者証とは、ここでは児童福祉法に基づく障害児通所支援を利用するための受給者証を指すものとして説明します。障害児通所支援には以下のようなサービスが含まれます。・児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援など児童発達支援は未就学児を対象として、日常生活や集団生活での困りごとを解消するための支援を行い、放課後等デイサービスは就学児を対象に日常生活や集団生活、学習などの困りごとを解消するため支援を提供します。居宅訪問型児童発達支援は外出が困難な子どもを対象に、自宅で発達支援を提供するサービスで、保育所等訪問支援は保育園などへ支援者が訪問して集団生活への適応の支援を提供するサービスです。利用を希望する場合は、どのサービスにするかを選択して受給者証を申請します。サービスの利用料は国と自治体が9割負担し、利用者の負担割合は1割です。また、所得に応じて毎月の利用料に上限があり、生活保護や住民税非課税世帯は0円、住民税課税世帯でも課税額に応じて4,600円、37,200円と分かれています。月に何回利用しても上限額以上を支払うことはありません。ただ、利用にかかる交通費や食事代などは別途かかる場合があります。参考:障害児通所支援・障害児入所支援の概要|子ども家庭庁参考:障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について|子ども家庭庁参考:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省障害福祉サービス受給者証は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを利用する際に必要となる受給者証です。障害福祉サービスには大きく分けて、介護に関する「介護給付」と自立や就職に関する「訓練等給付」があります。介護給付には子どもが対象のサービスとして、居宅介護や行動援護、短期入所などがあります。居宅介護は利用者の自宅にスタッフが訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護を提供するサービスです。行動援護は、行動上著しい困難があり、常時介護が必要な障害のある方に外出中のサポートを行います。短期入所は普段自宅で介護を担当している方が、病気などの理由で介護が困難な場合に、短期間施設に入所してスタッフが介護や見守りを行うサービスです。利用者が子どもの場合は児童福祉施設などで行われます。訓練等給付では大人向けに就職などに関してさまざまな種類の支援を提供しています。一般企業に就職するために通う就労移行支援や、支援を受けながら働く就労継続支援などがあります。利用料は9割を国と自治体が負担し、1割が利用者負担となります。さらに、所得に応じて毎月支払う金額の上限が決まっており、0円、4,600円(18歳未満で通所施設、ホームヘルプ利用の場合。18歳以上は9,300円)37,200円となっています。参考:障害福祉サービスについて|厚生労働省参考:在宅の子ども・子育て 家庭支援事業の概要|厚生労働省参考:障害者の利用者負担|厚生労働省地域生活支援事業は、障害者総合支援法に基づき自治体が地域や利用者の状況を考慮した柔軟なサービスを提供する事業のことです。具体的な内容は多岐にわたりますが、主なものとして創作活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進、機能訓練、訪問入浴サービス、移動支援といった活動があります。この中でも移動支援は1人では外出が難しい方の社会参加のために、ガイドヘルパーが付き添いをするサービスとなります。具体的には役所や銀行の手続きへの同行のほか、映画館、習い事など余暇活動への同行も行います。ただ、自治体によって年齢や障害の程度により利用可能な活動の範囲や時間が異なる場合があります。東京都杉並区では余暇活動への移動支援が、・小学校4年生から6年生:1カ月に15時間以内又は年間180時間以内・中学生・高校生:1カ月に30時間以内又は年間360時間以内・18歳以上:1カ月に50時間以内又は年間600時間以内と年齢に応じて時間が増えていきます。地域生活支援事業の利用料は一律には決まっておらず、自治体やサービスによって異なります。先ほどの杉並区の移動支援の例で言うと、住民税課税世帯がサービス料の3%、非課税世帯は0円で利用可能となっています。詳しいことはお住いの自治体の障害福祉窓口でご確認ください。参考:地域生活支援事業|厚生労働省参考:地域生活支援事業について|厚生労働省参考:地域生活支援事業・地域生活支援促進事業について|埼玉県参考:移動支援事業|杉並区障害児入所受給者証は短期入所(ショートステイ)とは異なり、障害児入所支援において長期間入所する場合に必要となります。障害児入所支援とは児童福祉法に基づいて、障害のある子どもの保護、日常生活のスキル獲得のサポート、治療などを行うサービスです。福祉型と医療型の2つの種類があります。利用料は国や自治体が9割、利用者が1割を負担し、所得に応じた毎月の上限額も決まっています。上限額は通所支援と異なり、住民税課税世帯の中でも9,300円と37,200円となっています。障害児入所支援の利用に関しては、障害福祉窓口ではなく児童相談所に相談や申請が必要です。参考:障害児入所支援|厚生労働省参考:障害児施設|東京都福祉局医療費助成などを受けるための受給者証心身障害者医療費制度とは、障害のある方やその家族の医療費の負担を軽減する制度です。自治体によって多少異なり、東京都ではマル障という略称が使われているほか、受給者証ではなく受給資格証が交付される地域もあります。心身障害者医療費制度の助成の範囲は通院だけでなく入院、薬の処方などにもおよびます。また、医療費は所得により異なり、住民税非課税者の場合は負担が0円となります。住民税課税者の場合は基本的に医療費の負担が1割となるほか、通院の場合と通院、入院両方行った場合で毎月、年間の負担上限額が設定されます。心身障害者医療費制度の対象となる方は、自治体によって異なりますが、東京都の場合は以下の通りです。・身体障害者手帳1級・2級(心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう・直腸・小腸・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・肝臓機能障害の内部障害については3級も含む)・精神障害者保健福祉手帳1級・愛の手帳(療育手帳)1度・2度詳しくはお住いの自治体のWebサイトなどをご確認ください。参考:心身障害者の医療費支給制度について知りたい。|さいたま市参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)|東京都福祉局自立支援医療(精神通院医療)とは、精神疾患の通院治療にかかる医療費の負担を軽減する制度です。