JR東日本は30日、上野東京ライン(上野~東京間)の開業時期と直通運転の概要について発表した。開業日は2015年3月14日。宇都宮線・高崎線と東海道線が相互直通運転を実施し、常磐線は品川駅まで直通運転を行う。あわせて常磐線特急列車の新たな列車名も発表された。現在は上野~いわき間の区間内で「スーパーひたち」「フレッシュひたち」として運転されているが、来年3月14日以降、平日のデータイムに運転される全列車および夕夜間帯の一部列車が品川駅発着(東京駅停車)となり、速達タイプは「ひたち」、停車タイプは「ときわ」に名称変更される。特急「ひたち」「ときわ」ともに従来の指定席・自由席の区分をなくし、特急料金がわかりやすく変更されるとともに、新たな着席サービスが提供される。普通車全席で座席指定が可能となるだけでなく、座席の指定を受けなくても車内の空席を利用できるサービスを導入し、着席機会を向上させるという。「えきねっとチケットレスサービス」「えきねっとトクだ値」など、お得なサービスの充実も図られる。特急列車を除く常磐線の品川駅への直通運転は朝通勤ピーク時間帯(東京駅おおむね8~9時頃)から。同時間帯の東京・品川方面への直通本数は、宇都宮線・高崎線・常磐線ともに5本ずつとなる。データイムの常磐線は土浦方面からの一部列車が品川駅発着となり、夕夜間帯は取手駅以南で運転される常磐線快速が品川駅発着となる。なお、今回の発表は平日の輸送体系に関する内容だが、土休日のダイヤも平日に準じた輸送体系となる予定。上野東京ラインの開業で、「宇都宮線・高崎線・常磐線から東京駅・品川駅へ、東海道線から上野駅へダイレクトアクセスが可能となり、乗換えの解消による所要時間の短縮など、利便性が飛躍的に向上します」とJR東日本は発表している。
2014年10月30日11月7日、天王洲銀河劇場にてミュージカル『スリル・ミー』が開幕する。2011年の初演から早くも5度目の再演となる、カルト的人気を誇る異色のミュージカルだ。舞台上の“私”と“彼”がピアノ伴奏のみで歌い綴るのは、優美で残虐な愛の物語。才知と容色に恵まれたふたりの青年がスリルを求めて犯罪へと堕ちていく様を、観客は固唾を飲んで見守り、やるせない結末に胸を打ち抜かれる。俳優の組み合わせによって、その狂気の愛がさまざまな色に変化するのも悩ましく、さらに一度、二度…と観劇を重ねるリピーターが増幅していくのである。今回もまた、尾上松也&柿澤勇人、田代万里生&伊礼彼方、松下洸平&小西遼生による3組の新ペアが誕生。気になる競演を探るべく、稽古場を訪れた。ミュージカル『スリル・ミー』チケット情報本番同様の衣装を着てスタンバイしていたのは、松下と小西のペアだ。今回は尾上と伊礼のふたりが初参加なので、松下と小西は唯一の、経験者同士の初顔合わせである。演出の栗山民也による稽古の順番も、信頼を受けての“トリ”になるそうで、この日も演出家のチェックを前に通し稽古を敢行。ピアノの朴勝哲が奏でるオープニングの調べで、いざスタートだ。重い足取りで現れた松下の集中力が、すぐさま空間を『スリル・ミー』の世界へと変えていった。ふたりが“事件”を起こすまでのスリリングな助走が、これまで以上のスピード感を持って観る者の興奮をあおる。音楽はせつなく美しいが、彼らの歌はけっして美声を届けるものではない。旋律に乗せて時に心の叫びを訴え、時に絶望をつぶやく。驚いたのは、松下と小西の掛け合いに、まるで初演からペアを続けていたかのような強固なつながりを見たことだ。小西“彼”に「お前がいないとだめなんだ」と言われて振り返る松下“私”の、一瞬の歓喜の表情がせつなく胸に刺さる。狂気の快楽を装いながら、人間らしい苛立ちをのぞかせる小西の瞳にも引き込まれる。初タッグによる新鮮な衝撃と、既視感を覚える不思議な安定感に終始魅せられた。充実の通し稽古を終えて、小西は「すでに何度も演じていて作品の細部を知っているからこそ、もっと知らない部分を探ろうとするお互いの気配を感じて面白かった。ふたり芝居だから相手が伝えてくるものを確実に受け取らないと何も進まない。受け取ろうとする心の余裕を持てていることがいいですね」と手応え十分の様子。松下は「小西くんが演じる“彼”は、ほかのどの“彼”よりも内に秘めるものが多い。この人、なぜこんなに不器用なんだろう…と惹かれます。その独特の陰を探っていくのは遣り甲斐がある」とパートナーへの信頼を語った。こうした楽しみな化学変化は、ほかの2組の間にもきっと起こっているはず。今回もやはり3組すべて見届けずにはいられないだろう。公演は11月7日(金)から24日(月・祝)まで東京・天王洲銀河劇場、11月29日(土)大阪・サンケイホールブリーゼにて。取材・文上野紀子
2014年10月28日シンフォレストは10月30日、DVD「上野動物園の世界 Extended Edition」を全国で一斉リリースする。○人気の動物たちにいつでも会える「映像図鑑」決定版同商品は、日本初の動物園(明治15年開園)でありながら、今でも日本一の年間入園者数を誇る上野動物園の魅力がつまったDVD。同園内での販売が好評なため、今回は全国流通版として発売する。上野動物園内売店でおみやげ用に発売中の園内版を一般市販用に拡大させた。Part9の内容と収録時間が異なり、約28分長い約82分となる。人気の動物たちにいつでも会える「映像図鑑」決定版となっているという。すべて同商品のための撮り下ろし映像から厳選。ゆったりわかりやすい「ナレーション」と、園内で録音された「動物園の音」(動物によっては鳴き声も含む)、そして心安らぐ「音楽」で構成されたサウンドとともに、楽しみながら知る「24種」の人気ものを収録している。特典BGVでは本編に入りきらなかった動物たち「24種」が次々と登場。赤ちゃんや親子シーン、エサの時間ほか、動画ならではの"いきいきとした瞬間"が満載となっている。映像中の漢字表記には「ふりがな」を併記。各動物をすぐ頭出しできる便利なメニュー付きとなる。また、映像インテリアにも向くエンドレス再生仕様とした。価格は2,200円(税別)で、同社公式通販サイト「シンフォダイレクト」では、20%オフの1,760円(税別)で購入できる。なお、同商品の売上の一部は「東京動物園協会 野生生物保全基金」に寄付される。
2014年10月20日名作ミュージカル映画の舞台版として誕生した『SINGIN’ IN THE RAIN 雨に唄えば』が日本に上陸する。2012年にウエストエンドに登場し、連日盛況のロングラン公演を成し遂げた大ヒット舞台。その成功の立役者が、映画で主人公ドンに扮した名優ジーン・ケリーの強き残像を、魅惑のステップで我がものに塗り替えたスーパーダンサー、アダム・クーパーだ。昨年6月のパレスシアター閉幕以来、今回の来日公演に限り特別にクーパーの演じるドンが復活する。「もしかしたら日本公演がドンを演じるラストかもしれない。マシュー・ボーンの『スワンレイク』を最後にやったのも日本だったしね」と、日本との縁を微笑みながら振り返る彼に、来日公演への思いを聞いた。ミュージカル『SINGIN’IN THE RAIN~雨に唄えば~』チケット情報「この作品をやるにあたり一番重要だったのは、ジーン・ケリーではなくアダム・クーパーのドンを見つけることでした。演技者として一番言われたくないのは「誰々ほどには良くないね」とか「やるだけ無駄じゃない?」といった言葉(笑)。そうした不安はあったけど、サイレントからトーキーへと移り変わるハリウッドの風景や小粋なラブストーリーを描いたストーリー自体に、ジーン・ケリーを越えた魅力がある。ケリーが表現した1950年代の演技スタイルではなく、今の僕のスタイルで伝える物語を…と考えて取り組みました」リスペクトを込めて映画全体から醸し出される匂いやフィーリングはそのままに、ドラマを膨らませる新たなシーンを挿入し、新ナンバーも2曲追加されている。「振付も、かつての時代のチャーミングな部分はキープしつつ、スピード感のアップした現代の踊りになっている」と自信のほどを語る。その振付で注目すべきは、ドンが名曲『SINGIN’ IN THE RAIN』を歌い踊るおなじみの雨のシーンだ。クーパーが軽やかなステップで蹴り上げた水を、前方の観客は歓声で受けとめることになる。「振付のアンドリュー・ライトはつねに俳優の意見を聞いてコラボレーションしていくスタイルなので、あのシーンに関しては僕が試してみせたステップがそのまま採用されています。客席に向けて雨を蹴るのはアンドリューの発想だけど、どこまでお客さんを濡らせるかは僕の踊り方次第(笑)。ただ重要なのは、ここはひとりの男性の喜びを表現したシーンだということ。単に楽しむのではなく、ドンの喜びを感じ取ってもらえるように演じています」観客とのやりとりを彼自身も「なかなかできないユニークな経験」と受けとめている。観客にとっても貴重な瞬間になることは間違いない。「たくさんの幸せを持ち帰っていただきたい。濡れる経験もね(笑)」公演は11月1日(土)から24日(月・祝)まで東京・東急シアターオーブにて。10月5日(日)昼12時30分から午後1時まで、BS-TBSにて特別番組「ロンドンで大ヒット!ミュージカル「雨に唄えば」舞台裏全部魅せます!」を放映。また、アダムと一緒に写真を撮ってTweetしよう!キャンペーン実施中。詳細はチケット受付ページよりご確認を。取材・文上野紀子
