休み時間のたびに友達とのトラブルが…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は感覚過敏やストレスで教室にずっと居ることが難しいことがたびたびありました。休み時間はストレスから解放されてほっと一息いれたいところですが、小学校5年生のころは休み時間もほっと一息とはいかなかったようです。というのも、同じクラスにどうしても息子とトラブルになってしまう3人組がいたからです。3人は息子が気になるのか、休み時間になると近寄ってきて、息子がイライラするような言葉をわざとかけてきていたと言います。息子も反応しなければよかったのかもしれませんが、すぐにカッとなってしまうので、その反応が面白かったのでしょう、休み時間のたびにやり合ってしまうので、毎日とても疲れてイライラしていました。声をかけられないようにしようと、教室から外に出ても、3人組は、学校中追いかけてくることもあったようです。Upload By かなしろにゃんこ。私がPTAの用事で学校にいるときなどは、息子はPTA会議室まで逃げてくるほどでした。そんな様子を見て、私も「学校に通わせたくないな~、休ませようかな?」と悩んでいました。実は、このクラスメイトたちの行動を「いじめ問題」として取り合ってもらえない事情がありましたUpload By かなしろにゃんこ。息子は、たとえ相手が3人だったとしても、やられっぱなしにはならず言い返したり抵抗したりしていたため、「いじめ」の被害者としてとらえてもらうことができなかったのです。また、負けん気の強い息子なので、意地でも「ぼくはいじめを受けている」と先生に言いたくなかったという面もありました。また、わが家では低学年のころから親子で「暴力はふるわない」と約束をしていました。というのも、低学年のころにはケンカが原因でクラスメイトの家に謝罪に行く経験もあったからです。そんなこともあり、高学年になった息子は約束を守って耐えていました。息子が見つけた、「第2の居場所」Upload By かなしろにゃんこ。20歳になった息子に、このころのことを聞いてみると、当時、トラブルになるクラスメイトから唯一逃れられる空間を見つけ、そこで過ごすようになったということを話してくれました。息子は、授業が終わる少し前に教室を出て、「やすらぎルーム」と呼ばれる教育相談室に行って気持ちの調整をしていたのだそうです。教室にいることがつらいときなど、「やすらぎルーム」はいつでも利用ができる駆け込み寺のような癒しの空間でした。「やすらぎルーム」は、誰でも放課後まで利用ができて、机に座らなくてはいけないなど決まりはありませんでした。床で寝転んでもOK。本を読んでもOK。絵を書いてもOK。友達とボードゲームをしてもOK。Upload By かなしろにゃんこ。ただし、「静かに過ごさなければならない」という決まりでした。ですから、騒いだり暴れたりする3人組は入ってきません。「やすらぎルーム」に集うのは、比較的おとなしく静かなタイプの生徒が多かったようで、息子は静かに本が読めたりと、楽で居心地がいい場所だったと言います。とはいえ、ずっとクラスメイトとトラブルを抱えているわけにもいきませんから、私が相手の保護者に電話で事情を説明して、追いかけたり、からかったりすることをやめてもらえるよう伝えました。もちろんすぐに解決したわけではありませんでしたが、徐々に回数が減り、小学校6年生のころにはトラブルはほとんど起こらなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。担任の先生からは、息子とトラブルになる子は、息子と似たようなタイプの子だと報告を受けてきました。似た者同士で気になってしまうことは、やはりあるのかもしれません。息子は「あのやすらぎルームがあったからイライラしたとき、体がだるい日でも卒業まで乗り切れたという感じはしてる、あの場所すごい好きだったな」と、今は少しふっきれているようでした。教室で落ち着いて過ごすことができずつらかった時期に、教室以外の第2の居場所があってよかったと、感謝することは忘れずにいたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:鈴木先生より)昔からあった「駆け込み寺」の学校版ですね。「やすらぎルーム」が校内で唯一やすらげる場としての役割がありますね。そこ以外でも校内で居場所があればいいのです。不登校児などには「保健室」が居場所の代名詞のように使われていますが、先生との相性の問題もあり、必ずしも保健室でなくてもいいと思います。第2の居場所としては、時には校長室・相談室・会議室などを避難場所に使う子もいれば、中には階段の踊り場に避難している子もいて千差万別です。重要なのはそういう第2の場所に避難できることと、その場所でも勉強できるという教員の理解と学校の保証が必要なのです。
2021年11月26日引越しと小学校入学次女が小学校入学時に、家族で海外へ引越し。それに伴って、現地の日本人学校へ入学することとなりました。このときは、まだ次女が場面緘黙とは知りませんでした。Upload By まりまり引越しや転入にあたっては、家族が一緒に居ることと、2歳上の長女が一緒に同じ学校に行くことを理由に、「大丈夫じゃない?」というようなことを本人は言っていました。当時の次女は精神的ストレスが原因で空気をたくさん飲み込み、胃がパンパンになってお腹が膨らんでしまい、膨満感から食欲もなくなってしまう「呑気症」と診断されていました。今思えば、このときは不安を言葉にできなかっただけで、その分呑気症の症状として体に出ていたのではないかなと思っています。新しい学校での次女の変化新しい学校が始まり、なぜか呑気症の症状は軽減してきましたが、次女の様子に変化が出てきました。Upload By まりまり日本人学校は、低学年時には登下校の送迎が必須。私が送迎しているとき、次女は同じクラスの子にあいさつしてもらっても、全く言葉を返すことができませんでした。「せっかく声かけてくれてるんだから、あいさつはちゃんと返そうね~」などと言ってみるものの、変わらず…。さらに、海外の日本人学校なので、普通の小学校に比べるとものすごく転出入が多い環境でした。次女と同じ時期や次女よりあとに転入してきた子たちがどんどん慣れていく中、次女自身は全く友達と話せない、交流できない状態が続いていました。それが、1学期だけでなく、2学期に入っても続いていたのでした。親としてこの状態をかなり心配はしていましたが、次女自身もともと引っ込み思案な性格だったため「相変わらずものすごく引っ込み思案だな…」「おとなしい子なんだな…」という感じで無理やり納得していました。できていることもあった先述のとおり次女は、あいさつはできないし、友達と話せない状況が続いていました。でも、できていることもありました。Upload By まりまりものすごく小声だけど、担任の先生とは何とかお話ができていました。さらに、教科書の音読ができたり、授業中指されたときに答えの決まったことは声を出して答えることができていました。ですので、学校生活を送る上では、「友達と話せない」という以外は、なんとなく学校生活を送ることができていたのです。さらに、家では普通に話せていました。担任の先生が、次女が話さないことを心配してくれたときは、「家では普通に話しているから大丈夫です」というのが夫の反応でした。Upload By まりまりそういった感じで、クラスメイトと話せないし友達もできなかったけど、先生は話せたり、授業に支障がなかったことが、あまり問題視しなかった原因かと思います。でも、やっぱりおかしいと思っていたUpload By まりまり次女のように、できることもあって、なんとなく学校で過ごすことができてしまっていると、なかなか本人の困り感に周りが気づきにくいのではないかなと思います。私の場合は、日本人学校が保育園と同様に毎日送迎があり、次女の学校での様子を直接見られたこと、また先生と話す機会も多くあり、相談なども気軽にできる環境だったのが良かったのだと思います。これがなかったら、いまだに、次女の困り感に気づくことができずに「ものすごく引っ込み思案でおとなしい子」という認識のまま、現在まで来ていたと思います。「家では大丈夫」なのは家で安心して過ごせているということなのでとても良いことだと思います。ですがこの海外での生活は、それだけで判断するのではなく、さまざまな環境での次女の変化に気づくことができた良い機会となりました。執筆/まりまり(監修:三木先生より)学校での様子を見ることができる、あるいは先生とも頻繁にコミュニケーションが取れるというのは安心できる要素ですね。
2021年11月25日周りの子たちの成長に焦りを感じるけんとの1歳半健診へ行ったとき、言葉が出ておらず、指差しをしない、指を差したところを見ない、歩き方がぎこちない息子が、周りの子どもたちと違うことに気がつき、衝撃が走ります。発達相談をして、そのときに臨床心理士さんに勧められた市の親子教室へ通うことにしました。親子教室には言葉が出ていない子も多く通っていて、悩みごとも同じように感じていました。毎週楽しく通い、月日が経つにつれ、気がつくと、ほとんどの子が言葉が出ておしゃべりをしていました。けんとは相変わらずお話しをする気が感じられず不安に。Upload By ゆきみ親子教室の個別進路相談で「地域の幼稚園に通おうと思っています」と伝えると、臨床心理士さんに「少人数制の発達支援センターがいいと思います」と強く勧められ、専門家の方にそこまで言われるなら、と入園を決意しました。Upload By ゆきみなぜ、そんなに発達の遅れを気にしていなかったのかというと、2歳5ヶ月のときに1~50までの数字を順番に並べたり、3歳になってすぐに47都道府県を覚えたりと、むしろ記憶力の良さに驚いて、祖父にいたっては「天才だ」と張り切っていたほどだったからです。「言葉が遅いだけで、体の成長が追いつけば、すぐに平均的な成長になるだろう」と、当時は夫婦、親族みんなで思っていました。Upload By ゆきみもしかして?のきっかけは友人の娘さんある日、親子教室で仲良くなった友人が「うちの娘は自閉スペクトラム症なのでは」と思い始め、児童精神科の受診を決意したと聞きました。娘さんは、タイプは違うものの、けんとと同じように発達がのんびりした子だと思っていたのでビックリ。もしかしてうちも?と、慌ててネットで調べはじめました。そして、「自閉スペクトラム症傾向チェック」ができるサイトを見つけ、たくさん当てはまってる項目があることに気がつきます。Upload By ゆきみ急いで旦那、祖母に相談しました。私たち家族は、自閉スペクトラム症について全く知識がなく、笑わない子、ずっと家にこもっていて人と全く関わらない子、だと思い込んでいたので、最初は誰も「違うでしょ」という反応だったのですが、サイトを見ながらみんなで話し合い、児童精神科の受診を決めました。かかりつけ医に相談に行くと「この子は違うと思うけどね」と言われましたが、紹介状を出してくださり、地元では有名な大病院の児童精神科に予約を取ってくださいました。Upload By ゆきみ予約は取りにくく、私は5ヶ月待ち。友人はその後1年待ちと言われ、さらには新規予約は受けつけないと言われた友人もいました。心の準備「0」で告げられてこのころ、身長が成長曲線の下に大きくはみ出してしまい、「低身長」が気になりはじめました。そこで専門の病院で検査をしていただくことに。問診で低身長専門の先生がけんと君にたくさん話しかけてくださいました。が、全く反応せず、マイペースに遊びだしたかと思えば、カレンダーの数字に大興奮する姿をじっくり見て、「この子、自閉スペクトラム症だと思いますよ」と、思いもよらぬ一言。Upload By ゆきみUpload By ゆきみ児童精神科での診察を受ける前に「低身長」のことで病院へ行っただけなのに、自閉スペクトラム症の可能性を伝えられるという、まさかの事態になったのでありました。モヤモヤにサヨナラ。スッキリ向き合えた低身長検査から約1ヶ月後。予約していた児童精神科に行きました。このころには数人の友人の子どもが受診していて、初診では診断名がつかなかったというお子さんもいました。うちの子はどうなんだろう?と、おそるおそる「診断名はつくのですか?」と先生にお聞きしたら、あっさり「自閉スペクトラム症ですね」と。初診で診断名がつきました。Upload By ゆきみ低身長の先生に伝えられていたので、分かっていながら受診したにも関わらず、やはりいざ、診断名がつくと数日間は落ち込みました。でも、それ以前の「そうかもしれない」とモヤモヤしていた時期よりも、スッキリした気がしました。そして、診断名がついたからといっても何も変わらない、可愛い息子がニコニコと目の前にいました。少しずつ受け入れていくにつれ、自閉スペクトラム症についてや、この子の特性をもっと知りたい!と思うように。まだまだ不安なことはたくさんありますが、この子にあった育て方を探っていきたいなと思う毎日です。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)けんとくんに診断が下りるまでのさまざまな展開を臨場感たっぷりに読みました。心の準備0で自閉スペクトラム症について指摘を受けたのはさぞ衝撃だったことと思いますし、児童精神科の初診で診断が下ったことも予想していたとはいえ、さまざまなお気持ちが去来したことと思います。落ち込んだ気持ちのあとに、いつもと変わらない可愛いけんとくんの姿をしっかりと捉えられたこと、何よりです。診断があってもなくても“変わらないもの”はあります。その一方で、自閉スペクトラム症という診断がついたことで、けんとくんの世界の捉え方や感じ方に、ご家族はじめ周りの大人は思いを馳せやすくなる面もあると思います。そして、発達障害という切り口を持つことで、こんなときにはこんな風に対応するとうまくいきやすいといった蓄積がさまざま積み重ねられています。お子さんに合った育て方を考えるうえで、診断がその1つのヒントになるといいですね。
2021年11月24日しのくん1歳半、保育園の先生に言われたこと息子のしのくんは、現在診断名がついていない発達障害グレーゾーンです。2歳まで発語がなかったしのくん。初めて「違和感」を指摘されたのは1歳半のときでした。その日、しのくんを保育園へお迎えに行ったら、担任の先生にビックリすることを言われました…。Upload By keikoUpload By keikoUpload By keiko「しのくん、耳聞こえてますよね?」と先生に聞かれました。普段家で過ごしていて、ピアノや太鼓など音の出るおもちゃで遊んだり、「ちょうだい」と手を出したらおもちゃを渡してくれたり、音は聞こえている様子だったので、私は「聞こえていると思いますけど…」と答えました。「実は、気になることがあって…。同じクラスの子たちは、お名前を呼んだらお返事するのですが、しのくんだけお返事がないんです」と言う先生。当時の私は、しのくんがほかの子と比べて発達が遅いとか、そういうことは全く気にしていませんでした。そのため、先生からの指摘に驚き、ここで初めて「ちょっとほかの子より発達が遅いのかも?」と思ったのを覚えています。しかし、しのくんは3月末生まれ。「3月30日生まれだし、そりゃほかの子より発達も遅いよね!」という感じで、深く考えることなく終わってしまいました…。2歳4ヶ月。保育園からお呼び出し。それから10ヶ月ほど経ったころ、担任の先生と園長先生と私の三人での面談があるということで保育園からお呼び出しがありました。クラスの子全員が面談の対象ではないと聞かされていたので、ドキドキして面談に挑んだのを覚えています。面談の内容は…先生からは普段の園での様子についてお話がありました。Upload By keikoしのくんが教室から脱走してしまうこと、ドアの開け閉めが大好きでしょっちゅうドアで遊んでいること、一人で遊んでいることが多いこと、絵本に興味を示さず読み聞かせの時間はウロウロしてしまっているということを伝えられました。ほかにも「集中力が続かない」「好きなことしかしない」という指摘もありました。中でも1番衝撃を受けた指摘が…Upload By keiko今まで「コップちょうだい」とか「ズボンはいて」とか、簡単な指示ができていたので、言葉は通じていると思っていました。しかし、「きっと、しのくんは『言葉ではなく、動作で覚えている』のだと思います」という先生の指摘に私は動揺を隠しきれませんでした。この出来事がきっかけで、発達検査を受け、療育へ通うことを決心します。それと同時に、お家でも何かできないか?と模索して、家庭でのしのくんへの接し方を見直すことになりました。3歳5ヶ月。現在は…現在しのくんは、1ヶ月に一度言葉の教室、2ヶ月に一度療育センターに通い、保育園の先生をはじめ、いろいろな先生にお世話になっています。まだまだ言えない言葉や理解してない言葉もたくさんあって、集団行動もままなりませんが、しのくんの成長を信じ、優しく見守っていこうと思います。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)1歳半はちょうど自治体で1歳半健診がある時期ですが、集団の健診の中では多少言葉が遅れていてもまず「様子を見ましょう」と言われてしまうこと多いようです。言葉の出方にもよりますが、まずは難聴を否定することが先決です。生まれつきの先天性なのか、中耳炎など患ったあとの後天性なのかはわかりませんが、現時点での耳の聞こえをABR(聴性脳幹反応)などの客観的な検査で確認することが丁寧です。一般的には2歳までに意味のある言葉1語が、3歳までに2語文の出るのが平均的です。3歳では3歳児健診があるので、そこで相談しないと就学時健診まで相談できる一般の健診はほとんどありません。難聴が否定されたら、知的な遅れを考慮してDQ(発達指数)検査が必要になる場合が多くあります。自治体の保健師やかかりつけ医に相談するといいでしょう。
2021年11月23日就園前の子どもたちの様子を見ては、Pの発達の遅れを感じて悩む日々…Pは二人きょうだい。Pの発達に悩んでいた1歳後半のころ、長男(Pの兄)は幼稚園に通っていました。毎日の送迎はもちろん、何か行事がある度に幼いPも一緒に幼稚園へ連れて行っていました。幼稚園にはPのほかにも就園前の小さな弟や妹たちが、何人かお母さんと一緒に来ていました。Pと同じ学年の子もいれば、Pより学年が上の子も下の子もいて、その子たちの様子を見てはPと比べるような機会が毎日のようにありました。Pと同じ学年の子たちは会話ができ、友達同士で遊んでいたし、まだ1歳前半で歩き始めたばかりくらいの子でも、お母さんの指示が通り、単語で簡単なやり取りができていたので、私はその様子を見る度に落ち込んでいました。私自身、Pの前に長男を育てており、子どもの標準的な発達について頭では分かっていたつもりでした。しかし、Pと周りの同年代の子たちの発達の違いを見るたびに「この時期の子どもってこんなことができたんだっけ?」と驚くことが多く、長男での育児経験が全く参考になりませんでした。そして、幼稚園の行事は親子で参加するような内容のものが多かったのですが、私はいつもPを連れていたのでPからは目が離せないし、自由に動き回るPを追いかけることのほうに必死でした。長男の行事のために幼稚園へ来ているのに、思うように行事に参加ができないことばかりで、いつも長男に申し訳ないなと思っていました。多動のPを連れて長男の行事に参加するのは毎回大変だった。Upload By みんそんなある日、親子で木材を使って工作をするという行事が長男の幼稚園であったのですが、かなづちやノコギリを使わないといけないような作業もあるので、長男一人で作業をするのは難しく、大人の補助が必要な場面がありました。でも私が手を貸すとPがいるので危険だし、どうしよう?と困っていました。するといつも私たち親子の様子を見ていた園長先生が側に来て「私がP君を見ておくのでお母さんは長男君を助けてあげて下さい!」と声をかけて下さいました。私はPを見てもらうことに少し不安を感じましたが、園長先生はプロだし短時間なら大丈夫だろうと思い、Pをお願いすることにしました。こうして私が長男と工作を進めている間、Pは園長先生と一緒に過ごしていたのですが、Pは側にいる園長先生の存在を何とも思わず園庭へ裸足で出て行ってしまい、砂場で自由に遊び始めました。たまに園長先生がPにスコップなどを差し出し関わろうとしてくれていたのに、Pはまるで園長先生はそこにはいない人であるかのように無視をし、砂を触ることだけに没頭している様子でした。Upload By みんPが1人で遊ぶ様子を見て園長先生はどう思ったのか?工作が終わり、私はすぐにPのもとへ行き園長先生にお礼を言いました。でも私が迎えに行ってもPは私のほうを見ることもなく、砂を触り続けていました。そんなPを見ながら私は園長先生にこう話ました。「先生もPの様子を見てお気づきだと思いますが、Pには自閉スペクトラム症の傾向があります。Pはたぶんこの幼稚園へは来られないと思っています…」すると園長先生はこんな風に言ってくれました。「お母さんが心配に思う気持ちは分かります。きっとこれから沢山の苦労があるかもしれません。それはお母さんだけじゃなく長男君やご家族みなさんもです。でも今はP君にできる限りのことをしてあげて、成長を信じてあげて下さい。それに大変だと思ったときは、今回みたいに誰かに頼れば良いんです!これからの行事もできる限り私や職員もサポートするので、P君を連れて来るのは大変だと思いますが長男君のために行事に参加してあげてください」Upload By みん一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらって、誰かを頼ることの大切さ私は園長先生に「Pには自閉スペクトラム症の傾向があるかもしれない」と言えたことと、園長先生がそれを否定はせずに「苦労があるかもしれない」と言ってくれ、その上で「そんなときは誰かに頼っても良い」と励ましてくれたことで、不安と安堵が一気に押し寄せたような気持ちになり、我慢していた涙があふれてしまいました。そして同時にPの成長を信じるためにも、今すぐにでも病院で診てもらって、療育へ通おう!という気持ちがさらに強くなったことを覚えています。家の中でわが子一人の様子だけを見ていたとしたら、Pとほかの子の発達の違いを感じる機会も少なかっただろうし、周りの人から客観的にPを見てもらって助言をいただく機会もなかったかもしれません。少しでも早く発達障害に気づき行動に移せたのは、こんな風にPに対する周りの人の目や意見もあったからかもしれません。自分一人だけでモヤモヤしながら悩み続けるよりも、誰かに話を聞いてもらえると心が軽くなり、前へ進むための力にもなると思います。Upload By みん執筆/みん(監修:三木先生より)一人だけで考えていると、どんどん不安になってしまうものです。トラブルがきっかけであっても、誰かに話ができたことは良かったですね。そういったシーンで思い切って園長先生にお話を切り出せた勇気のおかげかもしれませんね。
2021年11月22日なぜ人から慰められるのか分からなかった、ほぺろう1歳ごろ自閉症と知的障害がある、わが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。発語はいまだにありません。そんなほぺろうですが、0歳台は「一度泣いたら激しい」とは思っていましたが平均的な発育を遂げていました。ところが1歳を過ぎたあたりからほぺろうは、発語がないことについては「男の子だから」「知り合いの男の子もそうだった」と慰められ、癇癪が激しいことについては「子どもだから」「まだ小さいから」と人から言われることが多くなりました。親戚にも近所にも小さい子があまりいなくて、ほぺろうを生むまで子どもと接する機会が少なかった私。一般的な発育の様子がよく分からなかった上に、発達障害という言葉もあまり意識していなかったので「そういうものなんだ~」と慰めの言葉を鵜呑みにしていました。Upload By ぼさ子1回目の衝撃、1歳半健診衝撃を受けた初めての機会が『1歳半健診』です。泣き暴れるほぺろうを拘束しながら会場入り。待合室ではおとなしくオモチャで遊んだり絵本を読んで待機する子どもたちがたくさんいて、「1歳半の子たちはどこに居るんだろう?お兄さんお姉さんばっかりいるけど、さすがみんなしっかりしてる!」と感心していたら…それは全員1歳半の子どもたち。決められたスペースで遊ぶ、泣き叫ばない1歳半児たち。それだけでもほぺろうには考えられない状況でしたし、ほかのママさんたちはお喋りに花を咲かせたりオシャレをする余裕があることを知って驚愕しました。Upload By ぼさ子すべての検査が乱闘だったほぺろう。発育面談では泣き暴れが激し過ぎて抱き抱えるのに精一杯。職員さんとのやりとりなど一切できませんでした。当然「あとで個別にお話があります」と言われましたが、「まだ1歳半だもん。ずっと泣いてる子くらいいるものだよね?」と世間知らず過ぎてあまり気にしていなかった私。今振り返ると、ほぺろうは「もう少し成長するまで様子を見ましょう」という感じでもなく、困りごとがハッキリ出ている子でした。おそらく職員さんはすでに「この子は発達障害の可能性がある」と思っていたのではと推測できますが、私は状況がよく分かっていませんでした。そして職員さんにすすめられた『月一回のことばの教室』に通うことに。2回目の衝撃、ことばの教室『月一回のことばの教室』は、発育の指摘を受けた1~2歳の子どもたちが大きな部屋いっぱいに集められていました。ほぺろうと似た子がいるのかと思いきや、一歩部屋に入って感じたのは『レベル違い』。職員さんが読む絵本を座って聞く・みんなと一緒に手遊びする・与えられたオモチャで遊ぶ…みんなができていることも、ほぺろうには想像すら難しかったです。多少グズっても、ほぺろうみたいに開始から帰宅までずっと泣き続けている子はいませんでした。そんな状況を目の当たりににしているのに、「ほぺろうはまだ1歳半だし、通い続けていれば皆みたいになるのかな~」と私は深く考えていませんでした。Upload By ぼさ子その後しばらく通い続けても、ほぺろうに進展はありませんでした。癇癪が激し過ぎて職員さんと接することもなく、「毎回のように脱走するほぺろうを捕まえたり 泣くのをあやしに行ってるだけで、一体何のために通っているのだろう…」と悩んでいたら、見かねた職員さんから『発達検査』をすすめられました。このとき、ほぺろう2歳2ヶ月。検査結果は『発達程度1歳4ヶ月』。どう考えてもハッとなる結果で、職員さんも「これで気づいて」とサインを送っていたのだと思います。でも「これから急に伸びる子もいるから…」と言われ、私は「そうなんだ~、急に伸びたりするんだ~」と慰めの言葉を真に受けていました。と言うより、この当時は発達障害の可能性を受け入れたくなかったのです。そして、さらに発達の心配がある子が集められている『週一回のことばの教室』をすすめられました。3回目の衝撃、発達に心配のある子の集まりの中でここでなら仲間がいるかと思いきや、期待はアッサリ打ち砕かれました。さらに発達の心配がある子が集められているはずの『週一回のことばの教室』は、ほぺろうより月齢の低い子が多かったのですが、みんな「どこに発達の心配が?」と思うくらいしっかりしていて、私たち親子は『場違い』でした。ほかの子とのあまりの違いに、このころからさすがに「発達障害の可能性を考えなくては…」と思い始めました。Upload By ぼさ子正式に診断が出たあとも、衝撃時をまたいで、ほぺろうは3歳のときに現在お世話になっている発達クリニックで『自閉症』の診断を受けました。そのことを実家に報告したところ、私の母に「ぼさ子に悪いと思って言わなかったけど、ほぺろうが1歳半くらいからずっと“自閉症じゃないかな?”って思ってた」と告げられました。遠方に住む実家の母でさえ気づくのに私は何年も気づかないなんて…。私は自分がすごく恥ずかしく、本当に情けなく思いました。私以外の人がほぺろうのママだったら、もっと早く気づいてもっと早くいろんなことをしてあげただろうに…今でも自分の至らなさがつらいです。Upload By ぼさ子ようやくほぺろうの障害に向き合い始めた私。そして試練の始まりへ…話は2歳ごろに戻り、ほぺろうの癇癪は2歳9ヶ月ごろからさらに悪化。自宅では声かけ・テレビ断ち・食生活変更などをやり始め、それと同時にようやく覚悟を決めて発達クリニックの予約をしました。ほぺろう2歳のとき、前居住地で初めて訪れた発達クリニック。そこで私たち親子は忘れられないつらい経験をすることになったのです…。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:井上先生より)自閉症や発達障害の場合、その障害が目に見えにくいために、気づきから診断までの期間がほかの身体的障害と比べ長くなる傾向があります。その間、感覚過敏性によるふとしたことからの癇癪、歩き始めてからの多動など、どのように対応してよいか迷われたり、相談したい気持ちが生じる反面、「一時的だから」「まだ小さいから」という思いで、相談に行くことについて葛藤したり躊躇したりする方も多いと思います。相談に行かれることは、勇気がいることですよね。ぼさ子さんは、お子さんのためを思ってこの当時がんばって決断されたのではないかと思います。
