妻夫木聡と松山ケンイチが、来年公開されるW主演映画『マイ・バック・ページ』で初めて共演することが明らかになった。本作は文芸・映画評論、翻訳にエッセイなど多岐にわたって活躍している川本三郎が、自身が新聞社に入社していた1969年から72年のジャーナリスト時代の経験を綴った同名ノンフィクションの映画化作品。理想に燃え、新聞社が発行する週刊誌編集部で働く記者・沢田(妻夫木さん)。激動する時代の中で、彼は活動家の取材を続けていたが、ある日、梅山(松山さん)と名乗る男から接触を受ける。「銃を奪取し武器を揃えて、われわれは4月に行動を起こす」と語るその男に疑念を感じながらも、沢田は不思議な親近感と同時代感を覚えていく…。監督を務めるのは『天然コケッコー』、『松ヶ根乱射事件』などで注目を浴び、30代前半にしてその卓越した演出力が高い評価を受ける山下敦弘。ジャーナリストとして時代の最前線で“いま”に葛藤する主人公・沢田役の妻夫木さんは「『どこにもない何か』に自分の存在価値を求めようとした時代。ただ通り過ぎていくいまのこの時代に、少しでも足跡が残せたらいいなと思っています。 そして、念願の山下組。現場で松山くんと共に、僕らの『時代』を描ければと考えています」とコメント。“赤邦軍”のリーダー・梅山(本名・片桐)を演じる松山さんも「とても特異、異質な役なので演じるのがとても楽しみです。観客のみなさんを楽しませる演技ができればと思っています。山下監督や妻夫木さん、スタッフ、キャストのみなさんと必ず最高の作品を作ります。楽しみにしていて下さい」と意気込みを語っている。さらに、川本さんからは「外にはベトナム戦争があり、内には反戦運動や全共闘運動があった。物情騒然たる時代だった。そして若者たちが、たった一つの不正にも身を震わせた。自分のことよりも世界のことを考えようとした。ジャーナリストも傍観者ではいられなかった。あの時代に生まれていなかった監督の山下敦弘さんと脚本の向井康介さんが私の挫折の物語に興味を持ってくれた。若い人たちがあの頃の青春をどうとらえるのか。暗い過去とまた向き合うことになる。身が引き締まる思いがする」と映画化に際してコメントが寄せられた。共演陣には忽那汐里、石橋杏奈、中村蒼、長塚圭史、三浦友和といった豪華な顔ぶれが並ぶ。理想に燃えるジャーナリストと彼を挫折へと追い込んでいく左翼学生。現代人が忘れてしまった“熱”を持った男たちの戦い、葛藤、叫びは我々に何を問いかけるのか?『マイ・バック・ページ』は2011年全国にて公開。■関連作品:マイ・バック・ページ 2011年、全国にて公開
2010年05月13日“世界のキタノ”が再びカンヌの地へ!北野武監督の最新作『アウトレイジ』が、第63回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが発表された。北野監督自ら、ビートたけしとして出演するほか、椎名桔平、三浦友和、加瀬亮、國村隼、杉本哲太、塚本高史、石橋蓮司、小日向文世ら豪華俳優陣が集結。ヤクザの世界に生きる男たちが、生き残りを賭け、裏切りや駆け引きなど激しい権力闘争を繰り広げられ、登場人物は全員“悪人”というバイオレンス・アクション。北野組初参加の俳優陣ばかりを揃えているが、中でも“いい人”の役柄のイメージが強い、加瀬さんや小日向さんがどのようにタンカを切り、拳をふるい、悪に手を染めていくのか注目したいところ。『BROTHER』、『座頭市』以来7年ぶりとなる本格的なバイオレンス作品となるが、北野監督は「久しぶりのアクション映画だから期待感もあると思うし、自分としてもお客さんの反応が楽しみだね」と自信のほどをうかがわせるコメント。ちなみに、北野作品がカンヌのコンペティション部門に出品されるのは、第52回の『菊次郎の夏』以来2度目。パルムドール獲得となれば、邦画では1997年『うなぎ』以来5作目の快挙となるが果たして?映画祭は5月12日(現地時間)から23日までの日程で開催され、審査委員長を、まもなく日本で公開される『アリス・イン・ワンダーランド』の鬼才、ティム・バートンが務める。北野監督は上映に合わせ、現地入りする予定になっており、現地フランスでも根強い人気を持つ“世界のキタノ”から目が離せない!『アウトレイジ』は6月12日(土)より丸の内ルーブルほか全国にて公開。■関連作品:アウトレイジ 2010年6月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開■関連記事:たけし帰国会見仏芸術文化勲章最高章は「黒澤さんが貰ったやつ、すげえ」“いい人”加瀬亮がヤクザ役でマジギレ!?たけし最新作、題名の意味は“極悪非道”
