昨年逝去した蜷川幸雄さんが率いていた高齢者劇団、さいたまゴールド・シアター。巨星を失った劇団の新たなスタートとなる次回作さいたまゴールド・シアター第7回公演『薄い桃色のかたまり』は、過去に2作の戯曲を書き下ろした岩松了さんが作・演出を手がける。「台詞をスラスラ言うのだけが演劇の面白さじゃないと思う」「蜷川さんという人は、演劇のなかで、人がどの立場に立っているかという“場”を重視していた方だと思います。僕はこれまで家庭の中のいびつな世界を描いてきましたが、蜷川さんに託す戯曲に関しては、あえて社会的な問題を意識して書いてきました。そこでなら、お互いが繋がれるような気がしていたんです」その蜷川さんと話していた次回作のモチーフが福島だったという。「いま避難指示解除地域では、家の中にイノシシが入り込んでいるっていう状況があるんですよね。福島が抱える一番の問題は放射能だと思うのですが、放射能を直接的に描くのではなく、イノシシの問題に置き換えて物語にできたらと思ってます」福島を舞台に、住民と、東京から恋人を捜しに来た女、事故を起こした会社側の人間…さまざまな立場から震災後の様子が描かれていく。「今回は、被害者を中心とした話ではありません。被害者側から書けば、どうしたって善悪の話になりますが、それは演劇の役目じゃない。あくまで演劇として、被害者、加害者双方を等価に書くことで、渦中で軋轢を感じている人たちの間に起きているドラマを表したいんです」取材前、稽古を見学させてもらった。言葉の一文字一文字に含まれた微妙なニュアンスが対話に緊張感をもたらしていく岩松戯曲は、台詞を覚えるのもままならないゴールドのメンバーにとってかなり手ごわい。それでも何度も根気強く丁寧に演出をつける姿が強く印象に残った。「確かに台詞を覚え切れないことにジレンマは感じますが、スラスラ言えれば面白いかといったら、そうじゃないですよね。いろんな要素が絡み合って、ある空気が醸し出される。それが演劇だと思っています」いわまつ・りょう劇作家、演出家、俳優。今年5月に上演した舞台『少女ミウ』でも福島をモチーフに。「ひとつの世界をふたつに分けて書いたつもりです」’06年創設時の平均年齢は66.7歳。フランス、香港でも公演し、高い注目を集めた。現在平均年齢78.0歳。『船上のピクニック』(’07年)、『ルート99』(’11年)。共に岩松さんの脚本。さいたまゴールド・シアター第7回公演『薄い桃色のかたまり』9月21日(木)~10月1日(日)与野本町・彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)作・演出/岩松了全席自由4000円(税込み)SAFチケットセンターTEL:0570・064・939※『anan』2017年9月27日号より。写真・土佐麻理子(岩松さん)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年09月26日テレビ朝日の音楽番組『EXシアターTV』(隔週日曜深夜2:40~)では、バンド対決を勝ち抜いてEXシアター六本木を目指す"対バンイベント"企画を、来年1月からスタートする。この企画は「ROAD TO EX 2017」と題し、渋谷TSUTAYA O-nestで始まるファーストステージを皮切りに、ライブパフォーマンスで支持されたバンドのみが次のステージに進出。その後、下北沢GARDEN、恵比寿LIQUIDROOMと、ステージがステップアップしていき、最終目標となる来年12月のEXシアター六本木でのライブ開催を目指す。出演資格は、EXシアター六本木で"ぶちかましてやろう"と思っているバンド(自薦のみ)、ワンマンで"頑張れば"30人以上集客できる、メンバーの平均年齢35歳以下で、プロアマ・男女問わず。このバトルの模様は、地上波テレ朝『EXシアターTV』と、CSテレ朝チャンネル1『EXシアターTV Live』で、随時放送される。
2016年12月05日TOHOシネマズが今冬にIMAXデジタルシアターと、MX4Dを追加導入することを発表した。ららぽーと横浜と大阪なんばにIMAXが、東京の西新井、府中、神奈川の海老名、大阪の鳳にMX4Dが新規導入される。その他の画像IMAXは映像、音響ともにクオリティが観客から高く評価され、好調な動員を記録中。映画のシーンに合わせてシートが動き、様々な効果が楽しめるMX4Dもチケットが即完売する回が続出するなど好評を博している。今冬は『スター・ウォーズ』の知られざるドラマを描く『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が公開予定で、IMAXとMX4Dのどちらも上映が予定されており、新規導入される劇場でも大きな盛り上がりを見せそうだ。いずれも詳細な導入時期は追って、TOHOシネマズのオフィシャルサイトで発表される。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』12月16日(金) 全国ロードショー
2016年10月18日ウルトラテクノロジスト集団の「チームラボ」が手掛ける体感型デジタルシアター「DIGITAL PROVENCE Powered by teamLab」が、「ロクシタン」新宿店ヴォヤージュ・アン・プロヴァンスにて9月16日(金)よりオープンする。「ロクシタン」は、世界90か国以上、約3,000店舗を展開するライフスタイルコスメティックブランド。今回のプロジェクトは、プロヴァンスの魅力を日本に伝える取り組みとして、フランス観光開発機構とプロヴァンス観光局より後援を得て実現した、これまでにない全く新しい映像を用いたデジタル体験とショッピングの融合だ。1F展示 「フレグランスウォール」は、エントランス付近に設置された鏡の正面に人が立つと、プロヴァンスの植物が鮮やかに咲き誇り、同時にその香りが噴霧される仕組み。プロヴァンスならでは植物を視覚でも嗅覚でも感じることができ、撮影スポットにもなっている。同じく1F展示「『フラワーテーブル』Powered by teamLab」では、ディスプレイ型のテーブルにロクシタン製品を置くと、製品のキーとなる原材料の植物イメージが表示されるほか、詳しい製品情報や使い方が表示され、誰でも簡単に製品の詳細を確認することができる。4Fには、「『デジタル プロヴァンス シアター』Powered by teamLab」により、物の組み合わせや動作で変化し続けるデジタルインスタレーションによって、プロヴァンスが持つ美しい自然の一瞬を表現する空間が展開される。360度広がる壁にプロヴァンスの美しい風景が映し出される。2Fのロクシタンカフェでは、オープンを記念して、プロヴァンスを代表するハーブ、ラベンダーを使用した持ち歩き可能な「ラベンダーブリュレコーン」を期間限定で販売する。スイーツは、「『デジタル プロヴァンス シアター』Powered by teamLab」内でも食べることができる。販売期間は、9月16日(金)~10月 16日(日)。価格は、500円(税込)。最新のデジタルアートに触れながら、ロクシタンの世界観を味わえる新スポットに注目が集まる。(text:cinemacafe.net)
2016年09月03日単身ニューヨークに渡り、ソウル・シンガーへの道を切り開いていったNao Yoshioka。ソウルの殿堂アポロシアターで行われた「アマチュアナイト」準優勝や、アメリカ最大のゴスペルフェスでファイナリストに選出された経験も持つ。そんな彼女のニューヨークでの話やニュー・アルバム、ツアーへの意気込みについて聞いた。【チケット情報はこちら】幼少の頃から歌が大好きで、歌が自分のすべき事だと直進してきた。しかし、10代後半に様々な出来事が襲い引きこもりとなり、歌を2年程やめた時期があったそう。このままではダメだと感じ、ふと「ニューヨークへ行こう!」と思いつき、英語もままならない中、単身渡米。mixiで現地の人を探して連絡を取り、その中のひとりが紹介してくれたヴォーカルコーチが彼女の運命を変えた。厳しい指導の中、持ち前の才能と歌への情熱で着実に課題をクリア。数々のオーディションに勝ち残るようになった。「厳しさのあまりレッスン前は緊張でお腹が痛くなりました。でも先生のおかげでステップアップしている自分も実感できて、つらさよりも楽しさの方が上回っていたかな。町では飛び入り参加のステージも多く開催されていて、周りの意識も高く、『もっと頑張らないと!』と自分の目指す基準がどんどん上がる日々。先生や周囲のミュージシャンなど、多くの人からたくさん刺激を受けましたね」とニューヨークの生活を語る。帰国後、現在所属のレーベルに出会い、世界へ発信する音楽を生み出していった彼女。1stアルバム『The Light』、2ndアルバム『Rising』に続き、9月21日(水)に3rdアルバム『The Truth』をリリース。「”音楽は国境を越えて心を繋いでくれる”というのがテーマ。お気に入りの『I Love When』はアリシア・キーズに楽曲提供するMusicman Tyと一緒に作りました。曲を作ってからレコーディングするのではなく、スタジオで彼が曲を作りながらレコーディングするという新しいスタイルで作りだし、音楽的にチャレンジした曲。1番のお薦めはグラミー賞ノミネート作品もプロデュースするKhari Mateenとの共作で、タイトルにもなっている『The Truth』。様々な音が詰まっているので、じっくり聴いてほしいです」とアルバムの魅力を語ってくれた。3rdアルバムを引っ提げて10月10日(月・祝)よりツアーが始まる。「今回はフルバンドでのツアー。サウンドに厚みも出て1番やりたい事や伝えたい事を音楽にしてお届けできるのが楽しみ。前作のツアーから、ライブパフォーマンスもすごく変わったと自負しています。今までとひと味違ったステージにしますので、楽しみにしていてください!」と期待膨らむコメントをくれた。進化し続けるNao Yoshiokaの魅力をたっぷりと堪能できるステージ。公演は愛知、福岡、大阪、北海道、東京で開催。チケットは発売中。
2016年09月02日9月に開催される第38回PFFぴあフィルムフェスティバルが、映画配給会社ギャガが運営する動画配信サイト“青山シアター”でコンペティション部門“PFFアワード”の入選作品をオンライン配信することを発表した。本日から昨年度の入選作が配信され、映画祭表彰式翌日の9月24日(土)からは“PFFアワード2016”の入選作を配信する。その他の画像“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”は、世界最大級の自主映画コンペ“PFFアワード”をメインプログラムに据えている映画祭。本年度は入選作20作品が上映され、映画プロデューサーの遠藤日登思、映画監督の沖田修一、荻上直子、編集者の佐渡島庸平、アーティスト/ミュージシャンの野田洋次郎が最終審査を行い、各賞が決定。9月23日(金)の16時30分から表彰式とグランプリ作品上映が行われる。青山シアターは、PCやスマートフォンなど様々な機器で好きなタイミングに映画を楽しめる動画配信サイトで、最新作のオンライン試写会や、特別映像なども配信している。本年度の入選作は9月24日(土)から10月23日(日)まで期間限定で配信され、1作品500円(税別)で楽しめる。また、3作品が1200円(税別)で観賞できるセット券も、映画祭会場のロビーと、チケットぴあで販売される。第38回PFFぴあフィルムフェスティバル9月10日(土)から23日(金)まで東京国立近代美術館フィルムセンター(月曜休館)10月29日(土)から11月4日(金) まで京都シネマ11月3日(木・祝)から6日(日) まで神戸アートビレッジセンター11月11日(金)から13日(日) まで愛知芸術文化センター2017年4月福岡市総合図書館