利用することで原則3割負担の医療費が1割負担となるほか、所得に応じて月に支払う医療費の上限が決まります。対象となるのは通院しての診察、処方、デイケア利用などの医療費です。自立支援医療(精神通院医療)の対象者は、うつ病や統合失調症などの精神疾患のある方のほか、発達障害のある方も含まれます。参考:自立支援医療(精神通院医療)について|厚生労働省参考:自立支援医療(精神通院医療)について|東京都福祉局小児慢性特定疾病の医療費助成とは、子どもの慢性疾患のうち長い期間治療が必要な疾患に対して、医療費の自己負担を軽減する制度です。白血病やリンパ腫、ネフローゼ症候群などの特定の疾患があり、以下の条件に該当する子どもが対象となっています。・慢性に経過する疾病であること・生命を長期に脅かす疾病であること・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること引用:概要|小児慢性特定疾患情報センター小児慢性特定疾病の医療費補助は世帯収入と症状の程度によって、医療費の自己負担額の上限が設定されます。生活保護世帯は一律で0円、上位所得世帯で重症に分類される場合は10,000円となっています。そのほかに、人工呼吸器や入院中の食費に対しても助成が行われます。また、一般的に小児科は15歳までが対象ですが、小児慢性特定疾患医療受給者証を所持している場合は、状況により20歳まで受診が可能となっています。それ以降は基本的に成年期医療に移行することになりますが、症状や担当医と相談のうえ、継続して小児科を受診する場合もあります。参考:小児慢性特定疾病対策の概要|厚生労働省参考:概要|小児慢性特定疾患情報センター参考:小児慢性特定疾病の対象疾病リスト|小児慢性特定疾患情報センター参考:【18歳以上の受給者の皆さまへ】民法改正による成人年齢の引き下げに伴い、18歳以上の方の申請手続きが一部変更されます|小児慢性特定疾患情報センター参考:国立成育医療研究センターの成人移行支援に関する考え方|国立成育医療研究センター受給者証一覧表をチェックUpload By 発達障害のキホン受給者証のメリット、デメリットはあるの?受給者証を取得することのメリットとしては、公的なサービスや医療費の助成を受けられる点があります。また、サービスの利用料に補助を受けられる点もメリットと言えるでしょう。そのため、経済的な負担を大きく減らすことができます。受給者証を取得することのデメリットとしては申請や更新の手続きに手間がかかり、診断書などの書類を別途取得する必要が生じることが挙げられます。また、申請しても必ず発行されるわけではないことや、発行までに数ヶ月かかるためサービス利用まで時間がかかる点もデメリットと言えるかもしれません。さらに、人によっては受給者証を取得することで子どもが「障害児」というレッテルを貼られたように感じてしまう可能性もあります。一部の保育園では申し込み時に受給者証の有無を聞かれることがあり、園での対応が難しい場合などに入園を断られる可能性があることもデメリットとしてあります。まとめ受給者証は、障害福祉サービスや医療費助成などを受ける際の証明書となる書類で、サービスなどの種類ごとに種類が分かれています。受給者証を取得することで、障害のある方や家族が生活を送るうえで困りごとを解消したり、経済的な負担を軽くしたりする制度が利用できるメリットがあります。ただ、人によっては手続きの煩雑さや心理的な面でデメリットを感じる方もいます。受給者証の申請に迷っている方は、まずは自治体の障害福祉窓口や子育て相談窓口などで相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年09月24日療育園での生活がスタート!幼稚園とは違いがたくさん年長から療育園での生活が始まった長男りー。通い始めたばかりの頃は、バスが違う、先生が違う、とそれまでと違うことにぶつかる度に泣いていましたが、すぐに新しい環境にも慣れていきました。りーの通う療育園では、生活の流れを自分で理解できるように、毎日その日のスケジュールを確認してから活動が始まります。また、個別の課題やカードを使って要求を伝える練習などを行っていきました。連絡帳には、毎日の様子や行った遊びや課題などが細かく記入してあり、りーの様子が幼稚園の時よりも具体的に分かりました。個別療育に取り組むりーの様子も見ることができ、家や療育園での様子の情報交換も行うこともできました。野菜NGの偏食ボーイ…療育園の先生の配慮で変化が!療育園に入ってすぐ、先生はりーの食事について心配してくれました。以前も書きましたが、りーは野菜が大の苦手です。大好きなお肉の影にそっと隠して一緒に食べさせようとしても、一度でも野菜の姿が見えてしまえばそれ以降は決して受け付けません。また、想像していたのと食感が違うと、吐き出してしまうこともあります。そのため幼稚園に通っている時は、給食を残してしまうことが多くありました。このようなりーの様子を知った療育園の先生は、ふだん家で食べているもの、りーの好きな味を聞いてくれ、「こうしたら食べられるようになるのでは」とたくさんのアイデアを出してくれました(例えば、カレーライスは野菜が入っていても食べられたので、かけるタイプのカレー粉を野菜にかけて食べさせるなど)。Upload By かし りりあその先生のおかげで、今では細かく刻んで料理に入れるようにすれば、野菜を拒絶することはなくなりました。こんなに違うの!?療育園の行事も驚きの連続!また、療育園の行事も、私たち両親にとって衝撃でした。Upload By かし りりあ入学式、運動会、お遊戯会などさまざまな行事がありましたが、そのすべての行事において、子どもたちが分かりやすいように、その日のスケジュールが掲示してあったのです。そして待つことが苦手な子どもたちも多いため、行事自体の時間も幼稚園よりも短いものでした。それでも集中することが難しい子のため、座っていることができるようなリラックスグッズや小さなおもちゃなどが準備してありました。先生方も子ども2、3人に1人ついており、行事といういつもと違う状態でも子どもたちが落ち着いて過ごすことができるような工夫がしてありました。行事の中でうれしく感じることもありました。りーは嫌なことややりたくないことがあるとしゃがんだり、寝転んだりしてしまいます。幼稚園に通っていた頃は、そういうことをするのはりーだけだったので、行事のたびに「申し訳ないな」と思っていました。療育園の運動会でも、りーはかけっこの途中で寝転んでしまいました。先生が声をかけますが、動かないりー。次の子たちも待っているので申し訳ないなと思っていたのですが、「がんばれー」と温かい声と拍手が聞こえてきました。私たち両親がうれしくなっていると、普段は気持ちが切り替えられないりーが、むくっと起きあがり、無事にゴールすることができました。