2021年11月22日接し方で大きく変わる!学習障害(LD)/ 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))のある子どもへの接し方のポイントUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン学習障害の子どもは知的発達に遅れがないため、自分に障害があると認識するのに時間がかかります。できるようになりたい気持ちはあるのにできないというモヤモヤした気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、注意して接しましょう。そこで、3つの学習障害のタイプ別に、子どもへの接し方のポイントをまとめてみました。学習障害は一人ひとり特性の偏りが異なりますので、以下をヒントにさまざまな方法を試してみましょう。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。読字障害(ディスレクシア)のある子への接し方■文字を見やすくしてあげる例えば、文字を大きくしたり、UDフォント(※)を使うなどして分かりやすい字体にしたり、読む範囲以外の上下左右を隠したり、黒板のチョークの色をユニバーサルデザインのカラーチョークにしたりすることで、本人にとって文字が読みやすくなることがあります。ほかにも、文字が小さすぎて読むのが困難に見受けられる場合は拡大コピーなどの工夫が効果的です。また蛍光ペンで重要と思われる部分にだけ色をつけることで、読む情報量を調整できます。このような工夫により、文章を読むことに対しての抵抗感を減らすことができます。※UD Font (Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )ユニバーサルデザインに基づき「できるだけ多くの人が利用可能であるように」をコンセプトに配慮や工夫をしてつくられたフォントです。Upload By 発達障害のキホン■音声にする耳からの情報は理解できることが多いため、問題文などの文章を音声にして聞かせると宿題がはかどることもあります。教科書を見ながらその音声を聞くことにより、文字・音・意味が繋がる可能性があります。最近では電子教科書もあり、音声での読み上げシステムが備えられているので活用するのもよいでしょう。■ふりがなや分かち書き、スラッシュを利用する漢字などが分かりづらい場合、ふりがな(ルビ)を振ることが効果的な場合もあります。教科書にふりがなを振ったり、テストにふりがなを振ってもらうのも効果的な場合がありますが、学校の先生の理解を得ることが難しいこともあります。また、文章のどこまでがひと固まりなのか理解できないことがあります。このような場合はまとまりごとに空白を開ける「分かち書き」をしたり「スラッシュ」(/)を引いたりして、どこが文章の区切りとなっているのか、明確に表してあげると文章を読みやすくなることがあります。Upload By 発達障害のキホン■スマートフォン・タブレットなどのICTを活用するスマートフォンやタブレットを使うと、文字を拡大できたり、音読機能があったりと便利です。学校の理解があれば、板書を写真撮影したり、録音機能などにも利用できます。学習用の無料アプリなどを使って楽しく勉強することも可能です。■書字表出障害との合併に注意した対応を読字障害がある場合、結果として文字を書くことにも困難を感じることもあります。以下の書字表出障害への対処法も試してみましょう。書字表出障害(ディスグラフィア)のある子への接し方■漢字を分解して、漢字のパーツごとへの理解を促す書くことを苦手とする場合、位置関係をつかむことを苦手としている場合があります。そのため、漢字そのものを覚えさせるのではなく、「へん」や「つくり」に分けそれぞれの意味を教えてあげることにより、漢字を覚えやすくなります。また、パーツを足し算して漢字をつくるゲームをするなど、楽しみながら文字を学ぶのも一つの手です。パーツの配置のバランスがつかみやすくなるので、漢字に対しての苦手意識が薄れる場合があります。Upload By 発達障害のキホン■視覚過敏を緩和するように支援する読字障害においても同じことが言えますが、視覚過敏がある子の場合、紙の白さを過敏に目が感じ取ってしまいます。文字の黒さと紙の白さのコントラストに目がちかちかしてしまうこともあり、長くノートに向き合えない場合があります。光の反射の少ない紙質など、その子に合わせたノートを選んでみるのも方法の一つです。■マス目やケイ線を用意する書字表出障害の子の中には、手先の不器用さが目立つ子もいます。大きなマス目のノートを用意してあげたり、文字のバランスをつかむためにリーダー線が入った漢字練習帳を使用するのも良いでしょう。また、黒板を見て書きうつすにわかりやすくなるよう、マス目黒板を使ってもらうのも効果的です。Upload By 発達障害のキホン参考:カラーマスノート(日本医療福祉教育コミュニケーション協会)■ICTを使用する書字障害のある子は、文章をすらすら読むことができても、書くとなると困難さを伴います。合理的配慮により、学校内でのスマートフォンやタブレット利用が許可されるところが増えてきています。学年が上がるにつれて学ぶ内容も難しくなるので、授業についていけるよう、タブレットなどのICTを利用してノートを取ったり、文字を書くことの代替となるものを利用するというのも有効です。算数障害(ディスカリキュリア)の子あるへの接し方■位ごとに色を変える算数障害の子は、2桁以上の計算をするとき、無意識に頭の中で位を入れ替えてしまうことがあります。位をまたぐ計算をするとき、位ごとに色を変えることによって、計算の混乱を防ぐことができます。一の位は赤で書き、十の位は青で書き…のようにルールを決めて計算に取り組むと、「赤は赤と足す」、「青は青と足す」という認識が生まれ、計算がしやすくなります。Upload By 発達障害のキホン■計算の際には枠を引いてあげる算数障害の子の中には、読字障害のある場合もあります。そのため数字の問題を読み取るときに困難を示す場合があります。二桁以上の計算問題を解くときは、どの桁がどの桁と計算すべきかを理解するために、桁ごとを分ける線を引いてあげるのもよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン■視覚的な手がかりになるものを利用する算数障害の子は「数」という概念の理解に困難を示す子が多いです。そのため、おはじきなどを使って実際に数えて計算を行ったり、絵や図に文章問題を書き換えて理解を促すことも効果的です。Upload By 発達障害のキホン■電卓を利用する簡単な計算が理解できるようになっても、学年があがるにつれ内容が難しくなるので、授業についてくことが困難となってしまいます。ある程度算数の概念が理解できるようになったら、担当の先生に理解を仰ぎ、電卓の使用を許可してもらうのもよいでしょう。■ICTを利用するパソコンやタブレットなどを使って楽しく算数を学べるソフトもあります。算数に対して苦手意識を強く持ってしまうと、本人がさらにつらい思いをしてしまうので、まずは苦手意識を持たないよう、楽しく算数を学ぶということを意識しましょう。最近では算数を学べるスマートフォンのアプリもたくさん出ています。まとめ■その子に合った学び方を探す例えば、文字を読むことが難しい子どもでも、耳から入ってくる情報であれば覚えることができる場合があります。その子どもに合っている情報のインプットの仕方とアウトプットの仕方を探しましょう。特に、ICTを活用した学びと相性がよい子どもが多いです。学習障害は、見方を変えれば視界が広がります。「できない」に目を向けるのではなく「できる」に目を向けることはとても大切なこと。人と同じではなくていいのです。子どもひとりひとりに合った指導法や接し方は、その子の未来を広げるだけでなく、今の親子関係も明るいものに変えます。専門家や周囲の人のアドバイスを元に適切な環境で学び、生活しやすい場所をつくってあげましょう。イラスト/かなしろにゃんこ。
2021年11月21日なんだか、世の中「反省モード」になっていませんか?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私の気のせいだといいのですが……。新型コロナウイルスの影響下での不安感や緊張状態が続き、外出を控える自粛生活が長引いたことや、人との接触機会が減っていたこと、息抜き手段が限られたこと。あるいは、第三者の客観的な意見が聞きにくい状況や、少数の極端な意見や否定的な言葉などが拡大・拡散しやすい状況……などなどの影響もあるのかもしれませんが、内省的で内向きな思考パターンに陥っている人が増えている気がします。そして、文部科学省の調査(R2年度)では、子どもの自殺・不登校も過去最多。うちの子たちの小中高それぞれのクラスでも、「ずっと休んでる子が数人いる」などと聞いています。また、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査(2021.6.8公開)によれば、世界的にもうつ病などの精神疾患が急増しているとのこと。私の身近でも、いつもは朗らかなママさんが、先日久しぶりに会ってお話ししたら、ご自身とお子さんの「できないこと」ばかりを気にされていました。自粛期間中に視力が低下した子どもが増加したと報道などで聞きますが、もしかしたら、家にいる時間が長くなり、いろんな人と話しながら外側に目を向ける機会が減ったことで、物理的な面だけでなくて、「心の視力」も視野が狭くなりがちで、ピント調節がしづらくなっている子・方もいるかもしれませんね。「自分や子どものできないことばかりを責めてしまう」「あれも、これも、できないといけない気がして、落ち込んでしまう」……なんて、つい思いつめてしまう方は、ほんの少し肩の力を抜いて、発想の転換と心の柔軟体操をしてみませんか?かつては私も、子どもが学校に行きたがらないことが続いた時期に、自分を責めて子育てに自信をなくしたり、「ちゃんとさせなくては!」「あれも、これも、できるようにしなくては!」とプレッシャーを感じて抑うつ的な気分になり、外出をつらく感じたこともありました。でも、ちょっとだけ、物事を見る視点を変えたり、部分と全体を柔軟に切り替えたりするクセをつけることで、今では(本来)真面目で思い詰めやすい性格の自分と上手に付き合えるようになりました。こういったものの見方は「リフレーミング」といって、発達障害のある子のペアレント・トレーニングや、うつ病の治療での認知行動療法などでも取り入れられている手法ですが、ご家庭で自分自身・お子さん自身でも手軽に取り入れることができます。今回のコラムでは、図解を交えてできるだけ分かりやすく、発想の転換法のコツを直伝します。文部科学省|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査経済協力開発機構(OECD)|ニュースルーム「失敗の点つなぎ」からの脱出法まず、子育てや、自分自身になんだか自信をなくしがちなときには、「自分や子どものできないことだけを見つめていないかな?」と自問するといいでしょう。私はこの「つい、できないことばかりを責めてしまう」状態を客観的に見るために、「失敗の点つなぎ」と独自に名付けています。では、「失敗の点つなぎ」とは、一体どんなものでしょうか。一つ、例え話をして解説しますね。出典 : うちでも長らく、おうちごはん・テイクアウト・宅配ディナーばかりが続きましたが、少しずつ、外食などへ出かけてみるご家庭も増えていることかと思います。もし、久しぶりにファミレスに行った時には、周りをよく観察してみるといいでしょう。家族や友人と食事やおしゃべりに夢中になっているときや、ぼっち飯でスマホ画面に集中しているとき……誰も周りのことは、そんなに意識していないのではないでしょうか。ところが、突然店員さんが「ガシャーン!」と大きな音を立てて、お皿を割ってしまったら……?たぶん、お店にいる人達は、一斉に注目しますよね。きっと、それまでその店員さんは、次々と注文を取り、できた料理を運び、空いたお皿を回収して……といった努力を地道に続けていたことでしょう。でも、それはお客さんにとっては「レストランでは当たり前」に思える光景なので、お店の内装やBGMと同じような背景になっていたのかもしれません。ところが、大きな音がしたときだけ、なにかあったときだけ、失敗したときだけ、人は気がついてしまうもの……ではないでしょうか。そして、そんな瞬間だけを集めてつなげていくと、いつの間にか「いつも失敗ばかり」であるかのような印象になってしまいます。こうやって、失敗したときだけ気づいて注目し、できなかった瞬間の点と点を結んで、その部分だけを拡大して見つめ続けている状態を、私は自戒を込めて「失敗の点つなぎ」と呼んでいるのです。元々真面目で完璧主義傾向の強い子・方に加えて、現在のように社会的に余裕のない状況が続くと、どんな人でも「失敗の点つなぎ」をしやすくなってしまうように思います。だって、目の前のことで手一杯だったりすると、周りが見えにくくなってしまいますから……。この状態から抜け出すための第1歩は「客観視」です。今、自分が「ああ、失敗だけを見つめているな」と気づくことが、まずは大事なのです。そのために、以下のような解説図をつくってみました。Upload By 楽々かあさん以前、子育てや自分に自信をなくしていたとき、私は毎晩、子ども達の寝顔を見ながら「今日も結局また怒ってしまった」「優しくできなくてごめんね」と、自分の「できなかった」ことばかりを思い出しては、一人反省会をしていました。わが子に対しても「あれも、これも、できなくては!」「ちゃんとさせなくては!」と思い詰めていて、人並みにほめて育てたくても、特に不器用な長男は失敗ばかりのような気がして、ちっともほめるところを見つけられず、結局怒ってばかりになっていました。……でも、果たして当時、本当に私は「怒ってばかり」のダメな親で、長男は「失敗ばかり」のできない子だったのでしょうか?できなかったことや、失敗した瞬間だけをつないで、その部分だけを拡大して何度も何度も反芻しながら見返していたら、自己イメージが低くなって、落ち込んでしまうのは当たり前だったように思います。ところが、少し視野を広げて全体像を眺めてみるとどうでしょう?一日をトータルでよくよく思い出してみれば、さすがに私だって24時間怒りっぱなしではなかったし、子どもだってできたことが少しはあったはずです。もし、全体像を眺めても、成功体験の点をあまり見つけることができない状態の子・方は、「できた!」のハードルを下げてみるといいでしょう。分かりやすい例だと、テストで100点取れたときにしか「できた!」と認めることができなければ、90点のときでも失敗体験になってしまうかもしれません。でも、70点、30点……あるいは5点や0点のときだって、ものの見方次第で「できた!」にカウントできるのです。具体的なコツは……・「大体はできた」「ここまではできた」「これだけはできた」……などと、できなかったことより、部分的にでもできたほうに注目する。・「少しだけでもやってみた」「苦手だけど参加した」「最後までやり遂げた」……などと、挑戦した意欲を認める。・「努力した」「自分なりにがんばった」「下手でも続けている」……などと、良い結果につながらなくても、その過程での努力に気づく。・「前よりもできた」「一年前に比べれば進歩している」……などと、できる子・人と比べずに、自分・その子自身とのタテ軸の比較で見る。……こうして「できた!」のハードルを柔軟に下げていくと、自然と成功体験の点が増えていくのではないでしょうか。そうすると、図のように、できない部分だけをつないで拡大していたときとは、全体像のイメージはずいぶんと違って見えるはずです。「失敗の点つなぎ」状態から抜け出す第2歩は、物事を「0か、100か」で捉えずに、「100以外」の全てを失敗にしないことなのです。そして、当たり前のようなことではありますが、日常生活を形つくるのは、「成功か、失敗か」「できたか、できなかったか」だけでは勿論ありません。子育ての場面でも、子どもを「ほめた/叱った」の二択ではありません。……というよりも、「それ以外」の時間のほうが圧倒的に大部分を占めているのです。「それ以外」の時間とは、毎日の生活の背景にある「ルーチンワーク」「通常運転」「いつも何気なく続けていること」「一見やって当たり前のようなこと」などを、特に意識せずに淡々とこなしている時間もあれば、「何もせずにぼーっとする」「平穏無事にダラダラと過ごす」「不要不急のことに費やす」時間などもあるでしょう。これらの「フツーのとき」は、以下のように、日常生活の背景になってしまっていて、意識しないと見えてこないかもしれません。Upload By 楽々かあさんこの、日常生活の背景に当たり前のように存在する、毎日の小さな頑張りや、ささやかな喜び、密かな楽しみ、何気ない時間の価値に目を向けるように意識すると、特別に何かを頑張れなかった日でも、何ができてもできなくても、ただ一日を普通に終えただけでも、自分なりに満足できるのではないでしょうか。例えば、主婦/主夫であれば、給食・お惣菜・レトルト・宅配込みでも、家族に最低限の食事を出せたなら、十分ヨシとしませんか。お子さんだって、例え学校に行けない日があっても、三食食べて寝るだけでも、昨日よりも確実に成長しているはずです。(※万が一、日々の食事の確保すら困難なほど、精神的・経済的に疲弊している場合は、動けるうちに早めに医療機関や行政サービス、非営利団体などを頼っていただけるよう、お願いします)そうして、自分への目線と子どもへの目線を下げて、「一日を終えただけでも、私は今日もよく頑張った」「(うちの子なりに)毎日よく頑張ってるね」……などと、例え誰もほめてくれなかった日でも、寝る前に一人反省会なんてしなくていいから、自分でご自身とお子さんをほめて認める声かけをしてあげませんか?「失敗の点つなぎ」からの出口である第3歩は、大きな音がしたときだけ注目せずに、日常生活の背景に隠れている「フツーのとき」に目を向けるように意識することだと、私は思っています。何ができても、できなくても……出典 : 最初に新型コロナウイルスのことが報じられてから、もうすぐ2年になりますね。この2年間で、毎日の普通で当たり前の日常が、どれだけ多くの人の膨大で地道な、見えない努力で成り立っているのかを、私は痛感しました。そして、不要不急でムダで何気ない時間にこそ、子育てや長い人生を続けていくために必要なエネルギーが詰まっていることを、再発見しました。一日の終わりは、何ができても、できなくても、親子で「お布団、温かいね」と思えたら、まあ、いいじゃありませんか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者:三木先生より)「良いこと」「できたこと」に注目するのは存外大変なものですが、日々の暮らしを通じて少しずつ癖づけていくことはできると思います。ここに書かれているのはある種のマインドフルネス的な考え方ですね。こういう「日々の一つ一つをかみしめる」ような方法を試してみるのも良いかもしれません。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年11月20日休職2カ月目娘は、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された『特例子会社』に勤めていましたが、メンタル面の不調から体調を崩し入社3年目(2020年)に会社を休職しました。休職から2ヶ月、投薬の調整もあり精神的に徐々に落ち着いていきた娘。でもフルタイムで出勤する自信はまだないようでした。そんな娘は、休職中でも生活リズムを崩さないために、感染対策を心掛けつつ日中はなるだけ外出するようにしていました。コロナ禍でいろいろと制限もありましたが、卒業校や基幹相談支援センターに相談に行ったり、かつて放課後等デイサービスや居場所として通っていたNPO法人へもできる範囲で訪れていました。Upload By 荒木まち子支援者との定期的な面談を重ねるうちに娘は「家は居心地悪いけどほかに行くところもないし。どうせならこの休みを使ってグループホームの見学や体験をしてみようかな」と言うようになりました。これは娘と支援者との間に信頼関係ができていたからこそ出てきた言葉なのだと思います。もし親が「グループホームの見学や宿泊体験に行ってみたら?」とでも言ったなら彼女は「親が私を家から追い出したがっている」とネガティブに捉えていたことでしょう。こうして休職を“前向きな休み”にするための、娘のグループホーム探しがスタートしたのです。それまでの私たち親子がグループホームについて知っていたこと娘→高等特別支援学校の主催の勉強会(机上)私→放課後等デイサービス主催の勉強会、学校での説明会、役所のへの相談、保険会社のネット講座、基幹相談センター主催の講演会、友達のお母さんの情報・娘の卒業校(高等特別支援学校)の先輩でグループホームに入居しているのは男性のみ(女性向けのグループホームは数が少ない)・人気のホームは空きがない。順番待ちに2年かかる場合もある ※自治体によって違いがあります・引っ越し代などの初期費用(※)と、数ヶ月分の家賃程度のお金を貯めてから入居するのが良い・日中は仕事や作業所に行く必要がある・区分認定により補助金の額が違う程度で、自分たちが住む地域の詳細な情報や具体的な申請手続きの方法などについてはほぼ知りませんでした。※ここでの初期費用の内訳・引っ越し代・部屋の間取りに合わせた収納や家具、寝具・自室用の小型テレビやパソコン、モバイルWi-Fi、ミニ冷蔵庫(本人が必要と感じる場合)・ランドリー小物(洗濯カゴ、洗濯角ハンガーなど)・風呂小物(風呂桶、椅子)⇒グループホームにもよる・部屋によってはカーテン・個人の消耗品(シャンプーやリンス、ボディーソープ、洗顔料など)7年かけて構築された信頼関係私たちの地域では基幹相談支援センターがグループホームの相談などに応じてくれる体制がありました。娘は中学校3年生のときから基幹相談支援センターの余暇支援活動に参加していました。高校生のころにはセンター内のショートステイを利用し、その後も時おり支援員さんと面談をしていました。入社一年目に体調を崩した際には、この基幹相談支援センターが中心となり学校や職場と連携してケース会議を開いてくれました。このように長年の付き合いがあり、娘のことをよく知っている相談員さんにグループホームや娘の計画支援をしてもらえたのはとてもラッキーなことでした。相談員さんは現時点で空きがあって、娘に合いそうなグループホームをいくつか紹介してくれました。グループホームの種類見学を通して私たちはさまざまなタイプのグループホームがあることを知りました。・貴重品の管理や薬の管理もしてくれる手厚い支援があるところ・食事以外は基本自由で、一人暮らしに近いような自立重視のグループホーム・外部から料理をする人が来て、朝夕の食事提供するスタイルのところ・弁当形式のスタイルのところ・“使った食器は自分で洗う”などのルールがあるところ・入居者の年齢層や障害の種類や程度はグループホームによってさまざま・男性専用棟や女性専用棟などがあるグループホームもある見学と宿泊体験グループホームの宿泊体験には受給者証が必要です。事業者と打ち合わせをして体験日程が決まったら役所に宿泊体験の申請をします。宿泊体験に費用がかかるかどうかは事業所によって異なります。基幹相談支援センターでのショートステイの経験がある娘は、2泊3日程度の外泊には慣れていました。グループホーム体験宿泊を経験してみて、娘は職場に近く、自立度が高い個人重視のタイプのホームが気に入ったようでした。一抹の不安はあれど私と支援者が心配していることがありました。それは娘が気に入ったグループホームが県外にあったことです。もし、そこに入居するとなると娘は今住んでいる自治体から『転出』することになります。福祉サービスは自治体によって違いがあります。今までとは異なる環境下で新たな支援者との信頼関係を一から構築していくことの大変さを伝えても、娘にはピンとこないようでした。きっと経験してみないと娘には分からないのかもしれません。私たち家族は彼女の意志を尊重することにしました。娘のグループホーム入居に向けた取り組みはまだまだ続きます。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)休職中とのことですが、調子が上向いてきて、そしてかつてお世話になっていた方々との再会やつながりの回復により、娘さんのやる気・意欲が湧いてくるのを感じます。就職、自立に関しては、地域によっても、お子さんの特性などによってもさまざまな展開があるので、荒木さんのこのコラムを拝読して私も「なるほどー」と勉強になりました。地域の基幹相談支援センターと娘さんとの信頼関係がベースとなって、次の一歩を踏み出そうというところ。どの地域であっても、地域の中心となる機関やキーパーソンとつながっていることはとても大切だと改めて感じますし、(おそらく読者の方のお子さんはまだ未成年であることが多いのではと推察しますが)信頼できる家族以外の人、信頼できる地域の人・機関を見つける、その方とお子さん自身が良き関係を築けるということの準備を子ども時代にできるとよいのだなと感じます。そして、最後に書かれていますが、自治体を移ることのインパクトは保護者のみなさんよくご存じかと思います。福祉の充実も自治体によってだいぶ違いますね。娘さんのその後がとても気になります…!