2016年08月30日野外シアターイベント「品川オープンシアター(Shinagawa Open Theater)」が、2018年8月4日(土)、5日(日)の2日間、品川シーズンテラスで開催される。映画は19:00から21:00で上映予定、入場・観覧は無料だ。「品川オープンシアター」は、無料で楽しめる野外シアターイベント。SNSなど口コミを通じて作品の世界観に合わせた空間演出が話題になり、人気に火がついた。会場入り口から東京タワーに向かって伸びるのはレッドカーペット。広大な芝生の上には、巨大スクリーンが設置され、開放的な空間で映画を楽しむことができる。7回目を迎える今回は、シリーズ1作目から20年以上たった今でも人気が衰えない名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を上映。自動車型のタイムマシン“デロリアン”で過去へタイムスリップした主人公が騒動を巻き起こしていくSFアドベンチャー大作だ。「品川オープンシアター」会場には、劇中に登場する“デロリアン”が出現。重要な役割を持つ“時計台”も設けられるなど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中に入り込んだかのような特別な空間となる。【詳細】「品川オープンシアター vol.7」開催日:・2018年8月4日(土) 11:00~22:00・5日(日) 11:00~16:00※映画上映時間 19:00~21:00、キッチンカー出店22:00まで。※雨天・強風時は翌日8月5日(日)に順延(小雨決行)、両日荒天の場合は中止。※来場者数に応じて入場制限を行う可能性有。会場:品川シーズンテラス住所:東京都港区港南1丁目2番70料金:入場・観覧無料
2016年08月27日カンボジア映画界初の女性監督ソト・クォーリーカーが手掛けた『シアター・プノンペン』の予告映像が公開された。本作は、カンボジアの反政府組織“クメール・ルージュ”の圧政を背景にした母と娘の壮大な物語だ。その他の画像/予告映像クメール・ルージュとは、1975年より台頭した、指導者ポル・ポト率いるカンボジア共産党の別名で、1976年に民主カンボジア政府を発足し、反対派を大量虐殺するなどの過激な共産主義革命を行った組織だ。大量虐殺により、知識人はもとより一般人も含め、国民の4分の1が命を落としている。物語の主人公は、現代のプノンペンに暮らす女子大生ソポン。ある日彼女は、廃墟と化した映画館で、自分そっくりの少女が出演する映画を発見する。スクリーンに映るその女優は、実は若き日のソポンの母だった。ソポンは映写技師のソカから、この映画はクメール・ルージュがカンボジアを支配する前年に作られたが、内戦の混乱により映画の最終巻を紛失し結末を観ることができないことを聞き、母のためにも映画の最後を撮り直そうと思い立つ。自身もクメール・ルージュにより父親を亡くしているクォーリーカー監督は、「自国の歴史や自分自身をもっと知りたい」との思いから本作の製作を決意。本作の主人公は、映画のエンディングを作り直す過程で家族や国の歴史に出会っていくが、クォーリーカー監督も「映画を作りながら自国の歴史を発見することができました」と話す。一方で、カンボジアの現状を「“辛い過去は蒸し返さないで葬りましょう”という格言のようなものがあり、今まさにその状態」「(クメール・ルージュについて)学ぼうという子供は少ない」と問題視し、「過去を直視して生きなければならない」と語っている。本作は、タブー視されているテーマを扱っているにもかかわらず、カンボジアで興行収入歴代1位となるなど大ヒットを記録しており、重厚な人間ドラマとともに、語り継ぐべき歴史の真実が描かれた壮大な物語に仕上がっているようだ。『シアター・プノンペン』7月2日(土)より岩波ホールにて公開
2016年04月14日日本マイクロソフトは、Windows 10およびXbox One用ゲームタイトル「Quantum Break」を4月7日にリリースする。これに先駆けて、4月4日、Windows 10のゲームプラットフォームにおけるファーストパーティーとしての取り組みを説明した。○Windows 10のゲームラインナップを大きく拡大Xbox OneやPlayStation 4に代表されるゲーム機ではなく、PCゲームを楽しんでいるユーザー層は存在する。OSとしてWindows 10を使うユーザーも増加し、2016年3月の「Steamハードウェア&ソフトウェア調査」でも、64ビット版Windows 10のシェアは36.97%と64ビット版Windows 7の32.99%を上回り、加速傾向にあるのは明らかだ。Windows 10もリリース当初からPCゲームに関する機能として、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションの「Xbox」や、「Win」+「G」キーで起動する「ゲームバー」を盛り込んでいる。だが、PCゲームプラットフォームとして存在感がいまひとつなのも確かだ。日本マイクロソフト Xboxマーケティング戦略本部 井上正之氏は、今回の説明会で「OSとデバイスに続いて、サービスとコンテンツの取り組みを推進させる」と述べた。2016年春から、Windows 10におけるPCゲーム分野のサービス&コンテンツ強化を明らかにした。その代表的な取り組みとして、Windows 10向けに以下のタイトルを今後リリースする。日本のアニメーションにインスパイアされたというビジュアルが特徴的な2Dアクションゲーム「Ori and the Blind Forest: Definitive Edition」は、2015年3月にリリースされたタイトルだが、新コンテンツを追加したWindows 10版をリリースする予定だ。Xbox One版とWindows 10版による対戦プレイを楽しめる「Killer Instinct: Season 3」は、基本無料のスタイルで世界各地のプレイヤーと対戦できる。既に発表済みだが、「Minecraft: Windows 10 Edition」のOculus VR「Rift」対応版については、WindowsストアとOculusストアでアップデートを配信する予定だが、時期や詳細はワールドワイドで今後の発表となる。シリーズ初のWindows 10版をリリースする「Forza Motorsport 6: Apex」は、DirectX 12により4Kへ対応し、基本プレイは無料となる。そして4月7日にリリース予定の「Quantum Break」は、「The Max Payne」シリーズでお馴染みのRemedy Entertainmentが手がけるアクションゲームだ。その他にもサードパーティー各社から「BIOHAZARD UMBRELLA CORPS」や「DARK SOULS III」「三國志13」など多くのPCゲームタイトルがリリースされる。Microsoft/日本マイクロソフトがPCゲームに強くコミットする理由は、Microsoft Head of XboxのPhil Spencer氏が以前のイベントで発言した「Better for Gamers」が大きい。井上氏も自社の取り組みとして、「DirectX 12と4Kによるゲーム体験は、ユーザーが楽しみたいデバイスを選べるように、Windows 10版とXbox One版の同時リリースをファーストパーティーとして注力する」と説明した。意地が悪い言い方をすると、残念ながらXbox Oneは日本国内で盛り上がりを見せているとは言い難い。スマートフォンで楽しむカジュアルゲームの台頭で、コンソールゲーム市場自体が縮小しているという分析もあるものの、Xbox OneやPCゲームは、欧米では根強い人気を持つ。Microsoft/日本マイクロソフトが目指す方向性について筆者が質問すると、「ユーザーが望むゲームをデバイスの垣根を越えて提供するのが我々の目標。1つのプラットフォームを立ち上げるには時間がかかるが、デバイスの進化に伴って3年5年10年と育んでいく。そのために我々はファーストパーティーとして積極的に取り組まなければいけない」(井上氏)とのことだった。既に日本マイクロソフトはWindows 10版「Rise of the Tomb Raider」をリリースしているが、今回の「Quantum Break」はWindows 10版とXbox One版を同時にリリースする初タイトルとなる。昨日開催した開発者向けカンファレンス「Build 2016」でSpencer氏は、ユーザーが作成したMODやオーバーレイ表示機能をUWPアプリケーションでサポートすると発表している。ご自身もXbox Oneを2台とゲーム用PC、Surfaceを所有し、お子さんにテレビを占領されているという井上氏は、PCでプレイしていたゲームをお子さんの面倒を見る際はSurfaceに切り替えて、プレイを続行するしているそうだ。このように場所を選ばず、ユーザーが望むようにPCゲームを楽しむシナリオを実践できる世界をMicrosoftは目指しているのだろう。Xbox One/Windows 10版タイトル同時リリースによって、Windows 10というゲームプラットフォームは大きく進化する可能性を見せつつも、まずは第一歩を踏み出したに過ぎない。1人のPCゲーマーとして、Microsoft/日本マイクロソフトの展開に注目したい。阿久津良和(Cactus)
2016年04月04日日本マイクロソフトは3月29日、統合型CRMアプリケーションサービス「Microsoft Dynamics CRM(Dynamics CRM)」のサービスカテゴリの1つである「Microsoft Dynamics CRM顧客サービス」の新機能として「セルフサポート」を4月1日より提供開始すると発表した。企業は製品・サービスの認知から検討・購入・アフターフォローまで、顧客とさまざまな場面で接点を持つが、従来、企業内における顧客情報の管理のプロセスは、カスタマーライフサイクルの場面ごとに社内での担当部門が異なることが多く、顧客データも部門ごとのシステムによって分断されることがあった。その結果、企業の顧客対応においても一貫性が保ちにくく、顧客のロイヤリティ化の実現が困難などの課題があったという。Dynamics CRM顧客サービスの新機能であるセルフサポートは、多様化した顧客との接点、部門ごとに設計・構築された顧客情報を一元的に管理する統合されたサービス。チャット、ナレッジベース(FAQ)、問い合わせサイトの機能をクラウド上で提供し、顧客の自己解決をサポートする。例えば、すでにコールセンターなどでDynamics CRMを利用中の企業であれば、顧客からの問い合わせに担当者が回答するだけでなく、顧客自身がオンラインのナレッジベース(FAQ)機能を使って問題を自己解決できる仕組みを提供できるようになる。顧客の解決時間を短縮することで、企業に対する顧客満足度を高め、サービスコストの削減を実現する。