2014年10月03日フランス映画の傑作を舞台化したミュージカル『シェルブールの雨傘』が、9月開幕した。2009年公演で主演を担った井上芳雄が、新たなヒロインに野々すみ花を迎えて挑む再演である。ミシェル・ルグランの音楽に乗せて歌声で全編を綴っていく名作について、井上が抱いた印象は「何度も繰り返し観たくなる、独特な色合い、湿度のようなものを持った作品」。ドラマチックな悲恋物語に5年ぶりに向き合う、今の心境を聞いた。ミュージカル『シェルブールの雨傘』チケット情報「前回はちょうど井上ひさしさんの音楽劇を経験した後で、芝居に関して多くのものを得たと感じていた時期でした。セリフも歌も、ただきれいな声を出せばいいだけじゃない。音楽ももっと自由でいいんだと気づいた後に、この『シェルブール~』に出会った。やっとセリフの面白さを感じ始めたのに、歌だけで物語を進めていくなんて…。自分が興奮して学んだことをどう生かせばいいんだ!という葛藤はありましたね。なので、叫ぶように歌ってみたり、語尾をセリフのようにしたり、いろいろ試しながら取り組んでいたと思います。全編が歌という特殊な形をしているぶん、“自分が音楽を導き出している”くらいの意識でやるのが理想かな。自分の感情の動きに合わせて音が出てくるような感覚で表現していければと思います」主人公の青年ギイは恋人のジュヌヴィエーヴと深く愛し合いながらも、戦地へと向かう。離ればなれになっていた2年の月日が、ふたりの運命を狂わせて……。幸せの絶頂にいるオープニングから、別れの悲しさ、その後の苦悩と決断など、ギイの感情の流れについて井上は「普通の男性の素直な反応として理解しやすかった」と振り返る。ただ一か所、ギイの選択に“自分ならどうするだろう…!?”と迷いが生じたのが、哀切ただようラストシーンだった。「一番最後こそがこの作品の核になっていて、観客の皆さんの心を震わせるシーンだと思いますね。でもどちらかが悪いのではなく、ふたりとも、一生懸命に生きた結果だと感じてもらえるように演じたい」前回公演からの5年の月日の中で、演技に対する意識が大きく変化し、今はそれが一巡してもとに戻ったところだそうだ。つまり、芝居をパートナーに例えると…。「最初はうまくいかなかったけど、そのうちうまくいき出して、やっぱり僕たち相思相愛だった、みたいな(笑)。でもちょっと待てよ、ホントにそう思っていいのか!?まだまだこの人のことを本当にわかってないぞ…と思い始めたのが今なんですよね。永遠にこの繰り返しかもしれないけど。だから今回の舞台も、もがき苦しむんじゃないかな」さらに井上は「もがきたい、と思う」と言葉を重ねた。前回以上に生々しい吐息をもらすギイの姿を期待せずにはいられない。「自分自身の思いが絶対にどこかに重なる、普遍的な物語です。ぜひ心を重ねに来ていただければと思います」東京公演はすでに終了。9月27日(土)から29日(月)まで大阪・サンケイホールブリーゼ、10月3日(金)から5日(日)まで愛知・中日劇場で公演。取材・文上野紀子
2014年09月26日三谷幸喜が書き下ろし、演出を手がける舞台『紫式部ダイアリー』が11月、PARCO劇場に登場する。「男が出てこない作品を書いたことがなかった」と語る三谷が初めて挑んだ女優ふたり芝居である。現代を生きる紫式部と清少納言、ふたりの女流作家による痛快バトルが描かれた物語で競演するのは、初顔合わせとなる長澤まさみと斉藤由貴。三谷作品は『君となら』(1995年初演、1997年再演)以来、およそ20年ぶりの再挑戦となる斉藤に、過去のエピソードや新作舞台にかける思いを聞いた。舞台『紫式部ダイアリー』チケット情報「『君となら』初演の時は、三谷さんは台本を書くことで精一杯で、いっぺんも稽古場に来なかったんですよ。私たち出演者は、毎日ファックスに少しずつ届く台本を待って、稽古をしていました。最終的に台本が全部あがったのは、幕が開く十日前くらいだったでしょうか。今回は、三谷さんご自身が演出されるので台本を遅らせるわけにはいかないでしょうね。でも逆に完成が遅ければ“台本の完成が遅かったからせりふを覚えられなかったんです!”という言い訳ができるかな~なんてズルいことを考えたりして(笑)」つまり、三谷と実質的に力を合わせての舞台作りは今回が初体験。「楽しみだけれどドキドキする」とチャーミングに笑いながら、人間・三谷を信頼を込めて鋭く見つめている。「三谷さんってパッと見は、オドオドした低姿勢風なアプローチをしているじゃないですか。でも実はすごいファシストな面を持っているんじゃないかと(笑)。自信満々で、絶対にこう!と思ったことを曲げない強さがあるような気がする。自分の作品を打ち出す人には当然、そうであって欲しいと思うんです」さらに、ふたり芝居という高き壁にともに向かう事務所の後輩、長澤に対しても「先輩、後輩というのはまったく関係なし」と同志の瞳を向けた。「まさみちゃんは感受性が豊かで、ピーンと張った琴線のようなものを持っているイメージがあります。おそらく尖った部分も持ち合わせているはず。でもそれは女優の種として必要不可欠。それがあるから素敵だし、この人好きだなと思えるんですよね」目下の最大の不安は「せりふが覚えられるかどうか。とにかくせりふ覚えが悪いんです。三谷さんに“せりふは三行以内で”とお願いしたい(笑)」。だが、刺激的なオンナふたり芝居への好奇心は高まるばかり。三谷ワールドに飛び込む態勢は万全だ。「若く美しくて飛ぶ鳥を落とす勢いの紫式部(長澤)と、年齢を重ねるほどに先行きに不安を感じる清少納言(斉藤)の構図は、きっと多くの皆さんがイメージされるんじゃないかと。ま、私自身はそれほど不安を抱えちゃあいませんが(笑)。でもやっぱり女性として、年々お肌の悩みなどは出てきます。マゾじゃないけど、そうした等身大の不安を舞台上で表現するのは面白い経験になるだろうなと。楽しんで取り組みたいと思います」公演は11月1日(土)から30日(日)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は9月20日(土)午前10時より。取材・文上野紀子
2014年09月19日野田秀樹の舞台『半神』が15年ぶりに復活する。東京芸術劇場と韓国の明洞芸術劇場の共同制作によるもので、野田の演出、韓国人俳優のオールキャストで9月にソウル、10月に東京での上演が予定されている。野田と漫画家・萩尾望都が共同で戯曲化し、1986年に初演された『半神』は劇団夢の遊眠社の代表作のひとつとして知られる人気の舞台。シャム双生児の姉妹を軸にさまざまな世界が交錯していくストーリーだ。今回、ソウルで行われたオーディションには400人を越す応募が集まったという。最終的に選定された12人の出演陣のうち、双子の姉・シュラ役を演じるのは日韓合作舞台『焼肉ドラゴン』で三女役を演じた実力派舞台女優チュ・イニョン。片や、妹・マリア役に抜擢されたのは韓国ミュージカル界の新鋭チョン・ソンミン。タイプの異なる魅力を持つふたりに、日韓共同制作となる本作への思いを聞いた。『半神』 チケット情報2005年にソウルで野田が演出、出演した『赤鬼』韓国バージョンを、当時学生として観たというイニョンと、今回のオーディションで野田秀樹の名を初めて知ったというソンミン。ふたりが口を揃えてまず語ったのは、今回のオーディションの特異性だった。そもそも韓国ではストレートプレイのオーディションは珍しく、とくに主役級のキャスティングはほぼ演出家からの指名で決まる。ところが……。「私が“死ぬまでに一度でも共演できたら幸せ”と思っていた大先輩たちが来ているんですよ!普通オーディションではセリフを読んだりするんですが、野田さんは“波”や“強風”といったテーマでパフォーマンスを要求されて。それを大先輩たちが身体を投げ打って一生懸命やっていらっしゃる。先輩方があまりに上手なので、もう私はダメだわ…と思いました(笑)」(イニョン)「私はミュージカルをやってきたので、オーディションでは知り合いが誰もいなくてひとりぼっち。開き直って思いっきりやろう!と自分を奮い立たせました(笑)。イニョンさんのお話のように、大ベテランの方々が私のような人間と同じ状況で懸命に演じてらっしゃるのを見て、オーディションの現場だけでも多くのことを学びましたね」(ソンミン)結果、「早く出演者の皆に会いたい。舞台上でどう息を合わせていくのか気になります」とふたりが待ちわびるほどの、韓国演劇界の人気者が集結。出自もキャリアも異なる個性派の面々が、同じスタートラインに立って野田ワールドに飛び込む。双子役を演じる、選ばれし女優ふたりの挑戦を見届けたい。「重い主題がとても軽やかに書かれている作品。冗談のように、お遊びのように、深い話をポンッと投げ入れる面白さに惹かれますね。私も観客の皆さんも、想像もできない体験をすると思います」(イニョン)。「生について、存在についての負い目といったものが語られているので、私も最初は深刻な物語だと思っていました。でも始まりからとても愉快!好奇心を持ってご覧いただきたいですね」(ソンミン)10月24日(金)から東京芸術劇場 プレイハウスにて。一般発売直前先行は8月1日(金)午後6時より受付。文:上野紀子