2021年11月19日さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。自宅で気軽にできる習い事に、今大きな注目が集まっています発達が気になるお子さんが伸び伸びと成長していくために、好きなことを見つけて楽しく得意を伸ばしていくことは、とても大切なことです。自分だけの得意を育むことで自己肯定感も育まれ、また将来の生きる力に繋がることが期待できるからです。そしてその成長を応援してくれる選択肢の一つに、「習い事」があります。最近ではこの習い事が、オンラインで自宅で気軽に始められるようになり、そのバリエーションも豊かで多彩なテーマがあることをご存知でしたか?出典 : さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。多彩な習い事と、発達が気になるお子さんの「好き」や「得意」が重なるテーマはきっとあるはず。少し敷居が高いイメージがあったとしても、オンラインなら自宅で保護者の方の側で、安心して始められます。そこで今回の記事では、さまざまなジャンルの中から4つの習い事をまとめてご紹介します。まずは興味の小さな芽を見つけてあげることで、いつか才能が花開く日への第一歩としていただけたら、嬉しく思います。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムそれぞれの習い事の詳細は、対応しているボタンから遷移するページでご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。【やりたいことが決まらない/たくさんある】スタコレ『スタコレ』は、自宅にいながらさまざまな習い事を受講し放題の、ライフスタイルに合わせて好きなだけ習い事に没頭できるプラットフォームです。月額制のプランに申し込むことで、多様な分野の習い事から興味に応じて選んで受講することができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムその分野は多岐に渡り、知育(幼児向け)、記述読解、算数、英会話、英検、そろばん、書道、ダンス、バレエ、絵画、質問し放題の自習室など、「好き」の芽を見つけやすい設計となっています。どの分野のレッスンも、全国で活躍する現役講師を採用後にオンラインレッスンのノウハウ研修やパーソナル指導を徹底的に行っているとのこと。また、『スタコレ』は一方通行の動画レッスンではなく、LIVE型の双方向レッスンなので、遠く離れた講師と対話をしながら、興味や集中を持続させ、得意をどんどん育てていくことができます。英会話・絵画・書道などのレッスンをクロスしながら学ぶことで、色んな方向から刺激やヒントを受けて興味の幅を広げながら、力を伸ばしていくことが期待できます。興味の芽がどこにあるのかまだ分からなくても、その芽を見つけるきっかけを幅広く得られるのが『スタコレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:StudyCollect■授業形式:10人以下の集団授業■対象年齢:4歳〜小学校高学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:ベーシックプラン6,600円(税込)、プレミアムプラン13,200円(税込)■入会費:無し■体験受講:登録から2週間無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します【算数の力をもっと伸ばしたい】math channel『math channel:おうちで楽しく学ぶ算数パズル教室@オンライン』は、「算数をもっと楽しくそして好きになる」ためのエッセンスが沢山詰まったオンラインクラスです。毎週違うテーマの『math channel』オリジナル算数パズルの問題に自分のペースで取り組みながら、何度も問題に取り組む「めげない心」と楽しみながら「算数的思考力」を育んでいきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムまずは簡単な問題から取り組み、問題の意味を理解し、「わかった!」という経験を積んでいきながら、さまざまな問題にチャレンジします。算数が好きなお子さんはもちろん、算数に苦手意識を持ち出したお子さんも、みんなで一緒に算数を楽しめる場のようです。オリジナルで厳選&制作した「かず」「かたち」「ろんり」の3つに沿って、「頭を使って考えながら解く」、「考えれば考えるほど楽しくなる」経験を重ねていきます。問題はどれも、解けば解くほど新しい発見があって、手を動かしながら何度も試せるテーマで、解いたあとは自分でも算数パズルを作りクリエイティブな力も身に着けられる題材ばかり。計算(数)・図形・論理の基礎力を身につけながら、主体的に問題に取り組み考えること、そして何よりも算数と楽しく向き合い続けることが大切とされています。算数・数学の学びに必要な、主体的にさまざまな問題を考え・向き合う力を楽しく身につける選択肢として、一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:算数パズル教室@オンライン■授業形式:15名程度の集団授業■対象年齢:小学校低学年〜中学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:月額8,800円(税込)■入会費:無し■体験受講:1コマ1名分2,200円(税込)。通常の授業を体験することができます。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します【絵やアートが好き】ATAM ACADEMY『ATAM ACADEMY』は、お子さんの感性を豊かにし、イラストやデザインに関する技術を学ぶことができるアカデミーです。絵を描くことが好きな気持ちを大切に育みながら、「好きなお絵かき」を「得意なお絵かき」にすることで、誰かに褒められる機会や「できた!」が増え、お子さんの自信へとつながっていきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムプロの講師からイラストやデザインの技術を学ぶことで、作品をつくって伝える力が伸びていき、アートを通しての自己表現の楽しさも体感することができます。それと同時にアートには答えが無いため、お子さんの「自分で考え、自分で伝える」力までを育んでいくことを目指しているとのことでした。レッスンは講師1名に対して生徒3名という少人数制の独自カリキュラムなので、一人ひとりに向き合いながら成長に寄り添ってくれます。オンライン授業なので国内外問わず学ぶことが可能で、香港・シンガポールなど世界中から問合せがあるそうです。発達が気になる方の中には、アート方面で才能を発揮されている先輩方もいるので、相性が良い習い事の一つと言えるかもしれませんね。イラストやデザインという将来の仕事にもつながる技術を、自宅で自分のペースで学ぶことができるのが『ATAM ACADEMY』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:アタムアカデミー■授業形式:生徒3人に対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜中学生■必要環境:zoom / PC、iPad、Apple Pencil必須(有料貸出あり※体験時は無料貸出可)■受講料:月額 10,000円(税込)■入会金:11,000円(税込)■体験受講:塗り絵を活用したレッスンを無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します【ゲームが好き】ゲムトレ『ゲムトレ』は、ゲームが本来持ち合わせている「学びの可能性」を最大限引き出すことを目的とした、日本初のゲームのオンライン家庭教師です。「楽しく脳を鍛える習い事」として、顔の見える先生からゲームを学ぶことができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム勉強に集中することは苦手だけど、ゲームだったら時間を忘れて夢中で続けられる。それだったらゲームで遊ぶ時間自体を、学びの時間に変えることができたなら、家にいながら自分らしく学びを深めていけるはず。そんな想いで、大会出場やプロゲーマーを目指すだけを目的とせずに、ゲームを通じて脳を鍛えたり、自己肯定感を育んだり、コミニケーション能力を高める教育プログラムです。ゲムトレには全国大会、世界大会経験者など高い実力を持つ、採用率10%以下の厳選されたプロのゲームトレーナーが在籍しています。累計トレーニング回数は10,000回を突破したそうです。目標を自分で定め課題を解決していく問題解決力だったり、現実では難しいスケールのものをつくる創造力など、さまざまな力を自然に育んでいくのが『ゲムトレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:ゲムトレ■授業形式:1人もしくは少人数のグループに対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜高校生■必要環境:ゲーム環境と通話環境■受講料:月額 7,480円(税込)〜■入会金:11,000円(税込)■体験受講:1時間の個別トレーニングで2,200円(税込)。体験会の際に継続を決定すると無料。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移しますまずは習い事の選択肢を広げて、お子さんの「好き」の芽を見つけてみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した4つの習い事は、テーマとしてきっと今まで検討されたことがないものもあったのではと思います。だからこそ可能性を狭めずに、まずはもっと知っていただくことから始めることができると、「好き」の芽を見逃さずに育んでいくことができるはず。それぞれの習い事の詳しい詳細は、下記のボタンから遷移するページでもご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移します
2021年11月18日コウの発達障害に気づかなかった私Upload By 丸山さとこ以前コラムでも書いたことがありますが、息子のコウは幼児のころ、”発達障害あるある”とされる行動が多い子どもでした。「物を並べる」「回転するものを長時間見つめる」「パニックになり壁に頭を打ちつける」などの行動をよくしていたコウ。『そういう性格なんだな』『それが好きなんだな』と捉えていた私は、息子に発達障害がある可能性を考えていませんでした。Upload By 丸山さとこ当時は本当にそう考えていましたし、その言葉に嘘はありません。ただ、今改めて振り返ってみると、正確には「(診断されるレベルの)発達障害がある可能性を考えたことはありませんでした」と書くべきだったのかもしれません。今回は、その辺りの少し複雑な心境について書いていこうと思います。コウの発達障害に気づかなかった私私は、自分自身が大人になってから医師に「発達障害のある可能性は高いが、就労と結婚をしているので検査は不要でしょう」と告げられるという経験をしています。コウが未就園児のころには『発達障害の特性はグラデーションである』ことを既に知っていました。ですが、そのことはコウに対する支援を探すきっかけにはならず、むしろ「積極的に情報を取りに行かない理由」になってしまいました。Upload By 丸山さとこ自分の経験から「発達障害がある傾向があって生活上つまずきを感じたとしても、つまずきの程度がよほど重くなければ、診断を受けることはないのだろう」と考えていたのです。2歳の誕生日を迎えたコウは、発語自体はあるものの会話のバリエーションは少なく、決まった形の問いかけ以外に答えることはほとんどありませんでした。そのため、公園でコウに話しかけてくれた近所の子から「この子はどうして話さないの?」「大きいけど赤ちゃんなの?」と聞かれたこともありました。この時点で、保護者によっては既に違和感を覚えるような状況だったのかもしれないな…と思います。Upload By 丸山さとこですが、私は前述の経験から「よく笑い、目が合うこともあり、(ある程度は)意思の疎通が可能なコウは、発達障害がある傾向があったとしても診断を受けるほどではないのだろうな」と思っていました。発達の凸凹自体は何となく認識していたものの、「彼の凸凹は得意・不得意の範囲とされるものであって、発達障害があるとはいえないのだろうな」と考えていたのです。2歳後半になり”セリフとして覚えた2語文”を話すようになったコウは、言葉による要求も行うようになってきました。それは”覚えたセリフ”をカードのように使っている状態だったので、「オウム返しを使って望ましい状況を再現しているだけ」と感じた私は『これで会話が成立していると言えるのだろうか?』という疑問を少し抱きました。Upload By 丸山さとこそれでも、私と話すときのコウは言葉での意思疎通が可能なため「コミュニケーションがとれている」と言えなくはない状態でした。しかし、コウの話せる文章が増えるほどに違和感が増えていきました。その後、児童館で人から話しかけられたコウが”話しかけられたセリフ”を延々と繰り返したことをきっかけに「これは何かあるのかもな」と薄っすら思い始めました。そして、3歳児健診でハッキリと息子に発達障害がある可能性を告げられたとき、『このくらいでも”発達障害がある可能性あり”として対応していくのか~!』『確かにほかの子どもと様子が違うからな~!』…という2つの気持ちを同時に味わっていました。”意外に思う心境”と”納得する心境”が一度にやってくる印象深い体験でした。Upload By 丸山さとこ私自身、発達障害にネガティブなイメージはなかったことから「発達障害がある可能性」と告げられたこと自体に対しては大きな戸惑いもなく、「コウは発達障害がある可能性が高く、支援が必要なのだ」と認識が切り替わりました。そこからの私は、コウの発達に関して改めて情報収集をしつつ、知能検査を受けたり療育園へ申し込みに行ったりするなどの”支援のための行動”を開始しました。不安や迷いがなかったのは、『ありのままのわが子を受け入れる愛情深い母親だから』ではありません。状況に対応するだけで手一杯だった当時は、「必要だ」とされることを「必要なんだな」と思うがままに取り入れていっただけの、流されるままに進んでいくような日々だったな~…と思います。Upload By 丸山さとこ家庭では以前から「コウに伝わるように」と意識して接していたことから、発達障害がある可能性を告げられてからも接し方が大きく変わることはありませんでした。しかし、改めてコウの様子を観察しながら「なるほど、確かに”発達障害あるある”な行動なんだな…!」と納得したりしていました。「すべて今だから言えることなんだろうな」と思う現在の私です1歳半健診で「反応が薄いのでちょっと様子を見ましょう」と言われたときや、2歳の健診で「コミュニケーションに不安があります」と心理士に言われたときなど、今になって振り返れば、コウの発達障害にもっと早く気づけたチャンスは何度もあったのだろうなと思います。3歳児健診まではハッキリと発達障害の名前を出されなかったことや、療育園を勧められなかったこともあって、息子の様子は「個性の範囲なのだろう」という判断をしていました。ですが、それについても、私の方から「気になるんです・心配なんです」と専門家の先生に伝えていたらハッキリと告げられていた可能性もあったかもしれません。Upload By 丸山さとこ早く気がつけばもっと選択肢があったかもしれないし、コウにとってより適切な環境を用意できたかもしれません。一方、2歳まで住んでいた自治体には通える療育園がなかったことから、実際には早く発達障害があることに気づいていたとしても焦るばかりだった可能性もあります。可能性をあげればキリはありませんが、それらはすべて「今だから言えることなんだろうな」と思います。Upload By 丸山さとここれからも、さまざまな可能性の山をかきわけて右往左往しながら選択をしていく中で、「こういう選択肢もあったのか!」「もっと早く考えていれば…」と思うことは山のようにあるのだろうなと思います。選ばなかった選択肢の結果が分からない以上、”ベストな選択だったのかどうか”という判断自体があとからできるようなことではないのかもしれません。それでも、定期的に足跡を振り返って検証をしつつ進んでいくことは大切なのだろうと思います。せめて、「いつでも予想外の展開や方向転換はあるのだろうな」という覚悟だけは持っておくといいのかな~と思う、予想外の展開に弱い私でした。(監修:三木先生より)とても良い振り返りですね。とてもバランスが難しいところなのですが、「まあこんなもんかな」と思って気楽にすることと、「この子にはこれが必要だ」と意気込むことは両方とも必要だと思います。そういう意味では、結果的にいいタイミングで気づかれたんじゃないかなと思いました。
2021年11月18日タケル誕生!2850gの元気な赤ちゃんわが家のでこぼこ兄妹の兄、タケルは8歳のときにアスペルガー症候群(※)の診断書を受け取りました。その後、19歳で精神障害者保健福祉⼿帳を取得する際に改めて診察・検査を受けてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。(※)現在は、ASDに統合されています。そんなタケルが生まれたのは、夏、そろそろ本格的に暑くなろうかというころでした。妊娠中、出産時とも特に問題はなく、あまり時間もかからずスルッと生まれた赤ちゃんで、私は「聞いていたよりずっと楽だった!なんて親孝行な子なんだろう!」と、思いました。それから、半年ほどの間は何事もなく過ぎていきました。今思えば「何もなさすぎた」というほど、手のかからない赤ちゃんだったのです…。とにかく寝ない!泣きだしたら止まらない!生まれて6ヶ月を過ぎるころ、強烈な夜泣きが始まりました。赤ちゃんは泣くのは仕事、とは聞いていましたが、1時間、2時間…と、本当に泣き始めると延々泣いているのです。そして最後は疲れて喉が開かなくなり「ひほっひほっ」とかすれた音を出しながら、腕の中で跳ねるようにしながら眠りにつくのでした。泣いている間に本格的な呼吸困難を起こして、病院に走ったことも何度もあります。どうも、タケルは「壊さないように身体を使う」ということができないようでした。Upload By 寺島ヒロもしかして高次脳機能障害...?しかし、私はタケルが3歳になるころには「これは学生のときに心理学の授業で聞いた高次脳機能障害というやつではないのか?」と考えるようになっていました。高次脳機能障害は怪我が原因で脳機能に障害が現れることです。タケルは大きなケガをしたことはなかったとは思うのですが、私が見ていないときにぶつけていなかったとは限らない、何しろいつも暴れながら泣いているので可能性として低くはないと思ったのです。そのころのタケルには、・注意を引いてもその方向を見ない。物を目の端で見る・笑顔がぎこちない。口が「笑顔の形」に開いても笑い声が出ない・おもちゃを想定されたやり方で遊ばない。ひたすら並べたり積み上げたりする・寝るときはおっぱいを飲みながら抱っこでないと寝ない(5歳まで)・落ち着きがなく、緊張が高まると身体を小刻みに揺らし続ける・服の肌触りに非常にこだわる・文字の読み書きができる。3歳ごろに書くようになったのでわかったが、読むだけはもっと前からできていたよう。漢字も読み方を教えてもらうとほぼ一回で覚える・100ピースほどのパズルはほとんど迷わず解ける。一度解いたパズルはピースの形と置いた場所を覚えている…などの特徴が見られました。Upload By 寺島ヒロ※その後、タケルは高次脳機能障害ではなく、アスペルガー症候群の診断を受けました。上記は、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこのような部分があったからといって、障害があるというわけではありません。念のため。病院では問題ないというけど...やっぱり何かヘン!実際は高次脳機能障害ではなかったのですが、このとき「疑い」を持ったことで、私はタケルの体調や睡眠時間の長短、遊びの内容などを事細かに育児日記として記録することを始めました。病院や保健所の発達相談会で聞いても「異常はない」と言われてはいたのですが、将来、もしかして何らかの障害だと分かったとき治療の役に立つかもしれないと思ったのです。Upload By 寺島ヒロ地方自治体の発達相談で判明!「たぶんアスペルガー」発達障害だと分かったのは、タケルが7歳のときに市で毎年開催している子どもの発達相談会に参加したことがきっかけです。この年に初めて県の発達センターから医師を含む専門のスタッフが派遣され、発達障害についての相談をすることができるようになりました。その場には、息子も伴って行ったのですが、もうスタッフさんに二言三言お話しただけで「この子は…!詳しい検査が必要かもしれません」と言われました。「異常なし」から一変!療育センターで詳しい検査を受けることに結局、その場での本人の様子と「育児日記」から、「アスペルガー症候群に大変近い」との医師の所見を得て、一週間後には療育センターで詳しい検査を受けられることに。療育センターでも、生まれてからの詳細なデータが残っていたため、すぐにアスペルガー症候群の診断がつき、まったく待たされることなく療育に入ることができました。そして、8歳の誕生日を迎えたころに診断書を受け取ることとなりました。書き溜めていた「育児日記」はしっかりとその役目を果たしてくれたのです。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)お子さんの夜泣きが続く大変な日々を、よく乗り切られましたね。当時は現在のように、一般的に発達障害に対する情報が広まっていませんでした。幼児期の睡眠障害については、最近日本でも注目されるようになってきました。寺島ヒロさんのように、相談に行かれる場合に「育児日記」のようなものをつけておかれると、専門家や医師も具体的な情報が得られ分かりやすくなると思います。