2016年03月30日日本マイクロソフトは3月9日、月例のセキュリティ更新プログラムを公開した。今回、13件のセキュリティ情報が新規で公開され、深刻度が「緊急」のものは6件、「重要」のものが7件となっており、重複を除くと39件の脆弱性が解消されている。深刻度が最も高い「緊急」のセキュリティ情報は「MS16-023」「MS16-024」「MS16-026」「MS16-027」MS16-028」で、これらの脆弱性を悪用されると、遠隔の第三者によってコードを実行されるおそれがある。MS16-023→Internet Explorer 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3142015)MS16-024→Microsoft Edge 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3142019)MS16-026→リモートでのコード実行に対処するグラフィック フォント用のセキュリティ更新プログラム (3143148)MS16-027→リモートでのコード実行に対処する Windows Media 用のセキュリティ更新プログラム (3143146)MS16-028→リモートでのコード実行に対処する Microsoft Windows PDF ライブラリ用のセキュリティ更新プログラム (3143081)対策としては、 Microsoft Updateもしくは Windows Update などを用いて、セキュリティ更新プログラムを早急に適用する必要がある。
2016年03月09日日本マイクロソフトは9日、毎月定例で提供している月例のセキュリティ更新プログラム(月例パッチ)の3月分を公開した。13件の脆弱性情報が公開され、深刻度がもっとも高い「緊急」が5件、2番目に高い「重要」が8件となっている。悪用が確認されている脆弱性はないが、対象となるユーザーは早急のアップデートが推奨されている。○Internet Explorer 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3142015) (MS16-023)MS16-023は、Internet Explorerに複数の脆弱性が存在し、最悪の場合、特別に細工されたWebページを表示するだけでリモートでコードが実行される、というもの。複数のメモリ破損の脆弱性が存在し、すべて任意のコードが実行される恐れがある。対象となるのはInternet Explorer 9/10/11で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」となっている。○Microsoft Edge 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3142019) (MS16-024)MS16-024は、Windows 10の新ブラウザであるMicrosoft Edgeに脆弱性が存在。最悪の場合、Webページを表示しただけでリモートでコードが実行される危険性がある。複数のメモリ破損の脆弱性に加え、情報漏えいの脆弱性もあり、これはブラウザに対するユーザーの要求コンテキストや閲覧履歴に関する情報が取得される可能性がある。対象となるのはMicrosoft Edgeで、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」となっている。○リモートでのコード実行に対処するグラフィック フォント用のセキュリティ更新プログラム (3143148)(MS16-026)MS16-026は、Windowsに搭載されているAdobe Type Managerライブラリに2つの脆弱性が存在。1つは特別に細工されたOpenTypeフォントを正しく処理しないために、Windowsにサービス拒否が起きるというもの。Windows 10のみ、システムではなくアプリケーションの応答が停止する可能性があるという。もう1つは同様に正しく処理をしないため、リモートでコードが実行される危険性がある。Windows 10のみ、制限された権限と機能の中で、AppContainerサンドボックスでコードが実行される。特別に細工したフォントを埋め込んだドキュメントを開いたり、埋め込みフォントが含まれるサイトにアクセスしたりした場合に攻撃が行われる可能性がある。対象となるのはWindows Vista/7/8.1/10/RT/RT 8.1、Server 2008/2008 R2/2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「2」となっている。○リモートでのコード実行に対処する Windows Media 用のセキュリティ更新プログラム (3143146)(MS16-027)MS16-027は、Windowsがメディアファイルを処理する方法に問題があり、特別に細工されたメディアコンテンツを開いた場合にリモートでコードが実行される危険性がある。対象となるのはWindows 7/8.1/10/RT 8.1、Server 2008 R2/2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「2」となっている。○リモートでのコード実行に対処する Microsoft Windows PDF ライブラリ用のセキュリティ更新プログラム (3143081)(MS16-028)MS16-028は、WindowsがPDFを処理するライブラリに問題があり、PDFファイルを開く際にリモートでコードが実行される危険性があるというもの。2つの脆弱性があり、いずれもコード実行の脆弱性となっている。対象となるのはWindows 8.1/10/RT 8.1、Server 2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」となっている。○その他の脆弱性これに加え、緊急度「重要」の脆弱性が8件公開されている。・リモートでのコード実行に対処する Windows ライブラリの読み込み用のセキュリティ更新プログラム (3140709)(MS16-025)・リモートでのコード実行に対処する Microsoft Office 用のセキュリティ更新プログラム (3141806)(MS16-029)・リモートでのコード実行に対処する Windows OLE 用のセキュリティ更新プログラム (3143136)(MS16-030)・特権の昇格に対処する Microsoft Windows 用のセキュリティ更新プログラム (3140410)(MS16-031)・特権の昇格に対処するセカンダリ ログオン用のセキュリティ更新プログラム (3143141)(MS16-032)・特権の昇格に対処する Windows USB 大容量記憶域クラス ドライバー用のセキュリティ更新プログラム (3143142)(MS16-033)・特権の昇格に対処する Windows カーネル モード ドライバー用のセキュリティ更新プログラム (3143145)(MS16-034)・セキュリティ機能のバイパスに対処する .NET Framework 用のセキュリティ更新プログラム (3141780)(MS16-035)
2016年03月09日●最高のおもてなしを提供ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」が、人間の代わりにショップ店員となる日も近いかもしれない。ソフトバンクロボティクスとマイクロソフト コーポレーションが8日に行った共同記者説明会の内容は、そんな”小売業の近未来”を予感させるものだった。○両社が作る「未来の商品棚」小売業では現在、労働人口減による人材難、訪日客の増加による環境の変化、Eコマースの台頭といったことが課題になっている。ソフトバンクロボティクスとマイクロソフト コーポレーションがこの日に発表した、クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure(マイクロソフト アジュール)」やPepperを活用したソリューションは、こうした小売業の課題の解決を目指したもの。ソフトバンクロボティクス代表取締役社長の冨澤文秀氏は「クラウド×ロボット×デバイスで、ロボットが接客する”未来の商品棚”をつくる。これにより人件費を下げ、売り上げを伸ばし、顧客体験を向上できる」とアピールした。ちなみに両社はクラウドロボティクス分野で戦略的協業を締結しており、今後もお互いの長所を活かしたサービスを実現させていく構えだ。具体的な利用シーンについては、日本マイクロソフトの代表執行役社長である平野拓也氏から紹介があった。例えばPepperは人間の顔、年齢、性別のほか、会話の内容や相手の感情などを適宜取得できる。マイクロソフトではこれを小売業に向けて応用。Pepperの接客が商品の購入に直接結びついたか否かを、その際の顧客行動などを含めてPOS売上などのデータと紐付け、Microsoft Azure上にあるAzure IoT Suiteで解析することで、顧客のニーズをリアルタイムに把握できるプラットフォームに仕上げた。会場で流されたイメージ映像では、Pepperが来店者に「また来てくれたんですね。今日はメガネを外しているんですね。前に買ったスマホケースの調子はいかがですか。メールでオススメしていた製品はいかがですか」などと話す様子が紹介された。外国人の接客には、多言語翻訳機能「Microsoft Translator」を活用。店頭のPepperが同時通訳をこなすことで、店主は外国人を相手にスムーズに接客できる。また、系列店舗の在庫データを照会してSurface HubやSurfaceに表示することで、来店者は在庫の有無を容易に参照でき、経営者は事業計画、仕入れ計画の参考にできる。在庫の状況に応じてPepperが別の商品の提案をすることも可能。平野氏は「データが可視化されることで、経営者は最適なアクションをとれる。これにより、在庫がなくて売り逃すなどの機会ロスを減らせる。将来のリテール(小売)のフォーマットにしていきたい」と意気込んだ。「これまでも、ソフトバンク様とは様々なディスカッションを重ねてきた」と平野氏。”未来の店舗をつくる”をキーワードにした今回の取り組みについて、「最先端のテクノロジーにより、クラウドロボティクスの分野でイノベーションを起こしていきたい。お客様にとって、最高のおもてなしを提供できるのではないか」と期待感を口にしていた。●Watsonとはどう使い分けるのか○IBM Watsonとの棲み分けは?質疑応答には冨澤氏、平野氏の両社長が対応した。価格、販売形態について平野氏は「乞うご期待、といったところ。現在、詰めている」と回答。またプラットフォームにPepperを絡ませる利点について、冨澤氏は「例えば翻訳に関してはPCやスマホなどの端末を使う方法もあるが、人型ロボットを使うことで利用者はより感情移入しやすくなる。また、Pepperには表現力もある。ソリューション全体で考えたとき、Pepperが貢献している部分は大きい」との見方を示した。海外展開について、冨澤氏は「今秋は日本国内だけで展開する」としながらも、将来的には、グローバルも視野に入れているという。他業種への展開について、同氏は「小売り以外は、介護施設、ハウスメーカーなどから引き合いがあり、例を挙げていけばきりがない。そのうちの一部は、マイクロソフト社との提携になる」と説明している。このあと冨澤氏は、記者団の囲み取材にも応じた。この中で多くの質問があがったのは、IBM Watsonとの棲み分けについて。ちなみにWatsonとは、情報から学び、経験から学習する米IBMの人工知能システムだ。ソフトバンクではIBMと共同でWatsonの開発を進めており、Pepperへの活用も期待されている。マイクロソフトとの取り組みとIBM Watsonを、どのように使い分けていく方針なのだろうか。これについて、冨澤氏は「ニーズに適したものを使っていきたい」とコメント。明確な線引きについては触れず、「IBM WatsonはAIであり、Microsoft Azureは分析機能に優れている。利用者のQ&Aに答えるのはIBM Watsonの方が得意で、売上や在庫を的確に分析するのはMicrosoft Azureではないか」と私見を述べるにとどまった。流通・小売はMicrosoft Azure、金融はIBM Watson、などのような使い分けが予想される。***現在、国内外でロボットによるソリューション開発が進められているが、あらかじめターゲット層と用途を想定して作られた商品が少なくない。もっとも、従来のモノづくりではそれが常識だった。一方でPepperは用途を限定せずに開発された、オープン・プラットフォームのロボットである。業種・企業の枠組みを越えた、新たなソリューションが生まれやすい土壌がある。そこがPepperの強みとなっている。ではPepperを使った取り組みを軌道に乗せるためには、今後どのような課題を克服する必要がありそうか。例えば、世間のロボットに対する認識が進んでいない、という事実は乗り越えなければならない”壁”になることが予想される。Pepperが世間に「おもちゃ」と認識されているうちは、経営者は会社の業績を任せることに躊躇するだろうし、一般の消費者は金融の込み入った相談をPepperにはしないだろう。逆を言えばソフトバンクロボティクスでは今後、企業のユースケースを増やし、成功事例をコツコツと積み重ねていく必要がありそうだ。世間の認識が変わったとき、Pepperによるソリューションが軌道に乗り、”Pepper店員”が街のそこかしこに出現するかもしれない。