2014年08月01日演出家・蜷川幸雄がシェイクスピア作品を手掛ける新企画「NINAGAWA × SHAKESPEARE LEGEND」が彩の国さいたま芸術劇場で始動した。第一弾としてオールメール(男性俳優のみ)による『ロミオとジュリエット』を上演する。これまでにも“彩の国シェイクスピア・シリーズ”の中で人気を博してきたオールメールの舞台だが、新企画で注目すべきは、小ホールの緊密空間でシェイクスピアに立ち向かう、成長著しい若手俳優たちの挑戦だ。近年目覚ましい活躍を見せる実力派、菅田将暉がロミオ役を担い、持ち前の瑞々しい表現力で蜷川舞台に初参戦する。そしてジュリエットを演じるのは、数々のオールメールの舞台で艶やかな存在感を放ってきた月川悠貴。蜷川の信頼に応えてさまざまな娘役を体現してきた月川に、シェイクスピア劇の代表的ヒロインに挑む今の心境を聞いた。舞台『ロミオとジュリエット』チケット情報「とてもメジャーな作品なので、観客の皆さんが持っている、キャラクターに対する固定観念が強過ぎて、自分なりのジュリエット像を作っていった時に受け入れてもらえるかどうかが不安ですね」。控えめな発言のようで、その言葉の裏には強気な攻めの視線が隠されていた。「これまでいくつかの『ロミオとジュリエット』の舞台を観てきたけれど、いつも疑問点があって。それを今度の舞台でクリアしたいんです」。そう語る彼が、勝負を賭けて作り上げたいジュリエット像とは……。「一番の疑問点は、ジュリエットは本当に純粋なのかということ。親が決めたとはいえ、婚約者がいながらロミオのもとにいってしまうのは、まったくの純粋とは言えないんじゃないかと思うんですね。ジュリエットのかすかな不純さを出していくほうが、物語の真実に近づけるような気がします。演出家と相談して、自分が考える『ロミオとジュリエット』を見せられればいいなと」俳優として活動する前は演歌歌手だったが、一時は芸能の世界から身を引こうと決意し、蜷川に相談。そこで引き止めてもらえたことで、再び表現者としての自身の可能性を探り始めたという。「やるからには誰にも負けない何かを作ろう、そう考えた時に、娘役を極めようと思ったんです」。以降、出演作の3分の2は娘役として活躍。中でもオールメールの舞台は「特別なシリーズ」と心に置いている。娘役を演じるうえでの信念は「まず、絶対的に美しいこと。そして必ず芯が通っていること」。ブレない姿勢で、誰もが息をのむ美しさを表出する。「お客さんに、“ああ、ロミオとジュリエットはやっぱりこれだよね”と言ってもらえるような作品にしたい」。可憐な容姿から垣間見える魔性。月川が目指すヒロインの、真の姿を見届けたい。公演は8月7日(木)から24日(日)まで彩の国さいたま芸術劇場 小ホールにて。チケットの一般発売は6月7日(土)午前10時より。取材・文:上野紀子
2014年06月03日9月に開幕するミュージカル『ファントム』へ向けて、主演の城田優が動き出した。城田の初の単独主演作として昨年から話題沸騰、その注目の舞台を前に、「まだずっと先にあると思っていた山が、いよいよ目の前に来たかな」と気を引き締める。フランスの小説家ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』を原作とするミュージカルはアンドリュー・ロイド=ウェーバー版が著名だが、脚本家アーサー・コピットと作曲家モーリー・イエストンによる本作は、同じ原作から違った味わいを引き出して高い評価を得ている人気作だ。主人公ファントム(エリック)の人物像をより深くみつめて繊細に描いた独創的なストーリーに、城田は大きなやり甲斐と共感を抱いている。ミュージカル『ファントム』チケット情報「昨年ニューヨークで作曲のモーリーさんにお会いして、お話を伺ったんです。“僕の作品にあるのはコンプレックスと闘う男の姿だ”とおっしゃっていました。人間の哀しさ、せつなさを浮き彫りにしたドラマ性を非常に大切にしていると聞いて、僕もエリックとして一生懸命、ドラマチックなメロディや歌詞を観客の心に届けられるように演じたいと思います。コンプレックスという点では、僕自身もハーフであることから“なぜ僕だけ?”といった経験を少なからずしてきているので、その感情が何かしら役に立てばいいなと思っていますね」昨年はレア・サロンガ、ラミン・カリムルー、シエラ・ボーゲスといった世界のスターたちとともにコンサート『4Stars』の舞台に立ち、またミュージカル『ロミオ&ジュリエット』再演ではロミオとティボルトの二役を演じ分けて、経験値上昇の確かな手応えを得た。自らに期待して挑む今回の『ファントム』は、『4Stars』を手がけた気鋭の演出家ダニエル・カトナーとの二度目の共同作業になる。「ダニエルはニューヨークを拠点に活躍している、とても研ぎ澄まされた感覚を持っている演出家です。役者のことを第一に考えて思考、行動してくれる方なので、仕事をしていて非常に安心。背中を支えてもらえている感じがあります。またご一緒できるのは嬉しいですね」共演陣の中で、ヒロインのクリスティーヌを演じる山下リオは今回が初舞台。片や、マルシアや吉田栄作といった頼れる実力派も揃っている。その中心に立って城田が挑むのは「舞台に立つ皆が輝いている」エンターテインメントだ。「全員が同じラインに立って、同じ世界に生きないと作品が成立しませんから。それぞれが触発し合って、いい舞台を立ち上げたい」。熱き志を持った座長は、仲間とともに次なる山の高みを目指す。公演は9月13日(土)から29日(月)まで東京・赤坂ACTシアター、10月5日(日)から15日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。チケットの一般発売は6月21日(土)午前10時より。チケットぴあでは、6月3日(火)昼12時より東京公演のプレゼント付きチケットを受付。また、スペシャルミニライブ&制作発表イベントに、チケット購入者の中から抽選でご招待。応募の詳細等はチケット情報ページにて。取材・文:上野紀子
2014年06月02日ブラックコメディー映画のヒット作『アダムス・ファミリー』がミュージカルとなって再誕。ブロードウェイを沸かせた人気舞台の日本版が4月、青山劇場に登場する。“おばけファミリー”の強烈なビジュアルを見事に再現して、アクの強いキャラクターに扮するのは豪華キャストの面々だ。一家の長・ゴメス役の橋本さとし、その妻モーティシア役の真琴つばさ、娘ウェンズデー役の昆夏美、ウェンズデーの恋人ルーカス役の柳下大のほか、菅原永二、澤魁士、友近、鷲尾真知子、今井清隆といった実力派が集結。緻密な視点で舞台空間を操る白井晃演出のもと、変化球の笑いに挑むファミリーの稽古場での奮闘を覗いた。ミュージカル『アダムス・ファミリー』チケット情報目に入ってきたのは漆黒のストレートヘアとドレス姿で毅然と立つ真琴モーティシア、そして苦笑いを浮かべた橋本ゴメス。すでに雰囲気十分の面白夫婦のやりとりが進められていた。魅力の低音ボイスを響かせて一喝する真琴を、眉尻を下げて必死にとりなそうとする橋本。おばけも人間も変わらない普遍的な夫婦の会話が妙におかしく、共演者もスタッフも笑いを噛み殺して見つめている。その夫婦の前をただ通り過ぎていくだけの老婆役の鷲尾の姿がさらに珍妙で、真琴が思わず吹き出す一幕も見られた。アンサンブルを交えた賑やかなダンスシーンでは、白井が表現のイメージや動線などを振付のair:manに細かく指示。シニカルな歌詞を届ける美声、奇っ怪かつ愉快なダンスが展開する不思議楽しいパフォーマンスが徐々に立ち上がっていく。白井を始めとする稽古場中の人々が作品を愛おしく感じ、遊び心いっぱいに舞台作りに向かっている空気を熱く感じ取った。「まだアダムス家じゃなくて、橋本家なんですよ!」