2021年11月17日入眠が難しいむっくんは小さいころから入眠が苦手です。もともと入眠しにくい体質なのもありますが眠ることに強い不安感を持っていて、眠ろうとすると緊張して余計寝つけなくなるようでした。5、6歳のころは21時から22時ごろに寝室に入っても眠りにつくのは23時から24時。翌日の生活を考えると心配になる入眠時間ですが、不安が和らぐよう「早く眠る」よりは「穏やかに眠る」を意識して暮らしていました。ところがそんなむっくんに、さらなる試練が訪れたのです。悪夢の始まりむっくんは、6歳から過度の疲れ、強い刺激、不安や興奮が強い夜に悪夢を見るようになりました。悪夢を見ると泣きながら飛び起きて、怖がって再入眠できなくなります。さらに悪夢の恐怖が和らぐまで「怖い夢を見るから眠りたくない!」と睡眠を拒否することもありました。ここで眠ることを強要するとますます不安が強くなりかねないと判断し、不安が和らぐことだけを目的に朝までアニメをつけて過ごした日もありました。Upload By ウチノコ私まで眠れないそんな日々を送るうちに、私にも異変が起こりました。眠ろうとすると、時々軽いパニック発作が起こるようになり、なかなか深い眠りに到達できなくなったのです。その状態を繰り返すうちに、私の中で「今日も眠れなかったらどうしよう」という不安が強くなり、寝室や布団に入ると緊張してしまうように…。まさにむっくんと同じ状態、これは本当に参りました。結局、私の入眠困難は心療内科にかかりつつ、睡眠記録をつけて自分に合った睡眠時間や眠れない状態のパターンなどを客観視することで、一年くらいで落ち着いていきました。この間、つらくもありましたが【眠れない】がどういうことか、むっくんの気持ちを本当の意味で知ることができた貴重な経験になり、私自身の睡眠に対する意識を変えるきっかけにもなりました。Upload By ウチノコ【眠れない】経験からわかったこと私は入眠不安を経験したことで、不安を抱えて寝室にいるつらさ、眠れないまま暗い部屋の布団の中でじっとしていなければならない苦痛、緊張から感覚がさえていくうちに、目を閉じることすら難しくなる感覚を知りました。Upload By ウチノコ自分の体験を参考にむっくんの睡眠記録をつけてみたところ、何時に寝室入りしても眠りにつくのが23時過ぎになることが多いと発見!むしろ早く寝室に入ると寝つけないつらい時間が長くなるため、緊張が増すのかもしれないと気がつきました。そこで寝室入りを22時半以降に変更することにしたのです。すると、悪夢さえなければ30分程度で眠りにつけるようになりました。一般的な同年齢の子よりは睡眠時間は少なめかもしれませんが、翌朝も問題なく起床でき、一日元気いっぱいに過ごせるので、この子はもともと睡眠時間が短い体質なのかもしれないなぁと考えるようにもなりました。安心する方法探しまた、むっくんと相談しながら不安が和らぐ入眠アイテム探しも頑張りました。例えばアイスノンで頭を冷やしたり、お気に入りのオルゴールや波の音などをかけるといくらか眠りやすい気がすること。また、悪夢を見ないための験担ぎとして、枕元に決まったおもちゃを並べるルーチンを取り入れたり、特定のアロマオイルを使う、手をぎゅうぎゅうと強い力でリズムよく握って刺激すると安心できることも発見しました。Upload By ウチノコむっくんには感覚過敏がありますが、刺激のない状態だと感覚が研ぎ澄まされて落ち着けないようで、むしろ何か弱い感覚刺激を入れ続けるほうが安心できる様子でした。中でも一番幸せな入眠方法は、テレビをつけっぱなしの明るいリビングで、ビーズクッションに寝転がり眠ること!寝室を暗くして布団で眠ろうと意気込むと緊張してしまうのですが、寝室以外の慣れた部屋で安心できる番組をぼんやり眺めているうちに眠くなれば不安を感じずにすむようでした。現在の様子むっくんは7歳のときに不登校を選択しました。私は、この決断を機に寝かしつけることやそろそろ寝る?などの声かけをやめて、入眠のタイミングを完全に本人にまかせることにしました。不安の多かった夜は、やりたかったことを一人で静かに楽しむ時間になりました。夜に学習する日もありますが、日中より集中できる様子なのでひょっとしたらむっくんは夜に頭のさえる体質なのかもしれません。夜を楽しく過ごしているからか悪夢も随分減りましたし、私の入眠タスクも寝てるむっくんを寝室に連れていくだけになり、本当に楽になりました。わが家の睡眠スタイルは、教科書的にはバツかもしれません。だけど夜になると「怖い夢見たらどうしよう」と半泣きだったむっくんが「今日も一日楽しかった~!」と好きなテレビを見ながら安心して眠る様子に、今はこれでもいいんじゃないかなって私は思っています。この先もむっくんは睡眠で悩むことがあるかもしれません。だけど、親子で真剣に睡眠と向き合った経験を糧にして、むっくんなりの対策を見つけて眠りにくさともまぁまぁ仲良く暮らしていけたらいいなぁと思っています。Upload By ウチノコ執筆/ウチノコ(監修:初川先生より)睡眠にまつわる難しさを抱える方は多くいらっしゃいますね。寝つけない理由として寝るのが怖いと訴えるお子さんも一定数いらっしゃるのではと思います。ウチノコさんがご自身の不調をきっかけに睡眠記録をつけて客観視してみることができたこと、とてもよいターニングポイントになったのだろうと思います。「夜は寝るもの」「早寝早起きがよい」というのは確かに概ね事実なのですが、全員にすべからく良いというものでもなく、個人差がありますが、先入観や道徳観が子に合った睡眠スタイルに気づくのを妨げている面もあります。また、不安が和らぐ入眠アイテム探しも素晴らしい試みですね。何が良いかは本人にしか分かりませんし、本人も気づいていないかもしれません。さまざま試して安心すると思いながら眠りにつけることは何よりだなと思います。そして、お母さんが一緒に試行錯誤してくれている、そのこと自体もとても安心感につながるプロセスのように感じました。
2021年11月16日どんな瞬間に「発達障害」の可能性に気づいたの?入園、入学、進学に向けて、そろそろ準備を始めている時期だと思います。そんな節目の時期は何かと子どもと向き合うことも多いですよね。今回は『もしかして、発達障害?』コラムをまとめてお届けします。気になるコラムはぜひリンクをクリックして読んでみてください。幼稚園のプレで周りの子と比べて圧倒的に幼い娘に衝撃を受け…2歳10ヶ月のとまちゃんは幼稚園のプレに行くことに。ドキドキしながらやってきたプレ初日、ほかの子どもたちを見てとまぱんさんが感じたこととは…。集団行動ができない…授業中にソワソワイライラしてしまう…そんな息子を見て小4のときに発達障害の診断を受けたリュウ太くん。かなしろにゃんこ。さんが、最初に「あれ?うちの子変わってるかも」と感じたのは小1のときでした。これって自閉スペクトラム症の特性?悩んでいる時期に背中を押してくれた存在みんさんが息子Pくんの発達に悩んでいた1歳後半から2歳前半のころのお話。自問自答の日々から抜け出すきっかけになったエピソードです。独り言、集団行動、ルール理解。今振り返る「そうだったのか」の出来事3歳のころに自閉スペクトラム症と診断されたミミくん。1歳6ヶ月健診から診断されるまで、今振り返ると「そうだったのか」と思う場面がありました。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年11月15日遊びを通して自己理解・自己表現のスキルを高めようーー『7歳からできる みんなのハローワークゲーム: とくい・すき・きょうみから将来の仕事をさがせ!』2017年に出版され話題になった『発達障害の子のためのハローワーク』が、楽しいカードゲームになりました。この『7歳からできるみんなのハローワークゲーム とくい・すき・きょうみから将来の仕事をさがせ!』では、遊びの中でさまざまな仕事にふれ、自分の可能性を見つけていくことができます。紹介されているお仕事は105種類。ゲームを通して世の中を支えるさまざまな仕事を知ることは、「なりたい自分」について考えたり、自分の将来像を具体的にイメージするきっかけにもなります。なりたい仕事・好きな仕事という視点だけでなく、自分に合った仕事・得意を生かせる仕事という視点で考えてみることによって、新しい目標ができたり、「自分に合う仕事」との出合いになるかもしれません。1人でも楽しめて、グループでも遊べる!大人からの働きかけのポイントも解説されています。7歳から楽しめるカードゲーム、学校でも家庭でもおすすめです。”なんでだろう?” ”うまくいかない” には理由があるーー『集団生活が苦手な子のための子育てハッピーサポートBOOK』集団生活は社会性を育む上で大切な経験と言われることもありますが、集団生活を苦手に感じる子どもいます。そして、そのことで悩んでいる保護者も多いかもしれません。「集団生活が苦手」と言っても、お子さんのタイプや困るケースはさまざま。しかし、どんな困りごとでもその背景には理由があります。理由が分かることでその子に合ったサポート方法も見えてくるかもしれません。この本の著者は、小児科医の遠藤雄策さんと臨床心理士・公認心理師の笹田夕美子さん。専門家の視点で集団生活が苦手な子どものタイプと代表的な困りごとのケース、その理由を解説しています。また、サポートのアイディアは「子どもの困りごとをサポートするための子育てスキル15」「園児の『困った』をサポート」「児童の『困った』『悩み』をサポート」「サポートする家族の心がまえとは」の4つのパートで具体的に紹介。お子さんの集団生活で悩みを抱えている保護者の方、来年度の春から集団生活が始まる未就園児・未就学児の保護者のお守りになるような一冊です。「分かっているのになぜかできない」ができるようになる!ーー『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本』ここ10年ほどで「発達障害」の認知度が飛躍的に上がり、大人になってから発達障害だと気づく人も増えています。幼少期は発達障害に気づかなかったけれど、仕事をしてみたり、育児をしてから気づくというケースも多くあります。また発達障害のある女性は、女性ならではの悩みを相談・共有できず解決しにくい現状があると言われています。この本の著者は、発達障害のある女性のためのコミュニティ「Decojo」を運営する沢口千寛さん。家事・仕事や育児、人間関係や身だしなみの整え方など日頃の生活を改善できるポイントを具体的に解説しています。便利なアプリ・サービス、道具の活用法など読んですぐ、簡単に実践できるアイディアが満載! おすすめのメソッド本です。当事者の視点から描かれた夫婦の物語ーー『僕の妻は発達障害3巻』発達障害当事者でもある漫画家のナナトエリさんと、夫である亀山聡さんの共作『僕の妻は発達障害』。発達障害のある人の“生きづらさに寄り添いながら”描いた話題のフィクション作品です。3巻では、大人になってから発達障害があることが分かった知佳が仕事復帰をする話、両親とのエピソードなどを収録。発達障害当事者だからこそ分かる感情や、身近にいるパートナーのリアルな視点が丁寧に描かれています。フィクションでありながらも発達障害の実情を知ることができる作品。医療監修もついています。当事者の方、家族の方々、発達障害をまだよく知らない方にもぜひ読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年11月15日発達障害のある息子のために、日本語で受けられるオンライン療育サービスを検索いつでも、どこからでもサービスを受けられる『発達ナビPLUS』。発達障害のあるお子さんを育てる海外在住ユーザーの方々はどのように利用されているのでしょうか。今回は、ベトナムにお住まいのユーザーさまのお声を紹介します。ベトナムに移住して約10ヶ月になるOさんご家族。お子さんはもうすぐ4歳になる男の子です。お父さまが一足先にベトナムへ移り、その半年後にお母さま(以下、Oさん)と息子さんも移住することに。 息子さんは生後4ヶ月から保育園に通い、2歳で検査を受けて境界型ASDと診断。保育園と並行して療育を受けていましたが、3歳になったころにベトナムに移り、『発達ナビPLUS』を使い始めました。――ベトナムに来てから、療育などはどうされましたか。こちらで療育の情報を得ることは難しく、ましてや日本語での対応はありません。最近、「ABA」で調べてヒットしましたが、全部ベトナム語のホームページで、よく分からないという状況です。また、こちらには特別支援学級がないようです。特別支援学校はあるみたいですが、かなり重度の肢体不自由の子ども向けで、発達障害や知的障害のカテゴリーでは存在しないのではと思います。ベトナム現地で、しかも日本語で発達支援を受けるのは難しいと分かったので、日本のオンラインサービスに頼るしかないと思い、「オンライン療育」といったキーワードで検索しました。すると、これは新型コロナの影響なのか、1年前だったらなかったのではと思われるサービスが、けっこうたくさん見つかりました。その中でも、トップに出てきたのが『発達ナビPLUS』でした。ほかのサイトも上から順に調べていって、一通りトップページとかは見てみたんです。――たくさんある中から、決め手となったのはどんな点でしたか。金額的なメリットでした。『発達ナビPLUS』は1ヶ月あたり約3,000円で、教材使い放題ということと、個別相談ができることに惹かれました。ほかのでは個別指導1回数万ということも。わが家は現地採用なので、駐在員の方のような教育手当などはなく、幼稚園や学校の費用も含めて全額自己負担です。だから、自分たちが払える範囲でいいサービスを使いたいなと思いました。この金額なら、習い事感覚で始められると思ったんです。さまざまな角度から療育のヒントを与えてくれる『発達ナビPLUS』の個別相談がとてもよかった!――実際に利用されて、特によかったのはどのメニューですか。「個別ケース相談」です。オンライン上で相談を送ると、専門家の方が監修されたアドバイスをもらえるというものです。とにかく寄り添ってもらえるところがとてもいいです。万人受けするアドバイスならネットで調べれば出てきますが、そうではなく、今の私の特殊な状況をすべて理解したうえでの答えが返ってくることがうれしかったです。さらに、こちらが返答したことにもまた丁寧に返答してもらえます。療育は、子どものサポートも大事ですが、実は親が不安になったときに寄り添ってくれる場なんですよね。海外で、そういう場がまったくないときだったので、とても感動しました。――実際にどんな相談をされたのでしょうか。エピソードを教えてください。例えば、トイレトレーニングについて相談しました。当時の息子は、おしっこはトイレでできるのに、うんちはどうしてもトイレじゃなくて部屋のすみっこでしてしまう…。私も自分でいろいろと試していました。たとえば、幼稚園でいやがらないように、家で使っているのと同じ便座を幼稚園に預けたり。そうした、よかれと思っていた内容も相談で伝えたら、「お母さまがやっていることは間違えてはいないですよ、とてもいいことですよ」と、まずはねぎらってくれて、これまでやってきたことが無駄じゃなかった、と思える褒め方をしてくれました。そのうえで、こういう場合ならこうしては、と段階的なことや状況に合わせた詳細なアドバイスをしてもらえました。やってきたことが無駄じゃなかったと思えることは、子どもに発達障害がなくても、海外での子育てで悩んでいる人には大事なことなんですよね。寄り添ってもらえることに感謝しています。回答のメールは、かなり文字量も多くて、ひとりに対してこんなに丁寧に書いてくれるんだ!と、はじめはびっくりしました。長いだけでなく、内容もすべてが濃厚で、必要な情報ばかりでした。もし、これがただ長いだけだったら、すぐやめていたかもしれません。さまざまな角度からの提案をしてもらったなかで、「場所のこだわり」という発想は自分にはありませんでした。「うんちする場所って決まってますか?」とケース相談の際に聞かれて、気づけたのです。もしかしたら、試行錯誤するうちにいつか自分でたどり着く答えだったのかもしれないけれど、かなりショートカットさせてもらいました。ダウンロ―ドし放題の「特別支援教材」は、子どもに合う・合わないの心配いらず――ほかのメニュー、例えば「特別支援教材」は活用されていますか。はい。教材は、ダウンロードし放題というところが助かっています。息子はなぜか、話し言葉は出ないのに、五十音を先に覚えたんです。まさかこんなに早く、いわゆる「あいうえお表」が必要になると思わなくて、次に一時帰国したときにでも、ひらがなのワークブックを買おうと思っていたところでした。でも今は、帰国もなかなかできない状況。日本にいたらお金を出せば買えるはずのものがここでは買えないので、ダウンロードしてすぐ使えるというところが、とても頼りになります。絵本などは母に送ってもらっていますが、こうした教材の場合、使ってみたけどうちの子に合わなかったということもありますよね。息子は好き嫌いがハッキリしているから、響かないものはまったく使えないんです。せっかく日本で買って送ってもらっても、見もしなかったらもったいないですしね。――ダウンロードした教材は、どんな風に使っていますか。「ひらがな よみ 50 おんひょう」を、1枚ずつ切ってラミネートしてカードとして使っています。夫の仕事柄ラミネーターが自宅にあるので、自家製カードができちゃうんです(笑)。50音なら、自分で書けばいいかとも思われますが、ちゃんとした字体のもののほうがいいですから。『発達ナビPLUS』を見れば、必要なものが何かしら手に入ると分かっていれば、ネット上で迷子になることもないし、ほんとうに手軽です。Upload By 発達ナビ編集部――専門家による『ライブ配信』勉強会については、どうでしょうか。実は半年ほど前に見たときにはピンとくるテーマがあまり見つからなくて、しばらく利用していなかったんです。でも、最近また見てみたらメニューが増えていて、ライブで受ければよかった!と思うテーマもたくさん見つかりました。そのときに参加できなくても、見逃し配信があるのはいいですね。――どんなテーマに興味がありますか。保護者のストレスケアやレスパイトについてです。子どもといったん離れて心身ともに疲れを癒す、ということですね。『発達ナビPLUS』で初めて知った言葉でした。それから、これから配信になるセミナーですが、専門家による子どもとのかかわり方をテーマにした勉強会も参加したいと思っています。――今後、活用したいと思われるのは、どのサービスですか。やはり「特別支援教材」を活用したいです。発達障害のある子は、どういう部分が突然伸びるか分からないんですよね。定型発達の子を想定した教材を、一時帰国したときに買って持ってきたとしても、役立たない可能性もあります。(新型コロナの影響で)今だけかもしれませんが、そもそも簡単に一時帰国できない状況ですし。その時々の成長段階に合わせて、今必要な教材を即ダウンロードできる宝庫が『発達ナビPLUS』にはあるので、積極的に活用したいと思っています。海外にいるからこそ、療育などの情報は自分で取りにいきたい。日本での準備は大切!Upload By 発達ナビ編集部――『発達ナビPLUS』のサービスだけでなく、お子さんの成長のために、普段意識していることを教えてください。自分たちに必要な情報に、まずはつながることが大事だと思っています。日本にいても、児童発達支援は親が動かないと受けられないですよね。今は、ネットを活用すればいくらでも情報があるので、どんなサービスでも、使えるかどうかは行動次第だと考えています。海外にいると、日本にいるよりさらに入ってくる情報が少ないので、ひたすら調べています。悩んでいることに対してピンポイントの答えを見つけることもあるし、自分の拠り所になる施設やサービスを探すことも。そこから自分の子どもに合った対応策を探していきます。それでも、自力で答えにたどり着けないことに関しては、個別相談のようにその子に合った答えをくれるところを探すといいんだと思います。――これから海外渡航を予定している方に、伝えたいメッセージはありますか。私はベトナムに来てから、「療育、やっぱりないね、どうしよう…」と必死で探して『発達ナビPLUS』にたどり着いたんですが、もし日本にいる間にその存在だけでも知っていたらよかったと思いました。本当は、日本に住民票を残しておいたら、オンラインで療育が受けられるのではと期待していたんです。自治体によるのかもしれませんが、私が住んでいた自治体に問い合わせしたら、日本にいないと受けられないと分かり、それで住民票も抜いて受給者証も返してしまって、療育に関しては完全にリセットされた状態になってしまいました。何もない状態でこちらの生活が始まったのです。そんな状況だったので、海外でも日本語で安心して利用できるサービスがあることを、追い込まれてから見つけるのではなく、事前に知っていただけでも、心の軽さは全然違ったんじゃないかと思います。だから、迷ったらとりあえず試してみることをおすすめします!海外で孤独な子育てがつらいとき、療育ができなくて不安なとき、相談という場で愚痴を聞いてもらうだけでもいいから、登録すれば寄り添ってもらえますよと伝えたいです。――ありがとうございました。取材・文/関川香織Upload By 発達ナビ編集部発達が気になるお子さんの保護者さま向けサービス『発達ナビPLUS』では、オンラインで医師・心理士など発達支援にかかわるさまざまな専門家と繋がり、個別相談や勉強会を通して、子育てをサポートします。― 発達ナビPLUSの3つの特長 ―1.「わかる」から「解決」まで子どもの行動の「どうして?」が分かれば、「こうすればいいんだ!」につながります。『発達ナビPLUS』では、各ご家庭に合わせた個別最適な手立ての実践までサポートします。2.50名以上の専門家がサポート医師、心理士などの発達支援の専門家が50名以上在籍。どこにも相談できなかった悩みも、幅広い専門性で納得いく解決策をご提案します。3.「すきま」でプラス忙しい育児の味方!5分でわかる解説動画も多数あります。スマホ一つでいつでも、どこでも子育てのヒントを。くわしくは、お得なクーポンも配布中の以下よりご確認ください。