2016年03月09日日本マイクロソフトは4日、「Surface」シリーズを購入するとキャッシュバックが行われる「Surface 新生活応援キャンペーン」を発表した。キャンペーン期間は 2016年3月4日~4月3日まで。「Surface 新生活応援キャンペーン」では、キャンペーン期間中に「Surface」シリーズなどを購入し同キャンペーンに申し込むと、最大35,000円がキャッシュバックされるというもの。キャンペーン対象商品は大きく分けて3つで、学生の場合キャッシュバック額が大きい。キャンペーン1は「Surface Pro 4」が対象。「Surface Pro 4」の本体と「Surface Pro 4 タイプ カバー」を同時購入すると、最大25,000円がキャッシュバックされる。購入者が学生の場合キャッシュバック額は最大30,000円となり、「Surface ドック」も同時購入するとさらに10,000円がキャッシュバックされる。キャンペーン2は「Surface 3」が対象。「Surface 3」本体と、「Surface 3 タイプ カバー」、「Surface ペン」を同時購入すると、最大10,000円がキャッシュバックされる。購入者が学生の場合キャッシュバック額は最大12,000円となり、「Surface 3 ドッキング ステーション」も同時購入するとさらに10,000円がキャッシュバックされる。キャンペーン3は「Surface Book」が対象。「Surface Book」本体と「Surface ドック」を同時購入すると10,000円がキャッシュバックされる。申し込みには、本体のシリアル番号、Club Microsoftでの製品登録が必要となる。応募用紙(ダウンロード可)に必要事項を記入し、購入レシートや領収書(コピー可)などを揃えて応募する。詳細はキャンペーンページを確認いただきたい。
2016年03月04日日本マイクロソフトは26日、対応スマートフォンやタブレットの画面を、ワイヤレスでテレビやディスプレイに映せるディスプレイアダプタ「Wireless Display Adapter」新モデルを発表した。3月25日に発売し、価格は税別6,980円。ワイヤレスディスプレイ規格「Miracast」に対応した、HDMI接続型のディスプレイアダプタ。2015年3月に発売した現行モデルからデータ転送速度が改善されたほか、アダプタのサイズが約40%短くなり取り回しがしやすくなった。また、付属キャップにアダプタの両端を接続し、コンパクトに持ち運びべる。画面モードはミラーリングモードや拡張モードを用意する。インタフェースはHDMIとUSBで、USBは電源用。対応デバイスは、Windows 8.1 / 10 / 10 Mobileもしくは、Android 4.2.1~5.0搭載のMiracast対応デバイス。本体サイズはW53×22×11mm、重量は約33g。ケーブル長は300mm。
2016年02月26日日本マイクロソフトは2月22日、最近のホットワードでもある人工知能や機械学習をテーマにした自社の取り組みを発表した。Microsoftの研究開発機関であるMicrosoft ResearchでCVPを務めるPeter Lee氏は「機械学習は活版印刷技術の発明と同じ、破壊的な時代をもたらす」と述べている。今、世界が変化の兆しを見せていることにお気付きだろうか(変化の連続とも言えるが)。「機械学習(マシーンラーニング)」や「人工知能(AI)」という単語を、目に耳にしたことがあるはずだ。機械学習は、あるデータをもとに反復学習した結果からパターンを見つけ出し、学習結果に当てはめることで、将来予測などに用いることが可能と言われている。一方の人工知能は、コンピューターに人間と同じ知能を与えることで、周りから得た情報をもとに判断・行動を目指す。そこから得た成果は我々の社会構造を大きく変え、暮らし方や働き方も必然的に変化する。PCの世界に置き換えると、約30年前はDOS上でコマンドを実行するCUIが中心だったが、約20年前にはGUIが取って代わり、約10年前にはiPhoneが登場してタッチUIがスタンダード化。人とデバイスの関係性を覆した。この流れを見れば、約10年後の現実世界もおぼろげながらイメージできるだろう。その一端を読み取れるのが、今回、日本マイクロソフトが開催した「人工知能・機械学習の研究開発の最前線に関するラウンドテーブル」である。Microsoftからは、Peter Lee氏が出席。Microsoftのお膝元である米レドモンドのMicrosoft Research(MSR) Redmodや、おとなり中国のMSR Asiaなど世界の7カ所に拠点を持ち、多岐にわたる分野の研究を司るMSR CVPだ。ほか、東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授の杉山将氏、産業技術総合研究所 人工知能研究センター所長の辻井潤一氏なども加わった。産学官の枠を越えて、機械学習や人工知能における著名人が集まり、実社会や産業界への影響を議論。ここではLee氏の発言から、我々コンシューマーが携わる部分を紹介したい。Lee氏が最初に取り上げた製品は「Skype」だった。MSRの研究成果や機械学習から得たデータで実現する通訳・翻訳機能だが、2014年12月に英語とスペイン語の双方向翻訳に対応し、2015年5月にはイタリア語と中国語(北京語)をサポート。その後はフランス語、ドイツ語をサポートしてきたが、今なおプレビュー版と表現している。Skypeの通訳・翻訳機能が、今後も成長し続けることを示唆しているのだろう。また、当初のプレビュープログラムでは、関心のある言語に日本語が含まれていたが、この点について「2020年開催のオリンピックに向けて、2015年の春には日本語の同時通訳機能もサポートする予定だ。日本の企業と協力して、翻訳・通訳の品質向上にも努めたい」と回答した。Skypeの通訳・翻訳機能に関してMicrosoftは、2カ月に1回のペースで新しい言語にチャレンジし、執筆時点では50種類以上の言語翻訳を可能にしている。この点についてLee氏は、「かつてのモデルは国連のスピーチなど丁寧かつ形式的な会話をベースにしていたが、Skypeでは利用できないため最初から作り直した。その結果、一般的な会話や歌も認識できるようになった」とした。Windows 10 Insider Preview ビルド14267のCortana英語版には楽曲検索機能が組み込まれているが、同様の技術を用いているのだろう。まずはLee氏の発言に期待し、春以降の動向に注目したい。現在の機械学習状況ついてLee氏は、「人々が聞く・喋る・認識するといったアクションが実用化へ向かいつつある」と述べる。MSRは以前から多くの研究プロジェクトを立ち上げてきたが、Windows 10のCortanaがメールの内容を読み取って自動的にリマインダーを作成する機能、「Microsoft HoloLens」から見える仮想的なオブジェクト、指や手で操作する部分などが、MSRが機械学習の研究結果をフィードバックした一例だという。これらの成果は「Project Oxford」でAPIを公開し、ユーザーは誰でも顔や画像、音声認識を行うことが可能だ。画像から年齢を推察する「How-Old.net」や、先ごろローンチした画像内の犬種を識別する「Fetch!」も、同様の技術を用いている。後者のアプリケーションは人にも使えるため、Lee氏が「奥さんにはやらない方がいいかもしれない」と話すと、出席者から笑いが起こった。Lee氏は機械学習の現状を、Johannes Gutenbergによる活版印刷技術の発明になぞって、「破壊的な時代がもたらされた」と表現する。ただ、「現在のAIや機械学習は聞く・理解・視覚的に捉える・知覚するといった部分まで来ているが、理性やフィードバックループといった認知は進んでいない。例えば、数年後には大学受験は可能ながらも、一般常識や道徳などを重視する小学3年生のテストに合格するのは10年以上に先になる」という見方も示した。さて、Lee氏の職歴にカーネギーメロン大学のコンピューターサイエンス部門責任者とあるように、MSRのメンバーはすべて科学者だ。「MSRは(他社研究所と比べると)大型投資による人材収集、Amazonに匹敵するMicrosoft Azureの活用、Bingを介した世界中のWebデータへアクセス」(Lee氏)と、3つのユニークポイントを持つ。Microsoft社員の行動パターンデータも保持し、Webとエンタープライズのデータを活用できるのは強みとなるだろう。「今後も基礎研究や応用研究の結果をクラウドに反映させたい」と語るLee氏からは、AI&機械学習がもたらす近未来が目前に迫っていることを感じられた。阿久津良和(Cactus)
2016年02月23日日本マイクロソフトは2月23日、パートナー企業4社と連携し、Microsoft Dynamics CRM Onlineと顧客のデータセンター(DC)を専用線やVPNなどの閉域網で直接接続する「ExpressRoute for Dynamics CRM Online」を、同日より順次提供すると発表した。「ExpressRoute for Dynamics CRM Online」は、顧客のデータセンターや社内システムとマイクロソフトのデータセンターを直接接続することで、マイクロソフトのパブリッククラウドサービスの中核となる Azure、Office 365およびDynamics CRM Onlineの3サービスが、日本国内のデータセンターから閉域網での直接接続に対応する。今回、インターネットイニシアティブ、エクイニクス・ジャパン、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンクのパートナー企業4社と連携し「ExpressRoute for Dynamics CRM Online」の提供を開始することで、営業情報やサポート情報などの重要な業務データのやり取りを、インターネットを介さず行うことが可能になる。
2016年02月23日初夏にオープンするTOHOシネマズ 仙台に、IMAXシアターが導入されることが発表になった。東北最大の都市・仙台に初めてIMAXが登場する。その他の情報IMAXは映像、音響ともにクオリティが観客から高く評価され、好調な動員を記録している。TOHOシネマズ 仙台は、JR仙台駅西口の新商業施設「仙台パルコ新館(仮称)」にオープンする新劇場で、全9スクリーン、約1700席になる予定だ。IMAXシアターだけでなく、TOHOシネマズ独自規格の大スクリーン“TCX”や、3次元音響を楽しめるドルビーアトモスも導入される。