。歌やダンスなど課題の多さに悪戦苦闘しているという橋本の稽古後の第一声に、真琴が「さとしさんは間違えてヘンなこと言っても、ゴメスとして消化しているからすごい!」と信頼を寄せる。“ウェンズデーが人間の彼氏を連れてくる”というストーリーの発端を担う若いふたりも、役柄への接近に真摯に取り組んでいるようだ。「男の子を引っぱり回す女の子の役は初めて。優雅な真琴さんが演じるモーティシアの娘なので、余裕のある女の子を演じたい。あらためて家族っていいなと思える作品です」(昆)。「アダムス家の人々と会った時の、人間としての驚きや不思議な感覚を意識して演じたいですね。そのリアクションによってアダムス家を膨らませることができるので大事にやらないと、と考えています」(柳下)、思慮深い柳下の返答に「なかなかいい青年じゃない!?」(真琴)「ちょっと嫉妬する!」(橋本)と、アダムス夫婦が息の合った掛け合いを見せて爆笑を誘った。「おばけの格好じゃなければ(笑)普通の家族の、愛の物語です。極上のエンターテインメントを楽しんでほしいですね」(真琴)、「一生懸命生きようとしている人たちの……ま、死んでる人たちですが(笑)、イキイキとした面白さを味わっていただけたら。劇場全体がファミリーになれたらいいな」(橋本)。公演は4月7日(月)から20日(日)まで。取材・文:上野紀子
2014年04月04日2012年に閉館し建て替え工事が行なわれていた「上野松竹デパート」跡地に4月26日、飲食総合ビル「上野の森さくらテラス」がオープンする。「上野の森さくらテラス」は、昭和・戦後の面影を残しつつ上野駅前・上野恩賜公園で半世紀以上親しまれてきた「上野松竹デパート」を、地上3階、地下1階建ての大型飲食店ビルに建て替えるもの。JR上野駅不忍口から上野恩賜公園への高低差をつなぐエスカレーターを備えた吹き抜け空間を中央に配置し、上野恩賜公園への玄関口の役割も果たすという。公園側の屋上には、オープンスペースが設けられる。また同ビルの両隣には、先行して建て替えの行なわれた「上野バンブーガーデン」と「UENO3153(さいごうさん)」が並び、上野駅前・上野恩賜公園入口に新たな景観を創出する。入居店舗は和洋中19の飲食店舗。延床面積は3,785.66平方メートル。
2014年03月14日日本を代表する作詞家・森雪之丞が脚本・作詞・音楽プロデュースを担い、演出家としても定評のある岸谷五朗が演出を手がけるオリジナル・ミュージカル『SONG WRITERS』が10月5日、シアタークリエで開幕する。ミュージカルをこよなく愛する両者のタッグにより生まれた本作は、ブロードウェイを舞台に繰り広げられるミュージカル・クリエイターたちの物語だ。“世界が驚愕するミュージカルを創る!”と夢に邁進する作詞家エディ役に屋良朝幸、エディの相棒でちょっと気弱な作曲家ピーター役に中川晃教、魅惑の歌声を持つ女優の卵マリー役に島袋寛子など、人気と実力を兼ね備えた魅力の顔合わせが実現。中川がキャラクターそのままに、劇中のナンバー2曲を作曲している点にも注目だ。演出家・岸谷が熱く指揮をとる、ある日の稽古場を訪れた。a new musical『SONG WRITERS』チケット情報立ち稽古は、中川によるピアノの弾き語りからスタート。全員が本番さながらのテンションの高さと集中力で歌い踊り、ノンストップで第一幕を進めていく。ピーターの部屋に飛び込んできて、傍若無人に自分のペースに巻き込んでいくエディ。そこに音楽ディレクター・ニック(武田真治)が吉報を持って現れ、さらには歌姫マリーも登場。皆で「夢へ一歩前進か!?」と盛り上がる、スピード感あふれる楽しい幕開きだ。天真爛漫で快活な屋良エディとナイーブな中川ピーターが絶妙のコンビバランスで、雰囲気の良さを見せつける。島袋がとぼけた愛らしさで惹きつけ、武田が独特の個性を打ち出して稽古場を沸かす。そんなキャスト陣の息の合った様子を、演出席で岸谷が頷きながら注視し、森雪之丞が嬉しそうに見つめていた。一方、NY市警の刑事ジミー(泉見洋平)とクラブ歌手パティ(藤林美沙)のシーンはどこか謎めいていてドラマチック。それもそのはず、このふたりはエディが書く物語の登場人物なのだ。展開が気に食わなければ何度でも書き換えられるはずだったが、いつしか現実と虚構が入り乱れて……。イタリア系マフィアの登場など、気になる要素が次から次へと噴出し、物語は思わぬ方向へと突き進む。駆け抜けるように第一幕の通し稽古が終わり、岸谷が各シーンを丁寧に振り返ってチェック。屋良に向かって「この台詞はもっと調子に乗っちゃってもいいかな。歌うように…」と言い、自ら実演してみせる。キャラクターの持ち味をわかりやすく示すディレクションは、俳優ならでは。屋良を始めとするキャスト全員が岸谷の言葉を素早く飲み込み、稽古はテンポよく進んでいった。情感豊かに響くナンバーと圧倒的なパワーで迫るダンス、そして驚きのストーリー展開。“ミュージカル好き”たちの情熱が生み出した日本の本格オリジナル・ミュージカル、その斬新な興奮をいち早く劇場で味わいたい。公演は10月5日(土)から30日(水)まで東京・シアタークリエ、11月12日(火)愛知県芸術劇場 大ホール、11月16日(土)・17日(日)大阪・森ノ宮ピロティホールにて。チケット発売中。取材・文上野紀子
2013年09月27日上野の春恒例のクラシック音楽祭「東京・春・音楽祭」が、開幕初日の3月15日にJR上野駅ガレリアでサプライズイベント「フラッシュモブ」(※1)を開催した。「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2013-」の公演情報毎年3月中旬から4月にかけて上野のコンサートホールや文化施設を中心に行われる「東京・春・音楽祭」。オペラ、オーケストラ、室内楽などの本格的なクラシック音楽のほか、バレエや日本歌曲、アルゼンチン・タンゴ、朗読、美術館や博物館とのコラボレーションなど、バリエーションに富んだプログラムで人気を博している。音楽祭初日の3月15日、JR上野駅ガレリアをジャックしたフラッシュモブは午前11時よりスタート。まずは寿司職人に扮したキーボード奏者とコスメ店員に扮したヴァイオリニストが、エルガーの「愛の挨拶」を演奏。突如聴こえてきた生演奏の音色には、行き交う利用客も「何が起こったのか」と驚きながらも、足を止めて聴き入る様子。文字通り、挨拶代わりとなったエルガーの名曲の後は、駅ビルの飲食店や雑貨屋の店員、交通整理員などに扮した演奏家たち総勢24名が、ヴィヴァルディ「春」を演奏しながら、あらこちから次々と登場。全員が揃ったところで、ピッタリと息の合った合奏を披露。突如駅構内に響き渡った、春の到来を告げるかのような美しく軽妙な旋律に大勢の利用客から温かい喝采が送られた。本イベント翌日3月16日には、平年よりも早めの東京での桜開花宣言も発表。いよいよ桜満開の季節となる上野でクラシック音楽に浸る「東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森2013-」は、4月14日(日)まで約100公演を開催。オペラの二大作曲家、ヴェルディとワーグナーの生誕200周年にちなんだコンサートなど、多彩な企画が予定されている。また音楽祭期間中には、上野の近隣施設などで無料のミニコンサート「桜の街の音楽」も開催される(日程・会場などの詳細は公式サイトまで)。(※1)フラッシュモブ:街頭など公共のスペースで示し合わせて、群衆に紛れたパフォーマーたちが、パフォーマンスを一斉に行い、その場に居合わせた人々を驚かせ、楽しませる集団サプライズイベント。
