おうちでできるトレーニングのコツがいっぱい!ーー『自閉っ子サンちゃんのライフスキルトレーニング』著者のたなかれもんさんと長女・小学校2年生のサンちゃんが、「うさぎ先生」からライフスキルトレーニング(LST)を受けて成長していく家族物語『自閉っ子サンちゃんのライフスキルトレーニング』。「うさぎ先生」として登場するのは、医師の平岩幹男先生。マンガの中だけでなく、監修者としてコラムでもライフスキルトレーニングについて分かりやすく解説をしています。自転車に乗りたがらず駄々をこねるサンちゃんが、すんなり自転車に乗るようになった理由は?自分から言葉を発するようになったきっかけは?マンガを楽しみながら、ライフスキルトレーニングついて学びましょう!保護者だけでなく、支援者の方々にも参考になるアドバイスが満載の一冊です。その”生きづらさ”の理由を解く。ーー『リエゾンーこどものこころ診療所ー(6)』『モーニング』で連載され、児童精神科医を描いた医療漫画『リエゾン』。発達ナビでもおなじみの児童精神科医 三木崇弘先生が監修しています。日本で『発達障害』と診断されている人はおよそ48万人。子どもの10人に1人は何らかの発達特性や障害があると言われています。児童精神科医・佐山と、そこにやってきた、自らも発達障害がある研修医・志保は、人知れず学校や家庭でトラブルを抱え、孤独や苦痛に耐えながら生きる人たちと向き合っていきます。第6巻では「完璧なダイエット」「カサンドラ」「夜間託児所」の3編が収録されています。子どもの成長は嬉しいもの。しかし成長と共に保護者は不安になることもあり、悩みも変化していきます。それぞれの親子が障害に向き合う中で児童精神科医が示す、干渉と信頼のバランス、親と子の適切な距離感とは。発達障害の当事者、当事者家族だけではなく、幅広い方に読んでいただきたい一冊です。ことばの発達を促すイラストが満載!ーー『言語聴覚士が作った 思わず話したくなるイラストBOOK 〜ことば・コミュニケーションを育む〜』子どもの言語表出を促進するためには、「事実を客観的に伝えること」と「自分の意見を自分のことばで伝えること」を意識することが大切と言われています。この本は、その2つを意識した子どもとのコミュニケーションを楽しむことができるイラストBOOKです。一冊のなかにイラストがたっぷり!子どもが経験したことのあるような日常や季節ごとのイベントなどの場面が見開き1ページごとに大きく描かれています。大人側が無理に言わせるのではなく、子どもが主体的に話したくなるような「言葉のヒント」がたくさん。トレーニングのような難しさはなく、眺めているだけで子ども自身がお話をしたくなるような一冊です。感覚統合の全体像がやさしく分かるーー『子どもの発達障害と感覚統合のコツがわかる本』人は、「感覚」の発達を土台にして「運動」「行動」「学習」などさまざまな力を獲得していくといわれています。「感覚統合」は、この感覚のつまずきにアプローチして発達を促すことでより高度な動作の改善につなげていく支援方法のことです。この本では、感覚統合の基礎知識や実際の支援のコツがイラストと共に分かりやすく書かれています。多動・姿勢・人見知り・ノートを書くのが遅い・癇癪・お友達とのトラブルなど子どもの気になるポイントを具体的な事例を挙げながら丁寧に解説しています。予備知識がなくても「感覚統合」がよく分かる。支援者の入門編としてだけでなく、保護者にもおすすめの一冊です。次世代につなぎたい地域づくりのヒントは、福祉の現場にあるーー『ウェルフェア トリップ ―福祉の場をめぐる小さな旅』この本は、著者が全国にあるさまざまな福祉施設に足を運び、それぞれの施設でのエピソードをまとめた1冊。訪れた先の福祉施設は実に個性豊か。オリーブ畑、農家とつながるものづくり、最高峰のチーズ、上質な和紙、美術館…。それぞれの地域や、そこにいる方たちならではの品々がつくりだされています。「福祉施設」、そこは「一般社会と壁を隔てた向こう側」ではなく、地域に根づき地域と交流し合う場所。人と人が支え合い、共に生きるという本来の在り方がこの場所にあることを著者はつづっています。生きづらさや困難を抱える誰もが、居場所や生きがいを見つけられるような社会へのヒントを見つけることができるでしょう。それぞれの場所のエピソードに心があたたかくなる1冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2021年12月12日保育園で開催された生活発表会でしのくん2歳10ヶ月のころ、保育園で開催された生活発表会で劇をしました。劇が始まって、私はしのくんの登場を楽しみに、ドキドキしながらカメラを構えて待っていました。ところが…Upload By keikoUpload By keikoしのくんは、登場するなり保護者席のほうへ走りだしてしまいます。そして、演技もしないでそのまま退場してしまいました…。同じクラスのお友達は、みんなきちんと劇に参加しています。セリフを言って、演技もして、最後は上手に歌も歌っていました。私は、同じクラスのお友達との違いに衝撃を受けました…。例え退場してなかったとしても、しのくんはセリフを言うこともできなければ、演技もできず、歌も歌うことができなかっただろうと思いました。私は、しのくんに「発達の遅れ」があると分かってから、知らず知らずのうちに、ほかの子にできて、しのくんのできないところばかり探していたんだと思います。このとき、今までだったら気にしないでこれた「ほかの子との差」をとても深刻に感じてしまいました。そして、周りの保護者の目も気になりはじめ…Upload By keikoUpload By keiko実際にこっちを見ているパパやママを見たわけではありません。今思えば私の被害妄想が暴走して、そんな気がしてしまっただけだったと思います。しかし当時の私には、このとき、みんながこっちを見ていて、みんながしのくんのことを「なんでできないの?」と思っているんじゃないか?と疑心暗鬼になってしまい、勝手に一人で悲しくなっていました。悲しくなって、初めて「保育園の行事に参加したくないな」と感じた瞬間でした。そして、劇が終わった帰りの廊下でも…Upload By keikoUpload By keiko先生方が口々に「しのくん!頑張ったね!」と声をかけてくださいました。しのくんは笑顔でとても満足そうだったのに、私の心の中は違いました…。Upload By keikoせっかく先生方が声をかけてくださっているのに、私は心の中で「何もしてませんけどね」と思ってしまって、早く立ち去りたくてしょうがありませんでした…。帰りの廊下がひどく長く感じました。【あとがき】当時の私は、ほかの子と比べてしまって、「しのくんは、あれもできないこれもできない…どうしよう⁉︎」と頭がいっぱいでした。しかし、あれから一年経った現在は、しのくんの「できないところ」ではなく、「できるところ」を見られるようになって、勝手に思い込んで勝手に悲しむということはなくなりました。それに、しのくんの様子を見ていると、先生方から本当に可愛がってもらっているのを感じますし、クラスの子とも仲良くしていると担任の先生から教えてもらって、今では、母子共々、保育園の行事を楽しんで参加しています。もちろん、今でもほかの子と比べてしまってショックを受けることも少なからずありますが、しのくんにはしのくんのペースがあるので、それに寄り添って一緒に歩いていこうと思います。執筆/keiko(監修:井上先生より)園の行事でお子さんが思ったように演技ができなかったり、逸脱してしまったりということを見るのは保護者としてつらいことだと思います。また一方で、お子さんの「頑張ったよ」という誇らしげな表情をみると、よけいにつらくなってしまったのかもしれません。園の先生が「頑張ったね」と声をかけてくれるのは、純粋にそんな子どもの達成感に寄り添ってくれているのだと思いますが、そのときの自分としてそれが素直に受け入れられない気持ちが生じてくるのは当然だと思います。周りからの目が気になってしまうという親の視点から、純粋にお子さんの視点に立ってみれるようになるには、多くの時間と勇気が必要であったのではないでしょうか。きっと周りのさまざまな先生方やご家族や友人の寄り添いの存在があってkeikoさんが今の思いに至られたのだと思いました。
2021年12月11日子どもの興味を引くには「擬人化」が鉄板!こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。親業は年中無休ですし、毎日バタバタと慌ただしい中で、お子さんの身支度やハミガキ、身体のケアなどのお世話がスンナリと運ばないと、家庭内の空気もつい、ピリピリしがちにもなるというもの。また、普段小さな子やお孫さんに接する機会が限られている方は、いざ、「ちょっとだけみてて」と子守りを任されると、未知の生物過ぎて「どう接していいのか、わからない」なんて、戸惑うこともあるかもしれません。でも、大丈夫。だれにでもできる、秘伝の策がありますから。それは「擬人化の声かけ」。子どもの興味を引く鉄板技の擬人化テクニックで、小さなハートをわし掴み!パパもママも、じいじもばあばも、発想を転換して、ちょっとだけ伝え方を工夫してみると、お子さんが進んで楽しくできること、やる気が出ること、泣きやめることって、結構あるんですよ。だれでもスグにできる!擬人化テクを駆使した声かけのコツUpload By 楽々かあさん小さな子のお絵かきを見ると、ニッコニコの太陽やお花を描いたりしますよね。これは、子どもがモノや自然と距離が近い世界に住んでいて、自分と同じような心があるように感じているから。また、人と関わるのが苦手なタイプの子でも、モノに対する興味や愛着が強いこともあります(大人だって、「他人の気持ちはイマイチよく分からないけど、自然や地球の気持ちなら、手にとるようにわかる」なんて方もいるでしょう)。だから、「言いたいことが、子どもになかなか伝わらない」「反応がイマイチ」と思ったら、擬人化してモノの口を借りてみると、素直に話に耳を傾けてくれたり、理解・納得しやすくなったりする可能性大。それに、大人のほうも発想を転換して、子どもに目線を合わせることで、気持ちが和らいだり、肩の力が抜けることだってありますから。つまり、「困ったら、擬人化!」は、ぜひ、試してみたい声かけ技の筆頭、というワケなのです。この擬人化テクニックを駆使するコツは、まずは「子どもをよく観察すること」です。久しぶりにお孫さんに会って、少々緊張気味のおじいちゃん・おばあちゃんも、好きなものや最近ハマっていることなどをそれとなくリサーチしたり、服装や身の回りのものなどをよく見ておくと、擬人化ネタがゴロゴロ落ちていますから、心のネタ帳にストックするといいでしょう。では、実践編をうちの具体例で紹介しますね。まずは、入門編。身の回りのモノの擬人化です。登園・登校やおでかけ前に、子どものお着替えに手間取ってしまうと焦りますよね。ましてや冬は、着せるモノがいーっぱいありますから!小さなころ、やや肌が敏感なうちの長女も、くつ下を履くのがあんまり好きじゃなくて時間がかかっていたのですが、あるとき、その日のくつ下についていた、うさちゃんのワンポイントが目に止まり……「うさちゃんが、一緒に連れてって〜!って言ってるよー」……と、パタパタさせてみせると、お世話大好きの長女は目をキラキラさせて、「しょうがないなあ。じゃあ、いっしょにいく?」と満更でもない様子で履いてくれました。(その日を境にしばらくの間、くつ下たちが「今日はぼくが一緒」「ずるい!私が先よ」と長女を取り合って争奪戦を繰り広げる展開が「朝のお約束」になってしまいましたが……)このように、身につけるモノのちょっとしたキャラクターやワンポイントに注目して擬人化したり、「この茶色のモコモコを着たら、ワンちゃんみたいでかわいいよ」「この服の組み合わせは、〇〇ジャーのブルーっぽくてかっこいいね」などと、その子の好きなものにちょっと寄せたプチ・コスプレなども、進んで着替えてくれる可能性大です。次に、少々演技力が必要な、見えないモノの擬人化。時に、子どもという生き物は、「やって!」と言われれば「ヤダ!」と即座に返し、「やらないで!」と言われれば言われるほど、好奇心がうずうずとしてしまう、天の邪鬼な性質がありますよね。うちの長女も、寝る前のハミガキを「しないとダメでしょ」と言われても、イマイチ乗り気になれなくて時間がかかっていたことも。こんなときも擬人化の声かけの出番です。例えば、夕食にハンバーグを食べたあとで、長女の口の中をじーっと覗き込んで……「ああ!ムシバキンたちが喜んでるっ!今日はごちそうだ、やったー!ハンバーグありがとう、今からみんなでパーティするからハミガキしないでね!?だって」……なーんて言ってみたら、慌ててガシガシと磨き始めました(笑)。このあとも「大変だー!みんな、隅っこに隠れろー!」「ぎゃー!流さないでー!ずーっと〇子ちゃんと一緒にいたいんだよォ〜」などと臨場感を盛り上げると、自分でとても丁寧に仕上げてくれました。「演技力に自信がない」「恥ずかしい」なんて方もいるかもしれませんが、ここは覚悟を決めて新しい扉を開いてしまったほうが、ぐずる子どもと押し問答を続けるよりも断然ラクだと思いますよ(子育て中の恥はかき捨てでOK!)。また、小さな子は声かけだけでは難しいこともあるので、お支度やお世話がなかなか進まないときには、親の足の甲に子どもの足を乗せたペンギン歩きや、「ママタクシーが迎えに来たよ」「パパバスにご乗車のかたはいませんか〜?」などと、おんぶや四つん這いで、トイレ→洗面所→着替えルートなどを巡回してしまうのもGood。また、逆に「じいじを洗面所に連れてって」「ばあばのお着替え手伝って」などと、子どもに頼むとやる気を出す子もいるでしょう。最後は応用技。目のつけどころがポイントの、パーツの擬人化です。風邪の流行る季節や、なにかと子どものケアに気を配る必要があるときには、親も神経を使いますよね。ましてや、今は新型コロナウイルスのことを気にしながらの生活が続いていますから、毎日の体調チェックに加えて、こまめな手洗いや衛生管理なども大変でしょう。これらの必要な身体のケアも、毎日のこととなると、子どもも大人も面倒でテキトーになりがちですし、お世話を嫌がる子もいるでしょう。こんなときは、子どもの身体のパーツを擬人化して、名前をつけてしまうのもテです。そして、子ども本人ではなく、そこに向かって直接話しかけるようにすると、子どもも協力的になってくれるかもしれません。例えば、うちでは子どもたちが風邪を引いたときの体調チェックには、「おへそちゃん」に向かって……「ちょっと、おへそちゃんとお話させて。もしもーし?今日はゴロゴロしてないかな?」……と、お腹に耳を当てたり、「おへそちゃん、なんて言ってる?」と子どもに聞いたりしていました。また、寝るときに「おへそちゃんが、寒いんだって」というと素直に布団をかけてくれたりも。また、乾燥しやすい季節や、こまめな手洗いの結果、手が荒れがちな子もいますよね。うちの次男も肌が荒れやすく、いつも保湿クリームを塗っていました(今もです)。毎日のこととなると本人もうんざり気味。こんな時は、手や肘の「ガサガサ君」たちに向かって……「ガサガサ君たち〜、保湿クリーム塗ってあげるよ。並んで、並んで〜」……なんて言うと、協力的になってくれたりも。子どもだって、「自分がやらなくてはいけない」と思うと面倒に感じても、他人事だと思えば多少気がラクなのかもしれませんね。それに親のほうも、たとえ子どもがお世話に非協力的でも「おへそちゃんがヘソを曲げている」「今日はガサガサ君の心が荒れている」と解釈すると、気持ちが多少和らぐのではないでしょうか。ときには大人の言い訳にも……こんな風に「擬人化」は、子どもの興味を引くのに非常に便利で手軽な声かけテクニックなのです。ですから、「本当は子ども相手にあんまりピリピリせずに、柔軟にユーモアで切り返したいのに思いつかない」なんて方でも、「困ったら擬人化」を頭の片隅に入れておくと、発想の転換がしやすくなるでしょう(脳トレにもなりますよ)。そして、ときには、擬人化は大人の言い訳にも使えちゃったりもするんです。たとえ仕事や世間のみなさまがお休みの日でも、子育てだけは年中無休で営業中ですから、せめて家事くらいは少々手を抜いたってバチは当たらないというもの。例えば、私は時々、夕食作りの直前に炊飯ジャーのスイッチを”つい、うっかり”入れ忘れたことに気がつくのですが、こんなときには……「今日は、炊飯ジャーがごはん作りたくないんだって。しょーがないから、宅配ディナーをたのもうか」……なんて、モノの口を借りて適度に本音を混ぜ込みつつ、都合よく家事をサボっています。このように擬人化の声かけ技を身につけると、だれでも簡単にユーモアで返すことができますし、何より、子どもの世界に目線を合わせて、発想を転換するクセをつけていくと、自然と大人の頭の中も、家庭内の空気も、柔らかくなるのではないでしょうか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者・井上先生より)擬人化のテクニックを使うことによって、保護者から子どもへの「~やって」という命令口調が柔らかいものになりますね。また自らのかかわりをうまく整理されていてわかりやすく素晴らしいと思いました。擬人化をすることで、大人側の気持ちの癒しにもなると思います。擬人化することが分かりやすいというお子さんには、この方法はよいですね。ただ、なかには擬人化が分かりにくいというお子さんもいるので、お子さんの様子をよく見るようにしましょう。自閉スペクトラム症のあるお子さんで、歯磨きが嫌いだがお医者さんごっこが好きだという子がいました。そのお子さんは、診察券をつくり、「次の方どうぞ~」と医師役の保護者が呼びかけるごっこ遊びの形であれば、嫌いな歯磨きもできました。このようにごっこ遊びなどの文脈にのせていくのも同様の効果が得られると思います。大場さんも書いておられるように、お子さんの好きな文脈・ストーリーを踏まえた擬人化や声がけが大切なのだと思います。
2021年12月10日子どもの”発達障害がある可能性”に気づいた、私の母のケースUpload By 丸山さとこ私には発達障害のある小6の息子がいます。また私自身、大人になってから(息子が生まれる前)自分に発達障害があることが分かりました。息子のコウは、幼少期から「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの発達障害あるあるの行動がよく見られましたが、私は3歳児健診まで息子に発達障害があることに気がつきませんでした。一方で私の母は、私の幼少期に「娘には発達障害があるかもしれない」と感じていたそうです。今回は、私自身の幼少期と母が感じていたことについて書きたいと思います。私と発達障害の関係の始まりは、私が幼児だったころにさかのぼります。今よりもずっと発達障害に関する情報が少なかった昭和50年代でしたが、私の母は「娘は何かしら発達に障害を抱えているのではないか」と感じていたそうです。幼いころの私について、母は「言葉の発達は早いものの言葉づかいが子どもらしくなかったり、力は強いのに歩く姿が不器用でよく転んだりしていたのが気になっていた」と言います。その母は、『さとこが少しでも歩きやすいように』と”少しでも軽い靴を探す”などの工夫をしていたそうです。Upload By 丸山さとこ幼いころの私に対して、コミュニケーションの遅れは特に感じたことがなかったそうです。しかし「とにかく子どもらしくないような違和感があった」「甘えない・後追いをしない・大喜びをしない・おままごとをしない、などの行動に引っかかりを感じていた」と母は振り返って言います。幼いころのコウのように「物を並べる・オウム返し・目線が合いにくい」などの、分かりやすい発達障害がある傾向は見られなくとも、母は私の”日常の中のささいな姿”に対して違和感を覚えることが増えていったそうです。Upload By 丸山さとこ健診で総合病院に行った際など、母は何度か娘の発達に関する違和感について医師に相談してみたそうです。しかし「知的にも順調に発達しているし動作にも問題は見られない」と言われ、”不安症な母親への軽い子育てアドバイス”をもらってその場は終わったそうです。私はその後、成人してから発達障害(ASD・ADHD)の診断を受け、現在ではADHD治療薬を服用しています。今になって振り返れば、幼い私に対して母が抱いていた違和感は正しかったわけです。Upload By 丸山さとこ保育園に入園してからの私は、”指示の通らなさ”や”こだわりと見られる行動”によって集団の中でも目立っていたそうです。現在の基準であれば「発達障害がある可能性」を指摘されたかもしれません。ですが、母が違和感を抱き始めたのは私が未就園児のころであり、集団の中での違和感が目立つよりも、もっと早い段階の話だったのです。『なぜ違和感に気づくことができたのだろうか?』と先日改めて母に聞いたところ、意外な…けれど、とても腑に落ちる答えが返ってきました。”自分の子ども”以外の子どもと接することで、分かることもある!?現在60代の母が若かったころは今より子どもの数が多く、近所や親戚の子どもを預かったり見かけたりすることもかなり多かったそうです。公園や広場や園で見かける姿とも少し違う、子どもたちの”家庭での素の姿”を目にする機会も多かったため、経験から漠然と『個性はいろいろあるけれど、子どもには大抵こういうところがある』という”一般的な子ども像”を持つに至っていたのだと思う…と母は言いました。Upload By 丸山さとこ「だから、さとこを育てていて『子どもなら多かれ少なかれするはずの行動をとらない』ことが引っかかったんだと思う」「発達障害の知識はなかったけれど、とにかく子どもらしくなくて妙だな~…と感じていたよ」…と続く母の話を意外に思いつつ、同時に「あ~、でも、ちょっと分かるかも! そういえばそういうことあったな!!」と思い、私はヒザを打ちました。コウが小学生になったころ、未就園児だった親戚の子を預かったことがあります。そのときに「これが定型発達とされる子どもか~!」と発達の違いに驚いた経験があったからです。私も、大人になってからコウ以外の子どもに関わった経験がなかったわけではありません。親戚の子どものお守りをしたことや、友人の子どもと遊んだ経験はありましたし、コウが産まれてからは公園でほかの子どもの様子を見ることもありました。けれども、当時の私はコウとほかの子どもを比べたり周りを見たりする発想が(今以上に)乏しかった気がします。私自身に発達障害があるから…ということも理由かもしれませんが、単純に、初めての子育てで周りを見たり比べたりする余裕がなかったからなのかもしれません。Upload By 丸山さとこそんな私であっても、3歳児健診のおかげでコウが発達障害である可能性に気づくことができたので、「今の時代でよかったな~」と思います。周囲と比べて焦らなくてもよいと考えてはいますが、その時々のコウの発達状況における"必要な手立て"が見つけられるように「『周りの様子』と『コウの現在位置』を見ることは大切なんだな~!」と思う私でした。執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)幼児期は女の子の場合、男の子よりコミュニケーションの発達が早い傾向があるため、発達障害の特性は目立たないケースが多く、今のお医者さんでも女の子の発達障害を早期に診断するのは難しいものです。お母さんがこの当時、さとこさんの発達の偏りに気づいていたということは、周りの人と比較するだけでなく、さとこさん自身を本当によく観察されていたのだと思います。同じ母という立場で、自分の母親と子育ての話をする中で、これからもプラスのヒントが見つかるといいですね。3世代のよい親子関係性が築けているのがすてきだと思いました。