2016年02月22日利用廃止が間近に迫る「SHA-1」を利用するSSL/TLS証明書から、別の安全性の高い証明書に移行するよう、日本マイクロソフトがセキュリティブログで指南している。SHA-1は、以前からセキュリティ上の安全性が低いとされており、ブラウザの提供元や証明書の認証局などは、SHA-1の利用廃止に向けた取り組みを進めている。マイクロソフトでもこの1月に、SHA-1を使用しているコード署名証明書のWindows上での利用制限を開始している。現時点の予定では、マイクロソフトのルート証明書プログラムに参加する証明機関が発行するSSL/TLS証明書は、2017年1月1日以降に撤廃。HTTPS (HTTP over SSL)やFTPS、SMTPSを利用するとアプリ上でエラーが出て、正常に動作しない可能性が高い。具体的なケースとしては、Webサイトの管理者がSHA-1を使用していた場合、ユーザー側のブラウザ(Internet Explorer, Microsoft Edge)でサイトを閲覧できなくなる。今回ブログでは、Webサイトの管理者に向けての確認事項を2つ紹介している。1つ目は、利用している照明書がSHA-1かどうか。確認の対象となるサーバーは、HTTPS、SMTPS、FTPSなどのSSL/TLSを利用しているサーバー、インターネットにて利用しているサービスを構築しているサーバーなどがある。Webサイトで利用する証明書の場合は、実際にクライアント端末からブラウザーでWebサイトを開いて確認する。IISを利用している場合は、WebサイトのSSL/TLS接続に利用している証明書を確認する。その他は、SSL/TLSを利用しているサーバー端末上で「mmc.exe」を開き、コンピューターアカウントの証明書ストア、個人フォルダに入っている証明書を確認する(利用目的がサーバー認証になっているもの)。証明書を開いたらルート証明機関を確認する。ルート証明機関がマイクロソフトのルート証明機関に所属しているかは、Microsoft Trusted Root Certificate Program Updatesにある最新のリストを参照すればよい。リストに含まれていなかった場合は、廃止措置の対象外となる。例えば、企業内・組織内システムなどでWindows Serverの証明書サービスを利用して発行している証明書や自己署名証明書などは対象外となる。証明書の「署名ハッシュ アルゴリズム」欄が「SHA1」となっていれば措置の対象となり、SHA-2といったより新しいアルゴリズムを採用した証明書に移行する必要がある。移行するには、発行元の証明機関で証明書を更新する。2つ目は、テスト用クライアント端末を用意し、廃止後の影響を確認する。廃止措置が行われた状態を想定し、移行しなかった場合、どういった問題が起こり得るかを把握しておくと良い。具体的な操作は、管理者権限でコマンドプロンプト画面で「certutil -setreg chain\Default\WeakSha1ThirdPartyFlags」と入力し、クライアント端末にSHA-1を利用した証明書の利用を制限する設定をする。これで、今後はSHA-1を利用した証明書は信頼されないものとして扱われるようになり、廃止措置後と同じ状態になる。うまく検証できない場合は、関連の設定の有無を確認し、必要に応じてフラグの値を変更する。構成を元に戻す場合は、コマンドプロンプト上で「certutil -delreg chain\Default\WeakSha1ThirdPartyFlags」を実行する。なお、このコマンドはレジストリに影響を与えるため、必ずテスト用端末で検証を行う必要がある。予期せぬ障害に備え、設定を行う前に端末のバックアップすることを推奨している。実行後は、SSL/TLSを利用しているWebサイトやアプリケーション、システムなどを利用して問題が発生しないか確認する。設定を行った端末で、しばらく業務を行ったりすることで、隠れた影響などを洗いだすこともできる。もし影響があった場合は、対象のサーバーで利用されている証明書を確認する。マイクロソフトは、脅威を常に監視しながら、状況によってはSHA-1の利用廃止日を2017年1月1日から前倒しすることも視野にいれている。また、6月頃をめどに警告を表示するなどの措置も検討しているという。同社以外のブラウザでも2017年1月1日を目途に廃止は予定されており、業界全体として廃止が進められているため、「廃止期限を待たず、速やかに移行してほしい」としている。
2016年02月19日日本マイクロソフトは2016年2月17日から3月1日まで、伊勢丹新宿本店メンズ館と「ISETAN MEN S×Surface~未来を纏え~」というテーマでコラボレーションし、「Surface Book」や「Surface Pro 4」に代表される約80台のデバイス展示や、最先端のテクノロジーを活用するイベントを開催する。伊勢丹新宿本店メンズ館は「未来のデパートメントストア」の表現手法として、ホログラムを活用したバーチャルショールームを1階で展開。設置したSurfaceでホログラムデータの読み込みや投影を行うほか、週末限定でユーザー自身のコーディネイトを撮影し、ホログラム化する体験もできる。……我々の暮らしはICTでどのように変わっていくのだろうか。そんな考えが頭の片隅をよぎるのが、今回のコラボレーションイベントだ。既に2-in-1 PCは1つのスタンダードスタイルと言え、そのスタイルを前面に押し出したMicrosoftのSurfaceシリーズと、若者向け百貨店の伊勢丹メンズ館は、近未来的なディスプレイとサービスを展開する。報道関係者向けの説明会では、伊勢丹新宿本店メンズ館1階のバーチャルショールームが披露された。Surface Pro 4を使ってモデルを撮影し、ホログラムを利用したディスプレイに映し出す。先述のように週末限定だが、訪れたユーザーが自分のコーディネイトを撮影してホログラム化する体験も提供する。そのほか、全フロアのプロモーションスペースにおいて、Surfaceシリーズを使ったディスプレイやサービスを展開。例えば、バッグと財布のブランド「ペッレ・モルビダ」は、 Surface Pro 4を使ったカスタムオーダーを受け付ける。デジタルデバイスとファッションは、関連性が乏しいように感じるかもしれない。この点について、三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏は、「既にウェアラブルがファッションの一部になっている。ファッションに興味を持つ方が来店されたとき、新しい価値を感じてほしい」と述べた。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏も、「アナログ的なファッションビジネスと、デジタル的なライフスタイルの境目がなくなりつつある」と現状を分析する。今回のイベント期間中、伊勢丹新宿本店メンズ館でSurfaceシリーズが販売される訳ではない。樋口氏は「ライフスタイルとデジタルがシームレスにつながる感覚をアピールしないと、感度の高い方に響きにくい。(Surfaceシリーズが)生活の一部であること示したい」と語り、需要は後からついてくると自信を見せた。大西氏も「お客様とのコミュニケーションツールとしてアピールしたい。モノではなく情報を得るためにご来店いただくことが最優先だが、将来的には(PCの販売なども)視野に入れている」と述べている。さらに樋口氏は「(Microsoftが)タブレットの世界において、少し出遅れたのは認めざるを得ない。だが、現在はSurfaceシリーズによってキャッチアップを図っている最中だ。(当初から訴えていた2-in-1 PCのアドバンテージが)世の中に浸透してきたこのタイミングだからこそ、Surfaceシリーズの特徴であるクール&機能的という部分をコラボレーションでアピールしたい」と、伊勢丹とコラボレーションする狙いを語った。他方で興味深いのが、伊勢丹側のスタンスである。筆者が述べるまでもなく、今の日本を取り巻く経済状況は決して楽観視できるものではない。大西氏も「ファッションという切り口は、これまでのように(市場が)成長する状況ではない」と危機感を示している。だからこそ、今回ようなコラボレーションイベントを開催するのだろう。「進歩の早いICTと掛け合わせた価値創造を、お客様に提供するのが未来型の百貨店」(大西氏)。蛇足だが樋口氏は、日本マイクロソフト入社前にダイエーの代表取締役社長を務めている。約10年ぶりの小売業を目にして「リアル店舗と(日本マイクロソフトが)どのような価値提供すればいいのか難しい部分はある。だが、お客様の感性に直接訴えられる表現力は大きい。ICTとファッションビジネスをつなげることで良い方向に進む」と自身の見方を示した。近いうちにデバイスを"纏う"時代が訪れるのかもしれない。阿久津良和(Cactus)
2016年02月17日みずほフィナンシャルグループ、電通国際情報サービス(ISID)、カレンシーポート、日本マイクロソフトは2月16日、2月よりブロックチェーン技術の実証実験に取り組むと発表した。今回、関係者が多く事務効率化などが見込まれるシンジケートローン業務を対象に、技術の理解、金融業務への活用に向け実証実験を行う。取り組みを通じ、適用可能性を検証の上、金融に革新をもたらすようなモデルの創出を目指す。同実証実験において、ISIDは金融機関向けシステム構築で得たノウハウを生かし、ブロックチェーン技術の銀行業務への適用可能性を検証する。日本マイクロソフトは、昨年よりクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」 上にブロックチェーン技術を用いたソリューション開発を支援する「Azure Blockchain as a Service(Azure BaaS)」を提供。FinTechを利用した新たなサービスの開発を検討する企業は、Azure BaaSを活用することで、最新のブロックチェーン技術を活用した実証実験を迅速に開始することが可能。