2013年03月19日底冷えする東京の冬。その寒さの中でも元気に暮らしている動物たちに会いに、今回は上野動物園を訪れました。上野動物園で暮らすパンダさんたち。すっかり人気者となり、動物園のマスコットに。この日は、タイミングよくごはんを食べる様子を見ることができました。ササを取り分けながら器用に口に運んでいくリーリー。大きな身体につぶらな瞳がなんともカワイイです。シンシンはお休み中。ダラリとした寝そべり方を見ていると、とても癒やされます。次はゾウのすむ森へ。5頭のゾウさんが暮らしています。この日はトレーニングの一環として、後ろ歩きを練習していました。それが終わると、飼育員さんがゾウさんを褒めてあげていて、ほほえましい光景を見ることができました。寒い中でも、元気に水に遊ぶホッキョクグマさん。アザラシさんやアシカさんなど、冬が似合う動物たちの泳ぐ様子には、動物園を訪れた子どもたちも興奮の様子でした。次に、「干支展ヘビかヘビじゃないか、それが問題だ」が開催されているズーポケットへやって参りました。ヘビの特徴や生態、似た生き物たちとの違いが解説されており、楽しみながら勉強ができる展示です。表示されている動物がヘビかそうでないかを問うクイズ形式の展示や、今年の運勢を占うヘビみくじも。ぜひチャレンジください。■イベント情報名称:干支展ヘビかヘビじゃないか、それが問題だ場所:上野動物園西園ズーポケット開催時間:10:00-15:00。2013年1月20日まで東園に戻る前に小獣館に寄ることにしました。暗がりに暮らす小さな動物たちはすばしっこくて、にぎやかです。ほかの動物園では、なかなかお目にかかれないマヌルネコがいました。ネコ科の中ではとても古い種族で、「マヌル」はモンゴル語で「小さいヤマネコ」を意味するそうです。他の猫とは違って、暗がりでも瞳孔まん丸のまま。ぜひ注目してください。たっぷり園内を満喫したところで、おみやげをセレクト。人気はパンダさんたちがモチーフのぬいぐるみ。他にもお菓子やマグカップなど、多彩なアイテムがあります。園内はしっかり見て回ろうとしたら1日がかり。モノレールに乗ったり、ガイドツアーに参加したりなど、多彩な楽しみ方があります。どうぞ動物たちとすてきな時間をお過ごしください。■スポット情報園名:恩賜上野動物園場所:東京都台東区上野公園9-83営業時間:9:30-17:00。月曜休、祝日の場合翌日代休、12月29日から1月1日休。入園料:一般個人600円、65歳以上300円、中学生200円、小学生以下および都内在住在学の中学生無料。団体割引、年間パスポートあり。<著者プロフィール>一色千里ハンドメイドや動物、街歩きや旅をテーマに撮影と執筆を手がける。著書に「東京手づくり市マップ」「東京ねこ街案内」(角川グループパブリッシング刊)などがある。新著「カワイイ動物カフェへようこそ!」が日本工業新聞社より2012年11月2日に発売!猫情報を配信するちまたの猫暮らしを運営するほか、物語で街と人をつなぐ「本のカケラ」など街イベントも積極的に企画。ホームページ、ツイッターも運営中。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年01月10日トムス・エンタテインメントは12月23日~24日、東京・上野動物園にて「パンダコパンダ40周年×上野動物園モノレール開業55周年記念イベント」を開催する。同イベントは、1972年のジャイアントパンダ「カンカンとランラン」ブームと同時期に製作された、宮崎駿・高畑勲のアニメーション映画「パンダコパンダ」に登場するキャラクター「パパンダ」が、上野動物園モノレールの1日駅長に就任、来場客と交流するというもの。パンダコパンダ生誕40周年と上野動物園モノレール運行開始55周年を記念しての開催となる。イベント開催日は12月23日と24日の2日間。両日とも、上野動物園モノレールに乗車した人先着2,000名に記念ステッカーがプレゼントされるほか、11時、13時、15時には「パパンダ」の着ぐるみが一日駅長として登場。握手会や撮影会が行われる(天候により中止の可能性あり)。開催場所は東京都恩賜上野動物公園内、上野動物園モノレール西園駅。時間は10時~16時。入園料は一般600円、65歳以上300円、中学生200円、小学生までは無料。上野動物園モノレール運賃は、中学生以上150円、2歳以上の小児80円。詳細は「パンダコパンダ特設サイト」へ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日草なぎ剛の主演舞台『ぼくに炎の戦車を』が11月3日、東京・赤坂ACTシアターにて開幕した。舞台『焼肉ドラゴン』で数々の演劇賞を受けた作・演出の鄭義信が書き下ろした日韓合作舞台で、かねてより韓国通として知られる草なぎと、韓国の人気俳優チャ・スンウォンの共演が注目の的。初日前日に行われた会見には草なぎ、チャ、広末涼子、香川照之の豪華キャストが登場し、日韓の俳優が力を合わせた大作への思いを語った。『ぼくに炎の戦車を』チケット情報「韓国の俳優と一緒に初めてちゃんと演技をして、毎日が刺激的」と言う草なぎについて、チャは「ビッグスターなのに謙虚でとても誠実な人。稽古のために1か月間一緒に過ごしてみて、なぜ草なぎさんが長い間多くの人々に愛されているのかがあらためてわかった」と絶賛。この発言を草なぎ自らが通訳し、「スゴイ!」と驚くチャとハイタッチする息の合った姿が会場を沸かせた。物語はおよそ100年前、日本統治時代の朝鮮を舞台に展開。草なぎは朝鮮文化に高い関心を寄せる青年教師・柳原直輝に扮し、チャ・スンウォン演じる放浪芸人・淳雨(スンウ)と友情を深めていく。直輝の妹・松代(広末)とその夫である清彦(香川)の心のすれ違いや、実在する放浪芸の集団・男寺党(ナムサダン)の芸人たちの厳しい生活など、時代に翻弄されながらも強く生きる人々の人間模様が涙と笑いで色濃く描かれている。「僕とチャ・スンウォンさんの気持ちが深く、熱くぶつかりあうシーンがたくさんあって、思った以上に良い舞台になっていると思います」と自信の笑顔をみせる草なぎ。劇中、ふたりが中秋の名月を眺めながら義兄弟の契りを交わすシーンは清々しく心に残る。韓国の伝統芸であるサムルノリや皿回しなど、男寺党の芸が披露される賑やかなシーンの数々もみどころだ。日本語と韓国語の台詞が飛び交うなか、草なぎ同様に多くの韓国語の台詞をこなす香川は「韓国の俳優は心も身体もパワーがあって引っ張ってもらっていると感じます。台詞の半分以上が韓国語なのは厳しい壁でしたね」と充実の表情で稽古を振り返った。その香川が「毎回、無条件に泣ける」と強く推すクライマックスが、チャが命綱なしに挑む綱渡りのシーンだ。1年かけてやっと身につくといわれる技を1か月の集中稽古で習得したチャは「毎晩、綱渡りの夢を見ていた」と苦笑い。本番では、緊張と興奮を役者と観客が共有する、まさに演劇でしか味わえない大きな感動が劇場を包み込んだ。「国籍がどうということではなく同じ時代に同じ土地で生きた人たちの愛情、友情、命の尊さを感じ取っていただけたら」と広末。すべての登場人物を生き生きと描き上げたところに、鄭義信の人間をみつめるあたたかな視線が感じとれる。「明日から頑張ろうという気持ちになれる舞台」(草なぎ)の言葉どおり、一歩踏み出す勇気を与えてくれる秀作だ。公演は12月1日(土)まで赤坂ACTシアターにて、12月8日(土)から11日(火)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。チケットは一部を除き発売中。取材・文:上野紀子
2012年11月05日上野動物園は28日、パンダ来日40周年記念イベント「パンダの日 トーク&クイズ」を開催する。1972年に日本で最初のジャイアントパンダ「ランラン・カンカン」が上野動物園に来園してから、28日で40年。同園では、2012年2月19日に行ったリーリーとシンシン来園1周年の記念講演会の際に、この日を「パンダの日」とした。イベントでは「私とパンダの想い出」と題して、これまで同園で飼育してきたジャイアントパンダについて関わった職員が思い出を語る。併せて同園の歴代パンダについてクイズを出題、楽しみながらパンダについての理解を深められる機会となる。正解者には記念品がプレゼントされる。開催時間は13時30分~15時30分。場所は同園西園「動物園ホール」。定員は、申し込み不要の先着130名。詳細は、同園のパンダ情報サイト「UENO-PANDA.JP」まで。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月25日若者向け商品が充実した「シュープラザ上野店」を都心型旗艦店として、2012年10月11日(火)にオープンする。10月11日(火)よりオープンする上野店は、都心型旗艦店として店舗のカラーを「赤」に変え、他店舗との差別化を図る。郊外型のシュープラザは、大型スペース・1フロアの店舗が標準に比べ、都心型の同店舗は土地の有効利用のため、コンパクトな店舗設計となっている。商品ラインナップは、20~40代の若者向け商品を中心に、通常店舗より1,500点少ない約3,500点を扱う。上野店は特にメンズに注力し、メンズ7割、レディース3割のラインアップを計画している。日本有数のターミナル駅の上野駅周辺に出店することで、「シュープラザ」業態の更なるブランド認知を狙う見通しだ。同店舗の初年度の売上は3億円以上を目指す。シュープラザは1994年の立ち上げ以来、ファミリー向けの郊外店を中心に約350店の規模に拡大し、2010年12月には同業態初の都心型旗艦店「シュープラザ新宿東口駅前店」をオープン。上野店は旗艦店の2号店の位置づけとなる。【シュープラザ上野店店舗概要】東京都台東区上野4丁目5-102012年10月11日(木)オープン元の記事を読む