2021年11月13日親子の関わりわが子が生まれてから親は、そのそだちのなかで、一所懸命にわが子に付き合い、あるときは涙し、あるときは安堵し、またあるときは心から笑い合ってきた。最初は、なにもかも手をかけ、どうしてなかなか自分でできないのかを悩みながら、徐々に手をかけることがすくなくなってきたことに、安心と寂しさを抱え、相変わらずできたことを褒めるよりも、できないことに口を挟み、次第にゆっくりと距離を置かれていく。親だからこそ、わが子の痛みや戸惑いを感知し、親だからこそ、それを未然に防ぎたいと思う。だからこそ、関係者へのまなざしが厳しくなる。自分が関われない状況において、それを他者に委ねるとき、われわれは、どれほどの信頼をもって、相手に託せるのだろう。幻想に近い期待は、現実の中で感謝となることもあれば、失望にも変化する。それがわが子の力不足という理解より、それをなぜ支え励ましてくれなかったのかと、委ねた方に思いが募る。自分が関われないだけに、わが子への思いが大きくなる。そこには関われない申し訳なさからの自責の念も隠れている。かといって、常にそばで関わり続けるべきかといえば、それもまったく現実的ではない。わが子への申し訳なさは、ついつい委ねた他者へ感情的になる。そんな微妙な揺れのなかにいる親の気持ちを知ってか知らずか、わが子は、わが子なりに成長していく。できないことから目が離せない親の言動が、子どもにとっては痛みと重荷になり、徐々に子どもも感情的になり衝突するか、距離を置こうとする。そこにまた、親は、追い打ちをかける。発達が気になる親子の関わりこれは、発達が気になる子の親に特徴的なことがらではなく、おそらく大なり小なり、多くの親子の関わり合いとも言えるだろう。唯一異なることとしたら、最近になって、長くこうした親子関係に付き合い、最近は子どもよりも親への関わりに重心移動してきた僕は、発達が気になる子を育てる親だからこその一所懸命さにある思いがあると感じてきた。発達が気になるわが子に対して、多くの親は僕は1歳半健診前後にすでに「うちの子、どこか他の子と違う」、「そだちが遅い」などの心配を抱えていることが少なくない、なにかしらの気づきがあると理解している。ただ、心配を抱えるイコール受診相談、そして診断という流れには、なかなかならず、多くの親は、今後のそだちのなかで、あるいは保育教育の場のなかで大きく変化するだろうと思っている、あるいは期待している。だから、健診や保育現場での関係者からのそだちに関わる心配な指摘に対して、同意しつつも反発、否定したい思いもある。しかし、自分自身も心配であったがゆえに、年長になったことをきっかけに、あるいは就学を前に、という節目節目で、医療福祉機関への相談を決意する。そこで診断されたことに、多くの親は、実は納得する部分もあるが、それ以上に大きなショックを受ける。一般に子どもにある障害を受容していく過程には、衝撃・拒否・悲嘆・抑うつ・受容といったD.ドローターの段階説と、成長発達の節目ごとに親が一喜一憂するというS.オルシャンスキーの慢性的悲哀説などが代表的である。いずれにしても、わが子に診断がつくということは、大きな衝撃であり、しばしそれは受け入れがたく、時に怒り悲嘆となり、気持ちは沈む。そこから再び立ち上がり、可能な限りの関わりで、思いを整理しようとする。しかし、それは、診断がなくなることでなく、全体としてわが子を受け止める道程である。故に、階段をどんどん上がっていくことよりは、節目節目で一喜一憂を繰り返す。どの時点にいても、最初の衝撃は消えることない思いとして親の心に留め置かれ、まさにそこから別の人生に歩みを変えたと思われるくらいである。多くの親が「この子を残して死ねない」と口にするが、そこには「この子と共に生き続ける」という覚悟も、診察室で強く感じる。そこには、わが子という別人格に対する親の思いというよりは、自分の一部としてのわが子という思いがあるように思われ、わが子の診断を受け止めることは、自らの生き方を大きく変えるほどの覚悟と表裏一体のようにも見える。この子を残して死ねないということは、この子を私は護り続ける、護り切るという大きな思いでもある。だから、子どもが成長していくなかで、多くの他者が介在していくことに、親は戸惑い、相手を厳しく査定し、評価する。発達が気になる子の親の思い子どもの親への思い成長していく子どもにとって、当初親は大きな守り神で、大きな支えであった。そだちのなかで、子どもはこの支えからしばし離れ、自分だけの力を試そうとしたり、別の支えを探そうとする。ごく自然に友人ができ、親以外の大人との関係性のなかで、ものの見方、考え方が変化していく。こうした他者の視点を取り入ることで、子どもは成長変化し、沢山のそだちの選択肢を手に入れる。それが時に親とぶつかる場合もあり、守り神は護り人となり、一番頼りになる人へと子どもにとって変わっていく。ほどほどに役立つ存在となり、そのすきまを、多くの他者が埋めていく。子どもにとって、成長していくなかで、支えは親から他者へとひろがっていく。発達が気になる子の親への思い発達が気になるということは、時に他者との関係性づくりが不器用で、信頼先の他者がなかなか登場しない、つくりにくいという場合もある。あるいは、親が、その思いから長く守り神であり続けてしまい、そこから離れる、自分の力を試そうとする時期がなかなか訪れにくくなることもある。もっとも、他者が、その方を護れず結果孤立させたり、傷つかせたりしてしまうことも少なくない。多様性をいくらうたっても、個々の許容範囲には、一定の制限がある。子どもにとっては、その許容範囲は決して広くはない。どこまでを許容してよいかは、風土や環境が決めている。それを構成する大人たちの文化がある。実際はまだ、そこには多様性という言葉で収まる社会ではないような気がする。だから、子どもたちもさることながら、そこに棲む親は、守り神で居続けないと護りきれないという思いを抱く。そこに、適度な分離というそだちに必要な舞台は、準備されにくい。親に孤立無援から抜け出してもらう過干渉、過保護という言葉は、社会が周囲がほどほどに干渉、保護していれば、徐々に消退していくと思っている。それでも過ぎた関わりを親がしなければならないのは、社会が、他者が、その人にとって、ほどほどの護りを示していないと判断されているからに他ならない。「親が先に死にます。その後、誰がこの子を守ってくれるというのですか」診察室でまだ幼いわが子を前に、若い親が口にする言葉に、親の孤立無援感を痛感する。国からも、地域からも、大切にされているという実感がない、と僕は感じてしまう。それでも、子どもが親から離れることで手に入れる自由に、僕はそだちの意味を思う。自由は快適ではないが、自分である程度のことを決めることの歓びは、その人にそだちにとって意味がある。生きにくさを感じることも、大切な経験であり、そこからすこしでも工夫と他者の応援を糧に、さらに自由に生きてほしい。痛みある自由を生きるわが子に、孤立無援のなか、いいようのない申し訳なさを感じつつある親に対しても、わが子のそだちから、ほんのすこし自由になってほしい。子どもたちは、親に対して護ってもらいたいという思いだけでなく、親に対して役立つ存在でもありたいと思っている。親を支える側にも立ちたいと思っている。それが、そだちである。そこから得る、子どもたちの夢や希望を親は信じ、わが子のこれからへの不安と、自身にある寂しさを抱え、距離をおいていく。子どもは未来に向かい、親は子どもを見守り続けながらも、自身の新しい未来を手に入れてほしい。
2021年11月12日とにかくできなかった算数、数学私はとにかく算数や数学が苦手で苦手で、苦痛で苦痛で仕方ありませんでした。文字を見ているといくらでも発想が広がっていくような楽しさがあるのですが、数字を見ているとまるで頭にモヤがかかるような感じがするのです。図形を扱う幾何や、ベン図などを扱う論理数学のような分野はまだ楽しいのですが、ともかく「計算」ができない。小学校のころに習う「つるかめ算」「植木算」などといった、本来計算を簡単にこなすためのはずの方便も頭がこんがらがってうまく覚えられませんでしたし、九九もいまだにあやふや。2ケタ以上の暗算はお手上げです。中学以降に習った方程式の立て方なども記憶が真っ白で、大人になった今となっては、一次方程式の立て方やパーセントの出し方も分からない状態です。小学校のころには国語で学年トップ、算数で学年ビリ、2教科平均でちょうどまんなかという「伝説的成績」を叩き出しました。高校のころには英語が満点近いのに、泣きながら吐き気を覚えながら必死で勉強した数学が13点で、英語と数学の点数差が80点以上だったことも…なぜ私は算数・数学が苦手だったのか?なぜ私はこんなにも算数・数学が苦手だったのでしょうか?30歳を過ぎて発達障害の診断を受けてからは、学習障害のひとつの算数障害があるのだろうと思っていましたが、40歳ごろに受け直した知能検査のあとの説明で、心理士さんから「数の処理は平均程度。算数障害と言えるような値ではない」と言われました。ただ同時に、「単純な暗記や、単純作業を正確にこなしていくのが苦手。理屈や意義が見いだせないことにはモチベーションが上がりにくい」とも言われました。私は暗記する分量の多い歴史科目も苦手でしたし、算数・数学の中でもとりわけ計算が苦手でした。こうした傾向は、「暗記」「単純作業を正確にこなしていく」の苦手に当てはまると思われます。確かに私はいくら練習しても九九がなかなか覚えられませんでしたし、計算のときには不注意による計算ミスが目立ちました。これに加え、私には「手書きで文字を書くのが苦手」という要素もありました。頭の回転に手の動きがついていかず、雑で読みにくい字になるので、手書きで計算式を書いていると途中で訳が分からなくなってしまうのです。特に桁数の多い足し算引き算などには顕著でした。教科担任制と、書字障害向けの学習支援が取り入れられていたなら…私にとって、算数・数学は小学校時点で「意義も理屈も分からない苦痛なだけのもの」になってしまっていました。苦痛になった理由の一つとして思いあたるのは、私が小学校の早い時点で教師にぶつけた疑問にきちんと答えてもらえず、まるで私が悪いかのように理不尽に叱責された経験です。「算数・数学はなぜ勉強しなくてはいけないのか。生きていくうえでなんの役にたつのか」「つるかめ算はどうしてこういう仕組みになっているのか。なぜ、これとこれをこうするとこの値が出るのか」「分数を分数で割るとはどういうことなのか。また、どうして分母と分子をひっくり返してかける決まりになっているのか」こうした疑問に担任の先生はなかなか答えてくれず、繰り返し訊いているうちにどんどん不機嫌になって「ともかくそういうことになっているんだ!」「屁理屈をこねて大人をバカにしているのか!」「なんてひねくれた性格の子なんだ!」などと怒鳴られるのです。いま思えば、当時の担任たちは私の質問したようなことについて興味がなく、そういうものだと捉えて疑問に思ったことがなかったり、知らなかったりしたのかもしれません。それを私が繰り返し質問するものだから、ついあのように怒ってしまったのだと思います。彼らは数学の専門家ではないのだから、知らない・分からないならそれも仕方ないのだと今は思います。ただそれなら「先生も詳しい理由は分からないんだよ。でも、とりあえずこうすることが一番便利だからこういうことに決まっているんだ」などという言い方をしてもらえたら、私も繰り返し質問することはなかったと思います。小学校も教科担任制になって、算数には数学を専門に学んだ人が教えてくれたならと思います。数学の専門家は数学の深い理論や、数学の世界でいま何が分かっていて何が分かっていないかを知っているから。彼らは、算数を学んで知識と技術を積み重ねていくことの意義や面白さについて語れるし、算数を教えることへのモチベーションも高いはずです。また、もし当時から書字障害への理解・学習支援があったなら、私はもっと楽しく算数・数学に触れられただろうと思います。私は中学のころ、数学のノートがあまりに汚いというので数学の先生に「やる気や教師への尊敬が足りない!」と叱責され、反省文まで出させられたことがあります。気持ちの問題ではない、どう頑張ってもできなかったのに…。努力してもきれいにノートが書けない子がいるという理解が浸透していてほしかったし、学習障害のある子にも使いやすいノートやタブレットPCなどのツールがあったならと思います。算数・数学への苦手意識を抱えながらも算数・数学が苦手であることは、私の人生にとって結構な損失だったと思います。理系科目が好きで理系に進みたかったけれど、大学受験で数学が必須になるというので泣く泣く諦めた経緯もあります。哲学にも興味がありましたが、入門的内容に触れるうちに「これは数学の素養がないと無理だ」と気づいて諦めました。けれど、最近は日常の簡単な計算だけでなく、統計をとるのもなんでも、計算自体はうまく設定しさえすればすべてPCがやってくれます。私はこれから福祉系の大学院の修士課程に進む予定なのですが、研究上必要な統計調査の計算自体はPCに任せるか、得意な人に頼んでやってもらおうと思っています。算数・数学が苦手なことには変わりありませんが、苦手の中身を分析できたことでだいぶ乗り切りやすくなったと感じています。たとえば、理屈なら大丈夫なので、同じ統計調査でも、どんな統計調査で何を調べるのかといったあたりの理解はできる。でも実際の計算処理は私には困難である、とか。そんな分析や振り返りの中で一歩ずつ前に進みながら、算数・数学に関して傷ついた自分の心を癒やしていっています。文/宇樹義子(井上先生より)「なぜ学ぶのか」が納得できないと勉強に取り組めないお子さんは一定数存在します。学校の先生は、そうしたときに学ぶことの意義やメリットを説明できる力が必要でしょう。人間は本来、興味を持ったことに対しより深い学びをしたいと感じるものです。好きなこと、興味を持っていることに絡めて教科学習に入っていけると、モチベーション高く取り組めると思います。例えば、インターネットゲームで海外の人とのチャットが必要となり英語を学ぶモチベーションとなったお子さんや、株取引に興味を持ちそのために数学を学びなおした人などもいます。高校で選択制カリキュラムとなり、苦手教科から解放されたと感じた人もいるのではないでしょうか。大学などの研究分野でも、専門分野や得意分野を担当する分業制は珍しことではありません。平均的な学力で進路を選択しないで済むように、入試制度なども変化していくといいと感じています。
2021年11月12日映画「梅切らぬバカ」トークイベントを開催Upload By 発達ナビ編集部2021年10月26日(火)に、東京・渋谷のユーロライブにて、映画「梅切らぬバカ」のトークイベントが行われました。会場には、当日イベント前に行われた特別試写を鑑賞した当事者家族ら関係者60名程が。試写に続き、トークイベントにもご参加いただきました。登壇したのは、この映画の脚本・監督をつとめた和島香太郎監督、映画の脚本制作時にも協力した横浜自閉症協会会長の中野美奈子さん、児童精神科医の三木崇弘先生、そしてLITALICO発達ナビ編集長の牟田が司会をつとめました。和島監督が、この映画に込めた想いとは?トークイベントでは、まず和島監督にこの映画に込めた想いについて聞きました。和島監督:以前、障害がある人のドキュメンタリー作品の編集に携ったのが映画を撮ろうと思ったきっかけ。地域の人との関りがなく孤立して困難を抱えている様子があったこと、近隣の方からドキュメンタリーでは近隣住民の被る迷惑が描かれていないと指摘を受けた経験がありました。障害がある人と近隣の人たちとの間にある溝を埋める、つながりやその可能性は、フィクションという形であれば描けるのではないかと考えて、この映画を撮ろうと考えるようになりました。Upload By 発達ナビ編集部それを受けて、児童精神科医の三木先生もコメント。三木先生:映画でも、隣の里村家の父親・茂が”隣の人”というような表現をしていたのが、”忠さん”と名前を呼ぶようになる。”こわい”“怪しい”存在から、”こういう人だよね”と人となりを理解し、一人の人として接するようになる。そういうことが大切。横浜市自閉症協会の中野さんは、自閉スペクトラム症と知的障害がある息子さんはコミュニケーションが苦手であることから、自身が地域活動に関わるようにしてきたと言います。中野さん:私自身が積極的に地域の活動に参加してきた。それによって、地域の中にさまざまなつながりができました。結局息子は地域外のグループホームに入居することになりましたが、私自身これから老いていく中で、地域の中につながりができたのは心強いと感じています。「梅切らぬバカ」というタイトルの意味するところは?「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあります。樹木の剪定には、それぞれの木の特性に従って対処する必要があり、それが転じて、人とのかかわりにおいても、相手の性格や特徴を理解しようとむき合うことが大事であるという意味をもつことわざです。この点を意識したタイトルや脚本であるのかを監督に伺いました。和島監督:不要な枝を切ろうとして、実は切ってはいけない枝を切ってしまったりする。人との関係ってそういう失敗がよくおこるのではないか。間違えた選択肢をとってしまうこともあり、人と関わっていく難しさに悩みながら道を探す。人と人との関わりというのはそういうものなのではないか。この映画を通して、よい方向に向かっていくプロセスを感じ取ってもらいたいです。和島監督の言葉を受けて、三木先生は映画を観て感じたこととして次のように発言しました。三木先生:映画の中でも、反対運動を繰り広げる地域の人も、忠さんと距離をとる隣人も、”これでいいのかな”と、どこかに迷いがある。やさしい面もあり、でも拒否する面もある。そういう周囲の人たちの気持ちの揺れも感じられました。Upload By 発達ナビ編集部トークでのやりとりを通して、当事者も、その周りの人たちも、心が揺れながら、失敗を重ねながらも良い方向に向かっていくプロセスを描こうとした監督の想いが伝わってきました。キャスティングについて母親・珠子役の加賀まりこさん、自閉スペクトラム症のある息子・忠さん役の塚地武雅さんの配役は見事でした。障害のある息子への母のあたたかなまなざし、自閉スペクトラム症のある人になり切った演技が見事だった塚地さん。このキャスティングはどのように決められたのでしょう。和島監督:昔、バラエティ番組で歯に衣着せず、共演者に本音で指摘する加賀さんの姿を見たことがあり、とても印象的でした。厳しいことを言うけれど愛情がある。珠子は占い師という役で、彼女を慕う女性たちの悩みを聞き叱咤激励するのですが、そこが加賀さんの姿と重なってぜひ演じていただきたいと思った。塚地さんについては、彼の芸を見ていて、物まねにしても、すごく対象に愛と敬意をもってこだわりをもって取り組むという印象がありました。忠さんは、そういう方に演じていただきたいと思ったのがオファーの背景です。また以前、ダウン症のお子さんの保護者の方に”あなたは地域の有名人になりなさい”といって育てているという話しを聞いたことがありました。塚地さんにはそういう愛されるキャラクター性があると感じていたことも、オファーの理由のひとつです。中野さん、三木先生も俳優陣の演技力のすばらしさに驚いたと言います。また、三木先生は、地域の反対派を演じる俳優たちの揺れ動く演技もまた見事だったと話してくれました。脚本について脚本では、横浜市自閉症協会の中野さんのご意見も伺いながら練りあげたと言います。例えば忠さんに母親が「(これから)どうしたい?」と聞き「お嫁さんをもらいます」というシーン。そこにもこだわりはあったのでしょうか?中野さん:私自身、きょうだいに全介助の障害があって。彼女が20歳になったころ、結婚したいと言ったのですが、そんなの無理でしょうと聞き流してしまった。でも今は、どんなに重い障害があってもどうしたいか本人の意思を尊重する”意思決定支援”というのが重要視されるようになっています。そのあたりがちゃんと描かれているなと感じました。Upload By 発達ナビ編集部三木先生もこのシーンについて、とても印象的だったと言います。三木先生:映画では、母親は「どうしたい?」と聞きながら、「とはいえ母と一緒にいたいと思っているでしょう」という気持をもちながら聞いていたと思う。でも、母の想いと違う形で忠さんの想いが表出されるところがいいと思いました。忠さんが家を出てグループホームに入居したシーン。息子をグループホームに送ったあと、一人スーツケースを転がしながら家に帰っていく母の後ろ姿は、そうした思いを保護者側が飲み込んだんだな、子どもの想いを大切にしたのだな、ということを感じさせてくれました。親なきあとについて映画では、中年にさしかかった自閉スペクトラム症のある息子と高齢の母の暮らしを描いており、親なきあとについても考えさせられます。障害のある息子さんのいる中野さんは、親なきあとへの備えはどのようにしているのかを話してくださいました。中野さん:私はきょうだい児でもありますが、きょうだいは中年になっても実家にいて、母が倒れたときに横浜と実家のある四国を行き来する生活を余儀なくされました。そのような経験からも、息子が20代前半からグループホームに入れました。グループホームはなかなかあいておらず選択の幅もあまりないかもしれないけれど、早いうちから「ここだけは譲れない」という点を整理しておくことも大切ではないかと思います。と、グループホームの入居についての実体験を話してくれました。また、グループホームでの生活においては、周囲や支援者の支援や環境調整などが大事だともお話いただきました。Upload By 発達ナビ編集部また、環境調整に加えて、家族や支援者を信頼し、障害がある人の意志や想いを伝え叶えられてきた経験の積み重ねも大切ではないかという話もでました。親なきあと、わが子が支援の網の目からこぼれ落ちずに幸せに暮らしていくためには、必要な環境を事前に用意しておくこと、そして支援者を信頼し自分の意志を伝える関係性を育める土台があることが大切なのではないかと改めて気づくことができました。この映画を届けたい人「障害のある人が身近にいない人、今まで関心がなかった人に届けることができたら」という想いは、監督はじめ、登壇者皆同意見でした。「障害のある人のまわりの人の目が、”あの人は怖い”という監視の目から、“こんなことが好きな人だよね”というような見守りの目になってくれたら」というのは、監督のみでなく、障害がある人やその家族皆のねがいなのではないでしょうか。俳優への興味関心からこの映画に興味を持ち、観てくれるのもひとつのきっかけとなるでしょう。また今後、映画館のみでなく地域の学校や施設などで上映会などが広がっていったら、企業のダイバーシティ研修などでも活用できたなら…。これからも末永くこの映画が、理解のすそ野を広げてくれることを願ってトークイベントは終了となりました。『梅切らぬバカ』上映情報Upload By 発達ナビ編集部11月12日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー都会の古民家で暮らす自閉症の息子と母。息子が50歳を迎えるのを前に、母は「このまま共倒れになっちゃうのかね?」とつぶやきます。障害のある人に不寛容な社会の中であっても、寄り添いながら暮らす母子の姿を温かく誠実に描いています。一人ひとりと誠実に向き合う中で、小さいけれど確かな未来への希望が生まれていく様も感じさせてくれる作品です。監督・脚本:和島香太郎出演:加賀まりこ、塚地武雅渡辺いっけい、森口瑤子、齋藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子配給:ハピネットファントム・スタジオ
2021年11月11日太郎の様子を保育園のライブ映像で見ることにUpload By まゆん現在、自閉スペクトラム症のある太郎は小学6年生。太郎は保育園の年少クラスになってから数ヶ月後、保育園側から行動について指摘を受け、私は教室に設置されているカメラのライブ映像で太郎の様子を見ることになった。保育園に到着し、教室の前を通る。年少のクラスの園児は30人近くいた。園児一人ひとりは小さいが30人近くがひとつの教室にいるとひとつの大きななにかに見えた。それに対して保育士の先生は1人。子どもに比べ大きいはずなのに小さく見えた。数ヶ月前までの未満児クラスでは担任の先生も複数人の体制だったが、それから急に一人体制…。これも太郎の行動が目立ちだしたひとつの誘因なのかもしれないと1人で分析していた。保育園の行事毎にいただく写真で太郎はだいたい先生の隣に写っていた。私と私の母は写真を見ながらいつも「今回も先生が隣に写ってるね」「やっぱりちょっと落ち着きがないもんね」「太郎が先生に近づいてるんじゃなくて、先生が太郎についてくれてるんやろうね」などと話をしていた。Upload By まゆんUpload By まゆん先生がついていないといけない状況なのに、先生1人に30人近い園児となると太郎も先生も大丈夫なのかな…と進級してから不安には思っていた。そして不安が的中した。モニターにうつしだされた太郎は…教室での太郎の様子をライブ映像で見るため事務室に入った。私は見ることが怖かったが、目を逸らしてはいけないと思った。モニターの前でドキドキしながら太郎を探した。ドキドキしながらモニターにうつる太郎を見つけた。Upload By まゆんそこに映っていたのは、いつも通りの太郎だった。いつも通り動き回っていた。いつも通りに椅子に黙って座って居られず、ガタガタと動いていた。いつも通り人の話を集中して聞いていなかった。いつも通り急に動き出して…授業中に1人教室を飛び出して…なんと年長クラスへ侵入して行った…。私が知っているまんまの太郎だった。それはもう楽しそうに、体を大きく弾ませながら走っていた。Upload By まゆん私は声も出ないほどの衝撃を受けた。太郎の行動に衝撃を受けたのではない…私が衝撃を受けたのは…周りの園児たちの落ち着いた様子で、太郎との『違い』だった。誰一人として太郎と同じような行動はしておらず、教室の中で先生の指示通りに作業を行っていた。私は放心状態だったが、園の先生は私にこう話しかけてきた。「こういう状況であるため保育士の加配が必要です。加配のためには、太郎くんに発育テスト(知能検査)を受けてもらうことが必要なんです」と。先生がおっしゃっていることの理解はできていた。しかし心が追いついてなかった。心が震えながら返事をしていたが、どう返事をしたのかは覚えていない。Upload By まゆん太郎の行動に日頃から『発達障害』ではないかと不安はあったものの、確実なものがあるわけではありませんでした。モニターで周りの子どもたちとの違いというものを目の当たりにしたときに、1歳7ヶ月のころの運動会でひっかかっていた『何か』が明確になったのでした。『みんなと同じ』ということが正しいというわけではありませんが、『みんなと違う』となると何かあるのか?この子の未来は?など不安が一気に押し寄せてきました。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)自治体で行っている3歳児健診でも集団から外れてしまう子がいます。3歳児健診で行動の問題があっても残念ながら、たいていの場合は「様子を見ましょう」になってしまいます。従って、次の就学時健診までの数年間、そのままの状態が続くことになり、今回のケースのように保育園や幼稚園から行動の問題点を指摘されることが多いのです。そのため、最近は自治体によっては集団に入る年中さんあたりで5歳児健診を行い、お子さんにどんなつまずきがあるかを診るようになってきました。5歳児健診は親にお子さんのつまずいている現状に気づいてもらうための健診です。しかし、残念ながらまだ一部の市町村しか行えていません。就学時健診でもスルーしてしまい、小学校の担任に言われて初めて気づく親御さんも珍しくありません。