2010年04月16日映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の完成報告会見が4月12日(月)、東京會舘で行われ、主演の中井貴一、本作で俳優デビューする、三浦友和と元歌手・百恵さんの次男・三浦貴大(たかひろ)らが出席した。島根県を舞台に、一流企業に勤め家庭を省みることのない50歳を目前にした主人公・筒井肇(中井さん)が母の病をきっかけに人生を見つめ直し、夢だった電車の運転士を目指す物語。ヒットシリーズ『ALWAYS 三丁目の夕日』を手掛けたROBOTの代表取締役社長・阿部秀司氏が製作総指揮を務めている。三浦さんは、ケガのためプロ野球選手になる夢をあきらめた青年役。中井さんは開口一番「貴大、ファイト!」と三浦さんの出演CM「リポビタンD」のキャッチフレーズを前振り。三浦さんが「一発」と照れながら応じると「がんばれ」と、また声をかけ“後輩”の緊張をほぐす気遣い。初の映画撮影をふり返り、三浦さんは「一番多かったのは中井さんと同じシーン。いろいろ教えていただきましたが、『自分の思った通りにやるのがいい』と言っていただいたのが一番印象に残っています。これからも大事にしていきたい言葉です」と感銘を受けた様子。自身の夢については「高校生の頃は体育教師になりたかったけどそれほどでもなかった。大学生になり、俳優になりたいと思うようになった」と話した。昨年7、8月に1か月強、島根県でロケを敢行。同県出身の錦織良成監督とキャストのひとり、佐野史郎はロケ中に続き、この日も同県の良さをPR。中井さんは「最初は正直、監督の島根話にドン引きしました。聞いていると日本の偉人のほとんどは島根から出ている。そんな訳ないだろ!と」と笑わせつつ「でも、食べ物は美味しいし、人が温かくてとてもいいところでした」。共演の高島礼子も「私が一番自由時間が多くて、中井さんから『神話の国、出雲について調べてきて』と指令を受け、神社とかところどころ回りました。島根のファンになりました」とそろって島根を満喫した様子だった。一方、電車への興味を聞く質問に、中井さんは「ないです」。高島さんも「興味なかったです」とキッパリ。会場の笑いを誘っていた。『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は5月29日(土)より全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 2010年5月29日より全国にて公開© 2010「RAILWAYS」製作委員会■関連記事:舞台挨拶付き『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』完成披露試写会に25組50名様ご招待ユーミン、49歳で電車の運転士になった男を描く映画の主題歌を書き下ろし
2010年04月12日第33回日本アカデミー賞の優秀賞ならびに新人俳優賞がこのたび発表され、『ゼロの焦点』、『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』、『沈まぬ太陽』が1位タイの12部門で優秀賞を受賞した。優秀作品賞に選出されたのは、『沈まぬ太陽』に『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』、『ゼロの焦点』、『劔岳点の記』、そして『ディア・ドクター』の5本。『沈まぬ太陽』は先日発表された報知映画賞でも作品賞(邦画部門)を獲得したが、これに続き日本アカデミー賞でも最優秀作品賞受賞なるか?一方、本年度モントリオール世界映画祭で見事、監督賞(根岸吉太郎監督)を受賞した『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』は国内の賞レースも制するか?監督賞を始め、放蕩夫とそれを支えるしっかり者の妻という夫婦役で息の合った演技を見せた浅野忠信&松たか子はそれぞれ主演男優賞と主演女優賞に選ばれた。浅野さんは大ヒットを博した『劔岳点の記』でも同賞受賞と、ダブル受賞を果たしている。多様な作品ジャンルからの選出が目を引くのは、主演女優賞の顔ぶれ。先述の松さんほか、綾瀬はるか(『おっぱいバレー』)、宮崎あおい(『少年メリケンサック』)とコメディエンヌとしての才覚を見せた二人に、『ゼロの焦点』で中谷美紀×木村多江と女優魂をぶつけ合った広末涼子が受賞。さらに、韓国からも、是枝裕和監督からのラブコールで“空気人形”を演じ各方面で高い評価を受けたペ・ドゥナ(『空気人形』)が名を連ねている。外国作品賞には、『スラムドッグ$ミリオネア』、『チェンジリング』、『レスラー』と2009年度アカデミー賞を賑わせた名作が並ぶほか、クリント・イーストウッドが俳優引退を宣言した『グラン・トリノ』、さらに昨年公開した前編に続き大ヒットを記録した『レッドクリフ PartII−未来への最終決戦−』が選出された。