2012年10月08日上野動物園は10月11日~11月11日、ジャイアントパンダ来園40周年を記念して、企画展「ジャイアントパンダ来園40周年展~はじまりはいつも上野から~」を開催する。同企画展では、1972年の初来園からこれまでの歴史をエピソードや写真で紹介。また、普段は多摩動物公園で展示している最初のパンダ「ランラン・カンカン」の剝製を、期間中は同園にて展示する。場所は、同園の西園「ズーポケット」。開催時間は、ズーポケットの開館時間である10時~15時となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月01日手羽先唐揚専門店をチェーン展開する「鳥良・酉の舞」は、9月15日に上野西郷会館(UENO3153)に「手羽先唐揚 鳥良 上野駅前店」をオープンした。同店は上野の西郷会館の跡地にリニューアルオープンした「上野西郷会館」内に開店。鶏料理専門店「鳥良」で培ってきた“技”に加え、日本料理の神髄である「京」の調理技法も用い、素材の持ち味を引き出すメニューをラインナップした。食材の旬や産地にもこだわった日本料理の味わいを堪能できる。お勧めメニューは「桜島鶏と滋養卵の親子丼」。宮崎産の桜島鶏の鶏肉と、神奈川県産の滋養卵を使い、とろとろの親子丼に仕上げた。その他「桜島どりの香草ハーブ焼き」「くるみだれせいろそば」「真鯛の土鍋めし」「鳥良の丸どり鍋」など、多彩な料理が楽しめる。また、9月21日からは限定ランチも提供。「親子丼御前」ほか、全6種類の御前メニューから選べる。「親子丼御前」は滋養卵の親子丼にお総菜2種、香の物、赤だし付きで価格は850円。ランチ時間は11時から15時。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月26日葛河思潮社の第二回公演『浮標』が9月20日、世田谷パブリックシアターにて開幕した。葛河思潮社とは長塚圭史が昨年1月に立ち上げた演劇プロジェクトで、その第一回公演として長塚が演出に挑んだのが、三好十郎作によるこの『浮標』だった。前回の公演中にすでに今年の再演を決めていたそうだが、震災を経た1年半後の今、三好十郎が“生の本質”について苛烈に書き綴った本作の、その気迫のこもった言葉たちはいっそう強度を増して我々の身に迫ってくる。「浮標」 チケット情報時は日中戦争の影が忍び寄る頃。画家の久我五郎(田中哲司)は死を目前にした病身の妻・美緒(松雪泰子)の看病に献身している。美緒の生をなんとかつなぎ止めようと抗う五郎の前に現れるのは、彼を利用しようとする金貸しや財産の譲渡を迫る妻の家族、戦地に赴く親友、現実を突きつける医師など。経済的にも困窮し、次第に追いつめられていく五郎はそれでもなお、あらん限りの力で生きることの意味を美緒に叫び続ける。しかし最期の時は迫りつつある。黒い木枠で囲んだ中に白砂を敷き詰めた抽象舞台で物語は展開する。出演者が立ち並ぶ中、長塚の素朴な挨拶で開演が告げられ、その白砂に五郎役の田中哲司が足を踏み入れた瞬間から、時は過去の時代へと巻き戻されていく。木枠の左右両端には椅子が並び、役者たちがその登場人物のままに着席し、出番のないシーンを静かに見届ける。前回に続いて五郎を演じる田中は、美緒に対する愛情と苛立ち、金貸しの尾崎(赤堀雅秋)や医師・比企(長塚)の前でみせる攻撃と卑屈といった感情の破綻を、より深い哀切を込めて表現。美緒役の松雪は、今にも消え入りそうな病人の透明感を醸しながらも、時おり生への闘争心を鋭く光らせる表情がいい。見舞いにきた若い娘・京子(高部あい)の健康美に嫉妬を覚え、ひとり静かに化粧し、鏡をみつめるかすかな笑顔が悲しく、美しい。五郎を正論で責め立てる尾崎や比企、死にゆく娘に財産話を急かす母・お貞(池谷のぶえ)や美緒の妹・恵子(大和田美帆)などは狡猾とも非情とも見てとれる。しかしここに登場する誰もが戦争という状況からの圧迫を受け、五郎や美緒と同じように必死に生にすがりつこうとしている人たちだ。椅子に座って物語を眺める登場人物たちの視線から、過ぎた日々への懺悔や悔恨を感じ取り、その人物の隠れた厚みに気づく瞬間もあった。戯曲に描かれた人間たちの真の姿を長塚が綿密に探究し、舞台上に息づかせている。死に際の美緒に向かって万葉集を語り聞かせる五郎。その白眉のクライマックスに三好十郎は “生と死”についての深淵な問いを我々に叩きつける。茫漠とした海にただよう浮標の孤独のように、永遠に答えの出ない問いかけを今一度、胸に刻む。上演時間4時間(休憩2回含む)の間、集中をとぎらせず吸引する三好十郎の魂の言葉は、さまざまな気づきをもたらしてくれる。公演は同所にて9月30日(日)まで。その後大阪、兵庫、宮城を巡演し10月20日(土)に新潟で千秋楽を迎える。千秋楽の模様は全国13か所の映画館で生中継される。取材・文:上野紀子
2012年09月21日上野動物園では10月20日、「上野の山のナイトミュージアム」のプレミアム企画として「夜の動物見学ツアー&動物園ナイトシアター」を開催する。「夜の動物見学ツアー&動物園ナイトシアター」は、動物園職員の引率で、夜の動物たちの姿を観察しながら園内を巡り、その後、動物園ホールで上野動物園園長の話を聞いたり、同園の歴史記録映画を鑑賞するもの。開催は、10月20日18時~20時50分。対象は、小学校4年生以上の100名で、参加費は無料。応募は、往復はがきに必要事項を記入し、同園「夜の動物見学ツアー&動物園ナイトシアター」係まで送付する。申し込み締め切りは10月4日必着。詳細は同園ホームページにて確認のこと。「上野の山のナイトミュージアム」は、今年「上野の山文化ゾーンフェスティバル」が20周年を迎えたことを記念し、10月20日に開催されるイベント。上野の山の博物館・美術館が一斉に21時までの夜間開園を行い、さまざまなプレミアム企画が予定されている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月21日橋本治作、蜷川幸雄演出による“騒音歌舞伎(ロックミュージカル)”『ボクの四谷怪談』が9月17日に東京・シアターコクーンにて開幕した。橋本が36年前に勢いのままに書き上げて封印していた怪作を、蜷川が恐るべき嗅覚で発掘し、上演を実現。鶴屋南北作『東海道四谷怪談』の確かな枠組みから自由奔放に暴発した作品世界の中、佐藤隆太を始めとする豪華すぎる出演陣が鈴木慶一の音楽に乗り、小気味よい狂騒を繰り広げる。奇妙奇天烈なパワーが爽快感を呼ぶ舞台だ。開かれた定式幕の向こうにあるのは「昭和51年にして文政八年、さらに元禄十四年であり、しかも南北朝時代」という設定だ。蜷川はそのハチャメチャなカオスをオーバーチュア(序曲)できっちりと提示する。歌舞伎さながらの扮装で見得を切る登場人物たちが、一瞬にしてジーンズ姿へ変身。されど腰には刀あり。70年代ファッションが当時のロックの匂いを助長する。この舞台の主人公、民谷伊右衛門(佐藤)は主義主張の見えぬ、つかみどころのない男として登場する。前半の軽快なリズムを作るのは、伊右衛門に天真爛漫な愛をぶつけるお梅役の谷村美月と、お梅の父の伊藤喜兵衛に扮して熟練の怪演をみせる勝村政信のふたり。谷村の自己中心的純愛、可憐な小悪魔ぶりが面白い。佐藤が、周囲の雑音に巻き込まれているようでわが道をゆく伊右衛門の秘めた芯をのぞかせ、後半へ向けてじっくりと感情を吐き出していく様を巧みに表現。そんな伊右衛門の対極にいるのは「俺には生き甲斐がある。お前にあるのか!」と暑苦しく迫る与茂七(小出恵介)だ。敵討ちという“正義”に向かいながらも狡猾な匂いをふんだんに振りまく小出与茂七の、妖しい魅力がおかしさを生む。二幕に入ってお岩役の尾上松也、伊右衛門の母・お熊役の麻実れいなどが登場して支柱がさらに定まり、騒音に拍車がかかる。とくに歌舞伎への敬意を蜷川から託された松也が突出した存在感をみせ、美声で魅了する。〈三角屋敷の場〉でのお袖(栗山千明)と直助(勝地涼)のラップ競演は愉快な見どころだ。そしてクライマックス、台本8ページ分ともいわれる佐藤の独白シーンでの熱演は圧巻のひと言。一瞬、得体の知れぬ感動にとらわれそうになるが、ラストは「野暮な解釈はいらない」とばかりにキャスト全員がエネルギーを放出し切る、熱量がピークに達するエンディング。大暴走する四谷怪談は上演時間3時間半弱(休憩2度あり)。見終えてまずは呆然、その後にあっぱれな清々しさが後を引く衝撃作だ。10月14日(日)までシアターコクーンにて上演された後、10月19日(金)から22日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて公演が行われる。取材・文:上野紀子
