東京都・上野の上野の森美術館は、アニメに登場する数々のロボットデザインを手がけた大河原邦男の、活動の歴史をたどる展覧会「メカニックデザイナー 大河原邦男展」を開催する。会期は8月8日~9月27日。開館時間は10:00~17:00。入場料は一般1,500円、高大生1,200円、小中生500円。同展は、「タイムボカンシリーズ ヤッターマン」、「機動戦士ガンダム」、「装甲騎兵ボトムズ」など、誰もがあこがれ夢中になったアニメに登場する数々のロボットデザインを手がけた大河原氏が、これまでに描いたイラストや設定資料、同展描き下ろしの作品など約500点を一堂に展示し、大河原氏の40年以上に渡る活動の歴史を詳細に伝えるもの。大河原氏は、1972年に「科学忍者隊ガッチャマン」でデビューを果たした後「タイムボカンシリーズヤッターマン」、「機動戦士ガンダム」、「装甲騎兵ボトムズ」などの作品に次々と参加し、ロボットアニメにおける「メカニックデザイナー」という職業を世に確立してきた。現在も第一線で活躍しながら、工業メーカーや地方自治体との仕事を手がけるなど、活動の幅を広げているという。同展では、本邦初公開の資料を加えた40余年に渡る全仕事を振り返り、大河原のデザインの神髄に迫る。なお、展覧会の音声ガイドでは、大河原メカに関わりの深い声優、保志総一朗と小松未可子がナビゲーターをつとめる。また、同展開催にあたり、大河原氏が特別に描き下ろした作品が展示される。展覧会の目玉でもあるこの作品はB2サイズ6枚が屏風のように連なり、縦約72cm、横幅は約3mにも及ぶ大作で、大河原氏がこれまでにデザインされたロボットたちが作品という枠を超えて集結する、大河原ヒストリーが凝縮された作品となっている。そのほか、会場では、「MG 1/100 ストライクフリーダムガンダム メカニックデザイナー 大河原邦男展Ver.」(6,480円)、「ヤクト ダグラム メカニックデザイナー 大河原邦男Ver.」(4,200円)が発売される。「MG 1/100 ストライクフリーダムガンダム」は、大河原邦男氏のイニシャルのように輝く噴射を模したPET素材によるエフェクトパーツ「OK エフェクト」がこのキット専用に制作され付属する。また、大河原氏がこのキットのために手がけたデザイン案を元に、オリジナルマーキングシールや成型色を再設定しているとのこと。そのほか、ボックスアート(外箱)は描き下ろしイラストを使用しているということだ。さらに、東京会場での購入者には「メカニックデザイナー 大河原邦男展」上野の森美術館限定メタリックシールがプレゼントされる。また、関連企画として、東京都美術館講堂にて大河原氏によるトークショーが開催される。開催日時は8月29日(ゲストはアーティスト・作家の永野護)および8月30日(ゲスト未定)、いずれも13:00~15:00。また、「メカニックデザイナー 大河原邦男展」図録にサインをもらうことができるサイン会も開催される。開催日時は8月22日、9月12日の各日13:00と15:00より。応募方法など詳細は後日、同展公式Webサイトや特設サイトで発表されるとのこと。
2015年08月24日伝説の舞台『熱海殺人事件』が12月、奇跡のキャストを揃えて紀伊國屋ホールに帰ってくる。70年~80年代の小劇場ブームを牽引したつかこうへいの代表作に、オリジナルキャストである風間杜夫と平田満が再挑戦。演出にいのうえひでのりを迎え、つかの愛娘である愛原実花、気鋭の若手俳優中尾明慶とともに、新たな伝説を刻むこととなった。「ちょっとヘンだと思うんですよ。無理がありますよね(笑)」。演劇ファンの興奮をよそにのんびりと笑う平田満に、思い出の舞台へ向かう心境を聞いた。舞台『熱海殺人事件』チケット情報「大好きな作品ですけど、これは若い肉体と情熱でやるべきものだと思っていて。この歳で若き熱血刑事の役をやるなんてとんでもない、とは今でも思ってますよ(笑)。でも、風間さんも、演出のいのうえさんも本気でやろうとしている。冗談じゃないとしたら、僕が今やる意味は何だろう?と。自分の原点であるこの作品で、当時の情熱を再び感じられたら素晴らしいなと思いましたし、“あ~やっぱり平田満は歳をとったな”と思われたら、それも本望だと。なんだかリトマス試験紙みたいなものですよ(笑)」舞台では、“熱海で工員が女工を絞め殺した”という平凡な事件を、刑事たちがそれぞれの美学を振りかざし、自身の愛憎劇を絡めながらドラマチックに飾り立ててゆく。熱演という言葉では足りないほどの激情を、惜しみなく放つ俳優たち。その姿を目にした観客にも、味わったことのない破格のカタルシスが押し寄せる。時代によって人物設定やディテールを変えながら、つかは度々、この作品を多くの若い俳優たちとともに甦らせた。「さまざまな変更があっても作品の根幹は変わらない。