そして、今年最も活躍した若手俳優たちに贈られる新人俳優賞には、映画・TVドラマへの出演が途切れることなく続く岡田将生(『ホノカアボーイ』・『僕の初恋をキミに捧ぐ』・『重力ピエロ』)、水嶋ヒロ(『ドロップ』)、溝端淳平(『赤い糸』)に加え、音楽界から彗星のごとく俳優デビューした渡辺大知(『色即ぜねれいしょん』)。女性陣では、榮倉奈々(『余命1ヶ月の花嫁』)、志田未来(『誰も守ってくれない』)、平愛梨(『20世紀少年』)が受賞を果たした。各賞の最優秀賞は来年3月5日(金)にて発表される。主要各賞の受賞作、受賞者は以下の通り。【優秀作品賞】『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』『沈まぬ太陽』『ゼロの焦点』『劔岳点の記』『ディア・ドクター』【優秀監督賞】犬童一心(『ゼロの焦点』)木村大作(『劔岳点の記』)根岸吉太郎(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)西川美和(『ディア・ドクター』)若松節朗(『沈まぬ太陽』)【優秀主演男優賞】浅野忠信(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)浅野忠信(『劔岳点の記』)大森南朋(『ハゲタカ』)笑福亭鶴瓶(『ディア・ドクター』)渡辺謙(『沈まぬ太陽』)【優秀主演女優賞】綾瀬はるか(『おっぱいバレー』)広末涼子(『ゼロの焦点』)ペ・ドゥナ(『空気人形』)松たか子(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)宮崎あおい(『少年メリケンサック』)【優秀助演男優賞】瑛太(『ディア・ドクター』)香川照之(『劔岳点の記』)堺雅人(『ジェネラル・ルージュの凱旋』)玉山鉄二(『ハゲタカ』)三浦友和(『沈まぬ太陽』)【優秀助演女優賞】木村多江(『ゼロの焦点』)鈴木京香(『沈まぬ太陽』)中谷美紀(『ゼロの焦点』)室井滋(『劔岳点の記』)余貴美子(『ディア・ドクター』)【優秀アニメーション作品賞】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『サマーウォーズ』『映画ドラえもん新・のび太の宇宙開拓史』『ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜』『名探偵コナン漆黒の追跡者(チェイサー)』【優秀外国作品賞】『グラン・トリノ』『スラムドッグ$ミリオネア』『チェンジリング』『レスラー』『レッドクリフ PartII−未来への最終決戦−』【新人俳優賞】岡田将生(『ホノカアボーイ』・『僕の初恋をキミに捧ぐ』・『重力ピエロ』)水嶋ヒロ(『ドロップ』)溝端淳平(『赤い糸』)渡辺大知(『色即ぜねれいしょん』)榮倉奈々(『余命1ヶ月の花嫁』志田未来(『誰も守ってくれない』)平愛梨(『20世紀少年<第2章> 最後の希望』・『20世紀少年<最終章> ぼくらの旗』)■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 2009年10月10日より全国東宝系にて公開© 2009 フジテレビジョンパパドゥ新潮社日本衛星放送ゼロの焦点 2009年11月14日より全国東宝系にて公開© 2009「ゼロの焦点」製作委員会劔岳点の記 2009年6月20日より全国にて公開© 2009『劔岳点の記』製作委員会ディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会ハゲタカ 2009年6月6日より全国東宝系にて公開© 2009 映画「ハゲタカ」製作委員会おっぱいバレー 2009年4月18日より全国にて公開© 2009「おっぱいバレー」製作委員会空気人形 2009年9月26日よりシネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて順次公開© 2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会少年メリケンサック 2009年2月14日より全国にて公開© 2009「少年メリケンサック」製作委員会ジェネラル・ルージュの凱旋 2009年3月7日より全国東宝系にて公開© 2009 映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」製作委員会■関連記事:助演男優賞の瑛太に阿部サダヲ「いいな」、鶴瓶「この辱めを…」報知映画賞授賞式報知映画賞『沈まぬ太陽』に栄冠!渡辺謙、瑛太、松たか子、岡田将生ら受賞明日開幕東京フィルメックス「ツイてる」西川美和監督トークイベント満員木村大作監督、浅野忠信からワガママのお墨付きもらい、トークショーでも木村節炸裂“地球滅亡”予告、やっぱり気になる?『2012』北米初登場1位!