Upload By かし りりあ療育園では温かく見守ってもらうことができ、ようやく落ち着いたかな、と思ったのですが転園してすぐにとある案内を受けました。次のステップ……小学校の案内です。こうして療育園に転園して数ヶ月で、次は入学先についての問題が浮上しました。Upload By かし りりあ発語なしのりーの入学先については、またの機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:新美先生より)幼稚園から療育園に転園したときのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。発達障害のあるお子さんは、環境の影響を強く受けます。自分に合った環境だと、実力が発揮でき、できることが増えて、充実感をもって生活できます。知的障害(知的発達症)やASD(自閉スペクトラム症)の特性があることで、幼稚園や保育園の一斉の口頭指示が受け取れず、その場で臨機応変に対応することがストレスになったりします。スケジュールで見通しを示してもらえることで、活動に主体的に取り組めるようになりやすいですね。またコミュニケーションは音声言語だけにこだわり過ぎず、あげていただいたように絵カードで要求を伝えるなど、お子さんにあったコミュニケーション方法を使うことで、やり取り自体が増えるのはとてもいいです。園で取り組む課題も、人それぞれなので、個別の課題の時間が設定されているのもいいですね。偏食対策は、無理強いをしたりだまして食べさせるのではなくて、食形態を工夫して食べられるものを増やしていくというのもいいですね。療育園では偏食のお子さんも多いので、偏食対策のノウハウもたくさん持っているのでしょう。行事も、無理なく本人たちが楽しめる余裕があるように設定されていて、保護者の方も安心して笑顔で見守れる機会になりましたね。お子さんにあった療育園に転園できて、成長の手ごたえを実感できたのではないでしょうか。素敵なエピソードを共有していただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月24日受験生になりきれない?相変わらずマイペースなコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは現在中学3年生です。いよいよ夏休みを迎えたコウを1ヶ月半見守ってきましたが、「いつもよりは勉強しているといえばしているかな?」くらいの感じで受験生の夏は終わりました。とはいえ、宿題をおおむね8月前半までに終えたことには、例年との大きな違いを感じました。なぜなら、コウは宿題を出さないことに定評がある学生生活を7年間続けていたからです。コウにも、これまでに宿題を出していた時期はありました。宿題の量が少なく簡単だった小学1年生の時と、担任の先生が提出物一覧表を毎週配布してくださっていた小学4年生の時の計2年間です。それ以外の学年では中学2年生に至るまで「宿題を提出しない丸山コウ君」として職員室で名を馳せてきた彼の『宿題未提出問題』の根深さは、相当なものでした。中学2年生は本人なりに頑張りを見せて、先生方からも「波はあるが、以前よりは出せている」と評価を受ける程度には宿題を提出できるようになってきました。それでも未提出の多さが内申点の足を大きく引っ張っている状況でした。宿題を提出して成績を上げたいコウが考えたこと成績表を見るたびにコウ本人も「成績を上げたい。そのためには宿題を提出しないとね」と言って意欲を見せていましたが、具体的な対策はなかなか定着しにくく困っていました。そうこうしている内に中学3年生になり、「1学期の時点で内申点を少しでも上げられなかったら、もう志望校を変えなければいけない」という段階にきてしまいました。私や夫が宿題のチェックをしようにも、コウが持ち帰り忘れたり提出を忘れたりしていてはどうにもなりません。いよいよ困り果てていた1学期上旬のある時、学校で身体測定を終えたコウが「体重が増えていたから、ADHD(注意欠如多動症)治療薬の量を増やせるかもしれない。病院で相談してみたい」と言いました。Upload By 丸山さとこコウは小学4年生からADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しています。幸い大きな副作用は現れず、体重に合せて服用する量を増やしていました。その過程で、コウは『体重が増えてくると薬の効果が薄くなっていくこと』や『服用量を増やしていくとある時点で効果がハッキリ感じられるようになること』を実感していました。そのため、コウが薬の増量を希望したのは彼なりに経験を踏まえて考えたことなのだろうと思い納得しましたが、コウが自分から増量を明確に希望したことは初めてだったため少し驚きました。さまざまな環境調整を行った上で服薬を開始し、コウ本人も納得して続けている治療薬ですが、たまに吐き気や怠さなどの副作用もあります。私自身もADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しており、薬による負担があることは実感しています。薬を服用することで、私もコウも「人からの話が入りやすくなる」「パニックになりにくくなる」などのメリットは感じていますが、それは服薬により全てが解決するような目覚ましい効果ではありません。そのため、改めてコウに「薬の服用は負担が大きくない?」と聞いてみると、コウは「負担はあるけど、飲んだほうがずっと楽だから」と答えてくれました。Upload By 丸山さとこコウは「飲まないと頭が疲れるんだよ。学校は人が多いし、その分考えることも多いからね。授業に集中したいし、宿題も忘れたくないからね」と理由を伝えてくれました。私は『中学校はコウにとってそれくらい負担の大きい環境なのだな』と改めて思いつつ、『薬の増量を初めて希望するくらい、彼なりに受験に対して真剣な想いがあるのだな』と納得しました。マイペースでも、コウなりに受験を意識しているそうですそうして、コウの受験への真剣さを感じて『一見マイペースな受験生にしか見えないけれど彼なりに頑張っているのだろうな』としみじみしたところで、夏休みはあっという間に終わってしまいました。高校入試まであと半年もないのだと思うと、時間の流れの早さに驚かされます。私は『どのような結果になろうと子どもの自主性に任せて見守る親』になる度量が全くないため、夏休みの間何度もコウに「受験勉強するか志望校を変えるか、どちらかにしない?」と言っていました。Upload By 丸山さとこそんな私ですが、コウが彼なりに頑張っているのだろうということは分かります。そして、その頑張りは中学3年生になるまではどうしてもできなかったのだろうということも、これまでを見ていると何となく分かります。