2021年12月09日映画『梅切らぬバカ』フレンドリー上映がスタート!シネスイッチ銀座で毎週月曜10:10~Upload By 発達ナビニュース加賀まりこさん演じる老いゆく母と、塚地武雅さん演じる自閉症の息子「忠さん」が地域との交流を通じ、自立の道を模索する姿を描いた 映画『梅切らぬバカ』。シネスイッチ銀座では11月29日(月)より毎週月曜10:10からフレンドリー上映をしています。フレンドリー上映では、通常の上映環境よりも場内照明を明るくし、音響は控えめにして上映しています。上映中に席を立ったり、声を出してもOK、途中の入退出も自由です。映画館に行くのが不安だった方もぜひ、チェックしてみてください。【京都国立近代美術館】『CONNECT⇄_』~つながる・つづく・ひろがる~2021年12月19日(日)まで開催Upload By 発達ナビニュース文化芸術を通して共生社会や多様性について関心を深めることを目的とした作品展『CONNECT⇄ 』。2回目となる今回は、「障害のあるなしに関わらず、さまざまな感性・特性を持つ人たちが芸術や文化、歴史に気軽にアクセスし、さらに参加した人たち同士がつながり合い、気づきを与え合う」という1回目のコンセプトを引き継いでいます。今回は、それを発展させたものとして「つながる、つづく、ひろがる」をテーマに、場所・時間・感性などのさまざまな“へだたり”や“ちがい”を越えてつながりあうことを目指しています。会期中は美術館、劇場、図書館、動物園などを会場に、展示やワークショップ、動画配信などを実施しています。さまざまな角度から共生・多様性について考えみませんか。〈詳細〉【期間】:2021年12月2日(木)~12月19日(日)【会場】:〔京都市岡崎地区〕京都国立近代美術館、京都市京セラ美術館、ロームシアター京都、京都市動物園、京都府立図書館、京都市勧業館みやこめっせ、kokoka 京都市国際交流会館〔京都市内その他〕京都文化博物館、京都芸術センター〔京都府内〕山城・南丹・中丹・丹後地区会場【入場料】:無料【主催】:文化庁、京都国立近代美術館【共催】:京都府、京都市、京都新聞【特別協力】:NHK 京都放送局『知的障害のある人の自立のためのコインケース』株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテが開発Upload By 発達ナビニュース「数字として金額の大小」は分かるのに、「硬貨の種類・枚数の情報」を数字に変換することが難しく買い物ができない。知的障害のある人の中には、このように「自分でお金を扱うことができない」という困りごとを抱えている人がいます。その困りごとを解消するために、株式会社夢育て&NPO法人ユメソダテでは『知的障害のある人の自立のためのコインケース』を開発しました。コインケースは、左から百の位、十の位、一の位と並び方が整理されていているので硬貨の種類・枚数が視覚的に分かりやすく、金額への変換がしやすいというのが特徴です。障害のある人だけでなく、これからお金の扱い方を学ぶ小さなお子さんなど、幅広い世代の方にも使いやすいこれから注目のコインケースです。年11月22日(月)~2022年1月14日(金)Readyforにてクラウドファンディングをしています障害のある子や医療的ケアの必要な子の成長を記録できる育児ノート「cocoe(ココエ)」、オンラインショップで販売中Upload By 発達ナビニュース「少しずつ成長はしているのに…」成長の目安となる言葉やグラフが胸に突き刺さり、つらくなってしまった。育児ノート「cocoe(ココエ)」は、障害のあるお子さんを育てるお母さんのそんな経験から生まれました。この育児ノートは A5サイズ6穴バインダー型。成長の記録は一般的な「標準」や「平均」を基準とするのではなく、自由に記すことができます。また、専用リフィルは、一般的な育児ノートにある身長体重の記録、日々の記録などだけでなく、薬の記録、入院・既往歴/生育・教育歴、サポートしてくれる人・病院・施設、などさまざまな種類が用意されています。リフィルを好みや、一人ひとりの成長度合いや特性に合わせてカスタマイズすることができます。また、バインダーなので、必要に応じて療育園や病院などへの情報のシェアにも役立ちます。誰かと比べるのではない、わが子のための世界に一つの育児ノート「cocoe(ココエ)」はオンラインで購入することができます。ダウン症のある書家・金澤翔子さん展覧会「つきのひかり」2021年12月22日(水)〜六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーにて開催Upload By 発達ナビニュース金澤翔子さんは、5歳から筆を持ち20歳で書家としてデビューしました。「元気とハッピーと感動を、心をこめて」その想いで書かれる彼女の作品は、日本だけでなく世界からも注目されています。NHK大河ドラマ「平清盛」題字担当や国連本部での日本代表スピーチなど、活動は多岐に渡ります。東京2020オリンピック・パラリンピックでは公式アートポスター制作アーティストとしても活躍しました。展覧会「つきのひかり」ではこれまでの代表作を一堂に集め、初公開の新作も展示します。彼女の集大成であり、新たな一歩となる展覧会、ぜひご覧ください。〈詳細〉【期間】:2021年12月22日(水)〜 2022年1月8日(土)【開館時間】:10:00~20:00(最終入館 19:30)【会場】:森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6丁目10−1 六本木ヒルズ森タワー52階)【観覧料】:「前売りチケット」一般 2,100円高校・中学生 1,000円小学生 500円※小学生未満無料「当日窓口」一般 2,300円高校・中学生 1,100円小学生 600円※小学生未満無料※全日日時指定制※障害者手帳をお持ちの方は、ご本人と介助者1名まで入館無料【主催】:金澤翔子事務所/電通【パートナー】:シナリー化粧品/株式会社SGC【パートナー・制作協力】:長谷工グループ第5回福島県障害者芸術作品展「きになる⇆ひょうげん2021」2022年1月23日(日)まで開催。福島県[はじまりの美術館]Upload By 発達ナビニュース福島県にあるはじまりの美術館で開催されているこの作品展では、「きになる」をひとつの基準にした作品の数々が展示されています。作品の全ては福島県内から公募されたもの。会期中には全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さんとの鑑賞会(2021年12月11日(土)、12月12日(日)予約制)、岡山県早島町にある生活介護事業所「ぬか つくるとこ」の代表がゲストのオンラインでのトークイベント(2022年1月22日(土)17:00〜19:00)も開催。最終日2022年1月23日(日)は、表彰式、受賞者トークを予定しています。「どうしてこの表現が生まれたんだろう」「作者は何が気になったんだろう」「とにかくなんだか気になる」など、作品を見る人にとってきになる作品がきっとあるはずです。作者のこと、作品の生まれた経緯を想像することで、新たな日常の視点が見つかるかもしれません。ぜひ足を運んでみてください。〈詳細〉【期間】:2021年11月20日(土)~2022年1月23日(日)※火曜休館、2021年12月30日(木)~2021年1月4日(火)休館【開館時間】:10:00〜18:00【会場】:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)【観覧料】:無料【主催】:福島県障害福祉×デザインの「想造楽工」、ニュープロダクト販売開始。クリスマスキャンペーン中Upload By 発達ナビニュース「障害の壁を越え、持ち味を生かし『好きなことを仕事にする喜び』『他者と協働する楽しさ』を誰もが目指せる世の中をつくる」をミッションに、2020年に創業したブランド、想造楽工。2021WINTERのニュープロダクトでは、東京都八王子市・立川市、群馬県中之条市、香川県高松市の福祉作業施設の方々のユーモアあふれるイラストがさまざまな日用雑貨になりました! キーホルダーやステーショナリー、スウェットからベビーギフトなどなど、ここにしかないアイテムがたくさん! 自分用にもプレゼント用にもぴったりです。オンラインショップではクリスマスキャンペーン中。3,300円(税込)以上の購入の方には、特製のクリスマスラッピングで商品が届きます。ぜひチェックしてみてください。105枚のお仕事カードからとくい・すき・きょうみを見つける!『7歳からできるみんなのハローワークゲーム』オンラインセミナー開催!Upload By 発達ナビニュース遊びの中でさまざまな仕事にふれ、自分の可能性を見つけていくことができるカードゲーム、『7歳からできるみんなのハローワークゲーム とくい・すき・きょうみから将来の仕事をさがせ!』。このカードゲームをテーマにしたオンラインセミナーが開催されます。セミナーには、カードゲームの監修者の株式会社Kaienの代表取締役の鈴木慶太さんとアナログゲーム療育アドバイザー松本太一さんが登壇。「凸凹がある子どもたちの、これまでとこれからの仕事」をテーマに、凸凹のある子どもたちが働く10年20年先の未来の仕事について対談します。ぜひご参加ください!【日程】:2022年1月10日(月・祝)/13:00スタート、14:30終了予定【主催】:合同出版株式会社【出演者】:鈴木慶太さん(株式会社Kaien代表取締役)、松本太一さん(アナログゲーム療育アドバイザー)【参加費】:A チケット1000円(教材をすでにご購入の方は割引クーポンをご利用ください。クーポンコード:0110)B チケット5500円(教材代『7歳からできるみんなのハローワークゲーム』込み)※先着150名★★重要事項★★Bチケット(教材付きチケット販売)は、発送手配の関係で12月23日(木)23:55締切です※ボタンをクリックすると各企業・団体等のページに遷移します
2021年12月09日感覚の偏りの4パターンを解説Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン「感覚過敏(過剰反応性)」とは、光や音などをはじめとする特定の刺激を過剰に受け取ってしまう状態のことを指します。逆に、刺激に対する反応が低くなることを「低登録・感覚鈍麻(感覚の鈍感さ)」といいます。どちらも感覚に偏りがあることが原因です。※以下感覚の鈍感さと記述します。感覚過敏があると、多くの刺激を受け取りすぎることによってストレスが増したり、多くの人にとって平気な刺激を過剰に怖がったりすることがあります。また、感覚の鈍感さがあると、遊びの呼びかけの声を聞き逃してしまい、仲間に入れないなど、集団の中でうまく過ごせないことがあります。身体の痛みに気がつかず、病院で手当てを受けるのが遅れてしまうこともあります。このように感覚に過度な偏りがあると、日常生活に支障をきたす場合があります。■感覚の偏りによる困難さは理解されにくい感覚は、個人の主観的なものであり、個々によって刺激の受け取り方はそれぞれです。そのために、感覚の偏りがある人の困難さは、ほかの人からは理解されにくいものです。シャワーをひどく嫌がる、極端に眩しがる、集団で行動するのが苦手であるなど、日常の中で子どもの行動が気になることはあるでしょうか。それは、もしかすると環境の中にあふれる情報や刺激を細かく大量に拾ってしまっていることが原因かもしれません。多くの人が何も感じない場面でも、感覚に偏りがあると、その場所にいるだけで耐えがたい苦痛を感じることがあるのです。感覚の偏りは4つのパターンに分けられる感覚の偏りに関する問題は、その傾向によってパターンに分けて整理することができます。以下に感覚刺激への反応傾向のプロファイリングで使用される4つの分類をご紹介します。なかなか理解のされにくい感覚の偏りについて、客観的な把握をすることで役立てることができるでしょう。■感覚過敏刺激に対して過剰に反応することで、環境の変化やちょっとした刺激も極度に気になるという状態を指します。■感覚回避刺激に対する過剰な反応があるため、刺激のある環境を回避する行動をとることです。■低登録・感覚鈍麻刺激に対する反応が弱く、感覚が鈍い傾向があるとされます。感覚の鈍感さを指します。■感覚探求刺激に対して反応が弱いがゆえに、強い刺激を求める行動をすることです。特性を知り、安心して過ごせるような環境を作っていく感覚の偏り方は一人ひとりさまざまで、症状も多岐にわたります。その子がどのような特性があるのかを理解し、対応方法を見つけていくことが苦痛や困りごとの軽減に繋がっていきます。
2021年12月08日集団生活で自分のペースを保つことが難しいPは…Upload By みん自閉スペクトラム症のあるPが療育園に入園したのは、年少のときです。療育園に入園してからは、毎日長時間クラスの集団の中で過ごすことになりました。クラスが騒がしかったとき、お友だちとおもちゃの貸し借りが上手くいかなかったとき、自分のペースを保てなかったときなどに、癇癪とパニックを起こすようになってしまったP。長時間泣き喚き、自傷や他害の様子も見られるようになってしまいました。私は先生からその話を聞き、母子通園が終わって園で離れて過ごすPに対して、どのように対応してあげたら良いのかと悩んでいました。集団の中で過ごすことがパニックにつながっているのは分かっていましたが、療育園自体は毎日行きしぶりもなく、楽しく通っていたので園を休んでしまうのは根本的な解決策にはならないと思っていました。その後、私はクラスでのPの様子が心配で療育園へ見学に行きました。すると教室の隅に子ども1人が座って入れるくらいのサイズの段ボール箱がちょこんと置かれていました。数日前に先生から「P君がクールダウンできるように、P君専用の箱を作って置かせてもらっています」と電話で聞いていたので、私はそれがPのための箱だと一目で分かりました。安全地帯を作ってもらい、どのような場面でどのように活用していたのか?そして自由遊びの時間、クラス全体が笑い声や泣き声で騒がしくなり、自分のペースを保つことが難しそうだったPは、何かに怒った様子で突然走り出してしまいました。「あぁ…こんな風に気持ちが乱れて不安定になってしまうのか」と思って見ていると、Pの走った先にはあの段ボール箱がありました。Pはその箱の中に一直線。すっぽり入って、自分の服をかみながら落ち着こうとしている様子でした。先生が用意してくれた段ボール箱の中は、Pが好きな色で塗ってあり、好きなキャラクターの絵やシールなども四方に貼られていました。そしておもちゃやぬいぐるみなどもたくさん入っていました。そのような空間で1人で過ごしていたPは、徐々に落ち着き始め、自分だけの力でクールダウンすることができていました。箱の外側にはPのマークも貼ってあったので、「Pの箱」であることをクラスのお友達も理解してくれているようでした。Upload By みん一時的に避難することで、自分でクールダウンができるようになってからは…教室に置かれた一時的な避難場所となる段ボール。ここに入ることで、クラスのみんなと過ごす空間を完全に別にすることなく、同じ空間にいながらも自分のペースを保ち、安心することができていたようです。そんなPでしたが、少しずつクラスの雰囲気にも慣れ、段ボールに入る回数も減って集団で過ごせるようになり、段ボールは徐々に必要なくなりました。そして新年度、新しいクラスになったときには慣れるまでの間段ボールを教室に置いてくれたりもしましたが、何回か箱の中に入ったくらいでした。そのうちほかのお友達と一緒に箱に入って遊ぶようになり、いつの間にかそれは「みんなのスペース」となっていき、P専用の避難所としての箱はもう必要なくなっていました。このような一時避難所的な安全地帯がなぜPに必要で有効だったのか?を私なりに考えてみました。音や視覚の刺激が強い自閉スペクトラム症のPは、集団生活に慣れるまでに時間がかかります。予測できないお友達の声や行動に想像以上にストレスを感じてしまうので、そのような刺激を少しでも遮断し、自分の安心できる場所を確保することで、不安や混乱を減らし、少しずつクラスの雰囲気にも慣れることができたのかな?と思いました。ですが、いつでも避難できるようにするのではなく、先生たちはみんなで一緒に決まった活動をするときや給食のときなどは教室に箱を置きませんでした。クラスで活動するときはちゃんと活動させ、箱に入れるのはあくまでも自由遊びの時間限定というルールでメリハリをつけて使うようにしてくれていました。Upload By みん自閉スペクトラム症のある子にとっての環境配慮の大切さを実感もしそれらの知識のない人が、1人で箱に入っているPを見たら、「閉じ込められてる」「特別扱い」 などと誤解されてしまう場合もあるかもしれません。でも決して誰かに無理やり入らされているわけではなく、本人が必要だと思ったときに自分の意思で入っていました。個々の性格や特性にもよるとは思いますが、自閉スペクトラム症のある子にとって「クールダウンできる環境」をつくってあげるのは、とても大切な配慮であることを理解してもらえたら嬉しいなと思います。執筆/みん(監修:三木先生より)クールダウンできる場所や方法があると思えるだけで、その場にいる安心感がかなり違ってきますよね。箱の準備も素敵ですが、運用にメリハリをつけてくれたのは先生の素晴らしい工夫ですね。
2021年12月06日将来をどう考えておけばいいの?ウチノコ(以下、――):息子のように、自閉スペクトラム症やADHDの診断はあるけれど学習面での困難さをそこまで抱えていない子は、将来の進路は一般就労に向かっていくと考えていたらいいのでしょうか?Upload By ウチノコ三木先生:そうですね、僕は知的な能力が高ければ一般就労を目指していけばいいと思っています。知的障害がある場合は一般就労では難しいケースもありますが、発達障害のある子は環境にフィットして、自分で自分の機嫌がとれさえすれば、凸凹はあっても能力に問題があるわけではないですからね。息子君も、【得意】と【不得意】の差は大きいかと思うのですが【得意】でどれくらい勝負できるかを探っていくといいと思います。――得意で勝負ですか…三木先生:例えば勉強が得意なら、私立の進学校なんてどうでしょうか?――それは…既に不登校を選んでいるので、学校に行かない場合の私立の授業料を考えてしまって(苦笑)三木先生:でも、今彼が学校に行かない理由の周りのがやがやした騒がしさが嫌だとか、授業中の待ち時間が嫌だとか、そういったものが解消できる環境なら案外合うかもしれませんよ? 私立の男子校の中には、息子君と同じような特性のある子も意外と多いのではないかと思います。理解のある学校であれば、落ち着けるような環境をつくってくれるかもしれませんよね。Upload By ウチノコ――そうかもしれませんね!三木先生:息子君の場合、勉強も進路も本人に合っていれば楽しく取り組めて、ご機嫌で過ごせるでしょう? ご機嫌でいられると、易刺激性や感覚過敏なんかもそこまで顕著に出ないんですよね。当然、程度にはよりますが、今までは無理だった環境下でも過ごせるようになったりね。合う合わないはあるだろうけど、進路として検討してみてもいいのかもしれないと思います。それに、そもそも大人に近くなってくると感覚過敏なんかは今より軽減されるというか、丸まってくるものなんですよね。加えて、認知的な理解でもコントロールできるようになってきます。例えば、急によく分からない水の音が聞こえてきたら気持ち悪い。だけど何の音なのか確認して理由が分かれば気にならなくなるじゃないですか。感覚ってある程度までは認知で調整することができるものなんです。だから成長して見える範囲が広がる、理解できることが増えて理解の深さも出てくれば、おのずと今しんどさのある音などへの過敏やこだわりなんかも多少軽減されてくるだろう。そうすると、大人になったころにはある程度落ち着いて暮らせるようになる、という見通しは立てられるようになるのでそこを目指していけたらいいですね。Upload By ウチノコ――なるほど…確かに8歳の今でさえ、以前よりも感覚過敏は落ち着いてきました。三木先生:さらに将来についても、今の時代は認知機能が高ければ就ける仕事が増えてきていますから。外資家のコンサルや証券なんかはわりとロジカルで頭が良い人が活躍されているでしょう。研究者なども、自分の興味をとことん追求するといった特性を生かして活躍できるかもしれません。勉強を頑張っていってもいいし、ほかの分野でも好きそうな興味のあることをガンガン伸ばして、得意で勝負していくことがこれからできることなんだと思いますよ。――ありがとうございます。ただ、息子の場合は学校へ行かないケースも考えておかなきゃと思うのですが…三木先生:そうですね。僕は学校の目的って授業とそれ以外って話をよくするんですけど。究極、勉強と友達(社会性)を学びに行くところなので、その2つができるなら場所は学校でなくてもいいと思うんです。ほかにも、決められた場所で、決められたことを、言われた通りにやる。っていう目的もありますが、それが息子君は苦手ですよね。今の時代、この目的の重要性は落ちてきているようにも感じます。なので、とにかく勉強と社会性の2つをどう担保するのかを考えながら次のステップの進路を考えてもらうといいのかなと思います。まあ正直、学校に行くというのが一番手っ取り早いんですけどね…(笑)――うん、学校楽ですよねー(笑)三木先生:そう、楽なんだけど。息子君のように合わないなら自力でそういうリソースを探して、経験や体験を担保していく感じかなぁ。それをずっとやっていたら、たまに学校行ってないけど起業したよ、なんて人のパターンも聞きますよね。今息子君は8歳だから、就職は15年後とかですよね。そうなると企業の採用の感じがどう変わっているかすらわからないですからね。――必要とされる人財の条件が、現在と同じとは限らないのですね。三木先生:はい、就職も正規ルートじゃなくて、変わったルートもありますからね。好きなことを通して縁があった人に「君、面白いからウチの会社に来てよ」と採用されちゃったとか。学校行かなかったけど大検受けて、大学行って好きなことやっているうちに会社になっちゃいましたなど、息子君の場合はそっちの方がイメージがわくかもしれませんね。Upload By ウチノコ――ああ、確かに。大学は行く気がするのですが、高校は微妙だなと感じているんです。三木先生:その場合、費用はかかるかもしれませんが、通信制高校など、特長あるコンテンツを持っている場所を探していくことが合っている気がしますね。社会性のほうも子どもと関わるだけでなく、彼を面白がってくれる大人の中のほうが過ごしやすい時期だってあるかもしれない。その中で新しい刺激を受けて、何か目覚めることもありますからね。「やりたいことをやるためには、興味のないこともやらなくちゃ!」という所にたどり着けると、嫌いなことや苦手なことにも必然性を感じて学んでいくかもしれません。Upload By ウチノコ――なんだか将来が明るくなった気がします。具体的にいろいろとありがとうございました!あとがき先のことがどうにも霧の中でしたが、何をするかではなく、目的をどこに置くかを明確にして考えていけばいいのだなと感じました。自分の歩いてきた道しか知らない私ですが、もっと視野を広げていろいろな事を知り、考えていけたらいいなと思っています。執筆/ウチノコ
2021年12月05日お友達への好きな気持ちがあふれ出るミミUpload By taekoASDのあるミミは小学2年生。小学1年生のころから同じクラスのYちゃんのことが大好き! 好きな気持ちが態度にあふれ出ているので、クラス中が知っているようです。学校から支給されたタブレットで撮影したYちゃんとの写真を家でもときどき私に見せてくれます。Yちゃんのことを話してくれるミミ、とっても嬉しそう。お友達に突然のハグ⁈ある日、ミミは「Yちゃんにギューしちゃった」とYちゃんに突然ハグしたことを話してくれました。私は、ギョッとして「え!急に?そのあとYちゃんはどうしたの?」と聞きました。ミミは「逃げちゃった」と…。ミミは好きな気持ちを素直に表現しているのですが、急にハグされたら相手はびっくりしてしまいます。ミミに「そっか、きっとYちゃんびっくりしちゃったんだと思うよ。またギューしたくなったら、『Yちゃんのこと大好きだからギューしていい?』って聞いて、Yちゃんが『いいよ』って言ってくれたらにしようか」と伝えました。そのあと、私が見本になるように「ミミ、ギューしていーい?」と聞いてからハグしました。Upload By taekoまた、別の日は…ミミが学校から帰ってくると「Yちゃんのことキライ!」とプンプン怒っていました。どうしたのか聞いてみるとYちゃんがクラスの男の子と楽しそうに話をしていたそうです。ミミの心に湧いてきたヤキモチが「キライ」という表現になったのだと思います。ミミはこんなときどう考えたら良いか、自分がどんな気持ちなのか、まだ混乱してるのかもしれないなと思いました。Upload By taeko数日後「キライ!」なんて言っていたけど、やっぱりYちゃんが大好きなミミ。その日、学校から帰ってくると「今日Yちゃんのこといっぱいタッチしちゃった」と話してくれました。“タッチしちゃった”は気になります…。ミミは特性からか「好き」という気持ちをストレートに表現してしまうのかもしれません。私は、ミミが通っている通級の先生と、放課後等デイサービスの先生に最近のエピソードと「お友達との距離感を学べるような活動を取り入れてもらいたい」と言うことを伝えました。好きな子がいることは良いことだし、ヤキモチも成長の現れかなと思います。何より、大好きなお友達のことを幸せそうに話すミミに私も癒されています。ただ、突然のハグやタッチは相手もびっくりしてしまうので、お友達と過ごす中で相手も心地いい距離感が分かっていってくれたらいいなと思っています。Upload By taeko執筆/taeko(監修:初川先生より)好きな人がいる。すばらしいことですね。ただ、その距離感については注意が必要です(相手もまだ子どもですし、好意ゆえといっても、ぎゅーっとくっつかれたり、タッチされたりすることが嫌だったり怖く感じたりすることがあります)。taekoさんが提案されたように、〈許可を取る〉のも一つのやり方ですね。相手が合意したらぎゅーっとしてもいいよ、でもダメと言われたら「そっか!」と言ってすぐ引き下がる…というところまでして練習おきたいものです。そして、そういう相手の出方によって行動を変えることが難しい場合には、〈お友達との距離は指先からひじまでの距離を取る〉つまり“小さく前へならえ”の距離は離れておくのが人付き合いのマナーなのだ、ということを教えるのも一つかなと思います。お子さんの理解度や年齢によってもそのあたり工夫できそうです。また、ヤキモチをやいたということ。嫉妬という気持ちも大事な気持ちですね。まだ2年生だとどこまで感じ分けることができるか難しいところですが、嫉妬について「好きな子がほかの子と仲良くしていて〈悔しかった〉〈悲しかった〉」というように、単に〈怒り〉だけではなく、〈悔しい〉〈悲しい〉あるいは〈つらい〉などもう少し細やかな気持ちの言葉を教えてあげるチャンスかと思います。ぜひそうした気持ちの言葉を教えてあげてください。こういった気持ちの言葉についてでは、〈恥ずかしい〉という気持ちも〈怒り〉あるいは〈嫌〉として表出されやすいので、チャンスがあったら教えてあげるとよいかと思います。
2021年12月04日ドキドキしながら児童発達支援センターへ電話2歳になったころから本格的に気になっていた娘の発達。いつか追いつくかもしれないという淡い期待と、現実を知るのが怖いという理由から、なかなか相談をする勇気が出ませんでした。そして娘が2歳10ヶ月のころ。ついに相談する決心がつき、ドキドキしながら電話をかけました。※児童発達支援センターは、地域や種類などによって機能に違いがあります。詳しくは、お住まいの地域にお問合せください。Upload By とまぱんUpload By とまぱん相談員さんに娘の心配ごとを一通りお話しし、児童発達支援センターに出向く日にちが決まりました。自分の悩みを伝えることができてとてもスッキリしたのと、私の悩みを否定することなく明るく聞いてくれて安堵したのを覚えています。ソーシャルワーカーさんからの聞き取りいよいよ娘と児童発達支援センターへ。当日ソーシャルワーカーと呼ばれるスタッフさんから聞き取りがありました。聞き取りはこのような内容だったと思います。●出生時の様子●歩き始めた時期などの発達具合●食生活(好き嫌い)などなどソーシャルワーカーさんから聞き取りをされている間、娘はおもちゃで真剣に遊んでいました。子どもを見守るほかのスタッフさんもいましたが、スタッフさんとは遊ばずに一人で黙々と遊ぶ娘。しばらくしてスタッフさんが娘をくすぐるとキャッキャとうれしそうにしてました。スタッフさん「可愛いわね~!きっと泣いても可愛いんだろうね」スタッフさんはそう言ってくれましたが、泣いたら人一倍手に負えない娘。私は心の中で「泣いたら決して可愛くないんだよな…」と思いました。聞き取りが終わり家に帰ろうとしたとき。娘「ぎゃーーー!!」まだおもちゃで遊んでいたい娘は、大声をあげてひっくり返りました。娘の暴れように息を飲むスタッフさんたち。スタッフさんたち「これはお母さん大変だわ…!」初めて誰かにつらさを共感してもらい、危うく泣きそうになりました。医師の診察前回の聞き取りから2ヶ月後、次は医師の診察。娘、夫と私の3人で行きました。部屋に入ると医師の前にある椅子にストンと座る娘。Upload By とまぱん子どもに人気で娘も大好きなとあるアニメキャラクター。娘は、ほかのキャラクターの名前は言えるものの、なぜかこのキャラターは2歳半を過ぎても言えなかったのです。Upload By とまぱん「○○はどこ?」といった質問はすべて指差しで答えていました。いくつか娘に質問をしたあと、次は私たちに質問をしました。指差しはいつごろだったか、友達と遊んだりはするか、などなど。最近の娘のことは答えられるのですが、昔のことは覚えておらず、ほとんど感覚で答えてしまいました。あとで過去の写真を見て調べてみると、1歳前半でできてたものを2歳と言ってしまったり、たびたび誤って答えていたことが判明。診察前に、娘の発達具合を赤ちゃんのころからちゃんと振り返っておけば良かったと後悔しました。発達具合はどれくらい?発達検査と結果医師の診察からまた1、2ヶ月後、発達検査を行いました。家では椅子に長い時間座っていられないので、当日はちゃんと検査ができるか心配でした。心理士さんは娘の気がそれないよう、明るく声をかけながら進めてくれました。「これはなに?」といった言葉で答えるテストは2つしか答えられず。それ以外のテストは娘なりに頑張ってやっていました。私は娘の様子を横で見ていたのですが、これはできそうだというものが意外にできなかったり。これはできないだろうなというものが意外にできたり。娘の知らない面を見ることができました。検査から1ヶ月後、検査の結果が出ました。全体的な発達指数はやはり平均以下という結果に。娘の発達具合は平均より10ヶ月の遅れとなりました。心理士さんは関わり方のアドバイスと娘の苦手とする部分を教えてくれました。ついに医師からの診断結果発達相談の電話をしてから半年後、やっと診断結果が出る日がやってきました。ちゃんと冷静に聞ける自信がなかったので、夫と二人で行き、娘は夫の両親に預けました。緊張しながら部屋に入ると医師からはひとこと。Upload By とまぱん心理士さんからアドバイスなどはされましたが、診断名が出るのかなどの話はしませんでした。私はいくつか医師に質問をしました。私「娘は軽度知的障害ということでしょうか」医師「現在の指数的にはそうです」私「今後、指数が上がる可能性はあるのでしょうか」医師「あります」そして私はずっと気になっていたことを質問しました。私「娘は自閉スペクトラム症でしょうか?」医師「違います」医師からはこのときこう言われましたが、現在通っている療育の先生いわく、自閉スペクトラム症の特徴はいくつか見られるとのこと。診断名がつく段階ではないけど特性がある、いわゆる発達障害グレーゾーンなのかなと私は思っています。話は戻り、続けて療育の話になりました。医師「療育は希望しますか?」私「はい、やっぱり言葉がゆっくりなので通わせたいです」医師「それでは週3・1回あたり1時間、民間の個別療育を行うといいでしょう」こうして娘は週に3回、幼稚園と併用して療育に通うことになりました。4歳になった娘は今娘は今、幼稚園の先生やお友達、療育の先生に支えられながらたくさん成長しています。言葉も驚くほど増えました。入園当初は行きしぶりが激しく、時々休ませながらマイペースに行かせていました。今も幼稚園や療育に行きたくないと言う日もありますが、娘なりに気持ちを切り替えて頑張っているようです。娘の発達を一人で悩んでいましたが、あのとき勇気を出して相談して良かったと思います。周囲の力を借りて子育てしてもいいんだと気づかされました。発達のゆっくりな部分だけどうしても目に入ってしまっていましたが、気持ちにゆとりが生まれた今。娘には長所もたくさんあることに気づかされました。診断あるなしにかかわらず、これからも娘の性格や特性を尊重しながら向き合っていけたらと思います。執筆/とまぱん(監修:井上先生より)お子さんの発達が気になってから相談機関に電話をかけるまで、多くの親御さんが悩んだり不安な気持ちと葛藤したりされると思います。とまぱんさんも、電話をかけるときや医師と初めて面談をされる診察場面では、不安や緊張があったことが伝わってきました。早期の療育は子どもの発達に有効であると言われています。発達障害などの診断がなくても、地域の発達相談で療育機関につないでもらうことができますので、気になる方はお問合せされると良いと思います。