2009年12月25日北野武監督が『アキレスと亀』以来1年ぶりの新作にして、『BROTHER』(’01)以来、久々にヤクザを主人公にした本格バイオレンス作品として期待が集まる作品のタイトルが決定!その名も『アウトレイジ』(OUTRAGE=極悪非道)というストレートなタイトルで、しかも登場人物が全て“悪(ワル)”という、異色のバイオレンス・エンタテイメントになっている。物語は、関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織である山王会の組長・関内が若頭の加藤に、直参である池元組の組長・池元について苦言を呈すところから始まる。加藤を通じて池元は、直系ではない村瀬組を締め付けるように命令を受ける。その後すぐさま、池元は灰化にある大友組の組長・大友に役目を言い渡す。命令はいつも小さい者へ弱い者へと流れゆく。大友はいつも、上の尻拭いや汚れ役に奔走させられたきたのだった。生き残りと面子を賭け、裏切りや駆け引きを駆使した激しい権力闘争が幕を開ける――。北野監督自ら、ビートたけしとして主人公・大友役を演じるほか、三浦友和(加藤役)、椎名桔平(大友組若頭・水野役)、加瀬亮(大友組組員・石原役)、さらに國村隼(池元役)、杉本哲太、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗(関内役)、塚本高史、中野英雄など、北野映画初登場の豪華俳優陣が集結している本作。注目は話題作への出演が続く加瀬亮のヤクザっぷり。柔和で親しみやすいイメージで語られることが多い彼だが、そんな世評とは裏腹に、これまでも『female フィーメイル』(短編「玉虫」)や『パッセンジャー』など狂気に満ちた役で存在感を示してきた。そして、本作でついに本格的なヤクザ役に初挑戦!その“キレ”の演技には監督が思わず拍手をする一幕もあったとか。監督からは「面白くて仕方ない」という発言が飛び出すなど、早くも本作に対する満足度と自信を感じさせる。今年の夏にクランクインし、現在、順調に編集作業が進められているとのこと。『アウトレイジ』は2010年全国にて公開。■関連作品:アウトレイジ 2010年、全国にて公開
2009年12月01日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』が24日(土)に公開初日を迎え、主演の渡辺謙自らの演出による舞台挨拶が行われた。渡辺さんのほか三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、若松節朗監督が登壇、観客と共に3時間22分のこの大作を観終えたばかりの渡辺さんは、感極まって壇上で号泣!込み上げる涙と共に熱い思いを訴えた。「本当にたくさんの方にお集まりいただいてありがとうございます。3時間22分がどういうものなのか、みなさんと体感しようと思いまして…」と途切れ途切れに語る渡辺さんの頬を熱い涙が伝う。「自分の(出演した)映画に感動して泣いてるんじゃないんです。ここまで来るのに、どれだけみんなが大変な思いをしたか、どうかご理解いただければ…」と言葉を搾り出し、さらに劇中に出てくる御巣鷹山での飛行機墜落事故で失われた命とその遺族に思いを馳せ、客席からは温かい拍手がわき起こった。これまでにない悪役を演じ、劇中では渡辺さんをさんざん苦しめた、行天役の三浦さんは「いろいろひどいことして申し訳ございません。どういう顔をして舞台挨拶をすればいいものか…。今日、ここに立っている他のみなさんは、イメージ通りの清く正しい方々でうらやましいです。まあ、こういう屈折した役も楽しいですが」とユーモアたっぷりに語った。石坂さんは「(自身が演じた)国見が感じたであろう挫折感で、今日までモヤモヤしてましたが、これだけ多くのお客さんが来てくださったことは救いになります。この物語は“日本”というものを相手にした物語です」とホッとした表情を見せつつ語ってくれた。女優陣2人も渡辺さんの号泣する姿、そして多くの観客の温かい声援に心打たれた様子。渡辺さんと夫婦役を演じた鈴木さんは「とにかく、(渡辺さん扮する)恩地元という男が素晴らしい。こういう人の妻なら、ちゃんとしなきゃという思いでした。現場でも謙さんは家族をまとめ、引っ張ってくださって、私は斜め後ろを付いて行けば、自然とりつ子になりきることが出来ました。謙さんと手をつないだりできて、楽しかったです(笑)」と嬉しそう。