これからも受験当日までマイペースなコウに対してハラハラそわそわすることはたくさんありそうですが、それをできるだけコウにぶつけず、たんたんと声かけを継続できるように心がけていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、受験生になられたコウくんのご様子や成長の過程を詳しく共有くださり、ありがとうございました。コウくんは、ご自身の特性や状況をよく理解し、向き合われているのですね。ADHD(注意欠如多動症)のお薬について、内服を悩まれている親御さんも少なくないことと思います。内服薬での治療は、根本的な治療ではなく、あくまでも対症療法です。つまり、内服している期間に困っている症状を抑える効果はありますが、ADHD(注意欠如多動症)の症状を根本的に治すというものではなく、何らかの理由でお薬の内服を中止した場合にはまた症状が目立ってくる可能性があります。もちろん、内服期間中の成長や、環境調整・生活の工夫などにより、内服前に困っていた症状が内服中止後目立たなくなることもあります。対症療法と聞くと、幼少期に開始した薬を、生涯にわたり内服をしなければならないのかと不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、成長に従って、またご本人のおかれている環境の変化から、内服が必要な状況ではなくなり、中止される方もたくさんいます。内服のメリットは、症状が一部緩和され、ご本人や周囲の困難や、生活の負担が軽減するということがありますが、ニ次障害を防ぐということも重要なメリットの一つです。ADHD(注意欠如多動症)の方は、叱責を受けやすい、勉強に集中ができなくて成績が上がらない、友達関係がうまくいかない、などの失敗体験が積み重なって、「自分はだめなんだ」と自己肯定感が低下してしまうことがあります。このようなつらい気持ちが続くと、抑うつ、不安障害、暴力暴言、引きこもりなどに繋がってしまうことがあります。これを二次障害と呼びます。思春期は、周りからの評価が気になったり、自分自身を見つめ直したり、人間関係における悩みも強くなる時期ですので、生活上のお困りだけでなく、気持ちの面にも配慮して投薬を検討できるとよいと思います。デメリットの一つに、副作用があります。副作用は薬剤によっても違いますが、コンサータでは不眠や食欲低下、体重減少、ストラテラでは嘔気、頭痛、眠気、食欲減少、インチュニブでは、眠気、頭痛、立ちくらみなどをよくお伺いします。思春期は生活の変化に伴って睡眠リズムが崩れがちになったり、起立時の血圧変動による立ちくらみが増える時期です。長期に内服を継続している方で、これまでに副作用がなくても成長の過程で生じてくることもあります。もう一つのデメリットとしては、お薬を内服していることで、ご自身の発達症、特性に気づき、それに悩んでしまう可能性があるということです。これは必ずしも悪いことではありません。ご本人の発達段階にもよりますが、ご本人の特性について話し合う良い機会にもなりうるでしょうし、ご自身の特性について理解していくことは、今後の人生を生き抜いていく上で大きな力になることと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月23日子どもに障害があると分かった私に、希望を持たせたのは「療育」というワードだったさて、きいちゃんは現在8歳ですが、10月で9歳になります。わが子ながら、は、早いぃ~~~!!!今では「あっかんべー!」や「う〇こ」「オナラ」といったワードを1日中これでもかと連発するまでに成長しております……汗。Upload By 星きのこしかし、きいちゃんが生まれた頃、今のきいちゃんの姿を1ミリも想像できなかったなあとしみじみと思い出します。生後1週間後に「ダウン症です」と告知されてから、毎晩毎晩スマートフォンを片手にダウン症に関する情報を検索する日々……。ダウン症の子どもは個人差があれど、知的にも身体的にも発達が遅れるという事実にうちのめされました。私だけではなく、そういった親御さんたちはきっと少なくなかったのではないかと思います。そうした中、唯一私に希望を持たせたのは「療育」というワードでした。きっと障害のあるお子さんをお持ちの親御さんたちは絶対に聞いたことあるワードですよね。医師からも、インターネットの情報からも「障害のある子に療育をしてあげると、発達を促します。早期療育をするかどうかで、その後の発達具合に影響がある――……」「療育、これだ―――……!!!」まだ障害そのものを受け入れきれていない産後間もなくの私にとって、その「療育」という言葉は魔法の言葉のようにも、気持ちの支えにもなりました。「療育をすれば、きいちゃんの発達を促すことができるんだ――……!」と。Upload By 星きのこしてあげられることはなんでもしてあげたい!療育先探しに奔走!そこからは、療育先探しに奔走です。とにかく、きいちゃんにしてあげられることはなんでもしてあげたかったのです。まずは色んな本を買ったり、図書館で借りまくったりしました。例えば家でできる体操の本などです。参照:ダウン症児の赤ちゃん体操―親子で楽しむふれあいケアしかし、家で自分だけでやるだけなんてまだ足りない‼専門家の療育を受けたい!と思った私は、入会していた親の会の先輩方に療育手帳の取り方や、行政への申し込みの仕方などを教わり、市役所に突撃しました。こういう時、頼りになるのはやっぱり親の会や、同じ障害のある子どもの先輩ママたちです。ありがたや~~~‼そして市役所に突撃したその結果は―――……なんと……!「療育?まだ早いですよ」という一言でした。市役所からの意外な一言!なんで?早期療育が大事では⁉「で、でも、早期療育が大事だって聞いてます……」と私が言うと、「お座りができてからじゃないと療育先は紹介できませんね。お座りができるようになってからまた来てください」と冷たく言われ、その場を去って行かれました。Upload By 星きのこちょ、ちょっと待って、ダウン症の子は通常の発達の子の2倍、発達に時間がかかり、首の座りが平均半年、お座りも1年以上かかると言われてる――……。その間、ずっと療育できないの⁉もしずっとお座りができなかったらどうするの⁉⁉そして歩けなかったら……⁉⁉と私の気持ちは不安がいっぱいに……。そしてその後どうなったかは、また改めて書かせていただきますね。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)自治体の窓口ではお座りができるようになってからといわれたとのことですが、私の考えでは、療育や診察も含め、発達に遅れがみられるお子さんには早期介入が必要です。お座りができなかったら、できるようにするため病院でのりハビリテーション(リハビリ)を勧めるべきなのです。アメリカではダウン症のお子さん専用のリハビリプログラムがすでにあります。療育とは何かと問われて答えられる小児科医は少ないと思います。私は「心と科学」といつも答えています。