2021年12月03日発達障害のある子どもにどんな対応をすればいいのか私は児童精神科医として30年以上、発達障害のある子どもたちの診察を続けてきました。今回は、発達障害のある子どもの育て方を考えるきっかけとして、3つのクイズを用意してみました。お子さんをイメージして「うちの子の場合は」「自分だったら」と考えながら、答えを選んでみてください。Q1. 集団遊びに入ろうとしないときは、どう対応する?幼稚園に、いつも一人で遊んでいる子どもがいます。みんなで園庭に出て遊ぶとき、ほとんどの園児は自然に集まってボール遊びなどを始めますが、その子どもは一人で虫を探したり、葉っぱを集めたりします。クラスメートや先生に誘われても、集団遊びに入ろうとしません。どんな対応をすればよいでしょう?A1. 全員参加型の遊びを企画して誘うA2. その子の興味を引けるよう、いろいろな遊びに誘ってみるA3. 一人で遊びたい気持ちを尊重する出典 : 親や先生は一人遊びをしている子を見ると、「友達づき合いが苦手なのかな」「どうすれば、みんなと仲良く遊べるようになるだろう」などと考えてしまいがちです。でも、「楽しく遊ぶこと」と「仲良くすること」は分けて考えましょう。遊びの目的は「楽しむこと」です。「仲良くすること」ではありません。楽しく遊んでいるうちに、気の合う仲間と親しくなることがありますが、それはあくまでも結果です。最初から仲良くしようとして遊んだわけではありません。遊びの場面では「楽しむこと」を大事にしましょう。というわけで、正解は3です。子どもが一人で虫を探したいと思っているのなら、その思いを尊重してあげてください。ただ、2のような対応も決して悪くありません。いろいろな遊びに誘ってみると、子どもが興味を示すこともあるでしょう。そうやって遊びの幅が広がっていくこともあります。無理やり誘うのはよくありませんが、声をかけるのはよいと思います。1の全員参加型も、機会をつくること自体はよいのですが、強制参加にならないように注意しましょう。Q2. 一人だけ先に給食を食べてしまうとき、どう対応する?小学生の例です。給食のときに、ある生徒は、一人だけ先に食べ始めてしまいます。先生には「みんなの準備が終わって、全員そろって『いただきます』と言ってから食べるんだよ」と言われていますが、自分の分が準備できると、つい手が出てしまいます。どんな対応をすればよいでしょう?A1. イラストや写真で手順表をつくって、それを見せながら教えるA2. マナーを覚えていけるように、何度でも同じことを教えるA3. 別室で待機してもらい、給食の準備が終わったら呼んでくる出典 : おすすめの対応は1と3です。口頭で何度も指示をしても伝わらない場合、1のような形で別の伝え方をしてみるとうまくいくことがあります。発達障害のある子どもには、話し言葉よりも書き言葉やイラスト、写真などのほうが理解しやすい場合があります。また、暗黙の了解を察するのは苦手だけれど、しっかり説明されれば理解できるという場合もあります。いろいろな伝え方を試してみてください。2のように、じっくりと対応するのもよいのですが、話し言葉を聞き取るのが苦手だったり、聞いて覚えても時間がたつと忘れてしまったりということもあります。何度試しても難しい場合には、別の方法に切り替えたほうがよいでしょう。3は一見、教えることを放棄した対応のように見えるかもしれませんが、これもひとつの正解です。教わったことを忘れてしまう場合や、好きな食べ物が目の前にあると衝動に負けて手が出てしまうケースもあります。その場合には環境を変えるのも一つの対応法になります。発達障害のある子どもは、さまざまな困難があるから、発達障害だと診断されます。何度教えてもうまく伝わらない場合には、「この子にとってなにが難しいのだろう」「どんな伝え方をすれば理解しやすくなるのだろう」と考えることが大切です。そうやって考えていった結果、伝え方ではなく環境を変えようというのも、一つの解決策になるわけです。「環境を変える」という意味で言うと、私は「みんなで一斉に食べ始める」というルール自体を変えてしまってもいいのではないか、とも思います。Q3. 勉強が苦手で宿題に時間がかかる場合の解決策とは?勉強が苦手で、宿題にすごく時間がかかってしまう小学生がいます。親や先生にいろいろとサポートしてもらってもうまくいかず、鉛筆を持つことさえ嫌になってしまいました。子どももストレスを抱え、親や先生もイライラするようになってきています。どんな解決策があるのでしょうか?A1. 親も疲れてしまうので口出しをやめて、本人のペースを見守るA2. 難しすぎるので親が手伝うA3. 宿題が多すぎるので、親から先生に「減らしてほしい」と相談する出典 : おすすめの対応は3です。この場合、子どもはなにも悪くありません。宿題の設定の仕方に課題があります。宿題が適切な量や難易度で出ていれば、子どもは30分もかからずにパパッと済ませられるでしょう。宿題に時間がかかり、鉛筆を持つことさえ嫌になるということは、宿題の設定を見直すべき状態です。3のような形で先生に宿題を減らしてもらうか、それが難しければ、親が宿題の量を調整することも考えましょう。私はそもそも子どもたち全員に同じ量の宿題を出すことは意味がないと思っています。勉強が好きであれば、宿題がなくても自分から勉強するでしょう。勉強が嫌いならば、宿題が負担で勉強がさらに嫌いになってしまうかもしれません。「宿題はいらない」という解説を読んで、みなさんは「そうは言っても勉強はしっかりさせなくては」「宿題で学習習慣をつけることは大事」と感じたかもしれません。確かに、常識的に考えればそうでしょう。「着替えや食事のようなことはあとで学んでいけるけれど、勉強で遅れが出てしまっては将来に響く」と考える人もいるかもしれません。しかし私はそのような考え方を聞くと、「まずは身のまわりのことを教える必要がある」と思います。子どもにとってもっとも大切なのは、基本的な生活習慣です。発達障害のある子どもの場合、生活習慣は特に大事です。着替えや食事などの基本的な生活習慣を自分なりにできるようになっていかないと、それこそ将来に響くと考えています。発達障害のある子どもにとって、一番大事なことクイズと解説のなかには「給食に手が出てしまうなら別室で待機する」「宿題が嫌なら量を減らす」といった、やや極端な対応法も紹介しました。そんな極端に思える対応の根底にあるのは「子どもを主役にする」という考え方です。発達障害のある子どもには、さまざまな特性があります。大多数の子どもたちと同じやり方をしていては、うまくいかないこともあります。そんなとき、親や先生が常識的なやり方や、大人がよいと思うやり方を優先して、子どもに無理をさせていては、その子どもはいつまでたっても自分らしいやり方を見つけられないのではないでしょうか。発達障害のある子どもの個性はさまざまです。このような解説を参考にしながら、使えそうなアイデアをピックアップしてみてください。
2021年12月02日オンラインで開催された合同学術集会「つながる」ダウン症を発見したジョン・ラングドン・ダウン博士の誕生日が11月18日であることから、日本ダウン症会議は11月中旬に開催されます。2017年の第1回から2年ごとの開催で、今回、第3回を迎えました。今回は初のオンライン開催。そして、第44回日本小児遺伝学会学術集会・第3回日本ダウン症学会学術集会とともに3会の合同学術集会「つながる」として、2021年11月12日(金)~14日(日)の間、開催されました。埼玉県立小児医療センター遺伝科の大橋博文先生による、大会長講演「先天異常症候群の包括的支援」から内容を要約・抜粋します。大会長講演より「病気について知ったときの不安や孤独を解消していくのは支援と『つながる』こと」先天異常症候群、遺伝的な疾患はほんとうにさまざまなものがあります。埼玉県立小児医療センター遺伝科で2005~2015年に初診があったのは3518名、そのうちダウン症候群は934名でした。一方で、希少疾患に関しては、年間に1人しかいない病気や、診断がつかない病気も少なくありません。もちろん、個々の疾患の治療法も大切ですが、同時に療育(医療)や、さらには地域・社会資源とどうつながっていくのか、ということが課題となります。埼玉県立小児医療センターでは、病気が分かったときの病院の対応についての調査をしています。病院側の対応について、不満があると答えた保護者は約50%に上ります。また、体の合併症などについては、約8割の人が不安には感じているけれども、ほしかった情報に関しての順位は低く(回答は4割以下)、つまり、疾患そのものの情報提供はあるけれども、保護者の多くが知りたいのは、今後の心身の発達がどうなっていくのか、育児や療育の情報について、だということが分かります。このことから同医療センターの取り組みとして、1989年(平成元年)から始まったのがダウン症候群総合支援外来(通称DK外来)です。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、臨床心理士といったスタッフによる勉強会、家族交流会などを実施して、生後1年にわたるサポートをしています。このDK外来の参加者アンケートでは、「ダウン症のある子がたくさんいて、その親もたくさんいて、自分だけじゃないと思い、悲しさが薄れました」という声があがっています。一人ではないことが分かり、「つながる」ことで不安がなくなっていくということが伺えます。さらに、ダウン症以外の障害のある子育てをしている保護者グループとの連携をとることで、活動の幅は広がっています。不安と孤独を埋めてくれるのは、周りの人たちと「つながる」ことなのです。本人発表より「コロナ禍で、『つながる』ことで元気づけられるのは、ダウン症がある人たちも同じ」日本ダウン症会議では、第1回開催から、ダウン症のある当事者が、自分の言葉で発表をする場があります。今回の合同学術集会でも、東京学芸大学教育実践研究支援センターの橋本創一教授が座長となり、今回は3名の発表者を迎えました。発表のあと、それぞれ橋本先生との一問一答があります。Upload By 発達ナビ編集部矢野裕奈(やのゆうな)さんは、千葉県の15歳。中学3年生です。毎日楽しく通学し、部活は園芸部、趣味はダンス、カラオケ、乗馬。また、劇団「人の森ケチャップ」での活動をしています。さまざまな個性をもつ人たちと、一緒に踊ったり舞台に立つことが楽しく、それ自体が「まぜこぜの社会」の実現であることについて、写真スライドを映しながら発表しました。「私は、大好きなことに囲まれて幸せです」と話してくれた一方で、コロナ禍になって、会いたい人に会えなくなったり、会えないままのさようならも経験したりしたそう。感染拡大はとても悲しいこと。それでも、自分に起こっていることはガマンできるから、「私ができることを頑張りたいです」と結びました。矢野裕奈さんと橋本先生との一問一答より橋本創一先生(以下――)自分のことを強いと思いますか?弱いと思いますか?裕奈さん:強いです。――どんなところが?裕奈さん:コロナに勝つために、みんなのために予防すれば私は強いと思います。――高校生になったら、どんなことがしたいですか?裕奈さん:高校生になったら、勉強を頑張りたいし、お芝居も続けていきたいです。Upload By 発達ナビ編集部恒矢信輝(つねやのぶてる)さんは、三重県に住む27歳。障害者2名でのシェアハウス暮らしは5年目に入りました。マンションの一室で、ヘルパーの支援を得て自立生活しています。就労支援継続B型作業所まで電車で通勤し、野菜の水耕栽培に従事。スペシャルオリンピックスでは馬術の選手で、競泳、テニスなどもしています。また、ピアノとミュージックベルでのイベント出演も楽しんでいます。発語がない信輝さんに代わって、発表は母の景子さんがサポート。普段の生活の様子を記録した動画なども上映しました。食事の支度などはヘルパーさんと一緒にしますが、料理をする中でうまくできたことをほめられると、とても印象的な笑顔が見られます。実はお母さんがいないときのほうが、のびのびしているという姿が見られ、自立心のあらわれでもあることが伺えました。恒矢信輝さんと橋本先生との一問一答よりふだんはマカトンサインや手話でコミュニケーションしているため、橋本先生からの質問に対する回答を景子さんが選択肢を指で示し、信輝さんが選ぶという形で進行。――一人暮らしは楽しいですか?信輝さん:楽しい。――どんなところが楽しいですか?信輝さん:「母がいないこと」(「私(母)がいないこと」、「食べること」、「一人で過ごすこと」の選択肢からの答え)。――一人で暮らすのはいいですね。ビデオを見ていても、びっくりするくらい一人でできることが増えていて素晴らしいと思いました。Upload By 発達ナビ編集部金子衛(かねこまもる)さんは、東京都に住む24歳。会社員として、野菜の栽培の仕事をしています。収穫した野菜を持ち帰るときもあり、家族が喜んでくれるのが嬉しいそう。習い事は、ヒップホップダンス、習字、ピアノ。趣味はバドミントン、料理、映画観賞、音楽を聴くこと。「僕の毎日は楽しいことであふれている」と、趣味や習い事を楽しむ姿の写真スライドとともに発表したあと、金子さんは、ご自身が入院したときの経験を発表しました。昨年1月と7月と2回腸捻転を起こし、2度と起こさないようにするために手術となり、3週間近い手術入院を2回することになりました。親の面会もできないなか、どう乗り切ったかについて発表しました。入院を乗り切れたのは、やさしく接してしてくれた看護師さんや先生の存在、家族やダンス仲間からの励まし、大好きな乃木坂46、洗濯物を届けてくれたお母さんに会えた数分間などでした。こうした経験から、入院して孤独で不安なときに大切なこととして、「人とのつながりが元気をくれるということ、大好きなことがあると、大変なことを乗り切れるということ。もし、入院するときは、好きなものを持っていくことをおすすめします」とまとめました。金子衛さんと橋本先生との一問一答より――2回の入院大変でしたね。「つながる」ことの大切さ、よく分かりました。衛さん:つらかったです。――今日の発表は誰に見てほしいですか?衛さん:みんなです!(いい笑顔)――ところで、一人暮らしはしてみたい?衛さん:それはありません(きっぱり)。おうちがいいです。大変です。洗濯物とか、家事とかあるから。おうちでも(家事は)やってるけど、一人暮らしは大変だと思います。3人の発表後、橋本先生からは、今、ダウン症のある人について研究するという時代はそろそろ終わり、これからはダウン症のある本人や家族が、どういうことを研究してほしいかという段階に入っている、とのまとめがありました。「こうした本人の発表を通して、どんな自己理解をされていて、自己実現をしているのか。障害のあるなしに関わらず、ダウン症のある人もない人も、どうやって豊かな生活を営んでいきたいかが大切です。それを支えるためには、どんな課題があるのかを研究するためには、本人からの発信に常に耳を傾けていかなくてはいけないでしょう。話し言葉で表現するのが苦手な方が多いので、まわりの家族や私などが先回りして言ってしまうと、「うん」「そう」「はい」と答えてしまうこともあるので、ほんとは違うことを思っている場合もあるとは思います。こうしたご自身の言葉での発表は、そのまま問題提起となり、私たちはさまざまなことを考えさせられます。今後研究していくべきことを、提供してもらったと思っています」市民公開講座より基調講演、作家・岸田奈美さん「ダウン症のある弟が越えるべき壁を自分の壁にしてはいけないと思った」Upload By 発達ナビ編集部作家・岸田奈美さんは、母のひろ実さんが車椅子ユーザー、弟の良太さんはダウン症があり、お父さまは奈美さんが中学生のときに他界という家族構成。てんやわんやの日常を切り取り、ときに泣かせ笑わせるエッセイが人気です。「100文字ですむことを2000文字で書く」というキャッチフレーズ通り、豊かな表現で読む人の共感を呼ぶ文章を書く作家ですが、基調講演でもその饒舌ぶりが発揮されました。Upload By 発達ナビ編集部「私は特殊な家族で、平凡な日常を送っています。岸田みたいな人間もいるんだと思ってください。岸田みたいじゃなくてよかったなと思って聞いてほしい!(笑)」という言葉から始まった基調講演。3冊の著作『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』、『傘のさし方がわからない』、『もうあかんわ日記』に収録されている家族を巡る数々のエピソードを、関西弁まじりのご自身の言葉でライブ感たっぷりに語りました。笑いと涙と、どんなにつらい経験だったろうと想像しがたいエピソードもたくさんありました。良太さんがいかに、周りの人から愛されている存在なのかは、エッセイの端々に表れていますが、そういう存在になったのも、「言葉でのコミュニケーションがほとんどできない弟に、母が『ありがとう』『ごめんなさい』『こんにちは』だけはしっかりと覚えさせていたから。人見知りのお姉ちゃんより、味方をつくっているんです」と話していました。講演後、市民公開講座の司会の長谷部真奈見さんとの対話の時間がありました。Upload By 発達ナビ編集部長谷部真奈見さん:最新の本『傘の差し方がわからない』のエピソードで「60歳になったときの自分の姿が見えなかった」というところ、しみじみと読みました。奈美さんが、母と弟と離れて暮らす姿を思い浮かべることができなかった、とありました。私自身も、今小学生のダウン症のある娘と、いつか離れて暮らすなんて考えられないと思ったんですよね。岸田奈美さん:悲しいですよ、やっぱり。私が先に死んだらとか、弟が死んだらどうしようとか、順番からしても母は私よりも先に亡くなるだろうし、とか…何回想像しても何回でも悲しいです。ひとりぼっちだったらとは思うけれど、それは私がどれだけ考えても、どうにもならないことなんです。お金を残すとか、弟にとっていい場所を見つけるとかはできますが、それ以上は限界があります。だから、弟が越えるべき壁を、自分の壁にしちゃだめだなと思ったんです。弟がさみしい思いをするとか、ひとりぼっちになるということは、彼が人生の中でぶち当たる壁なんです。それを私が先回りして、弟にとっていい環境ばかりを用意していたら、彼にとってよくない環境に出合ったときに、自分で助けを求める力を奪うことになるんじゃないかと、思ったんです。弟が大好きだから、弟がつらい未来は考えただけでつらい。でも、私が一生家族のめんどうをみることが大事なんじゃなくて、自立と言うのは、できるだけ依存する先を増やしていくことだと思うんです。味方を増やしていく。私がエッセイを書いているのは、味方を増やすためという一面もあるんですけど、もし私が死んでも、ひとりぼっちになった弟を見て、「あれは奈美さんとこの弟じゃないか」と声をかけてくれるかもしれない。それだけでいいんです。あとは弟がそれまでに培ってきた人生を、しゃべれないなりに人と関わってきた人生を、信じるしかない。できるだけ傷ついてほしくないけど、彼が傷つく機会を奪ってはいけないと思っています。まとめ日本ダウン症会議をはじめとする今回の合同学術集会を通じて感じられたのは、障害のある人たちが成長して成人期になったときに、自分らしく自立して生きていくためには、周りの人の考え方、環境がとても大事であることでした。その人の、できないことを克服することに焦点を当てるのではなく、その人ができることをできるだけ伸ばすこと、そして周りの人と「つながる」こと。障害のあるなしにかかわらず、子どもの将来を考えたときに不安は尽きないものです。でもその不安を超えさせてくれるのは、やはり「つながる」というキーワードなのでした。合同学術集会「つながる」ホームページ全日程プログラム、演者一覧
2021年12月01日保育園では見れなかった日中の息子Upload By まる息子の通っている療育は親子で通園し、一緒に活動する。保育園とは違い日中の息子の様子が見れるのだ。先生やお友達に対して、教室ではどういった行動を取るのか私は少しワクワクしていた。「発達の遅れ」と言われても、子育ては初めてだしコロナ禍で出掛けられずほかの子と比較することもできないので、どの程度遅れているのか実際よく分からなかった。息子は人見知りや場所見知りがあまりない性格なので、療育で過ごすことにはすぐに慣れた。初日から、ママが見えるところにいれば勝手におもちゃで遊び、悠々自適に過ごしている。楽しそうでなにより。自由すぎるけど。先生やお友達には興味はないようで、ただひたすら1人で遊んでいた。ただ周りの子も同じような感じなのでそこは気にならなかった。動く!逃げる!怒る!泣く!リトミックが嫌な息子Upload By まる園に着くと、決まった時間まで自由時間でさまざまなおもちゃで遊べる。それが終わるとお片づけをしてリトミックの始まり。リトミックはみんなで輪になって音楽に合わせてダンスを踊る。ちなみに子どもたちが覚えるように、ほぼ毎週同じ曲をやる。まぁこれはできないだろうな…と思っていたが、予想通りまったく参加しない息子。リトミックが始まると片づけたおもちゃをほしがる、とにかくフラフラどこかへ行く、教室から出せと泣く怒る。保育園からリトミックに参加しない、集まって絵本を読むときなども座っていられないという話は聞いていたが、聞くのと見るのとではまったく違う。実際この状況を目の当たりにして「分かっていたけどうちの子って…もうすぐ3歳になるのにこういうことができないんだ…」と改めて実感した。同じクラスの子どもたちも、息子とたいして変わらずほとんどリトミックに参加していなかったが、1人だけちゃんと参加できている子がいた。多分この子がこのクラスの中で1番定型発達に近い存在なんだろうな…とうらやましくも思った。リトミックに続いて行う親子体操(子どもを膝に乗せて行う、バスに乗ってなどのふれあい体操のこと)も、まったく参加せず。泣いて暴れて母の元から逃げていく。親子体操に関してはおとなしく抱っこされてできている子どもが多かったので、「療育でも1番できていない…ああほんとに…うちの子はほかの子とは違うんだな…」と感じざるをえなかった。座っていられないUpload By まるリトミックと親子体操が終わると、次は椅子に座ってお名前を呼ばれたり絵本を読んだりの時間。もちろんこれも座っているはずがない。教室から逃げ出そうとして泣いたり、先生が読んでくれている絵本にこれでもかと近づいて邪魔したり、椅子に座ろうと促されて怒って泣いたり。息子を追いかけたりなだめたりと先生が率先してやってくれてはいるが、療育が終わるころには私は心身共にぐったりしていた。座れないでフラフラしているとは聞いていたけど、これほどとは…。保育園の先生たちも大変だろうな。親子通園で見えてきた現実Upload By まる療育に親子で通いだし、息子の日中の様子が知れたことで現実が見えてしまった。いや、早めに知ることができてよかった。それまでは「療育」という中に入れば息子はある程度できるのかと思っていた。しかしそんなことはなかったし、そういうことでもなかった。それぞれに発達の凸凹があるから「うちの子が1番できない、あの子はできる」と言うことではなく、みんな得意不得意がさまざまなので比べようがない。まだ診断が出ていない時期だったが、一つ分かったことは「わが子は発達障害だろう」ということ。発語がないことやコミュニケーションの取り方、動きのさまざまなところで感じざるをえなかった。療育に通い始めたときは、リトミックや親子体操など逃げて泣いて大変だったけど、今では楽しそうに教室内をフラフラしている。いまだにリトミックは踊らないけど親子体操は多少やらせてくれるようになったし、椅子にもたまに座ってくれるようになった(好きな絵本があるときなど)。とにかく常に楽しそうで、当時の泣いて怒って教室から逃げ出していたことをすっかり忘れていたほどだ。私の心境も変わり、「こんなこともできない」から「こんなことができるようになった」と見方を変えられるようになったと思う。執筆/まる(監修:鈴木先生より)家庭だけではわかりませんが、集団に入って初めて我が子のつまずきに気づくことが多々あります。今回のような療育でわかることもあれば、保育園や幼稚園などでわかることもあります。集団に参加できない理由は何なのか?音なのか?人なのか?道具なのか?ほかにやりたいことがあるのか?眠いのか?…。以前にも書いたように、”Not unable, but able” なのです。その子に何ができないかではなく、何ができるかを見極めることが重要です。理解のある療育や園では、そのお子さんにできることを伸ばしてくれます。担任との相性&担任の発達障害(神経発達症)に対する理解次第です。