2021年11月11日1歳6か月健診でUpload By taeko現在小学2年生のミミは3歳のころ自閉スペクトラム症(ASD)だと分かりました。私は、保育園の3歳のクラスで先生に療育を勧められるまで「発達障害」という言葉はよく知りませんでした。でも言われてみると「そうだったのか」と思う場面がありました。1歳6ヶ月健診では、積み木を真似して積むことができなかったり、質問に答えられなかったり、全体的にできないことが多かったミミ。健診の最後に「言葉の発達が気になるので後日連絡してもいいですか?」聞かれて了解しましたが、1歳6ヶ月健診のことを深く考えていない私は何とも思っていませんでした。翌日保育園に登園すると、担任の保育士さんから「健診どうでしたか〜?」と聞かれ、「特にないです」と答えると「そうですか〜…」と、保育士さんはどこか不思議そうな、おかしいな、といった顔をしていました。それから数ヶ月後、保健センターから着信があったけど私は仕事で電話に出られず、そのまま放置していました。それから半年後Upload By taeko健診から半年が過ぎ、ミミは言葉の遅れを指摘されたとは思えないほどよくしゃべるようになっていました。しゃべり過ぎるくらいで、洗濯機に向かって30分くらい一人で話し続けることもありました。保育園で読んだ本の話を繰り返し、繰り返し話す様子を私は面白がって見ていました。夏、公園で遊んでいたミミ。時間が経ち日差しも強いので帰ろうと促しても、ジャングルジムの周りを走り回って止まらない。手を掴もうとしても振り払い、ニヤニヤしながら真っ赤な顔で走りまわっていました。その様子を見て(ちょっとおかしい…?)と私の頭にハテナが浮かびました。熱中症寸前でミミは転び、そのあとやっと帰ることができました。このころ私は、発達障害のことは何も知りませんでした。保育園ではUpload By taeko保育園でのあそびはルールが分からないことが多く、鬼ごっこではミミは自分が鬼じゃないときに、鬼を追いかけていました。鬼ごっこのルールは年長になるころやっと分かってきました。ほかに保育園での生活の中で、移動が特に苦手で、散歩やホールに行くのがイヤで職員室で待っていることも多かったのを覚えています。Upload By taekoそんなミミが自閉スペクトラム症(ASD)と分かったのは、3歳のころ。ミミの様子に疑問に感じることがあっても初めての子どもだから「こんなものかな」と思っていたけど、発達障害があることが分かってよかったなと思います。困りごとがあったときのミミへの対応方法を学べたり、専門家に相談できる機会がたくさんあることが分かりました。現在は小学2年生のミミ、お友達とのトラブルや心配事もありますが、これからも成長を見守っていきたいと思います。執筆/taeko(監修:初川先生より)はじめてのお子さんだと、「こんなものかな」と思えてしまうところはあると思います。家庭内で保護者ご自身が子育てに著しい困難を抱えていない場合はそうかもしれませんし、“子育ては大変なもの”“子どもの発達は人それぞれ”と思っていると、より一層そう思う面はあるかもしれませんね。ちょっとした違和感を持ったときに、「こんなもんなんです?」と園の先生などに聞いてみるのは一つあるかもしれません。育ちが進むにつれ、ほかのお子さんとのできること・できないことが際立ってくるので、「あれ?」と思うポイントはその後も多々出てくると思います。お子さんがほかのお子さんと同じような行動を取れていないときには、何らか困った気持ちを持っていたり、分からずにやっていたりすることが多いです。お子さんの言動の「傾向と対策」を知り、お子さんの気持ちを知って、楽しく過ごす方法を検討するには、「あれ?」と思ったときに、園の先生や相談機関の方にその旨聞いてみるといいですね。
2021年11月10日わが子は自閉スペクトラム症なのかもしれないと自問自答する日々Upload By みんわが子には発達障害があるのかもしれないと悩んでいた期間に、発達障害への疑いが実感へと近づいたきっかけは、ある知人2人の反応と言葉があったからです。今回はそのうちの一人「ママ友」との忘れられない出来事を描きたいと思います。Pには3歳上に兄がいます。兄が幼いころはその兄の友達とママ友たちの何人かで集まって遊ぶ機会がよくありました。勿論Pもその場に一緒に連れて行くのですが、Pが1歳半を過ぎたあたりから「Pの様子を見てほかのママさんたちはどう思っているんだろう?」と私は少し気にするようになりました。そのため、誰かに疑問に思われる前に自分からPの発達の心配事を話すようしていました。でも私がPの発達の遅れを周りに相談しても、大体の人は「大丈夫だよ」「男の子は言葉が遅いっていうし」「うちの子だって同じような感じだったよ」と返してくれます。きっと「どう返したら良いのか分からない」「思ったことをハッキリ言ってしまうと失礼になるかもしれない」など、配慮や励ましの意味もあったのかもしれません。でも私はそんな言葉を聞いても「そうだよね、心配しすぎだよね!」とは心から思えずにいました。Upload By みんママ友たちの励ましを素直に聞き入れられなかった私そんなモヤモヤした気持ちを抱えていたある日、ある一人のママさんと私の二人でじっくり話しをする機会がありました。その人は自治体が行う乳幼児健診などに関わる仕事をしていて、これまでも数多くの子どもたちを見て来た経験がある人でした。私はそんなママさんに、今Pの発達に悩んでいて私自身はこの子に発達障害があるかもしれないと思っていることと、療育を始めようと思っていることなどを深刻な雰囲気ではなく軽い気持ちで話してみました。すると、そのママさんから予想もしない驚きの反応が返ってきたのです。ママさんは私の話を聞きながら、何も言わずにポロポロと涙を流し始めたのです!私は突然の涙に驚きました。同時になんだか私も泣きそうになってしまい、必死で涙を堪えていました。ママさんは私の話を聞いたあとに、泣きながらこのように話をしてくれました。「私は医師ではないからその話を聞いて発達障害についての断定や診断はできないけれど、でもみんちゃんがPくんの発達について悩んで、いろいろと考えている話を聞けて良かった。療育は早ければ早いほど良いと思うよ!頑張ってね!」と。私はそのときに「あぁやっぱり発達障害の知識がある人がPを見ると、何かあると分かるくらいにPはほかの子とは違うんだ。それも思わず涙を流すほどってことはやっぱりPには発達障害があるんだろうな…」と思いました。Upload By みんママ友が流した涙を重く感じた私は…私はママ友が流した涙がずっと頭から離れず、ママ友の涙の理由を考えれば考えるほど深いため息がでる日々が続きました。でもその涙があったからこそ「うちの子は大丈夫だ」と安易に考えずに済み、やっぱりPには発達障害があるかもしれないとより強く考えるようになりました。Pの発育をほかの人から客観的に見てもらったことによって、発達障害を受け止める心構えや、療育や診断へと進むための背中を押してもらえるきっかけの一つにもなったので、今ではその涙に感謝をしています。Upload By みんそして、同じ時期にもう一人「もしかして発達障害?」と思っていた私の背中を押してくれた人がいます。その話は別の機会に描けたらと思います。執筆/みん(監修:三木先生より)とても素敵なママ友ですね。そしてそれまでの間、みんさんがほかのママ友からの励ましの声を素直に受け止められずモヤモヤしていた時期があったからこそ、そのタイミングでの涙の理由を考えられたのかもしれませんね。
2021年11月09日最初に「もしかしたら発達障害かな?」と感じたのは小学1年生のころUpload By かなしろにゃんこ。小学4年生のときにADHDと広汎性発達障害と診断を受けた息子のリュウ太。「もしかしたらうちの子って発達障害かな?」と感じたのは小学1年生のころからでした。リュウ太が小学校に入学してすぐに集団行動ができないことで担任の先生から相談がありました。教室が落ち着かなくて机に座っていられずにソワソワしたりイライラして鉛筆をかじってしまうことがあり、鉛筆はいつもボロボロでした。思い返すと「発達障害なのかな?」と感じたことはいろいろとありますが、「ん!?やっぱり変わってるかも」と思ったのはクラスの子とのコミュニケーション。小学校低学年から小5まで、息子は半端なく人づき合いが苦手でした。それはこんなことからでした。相手の反応は気にせず、話し続ける息子Upload By かなしろにゃんこ。息子は学校から帰ってくると「みんな僕の話を聞いてくれない! 無視する!嫌がって文句言われる!」と頻繁に愚痴を言っていました。私は、(この子ってみんなに嫌われているのかしら…?)と思い心配しました。担任の先生からの説明ではこうでした。「リュウ太くんは早口でまくし立てるように話すので相手が圧倒されてしまったり、突然自分が話したい話題を前置きもなしに長く話すので話された子は困ってしまって、逃げてしまうことがあるんです。話したいことをセーブしたり相手の顔色を伺って話すことは、年齢的にもまだできなくても仕方がないのですが、うまくいかないと感じた経験から少しずつ周りの子とのつき合い方を覚えていけるといいですね」担任の先生からそう聞いてから改めて息子を見てみると、相手の反応を見て“今聞いてもらえそうか?話題に興味がありそうか?”などを考えいないようでした。そんな様子を見て「コミュニケーションが下手すぎるな」と感じました。特に低学年くらいの時期はまだ相手の気持ちを尊重してつき合うなどは難しいのかもしれませんが、息子の場合は特に自分の話題やタイミングがまずかったんじゃないかな?と考えずに同じことを何度も繰り返すことが多くありました。それでさすがに「この子は自分以外の人の気持ちや状況を判断する力が乏しいかもしれない、これって発達障害なのかも?」と思うようになりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。こんなことを小3のときに担任の先生に相談した際に「教育相談所にお話ししてみませんか?」と勧められました。そして、市が運営する生涯支援センターの教育相談所に息子と通うことになります。そこから相談員の方に「発達障害の心配があるのならクリニックで検査を受けてみるのもいいですよ」と勧められて、クリニックを受診しました。でも、発達障害があることが分かっても療育が進むわけではなく、息子の人づき合いの苦手感は高学年になっても続きました。Upload By かなしろにゃんこ。周りの子と趣味が合わないことでも浮いてしまいます。複数の子に混ざって雑談の輪に入っても流行りの話題についていけずうまく混じれない。ですので、輪の中でも仲の良い友達とだけ話そうとするので雑談の雰囲気を壊してしまい、結果仲間に入れてもらえなくなってしまいました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。息子に雑談の空気について聞いてみると、一人ひとりの会話を拾って返答することが結構難しかったのだそうです。だから一対一でつき合う関係が楽なんだ、と。趣味の幅を広げられるようになった中2のころからはいろいろな人と話せるようになったと言います。小学生時代は人間関係でつまづいてしまったときに「自分のやり方の何がいけなかったかな?」と考えて、成長するスピードが遅くて失敗続きの息子を見ては心配してハラハラしていました。勉強ができない心配よりも友達とうまくやれないことが一番心が痛かった母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)お子さんが帰ってきて「みんな話を聞いてくれない!無視する!」と訴えたら、とても心配になりますよね。その後かなしろさんは担任の先生のお話を聞いて、リュウ太くん目線の出来事と、周りの子目線での出来事の見え方の違いに気がつかれたのですね。自分の言動に自覚的であることはなかなか難しいので反省して次に生かすことはとても難しいです。そのために、特別支援教室などでは、スキルとして「人の話を聞く」「自分の好きな話をする」ことをロールプレイやゲームなどを通して学び、その後、生活場面での実践へと至ります。さて、お子さんが人づき合いで苦戦しているのを見ているのは保護者としてハラハラしますし、つらくなることもあると思います。お子さんがそのことについて家でこぼした際に、叱咤激励するのではなく、苦戦を労いつつ、「一対一で話すほうが楽」の話のようにお子さんなりの工夫を聞いてみるのはとてもいいですね。お子さんなりに試行錯誤するのを見守るのはハラハラしますが、そうして身につけたスキルは一生ものだと思います(※あまりにもお子さんが苦戦していてつらそうな場合は、担任の先生や教育相談所の方など、教育・心理の専門家にぜひその旨ご相談くださいね)。
2021年11月08日学習障害(LD)/ 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))の治療法・療育法Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン学習障害って治療できるの?治療と聞くと薬物治療を思い浮かべる方もいますが、今のところ手術や薬物などで医学的な方法による根本的な治療法はありません。学習障害における治療とは子どもの将来を広げるための手助けのようなものです。学習障害のある人は多くの場合、教育面・生活面での環境調整や療育といった支援で困難さが軽減されます。学習障害のある人は脳機能の偏りのため特有の見え方・感じ方をしており、生活上や学習上、努力だけで乗り越えづらい困難があります。そのため日々過ごしていく上で、周りからのサポートが必要になってきます。まずは学校や地域の専門機関などの力を借りて専門家チームの検査・評価のもと、子どもの特性を理解しましょう。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。学習障害なのではと感じたらどこへ相談すればいい?専門機関とは子どもの場合、発達障害者支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所などを指します。大人の場合は発達障害者支援センター、障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所へ行ってみましょう。まずは身近な相談できる専門機関に行ってみて、障害の疑いがある場合には専門医を紹介してもらうこともできます。また、家庭での対応も重要となります。子どもへの接し方は、子どものやる気や達成感を養い、うつ病や引きこもりなどのいわゆる二次障害を防ぐ上で大切な役割を担います。学習障害の発見が遅くなったり、誤った障害の理解により「自分は何をやってもできない」と子どもが思い込んでしまうことが原因となり、勉強意欲の低下、不登校などの二次障害と総称される症状や状態を引き起こしてしまう可能性も少なくありません。やる気、達成感を育てることは学習障害の子どもにとって最良の対応法といえるでしょう。学習障害の治療の判断基準は?いつから始めるべきなの?学習障害は知的発達に遅れがみられないことから、発見が難しくなります。そのため、実際に読み書きや算数などの学習が開始される小学校入学後に気づくケースが多くなっています。また英語だけに現れる学習障害の場合もあり、中学進学後に分かることもあります。このように特性のタイプや障害の程度によって症状に気づく時期が異なります。どのような症状があれば治療を行うべきなの?文部科学省の定義によると、学習障害(LD)とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、診断名が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD)」になっています。限局性学習障害の定義では障害内容は「読み」「書き」「計算」の3つに限定されます。このように読みに困難さがある人もいれば、読むことはできても、書くことに困難さがある人もいます。「学習障害」の状態や特性の現れ方は人によって異なります。子ども本人が学習に困難を感じていたり、同年齢の子どもと比べて著しく習得に遅れが見られるなど、子どもの様子から学習障害があるかもしれないと感じた場合は、まず学校や発達障害者支援センター、児童発達支援センター、児童発達支援事業所などで相談してみましょう。その後、専門家の検査により学習障害と判断されてから治療を行うのが一般的ではありますが、医師による診断がつかなかった場合や検査を受ける前であっても、その子に合った環境を整え、学習方法を見つけてあげることが大切です。治療を始める年齢は何歳?治療を終える判断基準は?学習障害があることに気づいたら、すぐにその子にあったサポートを進めることが望ましいです。学習障害にはいくつかタイプがあり、さらに一人ひとり、学習に得意不得意の偏りがあります。また、その人の現在の年齢によっても学ぶ内容は変わってきます。そのため、一人ひとりに適している治療や支援方法は異なると考えることができます。同様に、治療を終える判断もそれぞれです。通常学級で勉強をしながら、理解できなかった部分だけ通級指導教室で個別に指導を受ける方法もあります。学習障害の治療法・療育法早期発見・早期療育が望ましいとされる学習障害ですが、一体どのような治療法、療育法があるのでしょうか。今回はその方法についてご紹介していきます。◆学習障害の療育方法療育とは、社会的な自立をめざしてスキルを習得したり、環境を整えるアプローチのことです。このような療育は、発達障害を専門とする病院や公立・民間の児童発達支援事業所などで行われています。学習障害はその子の認知特性や苦手な部分によって、それぞれ直面する困難や課題が変わってきます。そのため、その子の特性に合わせた学習方法を獲得することが目的となります。療育法にはさまざまなものがありますが、学習障害の療育で最も大切なのは、その人に合った学び方や環境をつくることで、その人が困難を感じている分野に対する苦手意識を解消することです。苦手意識を持ってしまうと、その分野の学習に対して取り組む意欲がなくなり、困難は改善されないまま育ってしまいます。そのため、一人ひとりの子どもの成長速度や学び方に合わせて、できるだけ成功体験を増やしてあげることが大切です。つまり、子ども自身が「これなら学びやすい・学ぶことができる」という方法を探すということです。学校や療育施設などと連携し、学習方法を変えたり、環境を整えたりといった工夫を組み合わせ、さまざまな方法を試しながら、その子に合った学習方法を探していきます。・その子にあった覚え方や学び方を工夫する…クイズにして覚える、漢字のパーツを分けてパズルを作るなど・環境的な配慮をする…プリントはゴシック文字を使う、文字の色を変えるなど・代替手段を使用する…タブレットの音声読み上げ機能を使う、計算機を使うなど言葉や社会性など、それぞれの能力を習得する時期に近い段階で早期に療育を開始することで、障害による困難さが軽減されやすくなると考えられています。一般的に年齢が低い段階で、その子にあった療育を始めると、その後の社会適応力も高くなるといわれています。イラスト/かなしろにゃんこ。
2021年11月06日映画「梅切らぬバカ」のストーリー11月12日に全国ロードショー公開される映画「梅切らぬバカ」。自閉スペクトラム症の50歳の男性とシングルマザーの母子2人の日常を描いた作品。親子の愛情や絆といったテーマに加えて、障害のある人が地域の中で暮らすということについても考えさせられる映画です。閑静な住宅地、大きな梅の木がある古い一軒家に暮らす、山田珠子(加賀まりこ)と50歳の息子、山田忠男こと忠(ちゅう)さん(塚地武雅)。珠子は占い師として生計を立てるシングルマザー、忠さんは自閉スペクトラム症、几帳面で馬が好き。毎日決まった時刻に起き、朝食をとり、作業所に通う忠さんと母の穏やかな暮らしに、変化が訪れる。隣家に越してきた里村家は、思い付きで行動しがちな父・茂(渡辺いっけい)、明るい母・英子(森口瑤子)、小学生の草太(斎藤汰鷹)の3人家族。あるとき、忠さんがぎっくり腰になったことを機に「親なきあと」を考えた珠子は、忠さんをグループホームに入居させることを考え始める。ところが、そのグループホームには、近隣からの反対運動が起こっていた――。タイトルは「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」ということわざから。木によって剪定のしかたが違うように、それぞれの人の特性によって向き合い方があるという意味。映画「梅切らぬバカ」オフィシャルサイト障害者の側と、その近隣の人々、両方の視点を同時に描くUpload By 発達ナビ編集部映画「梅切らぬバカ」監督・脚本の和島香太郎さんと、息子役の「忠(ちゅう)さん」を好演した塚地武雅さんに、LITALICO発達ナビ編集長・牟田が、この映画への思いを伺いました。LITALICO発達ナビ牟田暁子編集長(以下――) はじめに、この映画を撮ろうと思われたきっかけから、教えてください。和島香太郎監督(以下、和島):数年前、障害のある男性の一人暮らしを描いたドキュメンタリー映画に、編集として携わっていたことがこの映画を撮るきっかけになっています。そのドキュメンタリー映画では、主人公の男性は広汎性発達障害(※)と診断されていて、親御さんが残された家に一人暮らしを続けていました。福祉のサービスや親族の助けを借りて、どうにかギリギリ自立生活をされている、その様子を記録したドキュメンタリーでした。編集をするということは、すべての撮影してきた素材映像を確認することになります。その男性と近隣住民との関係がよくなかったために、画面上に近隣住民が映らないように編集する作業もありました。最初はあまり気にしていなかったんですが、こうせざるをえない状況があるんだな…と思うようになっていきました。そのドキュメンタリーの完成後、主人公の彼がおかれた状況を知ってもらうために、近隣の人たちに見ていただく機会があり、そのあとに長い手紙をもらいました。内容をまとめると、「障害者を肯定的に描きすぎているんじゃないか、近所に住む者としては彼の言動によって不安な思いもしている、憤りもある」というようなことが書かれていたのです。私たちが撮影を通じて見ていた彼は、とてもユーモアのある、やさしいおじさんでした。でも、近隣の人にはまた別の視点がある。そこまで全部ひっくるめて描くことができたら、と思ったんです。ただ、ドキュメンタリーでは近隣の人たちにカメラを向けることができない。フィクションであればできるかもしれないと、脚本を書いたのです。※編集部注:診断当時の名称。現在は自閉スペクトラム症と称される――ハッピーエンドになりすぎない、救いのない感じでもないという絶妙なストーリーですが、そこも意識して脚本を書かれたのでしょうか。和島:取材する中で、自閉症のある方のお母さんにもたくさんお会いして、いろいろなお話を伺いました。こういう題材を扱った映画において、奇跡が起きたり、ハッピーエンドだったりすることに違和感を持たれている方も少なくありませんでした。問題の解決を描くことは映画を観に来た人に気持ちよく帰ってもらうためなのかもしれません。