2012年09月20日シャーロット・ブロンテの原作小説を舞台化したミュージカル『ジェーン・エア』。演出家ジョン・ケアードが新演出に挑んだ3年前の日本初演は“ブロードウェイ版を越えた完全版”と絶賛を受け、多くの観客を魅了した。ひたむきに愛を貫く主人公ジェーンを全身全霊で表現した松たか子は、本作で第35回菊田一夫演劇賞を受賞。相手役ロチェスターを演じる橋本さとしの陰影ある存在感も深い余韻となった。10月、その感動の舞台が帰ってくる。一部キャストの変更はあるが、ほぼ同じメンバーが揃った待望の再演、その稽古初日の様子を取材した。『ジェーン・エア』チケット情報稽古開始前の稽古場では3年ぶりの再会を喜び合うシーンがあちらこちらで見られ、またひとつの作品に向かおうと団結する高揚感が漂っていた。まずは顔寄せ行事から始まり、スタッフ、キャストを紹介。その後は台本の読み合わせが始まるかと思いきや、全員で輪を作ってぐるぐると回る軽いジョギングがスタートした。初演時も行っていたウォーミングアップだそうで、ジョギングからストレッチへと続く一連の動きを、皆慣れた様子でこなしている。稽古初日とは思えない呼吸の合った安定した空気感に、全員が共有する再演への高い志がうかがえた。ジョン・ケアードもその輪に加わって体を動かしているが、ふと足元を見ると……。以前の取材で松が「ジョンさんはいつも稽古場で裸足。足の裏を真っ黒にしているんです(笑)」と教えてくれたとおり、ケアードはずっと素足で稽古場を歩き回っていた。そんな演出家の熱い姿勢が示唆するように、“初日は軽い思い出し稽古だろう”との取材陣の予想を覆す、集中度の高い稽古が進行していった。入念な発声練習を終えていざ、セリフをまじえた歌稽古に突入。魂を絞り出すような橋本の「ジェーン!」という物悲しい叫びに、初演の荒野の風景が一瞬にして呼び覚まされる。両親を亡くした幼いジェーンをひきとって虐待する叔母のリード夫人に扮するのは、初参加となる阿知波悟美だ。その重く険しい声の響きが稽古場全体をピリリと引き締める。新たなリード夫人の誕生をケアードが深くうなずきながらみつめていた。ジェーンが過ごす教育施設ローウッド学院の院長に扮する壤晴彦が、さらに厳格で冷酷な声を響かせて緊張度を押し上げる。苦しい日々の中で自由を心から探し求めるジェーンの思いを松が力強く絶唱すると、周囲から感嘆のため息とともに拍手が沸き起こった。途中、歌詞にある「許し」という言葉に込められた意味について話し合う場面も見られた。ジェーンを始めとする登場人物たちの葛藤、人生の選択、そして信仰に対する考えについて再度、全員の理解を深めようと熱のこもった稽古が続く。ジェーンが持ち得た“愛する勇気”とは何なのか。その答えは、さらに精度を上げた再演舞台が教えてくれるに違いない。公演は10月6日(土)から28日(日)まで東京・日生劇場にて。その後福岡・博多座でも上演する。取材・文:上野紀子
2012年09月10日上野動物園では今年、ジャンアントパンダの来園40周年を記念した数々のイベントが行われる。1972年に日本で最初のジャイアントパンダ「ランラン・カンカン」が上野動物園に来園してから、10月28日で40年になる。同園では、これを記念して年間を通じてさまざまなイベントを企画している。下のマークは、パンダ来日40周年を記念してつくられたロゴ。これから進めるイベントで、シンボルマークとして活用していくという。これまでに、以下のイベントの開催が決定している。<パンダ来日40周年記念シンポジウムシリーズ その1>「ジャイアントパンダへの想い──影の立役者の語り」 ジャイアントパンダ来日40周年事業の一環として、パンダをテーマにした連続シンポジウムを実施。その第1弾として、日本におけるジャイアントパンダ飼育の歴史を、地元の取組と輸送の方法といった面から振り返るシンポジウムを開催する。・日時:2012年9月23日(日) 13:30~15:30 ・内容:第1部 講演1「パンダの街上野をつくった人々」~地元上野の観光連盟の方に40年前の様子などを語ってもらう。第2部 講演2「パンダを運ぶ」(仮題)~中国からのジャイアントパンダの輸送に携わった、阪急阪神エクスプレスの担当者に輸送の工夫や苦労などを語ってもらう。※事前の応募が必要。詳細は同園ホームページまで。<パンダ来日40周年記念企画展>「パンダがいっぱい! フォト&アート展パンダ写真展」 2012年は、日中国交正常化とパンダ来日40周年、臥龍中国パンダ保護研究センター設立30周年、そして日本パンダ保護協会設立10周年という大きな節目の年。同園では、この記念すべき年に日本パンダ保護協会と共催して、「パンダ写真展」を開催する。・日時:2012年9月4日(火)~9月23日(日) ・内容:パンダをテーマとした写真や美術作品、臥龍パンダ保護研究センタースタッフが撮った写真、パンダ保護の普及啓発用資料やグッズの展示などを紹介する。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月28日上野動物園は、毎年参加している「上野の山文化ゾーンフェスティバル」にて、11月13日から25日まで、企画展「動物日本画・鋳金作品展」を開催する。「上野の山文化ゾーンフェスティバル」は、台東区と上野の森の博物館や美術館などの文化施設が連携し、相互に交流・連携を深めることによって、上野の山を芸術・文化の拠点として発展させることを目的とするイベント。毎年秋に開催され、今年20周年を迎える。「動物日本画・鋳金作品展」は、東京藝術大学の日本画研究室と鋳金研究室の学生が、同園の動物を題材に製作した日本画25点(予定)と、鋳金作品6点(予定)を展示する。日本画は会期中に作品の入れ替えを行い、前半・後半で異なる作品を展示するもの。開催期間中、学生による解説を実施する。詳細は、決まり次第同園のホームページに掲載する。同園では、「上野動物園で、芸術・文化の秋を感じてほしい」と呼びかけている。■企画展「動物日本画・鋳金作品展」概要 ・日時:2012年11月13日(火)~11月25日(日)各日10時~15時 ・場所:上野動物園 西園 ズーポケット ・展示作品リスト(予定): 日本画…アジアゾウ(3点)、アロワナ、イリエワニ、オオアリクイ、オリイオオコウモリ、カバ、キリン+オカピ、クロツラヘラサギ、ケープペンギン、コンドル、スマトラトラ、タンチョウ、ニシローランドゴリラ、ニホンザル、ハゲトキ、ハゲワシ、バーバリーシープ、フラミンゴ、ホッキョクグマ、見島牛+メンフクロウ、ライオン、ライチョウ、ワシ 鋳金…アジアゾウ、クジラ、クロシロエリマキキツネザル、ニシローランドゴリラ、ニホンザル、ヒツジ 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月22日上野動物園は、毎年参加している「上野の山文化ゾーンフェスティバル」にて、11月13日から25日まで、企画展「動物日本画・鋳金作品展」を開催する。「上野の山文化ゾーンフェスティバル」は、台東区と上野の森の博物館や美術館などの文化施設が連携し、相互に交流・連携を深めることによって、上野の山を芸術・文化の拠点として発展させることを目的とするイベント。毎年秋に開催され、今年20周年を迎える。「動物日本画・鋳金作品展」は、東京藝術大学の日本画研究室と鋳金研究室の学生が、同園の動物を題材に製作した日本画25点(予定)と、鋳金作品6点(予定)を展示する。日本画は会期中に作品の入れ替えを行い、前半・後半で異なる作品を展示するもの。開催期間中、学生による解説を実施する。詳細は、決まり次第同園のホームページに掲載する。同園では、「上野動物園で、芸術・文化の秋を感じてほしい」と呼びかけている。■企画展「動物日本画・鋳金作品展」概要 ・日時:2012年11月13日(火)~11月25日(日)各日10時~15時 ・場所:上野動物園 西園 ズーポケット ・展示作品リスト(予定): 日本画…アジアゾウ(3点)、アロワナ、イリエワニ、オオアリクイ、オリイオオコウモリ、カバ、キリン+オカピ、クロツラヘラサギ、ケープペンギン、コンドル、スマトラトラ、タンチョウ、ニシローランドゴリラ、ニホンザル、ハゲトキ、ハゲワシ、バーバリーシープ、フラミンゴ、ホッキョクグマ、見島牛+メンフクロウ、ライオン、ライチョウ、ワシ 鋳金…アジアゾウ、クジラ、クロシロエリマキキツネザル、ニシローランドゴリラ、ニホンザル、ヒツジ 【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月15日『ひとつ屋根の下』など数々のヒットドラマを手掛けた脚本家・野島伸司が、初めて舞台の脚本に挑戦。生のステージに築かれた新たな野島ワールド、『ウサニ』が開幕する。