2016年02月17日日本マイクロソフトは10日、毎月定例で提供している月例のセキュリティ更新プログラム(月例パッチ)の2月分を公開した。13件の脆弱性情報が公開され、深刻度がもっとも高い「緊急」が6件、2番目に高い「重要」が7件となっている。悪用が確認されている脆弱性もあり、対象となるユーザーは早急のアップデートが推奨されている。○Internet Explorer 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3134220) (MS16-009)MS16-009は、Internet Explorerに複数の脆弱性が存在し、最悪の場合、特別に細工されたWebページを表示するだけでリモートでコードが実行される、というもの。DLLの脆弱性では、DLLファイル読み込み前の入力を不適切に検証することでリモートでコードが実行される危険性がある。また、複数のメモリ破損の脆弱性によってリモートでコードが実行される危険性も存在する。そのほか、特権の昇格や情報漏えいの脆弱性も存在。対象となるのはInternet Explorer 9/10/11で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」などとなっている。○Microsoft Edge 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3134225) (MS16-011)MS16-011は、Windows 10の新ブラウザであるMicrosoft Edgeに脆弱性が存在。最悪の場合、Webページを表示しただけでリモートでコードが実行される危険性がある。Edgeには複数のメモリ破損の脆弱性があり、メモリ内のオブジェクトに不適切にアクセスする場合にコード実行の危険性がある。さらにセキュリティ機能である「Address Space Layout Randomization(ASLR)」をバイパスされる脆弱性、HTTP応答を正しく解析しないことによって不正なページにリダイレクトされてしまうなりすましの脆弱性も存在する。対象となるのはMicrosoft Edgeで、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」などとなっている。○リモートでのコード実行に対処する Microsoft Windows PDF ライブラリ用のセキュリティ更新プログラム (3138938) (MS16-012)MS16-012は、Windowsにデフォルトで搭載されるPDFライブラリまたはWindows Readerに脆弱性が存在。最悪の場合ファイルを開いただけでリモートでコードが実行される危険性がある。Windows Readerの脆弱性では、特別に細工をしたWindows Readerファイルを開いた場合に攻撃が行われる可能性がある。PDFライブラリの脆弱性は、API呼び出しを正しく処理しないため、その結果任意のコードが実行される危険性がある。対象となるのはWindows 8.1/10、Server 2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」などとなっている。○リモートでのコード実行に対処する Windows Journal 用のセキュリティ更新プログラム (3134811) (MS16-013)MS16-013は、Windows Journalに脆弱性が存在。特別に細工されたジャーナルファイルを開いたときにリモートでコードが実行される危険性がある。怪しいジャーナルファイルを開かない、関連付けを解除する、Windows Journal自体を削除する、といった回避策が挙げられており、必要に応じて設定するといいだろう。対象となるのはWindows Vista/7/8.1/10、Server 2008/2008 R2/2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「2」となっている。○リモートでのコード実行に対処する Microsoft Office 用のセキュリティ更新プログラム (3134226) (MS16-015 )MS16-015は、Microsoft Officeに複数の脆弱性が存在し、最悪の場合リモートでコードが実行される危険性がある。Office製品には、メモリ内のオブジェクトを適切に処理せず、メモリが破損してリモートでコードが実行される複数の脆弱性が存在。Officeファイルを開くことで攻撃が行われる可能性がある。さらにSharePointにはクロスサイトスクリプティングの脆弱性が存在し、特別に細工されたWeb要求を正しくサニタイズしないことで、SharePoint Serverでスクリプトが実行される危険性がある。対象となるのはOffice 2007/2010/2013/2013 RT/2016、Office for Mac 2011/2016、Office互換機能パック、Excel Viewer/Word Viewer、SharePoint Server 2007/2010/2013、Office Web Apps 2010/2013で、最大深刻度は「緊急」、悪用可能性指標は「1」などとなっている。○Adobe Flash Player のセキュリティ更新プログラム (3135782) (MS16-022 )MS16-022は、アドビから公開されているFlash Playerの脆弱性を解消するもので、Internet ExplorerがWebサイトのFlashコンテンツを表示する際に攻撃が行われ、任意のコードが実行される危険性がある。対象となるのはWindows 8.1/RT 8.1/10、Server 2012/2012 R2で、最大深刻度は「緊急」となっている。○その他の脆弱性これに加え、緊急度「重要」の脆弱性が7件公開されている。このうち、MS16-014は、インターネット上で情報が公開されており、MS16-017、MS16-019は脆弱性の悪用が確認されていることから、早急な対応が必要だ。・リモートでのコード実行に対処する Microsoft Windows 用のセキュリティ更新プログラム (3134228)(MS16-014)・特権の昇格に対処する WebDAV 用のセキュリティ更新プログラム (3136041)(MS16-016)・特権の昇格に対処するリモート デスクトップ ディスプレイ ドライバー用のセキュリティ更新プログラム (3134700)(MS16-017)・特権の昇格に対処する Windows カーネル モード ドライバー用のセキュリティ更新プログラム (3136082)(MS16-018)・サービス拒否に対処する .NET Framework 用のセキュリティ更新プログラム (3137893)(MS16-019)・サービス拒否に対処する Active Directory フェデレーション サービス用のセキュリティ更新プログラム (3134222)(MS16-020)・サービス拒否に対処する NPS RADIUS サーバー用のセキュリティ更新プログラム (3133043)(MS16-021)
2016年02月10日日本マイクロソフトは2月10日、月例のセキュリティ更新プログラムを公開した。今回、13件のセキュリティ情報が新規で公開され、深刻度が「緊急」のものは6件、「重要」のものが7件となっている。深刻度が最も高い「緊急」のセキュリティ情報は「MS16-009」「MS16-011」「MS16-012」「MS16-013」「MS16-015」MS16-022「」で、これらの脆弱性を悪用されると、遠隔の第三者によってコードを実行されるおそれがある。MS16-009→Internet Explorer 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3134220)MS16-011→Microsoft Edge 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3134225)MS16-012→リモートでのコード実行に対処する Microsoft Windows PDF ライブラリ用のセキュリティ更新プログラム (3138938)MS16-013→リモートでのコード実行に対処する Windows Journal 用のセキュリティ更新プログラム (3134811)MS16-015→リモートでのコード実行に対処する Microsoft Office 用のセキュリティ更新プログラム (3134226)MS16-022→Adobe Flash Player のセキュリティ更新プログラム (3135782)対策としては、 Microsoft Updateもしくは Windows Update などを用いて、セキュリティ更新プログラムを早急に適用する必要がある。
2016年02月10日●テレワーク推進に必要な要素日本マイクロソフトは昨年、8月24日から28日にかけて「テレワーク週間 2015」を実施した。このテレワーク週間は「日本におけるテレワークの推進への貢献」を目指したもので、今回は651の法人が賛同。テレワークを「実践する」「学ぶ/議論する」「応援する/協力する」という3つの観点から、各法人がそれぞれの立場に応じて取り組みを行った。「テレワーク週間 2015」の実施後、同社が賛同法人のテレワーク推進担当者に対して行ったアンケートでは、意識面の成果として「前向きな活動になった」が88%、「今後のテレワーク推進の助けとなった」が86%という結果に。また、全体の約3割以上が10%以上の経費削減効果を、過半数が時間の削減効果を実感しており、売上・利益への将来期待に関しては全体の25%が「20%以上の実ビジネス効果を期待」と回答しているという。今回の取り組みで、同社はどのような成果を得たのか? 「テレワーク週間 2015」プロジェクトの推進メンバーであった、日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション部 部長の岡部一志氏に話を聞いた。○テレワーク推進には社内の制度や文化も必要「テレワーク週間 2015」では実に多くの賛同法人でプラスとなる成果が見られたが、この点について岡部氏は「テレワークは、社内における制度や文化から、弊社が推進しているようなIT分野まで、さまざまな"環境"が影響します。この環境は企業によって異なりますから、それぞれの立場に応じた最適なテレワークへの取り組み方法を考えていただければと思います」と語る。制度では、人事や在宅勤務制度の有無など企業としての体制が大きく関係してくる。文化については、社風とスタッフの意識が重要な鍵となるそうだ。例えば、テレワークが許可されていても「自分だけ会社に行かなくて良いのだろうか」という周囲への後ろめたさを感じて、なかなか実行に移せないケースは多い。また、上司がテレワークをまったく実施しなかったり、表向きは賛成でも「仕事は会社でやるもの」という固定概念を崩さないような場合、その部下はどうしても遠慮がちになるだろう。さらに意識の面では、仕事に対するモチベーションも関係してくる。多くの人にとって、会社では緊張感を持って仕事に取り組む場所、自宅はリラックスできる場所、といったメンタル面の区分があるもの。この区分を超える際、特定の行動によって“スイッチが入る”といった感覚はないだろうか。スーツを着る、化粧をする、通勤電車に乗る、会社の建物に入るなど、ポイントは人によってさまざまだが、テレワークにより自宅で業務を行う場合、こうした切り替えがしづらくなる可能性もある。また、在宅勤務では公私のけじめをつけることも重要といえる。例えば幼い子どもがいる家庭の場合、けがや病気などがあってもすぐに対応できるのは良いのだが、どうしても育児優先になってしまい、気が散って仕事に集中できないといった事態に陥りがちだ。しかし勤務時間内である以上、業務効率の低下は抑えなければいけない。このように、テレワークを支えるのはITインフラだけではない。社内の制度や文化が整ってこそ、初めて実現できるものなのである。文化に関しては社員への事前アンケートなどにより、考えられる課題や解決ポイントの洗い出しを行っておくと良いだろう。○テレワーク週間実施のきっかけは東日本大震日本マイクロソフトがテレワークをより強く推進するに至った経緯のひとつに、2011年に発生した東日本大震災が挙げられる。同社では2011年2月に東京都内5カ所(当時)のオフィスを統合・本社移転し、「品川本社オフィス」を開設した。フリーアドレス制の新たなワークプレイスを構築したが、3月に東日本大震災が発生。3営業日は全社員を自宅待機とする一方で、迅速に顧客支援および災害対策本部を設置し、会議や業務をすべてテレワークで行うと決定したという。岡部氏は「当時はまだテレワークの事前準備がそこまで整っておらず、社内も混乱を極めていました。しかしそれでも、通常業務とは異なる数多くの緊急対応をテレワークでこなしていったのです」と、当時の様子を思い出しながら語る。同社ではこうした経験を風化させないためにも、BCPの観点から2012年3月に初となる「テレワークの日」を実施。