さらに、「謙さんの目が赤くて…。監督と抱きあって、男同士で称え合っている姿を見て、この映画に参加できてよかったな、と感激もひとしおです」と語った。一方、松雪さんも「謙さんの言葉から、震えるような思いが伝わってきました」と興奮気味に語り、自身の役柄については「私が演じた役も、決して純粋ではなく、行天を支えるポジションにあり、微妙な心情を持って演じました」と明かした。また、この作品は記念の映画では珍しく、途中でインターミッション(休憩)が入るが、そのときに流れるバイオリンの曲「祈り [永遠の記憶]」を演奏しているのは、英国在住のバイオリニスト、ダイアナ湯川。彼女は、生まれる1か月前に御巣鷹山の飛行機事故で父親を亡くしている。この日の舞台挨拶には湯川さんも来場。渡辺さんの紹介を受けて、バイオリンを手に壇上に上がり、「祈り [永遠の記憶]」を演奏。映画を観終えたばかりの観客は美しい音色に耳を傾けた。『沈まぬ太陽』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:渡辺謙はL.A.から中継で登場!激動の“いま”こそ『沈まぬ太陽』と一同アピールファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年10月24日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』の完成披露試写会が17日(木)に都内で開催された。上映前には舞台挨拶が行われたが、主演の渡辺謙はアメリカで新作ハリウッド映画を撮影中とあって、現地からの生中継で大画面を通して参加、共演の三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、そして若松節朗監督も出席し、会場は大きな盛り上がりを見せた。冒頭、場内が暗転し、渡辺さんの低い声が響き渡る。「ようこそいらっしゃいました。お忙しい中、新内閣発足のさなか、そして騒がしいスケジュールの中、足を運んでいただきありがとうございます」との挨拶に続いて、渡辺さん自らがひとりひとりのキャストを呼び込んだ。渡辺さんの紹介に合わせて、三浦さんらが客席の中を歩いて登場すると、会場は歓声に包まれた。そして、スクリーンにはロサンゼルスにいる渡辺さんの姿が!渡辺さんは、撮影で初めてアフリカのサバンナに立ったときの心境を尋ねられ「深い海に、ボンベもマスクもつけずに降り立ったような気持ちでした。『もしかしたら僕らが立ってはいけない場所なのかも?』という思いと共に、一個の“動物”として動物たちと同じ目線でサバンナに立ったことは、役を作り上げていく上ですごく大きなインパクトがありました」と感慨深げにふり返った。三浦さんは本作で、主人公・恩地(渡辺さん)とは対照的な道を歩む“悪役”的な存在・行天を演じているが「行天は、日本の礎を築いた世代の功罪の“罪”の部分の象徴的存在。でもいま冷静に考えたとき、間違っているけど、当時はそういう風にしか生きられなかったのではないかと思っています」と語った。監督曰く「行天はまさしく三浦さん!ピッタリの悪役でした」とのこと。松雪さんは、恩地を尊敬しつつ、行天と愛人関係になる美樹を演じた。2人との共演について「全体で4か月半の撮影の中で、私はひと月に1回のペースで現場に行っていました。すると、2人が身にまとっている空気や雰囲気が、時間と共に濃密になっていくのを身近に感じることができました」とふり返った。石坂さんは、ここ数年、日本を襲った激動をふり返りつつ「“沈まぬ太陽”とは日本のことではないか?いま西に傾きかけ沈もうとしているではないか?」と憂いの表情を見せ「それを沈めないために努力するのか?それとも、たとえ沈んでもまた明日の朝、新たな太陽が東に昇ることを期待するのか?時代がいま問うているのではないかということを鳩山さんに代わって申し上げたい」と力強く語った。恩地の妻・りつ子を演じた京香さんは「とにかく、りつ子として謙さんが演じる元(はじめ)を見つめていればいいか、という思いでした。意志を貫く素晴らしい男性として、尊敬して見つめていました」と撮影時の気持ちを明かした。渡辺さんは「男たちには会社があって、役職や場所で変化を表現することができるけど、りつ子がそれを表現できるのは、子供の成長くらい」とりつ子という役の難しさを説明し「一緒に年をとった感じです」と“夫”として妻への感謝と労いの気持ちを口にした。