2021年11月30日感覚過敏、日常生活での対策こんにちは。加藤路瑛です。15歳、高校1年生です。自分の困りごとである感覚過敏の問題を解決したいと思い13歳のときに「感覚過敏研究所」を立ち上げ、感覚過敏の課題解決に取り組んでいます。当事者目線、特に子どもの視点で感覚過敏について話していきたいと思います。今回は、感覚過敏な私が日常をどう工夫して過ごしているか、包み隠さずお伝えしたいと思います。視覚過敏の工夫まず先にお伝えしておきますと、私は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚といういわゆる五感の中で視覚過敏はそこまでありません。よって、眩しさ対策としての、調光グラスやサングラスを日常的に使用することはしていません。まず、生活空間の工夫としては、部屋の明かりは、蛍光灯や白色電球ではなく、全てオレンジ色の電球色の照明を使用しています。部屋の天井のライトも色を切り替えられるタイプで、基本は電球色を選んでいますし、机の電気スタンドもオレンジ色のライトです。以前、私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーのメンバーと話した際に、「太陽光もつらく、カーテンを閉め、間接照明で生活している」とおっしゃる方がいました。私は照明の色を白からオレンジにすることで、視覚的には楽になりますが、本当につらい方は間接照明の暗い部屋で生活されているのだと知ることができました。出典 : 視覚的な工夫は、パソコン背景色の設定でしょうか?現在の多くのSNSは、背景色を白だけでなく、黒やダークグレーなどに設定できます。白い背景画面は視覚過敏がほとんどない私でも眩しいので黒背景を設定することが多いです。私は現在、通信制高校に在籍しており、オンライン学習がメインのため、文房具を使用する機会はほぼありませんが、学校に通っている人の場合は、ノートの色やペンの色も工夫できるかと思います。現在は、白い紙以外に、緑や黄色などのカラーノートもありますので、白い紙が眩しい場合は使ってみてください。私はノートを使わない生活をしていますが、以前から青色のペンで文字を書くと見やすかったです。ノートでもパソコンでも白背景に黒文字はコントラストが強くて目が疲れやすいです。調光グラスやサングラスは使用していないと伝えしましたが、時々、夜に部屋を暗くしてゲームをするときは画面が眩しいのでPCメガネを使用しています。聴覚過敏の工夫中学生時代は教室の騒がしさで頭痛や体調が悪くなることが多かったのですが、現在の私はノイズキャンセリング機能付きのワイヤレスイヤホンで、かなりの音を遮断しています。電車の中や周囲の音が気になる場所では、自分の好きな音楽を聞いています。それでも、うるさくて嫌だなと思う状況のときは、ノイズキャンセリングイヤホンをつけて、さらにその上から音楽再生用のワイヤレスヘッドホンをつけて防御しています。聴覚保護具としてイヤーマフがありますが、私にはイヤーマフを装着した際の圧迫感が苦手で、普通の音楽再生用ヘッドホンを使用しています。そのほかの工夫としては、うるさい場所に好んで出かけません。生きる上での工夫でもありますが、遊園地などのレジャーの楽しみを回避していることにもなり、聴覚過敏の対策を優先し、楽しむという部分を後回しにしています。その意味でも、感覚過敏を緩和させる方法を私自身が発見したいと考えています。Upload By 加藤路瑛嗅覚過敏の工夫私の個人的な考えですが嗅覚過敏の課題が一番解決が難しいと感じています。ほかの感覚に関しては、対処する道具やテクノロジーで解決していけると思うのですが、嗅覚過敏に関しては時間がかかるのではないかと思います。そんな私の嗅覚過敏対策は、マスクです。コロナ禍になる前から、私は不快なニオイから自分をガードするためにマスクをして生活していました。真夏もマスクをつけていることが多く、親にも「見ているだけで暑い」と言われていました。私は触覚も過敏ですので、マスク自体も好きではありませんが、ニオイガードが優先していました。今は、活性炭入りで多少のニオイをガードしてくれるマスクを利用しています。といっても、マスクでは期待するほどはニオイをガードできません。でも、嫌なニオイがしたとき、他人の目の前で鼻をつまむのは失礼な感じがしてできません。マスクをつけていると、マスクの位置を直すふりをしながら、マスクを手で覆いニオイをガードすることもできます。そういう意味でマスクは便利アイテムです。Upload By 加藤路瑛私が運営している感覚過敏当事者コミュニティーでは、ニオイの防御に防毒マスクを使用して外出されている方がいらっしゃいます。本当につらい方の選択肢が、防毒マスクしかないのは大変です。何かいい対策方法を見つけたいと思っています。私は食べ物のニオイがごちゃ混ぜになるファミリーレストランが苦手なので、私の嗅覚過敏に理解のある家族や仲間としか飲食店には入りません。以前は、友達の付き合いや、カフェで打ち合わせを指定されることもありましたが、初めて会う方とは飲食店には行かないようにしています。味覚過敏の工夫食べ物に関しては、食べられるものが少ないので行動範囲を狭くします。家にいれば家族が私の好みを知っているので、食べられるものしか食べなくていいのでそれほど困ることはありません。食べることは大切ですので、ここは家族の理解がとても重要な部分かと思います。いろんな種類の食べ物を無理に食べさせようとすると、味覚過敏のある人は強いストレスになりますし、残すことで叱られたり非難されることがあれば、食べること自体が恐怖になります。「食べられるものを食べられるだけ」と考えていただけたらと思います。これは家族だけでなく、本人のマインドセットも必要だと思っています。食べられないことのコンプレックス、プレッシャーなどを強く感じていると、食べることが本当に苦痛です。私は「食べられないのは仕方がない」と割り切ることができました。どうしても他人と食事をする場合は、事前に食べられるものが少ないことを伝えておきます。多くの場合は、私が食べられるものに合わせてくださいます。私は、ざるそば、ざるうどんは食べられるので、観光地などでは、蕎麦屋さんやうどん屋さんに付き合ってもらうことが多いです。学校行事など、集団で食事をする状況は現在はありませんが、小学生の宿泊学習では食べられるもの、飲めるものがなくて栄養不足と脱水症状で具合が悪くなり、途中離脱した過去があります。それ以来、宿泊学習では食べられるものを持参できるように学校と相談していました。修学旅行の食事に関することは、以前、コラムを書いているので、是非ご覧ください。今の悩みは、いつか留学をしてみたいのですが、食べられるものがあるのかが心配です。生活の工夫は、実際に挑戦して見て、試行錯誤をしながら見つけていくしかないと思っていますが、その過程では、体調が悪くなったり、気持ち悪くなったりしますので、工夫・改善を見つけることは、感覚過敏の人にとって大変な過程だなと感じています。触覚過敏の工夫私の目下の悩みは「履ける靴下が見つからない」ことです。小さいころから靴下の縫い目部分が本当に苦手で、いろいろな靴下を親が買ってきてはくれるのですが、どうしても受け入れられる靴下に出会えません。唯一、受け入れられた1足の靴下はもう穴が空いてきました。同じ商品にも関わらず、ロット違いのせいかのか、同じであると思えず、いまだに靴下は見つかっていないので、自分で作る道を選びました。ネットでは、海外の感覚過敏向けキッズ靴下を入手できますが、残念ながら私には合いませんでした。触覚は多様であり、自分が受け入れられるものは人によって違うことが難しいところなだと思います。Upload By 加藤路瑛靴下同様に、下着も新しいものがみつからずボロボロに破れています。肌着も自分で作ろうと挑戦中です。衣服に関しては、①自分に合う衣服を探しまくる②着られる衣服があれば、販売中止の可能性を見越して多めに購入しておく③自作するという方法があるかと思います。また、私は家ではできるだけ身軽でいたいので、1年中、タンクトップとパンツだけで過ごしています。けれど、冬はとても寒いです。夏もクーラーで体が冷えます。いつも「寒い」と言っています。親にも「寒いなら何か着なさい」と言われるのですが、寒いのと服が痛いのを天秤にかけると、寒くてもいいから身軽な服装でいたいと思ってしまいます。ですので、冬場の部屋はできるだけ暖かくしています。(暖房費がかかりますが…)また、冬場の外出も、近所ならば裸足にサンダル、コートなしという状態で出かけます。いろいろと服を着るくらいなら寒い方がましなのです。なので、少しでも温かくなるようにと貼るカイロをつけています。Upload By 加藤路瑛衣服に関しても、工夫といえる状態ではありませんが、「世の中に自分の着られる服や靴下がないなら自分で作る」という覚悟を持って、今、服作りに挑戦中です。中学生のときは、制服が重くて痛くてつらかった記憶があります。ただ、その重さが自分を守ってくれている防護服のような感覚もあって、学校では夏でも冬用のブレザーを着て登校していました。家では身軽な服装なのに、外では真逆な行動をしていましたが、今思えば、学校生活は五感へのさまざまな刺激が多すぎて、無意識ですが自分を守るために服を着る選択をしたのだと思います。このように書くと、「感覚過敏もメンタルの問題なのでは?」と思われるかもしれません。でも、努力すれば、服が着られるようになったり、マスクがつけられるようになる訳ではないことはお伝えしたいです。まとめ今回は、私の感覚過敏の対処法について書かせていただきました。対処や工夫というより、感覚刺激を避ける行動の工夫をしているかもしれません。自分の感覚過敏を把握していない状態でなんとなく不快な状況を回避してしまうのと、自分の感覚過敏を把握し、どのようにすれば体調不良を起こさないか考えることは同じ感覚回避でも違います。まずは、自分にはどんな感覚の過敏さがあり、どのような状況や環境でその過敏さによって体調の変化が起こるのかを把握できれば、それを避ける工夫をしていけると思います。ただし、感覚刺激がある状況を避けるということは、多くの人が楽しんだり、チャンスだととらえるものを諦める行為でもあります。感覚過敏の対策や工夫をしながらも、自分が楽しいと思えることを諦めることなく挑戦できる社会になればいいと思っています。(監修者・井上先生より)加藤さんが書いているように、自分の感覚の苦手さがどの感覚から起こるのか、感覚過敏がどのような状況で厳しくなるのかを本人が理解したうえでご自身の過敏さに付き合うことが大事だと思います。例えば体調や睡眠不足なども関係することもあります。そうしたことを知ったうえで対策をとることで、ご自身の感覚過敏とも客観的に向き合うことができるようになると思います。加藤さんが、ご自身の感覚過敏に向き合うだけでなく、さまざまな情報分析や製品開発等、感覚過敏に対しての工夫をし、留学などを含めさまざまな可能性を示してくださることは、同じように困難さを持つ方々に対して勇気を与えてくれることになると思います。
2021年11月30日子育てをしながら、ふと思った「ほかの家庭はどうなんだろう?」Upload By スガカズ私は、4人の子どものママです。中2の長男にADHD+ASD、小5の次男にADHDがあります。子どもたちには、「自分を価値ある存在として障害を肯定的に捉えて成長してほしい」と思っています。わが家は私がメインで子育てをしているスタイルだったのですが、パパに対して「積極的に子育てに参加してほしい」「子どもたちのありのままを受け入れてほしい」と思い、いろいろと関わり方を模索したり、子どもたちとどう関わってほしいかパパと何度も話し合いをしたりしました。ですが、お互いの価値観や子育ての方針は少し違います。私は子どもの気持ちに寄り添っていきたいのですが、パパは子育てにきびしいところがあり、それがきっかけで子どもたちが癇癪を起こしたり、パパと子どもが言い合いになることもしばしば…。タイミングをみて、パパの考えを代弁するなどして子どもへのフォローをしたりしますが、まれに私自身がパパと険悪になることもあります。また、夫婦で言っていることが違ってくるという矛盾が生じることもあります。「子どもたちが親のことを信用しなくなるのではないか?」「家でも外の世界でも安らげる場所がなくなるのではないか?」そういった不安は昔からありました。ですが、今のところ子どもたちは私のことを頼ってくれますし、パパと子どもたちは共通の趣味があり、私ではできない関わり方を持っていることもあって、子どもたちが大きなストレスをためているようではなさそうです。現在は目を光らせつつも様子をみている状況です。そんなわが家での日々を送る中で、ふと、「ほかの家庭はどうなんだろう?」という疑問がありました。そこで、今回SNSを通じていろいろな立場の方にお話をうかがってみました。その中の、3人のママと1人のパパのお話を紹介させていただきます。※お話を伺った方には掲載の許可をいただいておりますYさんの場合(長男小5・ASD・ADHD・LD、次男小2・ASDのママ)Upload By スガカズわが家の小5長男と小2次男は二人とも発達に凸凹があります。長男はASDで、一日のルーティンが決まっていたり、自分が「よくない」と思ったときに相手の行動をつい指摘してしまったりと真面目でこだわりが強いという特性があります。義母に聞いたところ、そんな長男は小さいころのパパと本当にそっくり。パパにとって小5の長男は、小さいころの自分と重なるようです。自分自身が感じた生きづらさを受け入れることが難しいのかもしれません。長男に対して(特に勉強について)厳しくなりがちです。結果、長男の癇癪スイッチを押してしまい悪循環に…。一方で、私はパパの真面目で誠実な性格を素敵だなと思っています。日々頑張って働いており、私にとっては「いつかは息子もパパのような大人になるのかな?」と、希望の光に思っています。土曜日は私が仕事なので、パパはワンオペで子どもたちと一日を過ごします。「公園に連れて行かないと!」と、マイルールにしばられて、イライラしながらも不器用に頑張っているパパをかわいらしく思いますし、頼もしくも感じています。Iさんの場合(長女9歳・ASD、次女5歳・軽度知的障害・ASD、三女5歳・境界領域知能・ASDグレーゾーンのママ)Upload By スガカズ先日、長女の過剰歯を抜くために2泊の入院、手術がありました。手術の一ヶ月前にパパには、「その日は、早く帰って来てね」とお願いしたのですが、パパはスマホをいじりながら「その日は仕事~…」とそっけない返事が…。長女の入院や手術の付き添いは、義母に頼めたのでよかったのですが、私は下の子たち二人の世話をしながら「手術無事に終わったかな?泣いてないかな?」と心配でした。案の定、当日パパは早く帰ってくることも手術の様子を気にかけることもありませんでした。マイペースでやさしいパパなので、子どもたちにもいつもやさしいです。そんなパパの性格を理解はしているものの、今回のことは少しだけがっかりしてしまいました。Sさんの場合(長男5歳・ASD、長女3歳のママ)Upload By スガカズパパに子どものことを頼むときは、一から十まで言わないと後始末を私がしないといけないくらい大変です。例えば、「ちょっと子どもを見ていてね」と言ったら本当に見ているだけ、だったり。「結局私が対応したほうが効率よいな」と思ったことも多いため、私がほとんど動いています。そのため、長男の障害者手帳や受給者証も申請からフォローまで、全部私の担当です。長男には、自閉スペクトラム症(ASD)があり、こだわりが強めで、思い通りにいかないと癇癪を起こしてしまいます。そして、そんなときはだいたいパパが余計なひとことを言って火に油を注いでしまい、クールダウンさせるのがさらに難しくなることがあります。現在、長男は年中。お薬に少し助けてもらいながら本人も頑張っていることもあり、パパと長男のケンカは以前より減りました。とはいえ、まだ情緒が安定しない時期なので、長男の対応は私がほとんどしています。その間は、パパには長女の相手をお願いしています。最近になって長女の運動面に課題があることが分かり、療育に通い始めました。私の負担が増えたため、実家の母に協力してもらいながらなんとか日々こなしています。将来子どもたちが成長したころには新しい問題がたくさん出てくると思うので、パパの出番が今よりも増えることを期待しています。Gさんの場合(長男7歳、次男5歳、三男3歳のパパ)Upload By スガカズ私自身、発達障害の当事者でADHD(積極奇異型)があり、子どももある程度特性があり、発達が気になっているので様子を見ています。夫婦の子育てにおける役割は、大きく分けると「社会性」はママ担当、「創造性」は私担当です。私は好きなことは思いっきりしたいタイプで、逆にしたくないことはおざなりになりがちな特性があります。子どもたちと基本的に楽しく過ごしたいので、休日はめいっぱい遊びます。私が全力で遊びすぎるあまり、子どもたちに「気をつけてね」と言われるほどです。子どもたちに怒るポイントは夫婦で違います。私は、例えば危険な行動をしたときなど、行動そのものをやめさせる必要があるときに怒ることが多いのですが、ママは子どものミスを責めるような言い方をするときがあります。例えば子どもがお茶をこぼしたらママはイライラしながら、「何やってんの!?」と怒ります。社会性を育てる上でママが子どもたちと関わることが多いから、そのような対応になってしまうほどストレスが溜まってしまっていることもあるのだと思いますが、ママの子どもたちへの対応がきっかけで夫婦が険悪になることも…。これは逆も然りで、もちろんママが私に対してイライラすることもあります。お互い、相手の怒ってることにイライラしてしまうのです。話し合いを重ね、現在はなぜ妻がそのような態度になるか理解できるようになり、お互いを認め合うことでお互いの関わり方も変わってきました。わが家の場合、仕事の都合上夫婦の生活スタイルが違うので、最近は一緒に子育てする機会が減ってきましたが、タイプの違う両親からいろいろ学んでほしいですし、子どもたちにはたくましく育ってほしいなと思います。話を伺ったあと感じたこと今回4人のママ、パパからのお話を聞けて、「みんないろんな気持ちを抱えながら日常を過ごしているんだな」と感じました。一緒に子育てするパートナーであっても生活スタイルも価値観も立場もそれぞれ違うので、分かってはいても相手の子どもへの対応などに疑問を抱いたりすることはあると思います。私自身、理想の夫婦を見つけたときに、自分の環境と比べてしまい「同じようにできないな…」と少し落ち込んだりする経験もありました。でも、わが家のパパだからこそできる役割をお願いしてみたり、家族が少しでも穏やかに過ごせるサポートをこれからもしていこうと改めて思いました。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)一方が相手に対して「これくらいは察してほしい」と思っても、相手の側から見ると「言ってくれなければ分からない」というギャップがあったり、一方は「共感してほしい」と思って話をしたのに、話を聞いた方が一方的なアドバイスをしてしまい相手を怒らせてしまったり、(そこまで感情的にならなくていいのに…)などと感じることもあるかもしれません。パートナー同士の子育ての方針が異なる場合もありますが、それについてお互いがコミュニケーションをとれることがまず大切だと思います。お互いの得意不得意を認め合いながらいけるといいですね。
2021年11月29日神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報トレラントキャンプは、お子さんの強みを活かして、集団遊びを通して社会性やコミュニケーション力を育むことを目的にしている施設です。障害のあるお子さんが安心して仲間をつくり、いきいきと過ごせる「居場所」をつくりたいという思いがあります。「なんだか、友達と上手くいかない…」「友達がほしい!」「自分の好きなことに一緒に取り組む仲間がほしい」など、お子さんの願いや困り感から、願いの阻害要因や強み(ストレングス)を分析。その子らしさを大事にして成長できるための支援を受けることができます。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスシュウエール新松戸は2022年4月新規オープン予定。運動・学習・ソーシャルスキルトレーニング(SST)・遊び、キッズコーディネーショントレーナーの資格をもつ講師のダンス・演劇プログラムを取り入れた支援を受けることができます。なかでも学習支援がこちらの施設の大きな特徴です。どのプログラムでもお子さんのペースを大切に『できる部分』をしっかり見て、成長に寄り添います。シュウエールならではのプログラムを通して、ますます輝き、自分らしく楽しく過ごせる日々を支援者が一緒につくっていくことを目指しています。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる静岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報放課後等デイサービスnicocosは2021年11月1日にオープン。一人ひとりの個性に合わせ成長をサポートしながら、「やりたい!」気持ちを大切に実現を応援しています。こちらの施設では、学校教育経験や障害者支援経験のあるスタッフがお子さんや保護者に寄り添った支援を提供しています。まだやりたいことが見つからないお子さんにも興味関心が広がるよう、学校の勉強サポート、タブレット学習、みんなでつくる図書館、社会性を育むプログラム、未来の進学・就労も見据えたお仕事体験など、さまざまな体験を提供しています。静岡県の放課後等デイサービスをもっとみる新潟県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア西新潟教室は11月1日にオープンした施設です。お子さんの得意とすることを見つけ、「ほめる」ことからスタートし「できること」から「やりたいこと」へ。学ぶことの楽しさや好奇心が広がるよう、お子さんに寄り添い、道しるべとしてサポートできるような支援を行っています。こちらでは、TEACCHやABAを基に最新の療育方法も取り入れた、集団療育、個別療育を実施しており、コミュニケーションに不安のあるお子さんへ言語聴覚士による専門的な個別療育にも対応しています。新潟県の放課後等デイサービスをもっとみる新潟県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報ブロッサムジュニア西新潟教室では「ただ今ここにいるだけで、あなたはすばらしい」を基本に、お子さんの個性を丸ごと受け止め、それを伸ばしつつ、新しいスキルも身につけられるようなインクルーシブ療育を行っています。ソーシャルスキルプログラムや、お子さんなりの一番良い答えを導き出せるように遊ぶことで、小さな「できた!」を積み重ねていく知育プログラムを行っています。また、体を動かしたり、おもちゃで遊んだり、お友達とのコミュニケーションなど、いろいろな感覚をうまく整理できるように感覚統合のプログラムを実施している施設です。新潟県の児童発達支援事業所をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報Imuaはさまざまな遊具を使った感覚統合療育、運動療育をメインに取り組んでいる児童発達支援事業所と放課後等デイサービスです。こちらの施設では、人間の7つの感覚、触覚・視覚・聴覚・味覚・嗅覚・固有受容覚・前庭覚がしっかり機能することで発達が促されると考え、ボルダリングやトランポリンなど数種類の「感覚統合遊具」を活用しています。子どもたちが遊びながら身体を動かすことで、バランス、姿勢保持、認識力、状況判断などの感覚を養い、適応する力を育てる支援を行っています。現在こちらの施設では小学生を募集中です。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援・放課後等デイサービスすたーりーは「星のように輝く笑顔に!」をモットーに7月1日に開設した施設。小学校や保育園、放デイ事業所などの勤務経験のあるスタッフが在籍しています。こちらの施設では感覚統合・ソーシャルスキルトレーニング(SST)・学習支援の3点と「楽しく学ぶ」ことをを重視した、一人ひとりに応じた到達目標を設定しています。遊びなどの集団活動を通じてルールを楽しく学び、コミュニケーション力や社会性を高める支援や、休日にはクッキングやお出かけなどのイベント、ボルダリングやボッチャなどの活動を行う施設です。大阪府の児童発達支援事業所をもっとみる兵庫県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報10月1日にオープンした、児童多機能型通所サービスてとては、児童発達支援と放課後等デイサービスを提供しています。「ご家族といろいろなことを共有したい、学校職員の方といろいろな発見を共有したい、成果はもちろんのことプロセスを大事にしたい」そんな想いを持った、経験豊富なスタッフと外部の専門の先生が在籍しています。おやつづくり・ことば音楽療法・お琴・リトミック・生活動作訓練のほか、クッキングやイベントなどをプログラムに取り入れ、お子さんの「自立=自分の生きる道を選択できる力づけ」を目指し、サポートしている施設です。兵庫県の放課後等デイサービスをもっとみる兵庫県児童発達支援事業所Upload By 発達ナビ施設情報KID ACADEMY 姫路校はレベルに応じて個別から2人~5人の小集団で療育を提供する児童発達支援事業所です。ワーキングメモリの向上や、感情、行動の抑制、社会性構築、語彙力の増加などを目指した脳科学の理論に基づいたカリキュラムを提供しています。脳をたくさん使うと、疲弊もするため、こちらの施設では一回の療育の時間を1時間~1.5時間で実施しています。頑張りを話すこと・ほめてもらうことで、お子さんの満足度も高まり、承認欲求が満たされ、自信がついてきます。こちらの施設では、そのために保護者への申し送りの時間を大切にしています。兵庫県の児童発達支援事業所をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができます。