最新の知識を持った科学的な考えと障がいをもったお子さんやご家族に対して誠意のある心をもって接することだと考えています。真の療育をやっていて誠意があれば、仮にそこで療育ができなくても療育の代わりに何ができるかを助言できるはずです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年09月22日漢方薬「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は子どもの夜泣きやひきつけに効果がある?作用、特徴、効能、副作用などについて解説甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)とは、夜泣きや不眠、ひきつけなどに効果があると言われていて、子どもに用いられることも多い漢方薬です。心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。甘麦大棗湯は小麦、甘草、大棗(ナツメ)などの食品で構成されていて甘みがあり、子どもにも服用しやすいという特徴があります。甘麦大棗湯は不安からくる腹痛にも効果があると言われています。腹痛に対しては基本的にはほかの漢方を用いますが、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯により症状が改善することがあります。また、甘麦大棗湯はほかの漢方薬と併用することもあります。ここでは抑肝散(よくかんさん)と桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)との併用について紹介します。抑肝散はセロトニンを増やす効果があり、神経症や夜泣きなどに用いられる漢方薬です。入眠、起床の困難や疲れやすさを感じていた方に甘麦大棗湯と抑肝散を併用したところ、相互作用により症状の改善が見られたという報告があります。次に桂枝加竜骨牡蛎湯は神経の高ぶりを抑える効果があり、神経症や不眠、夜尿などに用いられる漢方薬です。不安症やパニック症などの精神疾患のある方に対して甘麦大棗湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を併用したところ、症状の緩和が認められた例があります。参考:津曲 淳一, 田原 英一, 矢野 博美, 土倉 潤一郎, 益田 龍彦, 犬塚 央, 田沼 龍太郎, 三潴 忠道 著「甘麦大棗湯により改善した腹痛の二例」日本東洋医学雑誌/66 巻 (2015) 1 号 p. 8-12参考:永田 豊, 小山 俊平, 青山 和史, 貝塚 真知子, 中川 のぶ子, 長坂 和彦 著「桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯の兼用が有効であった不安症の4症例」 日本東洋医学雑誌/68 巻 (2017) 4 号p.317-323甘麦大棗湯は子どもから大人まで幅広い年齢の方に処方されます。具体的には生後3ヶ月以上の子どもが対象です。ただし、1歳未満の子どもの場合には、症状や状況を考慮してやむを得ない場合にのみ処方するような形となっています。漢方薬は効果が表れるまで時間がかかることが多いですが、甘麦大棗湯は比較的即効性があり、1週間程度で効果が表れるとされています。また、効果があった場合にもいつまで飲み続けるかについてですが、基本的には不眠や夜泣きなどの症状がなくなったタイミングで服用を中止します。反対に効果が表れない場合にも服用を中止することがあります。服用の注視や継続については処方してもらった医師に相談するようにしましょう。「甘麦大棗湯」の用法、用量を解説。病院で処方してもらえるの?甘麦大棗湯は成人の場合1日7.5gを2~3回に分けて服用します。子どもの場合は年齢ごとに用量の目安が厚生労働省により以下のように定められています。・7歳以上15歳未満:成人用量の2/3・4歳以上7歳未満:成人用量の1/2・2歳以上4歳未満:成人用量の1/3・2歳未満:成人用量の1/4以下つまり、5歳の子どもの場合は1日3.75gとなります。実際に処方される量は年齢以外にも体重や症状の表れ方によって変化します。甘麦大棗湯は小さな粒状となっており、食前または食間に水かぬるま湯とともに服用します。食前とは食事の20~30分前、食間とは食後約2時間で、この時間に服用することで胃腸からの吸収がよいため、作用の穏やかな漢方薬に向いていると言われています。甘麦大棗湯は小児科やメンタルクリニックなどの病院で処方してもらうことが可能です。ただ、漢方を扱っているかは病院によって異なりますので、詳しいことは直接病院へお問い合わせください。参考:都道府県知事が承認する漢方製剤の製造販売承認事務の取扱いについて|厚生労働省「甘麦大棗湯」は発達障害に効果があるの?甘麦大棗湯は発達障害のある方へ処方されることがあります。ただ、発達障害の特性に対して効果があるわけではなく、発達障害に関連した癇癪や睡眠障害などの症状を緩和するために処方されます。実際にASD(自閉スペクトラム症)に伴う入眠・起床困難や疲れやすさのある方に対して、甘麦大棗湯と抑肝散を処方したところ、睡眠状況が改善し活動量も増えたという報告もあります。薬の飲み合わせなどにより副作用が出ることもあるので、甘麦大棗湯をはじめ漢方薬を試してみたい場合は、主治医に相談してみてください。参考:武原 弘典, 松川 義純, 田中 裕, 山本 修平, 堀谷 亮介, 西森(佐藤) 婦美子 著「発達障害に合併する睡眠障害に対して漢方治療が有効であった2症例」日本東洋医学雑誌/69 巻 (2018) 3号 p.246-251「甘麦大棗湯」の副作用は?漢方は比較的副作用が少ないと言われていますが、全くないわけではありません。実際甘麦大棗湯にも副作用が確認されています。主な副作用としては手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛などがあります。こういった症状が表れた際は服用を止め、医師や薬剤師などに相談しましょう。また、何か治療を受けている場合やむくみ、高血圧、心臓病、腎臓病のある方は影響が出る可能性があるため、服用前に医師などに相談しましょう。まとめ漢方薬「甘麦大棗湯」は子どもの不眠やひきつけなどの症状に用いられるほか、自律神経の乱れや発達障害に関連した癇癪、睡眠障害に対して用いられることもあります。漢方薬としては効果が早く表れることや、甘みがあり子どもにも服用しやすいという特徴があり、子どもから大人まで幅広い年齢の方に用いられています。ただ、甘麦大棗湯には少ないながらも副作用も報告されているため、服用してみて気になる症状が表れた場合には、すぐに医師などに相談するようにしましょう。参考文献:甘麦大棗湯エキス〔細粒〕6|KEGG(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月21日「提出物が0点」と小学校の先生に言われたときASD(自閉スペクトラム症)のタケルは小さい頃から「博士キャラ」。