けれど、現実ではギリギリのところで心の折り合いをつけながら、暮らしている方々がいます。その姿を映画のために歪めないことを意識して、悩みながら、着地した脚本になります。最初から最後までフラットに忠さんとして演じたUpload By 発達ナビ編集部――塚地さんは、監督のそうした思いをどのように感じられていましたか?塚地武雅さん(以下、塚地):完成した台本を見せていただいたときに、監督が言わんとしていることが詰まった内容だと感じました。大きく奇跡が起こるということではなく、日常を切り取った話だけれど、「あ、私も考えなきゃな」と思えるような脚本でしたね。僕自身は、身近に障害のある方がいるわけではありません。子どものころには、たとえば、同じバスに自閉症の方が乗ってきたときに、ちょっとこわいと身構えたこともありました。だから、映画で描かれている近隣の人たちの気持ちもわかるんです。実際のグループホームを見学したり、監督からいただいた多くの資料映像で家族の方々の姿を見たりするうちに、「こわい」存在ではないとわかってきます。でも踏み込まないとわからないとも感じています。――忠さんを演じてみて、どんな感じでしたか?塚地:ほんとに最初から最後まで変わらずに「忠さん」として、演じていたんですよね。通常の映画やドラマでは、クライマックスに向けて気合を入れて演じる場面があるというか、「ここで感動してもらおう!」というスイッチを入れるところがあるんです。でも今回、そうしたことは一切なく、フラットにただ忠さんとして演じられたのは、脚本に深みがあったからだと思っています。――たしかに自然でした。がんこな忠さんの心が少しずつ落ち着いていく様子が見られますが、そのあたりも自然でリアルだなと思いました。障害者を見る大人の視点が子どもたちに与える影響も気になるUpload By 発達ナビ編集部――監督は、この作品を撮るにあたって、新たに意識した社会課題などはありますか?和島:作品の中でも少し触れているんですが、大人が子どもたちに与える影響について考えますね。新たに施設をつくるときの反対運動で、反対派の人たちは「子どもたちの安全を守らなくてはならない」と主張します。そのときに、じゃあ当の子どもはどう思っているのか、ということは見えてこないんですね。もちろん、大人たちは本気で、子どもを守るという切実な思いをもっているでしょう。でも、子どもたちからすると、自分たちの存在が差別行動といわれてもおかしくないことの口実に使われている、と感じることもあるんじゃないかと思うときがあります。偉そうなことはいえないけれども、こうした行動が、子どもに与える影響について考えてしまうんです。子どもは意外と冷静に大人たちのことを見ています。映画で描いた草太みたいにフラットな視線の子もいる一方、そうではなく偏見を強める子も出てくるかもしれない、そこが気になっています。――私の娘は重度の障害がありますが、保育園時代の友だちは、娘のことを友だちとして自然に受け入れていました。ですが周りの大人から「あの子と一緒にいると危ない」と言われていたら、「あの子は危ない子だ」とインプットされてしまうかもしれませんね。愛される存在として描かれた「忠さん」Upload By 発達ナビ編集部――ところで、撮影した中で、塚地さんにとって印象的だったシーンは?塚地:乗馬クラブでの馬とのシーンですね。なにしろ、馬ですからねぇ(笑)、なかなか思った通りに動いてくれなくて。びっくりして逃げてほしいところで逃げなかったり、違うところでびっくりして興奮がおさまるのを待ったり、一筋縄ではいかなかった!しかも、雨の夜で、肌寒い時期に僕はパジャマ姿だったし…、このシーンの撮影は朝までかかるかもしれないと思っていました。――(忠さんになり切って演じていたとおっしゃっていましたが)馬に「想定通りに動いて!」と思ったりする瞬間も、忠さんとして見ていましたか?塚地:撮影中はもう考えないようにして、忠さんとしては楽しい状況なんだから、忠さんとして楽しもうとしていましたね。自分の撮影ではないときに、馬に「(走り出すのは)そっちじゃない!」と言いたくなったりはしましたけど(笑)。――自分とは世界のとらえ方が異なる、自閉症のある人を演じるむずかしさは、どんなところにありましたか?塚地:感情の表現です。忠さんの表情って、赤ちゃんのような喜怒哀楽なんです。うまくいかないこととか、責め立てられたことに対して怒りや憤りの感情が自分に向かうことが自閉症の方には多いと伺いました。そこはリアルに演じないとならないから、自分で自分を叩き自傷するシーンでは本気で叩きました。でもね、映画ですから何カットも撮り直しするわけでね…痛いんですよ(笑)。だけど忠さんになっていると、手が抜けないから本気で叩く。監督が納得できる絵になるまで叩き続けたのは大変だったなぁ。――演じることのプレッシャーはなかったですか?塚地:めちゃくちゃありました。実際に自閉症のある子どもがいらっしゃる親御さんから見たら、全然わかってないと言われる可能性は大きいし。今も、公開されてからどう思われるか不安ですよ。僕自身がお笑い芸人で、素性も知られているじゃないですか。もしかしたら、まったく知られていない新人の俳優さんが演じたほうが、リアルに感じられるかもしれない。そういう意味で、僕でいいのだろうかという不安はありました。でも、監督からぜひと言われた熱意や、こうした作品を撮りたいという気持ちを聞かせていただいて、本気で、全力で僕のできる限りで演じ尽くした、というところです。――監督、どうしても塚地さんに演じてほしかったのは、どういうところからですか?和島:取材をしていた中で、ダウン症のあるお子さんを育てるお母さんの話を聞いたときがあったんですね。その方は、「息子にはこの町の有名人になりなさい、と言い聞かせて育てた」とおっしゃっていました。それは、この町の中で生きていくために、この町の人たちに存在を認められて愛される人になりなさいということ。それを聞いて、忠さんは愛される存在であってほしいと思い、風貌や表情のイメージから、パッと塚地さんが浮かんだんです。塚地さん、愛される方ですよね。――愛される存在、ほんとにそうですね。私が自宅でオンライン試写を見ていた時に、隣にいた(障害のある)娘が興味津々で忠さんのことを見ていましたよ。娘が通っている特別支援学校には自閉症のあるお友達もいるので、「あれ、友だちかな?」と思っていたのかもしれません。いつもはドラマなんかには興味がないようで全然みないんですが、この映画は集中してよくみていましたね。塚地:そうなんですか!それはほんとに、よかった。ホッとしました(笑)。異なる立場の人たちの目線が少し変わって、歩み寄るきっかけになればUpload By 発達ナビ編集部――最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。塚地:自閉症のお子さんをもつ方々に見ていただいた時に、少しでも肩の荷を下ろしてもらえるようなところがあるとうれしいです。ストーリーは架空だけど、嘘を描いているわけではないと思っています。また、障害のある方が身近にいらっしゃらない方には、こういう実情があるということを知ることで、少しでも目線が変わればいいなぁと思います。この映画は、映画の中だけのストーリーというより、むしろ見終わって劇場を出たときに広がっている日常の世界にある身近な話。私自身も、独身の中年男性という状況は忠さんと同じです。「およめさん、もらいます」と言っている忠さんの気持ちもわかるので(笑)。映画を見たことが、誰かにやさしくなれるきっかけになってほしいと思います。和島:私自身、てんかんの持病があって、「ぽつラジオ」というインターネットのラジオ番組をつくっています。その中で話題になるのが、病気の開示。偏見を怖れて伏せがちなてんかんという病気を、周囲の人、学校の友達、勤務先、近所の人に対してどう開示していくか。てんかんがある人の中には車の運転が制限される方もいるので、地方に住んでいる場合は、どうしてもお隣さんの力を借りなくてはならないということもあります。病を開示したうえで、どう周りとかかわるかが課題なんです。「梅切らぬバカ」の中では、病や障害を通して、身近な人とうまくいかないこともあるけれど、少しずつ少しずつ歩みよっていくプロセスみたいなものを、自分なりにこだわって描きました。特にお隣さんとの関係に注目してしていただきたいです。冒頭とラストで登場人物に小さな変化が起きています。――私も自分の子どもには、地域の中で生きてほしいと願っています。親子や、先生と子どもという縦の関係、あるいは子ども達同士という横の関係だけでなく、地域の中に、さまざまな立場の人との「斜めの関係」が欲しいと思っています。そうした思いにも通じる映画だなと感じました。またこの映画は、塚地さん、そして加賀まりこさんという誰もが知る俳優の方が演じる映画ですので、身近に障害がある人がいない方にも興味を持っていただける機会となるのではないかと思います。お話を聞かせていただきありがとうございました。『梅切らぬバカ』上映情報Upload By 発達ナビ編集部11月12日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー都会の古民家で暮らす自閉症の息子と母。息子が50歳を迎えるのを前に、母は「このまま共倒れになっちゃうのかね?」とつぶやきます。障害のある人に不寛容な社会の中であっても、寄り添いながら暮らす母子の姿を温かく誠実に描いています。一人ひとりと誠実に向き合う中で、小さいけれど確かな未来への希望が生まれていく様も感じさせてくれる作品です。監督・脚本:和島香太郎出演:加賀まりこ、塚地武雅渡辺いっけい、森口瑤子、齋藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子配給:ハピネットファントム・スタジオインタビュー:関川香織(K2U)撮影/古谷利幸(F-REXon)
2021年11月05日「得意」「苦手」「好き」「嫌い」を知っていく発達障害のある子には、さまざまな特性があります。多数派である定型発達の子どもとは、いろいろな違いがあります。親や先生が、子どもの「得意なこと」「苦手なこと」「好きなこと」「嫌いなこと」などを一般常識にあてはめないで、ありのままに理解していくことが大切です。そうすることで、子どもの育っていく道すじが少しずつ見えてきます。また、子どもが自分自身を知っていくことも大切です。子どもが自分の得意や苦手、好き、嫌いを知って、どんな活動にどんなやり方で取り組むのかを、自分で判断できるようになっていく。そして、苦手なことや嫌なことを避けられるようになっていけたら、その子は自分らしく、無理をしないで生きていけるようになるでしょう。「苦手なこと」「嫌なこと」から全力で逃げ回っていい子どもが苦手なことや嫌なことを避けようとすると、まわりの大人から「これくらいのことは嫌がらずにやりなさい」と言われるかもしれません。ただ、発達障害のある子には、本人の努力だけでは「これくらい」ができないこともあります。「努力で困難を克服する」という価値観を押しつけられると、それが達成できなかったとき、自信を失ってしまうこともあるでしょう。私は、発達障害のある子は苦手なことを押しつけられたら、全力で逃げ回ったほうがいいと考えています。他人の基準に合わせて、無理に努力することに時間を使うのはやめて、堂々と逃げましょう。苦しんで傷ついて自信を失うよりも、苦手なことはサポートしてもらって、得意なことや好きなことで活動を広げていくほうが、はるかに有意義です。そのほうが多くのことを学べると思います。「その子らしく」育っていける道すじを探す親が子どもに対して「苦手なところを克服させたい」「平均値に近づけたい」と思っていると、その子は苦しみます。どの子にも苦手なことはあり、克服できない部分はあるからです。克服できない部分が残ったとき、子どもは多くの場合、親の期待に応えられなかった自分を責めます。そのような雰囲気のなかでは、自己肯定感はなかなか育っていきません。世間の基準に合わせて子どもを追い立てるのではなく、子どもがその子らしく育っていける道すじを探すようにしましょう。発達障害のもともとの原因は育て方ではありませんが、私は、発達障害のある子の生活は、育て方によって大きく変わっていくと考えています。子どもがどんな大人になるのかは、育て方次第という面も大きいのです。発達障害のある子の育て方、3つのポイント出典 : さて、ここからは発達障害の子の育て方で大事にしたいポイントを3つ、お伝えしましよう。1.#グレーとは白ではなくて薄い黒1つ目は、「グレーとは白ではなくて薄い黒」です。これは私がつくった川柳で、最近、この川柳をいろいろなところで読み上げています。発達障害のある子に、定型発達の子どもたちと同じように行動することを求めてはいけません。じつはこれが、発達障害のある子を育てるときの大原則の一つなのです。とても大事な視点で、多くの人に拡散していただきたいと思っているので、ハッシュタグ(#)をつけてみました。発達障害は、生活上の支障につながることもあれば、そうではないこともあるという白黒つけにくい障害です。本人や家族が、発達障害を「色」の濃い障害というよりは、白に近いグレーな障害のように感じている場合もあるのではないでしょうか。発達障害はさまざまな行動特性として現れますが、そのような行動が、対応次第で軽減することもあります。すると対応を続けるなかで、本人や家族が「いつかは白くなる(=発達障害の特性がなくなる)のでは?」と感じることもあるかもしれません。しかし、すでに解説した通り、困難が軽減しても、特性がなくなるわけではありません。どんなに薄いグレーに見えていても、それは白ではなく、薄い黒です。発達障害の特性がある場合には、それを「薄くなっていって、いつか消えるもの」としてではなく、「どんなに薄くても、ずっと残るもの」として理解することが大切です。2.「せめてこれくらい」はNGワード2つ目は、発達障害のある子に「せめてこれくらいは、できるようになってほしい」と言ってはいけないという話です。子どもに苦手なことやできないことがあると、親はその子の将来を心配するものです。うまくやれとは言わないけれど、「せめてこれくらい」はできるようになってほしい。そして、たいていの場合、親はわが子に「平均値」や「平均より少し低いくらいの出来」を期待するでしょう。それでは「白」を目指す育て方になってしまいます。心配や期待をこめて「せめてこれくらい」と願うのではなく、「この子はどんな特性なんだろう?」と考える。そして、その子に合った育て方に切り替える。発達障害のある子を育てていくなかでは、平均に近づける「せめてこれくらい」という意識からの切り替えが必要になります。3.「友達と仲良く」と言ってはいけない3つ目もNGワードです。発達障害のある子に「友達と仲良く」と言ってはいけません。発達障害のある子のなかには、親に「友達と仲良く」と言われると「仲良くしなければいけないんだ」と思って、なにをするにも百歩譲って相手に合わせようとする子がいます。興味のない活動でも、苦手なことでも、友達と仲良くするためにがまんしてやらなければいけないと思い、過剰適応する子が出てくるのです。それではストレスをため込んでいくことになります。子どもに声をかけるなら、「楽しんでおいで」と言って背中を押しましょう。発達障害のある子には興味の幅が狭い子もいます。まずは活動を自分のペースで楽しめるようにしましょう。好きなことを楽しんでいるうちに、結果として誰かと仲良くなれることもあります。世間一般の基準に合わせて、無理をさせてはいけない育て方の3つのポイントをお伝えしましたが、どのポイントも方向性は共通しています。1は多数派に合わせない2は平均値に合わせない3は友達に合わせないどのポイントも、「発達障害のある子に世間一般の基準に合わせることを求めて、無理をさせてはいけない」ということを言っています。この3つは、発達障害の特性があっても子どもがのびのびと育つために必要なポイントとして、親御さんや支援者の方たちの心に留めていただけると幸いです。
2021年11月05日「ほしい!あったらいいな」を1,100人がチョイス!第3弾のスタートは、ユーザーのみなさまから普段の困りごとを伺ったお声をもとにフェリシモのプランナーが出した21のアイテムから『あなたの「ほしい!あったらいいな」はどれ?』を「みんなのアンケート」で選んでいただきました。1,100人を超える回答をいただき、「1つに選べない」「みんなほしい!」とのお声も。その結果は…【発達ナビ×フェリシモ】あなたが欲しいものはどれ?発達障害フレンドリーなグッズづくり第3弾!人気の高かった順に、次の5つに商品化アイテム候補を絞りました。1.椅子の姿勢崩れを防ぐ「両面滑り止めつきクッション」(19%)2.感情コントロール苦手さんのための「感情コントロールレッスンキット」(8%)3.“1人になりたい”がかなう「室内テント」(8%)4.勉強道具もゲームも持ち運び「お片づけ収納ラック」(6%)5.曜日ごとのルーティンワークが一目瞭然「1週間ToDoリスト」(5%)仕様はどうする?追加アンケートでさらに調査を進めます5つのうち、「姿勢崩れを防ぐクッション」と「お片づけ収納ラック」は商品化決定!モニターをお願いしながら開発を進めていくことに決まりました。のこり3つのアイデア「1週間ToDoリスト」「感情コントロールキット」「室内テント」については、フェリシモプランナーも迷うところ…。さらに追加アンケートを実施し、くわしい質問で具体的な仕様を検討していくことに。ほしい機能として、前回の「タスクチェッカー」のように「完了できたかどうかチェックできる」と、「時間割のように一覧できる」の「どちらもほしい」というご意見が41.2%と圧倒的でした。具体的には、怒りを発散してコントロールするための「握るアイテム」と、感情の種類や度合いを表現する「コミュニケーションカード」に大人・子どもの当事者共に、人気が大きくが二分されました。遮光や防音機能のついたしっかりと空間を遮断できる仕様のものがニーズが高い結果になりました。開発する3アイテムが決定!「姿勢崩れを防ぐクッション」と「お片づけ収納ラック」に加え、追加アンケートの3アイテムからは「1週間ToDoリスト」を開発することに決定しました!1,100人のご意見から選んだ、3つのアイテムを進めていきます。アンケートへのご協力、ありがとうございました。体感覚がつかみにくく、姿勢をコントロールするのが苦手な方でも、体勢をととのえやすくなるクッションを開発中です。全体の約19%(220名)の方に選ばれた『椅子の姿勢くずれを防ぐ!「両面滑り止めつきクッション」』には、さまざまなお声が寄せられました。<寄せられたお声>・いろいろ姿勢矯正クッションを使ったけど、ずれてしまうので、両面ズレ防止に期待したい・成人当事者なのでオフィスでも使えるものだとありがたい・学校にも持って行けそうな、シンプルなデザインのクッション希望です開発のポイントは、クッション両面でしっかりお尻が滑らないように留めるズレ防止。お子さんはもちろん、大人も普段使いできてかつ、シーンを選ばずに使えるデザイン。さらに重要と考えたのは、滑りやすいスカートをはいているときや、集中できずに気が進まない何かをやらなければならないときも、がんばって座っているのに「だらしない!」と怒られたり、怒ってしまったりしないようになることを目指しています。座っているときは何かに意識が向かってしまうことから、体幹に意識を向けるのが難しい。そんな人たちに向けて。自分で、もしくは保護者さまの声がけですぐに姿勢のポジションを変えられるように、お尻だけでなく、足元にも注目して企画開発を進めています。現在このアイテム開発のモニターをしてくださっているのは、「発達ナビ」で人気のコラムライター「ひらたともみ」さん。学童を運営されているそうで、数名の小学生のみんなにも使ってもらいながら、形を少しずつ決定しています。ひらたともみさんのコラム記事はこちら!前回「こまごましたものを仕切りとアイコンでわかりやすくまとめられる」と好評いただいた「ひとまとめで整理らくちん 取り出しやすいお道具箱」。企画のアンケートで「どこで使いたいか」いう質問に、「おうちの中で部屋を移動して持ち歩きたい」の声が多かったので、今回、「さっとまとめて部屋移動が楽なラック型の収納」をつくることにしました。Upload By 発達ナビ編集部勉強やお仕事を中断して食事やエアコンのある部屋に移動する際など、さっと片づけたいとき、中身が見やすい仕切り付のラックで失くしものや探しものを防いでスムーズに再開できるといいなと考えました。色柄については、「デスクパーテーション」のアンケートで要望の多かった、気持ちが落ち着くライトグレーッシュとインテリアになじむ白木をイメージしたカラーで展開します。現在このアイテム開発のモニターをしてくださっているのは、「発達ナビ」で人気のコラムライター「丸山さとこ」さん。お子さんとご自身にサンプルをモニターしていただいて、ご意見をいただきながら開発しました。丸山さとこさんのコラム記事はこちら!Upload By 発達ナビ編集部1週間分の「ToDoリスト」が一目瞭然!毎日のルーティンワークで忘れがちなことをリスト化して、「やること」「やったこと」を可視化して完了できたかどうかがひと目でわかるボードを開発中です。絶対に忘れたくない「薬を飲んだか」や「忘れ物チェック」としても使え、さらにはゴミ出しや習いごと、お弁当が必要な日など、家族ごと・曜日ごとに違ったスケジュールで混乱しがちなことも、ボードがあれば家族に共有できる”コミュニケーションボード”になるような商品を目指しています。<アンケート結果>・自分や家族が共有しやすいおしゃれなボード…41.8%、・1週間分のToDoが書き込めて、「完了」がひと目でわかる…20.9%Upload By 発達ナビ編集部また、アンケートに答えてくださった〈388名〉の内、大人が使いたいと答えた方〈41名〉、お子さんが使いたいと答えた方〈134名〉、家族みんなで使いたいと答えた方〈174名〉と、約半分の方が「家族みんなで使いたい」というアンケート結果に。<寄せられたお声>・小学生へ行くときの持ち物や、仕事の予定や帰宅時間など家族で共有したい・書き込んだものが消せたり、シールを貼ったものが剥がせたりして、内容を変えて繰り返し使えるようにしてほしい・小さな子や発達障害のある子は絵の方が分かりやすいからリストを絵にしてほしい・親同士の仕事の動き方の共有や、子どもが見通しを持って1週間を過ごすためにほしい・親に言われてやるのは嫌がるけど、自分で進められないので、自発的にできるように毎日のやることに使いたい・子どもの生活スケジュールや勉強のサポートに使いたい忙しいながらも、お子さんの毎朝の準備などの声かけをしている方や、お子さんから進んで自分の支度ができるようになってほしい方に向けて、「お子さんにも使いやすい」ボードになるような仕組みを取り入れるよう検討中です。具体的には、誤飲などの安全面を考え、細かいパーツが出ない仕様にしたり、ワンタッチで簡単に操作でき、動かすと変化がでるような仕組み、イラストを描いて分かりやすくアレンジしたりなど小さなお子さんが使いたくなる仕様を目指しています。また、発達障害のある大人や、普段から忙しく忘れがちなこと、忘れっぽい方にも「大人が使いやすい仕様」や、インテリアになじむデザインにも視点をあてて開発中です。現在このアイテム開発のモニターをしてくださっているのは、「発達ナビ」で人気のコラムライター「寺島ヒロ」さん。実際に家族3人でリアルに使ってもらいながら、お声を反映してより使いやすくなるような仕様に調整中です。寺島ヒロさんのコラム記事はこちら!第3弾の新アイテムは、2022年1月中旬に発売予定!新アイテムは、2022年1月に発売予定です。商品開発やモニターに関わっていただいた3名のライターさんによる、リアルな感想や使い方をご提案いただく楽しいコラムも順次公開します。お楽しみに!