2021年11月29日粗大運動とは、座る・立つなど日常生活を送るために必要な体の動き「粗大運動」とは何でしょう。聞きなれない言葉かもしれません。定義としては、日常生活を送るために必要な、体を起こす、立つ、座る、姿勢を保つ、歩く、走るといった動作つまり、毎日の生活に必要な、土台となる体の動きのことです。リハビリでは粗大運動障害はPT(理学療法士)が担当します。一方、手で持ったり指でつまんだりする手指の動きや、食べたり飲んだりするために必要な機能を、微細運動といいます。リハビリでは微細運動障害はOT(作業療法士)が担当します。いつごろからどんな粗大運動ができるようになる?目安は?脳から伝わる運動神経は、頭から始まって上から下へ、中央から末端へという伝わり方をします。赤ちゃんが動かせるようになる順番も、頭→くび→腕→背中→腰→脚という順序です。この流れにそって、できる粗大運動も発達していきます。新生児のころは明らかな粗大運動はまだ見られず、モロー反射や掌握反射などの原始反射がメインとなります。新生児健診でのチェックは成長と、体が柔らかいか硬いかがポイントとなります。では、だんだんに成長していく粗大運動について、どんな動作がいつごろできるようになるかの目安を見てみましょう。●首がすわる生後3~4ヶ月ごろ首がすわるというのは、縦抱きにしたときに首がグラグラせずにまっすぐ立っている状態で、自分の意思で向きたい方へ首を動かせるようになることです。新生児のころから「引き起こし反射」と言って、仰向けに寝かせた状態から、両腕をもってやさしく引き起こすと、体とともに首も一緒に起こそうとしますが、これはまだ「首がすわった」状態ではありません。両手を引っ張って引き起こしたときに、首が後ろに倒れなくなれば、「首がすわった」ということになります。●寝返りする生後5~6ヶ月ごろ寝返りは、仰向けからうつ伏せに、うつ伏せから仰向けに、腰をひねって体の向きを変えること。うつ伏せから仰向けになるほうが難しい動きになります。寝返りが始まる以前には、足を上げて左右どちらかに腰をひねる様子が見られます。寝返りを始めたころは、うつ伏せから仰向け、どちらか一方向はできるけれど、反対にはうまく戻れないことも。仰向けからうつ伏せになっても、下になった腕がうまく抜けずに仰向けに戻ってしまうこともあります。だんだんと筋力がつき、体の動かし方も覚えて、自在に寝返りが打てるようになっていきます。●支えがあれば座る生後5~7ヶ月ごろ赤ちゃんを抱っこして床にお座りの姿勢にさせ、背もたれを支えにしたり、上半身を大人の手で支えたりすれば、座っていられる状態です。また、周りから支えられなくても、前のめりになって自分の腕で床を押さえるようにして、数秒間じっとしていられることもあります。お座りの完成の手前の状態で、背中から腰への神経がしっかりしてきて筋肉が発達することで、だんだんと座っていられる時間が長くなっていきます。このころはまだ、寝ている状態から自力で体を起こして座ることはできません。●支えなしに座る(座って両手が自由になる)生後6~8ヶ月ごろいわゆる「お座り」の完成形で、腰がすわるとも言います。支えがなくても、安定して数分間座っていられるようになり、さらに両手を床から放して座ることができます。微細運動にも関係しますが、両手を使っておもちゃを持つといったことも可能になります。●ずりばい~はいはい6~11ヶ月ごろ(平均して8ヶ月ごろ~/目安としてハイハイの「ハチカ月」と覚えます)いよいよ自力での移動が始まります。ずりばいは、うつ伏せの姿勢から上半身だけを起こして、腕の力で前後左右に移動することです。さらに手と足の両方の力を使って、四つん這いの姿勢で移動するようになるのがハイハイです。ずりばいとハイハイの違いは、お腹が床についているかどうか。腰から足にかけても動かせるようになってくると、おしりが上がり、お腹が床につかないハイハイになります。さらに、両ひざを床につけないで手のひらと足の裏だけを床につけた「高ばい」というスタイルもあります。ただ、床に物がたくさん置いてあって、つかまるところが多い環境では、ハイハイをしないでいきなりつかまり立ちする場合もあります。●つかまり立ち~伝い歩き生後8~11ヶ月ごろお座りの姿勢から、おしりを上げられるようになると、少し高いところにあるつかみやすいものに手をかけて腰を上げるようになります。これがつかまり立ちです。つかまり立ちが安定し、そのまま足を交互に動かすと移動ができるようになり、伝い歩きとなります。このころの赤ちゃんは、手の届くところならどこにでもつかまって立ちたがるので、不安定なものを身の周りに置くと危険なので気をつけましょう。●立つ生後9ヶ月~1歳1ヶ月ごろつかまり立ちがさらに安定して、片方の手で体を支えれば立っていられるようになり、やがて両方の手をどこにもつかまらなくても立てるようになります。はじめのうちは、一瞬立つだけで、すぐにしりもちをついてしまいますが、体のバランスのとり方をだんだんと覚え、足を踏ん張ることができるようになると、しっかり立っていられるようになります。初めはバランスをとるために両脚を広げて立ちます。頭部からスタートした運動神経が、足の裏まで届いたと言うことになります。●歩く1歳前後からいよいよ二足歩行の始まりです。歩くためには片方の足を一瞬浮かせ、左右どちらかに体重移動させなくてはなりません。左右交互に体重を移しながら足を前に出し、倒れないように進むのが「歩く」ということ。はじめのうちは、一歩が出ても、すぐにしりもちをつきますが、すぐに2歩、3歩と歩けるようになるでしょう。歩けるようになってしばらくは、体重のバランスをとるために両腕を上げたバンザイのポーズで歩くことが多いです。1歳前から一人で歩ける子もいれば1歳半でようやく歩ける子もいます。一般に、歩行開始年齢は個人差がかなりあります。●走る1歳半前後から歩くのが、1歩ずつ左右の足に体重を移動させることなら、走るのは、さらに両足が一瞬空中に浮く状態になります。左右どちらか後ろの足で地面を蹴り、前に出た足を着地させるというかなり複雑な一連の動作になります。筋肉や関節の動きも大切ですが、脳からの運動神経の指令が複雑に発達したからこそできる動作です。粗大運動の発達が遅れる場合に考えられること粗大運動は、体と心の両方が成長して発達していきます。発達障害(神経発達症)などがあることで、粗大運動の発達に遅れが見えるのは、どんなケースなのかを見ていきましょう。※最新のDSM-5では発達障害は「神経発達障害/神経発達症」と表記されていますが、一般的に「発達障害」と呼ばれることが多いため、以下「発達障害(神経発達症)」と記述します。赤ちゃんは寝返りでも移動はできますが、本格的に自力で移動できる最初の方法となるのが、ずりばいとハイハイです。生後8ヶ月ごろになっても、ハイハイをしようとする様子が見えない場合、どんな理由が考えられるでしょうか。まず体の面から考えてみましょう。腰がしっかりすわっていない場合は、ハイハイはまだこれから、ということになります。支えがなくても安定して座れるようになってから、ハイハイは始まります。また、ずりばいし初めのポーズとなるうつ伏せの姿勢が、そもそも苦手ということも考えられます。この場合は背泳ぎのような背ばいとなります。ハイハイするには筋力の成長が追いつかない場合や、股関節脱臼などの股関節に原因がある場合もあり、そのような場合にはハイハイの開始が遅くなることもあります。次に、心の面を見てみましょう。ハイハイをするのは、今自分がいるところから離れたところへ「動きたい」という意欲があるから。触りたいものや人、「あれはなんだろう」という好奇心があるから、自分が今できる動作で移動しようとするのです。好奇心があまりなければ、ハイハイする意欲は湧きません。あるいは、すぐに誰かが抱っこしてくれるなど、ほかの移動方法で満足していたり、部屋が狭かったり物が溢れていたりして、ハイハイしなくても興味のあるものにすぐ手が届くような環境の場合も、ハイハイをあまりしないことがあります。シャフリングとは、ハイハイをしないかわりに、お座りの姿勢でおしりを床につけたまま、上半身を上に跳ねさせて、その勢いで手を床につけずに前に進むこと。また、四つん這いのハイハイではなく、腰から下を地面につけたままのハイハイが一般的なシャフリングベビーです。かつては、シャフリングベビーは障害があることが多い、と言われましたが、研究が進み、一時期シャフリングしていても、その後立って歩けるようになれば、特に問題はないとされています。シャフリングしたがるかどうかは、遺伝的な要素が大きく関係するともいわれます。このように粗大運動の発達が遅かったり、特定の動作をしたがらなかったりする場合にはさまざまな理由があります。ただ、それだけでは何か心配なことが隠れているとは考えにくいものです。基本的には、どんなプロセスをたどっても、歩けるようになるころには問題がなくなっていることが多く、その場合は個人差の範疇と考えられ、脳の大きな障害はないでしょう。発達障害(神経発達症)でよく見られるのは、自己刺激としてつま先立ちで歩くこと(つま先歩行)です。体の感覚統合(*)がうまくいっていない場合にあらわれる体の使い方のひとつです。歩行器を使用している子どもの場合にも、つま先歩行は見られるので、いずれにしても自然に体幹が鍛えられるような遊びや働きかけが必要となります。遊びとしてはトランポリン、平均台、縄跳びなどがいいです。また、歩けるようになっても階段を降りるのが苦手な子どもは障害がある可能性があります。* 感覚統合とは人間の感覚には、既によく知られている五感(触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚)に加えて、固有受容覚(手足の状態・筋肉の伸び縮みや関節の動きを感じる感覚)、前庭覚(身体の動きや傾き、スピードを感じる感覚)といった合計7つの感覚があります。(中略)次々と身体に入ってこようとするこの7つの感覚を整理したり分類したりするのが感覚統合です。このはたらきによって、その場その時に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになります。リハビリではOT(作業療法士)が感覚統合訓練を担当します。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって一番いい療育は、感覚統合訓練が含まれている音楽療法と乗馬療法です。(「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ)参考:音楽とこころ発達障害(神経発達症)がある子どもの粗大運動の発達と、その背景にあるもの粗大運動の発達には、脳の働き、心の働き、体の働きが、それぞれ関係しています。発達障害がある子どもの場合、粗大運動の成長がなぜ遅れるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。なお、ADHDのある子どもはハイハイのときに手指を屈曲している場合があります。この時期の動画を撮っておくと、後に診断の役にも立ちます。ハイハイを例にとって説明したように、粗大運動の発達は、運動神経の伝達や、体の発達だけによって起こるものではありません。「そこへ行きたい」「あれに触りたい」という好奇心がなければ、移動せずに座ったままという場合もあります。目標に向かってハイハイさせることが重要なのです。感覚が過敏だと、手足が何かに触れるたびに驚いてしまいます。だから、自分から手足を動かして、わざわざ周りのものに触れようとはしません。床に手をつくこともしないので、ハイハイもしないと言う場合もあります。好奇心によって起こす行動は、知らないことに挑むことです。発達障害(神経発達症)がある子どもにとって、予測ができないことは怖いことに繋がることが多く見られます。新しいことに挑戦したがらず、自分から移動して「見てみよう」「やってみよう」とならない場合があります。発達障害(神経発達症)以外にも、運動神経や体の機能の問題で、粗大運動の成長が遅れることがあります。●筋肉の低緊張フロッピーインファント(筋力が弱い病気がある子ども)の場合は、首座りの段階から、粗大運動の発達が遅くなります。ダウン症のある子どもの特徴として筋肉の低緊張があり、その場合は関節がやわらかいために粗大運動の発達に遅れが見られますが、それでもいずれは歩けるようになります。ただ、関節が硬くて低緊張の場合は、脳性まひや筋ジストロフィーの可能性があり、歩くことが困難な場合があります。老人のように膝に手をついて立ち上がるようなときは、筋ジストロフィー症のような筋肉疾患の可能性があります。●股関節の病気股関節脱臼や、大腿骨の末端の病気であるペルテス病などの場合は、痛みがあるために立ちたがらない、歩きたがらないということもあります。ほかにも、朝は歩けるけれど夕方になると歩きづらくなるような日内変動がある場合、若年性パーキンソンや遺伝性進行性ジストニア(瀬川病)の可能性もあります。いずれにしても、粗大運動の遅れだけでは、必ずしも発達障害(神経発達症)やなんらかの疾患があるとは言えません。それぞれ、そのほかの特徴的な傾向が見られるはずです。サインを見逃さずに早めに診断して理学療法・作業療法などのリハビリを始めることは大事ですが、自己判断で思い込んだりせず、必ず医療機関で相談しましょう。粗大運動の発達を促すにはどうしたら?粗大運動の発達を促すことは、感覚統合にもつながり、心の発達も促すことにつながります。粗大運動の発達が遅れている、とあきらめないで、できることからスタートしてみましょう。それは、難しいトレーニングではありません。楽しい遊びの中にあります。見る、聞く、触る、揺れを感じるといった感覚刺激を楽しく経験することによって、感覚の刺激を適切に処理できるようにしていくことができます。こうしたことから、公園やアスレチックにある固定遊具を使った遊びがおすすめです。たとえば滑り台。手足を動かして階段を上り、上半身が倒れないようにバランスをとりながら傾斜を滑り降ります。平均台では、足裏で立つ位置を感じながら、全身のバランスをとります。ボールプールは、体じゅうのあちこちにやわらかいボールが当たることで、感覚が刺激されます。ほかには先に述べたようにトランポリンや縄跳びも有効です。●お座りのころお座りがまだ不安定な時期は、両脇にクッションを置いたり、C字型の授乳クッションの中に座らせたりして、体を支えてあげましょう。手をつかずに座れるようになったら、積木などのおもちゃを手に持たせて、上半身のバランスをとりながら遊べるようにしてあげましょう。●ハイハイ人生で初めて交互のロコモーションができる時期です。左脳右脳の区別をしっかりとするために、できるだけ手足を交互に動かせるようにしてください。思い切りハイハイができるように、床にものを置かないなど、スペースの確保も必要です。また、赤ちゃんは床に落ちているものは何でも口に入れてしまいます。誤飲や窒息の可能性がある小さいものは、手の届くところに置きっぱなしにしないでください。「小さい」とは赤ちゃんが丸呑みできるサイズということ。目安としてトイレットペーパーの芯の中を通ってしまうものは危険です。そして、なるべく両手両ひざをついた四つん這いのハイハイをさせてあげましょう。ずり這いの姿勢のまま、なかなかおなかが床から離れないときは、丸めたタオルや小さなクッションをおなかの下にあててあげ、四つん這いの姿勢にさせてみることから始めましょう。●つかまり立ち赤ちゃんが体重をかけただけですぐに倒れるような軽い不安定なものは置かないようにします。テーブルの上には、誤飲するようなものを置かないように片づけましょう。大人の薬やタバコを誤飲するのもこの時期が多いのです。また、お風呂場はとても危険です。目を離したすきに浴室に入って浴槽をのぞき込み、頭が重い赤ちゃんはそのままお風呂に落ちて、おぼれてしまうことがあります。子どもが小さいうちは、残り湯は必ず捨ててください。そもそも浴室に入れないように鍵をかけるなどの工夫も必要です。●立つ・歩くかかとをつけて立っていれば脳性まひの疑いはないと言えるでしょう。一方で、自閉スペクトラム症のある子どもはつま先歩行をすることが多くあります。歩行器を使用している場合も、つま先歩行をする傾向があります。歩行器を使う場合は動かないタイプがいいでしょう。まずは、きちんとかかとを地面につけて立つ練習をしましょう。つま先歩行や足を交差するなどの歩行の異常が見られる場合、動画を撮って専門医に相談しましょう。膝が内側に入ってしまうX脚になりやすい場合は、なるべくあぐらをかかせてあげましょう。粗大運動の発達が気になったら、どこに相談する?もし、自分から移動しようとしない(好奇心があまりない)、体を動かそうとするけれどもうまくいかない様子など、粗大運動の成長で気になることがある場合は、自己判断せずに次のようなところで専門家に相談しましょう。1歳6ヶ月健診:まずは乳幼児健診で相談します。1歳6ヶ月健診は、粗大運動がひと通り完成して歩けるようになっている時期。心と体、両方をチェックする機会です。母子手帳には子育てに困難を感じるか否かを記入する項目がありますが、「いいえ」以外は発達に何らかの懸念があるととらえ、早めにかかりつけの小児科医に相談することをお勧めします。かかりつけの小児科医:普段からその子の様子をよく診ている先生は、その日の様子だけでなく、総合的に子どもの体の動きも見ています。遠慮なくかかりつけの小児科で相談してみましょう。やはり様子が気になるならば、専門医などを紹介してもらう、というプロセスで相談してみるのがいいでしょう。病院の小児科外来では「神経」を専門とした医師が粗大運動の発達を診ています。もし、粗大運動の発達と同時に発達障害(神経発達症)の診断を受ける場合でも、普段の行動についての観察は必要です。発達障害(神経発達症)の診断としての検査方法は、採血やレントゲンなどといった体への侵襲性のある検査や数値で表せるものではなく、行動についての問診や観察によるものが主だからです。ただ、さまざまな病気で発達障害(神経発達症)と同じような症状が現れることもありますので、病因検索として採血や脳CT/脳波などの検査をして、隠れているほかの病気を否定する必要性もあります。しかし、学会などで推奨されているものの、こうした検査がされていないという現実があります。また、子どもの場合、慣れない環境だと普段通りに動けないということもあります。一足飛びに専門医ということではなく、かかりつけの小児科医に相談しながら、成長の様子を見ていくことも大切です。まとめ粗大運動の発達段階「歩く」でも述べましたが、粗大運動の発達の早さには、個人差が大きく関係します。通常の発達の時期から大きく遅れる場合は、筋力や運動神経の問題だけでなく、好奇心などの心の発達も関係している場合があります。心と体の発達、両方をバランスよく促すためには、近くの公園やアスレチックなどを利用して体に適度な刺激を与える、体を動かす遊びが必要です。その子のペースで成長していけるように、遊びを通して子どもの粗大運動の発達を見守りましょう。※疾患名は一例です。気になる症状があったら、かかりつけの小児科などに相談をしてください。
2021年11月28日小学校でも支援を受けていたけど、日本語で発達障害を理解し子どもに伝えたかったIさんは25年以上前に渡米し、アメリカ人とご結婚。お子さんは現在9歳で、ADHD、不安症、反抗挑戦性障害(Oppositional defiant disorder ; ODD)と診断されています。Iさんは、2歳ごろからお子さんにADHDの可能性を感じ、診断前から地域の幼稚園で行動療法の先生をつけてもらうなど、支援を受けていました。ところが、小学校に上がるとさまざまなトラブルが起こり、合理的配慮を得るために6歳のときに診断書をもらうことに。そして2021年から、『発達ナビPLUS』を使い始めました。――今、お子さんはアメリカの小学校でどのような支援を受けていますか。Individual Educational Plan(個別教育計画)という、その子に合わせた学習支援として、1週間に1回カウンセラーの先生と個人的なセッションを受けたり、グループで遊びながらスキルを学ぶ時間をとってもらったりしています。aid(支援員)もついています。こう話すと支援が充実しているように思われるかもしれませんが、ここまでたどり着くには、自分で調べて学校に対してかなりしっかり自己主張しなくてはならなかったという経緯があります。主張しないまま学校に居づらくなって転校する人もたくさんいると思います。――そうだったのですね。充実した支援を受けられていながらも、『発達ナビPLUS』を利用しようと思ったのはどうしてでしょうか。日本語で、自分の子どもの特性や状況に合わせたアドバイスがほしいと思ったからです。たしかに、発達障害の支援に関してアメリカは進んでいると思いますし、英語で調べれば多くの情報を得ることができます。普段の日常会話では、いちいち日本語に変換したりはしませんが、こうした発達障害や子育てのことは、頭の中で日本語で一度理解して、今自分が何をしているのか、次は何をすべきかを整理してからでないと先に進めなくて。カウンセラーや行動療法の先生に英語でアドバイスを受けたり相談したりして、言われたことを行動に移してはみるけれど、やはり私自身の身についていない感じ、腹落ちしていない気がしていました。それでは、子どもにも伝わっていないだろうなあと。また、本を読んで理解したとしても、書いてある通りにはいかないですよね。場面によっても違うし、子どもによっても違う反応になります。結局、情報を英語で読んでいても日本語で読んでいても、「わが子ならどうなのか」が重要だと思いました。――それで日本語で検索してみたということですね。はい。日本語で、「ADHD発達障害」といった言葉で検索しました。そうしたらずいぶんたくさんの情報があることに気づきました。なんだ、もっと早くアクセスしてみればよかった!と思いましたね。そして、検索して見つけたLITALICO発達ナビPLUSのオンラインセミナーに参加したところ、『発達ナビPLUS』を知り、良い機会かなと思って入ることにしました。Upload By 発達ナビ編集部アメリカは精神科医のアドバイスを受けるだけでも高額。『発達ナビPLUS』は費用的なメリットが大きかった――『発達ナビPLUS』を利用しようと思われたポイントはどんなところにありましたか。まずは、日本語でさまざまなサービスを受けられるということ。そして、費用の面は大きかったです。アメリカでは医療費が高額で、さらに精神科医による診断は保険がきかないので、1回の受診が最低でも400ドルから、アドバイスや療育を受けようと思うと2,000~6,000ドルくらいかかるのです。アメリカでは、スペシャルニーズがある子どもがいる家庭は、そうでない家庭よりも1年で150万円くらい余計に費用がかかるとも言われているし、私自身も、そのことを実感しています。たしかにアメリカは、療育についての研究は進んでいるし支援もあるのですが、それを利用するには非常にお金がかかるというのが現実です。それにくらべると、『発達ナビPLUS』は、月額3,000円程度で『個別ケース相談』や勉強会の『ライブ配信』で、専門家の意見を聞けるし、教材も自由にダウンロードできる。しかも日本語。こんなに「使える」サービスはないなと思いました。勉強会にオンラインで参加すると、専門家にチャットで質問ができて助かる――実際に使ってみて、特に役立ったのはどのメニューですか。勉強会の『ライブ配信』です。はじめのころは必死だったので、自分の子どもの年齢に当てはまるテーマは、ほとんど参加していました。13時間の時差をこえてでも、参加したいと思う内容でしたね。アメリカで個別の相談をしようと思うと、金額の問題もありますし、とにかく予約待ちの期間が長いのです。それが『ライブ配信』では、勉強会の最後にチャットで専門家に質問できて、核心をついた答えが得られるのです。その場で解決できることに感謝しました。――印象に残っているのは、どのような勉強会でしたか。薬に関しての勉強会ですね。そのころ、子どもに薬を飲ませるかどうかで1年くらい悩んでいたときでした。薬以外のできることをやったあと、2人の医師に全く違う効果の薬を提案されていました。そのことを小児科医の先生にチャットで質問したら、お答えいただける範囲でそれぞれの薬の特徴や用法を聞くことができました。また、「いつ子どもに、発達障害があることを伝えるか」というテーマの勉強会で、精神科医の先生の「今すぐですよ」という言葉も、薬を飲ませることに関してあと押しになりました。どういうことかというと、薬を飲むかどうかは、子ども自身で決めたほうがいいと思っていたのですが、そのためには、子どもにADHDであることを伝えなくてはなりません。本人に、いつ・どう知らせようかと躊躇していたのですが、先生の言葉をきっかけに、子どもに伝えることができました。その結果、子どもが自分で決めて薬を飲むようになりました。――『個別ケース相談』のほうはいかがでしたか。メールでの『個別ケース相談』は、3回ほど利用しました。何科に相談したらいいのかわからないことがあって、症状を説明して聞いてみたら、考えられる可能性を提示していただけました。やみくもに病院に行くことは費用や時間の面からも難しいので、専門家の意見を事前に聞けたことは大きかったですね。ほかの相談をしたときも、いろいろな可能性を考慮して、専門家がこまやかに回答してくれました。「あ、そういう観点からも考えられるか」といった気づきをもらえるので、とても助かっています。日本語で得られたアドバイスは、子どもにも伝えやすく感じています。駐在員の方は、帰国後も療育コンテンツを使えるのではと思います――海外に住んでいる方で、これから『発達ナビPLUS』を使う人へのメッセージはありますか。海外に永住している私のような方には、待ち時間なしで日本の先生に聞きたいことをチャットで聞ける勉強会の『ライブ配信』をぜひ試してほしいと思います。駐在の方はいずれ日本に帰られると思いますが、日本に帰っても継続して『発達ナビPLUS』を活用できると思いますよ。それから、親自身のケアの意味でもおすすめしたいです。子どもが学校で何かトラブルがあったとき、子どもは学校でセラピーを受けられるかもしれないけれど、親自身のセラピーはなかなかないですよね。『個別ケース相談』などを使って、日本語でしっかり吐き出すことも大事なのかもしれません。――ありがとうございました。取材・文/関川香織Upload By 発達ナビ編集部発達が気になるお子さんの保護者さま向けサービス『発達ナビPLUS』では、オンラインで医師・心理士など発達支援にかかわる様々な専門家と繋がり、個別相談や勉強会を通して、子育てをサポートします。― 発達ナビPLUSの3つの特長 ―1.「わかる」から「解決」まで子どもの行動の「どうして?」が分かれば、「こうすればいいんだ!」につながります。『発達ナビPLUS』では、各ご家庭に合わせた個別最適な手立ての実践までサポートします。2.50名以上の専門家がサポート医師、心理士などの発達支援の専門家が50名以上在籍。どこにも相談できなかった悩みも、幅広い専門性で納得いく解決策をご提案します。3.「すきま」でプラス忙しい育児の味方!5分でわかる解説動画も多数あります。スマホ一つでいつでも、どこでも子育てのヒントを。くわしくは、お得なクーポンも配布中の以下よりご確認ください。