2013年は3日間、2014年は1週間の「テレワーク週間」へと規模を拡大し、その中でBCPだけでなく業務効率化も主目的に採り入れていったのである。そして2015年、同社はテレワーク週間で「派遣スタッフの在宅勤務のトライアル」「カスタマーサポート部門のテレワークトライアル」「滞在型テレワーク検証」という3つの新たな試みを実施した。●テレワークに限界はあるのか?○派遣スタッフの在宅勤務まず派遣スタッフの在宅勤務は、パソナの「テレワーク労務管理ツール with Skype for Business」を用いて、全社の約1割の派遣スタッフが在宅勤務のトライアルを行うというもの。派遣スタッフがテレワーク週間に参加するのは、今回が初の試みとなる。実施後に行ったアンケートによると、参加者の92%が「時間の有効活用になる」、56%が「業務効率向上の効果あり」と回答。管理者を含めて8割以上が「今後も利用したい」と答えたそうだ。「実施に際しては、社内向けの端末しか持っていない派遣スタッフもいましたので、新たにテレワークで利用可能な端末を支給するといった環境面の整備も行いました」と岡部氏。さらに「在宅勤務においては、"出社しているのと同様の業務をこなせる状態"が創り出すことが必須です。さらに業務効率を向上できれば100点満点ですね。そこに、通勤がないため時間を有効活用できる、といった効果がプラスされます」と続けた。○カスタマーサポート部門のテレワークトライアルカスタマーサポート部門のテレワークトライアルは、カスタマーサポート部門の1グループ11名が岐阜県飛騨市の古民家で、寝食をともにしながら業務に携わるというもの。同社内では約7割がフリーアドレス制を採用しているが、製品開発チームとお客さまサポートの2部門については特殊な環境を要することから、固定席での業務が基本となっている。そうした中で、今回のトライアルに参加したのは「Office 365/Exchange/Skype for Business」などのサポートを行っているチームだ。これらはいずれもテレワークに必須のツールであり、サポートを行う自分たちがテレワーク経験を持つ必要がある、という観点で挑戦することとなった。ただし、チームとして同じ空間を共有する必要があるため、個別に在宅勤務を行うのは難しい。そこで考え出されたのが、古民家を使った合宿タイプのテレワークトライアルである。今回はトライアル場所の選定から機材の搬入まで、スタッフたちが自ら積極的に動いて実現したそうだ。実施後のアンケートでは、通常のオフィスでの業務と比べて、62%が「効率化の向上」を感じた、38%は「通常のオフィスと同じ効率で業務ができた」と回答。また、フレキシブルな働き方の実践により地元住民と交流ができるなど、カスタマーサポート部門の新しい可能性を見いだせたという。岡部氏は「テレワークとして成功を収めただけでなく、今後の業務をより効率化するためにはどのような環境作りが必要かを理解できたり、チームワークの重要性が再確認できたりと、目に見えない副次的な学びの効果も得られたようです」と語る。○北海道別海町での滞在型テレワーク検証北海道別海町での滞在型テレワーク検証は、総務省「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」の委託先候補として選出された、日本マイクロソフトが行っている「地方創生テレワークプロジェクト」の一環として実施したもの。テレワーク週間中に開催した第1期から10月末まで4期に渡り、社員19名、家族を含めると合計55名が参加した。滞在場所は、旧光進小中学校跡地を有効活用し、2015年8月24日にオープンした「別海町テレワークセンター」だ。検証の結果について岡部氏は「参加者からは、社内と同様に業務がこなせたことに加えて、リフレッシュできたり、周囲の雑音がないため仕事に集中できるなど、メンタル面のプラス効果が大きかったという声が聞かれました」と語る。施設の隣には広大な牧場が広がっており、休憩時間に牧場を眺めてリフレッシュするなど、普段都心で仕事をしている社員にとっては大きな癒やし効果となったようだ。また、単身で移動する出張と違い、業務時間が終わったら家族と一緒に過ごせるのもポイントのひとつ。社員が働いている間、家族は別海町で観光などを楽しむことができる。参加者からは「滞在型のテレワークで、朝、昼休み、夕方と自然に囲まれながら家族と過ごせ、有意義な滞在だった」とワークライフバランス向上にも役立ったと、満足の声が多数聞かれたという。***こうして「テレワーク週間 2015」は大きな成果を残したが、同社では今後もテレワーク週間を通じてさまざまな取り組みを実施していく予定だ。賛同法人の拡大はもちろん、未経験分野へのチャレンジも積極的に行うという。「テレワークの推進は、業務効率の向上や競争力強化など、企業にとって大きなプラスになります。そこで弊社では日本のビジネス環境を変えるだけでなく、自分たちの働き方をより変革させ、生産性の向上や事業の拡大をする、そしてツールをより多くの企業に使っていただくという、事業の柱としても捉えています」と岡部氏。「テレワーク週間 2016」ではどのような新しい取り組みが行われるのか楽しみだ。
2016年02月09日2月2日、日本マイクロソフトとブイキューブは、ビジュアルコミュニケーションにおけるクラウド連携で協業することを発表した。ブイキューブは自社の「V-CUBE」シリーズとOffice 365の連携ソリューションを開発し、2016年2月から提供を開始する。日本マイクロソフト代表執行役会長の樋口泰行氏は「1社で閉じる時代ではない。あらゆる企業との連携を進める」と今後の展望を語った。テレビ会議やWeb会議といった映像と音声を組み合わせ、距離を超えた意思疎通を行うビジュアルコミュニケーションは、加速するIT市場において以前から注目を集めていた。近年はさまざまな企業とパートナーシップを組んで、日本的エコシステムを進めてきた日本マイクロソフトだが、今度は1998年からビジュアルコミュニケーションサービス分野で活躍するブイキューブとの協業を発表した。そもそもブイキューブは「V-CUBE」シリーズを通して、ミーティングやオンラインセミナーなど企業内の幅広い利用シーンに対応するサービスを多数提供しているが、今回はクラウド認証基盤の連係として、「V-CUBE One」とOffice 365、Azure Active Directoryを連携させ、SSO(シングルサインオン)と両社のクラウドサービスのシームレス化を実現する。その理由としてブイキューブ 代表取締役社長 CEOの間下直晃氏は、「我々の顧客でもOffice 365はデファクトスタンダード的存在となり、多くの企業が採用している。だが、(自社サービスと)認証基盤が異なるため不便を強いてきた。今回の協業により顧客は(Office 365と自社のクラウドサービス)両者へシームレスにアクセスできる」と説明している。さらにV-CUBEとOffice 365の連携第1弾として、会議などに用いる「V-CUBEミーティング」と配信サービスである「V-CUBEセミナー」においてOutlookカレンダーを連携することを発表した。具体的には「V-CUBEミーティングOutlookアドイン」を提供し、OutlookからWeb会議のスケジュール登録などを可能にする。現時点では以上2つのサービス連携を発表したが、将来的なサービス提供として、顧客のMicrosoft Azureプライベートネットワーク接続を想定し、数カ月内に提供する予定。さらに年内にはMicrosoft SharePointやPower BIとの連携を目指すことを明らかにした。具体的な内容は明かさなかったが、ビジュアルコミュニケーション上で得られるビックデータを活用し、顧客の利便性向上を実現すると言う。加えて「Microsoft TranslatorやCortana Analyticsなどとの(Azure上で動作する各サービスとの)連携を予定している(間下氏)」と今後と展望を述べた。ソリューション提供については、販売パートナーを経由することになるが、ブイキューブの料金体系が日本マイクロソフトと異なるため、パートナー向けにOffice 365の料金プランに合わせる新プランを用意した。既にソフトバンクコマース&サービスがディストリビューターとして決まっている。ブイキューブは両サービス利用者数見込みとして初年度内に10万ID、今後3年間で100万IDを目指す。だが、日本マイクロソフトにはSkype for Businessなどビジュアルコミュニケーションソリューションを既に展開している。必然的に競合することになるが、この点について、「部分的な競合よりもユーザーの利便性も優先した(樋口氏)」「ビジュアルコミュニケーション分野は日本でも数パーセントといった市場規模。ワークスタイル変革の実現と市場規模拡大を目指すため、競合部分には気にしない。顧客の選択肢が広がればよい(間下氏)」と回答した。ブイキューブはIBMのSoftLayerやAmazonのAWS(Amazon Web Service)など多くのSaaSを利用しているが、今回の協業により、V-CUBEのシステムインフラをAWSからMicrosoft Azureへ移行する。移行コストに関して間下氏は、「昨年春頃から取り組み、約1年で完了した。工数もさほどかからず、比較的容易に移行できた」と語った。振り返ると日本マイクロソフトが多くの企業と協業する背景には、AWSからMicrosoft Azureへ移行する企業が少なくない。この点について日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏は、「製品的にはAWSが5年先を進んでいたが、この2年で部分的ながらもMicrosoft Azureが先進的と言えるまでになった」と自社サービスに自信を見せた。さらに「機能差や製品よりも企業同士の付き合い、クラウドプラットフォーム提供者としての信用度など、ビジネスディスカッションが重要になる」と手厚いサポート体制をアピールしている。米国本社であるMicrosoftのCEOとしてSatya Nadella氏が就任して以降、日本マイクロソフトは多くの企業と協業する姿勢を選択してきた。「Microsoftだけでソリューションを閉じるのではなく、ユーザーの利便性を選択する」と語る樋口氏は本協業について「ビジュアルコミュニケーション分野やワークスタイル変革で頼もしいパートナーを得られた」と語る。阿久津良和(Cactus)
2016年02月02日日本マイクロソフトはこの2月1日で、品川本社オフィス5周年を迎えた。同社は2011年2月1日に、それまで5箇所に点在していたオフィスを統合し、品川本社オフィスを開設した。2015年7月には調布技術センターも統合しており、同時にワークプレイスの再構築を実施。調布から約400名が移転し、3200名が本社ビルで勤務している。同社は、「ワークスタイル変革」を推進していることから、パートナーや外部企業などを本社ビルに招いており、2015年末までに68万人が来社したという。なお、"オフィスツアー"の参加者は、4万9148名(7971組)となっている。○主な日本マイクロソフト 品川本社オフィス 来客データ総来客者数:68万5842名オフィスツアー参加数:7971組 4万9148名マイクロソフト テクノロジー センター 来場者数:1万4834名(ブリーフィング実施回数:3117回)法人(エグゼクティブ)向けワークスタイルセッション:1350回以上(8600名以上参加)職場見学・体験プログラム(対象:小中高生、大学生):39都道府県 計328校、4560名品川本社オフィスはテレビや雑誌に取り上げられることも多く、TBSで放映された「安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~」や「下町ロケット」で、企業オフィスシーンの撮影に使用された。