『ひとつ屋根~』で野島とタッグを組んだ演出家・永山耕三が演出を担い、テーマ音楽となるオリジナル曲を小室哲哉が書き下ろすなど、ドラマファン、音楽ファンも注目する話題の舞台だ。開幕前日の8月2日、公開リハーサルと会見が行われ、主演の溝端淳平と共演の平野綾、真野恵里菜、高岡早紀、山本耕史が登場し、本作への意気込みを語った。「ウサニ」チケット情報「23歳の僕には1回じゃ理解できない、深い愛の哲学を描いた不思議な世界」と溝端が言うように、現実と幻想の間を錯綜するストーリーは、次から次へと思いもよらぬ展開をみせる。青年コーゾー(溝端)が美味しいイチゴを作るため、アマゾンの奥地から持ち帰った伝説のへびイチゴの精霊は、ウサギに似たぬいぐるみ・ウサニ(平野と真野のWキャスト)に変身し、純真な愛をコーゾーへ注ぐ。その思いにほだされながらも謎の美女レーコ(高岡)との愛欲におぼれるコーゾー。そこにアマゾンの大蛇王スネーク(山本)が、ウサニを取り戻そうと現れる。ウサニ役の平野と真野は、愛らしい着ぐるみ姿で溝端を囲み「成立させるのが難しいほどの世界観。いろいろな視点から見ていただけたら」(平野)、「野島さんの初の舞台脚本にヒロインとして出させていただけて幸せ」(真野)とそれぞれコメント。浴衣姿の高岡が「この衣裳でわかるように、キャラクターが出て来るたびに違う世界が繰り広げられる。皆さんが今まで見たことのない世界に迷い込めるんじゃないかな」と落ち着いた自信の笑みを見せると、長い尾を持つ黄金の蛇に扮した山本も「かなり振り幅の広い世界観。いろいろなものを作り出してきた野島さんだけど、まだ新しいものが生まれるんだなと思った」と強く頷いた。ファンタジックな美術に彩られた舞台の上で展開するのは、コミカルかと思えばセクシー、はたまたスラップスティック。色合いの違うさまざまなシーンに意表を突かれる。“真実の愛とは?”“男はなぜ浮気をするのか?”といった深遠なテーマに向けて飛び交う言葉は、「見て見ぬフリが大事」「愛は使い捨てカイロのようなもの」等の野島流哲学だ。溝端が、まるでシェイクスピア悲劇を演じるかのように熱のこもった長い独白に全身全霊で挑み、健闘をみせていた。「のめり込むのが愛なのか、それとも居心地が良いのが愛なのか。そのふたつの対比が今回の舞台のカギなので、愛について考え直すきっかけになるのでは」と溝端。ファンタジーのヴェールに包まれた世界の奥で、辛辣な愛の痛みに出会う。そんな独特の魅力に満ちた舞台だ。公演は8月3日(金)から8月26日(日)まで東京・ルテアトル銀座 by PARCOにて上演。なお、限定公演日のみアフタートークイベントも開催する。取材・文:上野紀子
2012年08月03日シャーロット・ブロンテの傑作小説を舞台化したミュージカル『ジェーン・エア』。2000年のブロードウェイ初演を手掛けて数々の賞賛を浴びた演出家ジョン・ケアードは、2009年に自ら新演出に挑み、「ブロードウェイ版を越えた完全版」とうたわれる感動の日本初演を生み出した。不遇な出生に負けず強く生き、愛をつらぬく主人公ジェーン・エアを真摯な歌声で熱演した松たか子は、本作で第35回菊田一夫演劇賞を受賞。相手役ロチェスターに扮した橋本さとしは陰影の魅力に富んだ男性像を作り上げ、深い余韻を残す好演をみせた。この秋、その初演の名コンビによる愛の物語が復活する。待望の再演に臨む、ふたりの思いを聞いた。ミュージカル『ジェーン・エア』チケット情報「初演、再演に関係なく舞台に立つドキドキした気持ちに変わりはない。共演の皆さんのこの3年間のパワーをいただいて、また新しいジェーンを演じられたら」と新鮮な感覚で再演をみつめている松に対し、橋本は「緊張感がずっと漂う、集中力をかなり使った舞台だった。どれだけ自分が緊張して大変だったか、また、そんな作品に入っていける幸せ、喜びをわかった上での再演になるので、前回とはまた違うものになるのでは」と初演を踏まえての自らの変化に期待をかける。それぞれ心に痛みを抱え、不器用に惹かれ合うジェーンとロチェスター。初演では、荒野を背景とした舞台に生の力強さをみなぎらせて立つ、ふたりの確かな存在感に圧倒された。「ジェーンは完璧な女性ではなく、気が強くて頑なところも持っている人。普通に迷いながら生きている、そんな人間的なところも表現できたらと思っていました。でもそれは、ロチェスターやほかの登場人物と対峙して発見できたこと。人との出会いで成長していくジェーンに共感しますね」と松。一方、ロチェスターを「女性から見たら大ひんしゅくな男」と笑う橋本は、「背徳の愛に苦しんで危険を冒そうとする。しかもその苦悩を自分ひとりで耐えきれず、ジェーンにさらけ出すんですよ。男の弱さをみせるキャラクターですよね。その弱さにジェーンは手をさしのべる。女性は男性とは違う種類の愛を持っているのかな?」。橋本の疑問を受けて、松が「それは恋をしているから」と限りなくシンプルに、鮮やかな答えを繰り出した。「ロチェスターに出会って、ジェーンは理屈じゃ整理できない気持ちに陥った。苦しみながら生きる人に親近感を抱くところもあったかもしれません。それもロチェスターの持っている魅力なんですよね」。物語のクライマックスには、「魂の叫びが響いて、真実の愛を分かち合える」(橋本)、「じわじわと幸せな気持ちになれる」(松)と両者が強く推す感動のシーンが待ち受ける。美しい旋律に乗ってドラマチックに展開する、珠玉のラブストーリーをとくと味わいたい。公演は10月6日(土)から28日(日)まで東京・日生劇場のほか、福岡・博多座でも上演される。東京公演のチケットは7月29日(日)10時より一般発売開始。取材・文:上野紀子
2012年07月12日1992年のウィーン初演以降、世界各地で上演されているミュージカル『エリザベート』。オーストリア皇后エリザベートの波瀾の生涯を綴った舞台、そのウィーン版キャストがこの10月に日本に集結し、『エリザベート20周年記念コンサート』を開催する。初演から実に1000回以上もエリザベートを演じ続け、出演回数世界一の記録を打ち立てた歌姫マヤ・ハクフォート、黄泉の帝王トート役として絶大なる人気を誇り、今や言語の壁を越えて東宝版『エリザベート』の舞台に躍進したマテ・カマラスのほか、皇太子ルドルフ役には端正な容姿と実力で人気を集め、日本の舞台でも活躍をみせたルカス・ペルマンが登場。本公演さながらの豪華な衣裳やウィッグを身につけた最強の布陣が、特別な演出・振付で新たな感動のドラマを生み出す日本スペシャルヴァージョンだ。この度、マヤが2007年の招聘公演以来5年ぶりに来日。日本で舞台出演中のマテとともに、今回のコンサートへの意気込みを語った。「エリザベート20周年記念コンサート」チケット情報前回の招聘公演で格別の体験をし、日本再訪を切望していたというマヤは、来日早々にマテが演じる東宝版『エリザベート』を鑑賞。「自らの限界を越えて夢を実現した彼の姿に心から感動し、誇りに思った」と絶賛した。「日本の演出もとてもきめ細かく、丁寧に描かれていたと思います。またどの国の演出にしても本質的な部分が損なわれないところに、『エリザベート』という作品が持つポテンシャルをあらためて感じましたね」。マヤ自身は、長年演じ続けたエリザベートとの共通項を「つねに自分を律してコントロールできるところ」と言い、「自分を制御して現実の人生に戻ろうとするエリザベートを、引っぱって限界を越えさせようとするのがトート。マテ自身が持っている勇気や行動力が舞台の上に表れるからこそ、私たちが演じるエリザベートとトートの間に緊張感あふれる関係が生まれるのだと思う」とふたりの確かな絆を強調。東宝版の経験によりマテがそのスリリングな関係性をいかに熟成させ、今回のコンサートで魅せてくれるのか期待がかかる。「日本での体験の蓄積が反映されて新しいトート像につながると思うので、同じドイツ語バージョンでも以前の私とは変わっているはず。マヤさんにとっては最後の『エリザベート』になりますので、日本のお客さんの前で一緒に歌えることを嬉しく感じています」とマテ。その言葉どおり、マヤが演じるエリザベートを観られるのは今回のコンサートが最後だ。最高の持ち役に区切りをつけた理由をマヤはこう語る。「自分を見失わないというエリザベートの主要なテーマを、マヤ・ハクフォートとしてやり遂げ、答えを出したという気持ちがあるから。この最後を日本で迎えられるのは本当に幸せなこと。日本の皆さんと一緒に20周年をお祝いできることを大変光栄に思います」。至高の歌姫の集大成をぜひとも見届けたい。公演は10月15日(月)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場にて、10月26日(金)から31日(水)まで東京・東急シアターオーブにて開催される。取材・文:上野紀子
2012年07月05日