2021年11月04日理屈では分かっているけど「ついやっちゃった」…!?Upload By 丸山さとこいろいろな経験から成長していく子どもの姿は、ときにもどかしくも嬉しいものです。児童精神科医の三木先生にお話をうかがっていく中で、経験から学習していくためには「問いを立てる力」や「振り返り」が大事なのだということを学んでいきました。以前のコラムでは、三木先生から「丁寧に構造化してフィードバックしていけば理解ができるお子さんのようなので、それは凄くよかったですよね」とあたたかいコメントをいただいた息子のコウですが、構造化やフィードバックを行うにあたって衝動性の高さが壁になりやすい現状があります。理屈では理解していることでも「ついやっちゃった」「何となく」と衝動性で動いてしまうことが多く、振り返りをするときは「分かんない…気がついたらこうなってた…」と言って考えが止まってしまうこともしばしばです。今回は、そんなコウの衝動性の高さに対してどう捉え、どう対処していったらいいのかを三木先生にうかがいました。丸山(以下、――)理解できたとしても衝動性に負けるというパターンがあって、今のところ「失敗させずに成功例を数多く積ませる」というのが効果的なようです。息子には「旨味を得たければ、手っ取り早く解決しようとせずに正攻法でいった方がいいよ」と伝えてはいるのですが、『面倒だから』『その方が手っ取り早いから』という気持ちの方が強く出るようです。Upload By 丸山さとこ――例えば…子どもが親の目を盗んで(ルールを守らずに)ゲームをすること自体は珍しくもないことだと思いますが、それはバレない算段があるからできることですね? アプリでゲーム機の使用状況が分かるわが家では「親に隠れてこっそりと」は成立しませんし、息子もそのことは分かっているので我に返ったときは後悔しますが、喉元過ぎれば…という状態が長く続きました。息子が「今日は調子がいいから(衝動的な行動を)我慢できそう!」と言う日はリビングにゲーム機を置いて、息子が「今日リビングにあったけど触らなかったよ!」と自慢をしてくるのを「約束守れたね」と褒める…ということを、少しずつ引き延ばしていって。今はリビングにゲーム機があっても勝手に触らないことがほとんどですが、たまに無断使用はありますし、約束の時間を過ぎることもあります。三木先生:ふむふむふむ。――ルールを守らなかったときは、「ルールは守らなくてはいけないね。どうしたらよかったのかな?」「何でやっちゃったんだと思う?」という感じで話をしています。「見えたからよくなかったんだと思う」と言う息子に「何かお母さん協力できることある?」と聞くと、「預かってほしい。なかったら触らないから」と言ったりするので、そういうときは、「預かる」という体で実質取り上げている状態になることもあります。Upload By 丸山さとこ――衝動性とのつき合い方の1つの方法としては、まず「今飲んでいるADHD治療薬を今後も飲み続け、年齢に合わせて増やす」「ほかの薬を試してみる」などの選択肢があると思いますが、服薬以外のアプローチとしてはどのようなものがあるでしょうか。息子が衝動性とつき合って行くためには、どのようにしていったらいいのかも知りたいです。衝動性に対しては、「前頭葉の発達待ち」が基本!?三木先生:いやーなんか、衝動性って本質的にはもう、前頭葉の発達待ちみたいなところがあると思うんですよね(笑)。なので、それを待つしかないよねっていうところと、あと、あんまり生活に不具合をきたすようだと、内服も検討しましょうかという話になってくるかな…。――『トイレトレーニングは膀胱の発達を待ってから』みたいな話になってきますね…。Upload By 丸山さとこ三木先生:そうですねえ。あとはまぁそれに加えて、見通しが立てられるタイプのお子さんだと、利害をできるだけ計算するようにする。ただそこで、未来の価値を過小評価するっていう「時間選好性」の問題が出てきます。これが衝動性の本質だと思うんですよね。そうなると、そこの割引率(過小評価をする程度)ってあんま変えられないんですけど、”未来にあるメリット”をできるだけ多く数え上げられるように、普段から思考するというか…まぁそういう思考になるように一緒に考えていくとかですかねえ。Upload By 丸山さとこ三木先生:あとはもう仕込みですよね。衝動的に行動しないように、目の前の刺激をできるだけ少なくするような環境調整を自分でするように、普段から心がけるという仕込み。――あぁー、じゃぁその「お母さんゲーム機を預かって」というのも、環境調整を自分で行うことのひとつでしょうか?三木先生:そうですね、それいいですね。衝動性の誘引になるものを、自分の環境から積極的に取り除く行動を自分でとるのはとても良い方法です。それは、問題を気合じゃなくて仕組みで解決するための環境調整を自分でやるということですよね。三木先生:そのほかの視点としては、価値観と文化の話みたいなのがあると思うんですけど、結局大人だってお菓子食べたりゲームしたりとかは、まぁある程度しょうがないなと思ってるから、子どももやる訳じゃないですか。もしそれが「死ぬほどまずいぞ」となったら多分みんなやらないと思うんですよ。それをやらない方がお子さん自身にとって価値が高いという判断になるので。――そのはずですが…息子がゲームに初めて出合ってしばらく2、3年の間は本当に凄くて。親がトイレへ行くとか台所へお湯を沸かしに行くとか、そういうレベルの『絶対に短時間で戻ってくることが分かる状況』であっても、視線が外れた瞬間に手を伸ばす時期があったんです。それで一瞬ゲームができたとしても、使用制限で最終的には損をすることは理解しているので、「やるんじゃなかった」とよく泣いていました。三木先生:それは、見通しがちょっと…いや、大分甘かったんですかね?――いえ、なんかもう…「『ゲームだ!』『あっ、できる!』って思った瞬間、それで頭がいっぱいになっちゃった。何も考えてなかった」と息子は言っていて。Upload By 丸山さとこ――先程お話した通り、ゲームに関しては以前よりも落ち着いている今現在の息子ですが、根本的にこの”衝動性の問題”は、ずーっとあるのだろうなと感じています。なので、親がどうサポートしていけばよいのかということだけでなく、”本人が自分の衝動性と今後どうつき合っていくとよいのか”というのも気になるところです。前頭葉の発達を待つ間に「衝動性のまま動いたら旨味がある」と強烈に刻み込まれてしまうと、後々訂正するのが難しいのではないか?というあたりも気がかりで…。発達待ちの期間をどうしのいでいったらいいのかな?と思います。三木先生:それは、少し前に出た、本人の今の理解がどのくらい分かるレベルなのか、できるレベルなのか、というのが判断の基準になると思います。親が介入すべきポイントって、結局実害が起きるときだと思うんですよ。特に、長期的なダメージがあるようなトラブルが起きるとき。なので、そこは僕は遠慮なく介入していいと思うんですよね。ただ、その方法は表面の年齢に合わせてっていうのはさっきの話と同じで…そこは親の仕事ですね。うちって厳しすぎ?子どもに対する”制限のかけ方”で迷っています――うちは”罰やご褒美がない代わりに制限がある”というシステムになっているのですが、息子にはその辺りをある程度率直に話しています。「包丁を安全に使えない子にいきなり包丁を使う料理はさせられないし、道路に飛び出しちゃう子は一人で公園に行かせることはできない。いろいろなことを経験するのは大事なことだけど、親としては死ぬような大ケガはしてほしくないから」と。Upload By 丸山さとこ――それで「成人までは、親が『今のあなたでは危ないな』と思ったことに関しては『これは渡せないよ、やらせられないよ』ってものが出てくるけど、そこは成人までの我慢だと思ってある程度ご了承いただきたい」とお願いしていまして。三木先生:そうですね。まぁ実際には成人してからも若干続くことはあるんですけど(笑)。一応目安としてはそう伝えたいですね。――はい、若干続くことはあるそうですね(笑)。だからこそ、年齢が進むほど、一般的な目線から見れば『子どもの年齢に対して妙に制限の厳しい親』と見えるのではないかという落ち着かなさや、実際に制限が厳しすぎるのでは?という不安はあります。なので、息子には「親という越権行為をある程度はご了承いただきたい」とお願いしています。三木先生:あ~、うん。全然いいと思います。――具体的には、息子は片付けが苦手なので「15分以内に片付けられる量まで出しているものを減らそう」というルールを決めているのですが、それも11才になった子に厳しすぎるかな?と迷いがあります…。三木先生:うーん…僕は別にいいんじゃないかなーと思うんですけどね。コウと接する毎日の中で、”子どもに対する制限のかけ方”について『過剰に厳しくなってはいないか?息子を萎縮させてしまってはいないか?』と悩むことは多く、三木先生に「全然いいと思います」とお答えいただいても、すんなりと飲み込めない気持ちがありました。そんな私に、三木先生は”親が介入すること”についての考えを話してくださいました。Upload By 丸山さとこ――ある程度の枠がないと息子も混乱したり崩れたりしやすいので、必要性にせまられてというところはあります。でも、世間から「そこまでガチガチに管理するの?支配的過ぎない?」と引かれる程の状態になってはいないだろうかと揺れる気持ちもあります。三木先生:うーん…それはでも、年齢標準から考えてということなので、「〇歳だからこれは自分でできないといけない!」という考え方って、それがちゃんとできる標準的な子であるという前提があってこそじゃないですか。実際問題として、本人の発達の程度としてそれができないのであれば、ある程度大人がサポートするのは僕はしょうがないと思うんですよね。極論なんですけど、アルコール依存症の人をアルコールから隔離するのと同じですよね…。――あー、分かります…。本人がコントロールできない衝動を、環境によって助けていくというところが同じ形だなと感じます。三木先生:だから、あんまり僕はそこ気になんないですねえ。まぁ僕はやや「親の介入があってもいいと思う派」だっていうのはありますが、ちゃんとする、カチっとすることはしていいと思います。大人として世の中に放って大丈夫にするために、先にちゃんと枠を提示しておく…みたいな。場合によってはある程度一方的であってすらいいと思うんですけどね。「アカンもんはアカン。理屈やない」っていう部分というか。関係性にもよりますけど、「この人が言うんだったら」という関係で、ここぞというときだったらいいと思います。本当に大切なことなのに、大人が怯んで譲ってしまう方がまずいと思うので。衝動性の強さに対してどう接していくのか、指針が見えてきました。毎日の生活の中で息子のサポートやケアに追われていると、「どう接するとよいのだろうか?」という迷いはありつつも、立ち止まって一つひとつ考える時間が持てなくなるときがあります。そんな中、発達障害のある子どもの症例に多く触れていらっしゃる三木先生からアドバイスをいただいたことで、「衝動性の強さに対してどう接していくのか」について指針が見えてきました。未来の価値を過小評価する性質について、”割引率”はあまり変えられないものと理解したことで、具体的なサポートの仕方も見えてきたと感じます。「未来にあるメリットをできるだけ多く数え上げられるように」サポートしつつ、コウ自身も、少しずつそれらを自力で数えられるようになっていけたらいいなと願っています。執筆/丸山さとこ
2021年11月04日老いゆく母と、自閉症の息子が、地域との交流を通じ、自立の道を模索する姿を描くーー加賀まりこ・塚地武雅出演 映画『梅切らぬバカ』シネスイッチ銀座ほかで2021年11月12日(金)より公開Upload By 発達ナビニュース障害のある子の家族は、「親なきあと」わが子が自分らしく幸せに暮らしていけるだろうか、という悩みを心のどこかに常に抱えているのではないでしょうか。映画『梅切らぬバカ』で描かれるのは、自閉症の息子と母の毎日。都会の古民家で暮らす二人ですが、息子が50歳を迎えるのを前に、悩んだ末に息子のグループホーム入居を決めます。障害のある人に不寛容な社会の中であっても、寄り添いながら暮らす母子の姿を温かく誠実に描いています。一人ひとりと誠実に向き合う中で、小さいけれど確かな未来への希望が生まれていく様も感じさせてくれる作品です。発達ナビでは、映画『梅切らぬバカ』監督の和島香太郎さん、自閉症のある息子を演じた塚地武雅さんにインタビューも行いました!インタビューコラムは、近日公開予定です。映画『梅切らぬバカ』監督・脚本:和島香太郎出演:加賀まりこ、塚地武雅渡辺いっけい、森口瑤子、齋藤汰鷹、林家正蔵、高島礼子※現在は「自閉スペクトラム症」という診断名となっていますが、映画の表現に合わせて「自閉症」と表記しています。【要申込】プロサッカークラブチーム、川崎フロンターレ主催「えがお創造プロジェクト」神奈川県川崎市、大阪で11月20日(土)開催Upload By 発達ナビニュース神奈川県川崎市をホームタウンとする、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟する川崎フロンターレが主催する「えがお創造プロジェクト」。サッカーを楽しめる社会を目指すプロジェクトとして、2019年に日本初・Jリーグ初の取り組みとして始まりました。感覚過敏などにより外出やスタジアムでのサッカー観戦が困難なお子さんなども、安心してサッカーを楽しむことができます。今回は2021年11月20(土)の『川崎フロンターレ VS セレッソ大阪』の試合に合わせての開催。アウェイの大阪市と、川崎フロンターレのホームである神奈川県川崎市の2つの場所で開催します。親子でサッカーを楽しもう!〈日程〉●11月20日(土) 午前、飛行機で大阪へー14:00 、サッカー観戦ー夜、大阪市内で宿泊●11月21日(日) 午前、自由行動ー午後、飛行機で羽田へ〈参加条件〉感覚過敏などにより外出やスタジアムでのサッカー観戦が困難な発達障害のある小学生のお子さまとご家族〈募集人数〉2家族(1家族/最大4名まで)〈費用〉●ANAの旅行商品(ANAトラベラーズダイナミックパッケージ)にて航空券+ホテルを手配、加えて観戦チケット代・現地交通費が必要となります。●旅行商品は空席状況に応じて金額が変動します。●現在の金額規模は申し込みページよりご確認お願いします。●お申し込み後、運営から個別連絡があります。※クリックすると川崎市市民文化局オリンピック・パラリンピック推進室の申し込みフォームサイトに遷移します川崎市個人情報の取り扱いについて〈日程〉2021年11月20日(土)10:00~16:00(午前はサッカー体験&スタジアムツアー、午後はテレビでアウェイの大阪で試合するフロンターレを応援!)〈参加条件〉●川崎市在住の感覚過敏などにより外出やスタジアムなどでサッカー観戦が困難な発達障害のある小学生のお子さんとご家族(1家族4名様まで)●特性によりマスクの着用が困難な方もいるため、マスク未着用参加者をご理解いただける方●川崎フロンターレ、川崎市及び協力事業者などの広報活動およびメディアなどの取材にご協力いただける方(配慮が必要な方は相談に応じます)〈募集人数〉25家族(1家族/最大4名まで)応募者多数の場合は抽選となります。〈参加費〉1家族 3,000円(税込)※実費相当額〈申し込み締切〉11/10(火)23:59●参加者多数の場合は抽選にて参加者を決定(最大25家族まで)。●当選の方へ、参加費振込先と安心して参加するためのWeb上でアンケートを送付します。振込完了とアンケートの回答をもって正式参加申し込みとなります。●開催日の3日前を目安に「参加のしおり」のお渡しがあります。※クリックすると川崎市市民文化局オリンピック・パラリンピック推進室の申し込みフォームサイトに遷移します川崎市個人情報の取り扱いについて日本ダウン症会議、日本小児遺伝学会、日本ダウン症学会の合同学術集会、2021年11月12日(金)~14日(日)Webで開催。テーマは「つながる」Upload By 発達ナビニュース今年、2021年11月12日(金)~14日(日)、日本小児遺伝学会学術集会、日本ダウン症学会学術集会、日本ダウン症会議が合同で開催されます。今年のテーマは「つながる」。専門家と当事者が「つながる」 、当事者と社会が「つながる」、 当事者同士が「つながる」ことを大切にしています。日本ダウン症会議は、当事者と多様な分野の専門家が一堂に会する、日本で唯一のダウン症に関する会議を目指し、2017年から開催されました。ダウン症のある人たちが、幸せに安定した生活をおくるための社会をつくることに貢献しています。日本ダウン症会議3回目となる今回は、4つの分科会、特別講演、ダウン症当事者の発表、無料の市民公開講座で構成され、総勢28名の座長と演者による発表が行われます。市民講座では、ダウン症のある弟や家族との日々を書いたエッセイで話題となった作家の岸田奈美さんがゲストとして登壇します。詳しくはホームページをご確認ください。※会議全体の参加登録は11月2日午前に締切になりました。無料の市民公開講座は登録無しで視聴できます。また日本ダウン症会議のためのクラウドファンディングも行っています。以下ページをご確認ください。気持ちを伝え合うきっかけを、これからもずっと。 第3回日本ダウン症会議クラウドファンディング〈日程〉2021年11月12日(金) ~ 14日(日)※会議全体の参加登録は11月2日午前に締切になりました。無料の市民公開講座は登録無しで視聴できます。〈主催 〉日本小児遺伝学会 / 日本ダウン症学会 / 公益財団法人日本ダウン症協会〈お問い合わせ〉つながる2021運営事務局TEL:03-5946-8845E-mail: tsunagaru2021@supportoffice.jp東京都新宿区箪笥町43 新神楽坂ビル2階(有限会社ビジョンブリッジ内)障害の有無を超え、日々技術を磨く革職人たちが活躍する「UNROOF」。老舗時計メーカーと共同開発の時計ベルト、2021年10月13日(水)より販売スタートUpload By 発達ナビニュース2017年に東京都久米川で設立された工場で革製品を制作する「UNROOF」では、精神障害や発達障害のある職人たちが活躍しています。「UNROOF」を運営するのは、ジョッゴ株式会社。「UNROOF」の事業を通し日本の障害者雇用を解決することを目指しています。また同社はバングラデシュの貧困問題の解決に向け革製品のセミオーダーブランド「JOGGO」も運営。2つの事業を通じ、国境や宗教、障害を超えたすべての人がともに喜びを分かち合い、「心」でつながる社会創りを志しています。「UNROOF」では革職人を採用する際には障害者枠を設けず一般者枠で採用。それぞれの障害特性や想いを理解し、障害の有無に関わらず、人は一人ひとり違うことを理解し、多様性のある環境作りに取り組んでいます。またスキルや能力が身につくと、新たな仕事へのチャレンジや昇給ができる制度があることで、職人としての技術やモチベーション向上にもつながっています。設立当初は委託された革製品の制作をしていましたが、職人たちの技術が向上する中で、2019年6月からオリジナルブランドをスタート。きめ細やかな技術、環境に配慮した生産、またオリジナルブランドの商品はユニセックスなデザイン、右利き・左利きが選べるカスタマイズなどで人気を集めています。障害のある人の新たな働き方のスタイルと、職人の妥協のないものづくりが注目され、SHIPSや中川政七商店などのセレクトショップや老舗ブランドと共同開発した製品も続々と誕生しています。その「UNROOF」が新たに、時計業界に長年携わる SK Watch Labo とTempusと共同開発した腕時計のベルトと遊革(ベルト留め)を発売しました。時計ベルトと遊革は全14色から好きな色を選べ、世界に一つだけの時計にカスタマイズすることができます。デザイン性や着け心地、耐久性にも優れており、長く愛用できます。時計ベルトと遊革は店舗とオンラインにて販売しています。ジョッゴ株式会社の注目の働き方、高品質でサステイナブルな革製品をぜひチェックしてみてください。〈販売店舗〉・UNROOF 久米川工場併設店舗:東京都東村山市栄町 3-3-2 ナズ久米川レックス 1F・小さな時計屋:愛知県名古屋市中村区名駅 1-1-4 JR 名古屋駅 B1F ファッションワン内・SK Watch Labo:埼玉県川越市東田町 8-12 佐賀ビル 302 号(受注販売のみ)サスティナブルな商品を通じて、SDGsや地球環境について考え学ぶことのできるコンセプトストア「Sustainable Think.(サスティナブルシンク)」Upload By 発達ナビニュース「Sustainable Think.」では考え学びながら「みんなに紹介したい」「買って応援したい」「好きな人にプレゼントしたい」と思える、社会や地球環境に配慮した商品を展開しています。取り扱いブランドである”ヘラルボニー”は、全国の福祉施設の所属するアーティストと共に新たな文化を創造しています。「Sustainable Think.」には、アーティストたちの作品が描かれた、ネクタイ・エコバッグ・マスク・ハンカチなどが並びます。”ダウンズタウン”は、伊勢志摩に本拠地を置き、ダウン症者と健常者が平和的に暮らせることを目指すチーム。ダウンズタウンのアートが、Sustainable Think.のディレクター、ササキハルキデザインでワンピースに。ほかにも紙、産業廃棄物のサスティナブルを考えた個性的なアイテムが並びます。購入は東京都・有楽町マルイ(7F)、愛知県・名古屋パルコ(2F)の「Sustainable Think.」の店舗またはオンラインショップで!「ほぼ日手帳」weeks、表紙いっぱいに手書きで描いた「365にち」Upload By 発達ナビニュース世界中で 74 万人が愛用している、「ほぼ日手帳」。毎年さまざまなアーティストとコラボレーションしています。誕生して21年目のほぼ日手帳のテーマは「handwrite/この日、わたしは。」。今年も100以上のアイテムをラインナップしています。その中の一つ「365 にち」weeks(週間タイプ)。表紙いっぱいに書かれた 2022 年のカレンダーは、作家・岸田奈美さんの弟の岸田良太さんが書きました。 岸田奈美さんは、車いすユーザーの母、ダウン症で知的障害のある弟、ベンチャー起業家で急逝した父との日々をつづったエッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』の著者。エッセイのページ番号は弟・良太さんが書いています。その数字はダウン症で字の書けなかった良太さんが、奈美さんのために練習をして書いたものでした。愛嬌のある良太さんの字を、ほぼ日代表の糸井重里さんが気に入り、2022 年の手帳になりました! 手帳には良太さんの手書き文字をあしらった 12 色のカラフルなシールがついてきます。また一緒に使えるペンケースもあります。新しい年が楽しみになる手帳、ぜひチェックしてみてください。ご購入は、ほぼ日手帳 2022 取扱店舗一覧をご確認ください。※「365 にち」weeks(週間タイプ)1 月はじまり版は完売しています。4 月はじまり版は、2021 年 2 月 1 日より発売。ペンケースも再入荷予定です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年11月03日プレに通わせる前の不安な思い娘は1歳半になっても意味のある単語を話すことはなく、2歳の誕生日になっても言葉を発することはありませんでした。気持ちを言葉で伝えられないためか、よく癇癪を起こしていました。しかし、それ以外の大きな困りごとはなく、無邪気でよく笑う娘。2歳10ヶ月ごろに幼稚園プレに行くことにしましたが、なんだかんだプレを楽しんでくれるかもしれない。でも癇癪を起こしてしまうかもしれない。不安と少しの期待を抱いてプレに挑みました。ドキドキのプレ初日緊張して幼稚園に入ると、教室の前にはすでに親子が数名いました。お母さんと手を繋いで大人しく教室の前で待っている子どもたち。『え…みんないい子すぎじゃない?』娘はというと園庭の遊具に行きたくて、ダッシュしていました。私に止められてひっくり返り癇癪を起こす娘。Upload By とまぱんUpload By とまぱん心の中で終わったと思いました(笑)プレの間、子どもは幼稚園指定の帽子を被るのですが娘は断固拒否。靴下も上履きも拒否しました。私「とまちゃん上履き履こう!ほら見て、みんな履いてるよ〜!」娘「ギャーーーー!!」隣をふと見ると娘と同じく上履きを拒否している男の子が。お母さんが履かせるのに苦戦していました。『同じだーーー(涙)』他人の苦労を喜ぶのはよくないですが、同じ状況でホッとしたのを覚えています。このまま無理やり上履きを履かせると癇癪がひどくなりそうなので、諦めて裸足で教室に入ることにしました。教室の中には、子どもと親合わせて40人ほどいました。この時期、娘は人が多い場所が苦手だったため、初日のプレはほとんどど泣いていました。先生が駆け寄り「大丈夫?」と微笑んで声をかけてくれました。Upload By とまぱん初日は娘のようにお母さんから離れない子、うろちょろしちゃう子もいましたが、娘との圧倒的な違いは2つありました。やはり言葉と癇癪の強さ。この時期の子ってもうこんなしゃべれるんだ…とすごく驚いた記憶があります。こんなに意思疎通が取れるなら子育てが楽になってきてるんだろうな、とほかのお母さんたちを羨ましく思いました。また、子どもがうろちょろし、お母さんが元の場所に連れ戻しても、子どもが癇癪を起こさないことに驚きました。うちの娘だったら怒り狂いそう…。そう思いながらほかの親子を見ていました。ほかのお母さんに悩みを相談してみると…プレが始まった数週間後、ほかのお母さんとちらっとお話しする機会がありました。そこで、「娘が言葉がゆっくりで…」と軽くお話ししました。Upload By とまぱんUpload By とまぱん『教室に入れない子もいるのか…』確かに娘は教室に入ることは抵抗ありません。日によっては、プレの課題を楽しんでいました。朝の会では椅子に座れないことが多かったのですが、工作などの課題は比較的座って行うことができていました。『心配しすぎなのだろうか。でもやっぱりほかの子より圧倒的に幼さを感じる…』お母さんとスラスラと会話している子どもたちを見てどうしても拭うことができない不安。プレが始まるまでは娘の発達に対してぼんやりとした不安を抱いていました。しかし、同じ年齢の子を目の当たりにし自分の中の不安ははっきりとしたものに。『やっぱり少しでも早く相談しなくては!』焦りと不安をどうにかしたくて発達支援センターに電話し、検査や診察を受けることになったのです。執筆/とまぱん(監修:初川先生より)同年齢のお子さん集団の中に入ってみると、わが子の育ちというものがよく見えてきますね。そして、思ったより子どもの発達は早く、よく話せる子の話しぶりには驚きますね。子どもの発達は早い・ゆっくりがありますが、だいたい多くの子ができることができていない場合には、相談のきっかけにしていただけるとよいと思います。ほかのお子さんでも苦手なことを見つけてはほっとしたり、ママ友さんの「うちもそうだよ」というコメントになんとなく救われたり。そういう気持ちも自然なものですが、肝心なのはお子さんが同年齢集団と楽しく過ごせているか、お母さんの漠然とした不安が軽くなっているか。“癇癪が多いのは言葉がまだうまく使えないから“と細やかに見取っているとまぱんさん。不安をきっかけに支援につながれたのはよかったです。
2021年11月03日