小学校では、泣き始めたら止まらなかったり、授業中に脱走したりといった問題行動も見られましたが、テストを受けるとほぼ完璧に覚えているので、「勉強ができる子」として周囲に認識されていました。しかし、通知表はオール5とは程遠く、4があれば3もちらほらといった具合でした。私としては、日々の生活上の困りごとを何とかするほうが優先で、通知表の成績にはあまり関心がありませんでした。しかし、タケルは内心、「勉強が取り柄なのに、この成績では物足りない」と感じていたようで、ある日、先生に直接その理由を尋ねたことがあったそう。すると、先生は「提出物がきちんと出てこないから、その部分が0点なんだよ。ちゃんと出してね」と答えたのだそうです。そもそも家に持ち帰っていない提出物とは、宿題プリントやワークブック、授業ノートだけでなく、学校からのアンケートやボランティア活動の出欠確認なども含まれます。それまでも私は、毎晩タケルのランドセルの中身を確認し、プリントがあればファイルにまとめ、返信が必要なものは本人に聞いて書き込んでランドセルに戻すという作業をしていました。しかし、小学校4年生で通級指導教室に通うようになり、学校と頻繁に連絡を取る中で、タケルがほとんどプリント類を家に持ち帰っていないことが判明!問題は「家でやらない」「出さない」ことだけではなかったのでした。Upload By 寺島ヒロ行方不明のプリントは、学校の机の中に大量に溜め込まれ、学期末に学校で処分されていたようです。これは、発達障害のある子どもを育てる親にとって、あるある話かもしれませんね。疲れて宿題ができないこともようやく家まで持ち帰った学習プリントも、無事に書き込んで提出されるとは限りません。タケルは学校から帰宅すると、まずやるべきルーティンがあり、それが終わらないと宿題に取りかかりません。学校での疲労がたまり、泣いたり怒ったりして帰宅後にルーティンをこなし、お風呂に入ると、もう宿題をする気力が残っていないことも頻繁にありました。冊子形式のワークブックは「埋めなければ」という意識があるらしく、比較的積極的に取り組むのですが、プリントは「やったら終わり」という感覚なのでしょう。どうしても後回しになってしまうのでした。Upload By 寺島ヒロ提出物が大事な本当の理由とは…?小学校時代はそんな感じだったタケルですが、中学生になると「どうすれば提出率を上げられるか」を自分で考え始めました。と、いうのも、進学した私立中学校では先生が「内申点が高くないと大学の推薦は出せない。内申点は成績表からほぼ自動集計され、テストの点数が5割、提出物の評価が3割、授業態度が2割。授業態度と提出物の評価は、よほどのことがなければ悪くはつけないので、テストを頑張れ」という指導をするようになったからです。そして、タケルの提出率は「よほどの」レベルでした。ASD(自閉スペクトラム症)のタケルには「ちゃんと」とか「きちんと」というフワっとした指導では響かず、「提出物の提出率が悪いと成績に影響する」と言われたほうが「悪いことだったんだ」と分かりやすかったみたいです。苦手は克服するより避ける!?タケルの最適解そして、タケルが考えた解決策はというと……「提出物は学校で仕上げてから帰る」という荒業!提出物が多い時は「自習室に寄るので遅くなります。電車に間に合わないので迎えにきて」というメールが届くようになりました。学校までは高速を使っても30分以上かかり、往復で1時間半ほどの時間がかかる上に、高速代もかさみますが、これがタケルにとっての最適解。付き合ってあげることにしました。タケルは「確実に持ち帰り、正確に書き、期日までに提出する」という苦手なプロセスを克服するよりも、「学校で仕上げて提出する」というシンプルな方法を選んだのです。正直私は「賢いな~」と思いました。苦手なことを克服することは大切ですが、自分の苦手なことを避けて結果に到達する方法を考えることも時には必要だと思います。この「提出物は学校でやる」というタケルのハックは、大学院生になった今でも続いています。執筆/寺島ヒロ(監修:森先生より)提出物に関する体験談をありがとうございます。提出物を忘れるとどう困るのかが分かりにくかったのかもしれませんね。忘れると成績の評価に響く、と意識したら、どうしたらいいかを真剣に考える必要が出てきたのでしょう。実は、「学力と成績が必ずしもリンクしない」という問題は、発達の偏りのあるお子さんに多くみられます。好奇心旺盛で勉強が好きでも、提出物や遅刻などの生活態度面で、学校での総合的な評価が下がってしまうという「もったいない」ケースが少なくないのです。締め切りを守れなかったり、忘れ物をしてしまう、という場合も、決して自分を責める必要はありません。発達の偏りという特性から起きてしまうミスですから、まずは「ミスをしたらどのように困るのか」をしっかりと意識して、「ミスが起こる原因」→「ミスをしないような仕組み」を考えて実践していくことが大切です。タケルくんは自分で解決策を考えて習慣化したということで、とっても素晴らしいですね。これからも、困難にぶつかるたびに、こうやって工夫して乗り越えていけるのではないかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月20日10/1まで開催「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」では、2024年9月14日(土)〜10月1日(火)までコラボ企画「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」を開催しています。書籍『ウェルフェアトリップ~福祉の場をめぐる小さな旅』(アノニマ・スタジオ)の著者・羽塚順子さんは、全国300か所以上の福祉現場を訪れ、地域ならではの産業や手仕事に携わる人、伝統のある職人技を受け継ぐ人など、さまざまな人々に出会ってきました。『ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅』は、障害のある人の手仕事をテーマにした体験型鑑賞会です。Upload By 発達ナビニュース障害のある人たちの手仕事を巡る旅思わず深呼吸したくなるような空間に足を踏み入れたら、旅の始まり。「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」では、8つの部屋を巡ります。「旅の始まりの部屋」「森の部屋」「草木花の部屋」「和紙の部屋」「神事の部屋」「竹の部屋」「布の部屋」「旅の終わりの部屋」それぞれの部屋は、ゆるやかにつながっています。Upload By 発達ナビニュース手仕事から生まれた作品を見て、触れて、香って、寝そべって自由に体験することができます。作品たちはどこで生まれたのでしょう。