2021年11月27日休み時間のたびに友達とのトラブルが…Upload By かなしろにゃんこ。ADHDと広汎性発達障害がある息子リュウ太は感覚過敏やストレスで教室にずっと居ることが難しいことがたびたびありました。休み時間はストレスから解放されてほっと一息いれたいところですが、小学校5年生のころは休み時間もほっと一息とはいかなかったようです。というのも、同じクラスにどうしても息子とトラブルになってしまう3人組がいたからです。3人は息子が気になるのか、休み時間になると近寄ってきて、息子がイライラするような言葉をわざとかけてきていたと言います。息子も反応しなければよかったのかもしれませんが、すぐにカッとなってしまうので、その反応が面白かったのでしょう、休み時間のたびにやり合ってしまうので、毎日とても疲れてイライラしていました。声をかけられないようにしようと、教室から外に出ても、3人組は、学校中追いかけてくることもあったようです。Upload By かなしろにゃんこ。私がPTAの用事で学校にいるときなどは、息子はPTA会議室まで逃げてくるほどでした。そんな様子を見て、私も「学校に通わせたくないな~、休ませようかな?」と悩んでいました。実は、このクラスメイトたちの行動を「いじめ問題」として取り合ってもらえない事情がありましたUpload By かなしろにゃんこ。息子は、たとえ相手が3人だったとしても、やられっぱなしにはならず言い返したり抵抗したりしていたため、「いじめ」の被害者としてとらえてもらうことができなかったのです。また、負けん気の強い息子なので、意地でも「ぼくはいじめを受けている」と先生に言いたくなかったという面もありました。また、わが家では低学年のころから親子で「暴力はふるわない」と約束をしていました。というのも、低学年のころにはケンカが原因でクラスメイトの家に謝罪に行く経験もあったからです。そんなこともあり、高学年になった息子は約束を守って耐えていました。息子が見つけた、「第2の居場所」Upload By かなしろにゃんこ。20歳になった息子に、このころのことを聞いてみると、当時、トラブルになるクラスメイトから唯一逃れられる空間を見つけ、そこで過ごすようになったということを話してくれました。息子は、授業が終わる少し前に教室を出て、「やすらぎルーム」と呼ばれる教育相談室に行って気持ちの調整をしていたのだそうです。教室にいることがつらいときなど、「やすらぎルーム」はいつでも利用ができる駆け込み寺のような癒しの空間でした。「やすらぎルーム」は、誰でも放課後まで利用ができて、机に座らなくてはいけないなど決まりはありませんでした。床で寝転んでもOK。本を読んでもOK。絵を書いてもOK。友達とボードゲームをしてもOK。Upload By かなしろにゃんこ。ただし、「静かに過ごさなければならない」という決まりでした。ですから、騒いだり暴れたりする3人組は入ってきません。「やすらぎルーム」に集うのは、比較的おとなしく静かなタイプの生徒が多かったようで、息子は静かに本が読めたりと、楽で居心地がいい場所だったと言います。とはいえ、ずっとクラスメイトとトラブルを抱えているわけにもいきませんから、私が相手の保護者に電話で事情を説明して、追いかけたり、からかったりすることをやめてもらえるよう伝えました。もちろんすぐに解決したわけではありませんでしたが、徐々に回数が減り、小学校6年生のころにはトラブルはほとんど起こらなくなりました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。担任の先生からは、息子とトラブルになる子は、息子と似たようなタイプの子だと報告を受けてきました。似た者同士で気になってしまうことは、やはりあるのかもしれません。息子は「あのやすらぎルームがあったからイライラしたとき、体がだるい日でも卒業まで乗り切れたという感じはしてる、あの場所すごい好きだったな」と、今は少しふっきれているようでした。教室で落ち着いて過ごすことができずつらかった時期に、教室以外の第2の居場所があってよかったと、感謝することは忘れずにいたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:鈴木先生より)昔からあった「駆け込み寺」の学校版ですね。「やすらぎルーム」が校内で唯一やすらげる場としての役割がありますね。そこ以外でも校内で居場所があればいいのです。不登校児などには「保健室」が居場所の代名詞のように使われていますが、先生との相性の問題もあり、必ずしも保健室でなくてもいいと思います。第2の居場所としては、時には校長室・相談室・会議室などを避難場所に使う子もいれば、中には階段の踊り場に避難している子もいて千差万別です。重要なのはそういう第2の場所に避難できることと、その場所でも勉強できるという教員の理解と学校の保証が必要なのです。
2021年11月26日引越しと小学校入学次女が小学校入学時に、家族で海外へ引越し。それに伴って、現地の日本人学校へ入学することとなりました。このときは、まだ次女が場面緘黙とは知りませんでした。Upload By まりまり引越しや転入にあたっては、家族が一緒に居ることと、2歳上の長女が一緒に同じ学校に行くことを理由に、「大丈夫じゃない?」というようなことを本人は言っていました。当時の次女は精神的ストレスが原因で空気をたくさん飲み込み、胃がパンパンになってお腹が膨らんでしまい、膨満感から食欲もなくなってしまう「呑気症」と診断されていました。今思えば、このときは不安を言葉にできなかっただけで、その分呑気症の症状として体に出ていたのではないかなと思っています。新しい学校での次女の変化新しい学校が始まり、なぜか呑気症の症状は軽減してきましたが、次女の様子に変化が出てきました。Upload By まりまり日本人学校は、低学年時には登下校の送迎が必須。私が送迎しているとき、次女は同じクラスの子にあいさつしてもらっても、全く言葉を返すことができませんでした。「せっかく声かけてくれてるんだから、あいさつはちゃんと返そうね~」などと言ってみるものの、変わらず…。さらに、海外の日本人学校なので、普通の小学校に比べるとものすごく転出入が多い環境でした。次女と同じ時期や次女よりあとに転入してきた子たちがどんどん慣れていく中、次女自身は全く友達と話せない、交流できない状態が続いていました。それが、1学期だけでなく、2学期に入っても続いていたのでした。親としてこの状態をかなり心配はしていましたが、次女自身もともと引っ込み思案な性格だったため「相変わらずものすごく引っ込み思案だな…」「おとなしい子なんだな…」という感じで無理やり納得していました。できていることもあった先述のとおり次女は、あいさつはできないし、友達と話せない状況が続いていました。でも、できていることもありました。Upload By まりまりものすごく小声だけど、担任の先生とは何とかお話ができていました。さらに、教科書の音読ができたり、授業中指されたときに答えの決まったことは声を出して答えることができていました。ですので、学校生活を送る上では、「友達と話せない」という以外は、なんとなく学校生活を送ることができていたのです。さらに、家では普通に話せていました。担任の先生が、次女が話さないことを心配してくれたときは、「家では普通に話しているから大丈夫です」というのが夫の反応でした。Upload By まりまりそういった感じで、クラスメイトと話せないし友達もできなかったけど、先生は話せたり、授業に支障がなかったことが、あまり問題視しなかった原因かと思います。でも、やっぱりおかしいと思っていたUpload By まりまり次女のように、できることもあって、なんとなく学校で過ごすことができてしまっていると、なかなか本人の困り感に周りが気づきにくいのではないかなと思います。私の場合は、日本人学校が保育園と同様に毎日送迎があり、次女の学校での様子を直接見られたこと、また先生と話す機会も多くあり、相談なども気軽にできる環境だったのが良かったのだと思います。これがなかったら、いまだに、次女の困り感に気づくことができずに「ものすごく引っ込み思案でおとなしい子」という認識のまま、現在まで来ていたと思います。「家では大丈夫」なのは家で安心して過ごせているということなのでとても良いことだと思います。ですがこの海外での生活は、それだけで判断するのではなく、さまざまな環境での次女の変化に気づくことができた良い機会となりました。執筆/まりまり(監修:三木先生より)学校での様子を見ることができる、あるいは先生とも頻繁にコミュニケーションが取れるというのは安心できる要素ですね。
2021年11月25日周りの子たちの成長に焦りを感じるけんとの1歳半健診へ行ったとき、言葉が出ておらず、指差しをしない、指を差したところを見ない、歩き方がぎこちない息子が、周りの子どもたちと違うことに気がつき、衝撃が走ります。発達相談をして、そのときに臨床心理士さんに勧められた市の親子教室へ通うことにしました。親子教室には言葉が出ていない子も多く通っていて、悩みごとも同じように感じていました。毎週楽しく通い、月日が経つにつれ、気がつくと、ほとんどの子が言葉が出ておしゃべりをしていました。けんとは相変わらずお話しをする気が感じられず不安に。Upload By ゆきみ親子教室の個別進路相談で「地域の幼稚園に通おうと思っています」と伝えると、臨床心理士さんに「少人数制の発達支援センターがいいと思います」と強く勧められ、専門家の方にそこまで言われるなら、と入園を決意しました。Upload By ゆきみなぜ、そんなに発達の遅れを気にしていなかったのかというと、2歳5ヶ月のときに1~50までの数字を順番に並べたり、3歳になってすぐに47都道府県を覚えたりと、むしろ記憶力の良さに驚いて、祖父にいたっては「天才だ」と張り切っていたほどだったからです。「言葉が遅いだけで、体の成長が追いつけば、すぐに平均的な成長になるだろう」と、当時は夫婦、親族みんなで思っていました。Upload By ゆきみもしかして?のきっかけは友人の娘さんある日、親子教室で仲良くなった友人が「うちの娘は自閉スペクトラム症なのでは」と思い始め、児童精神科の受診を決意したと聞きました。娘さんは、タイプは違うものの、けんとと同じように発達がのんびりした子だと思っていたのでビックリ。もしかしてうちも?と、慌ててネットで調べはじめました。そして、「自閉スペクトラム症傾向チェック」ができるサイトを見つけ、たくさん当てはまってる項目があることに気がつきます。Upload By ゆきみ急いで旦那、祖母に相談しました。私たち家族は、自閉スペクトラム症について全く知識がなく、笑わない子、ずっと家にこもっていて人と全く関わらない子、だと思い込んでいたので、最初は誰も「違うでしょ」という反応だったのですが、サイトを見ながらみんなで話し合い、児童精神科の受診を決めました。かかりつけ医に相談に行くと「この子は違うと思うけどね」と言われましたが、紹介状を出してくださり、地元では有名な大病院の児童精神科に予約を取ってくださいました。Upload By ゆきみ予約は取りにくく、私は5ヶ月待ち。友人はその後1年待ちと言われ、さらには新規予約は受けつけないと言われた友人もいました。心の準備「0」で告げられてこのころ、身長が成長曲線の下に大きくはみ出してしまい、「低身長」が気になりはじめました。そこで専門の病院で検査をしていただくことに。問診で低身長専門の先生がけんと君にたくさん話しかけてくださいました。が、全く反応せず、マイペースに遊びだしたかと思えば、カレンダーの数字に大興奮する姿をじっくり見て、「この子、自閉スペクトラム症だと思いますよ」と、思いもよらぬ一言。Upload By ゆきみUpload By ゆきみ児童精神科での診察を受ける前に「低身長」のことで病院へ行っただけなのに、自閉スペクトラム症の可能性を伝えられるという、まさかの事態になったのでありました。モヤモヤにサヨナラ。スッキリ向き合えた低身長検査から約1ヶ月後。予約していた児童精神科に行きました。このころには数人の友人の子どもが受診していて、初診では診断名がつかなかったというお子さんもいました。うちの子はどうなんだろう?と、おそるおそる「診断名はつくのですか?」と先生にお聞きしたら、あっさり「自閉スペクトラム症ですね」と。初診で診断名がつきました。Upload By ゆきみ低身長の先生に伝えられていたので、分かっていながら受診したにも関わらず、やはりいざ、診断名がつくと数日間は落ち込みました。でも、それ以前の「そうかもしれない」とモヤモヤしていた時期よりも、スッキリした気がしました。そして、診断名がついたからといっても何も変わらない、可愛い息子がニコニコと目の前にいました。少しずつ受け入れていくにつれ、自閉スペクトラム症についてや、この子の特性をもっと知りたい!と思うように。まだまだ不安なことはたくさんありますが、この子にあった育て方を探っていきたいなと思う毎日です。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)けんとくんに診断が下りるまでのさまざまな展開を臨場感たっぷりに読みました。心の準備0で自閉スペクトラム症について指摘を受けたのはさぞ衝撃だったことと思いますし、児童精神科の初診で診断が下ったことも予想していたとはいえ、さまざまなお気持ちが去来したことと思います。落ち込んだ気持ちのあとに、いつもと変わらない可愛いけんとくんの姿をしっかりと捉えられたこと、何よりです。診断があってもなくても“変わらないもの”はあります。その一方で、自閉スペクトラム症という診断がついたことで、けんとくんの世界の捉え方や感じ方に、ご家族はじめ周りの大人は思いを馳せやすくなる面もあると思います。そして、発達障害という切り口を持つことで、こんなときにはこんな風に対応するとうまくいきやすいといった蓄積がさまざま積み重ねられています。お子さんに合った育て方を考えるうえで、診断がその1つのヒントになるといいですね。
2021年11月24日しのくん1歳半、保育園の先生に言われたこと息子のしのくんは、現在診断名がついていない発達障害グレーゾーンです。2歳まで発語がなかったしのくん。初めて「違和感」を指摘されたのは1歳半のときでした。その日、しのくんを保育園へお迎えに行ったら、担任の先生にビックリすることを言われました…。Upload By keikoUpload By keikoUpload By keiko「しのくん、耳聞こえてますよね?」と先生に聞かれました。普段家で過ごしていて、ピアノや太鼓など音の出るおもちゃで遊んだり、「ちょうだい」と手を出したらおもちゃを渡してくれたり、音は聞こえている様子だったので、私は「聞こえていると思いますけど…」と答えました。「実は、気になることがあって…。同じクラスの子たちは、お名前を呼んだらお返事するのですが、しのくんだけお返事がないんです」と言う先生。当時の私は、しのくんがほかの子と比べて発達が遅いとか、そういうことは全く気にしていませんでした。そのため、先生からの指摘に驚き、ここで初めて「ちょっとほかの子より発達が遅いのかも?」と思ったのを覚えています。しかし、しのくんは3月末生まれ。「3月30日生まれだし、そりゃほかの子より発達も遅いよね!」という感じで、深く考えることなく終わってしまいました…。2歳4ヶ月。保育園からお呼び出し。それから10ヶ月ほど経ったころ、担任の先生と園長先生と私の三人での面談があるということで保育園からお呼び出しがありました。クラスの子全員が面談の対象ではないと聞かされていたので、ドキドキして面談に挑んだのを覚えています。面談の内容は…先生からは普段の園での様子についてお話がありました。Upload By keikoしのくんが教室から脱走してしまうこと、ドアの開け閉めが大好きでしょっちゅうドアで遊んでいること、一人で遊んでいることが多いこと、絵本に興味を示さず読み聞かせの時間はウロウロしてしまっているということを伝えられました。ほかにも「集中力が続かない」「好きなことしかしない」という指摘もありました。中でも1番衝撃を受けた指摘が…Upload By keiko今まで「コップちょうだい」とか「ズボンはいて」とか、簡単な指示ができていたので、言葉は通じていると思っていました。しかし、「きっと、しのくんは『言葉ではなく、動作で覚えている』のだと思います」という先生の指摘に私は動揺を隠しきれませんでした。この出来事がきっかけで、発達検査を受け、療育へ通うことを決心します。それと同時に、お家でも何かできないか?と模索して、家庭でのしのくんへの接し方を見直すことになりました。3歳5ヶ月。現在は…現在しのくんは、1ヶ月に一度言葉の教室、2ヶ月に一度療育センターに通い、保育園の先生をはじめ、いろいろな先生にお世話になっています。まだまだ言えない言葉や理解してない言葉もたくさんあって、集団行動もままなりませんが、しのくんの成長を信じ、優しく見守っていこうと思います。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)1歳半はちょうど自治体で1歳半健診がある時期ですが、集団の健診の中では多少言葉が遅れていてもまず「様子を見ましょう」と言われてしまうこと多いようです。言葉の出方にもよりますが、まずは難聴を否定することが先決です。生まれつきの先天性なのか、中耳炎など患ったあとの後天性なのかはわかりませんが、現時点での耳の聞こえをABR(聴性脳幹反応)などの客観的な検査で確認することが丁寧です。一般的には2歳までに意味のある言葉1語が、3歳までに2語文の出るのが平均的です。3歳では3歳児健診があるので、そこで相談しないと就学時健診まで相談できる一般の健診はほとんどありません。難聴が否定されたら、知的な遅れを考慮してDQ(発達指数)検査が必要になる場合が多くあります。自治体の保健師やかかりつけ医に相談するといいでしょう。
2021年11月23日就園前の子どもたちの様子を見ては、Pの発達の遅れを感じて悩む日々…Pは二人きょうだい。Pの発達に悩んでいた1歳後半のころ、長男(Pの兄)は幼稚園に通っていました。毎日の送迎はもちろん、何か行事がある度に幼いPも一緒に幼稚園へ連れて行っていました。幼稚園にはPのほかにも就園前の小さな弟や妹たちが、何人かお母さんと一緒に来ていました。Pと同じ学年の子もいれば、Pより学年が上の子も下の子もいて、その子たちの様子を見てはPと比べるような機会が毎日のようにありました。Pと同じ学年の子たちは会話ができ、友達同士で遊んでいたし、まだ1歳前半で歩き始めたばかりくらいの子でも、お母さんの指示が通り、単語で簡単なやり取りができていたので、私はその様子を見る度に落ち込んでいました。私自身、Pの前に長男を育てており、子どもの標準的な発達について頭では分かっていたつもりでした。しかし、Pと周りの同年代の子たちの発達の違いを見るたびに「この時期の子どもってこんなことができたんだっけ?」と驚くことが多く、長男での育児経験が全く参考になりませんでした。そして、幼稚園の行事は親子で参加するような内容のものが多かったのですが、私はいつもPを連れていたのでPからは目が離せないし、自由に動き回るPを追いかけることのほうに必死でした。長男の行事のために幼稚園へ来ているのに、思うように行事に参加ができないことばかりで、いつも長男に申し訳ないなと思っていました。多動のPを連れて長男の行事に参加するのは毎回大変だった。Upload By みんそんなある日、親子で木材を使って工作をするという行事が長男の幼稚園であったのですが、かなづちやノコギリを使わないといけないような作業もあるので、長男一人で作業をするのは難しく、大人の補助が必要な場面がありました。でも私が手を貸すとPがいるので危険だし、どうしよう?と困っていました。するといつも私たち親子の様子を見ていた園長先生が側に来て「私がP君を見ておくのでお母さんは長男君を助けてあげて下さい!」と声をかけて下さいました。私はPを見てもらうことに少し不安を感じましたが、園長先生はプロだし短時間なら大丈夫だろうと思い、Pをお願いすることにしました。こうして私が長男と工作を進めている間、Pは園長先生と一緒に過ごしていたのですが、Pは側にいる園長先生の存在を何とも思わず園庭へ裸足で出て行ってしまい、砂場で自由に遊び始めました。たまに園長先生がPにスコップなどを差し出し関わろうとしてくれていたのに、Pはまるで園長先生はそこにはいない人であるかのように無視をし、砂を触ることだけに没頭している様子でした。Upload By みんPが1人で遊ぶ様子を見て園長先生はどう思ったのか?工作が終わり、私はすぐにPのもとへ行き園長先生にお礼を言いました。でも私が迎えに行ってもPは私のほうを見ることもなく、砂を触り続けていました。そんなPを見ながら私は園長先生にこう話ました。「先生もPの様子を見てお気づきだと思いますが、Pには自閉スペクトラム症の傾向があります。Pはたぶんこの幼稚園へは来られないと思っています…」すると園長先生はこんな風に言ってくれました。「お母さんが心配に思う気持ちは分かります。きっとこれから沢山の苦労があるかもしれません。それはお母さんだけじゃなく長男君やご家族みなさんもです。でも今はP君にできる限りのことをしてあげて、成長を信じてあげて下さい。それに大変だと思ったときは、今回みたいに誰かに頼れば良いんです!これからの行事もできる限り私や職員もサポートするので、P君を連れて来るのは大変だと思いますが長男君のために行事に参加してあげてください」Upload By みん一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらって、誰かを頼ることの大切さ私は園長先生に「Pには自閉スペクトラム症の傾向があるかもしれない」と言えたことと、園長先生がそれを否定はせずに「苦労があるかもしれない」と言ってくれ、その上で「そんなときは誰かに頼っても良い」と励ましてくれたことで、不安と安堵が一気に押し寄せたような気持ちになり、我慢していた涙があふれてしまいました。そして同時にPの成長を信じるためにも、今すぐにでも病院で診てもらって、療育へ通おう!という気持ちがさらに強くなったことを覚えています。家の中でわが子一人の様子だけを見ていたとしたら、Pとほかの子の発達の違いを感じる機会も少なかっただろうし、周りの人から客観的にPを見てもらって助言をいただく機会もなかったかもしれません。少しでも早く発達障害に気づき行動に移せたのは、こんな風にPに対する周りの人の目や意見もあったからかもしれません。自分一人だけでモヤモヤしながら悩み続けるよりも、誰かに話を聞いてもらえると心が軽くなり、前へ進むための力にもなると思います。Upload By みん執筆/みん(監修:三木先生より)一人だけで考えていると、どんどん不安になってしまうものです。トラブルがきっかけであっても、誰かに話ができたことは良かったですね。そういったシーンで思い切って園長先生にお話を切り出せた勇気のおかげかもしれませんね。
2021年11月22日なぜ人から慰められるのか分からなかった、ほぺろう1歳ごろ自閉症と知的障害がある、わが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。発語はいまだにありません。そんなほぺろうですが、0歳台は「一度泣いたら激しい」とは思っていましたが平均的な発育を遂げていました。ところが1歳を過ぎたあたりからほぺろうは、発語がないことについては「男の子だから」「知り合いの男の子もそうだった」と慰められ、癇癪が激しいことについては「子どもだから」「まだ小さいから」と人から言われることが多くなりました。親戚にも近所にも小さい子があまりいなくて、ほぺろうを生むまで子どもと接する機会が少なかった私。一般的な発育の様子がよく分からなかった上に、発達障害という言葉もあまり意識していなかったので「そういうものなんだ~」と慰めの言葉を鵜呑みにしていました。Upload By ぼさ子1回目の衝撃、1歳半健診衝撃を受けた初めての機会が『1歳半健診』です。泣き暴れるほぺろうを拘束しながら会場入り。待合室ではおとなしくオモチャで遊んだり絵本を読んで待機する子どもたちがたくさんいて、「1歳半の子たちはどこに居るんだろう?お兄さんお姉さんばっかりいるけど、さすがみんなしっかりしてる!」と感心していたら…それは全員1歳半の子どもたち。決められたスペースで遊ぶ、泣き叫ばない1歳半児たち。それだけでもほぺろうには考えられない状況でしたし、ほかのママさんたちはお喋りに花を咲かせたりオシャレをする余裕があることを知って驚愕しました。Upload By ぼさ子すべての検査が乱闘だったほぺろう。発育面談では泣き暴れが激し過ぎて抱き抱えるのに精一杯。職員さんとのやりとりなど一切できませんでした。当然「あとで個別にお話があります」と言われましたが、「まだ1歳半だもん。ずっと泣いてる子くらいいるものだよね?」と世間知らず過ぎてあまり気にしていなかった私。今振り返ると、ほぺろうは「もう少し成長するまで様子を見ましょう」という感じでもなく、困りごとがハッキリ出ている子でした。おそらく職員さんはすでに「この子は発達障害の可能性がある」と思っていたのではと推測できますが、私は状況がよく分かっていませんでした。そして職員さんにすすめられた『月一回のことばの教室』に通うことに。2回目の衝撃、ことばの教室『月一回のことばの教室』は、発育の指摘を受けた1~2歳の子どもたちが大きな部屋いっぱいに集められていました。ほぺろうと似た子がいるのかと思いきや、一歩部屋に入って感じたのは『レベル違い』。職員さんが読む絵本を座って聞く・みんなと一緒に手遊びする・与えられたオモチャで遊ぶ…みんなができていることも、ほぺろうには想像すら難しかったです。多少グズっても、ほぺろうみたいに開始から帰宅までずっと泣き続けている子はいませんでした。そんな状況を目の当たりににしているのに、「ほぺろうはまだ1歳半だし、通い続けていれば皆みたいになるのかな~」と私は深く考えていませんでした。Upload By ぼさ子その後しばらく通い続けても、ほぺろうに進展はありませんでした。癇癪が激し過ぎて職員さんと接することもなく、「毎回のように脱走するほぺろうを捕まえたり 泣くのをあやしに行ってるだけで、一体何のために通っているのだろう…」と悩んでいたら、見かねた職員さんから『発達検査』をすすめられました。このとき、ほぺろう2歳2ヶ月。検査結果は『発達程度1歳4ヶ月』。どう考えてもハッとなる結果で、職員さんも「これで気づいて」とサインを送っていたのだと思います。でも「これから急に伸びる子もいるから…」と言われ、私は「そうなんだ~、急に伸びたりするんだ~」と慰めの言葉を真に受けていました。と言うより、この当時は発達障害の可能性を受け入れたくなかったのです。そして、さらに発達の心配がある子が集められている『週一回のことばの教室』をすすめられました。3回目の衝撃、発達に心配のある子の集まりの中でここでなら仲間がいるかと思いきや、期待はアッサリ打ち砕かれました。さらに発達の心配がある子が集められているはずの『週一回のことばの教室』は、ほぺろうより月齢の低い子が多かったのですが、みんな「どこに発達の心配が?」と思うくらいしっかりしていて、私たち親子は『場違い』でした。ほかの子とのあまりの違いに、このころからさすがに「発達障害の可能性を考えなくては…」と思い始めました。Upload By ぼさ子正式に診断が出たあとも、衝撃時をまたいで、ほぺろうは3歳のときに現在お世話になっている発達クリニックで『自閉症』の診断を受けました。そのことを実家に報告したところ、私の母に「ぼさ子に悪いと思って言わなかったけど、ほぺろうが1歳半くらいからずっと“自閉症じゃないかな?”って思ってた」と告げられました。遠方に住む実家の母でさえ気づくのに私は何年も気づかないなんて…。私は自分がすごく恥ずかしく、本当に情けなく思いました。私以外の人がほぺろうのママだったら、もっと早く気づいてもっと早くいろんなことをしてあげただろうに…今でも自分の至らなさがつらいです。Upload By ぼさ子ようやくほぺろうの障害に向き合い始めた私。そして試練の始まりへ…話は2歳ごろに戻り、ほぺろうの癇癪は2歳9ヶ月ごろからさらに悪化。自宅では声かけ・テレビ断ち・食生活変更などをやり始め、それと同時にようやく覚悟を決めて発達クリニックの予約をしました。ほぺろう2歳のとき、前居住地で初めて訪れた発達クリニック。そこで私たち親子は忘れられないつらい経験をすることになったのです…。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:井上先生より)自閉症や発達障害の場合、その障害が目に見えにくいために、気づきから診断までの期間がほかの身体的障害と比べ長くなる傾向があります。その間、感覚過敏性によるふとしたことからの癇癪、歩き始めてからの多動など、どのように対応してよいか迷われたり、相談したい気持ちが生じる反面、「一時的だから」「まだ小さいから」という思いで、相談に行くことについて葛藤したり躊躇したりする方も多いと思います。相談に行かれることは、勇気がいることですよね。ぼさ子さんは、お子さんのためを思ってこの当時がんばって決断されたのではないかと思います。