2016年02月01日日本マイクロソフトとワークスアプリケーションズは1月29日、Dynamicsパートナー契約を締結し、「Microsoft Dynamics AX」生産管理のOEM販売を開始する。なお、日本マイクロソフトのDynamics AXのOEM型パートナーは、ワークスが初めてとなる。Dynamics AXを組み込んだ生産管理モジュールの開発・製造はワークスが行い、「Dyna Next」の名称でワークスが販売する。ワークスが、生産管理のOEM販売としてDynamics AXを採用した理由は以下の3点。グローバルでの実績が豊富で、40カ国以上の言語に対応しているため、日本国内はもとより海外の生産拠点を含めた生産管理ができる。多様な生産方式(組立加工型・プロセス型)に対応可能。また、改変しやすい構成のため、日本独自の商習慣である製番管理などの機能強化が容易。クラウド、オンプレミスの双方に対応しているため、顧客企業の要望に合わせた柔軟なインフラ構成が可能といった点だという。日本マイクロソフトは、ERP市場における会計・人事分野で実績のあるワークスへのDynamics AXのOEM提供を通じて、より広い顧客企業層へDynamics AXの導入が拡大することを期待しているという。
2016年01月29日パソナと日本マイクロソフトは1月28日、企業のデータ分析や可視化に携わる「BI(ビジネス・インテリジェンス)人材」の育成において協業すると発表した。両社は、日本マイクロソフトが提供するクラウド型データ分析ツール「Microsoft Power BI(Power BI)」に習熟したトレーナー人材を育成するため、上級レベルのOAスキルを有するパソナのエキスパートスタッフ(派遣登録社員)を対象に「Power BIトレーニングカリキュラム」を年12回程度開催し、年間300人のトレーナーを育成していく。また、Power BIのトレーナーがさらなるBI人材を育成するための場として、会員制スキルアップコミュニティサイト「POWER BI FORUM」を開設した。サイトでは、Power BIの実技講座を受講したトレーナーが会員の質疑応答に対応するコミュニティ機能のほか、Power BIのスキルチェック機能、データ活用に関する最新情報を提供する。これにより、OAスキルを活かして働くパソナのエキスパートスタッフのスキルアップやBI人材の育成につなげ、派遣先企業におけるデータ活用を促進する。昨今、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変わる中で、ビジネスの現場では迅速かつ合理的な意思決定を行うため、さまざまな指標やデータの活用を進めている。これまでよりも簡単に誰でも抽出されたデータを加工、可視化することができる無償ツール「Power BI」などへの有効性の認識も高まっている。こうした背景を受け、大量のデータをビジネスの意思決定のために迅速に加工し、有益な情報として可視化することのできるBI人材のニーズが拡大している。従来からExcelなどのOAスキルを駆使して就業している派遣社員には、それらのスキルがより求められているという。今回、両社はパソナのエキスパートスタッフに対するBI人材の育成を通して、データ活用の裾野を広げ、企業の生産性向上や変革、およびエキスパートスタッフのスキルアップやキャリアチェンジによる雇用創出に取り組む方針だ。
2016年01月28日1月19日、日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、YRP UNL)は、「ICTを活用した観光、スポーツイベントにおける外国人観光客の受入環境整備事業」に関して、実証事業を行う共同記者会見を開いた。日本有数の観光地である札幌市を訪れる観光者に対して、ICTを活用したモバイルアプリケーションを提供し、さらなる受け入れ環境の充実を図る。○札幌市のオープンデータ利用で観光客のUXを改善他国からの来訪者が増え続ける日本だが、日本語を話せない外国観光客に楽しんでもらう施策は観光庁も力を入れており、民間企業もさまざまな角度から努力している。今回の日本マイクロソフト、YRP UNL、そして札幌市の事業もその1つだ。まずは背景から紹介しよう。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「オープンデータの有効利用が急務であり、ICTをフル活用した"おもてなし"が重要だ」と話す。今回の取り組みを行った理由としては、「IoTやロボティクスといった技術が合理的なコストで活用可能になった背景が大きい。さらにユーザーが常にスマートフォンを身につけるように、ライフスタイルにIoTが浸透しつつある背景もある」と述べる。今回の事業は総務省が発注元となり、日本マイクロソフトがYRP UNLと札幌市の全面的な協力を得て受注した形だ。予算額は約4,000万円とのこと。総務省 北海道総合通信局長 安井哲也氏は、「(同省は)以前からオープンデータ化や利活用などを推進してきた。社会全体のICT化プランとして、街全体でオープンデータ化を進め、さまざまな分野のデータを組み合わせ、新しいソリューションを目指す」と述べる。今回の事業もその1つだ。「2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、(今回の事業が)各自治体の参考になるような結果につなげたい。さらに今後はオープンデータのメリット可視化も目指す」(安井氏)。日本マイクロソフトはYRP UNLと協力しながら、オープンデータの収集・活用を行う。今回の取り組みでは、環境情報や公共交通事情から得るビッグデータを収集・加工し、オープンデータプラットフォームを構築。それをアプリケーションで活用していく。札幌市長の秋元克広氏は今回の事業について、「行政と民間企業が協力することで、札幌の魅力を多くの外国観光客に伝えられる有効な事業と考えている。『第67回さっぽろ雪祭り』や『FISジャンプワールドカップ2016札幌大会』など、大きなイベントも目白押しのため、オープンデータを活用したアプリケーションで札幌を楽しんで欲しい」と語った。○オープンデータの提供でリピーターが増える?今回の事業を具体的に解説したのは、東京大学大学院情報学環教授兼、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長の坂村健氏。まず、下図に示した観光オープンデータから情報を収集し、アプリケーション開発者にデータを提供する。開発者は公開済みの札幌オープンデータAPIに沿って、地物情報、イベント情報、買い物情報報、さらにはバスや鉄道の状況など30秒ごとに更新する位置情報を取得できる。アプリケーション利用者(観光客)は、これらの情報を自身のスマートフォンで取得して、スムーズな観光を楽しめるわけだ。ユーザーの位置情報を取得するのは、YRP UNLが開発したucodeビーコンが担う。Bluetooth Low Energyに対応し、対応アプリケーションをインストールしたスマートフォンを持ってビーコンから10m以内に近づくと、アプリケーション(スマートフォン)に位置情報が送信され、状況に応じた情報を表示。Bluetoothはあくまで位置情報の送受信に留まり、コンテンツの表示にはWi-Fiや携帯電話回線が必要となる。記者会見の時点では、YRP UNLが開発してきた「ココシル」アプリを使用し、札幌各地の情報を日・英・中(2種類)・韓・タイの6カ国語で閲覧可能。なお、言語設定はスマートフォン側の言語設定に依存する。ココシルは既にiOS向けとAndroid向けに提供されているが、ユニバーサルWindowsアプリ版について訪ねたところ、「今回は実証実験の要素が強いため、(アプリケーション提供は)今後の課題」(樋口氏)とした。ちなみに、坂村氏と日本マイクロソフトの関係は、Windows CEとTRONの関係までさかのぼる。近年ではMicrosoft Azureのucode標準サポートが大きな話題だ。今回の実証実験において、各コンテンツの配信はMicrosoft Azureを経由し、多言語化もMicrosoft Translatorで行われる。話は前後するが、ベースとなるビーコンは札幌駅の地下街に11カ所、大通公園にも11カ所設置される。そのほか、前述の雪祭りやスポーツイベント会場にも設置予定だ。ビーコンは野外向けと屋内向けの2種類を用意し、内部はTRONが動作するチップ用スペースと乾電池の格納スペースという構造。ココシルの周知については、札幌市の観光案内所や宿泊施設、観光バスなどでチラシを配布する。坂村氏はココシルの活用例として、「観光バスの待ち合わせ機能が便利」とアピールした。各地で迷惑駐車の原因になりつつある観光バスだが、搭乗者(のスマートフォン)へ集合時間をアナウンスし、で待ち合わせ場所への移動をうながすことも可能だという。このような事業は、日本では札幌市が初。「リアルタイム性が面白い」と語る坂村氏は、他の都道府県でも試したいと語る。YRP UNLは、過去にもオープンデータを活用した実証実験を多数行ってきたが、今回の取り組みは「オープンデータと観光情報連係の決定版」と自信を見せた。坂村氏は「あくまでも事業の主役は開発者だが、データやAPIだけを提供したとしても、具体的な形を見せる必要がある。このたため、一緒にアプリケーションを提供した」と述べる。また、2016年3月までの事業から得たデータをもとに、札幌オープンデータ協議会などと話し合う。秋元市長も「継続から生まれるオープンデータの充実に期待したい」と、次年度以降の継続に期待を寄せる。教育や観光など、我々の生活に深く密着するようになったICTは、オープンデータと連係することで新たな価値が生まれる。今回の事業で得た体験がリピーターの増加につながり、魅力的な観光地という評価など、新しい日本が見えてくるのか楽しみだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月22日札幌市と日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(YRP UNL)の3者は1月19日、オープンデータによる都市全体の外国人観光客の受け入れ環境整備事業の実証実験を行うと発表した。同事業は、総務省の2015年度オープンデータ・ビッグデータ利活用推進事業を日本マイクロソフトとYRP UNLが受託したことによるもので、札幌市の全面協力の下、「FISジャンプワールドカップ2016札幌大会」と「さっぽろ雪まつり」の来場者にオープンデータを活用して開発したアプリを利用してもらい、有効性を検証する。実証実験にあたっては、札幌市など、さまざまな観光・スポーツ・公共交通関連の協力団体が参加する「札幌オープンデータ協議会」を同日付で設立し、それぞれから提供されたデータをオープンデータとして活用できる基盤を整備し、アプリ開発を行う。オープンデータの流通クラウド基盤として「Microsoft Azure」を、自動翻訳サービスとして「Microsoft Translator」を、高精度位置情報提供サービスとしてYRP UNLの「ココシル」を利用する。「外国人を含めた観光客の利便性向上、ならびに満足度アップに繋がるアプリ」をテーマに、「オープンデータアイディアソン・ハッカソン2015 in 札幌」(終了)や「Sapporo Open Data App Challenge 2015」(22日まで)が行われ、一般への周知・アプリ利用を促す。実証実験は3月までを予定している。
2016年01月20日