どこのどんな人が作っているのでしょうか。思いを馳せると一層楽しい旅になりそうです。Upload By 発達ナビニュース「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」に大きな荷物の準備はいりません。大人も子どもも、頭をからっぽにして、旅に出ませんか。「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」チケット絶賛発売中Upload By 発達ナビニュース「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」開催概要開催期間:2024年9月14日(土)~10月1日(火)開館時間:11:00~19:00(最終入場時間 18:30 / 最終日のみ最終入場時間 17:30、18:00 終了)開催場所:ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」(東京・竹芝)(東京都港区海岸1丁目10−45 アトレ竹芝 シアター棟 1F)料金:一般 1,100円(税込)※小学生以下無料(保護者の同伴が必要)予約:下記Webサイトよりチケット購入可能。会場にて当日券も販売。※クリックするとLITALICO発達ナビから「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」特設ページに遷移します「苔玉づくり」「もくめんサシェづくり」ワークショップも会期中は、ワークショップも開催されます。手仕事を体験してみませんか。※ワークショップに参加する場合は、小学生以下でも入場チケットが必要となります。※小学生未満はご参加いただけません。小学生は保護者の方も必ずご一緒に予約ください(小学生のみでの体験はできません)。日程:2024年9月22日(日)13:00~ / 15:00~(各回3名・約60分)参加料:3,500円(税込)「森の部屋」で展示している「いのちの森づくり」の苗木を使って、オリジナルの苔玉づくりを体験することができます。持ち物:手をふくタオル / 講師:キソウキカク / 資材提供:進和学園日程:2024年9月29日(日)13:00~ / 14:00~ / 15:00~(各回6名・約30分)参加料:1,500円(税込)「草木花の部屋」で展示している「もくめん」と好みのアロマを選んで、オリジナルのサシェをつくります。持ち物:手をふくタオル / 講師:MotherNess Publishing / 資材提供:有限会社戸田商行・倉敷帆布・群言堂※クリックするとLITALICO発達ナビから「ウェルフェアトリップ五感のとびらをひらく旅」特設ページに遷移します
2024年09月19日マンガ「発達障害の子どもと私たち」2章みき編が完結!マンガ「発達障害の子どもと私たち」は発達ナビ読者の体験談から生まれたセミフィクションストーリーです。特性による困りごとに、ストレスを感じ学校へ行けなくなってしまう子ども、そしてそんな子どもが幸せに、笑って過ごしてもらえる環境を求め続ける家族。それぞれの家族の決断は?プロローグはこちらからご覧いただけます。身体症状が出て不登校になった1章はるき編に続き、みき編も完結しました。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたみき。小学校入学の際、就学相談で通常学級へ進学するか知的障害特別支援学級に入るか悩みましたが、IQが入級基準以上だったため通級指導教室へ通いながらの通常学級判定に。小学校2年生までは問題なく登校できていたのですが、小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「学校へ行きたくない」というほどに……。また、みきの担任の先生はそんなみきの困りごとにどう対応していいのかも分からない様子。保護者はどうすればいいか悩んだ末、ある結論を出すのですが……。「今のクラスだったらもう学校行けない!」転籍を希望した結果は?「みき編」を完結まで一気読み以下関連リンクから全4話を一気にご覧いただけます。はるきとみきのその後は……?次週二人のエピローグをお届け無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、そしてみきのその後については次週公開のエピローグでご紹介します。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月19日長女とは別の保育園へ以前にも記事にさせていただいたとおり、次女の入園先を長女と同じ公立のC園にするか?活発な次女に合っていそうな私立のD園にするか?で迷っていた私。C園もとても良い園なので悩んだのですが、最終的に第一希望はD園にしました。それは「それぞれに合う環境を選んであげたい」という親心からだったのですが……。結論からいうと、次女は今、転園して長女と同じC園に通っています。今回は、親の思う「わが子に合っていそう」と実際の「園生活に馴染めるか」は全く別なのだと痛感したお話です。「優等生」だった4月、「問題児」に変身した5月次女のあずさは、D園に通う日をそれはもう楽しみにしていました。あずさは2歳になりたての頃に「①癇癪の強さ」「②物怖じしなさ」について長女(知的な遅れを伴うASD/自閉スペクトラム症)の療育先から指摘を受け、療育に通ってきました。その甲斐あってか①②の点は解消されていき、療育の先生方から「あずさちゃんなら保育園もへっちゃらでしょう」と太鼓判を押されてD園の門をくぐりました。実際、入園後しばらくは楽しそうに過ごしており、D園の先生方からも「しっかり者ですね」と言われていたのですが……。様子が変わったのは5月からです。登園を渋るようになり、こんな言葉を聞くようになりました。Upload By にれD園の先生に話を聞くと、「理解しているのに指示を聞かなくなった」「執着が強い」などの困りごとが増えたそうで、さぞ先生方の手を煩わせているのだろうと危機感を覚えました。大きくなる送迎時の負担入室に時間がかかるようになり、困ったことが2つありました。1つは、付き添ってくれている長女のまゆみが待ちあぐねてウロウロするようになってしまったこと。「まゆみも落ち着いてきたし、一緒に待つくらい余裕よね」と思っていたのが、【探索心に火の点いたまゆみが制止を重ねられてパニックを起こす前にあずさを説得して送り出すチキンレース】が週4で開催されることになりました。これがもし園庭から送迎するスタイルの園なら、遊ぶまゆみを見守りながらあずさをなだめることもできたかもしれません。しかしD園は建物に入って廊下で送迎するスタイル。分かっていて、問題ないと思ってここを選んだのは私です。まゆみを先にC園へ預けようにも、先生の加配が必要なまゆみは登園時間が8:45~と決まっており、反対にあずさのD園は8:50までの入室が原則だったため登園順を逆にすることもできません。