2021年11月22日接し方で大きく変わる!学習障害(LD)/ 限局性学習障害・限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))のある子どもへの接し方のポイントUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン学習障害の子どもは知的発達に遅れがないため、自分に障害があると認識するのに時間がかかります。できるようになりたい気持ちはあるのにできないというモヤモヤした気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、注意して接しましょう。そこで、3つの学習障害のタイプ別に、子どもへの接し方のポイントをまとめてみました。学習障害は一人ひとり特性の偏りが異なりますので、以下をヒントにさまざまな方法を試してみましょう。※現在は「限局性学習症」という診断名となっていますが、一般的には最新版DSM-5以前の診断名である「学習障害」と呼ばれることが多くあるため、ここでは学習障害と表記します。読字障害(ディスレクシア)のある子への接し方■文字を見やすくしてあげる例えば、文字を大きくしたり、UDフォント(※)を使うなどして分かりやすい字体にしたり、読む範囲以外の上下左右を隠したり、黒板のチョークの色をユニバーサルデザインのカラーチョークにしたりすることで、本人にとって文字が読みやすくなることがあります。ほかにも、文字が小さすぎて読むのが困難に見受けられる場合は拡大コピーなどの工夫が効果的です。また蛍光ペンで重要と思われる部分にだけ色をつけることで、読む情報量を調整できます。このような工夫により、文章を読むことに対しての抵抗感を減らすことができます。※UD Font (Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )ユニバーサルデザインに基づき「できるだけ多くの人が利用可能であるように」をコンセプトに配慮や工夫をしてつくられたフォントです。Upload By 発達障害のキホン■音声にする耳からの情報は理解できることが多いため、問題文などの文章を音声にして聞かせると宿題がはかどることもあります。教科書を見ながらその音声を聞くことにより、文字・音・意味が繋がる可能性があります。最近では電子教科書もあり、音声での読み上げシステムが備えられているので活用するのもよいでしょう。■ふりがなや分かち書き、スラッシュを利用する漢字などが分かりづらい場合、ふりがな(ルビ)を振ることが効果的な場合もあります。教科書にふりがなを振ったり、テストにふりがなを振ってもらうのも効果的な場合がありますが、学校の先生の理解を得ることが難しいこともあります。また、文章のどこまでがひと固まりなのか理解できないことがあります。このような場合はまとまりごとに空白を開ける「分かち書き」をしたり「スラッシュ」(/)を引いたりして、どこが文章の区切りとなっているのか、明確に表してあげると文章を読みやすくなることがあります。Upload By 発達障害のキホン■スマートフォン・タブレットなどのICTを活用するスマートフォンやタブレットを使うと、文字を拡大できたり、音読機能があったりと便利です。学校の理解があれば、板書を写真撮影したり、録音機能などにも利用できます。学習用の無料アプリなどを使って楽しく勉強することも可能です。■書字表出障害との合併に注意した対応を読字障害がある場合、結果として文字を書くことにも困難を感じることもあります。以下の書字表出障害への対処法も試してみましょう。書字表出障害(ディスグラフィア)のある子への接し方■漢字を分解して、漢字のパーツごとへの理解を促す書くことを苦手とする場合、位置関係をつかむことを苦手としている場合があります。そのため、漢字そのものを覚えさせるのではなく、「へん」や「つくり」に分けそれぞれの意味を教えてあげることにより、漢字を覚えやすくなります。また、パーツを足し算して漢字をつくるゲームをするなど、楽しみながら文字を学ぶのも一つの手です。パーツの配置のバランスがつかみやすくなるので、漢字に対しての苦手意識が薄れる場合があります。Upload By 発達障害のキホン■視覚過敏を緩和するように支援する読字障害においても同じことが言えますが、視覚過敏がある子の場合、紙の白さを過敏に目が感じ取ってしまいます。文字の黒さと紙の白さのコントラストに目がちかちかしてしまうこともあり、長くノートに向き合えない場合があります。光の反射の少ない紙質など、その子に合わせたノートを選んでみるのも方法の一つです。■マス目やケイ線を用意する書字表出障害の子の中には、手先の不器用さが目立つ子もいます。大きなマス目のノートを用意してあげたり、文字のバランスをつかむためにリーダー線が入った漢字練習帳を使用するのも良いでしょう。また、黒板を見て書きうつすにわかりやすくなるよう、マス目黒板を使ってもらうのも効果的です。Upload By 発達障害のキホン参考:カラーマスノート(日本医療福祉教育コミュニケーション協会)■ICTを使用する書字障害のある子は、文章をすらすら読むことができても、書くとなると困難さを伴います。合理的配慮により、学校内でのスマートフォンやタブレット利用が許可されるところが増えてきています。学年が上がるにつれて学ぶ内容も難しくなるので、授業についていけるよう、タブレットなどのICTを利用してノートを取ったり、文字を書くことの代替となるものを利用するというのも有効です。算数障害(ディスカリキュリア)の子あるへの接し方■位ごとに色を変える算数障害の子は、2桁以上の計算をするとき、無意識に頭の中で位を入れ替えてしまうことがあります。位をまたぐ計算をするとき、位ごとに色を変えることによって、計算の混乱を防ぐことができます。一の位は赤で書き、十の位は青で書き…のようにルールを決めて計算に取り組むと、「赤は赤と足す」、「青は青と足す」という認識が生まれ、計算がしやすくなります。Upload By 発達障害のキホン■計算の際には枠を引いてあげる算数障害の子の中には、読字障害のある場合もあります。そのため数字の問題を読み取るときに困難を示す場合があります。二桁以上の計算問題を解くときは、どの桁がどの桁と計算すべきかを理解するために、桁ごとを分ける線を引いてあげるのもよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン■視覚的な手がかりになるものを利用する算数障害の子は「数」という概念の理解に困難を示す子が多いです。そのため、おはじきなどを使って実際に数えて計算を行ったり、絵や図に文章問題を書き換えて理解を促すことも効果的です。Upload By 発達障害のキホン■電卓を利用する簡単な計算が理解できるようになっても、学年があがるにつれ内容が難しくなるので、授業についてくことが困難となってしまいます。ある程度算数の概念が理解できるようになったら、担当の先生に理解を仰ぎ、電卓の使用を許可してもらうのもよいでしょう。■ICTを利用するパソコンやタブレットなどを使って楽しく算数を学べるソフトもあります。算数に対して苦手意識を強く持ってしまうと、本人がさらにつらい思いをしてしまうので、まずは苦手意識を持たないよう、楽しく算数を学ぶということを意識しましょう。最近では算数を学べるスマートフォンのアプリもたくさん出ています。まとめ■その子に合った学び方を探す例えば、文字を読むことが難しい子どもでも、耳から入ってくる情報であれば覚えることができる場合があります。その子どもに合っている情報のインプットの仕方とアウトプットの仕方を探しましょう。特に、ICTを活用した学びと相性がよい子どもが多いです。学習障害は、見方を変えれば視界が広がります。「できない」に目を向けるのではなく「できる」に目を向けることはとても大切なこと。人と同じではなくていいのです。子どもひとりひとりに合った指導法や接し方は、その子の未来を広げるだけでなく、今の親子関係も明るいものに変えます。専門家や周囲の人のアドバイスを元に適切な環境で学び、生活しやすい場所をつくってあげましょう。イラスト/かなしろにゃんこ。
2021年11月21日なんだか、世の中「反省モード」になっていませんか?出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。私の気のせいだといいのですが……。新型コロナウイルスの影響下での不安感や緊張状態が続き、外出を控える自粛生活が長引いたことや、人との接触機会が減っていたこと、息抜き手段が限られたこと。あるいは、第三者の客観的な意見が聞きにくい状況や、少数の極端な意見や否定的な言葉などが拡大・拡散しやすい状況……などなどの影響もあるのかもしれませんが、内省的で内向きな思考パターンに陥っている人が増えている気がします。そして、文部科学省の調査(R2年度)では、子どもの自殺・不登校も過去最多。うちの子たちの小中高それぞれのクラスでも、「ずっと休んでる子が数人いる」などと聞いています。また、経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査(2021.6.8公開)によれば、世界的にもうつ病などの精神疾患が急増しているとのこと。私の身近でも、いつもは朗らかなママさんが、先日久しぶりに会ってお話ししたら、ご自身とお子さんの「できないこと」ばかりを気にされていました。自粛期間中に視力が低下した子どもが増加したと報道などで聞きますが、もしかしたら、家にいる時間が長くなり、いろんな人と話しながら外側に目を向ける機会が減ったことで、物理的な面だけでなくて、「心の視力」も視野が狭くなりがちで、ピント調節がしづらくなっている子・方もいるかもしれませんね。「自分や子どものできないことばかりを責めてしまう」「あれも、これも、できないといけない気がして、落ち込んでしまう」……なんて、つい思いつめてしまう方は、ほんの少し肩の力を抜いて、発想の転換と心の柔軟体操をしてみませんか?かつては私も、子どもが学校に行きたがらないことが続いた時期に、自分を責めて子育てに自信をなくしたり、「ちゃんとさせなくては!」「あれも、これも、できるようにしなくては!」とプレッシャーを感じて抑うつ的な気分になり、外出をつらく感じたこともありました。でも、ちょっとだけ、物事を見る視点を変えたり、部分と全体を柔軟に切り替えたりするクセをつけることで、今では(本来)真面目で思い詰めやすい性格の自分と上手に付き合えるようになりました。こういったものの見方は「リフレーミング」といって、発達障害のある子のペアレント・トレーニングや、うつ病の治療での認知行動療法などでも取り入れられている手法ですが、ご家庭で自分自身・お子さん自身でも手軽に取り入れることができます。今回のコラムでは、図解を交えてできるだけ分かりやすく、発想の転換法のコツを直伝します。文部科学省|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査経済協力開発機構(OECD)|ニュースルーム「失敗の点つなぎ」からの脱出法まず、子育てや、自分自身になんだか自信をなくしがちなときには、「自分や子どものできないことだけを見つめていないかな?」と自問するといいでしょう。私はこの「つい、できないことばかりを責めてしまう」状態を客観的に見るために、「失敗の点つなぎ」と独自に名付けています。では、「失敗の点つなぎ」とは、一体どんなものでしょうか。一つ、例え話をして解説しますね。出典 : うちでも長らく、おうちごはん・テイクアウト・宅配ディナーばかりが続きましたが、少しずつ、外食などへ出かけてみるご家庭も増えていることかと思います。もし、久しぶりにファミレスに行った時には、周りをよく観察してみるといいでしょう。家族や友人と食事やおしゃべりに夢中になっているときや、ぼっち飯でスマホ画面に集中しているとき……誰も周りのことは、そんなに意識していないのではないでしょうか。ところが、突然店員さんが「ガシャーン!」と大きな音を立てて、お皿を割ってしまったら……?たぶん、お店にいる人達は、一斉に注目しますよね。きっと、それまでその店員さんは、次々と注文を取り、できた料理を運び、空いたお皿を回収して……といった努力を地道に続けていたことでしょう。でも、それはお客さんにとっては「レストランでは当たり前」に思える光景なので、お店の内装やBGMと同じような背景になっていたのかもしれません。ところが、大きな音がしたときだけ、なにかあったときだけ、失敗したときだけ、人は気がついてしまうもの……ではないでしょうか。そして、そんな瞬間だけを集めてつなげていくと、いつの間にか「いつも失敗ばかり」であるかのような印象になってしまいます。こうやって、失敗したときだけ気づいて注目し、できなかった瞬間の点と点を結んで、その部分だけを拡大して見つめ続けている状態を、私は自戒を込めて「失敗の点つなぎ」と呼んでいるのです。元々真面目で完璧主義傾向の強い子・方に加えて、現在のように社会的に余裕のない状況が続くと、どんな人でも「失敗の点つなぎ」をしやすくなってしまうように思います。だって、目の前のことで手一杯だったりすると、周りが見えにくくなってしまいますから……。この状態から抜け出すための第1歩は「客観視」です。今、自分が「ああ、失敗だけを見つめているな」と気づくことが、まずは大事なのです。そのために、以下のような解説図をつくってみました。Upload By 楽々かあさん以前、子育てや自分に自信をなくしていたとき、私は毎晩、子ども達の寝顔を見ながら「今日も結局また怒ってしまった」「優しくできなくてごめんね」と、自分の「できなかった」ことばかりを思い出しては、一人反省会をしていました。わが子に対しても「あれも、これも、できなくては!」「ちゃんとさせなくては!」と思い詰めていて、人並みにほめて育てたくても、特に不器用な長男は失敗ばかりのような気がして、ちっともほめるところを見つけられず、結局怒ってばかりになっていました。……でも、果たして当時、本当に私は「怒ってばかり」のダメな親で、長男は「失敗ばかり」のできない子だったのでしょうか?できなかったことや、失敗した瞬間だけをつないで、その部分だけを拡大して何度も何度も反芻しながら見返していたら、自己イメージが低くなって、落ち込んでしまうのは当たり前だったように思います。ところが、少し視野を広げて全体像を眺めてみるとどうでしょう?一日をトータルでよくよく思い出してみれば、さすがに私だって24時間怒りっぱなしではなかったし、子どもだってできたことが少しはあったはずです。もし、全体像を眺めても、成功体験の点をあまり見つけることができない状態の子・方は、「できた!」のハードルを下げてみるといいでしょう。分かりやすい例だと、テストで100点取れたときにしか「できた!」と認めることができなければ、90点のときでも失敗体験になってしまうかもしれません。でも、70点、30点……あるいは5点や0点のときだって、ものの見方次第で「できた!」にカウントできるのです。具体的なコツは……・「大体はできた」「ここまではできた」「これだけはできた」……などと、できなかったことより、部分的にでもできたほうに注目する。・「少しだけでもやってみた」「苦手だけど参加した」「最後までやり遂げた」……などと、挑戦した意欲を認める。・「努力した」「自分なりにがんばった」「下手でも続けている」……などと、良い結果につながらなくても、その過程での努力に気づく。・「前よりもできた」「一年前に比べれば進歩している」……などと、できる子・人と比べずに、自分・その子自身とのタテ軸の比較で見る。……こうして「できた!」のハードルを柔軟に下げていくと、自然と成功体験の点が増えていくのではないでしょうか。そうすると、図のように、できない部分だけをつないで拡大していたときとは、全体像のイメージはずいぶんと違って見えるはずです。「失敗の点つなぎ」状態から抜け出す第2歩は、物事を「0か、100か」で捉えずに、「100以外」の全てを失敗にしないことなのです。そして、当たり前のようなことではありますが、日常生活を形つくるのは、「成功か、失敗か」「できたか、できなかったか」だけでは勿論ありません。子育ての場面でも、子どもを「ほめた/叱った」の二択ではありません。……というよりも、「それ以外」の時間のほうが圧倒的に大部分を占めているのです。「それ以外」の時間とは、毎日の生活の背景にある「ルーチンワーク」「通常運転」「いつも何気なく続けていること」「一見やって当たり前のようなこと」などを、特に意識せずに淡々とこなしている時間もあれば、「何もせずにぼーっとする」「平穏無事にダラダラと過ごす」「不要不急のことに費やす」時間などもあるでしょう。これらの「フツーのとき」は、以下のように、日常生活の背景になってしまっていて、意識しないと見えてこないかもしれません。Upload By 楽々かあさんこの、日常生活の背景に当たり前のように存在する、毎日の小さな頑張りや、ささやかな喜び、密かな楽しみ、何気ない時間の価値に目を向けるように意識すると、特別に何かを頑張れなかった日でも、何ができてもできなくても、ただ一日を普通に終えただけでも、自分なりに満足できるのではないでしょうか。例えば、主婦/主夫であれば、給食・お惣菜・レトルト・宅配込みでも、家族に最低限の食事を出せたなら、十分ヨシとしませんか。お子さんだって、例え学校に行けない日があっても、三食食べて寝るだけでも、昨日よりも確実に成長しているはずです。(※万が一、日々の食事の確保すら困難なほど、精神的・経済的に疲弊している場合は、動けるうちに早めに医療機関や行政サービス、非営利団体などを頼っていただけるよう、お願いします)そうして、自分への目線と子どもへの目線を下げて、「一日を終えただけでも、私は今日もよく頑張った」「(うちの子なりに)毎日よく頑張ってるね」……などと、例え誰もほめてくれなかった日でも、寝る前に一人反省会なんてしなくていいから、自分でご自身とお子さんをほめて認める声かけをしてあげませんか?「失敗の点つなぎ」からの出口である第3歩は、大きな音がしたときだけ注目せずに、日常生活の背景に隠れている「フツーのとき」に目を向けるように意識することだと、私は思っています。何ができても、できなくても……出典 : 最初に新型コロナウイルスのことが報じられてから、もうすぐ2年になりますね。この2年間で、毎日の普通で当たり前の日常が、どれだけ多くの人の膨大で地道な、見えない努力で成り立っているのかを、私は痛感しました。そして、不要不急でムダで何気ない時間にこそ、子育てや長い人生を続けていくために必要なエネルギーが詰まっていることを、再発見しました。一日の終わりは、何ができても、できなくても、親子で「お布団、温かいね」と思えたら、まあ、いいじゃありませんか。文:大場美鈴(楽々かあさん)(監修者:三木先生より)「良いこと」「できたこと」に注目するのは存外大変なものですが、日々の暮らしを通じて少しずつ癖づけていくことはできると思います。ここに書かれているのはある種のマインドフルネス的な考え方ですね。こういう「日々の一つ一つをかみしめる」ような方法を試してみるのも良いかもしれません。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27
2021年11月20日休職2カ月目娘は、障害のある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された『特例子会社』に勤めていましたが、メンタル面の不調から体調を崩し入社3年目(2020年)に会社を休職しました。休職から2ヶ月、投薬の調整もあり精神的に徐々に落ち着いていきた娘。でもフルタイムで出勤する自信はまだないようでした。そんな娘は、休職中でも生活リズムを崩さないために、感染対策を心掛けつつ日中はなるだけ外出するようにしていました。コロナ禍でいろいろと制限もありましたが、卒業校や基幹相談支援センターに相談に行ったり、かつて放課後等デイサービスや居場所として通っていたNPO法人へもできる範囲で訪れていました。Upload By 荒木まち子支援者との定期的な面談を重ねるうちに娘は「家は居心地悪いけどほかに行くところもないし。どうせならこの休みを使ってグループホームの見学や体験をしてみようかな」と言うようになりました。これは娘と支援者との間に信頼関係ができていたからこそ出てきた言葉なのだと思います。もし親が「グループホームの見学や宿泊体験に行ってみたら?」とでも言ったなら彼女は「親が私を家から追い出したがっている」とネガティブに捉えていたことでしょう。こうして休職を“前向きな休み”にするための、娘のグループホーム探しがスタートしたのです。それまでの私たち親子がグループホームについて知っていたこと娘→高等特別支援学校の主催の勉強会(机上)私→放課後等デイサービス主催の勉強会、学校での説明会、役所のへの相談、保険会社のネット講座、基幹相談センター主催の講演会、友達のお母さんの情報・娘の卒業校(高等特別支援学校)の先輩でグループホームに入居しているのは男性のみ(女性向けのグループホームは数が少ない)・人気のホームは空きがない。順番待ちに2年かかる場合もある ※自治体によって違いがあります・引っ越し代などの初期費用(※)と、数ヶ月分の家賃程度のお金を貯めてから入居するのが良い・日中は仕事や作業所に行く必要がある・区分認定により補助金の額が違う程度で、自分たちが住む地域の詳細な情報や具体的な申請手続きの方法などについてはほぼ知りませんでした。※ここでの初期費用の内訳・引っ越し代・部屋の間取りに合わせた収納や家具、寝具・自室用の小型テレビやパソコン、モバイルWi-Fi、ミニ冷蔵庫(本人が必要と感じる場合)・ランドリー小物(洗濯カゴ、洗濯角ハンガーなど)・風呂小物(風呂桶、椅子)⇒グループホームにもよる・部屋によってはカーテン・個人の消耗品(シャンプーやリンス、ボディーソープ、洗顔料など)7年かけて構築された信頼関係私たちの地域では基幹相談支援センターがグループホームの相談などに応じてくれる体制がありました。娘は中学校3年生のときから基幹相談支援センターの余暇支援活動に参加していました。高校生のころにはセンター内のショートステイを利用し、その後も時おり支援員さんと面談をしていました。入社一年目に体調を崩した際には、この基幹相談支援センターが中心となり学校や職場と連携してケース会議を開いてくれました。このように長年の付き合いがあり、娘のことをよく知っている相談員さんにグループホームや娘の計画支援をしてもらえたのはとてもラッキーなことでした。相談員さんは現時点で空きがあって、娘に合いそうなグループホームをいくつか紹介してくれました。グループホームの種類見学を通して私たちはさまざまなタイプのグループホームがあることを知りました。・貴重品の管理や薬の管理もしてくれる手厚い支援があるところ・食事以外は基本自由で、一人暮らしに近いような自立重視のグループホーム・外部から料理をする人が来て、朝夕の食事提供するスタイルのところ・弁当形式のスタイルのところ・“使った食器は自分で洗う”などのルールがあるところ・入居者の年齢層や障害の種類や程度はグループホームによってさまざま・男性専用棟や女性専用棟などがあるグループホームもある見学と宿泊体験グループホームの宿泊体験には受給者証が必要です。事業者と打ち合わせをして体験日程が決まったら役所に宿泊体験の申請をします。宿泊体験に費用がかかるかどうかは事業所によって異なります。基幹相談支援センターでのショートステイの経験がある娘は、2泊3日程度の外泊には慣れていました。グループホーム体験宿泊を経験してみて、娘は職場に近く、自立度が高い個人重視のタイプのホームが気に入ったようでした。一抹の不安はあれど私と支援者が心配していることがありました。それは娘が気に入ったグループホームが県外にあったことです。もし、そこに入居するとなると娘は今住んでいる自治体から『転出』することになります。福祉サービスは自治体によって違いがあります。今までとは異なる環境下で新たな支援者との信頼関係を一から構築していくことの大変さを伝えても、娘にはピンとこないようでした。きっと経験してみないと娘には分からないのかもしれません。私たち家族は彼女の意志を尊重することにしました。娘のグループホーム入居に向けた取り組みはまだまだ続きます。執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)休職中とのことですが、調子が上向いてきて、そしてかつてお世話になっていた方々との再会やつながりの回復により、娘さんのやる気・意欲が湧いてくるのを感じます。就職、自立に関しては、地域によっても、お子さんの特性などによってもさまざまな展開があるので、荒木さんのこのコラムを拝読して私も「なるほどー」と勉強になりました。地域の基幹相談支援センターと娘さんとの信頼関係がベースとなって、次の一歩を踏み出そうというところ。どの地域であっても、地域の中心となる機関やキーパーソンとつながっていることはとても大切だと改めて感じますし、(おそらく読者の方のお子さんはまだ未成年であることが多いのではと推察しますが)信頼できる家族以外の人、信頼できる地域の人・機関を見つける、その方とお子さん自身が良き関係を築けるということの準備を子ども時代にできるとよいのだなと感じます。そして、最後に書かれていますが、自治体を移ることのインパクトは保護者のみなさんよくご存じかと思います。福祉の充実も自治体によってだいぶ違いますね。娘さんのその後がとても気になります…!