若松監督は完成披露を迎え感無量といった面持ち。「1年前のいまごろは“進まぬ太陽”なんて言われていましたが…」と自嘲気味にふり返りながらも「男の矜持を描きました」と誇らしげ。さらに「最近の芸能界は、男が逃げたり、責任を取らなかったり。そんな若い人たちにこそ観てほしい」と踏み込んだ言葉で作品を送り出した。渡辺さんは最後に、遠くロサンゼルスから「もしこの映画が明日への希望になればありがたいです」と作品をアピール!『沈まぬ太陽』は10月24日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年09月19日人間の本質を問う壮大なスケールの小説を数多く手がけてきた山崎豊子。「白い巨塔」、「大地の子」、「華麗なる一族」など、多くの作品がこれまでにTVドラマ化、映画化されてきたが、いまだ映像化されぬまま、山崎作品の中でも“最高傑作”と称されるのが「沈まぬ太陽」である。このたび満を持して、本作が映画化されることが決定、7月8日(水)に製作報告記者会見が開かれ、製作総指揮の角川歴彦をはじめ監督の若松節朗、主演の渡辺謙、三浦友和、石坂浩二が出席した。日本が高度経済成長を遂げた昭和40年代から昭和の終わりにかけての時代を舞台に、巨大な組織に翻弄されつつも自らの信念を貫き通す男の姿を描いた本作。国民航空の労働組合委員長を務める主人公・恩地元を演じた渡辺さんは、この作品を「例えるなら直球。コーナーなど狙わずに、結果を厭わずど真ん中に投げ込んでいます。(球速)160キロを狙える年齢ではありませんが、いまの自分に投げ込める最高の球を目指しました」と真剣な眼差しで語った。さらに、いまの時代にこの小説が映画化される意義について「『仕事って何?』、『会社とは?』、『生きるという意味は?』という問いかけが毎日のようにささやかれるようになったいまの時代、このタイミングをこの作品は待っていたように思います。僕自身、この映画を通じてそういったことを深く考えさせられました」と語った。そして「ひとつひとつのシークエンスに集中し、あまり先のことを考え過ぎずに臨みました!」と充実した表情で撮影をふり返った。国民航空の会長に就任する、会社の“良心”とも言うべき存在である国見を演じる石坂さんは「この役はモデルとなった方がいらっしゃるのですが、とにかく素晴らしい方で、繊維関係の会社におられたこともあってすごくおしゃれなんですね。外見的にもプレッシャーがありました」と語った。さらに、タイの空港をかつての羽田空港に模して行われたロケについてこんなエピソードを披露。「正月のシーンなのに、現地は34〜35℃、湿度70%ほどありました…。何としてでもオーバーを着てやろう!と思いまして(笑)。私と謙さんで真冬を演じているそのシーンも見どころです」と力を込めた。三浦さんが演じた行天は、出世と引き換えに労働組合の分裂を画策し、恩地らと袂を分かつ“悪役”である。自身が演じた役柄を三浦さんは「この時代の悪しき象徴」と言いつつも「撮影の5か月を通じて、だんだんこの男がかわいそうになってきた」とも。「自分の父親の世代を否定するような気持ちになりました。いまでこそ“仕事人間”、“家庭を顧みないお父さん”というのは、『本当の幸せは何か?』などと問いかけるドラマのテーマなどにもなりますが、この時代は仕事をしているのがお父さんで、家庭を守るのはお母さん。子供を顧みる時間もなく、生きることに必死な時代だったんだと思います。不況と言われながらも豊かな経済大国になったいま、その時代の方々を否定してはいけないという思いが強くなりました」と胸の内を明かした。ちなみに、あまり悪役のイメージのない三浦さんの起用について若松監督は「友和さんは柔らかい方で、本人も自身を善良だと思っているようですが、実は悪いやつのような気がしました(笑)」とコメント。果たしてその悪役ぶりは――?この日は、原作者の山崎さんからもメッセージが届けられた。若松監督と会った際に「この作品が映像化されるまで死ねない」と語っていたという山崎さん。「(映画化に)勇気を持って挑戦してくださり、本当に嬉しく、完成がいまから待たれます。索漠とした希望の見えない現代において、『沈まぬ太陽』が荘厳な光として輝き、明日を約束してくれることを切に、切に願います」と思いを寄せた。『沈まぬ太陽』は10月24日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会
2009年07月10日