もう1つの困りごとは、D園の子ども達がまゆみを囃し立てるようになったことです。階段に寝そべったりクラスに潜り込んだりするまゆみを面白がって、「まゆみぃ!」と声を上げるようになりました。私がそう言って止めていたのを、園児達が悪気なくマネしてしまったのです。あっマズイ!とすぐに改めましたが、もう後の祭りでした。これはまゆみにとってもあずさにとってもつらかったと思います。まゆみは不安からか送迎時に抱っこでの移動を求めるようになりました。私の声掛けの悪さでほかの子ども達に人をからかう経験をさせてしまったことを猛省しながら、荷物を絡ませた片腕で20kgのまゆみを抱き上げ、もう片手であずさと手をつないで駐車場から入口までの50mをヨロヨロ歩く日々が続きました。Upload By にれ個人面談に呼ばれた6月6月半ば、担任の先生に呼ばれて面談に伺いました。あずさの聞かん坊エピソードがじゃんじゃん出て、「これを書いてほしい」と最後に出されたのは特別支援対象児の認定申請書。まゆみの時にも書いたので加配のための書類だと思ったのですが、先生に確認すると「今年はすでに年度初めから増員されているので、新たな加配はないものと……」とのこと。じゃあ補助金が出るのかな?と思ったのですが、あずさの問題行動は視覚支援などのグッズで解決する類のものではないので、認定申請書を書きつつも「これを書いたところで改善しないのでは」と心配になりました。あずさの状況は療育先に逐次共有していたので、この時もすぐに報告すると、保育士さんと心理士さんは「特別支援対象児!?そこまで!?」という反応……。そう、あずさは療育先では相変わらず良い子で通っており、保育園・療育先・家庭でそれぞれ見せている顔がまったく違うのでした。本人の気持ちはこの頃のあずさは「D園たのしくない」「いきたくない」と言うばかり。理由を聞いても黙ってしまうので、本心を聞きたくて「何を言ってもママは怒らないし悲しまないから、あずちゃんの気持ちを聞かせてほしいな」とお願いしました。すると……Upload By にれとの言葉が。それ先生も同じこと言ってたで……と苦笑しそうになりながら、「そうかぁ、言うこと聞いてくれへんのはツライよなぁ」と頭を撫でると、「おともだちいらない。あずちゃん、ひとりでいい」と涙ぐんでいて、あずさなりにつらい思いをしているのが伝わりました。それまではD園の先生方に対する申し訳なさが大きかったのですが、これがきっかけで転園を視野に入れるようになりました。しかし、転園先で同じようなことになる可能性もあるので慎重に考えなくてはいけません。あれこれ探りながらの転園保育園・療育先・家庭で言動が変わる理由を考えた時に、おそらくD園の環境や雰囲気があずさには合わないのだろうと思いました。あずさのクラスは30人近い大所帯なので、山登りや泥んこ遊びなどのアクティビティがいくら魅力的でも、それを楽しむ以前に騒がしさがしんどいのかもしれません。協働場面が多く、一斉指示が多いこともあずさには苦痛になっている可能性があります。また、わざと先生を困らせる行動は、多人数の中で自分だけを見てほしいという注目行動や、どこまで許されるかを測っている試し行動のような気がしました。保育所等訪問支援の制度を使ってD園と連携を取ってもらうことも療育先に提案しましたが、問題の根が「大人数が合わない」という部分にあるならそこを変えるのは難しく、療育先からも「転園を選択肢に入れているなら訪問支援はできない。転園先でうまくいかなかった時にやりましょう」と断りがあり、覚悟を決めてD園に在園するか、転園するかの二択になりました。さらに、療育先からは「あずさちゃんは保育園より、いっそ厳しめの幼稚園に入れてみては?」と私立幼稚園への転園も勧められましたが、私の考えではむしろ自由にいさせてくれる方針の園が合うように思えており、転園先の候補で療育先と意見が分かれたことにも悩みました。結局、経済面や通園距離からしても背伸びすることになるので幼稚園は選択肢から外すことにしましたが……。日を置かず、市の保育担当課から特別支援対象児の認定申請に関する聞き取りの電話がありました。問題解決のために役所の人の力も借りようと思い、あずさの状況を説明した後で以下の点を相談してみました。(1)実は転園を考えている(2)近隣の園の空き状況が知りたい(3)転園すると特別支援対象児の認定申請が宙ぶらりんになるが、市や園に迷惑がかかることがあるか(3)については問題ないそうで、(1)(2)についても職員の方からさまざまなアドバイスをもらえました。そして、まゆみが通うC園はもう定員に達していると聞いていたものの、ダメ元でC園の園長先生に相談してみると「まゆみちゃんのお迎えの時によく来るからあずさちゃんがどんな子かも分かってるし、一人ならギリギリ受け入れられますよ」と言っていただき、有難さに涙しながらC園への転園を決めました。その後のあずさ転園後すぐは、新担任の先生から「聞いていた話と違って、何でもやってくれる良い子です」と言われていたあずさですが、1ヶ月ほどすると「様子見」が終わったのか、大方の予想通り自分のカラーを出すようになってきました。けれどC園のほうが少人数かつ保育中の自由度が高いためか、あまり嫌がらず通ってくれています。強調しますが、D園も決して悪い園ではありませんでした。いろんなことを考えて悩んだ末に決めた園選びでしたが、説明会や見学だけでは分からなかった部分があずさ(とまゆみ)に合わなかったのだと思います。親が良かれと思ったことでも状況に合わせて時には方向転換することも大事なのだと思いました。今回の転園騒ぎを機に、ずっと問題を絞り切れていなかったあずさの発達の弱さについて詳しく知りたくなり、正式に発達検査を受けることにもなりました。結果は今後に活かしていければと思います。転園したことであずさは落ち着きを取り戻し、まゆみもあずさが一緒の園になってうれしそうにしていて、それぞれにとって良い結果になったのではないかと思います。受け入れていただいたC園の園長先生には本当に感謝しています。Upload By にれ執筆/にれ(監修:室伏先生より)にれさん、転園までの詳しい経緯を共有いただき、ありがとうございました。お子さんは不快な気持ちがあっても、何が嫌なのかを認識したり、言語化したりすることが難しいことも多いですよね。癇癪や泣くことが増えたり、行き渋りをしたり、ということを通して、一生懸命SOSを発信してくれている時には、園の先生と相談してできる範囲で環境調整をすることももちろん大事なことですが、転園も重要な手段だと思います。あずさちゃんも、おつらい気持ちを、一生懸命にれさんに訴えてくれたのですね。転園は勇気のいる決断だったことと思いますが、あずさちゃん、まゆみちゃん、そしてご両親にとって、よい方向に進んで本当によかったですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月18日