2021年11月19日さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。自宅で気軽にできる習い事に、今大きな注目が集まっています発達が気になるお子さんが伸び伸びと成長していくために、好きなことを見つけて楽しく得意を伸ばしていくことは、とても大切なことです。自分だけの得意を育むことで自己肯定感も育まれ、また将来の生きる力に繋がることが期待できるからです。そしてその成長を応援してくれる選択肢の一つに、「習い事」があります。最近ではこの習い事が、オンラインで自宅で気軽に始められるようになり、そのバリエーションも豊かで多彩なテーマがあることをご存知でしたか?出典 : さんすう、ゲーム、イラスト、ダンス、そろばん、英語…。多彩な習い事と、発達が気になるお子さんの「好き」や「得意」が重なるテーマはきっとあるはず。少し敷居が高いイメージがあったとしても、オンラインなら自宅で保護者の方の側で、安心して始められます。そこで今回の記事では、さまざまなジャンルの中から4つの習い事をまとめてご紹介します。まずは興味の小さな芽を見つけてあげることで、いつか才能が花開く日への第一歩としていただけたら、嬉しく思います。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムそれぞれの習い事の詳細は、対応しているボタンから遷移するページでご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。【やりたいことが決まらない/たくさんある】スタコレ『スタコレ』は、自宅にいながらさまざまな習い事を受講し放題の、ライフスタイルに合わせて好きなだけ習い事に没頭できるプラットフォームです。月額制のプランに申し込むことで、多様な分野の習い事から興味に応じて選んで受講することができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムその分野は多岐に渡り、知育(幼児向け)、記述読解、算数、英会話、英検、そろばん、書道、ダンス、バレエ、絵画、質問し放題の自習室など、「好き」の芽を見つけやすい設計となっています。どの分野のレッスンも、全国で活躍する現役講師を採用後にオンラインレッスンのノウハウ研修やパーソナル指導を徹底的に行っているとのこと。また、『スタコレ』は一方通行の動画レッスンではなく、LIVE型の双方向レッスンなので、遠く離れた講師と対話をしながら、興味や集中を持続させ、得意をどんどん育てていくことができます。英会話・絵画・書道などのレッスンをクロスしながら学ぶことで、色んな方向から刺激やヒントを受けて興味の幅を広げながら、力を伸ばしていくことが期待できます。興味の芽がどこにあるのかまだ分からなくても、その芽を見つけるきっかけを幅広く得られるのが『スタコレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:StudyCollect■授業形式:10人以下の集団授業■対象年齢:4歳〜小学校高学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:ベーシックプラン6,600円(税込)、プレミアムプラン13,200円(税込)■入会費:無し■体験受講:登録から2週間無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します【算数の力をもっと伸ばしたい】math channel『math channel:おうちで楽しく学ぶ算数パズル教室@オンライン』は、「算数をもっと楽しくそして好きになる」ためのエッセンスが沢山詰まったオンラインクラスです。毎週違うテーマの『math channel』オリジナル算数パズルの問題に自分のペースで取り組みながら、何度も問題に取り組む「めげない心」と楽しみながら「算数的思考力」を育んでいきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムまずは簡単な問題から取り組み、問題の意味を理解し、「わかった!」という経験を積んでいきながら、さまざまな問題にチャレンジします。算数が好きなお子さんはもちろん、算数に苦手意識を持ち出したお子さんも、みんなで一緒に算数を楽しめる場のようです。オリジナルで厳選&制作した「かず」「かたち」「ろんり」の3つに沿って、「頭を使って考えながら解く」、「考えれば考えるほど楽しくなる」経験を重ねていきます。問題はどれも、解けば解くほど新しい発見があって、手を動かしながら何度も試せるテーマで、解いたあとは自分でも算数パズルを作りクリエイティブな力も身に着けられる題材ばかり。計算(数)・図形・論理の基礎力を身につけながら、主体的に問題に取り組み考えること、そして何よりも算数と楽しく向き合い続けることが大切とされています。算数・数学の学びに必要な、主体的にさまざまな問題を考え・向き合う力を楽しく身につける選択肢として、一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:算数パズル教室@オンライン■授業形式:15名程度の集団授業■対象年齢:小学校低学年〜中学年■必要環境:zoom / PCまたはスマホ・タブレット用意必須■受講料:月額8,800円(税込)■入会費:無し■体験受講:1コマ1名分2,200円(税込)。通常の授業を体験することができます。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します【絵やアートが好き】ATAM ACADEMY『ATAM ACADEMY』は、お子さんの感性を豊かにし、イラストやデザインに関する技術を学ぶことができるアカデミーです。絵を描くことが好きな気持ちを大切に育みながら、「好きなお絵かき」を「得意なお絵かき」にすることで、誰かに褒められる機会や「できた!」が増え、お子さんの自信へとつながっていきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムプロの講師からイラストやデザインの技術を学ぶことで、作品をつくって伝える力が伸びていき、アートを通しての自己表現の楽しさも体感することができます。それと同時にアートには答えが無いため、お子さんの「自分で考え、自分で伝える」力までを育んでいくことを目指しているとのことでした。レッスンは講師1名に対して生徒3名という少人数制の独自カリキュラムなので、一人ひとりに向き合いながら成長に寄り添ってくれます。オンライン授業なので国内外問わず学ぶことが可能で、香港・シンガポールなど世界中から問合せがあるそうです。発達が気になる方の中には、アート方面で才能を発揮されている先輩方もいるので、相性が良い習い事の一つと言えるかもしれませんね。イラストやデザインという将来の仕事にもつながる技術を、自宅で自分のペースで学ぶことができるのが『ATAM ACADEMY』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:アタムアカデミー■授業形式:生徒3人に対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜中学生■必要環境:zoom / PC、iPad、Apple Pencil必須(有料貸出あり※体験時は無料貸出可)■受講料:月額 10,000円(税込)■入会金:11,000円(税込)■体験受講:塗り絵を活用したレッスンを無料で受講可能※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します【ゲームが好き】ゲムトレ『ゲムトレ』は、ゲームが本来持ち合わせている「学びの可能性」を最大限引き出すことを目的とした、日本初のゲームのオンライン家庭教師です。「楽しく脳を鍛える習い事」として、顔の見える先生からゲームを学ぶことができます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム勉強に集中することは苦手だけど、ゲームだったら時間を忘れて夢中で続けられる。それだったらゲームで遊ぶ時間自体を、学びの時間に変えることができたなら、家にいながら自分らしく学びを深めていけるはず。そんな想いで、大会出場やプロゲーマーを目指すだけを目的とせずに、ゲームを通じて脳を鍛えたり、自己肯定感を育んだり、コミニケーション能力を高める教育プログラムです。ゲムトレには全国大会、世界大会経験者など高い実力を持つ、採用率10%以下の厳選されたプロのゲームトレーナーが在籍しています。累計トレーニング回数は10,000回を突破したそうです。目標を自分で定め課題を解決していく問題解決力だったり、現実では難しいスケールのものをつくる創造力など、さまざまな力を自然に育んでいくのが『ゲムトレ』です。一度体験してみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム■習い事名:ゲムトレ■授業形式:1人もしくは少人数のグループに対して講師1名■対象年齢:小学校低学年〜高校生■必要環境:ゲーム環境と通話環境■受講料:月額 7,480円(税込)〜■入会金:11,000円(税込)■体験受講:1時間の個別トレーニングで2,200円(税込)。体験会の際に継続を決定すると無料。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移しますまずは習い事の選択肢を広げて、お子さんの「好き」の芽を見つけてみてはいかがでしょうか?今回ご紹介した4つの習い事は、テーマとしてきっと今まで検討されたことがないものもあったのではと思います。だからこそ可能性を狭めずに、まずはもっと知っていただくことから始めることができると、「好き」の芽を見逃さずに育んでいくことができるはず。それぞれの習い事の詳しい詳細は、下記のボタンから遷移するページでもご覧いただけますので、ぜひ一度見てみてくださいね。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから合同会社EducationHackのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社math channelのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社アタムのサイトに遷移します※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社ゲムトレのサイトに遷移します
2021年11月18日コウの発達障害に気づかなかった私Upload By 丸山さとこ以前コラムでも書いたことがありますが、息子のコウは幼児のころ、”発達障害あるある”とされる行動が多い子どもでした。「物を並べる」「回転するものを長時間見つめる」「パニックになり壁に頭を打ちつける」などの行動をよくしていたコウ。『そういう性格なんだな』『それが好きなんだな』と捉えていた私は、息子に発達障害がある可能性を考えていませんでした。Upload By 丸山さとこ当時は本当にそう考えていましたし、その言葉に嘘はありません。ただ、今改めて振り返ってみると、正確には「(診断されるレベルの)発達障害がある可能性を考えたことはありませんでした」と書くべきだったのかもしれません。今回は、その辺りの少し複雑な心境について書いていこうと思います。コウの発達障害に気づかなかった私私は、自分自身が大人になってから医師に「発達障害のある可能性は高いが、就労と結婚をしているので検査は不要でしょう」と告げられるという経験をしています。コウが未就園児のころには『発達障害の特性はグラデーションである』ことを既に知っていました。ですが、そのことはコウに対する支援を探すきっかけにはならず、むしろ「積極的に情報を取りに行かない理由」になってしまいました。Upload By 丸山さとこ自分の経験から「発達障害がある傾向があって生活上つまずきを感じたとしても、つまずきの程度がよほど重くなければ、診断を受けることはないのだろう」と考えていたのです。2歳の誕生日を迎えたコウは、発語自体はあるものの会話のバリエーションは少なく、決まった形の問いかけ以外に答えることはほとんどありませんでした。そのため、公園でコウに話しかけてくれた近所の子から「この子はどうして話さないの?」「大きいけど赤ちゃんなの?」と聞かれたこともありました。この時点で、保護者によっては既に違和感を覚えるような状況だったのかもしれないな…と思います。Upload By 丸山さとこですが、私は前述の経験から「よく笑い、目が合うこともあり、(ある程度は)意思の疎通が可能なコウは、発達障害がある傾向があったとしても診断を受けるほどではないのだろうな」と思っていました。発達の凸凹自体は何となく認識していたものの、「彼の凸凹は得意・不得意の範囲とされるものであって、発達障害があるとはいえないのだろうな」と考えていたのです。2歳後半になり”セリフとして覚えた2語文”を話すようになったコウは、言葉による要求も行うようになってきました。それは”覚えたセリフ”をカードのように使っている状態だったので、「オウム返しを使って望ましい状況を再現しているだけ」と感じた私は『これで会話が成立していると言えるのだろうか?』という疑問を少し抱きました。Upload By 丸山さとこそれでも、私と話すときのコウは言葉での意思疎通が可能なため「コミュニケーションがとれている」と言えなくはない状態でした。しかし、コウの話せる文章が増えるほどに違和感が増えていきました。その後、児童館で人から話しかけられたコウが”話しかけられたセリフ”を延々と繰り返したことをきっかけに「これは何かあるのかもな」と薄っすら思い始めました。そして、3歳児健診でハッキリと息子に発達障害がある可能性を告げられたとき、『このくらいでも”発達障害がある可能性あり”として対応していくのか~!』『確かにほかの子どもと様子が違うからな~!』…という2つの気持ちを同時に味わっていました。”意外に思う心境”と”納得する心境”が一度にやってくる印象深い体験でした。Upload By 丸山さとこ私自身、発達障害にネガティブなイメージはなかったことから「発達障害がある可能性」と告げられたこと自体に対しては大きな戸惑いもなく、「コウは発達障害がある可能性が高く、支援が必要なのだ」と認識が切り替わりました。そこからの私は、コウの発達に関して改めて情報収集をしつつ、知能検査を受けたり療育園へ申し込みに行ったりするなどの”支援のための行動”を開始しました。不安や迷いがなかったのは、『ありのままのわが子を受け入れる愛情深い母親だから』ではありません。状況に対応するだけで手一杯だった当時は、「必要だ」とされることを「必要なんだな」と思うがままに取り入れていっただけの、流されるままに進んでいくような日々だったな~…と思います。Upload By 丸山さとこ家庭では以前から「コウに伝わるように」と意識して接していたことから、発達障害がある可能性を告げられてからも接し方が大きく変わることはありませんでした。しかし、改めてコウの様子を観察しながら「なるほど、確かに”発達障害あるある”な行動なんだな…!」と納得したりしていました。「すべて今だから言えることなんだろうな」と思う現在の私です1歳半健診で「反応が薄いのでちょっと様子を見ましょう」と言われたときや、2歳の健診で「コミュニケーションに不安があります」と心理士に言われたときなど、今になって振り返れば、コウの発達障害にもっと早く気づけたチャンスは何度もあったのだろうなと思います。3歳児健診まではハッキリと発達障害の名前を出されなかったことや、療育園を勧められなかったこともあって、息子の様子は「個性の範囲なのだろう」という判断をしていました。ですが、それについても、私の方から「気になるんです・心配なんです」と専門家の先生に伝えていたらハッキリと告げられていた可能性もあったかもしれません。Upload By 丸山さとこ早く気がつけばもっと選択肢があったかもしれないし、コウにとってより適切な環境を用意できたかもしれません。一方、2歳まで住んでいた自治体には通える療育園がなかったことから、実際には早く発達障害があることに気づいていたとしても焦るばかりだった可能性もあります。可能性をあげればキリはありませんが、それらはすべて「今だから言えることなんだろうな」と思います。Upload By 丸山さとここれからも、さまざまな可能性の山をかきわけて右往左往しながら選択をしていく中で、「こういう選択肢もあったのか!」「もっと早く考えていれば…」と思うことは山のようにあるのだろうなと思います。選ばなかった選択肢の結果が分からない以上、”ベストな選択だったのかどうか”という判断自体があとからできるようなことではないのかもしれません。それでも、定期的に足跡を振り返って検証をしつつ進んでいくことは大切なのだろうと思います。せめて、「いつでも予想外の展開や方向転換はあるのだろうな」という覚悟だけは持っておくといいのかな~と思う、予想外の展開に弱い私でした。(監修:三木先生より)とても良い振り返りですね。とてもバランスが難しいところなのですが、「まあこんなもんかな」と思って気楽にすることと、「この子にはこれが必要だ」と意気込むことは両方とも必要だと思います。そういう意味では、結果的にいいタイミングで気づかれたんじゃないかなと思いました。
2021年11月18日タケル誕生!2850gの元気な赤ちゃんわが家のでこぼこ兄妹の兄、タケルは8歳のときにアスペルガー症候群(※)の診断書を受け取りました。その後、19歳で精神障害者保健福祉⼿帳を取得する際に改めて診察・検査を受けてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。(※)現在は、ASDに統合されています。そんなタケルが生まれたのは、夏、そろそろ本格的に暑くなろうかというころでした。妊娠中、出産時とも特に問題はなく、あまり時間もかからずスルッと生まれた赤ちゃんで、私は「聞いていたよりずっと楽だった!なんて親孝行な子なんだろう!」と、思いました。それから、半年ほどの間は何事もなく過ぎていきました。今思えば「何もなさすぎた」というほど、手のかからない赤ちゃんだったのです…。とにかく寝ない!泣きだしたら止まらない!生まれて6ヶ月を過ぎるころ、強烈な夜泣きが始まりました。赤ちゃんは泣くのは仕事、とは聞いていましたが、1時間、2時間…と、本当に泣き始めると延々泣いているのです。そして最後は疲れて喉が開かなくなり「ひほっひほっ」とかすれた音を出しながら、腕の中で跳ねるようにしながら眠りにつくのでした。泣いている間に本格的な呼吸困難を起こして、病院に走ったことも何度もあります。どうも、タケルは「壊さないように身体を使う」ということができないようでした。Upload By 寺島ヒロもしかして高次脳機能障害...?しかし、私はタケルが3歳になるころには「これは学生のときに心理学の授業で聞いた高次脳機能障害というやつではないのか?」と考えるようになっていました。高次脳機能障害は怪我が原因で脳機能に障害が現れることです。タケルは大きなケガをしたことはなかったとは思うのですが、私が見ていないときにぶつけていなかったとは限らない、何しろいつも暴れながら泣いているので可能性として低くはないと思ったのです。そのころのタケルには、・注意を引いてもその方向を見ない。物を目の端で見る・笑顔がぎこちない。口が「笑顔の形」に開いても笑い声が出ない・おもちゃを想定されたやり方で遊ばない。ひたすら並べたり積み上げたりする・寝るときはおっぱいを飲みながら抱っこでないと寝ない(5歳まで)・落ち着きがなく、緊張が高まると身体を小刻みに揺らし続ける・服の肌触りに非常にこだわる・文字の読み書きができる。3歳ごろに書くようになったのでわかったが、読むだけはもっと前からできていたよう。漢字も読み方を教えてもらうとほぼ一回で覚える・100ピースほどのパズルはほとんど迷わず解ける。一度解いたパズルはピースの形と置いた場所を覚えている…などの特徴が見られました。Upload By 寺島ヒロ※その後、タケルは高次脳機能障害ではなく、アスペルガー症候群の診断を受けました。上記は、私が「気になったところ」ということで挙げさせていただいていたもので、お子さんにこのような部分があったからといって、障害があるというわけではありません。念のため。病院では問題ないというけど...やっぱり何かヘン!実際は高次脳機能障害ではなかったのですが、このとき「疑い」を持ったことで、私はタケルの体調や睡眠時間の長短、遊びの内容などを事細かに育児日記として記録することを始めました。病院や保健所の発達相談会で聞いても「異常はない」と言われてはいたのですが、将来、もしかして何らかの障害だと分かったとき治療の役に立つかもしれないと思ったのです。Upload By 寺島ヒロ地方自治体の発達相談で判明!「たぶんアスペルガー」発達障害だと分かったのは、タケルが7歳のときに市で毎年開催している子どもの発達相談会に参加したことがきっかけです。この年に初めて県の発達センターから医師を含む専門のスタッフが派遣され、発達障害についての相談をすることができるようになりました。その場には、息子も伴って行ったのですが、もうスタッフさんに二言三言お話しただけで「この子は…!詳しい検査が必要かもしれません」と言われました。「異常なし」から一変!療育センターで詳しい検査を受けることに結局、その場での本人の様子と「育児日記」から、「アスペルガー症候群に大変近い」との医師の所見を得て、一週間後には療育センターで詳しい検査を受けられることに。療育センターでも、生まれてからの詳細なデータが残っていたため、すぐにアスペルガー症候群の診断がつき、まったく待たされることなく療育に入ることができました。そして、8歳の誕生日を迎えたころに診断書を受け取ることとなりました。書き溜めていた「育児日記」はしっかりとその役目を果たしてくれたのです。執筆/寺島ヒロ(監修:井上先生より)お子さんの夜泣きが続く大変な日々を、よく乗り切られましたね。当時は現在のように、一般的に発達障害に対する情報が広まっていませんでした。幼児期の睡眠障害については、最近日本でも注目されるようになってきました。寺島ヒロさんのように、相談に行かれる場合に「育児日記」のようなものをつけておかれると、専門家や医師も具体的な情報が得られ分かりやすくなると思います。
2021年11月17日