つかさんは一人一人の役者を魅力的に見せてくれる天才でしたね。役者自身が素っ裸になり、“俺ってこんな人間だったのか!?”と思いながらも汚い言葉を吐いて、でもちょっと気持ちいいなと感じたり(笑)。そこに意義を持たない俳優はダメだ、ということは教わりました」そんな“つか魂”を熟知した平田と、つか作品への初挑戦を決意した愛原との共演にも感慨を深くする。「当然ですけど、愛原さんは僕らの舞台をご覧になっていない。ご自宅では、つかさんは芝居の話をいっさいしなかったと聞いています。一番新鮮な目で、この作品に向かわれるんじゃないかと思いますね。今回はもちろん、いのうえさんのお考えに委ねてやっていこうと思っていますが、その向こうにはつかさんがいらっしゃって、皆でつかさんの声を聞く…、そういう稽古になるような気がします」。つか作品のファンには「きっとこれまでのバージョンを観てきていると思うので、対比によって作品のより深いところまで伝わればいいな」と語った後、すぐに「とは言え」と続ける。笑顔の瞳に、原点の頃を思わせる闘志の輝きが浮かんだ。「骨董品を見るみたいな面白さじゃなく、今現在の感覚で、面白いね!とウケたいな(笑)」12月8日(火)から26日(土)まで東京・紀伊國屋ホールにて。チケットぴあではインターネット先行を受付中、20日(木)午前11時まで。取材・文上野紀子
2015年08月19日東京都・上野で「昼飯は何にしようかな~」と考えていたときのこと。上野といえば、やっぱりアメ横! ってことで、通りをぶらぶらと歩いていると、「一寸一ぱい お気軽に」と書かれた赤提灯がぶら下がっている飲み屋が。「昼から飲み屋に行くのもいいな~」などと考えていたら、店の看板に「圧巻総量1000gローストビーフ山」の文字が。どうやら、ローストビーフ丼「富士山」というメニューがあるらしい。筆者は知っている。「富士山」の名を冠したメニューは、たいていド肝を抜かれるほどヤベェ量だということを! とはいえ、やはり実際にこの目で確かめないことには何とも言えないので、はい、突入します!○見る者を圧倒する肉の山ローストビーフ丼は並盛の「高尾山」(890円)、大盛りの「筑波山」(1,000円)、特盛の「富士山」(1,500円)があるとのこと。もちろん、ここは迷わず「富士山」を注文。そして待つこと数分。運ばれてきたのは、ローストビーフが幾層にも重ねられた肉の山。頂点には玉ネギやニンニクをベースにした香味野菜がのっており、さながら雪化粧をした富士山のよう。う、美しい……。それでは早速、いただきますっ!! 大きなローストビーフは肉々しさがハンパない! 噛むたびに赤身肉の旨味が口に広がっていくのだ!! お次は、雪崩が起きないように慎重にローストビーフをどかし、ご飯を発掘する。そして、肉とご飯を一緒に頰張れば……もう夢見心地! 肉とご飯、王道だが、グルメ界にこれ以上のベストカップルが存在は存在しないと思う。これはウマい、大満足です!!○実は戦後間もない頃から続く老舗しかし、なぜこんなに山盛りのローストビーフ丼を出しているのだろうか。店の責任者の方にお話を伺ってみた。「うちの本店が新宿にあるんですが、そこは戦後間もない時代、闇市があった頃から営業しているんです。そういう背景もあって、"リーズナブルな価格でおなかいっぱいになってもらう"をコンセプトでやっているんですよ。アメ横って海鮮系のお店が多いので、『じゃあ、うちは肉でおなか一杯になってもらおう』ということで、最初に総量1000gの豚丼を始めました。でも、夏とかはさっぱりしたものが食べたくなりますよね。そこでローストビーフ丼も始めることにしたんです。毎日お店でローストビーフを仕込んでますし、食材はすべて国産を使ってますよ」。この量、このおいしさ、すべて国産の食材を使って1,500円とは……コスパ良すぎっす!!「また、気軽に立ち寄ってもらえるお店を目指していますので、女性のお客さまも多くいらっしゃいますよ。ローストビーフ丼を食べきる自信がない方は、ご飯の量の調節もしてるので、気軽におっしゃっていただければ! 」。ちなみに今現在、ローストビーフ丼を提供しているのはアメ横店のみとのこと。今後、新宿本店でも提供開始することを考えているそうだが、今すぐ激ウマ山盛りローストビーフ丼を食べたい方はアメ横へダッシュすべし!!※価格はすべて税込(文・A4studio千葉雄樹)
2015年08月03日イギリス発、ホラー演劇の傑作『ウーマン・イン・ブラック』が8月7日(金)、東京・PARCO劇場にて開幕する。同劇場では7度目の上演となる人気のふたり芝居で、今回は岡田将生と勝村政信の新コンビが誕生。中年の弁護士(勝村)が若い俳優(岡田)とともに、過去の恐怖体験を劇中劇の形で再現していく物語だ。オリジナル演出家ロビン・ハーフォードを招いて密な稽古が続く中、注目の新コンビの奮闘を覗いた。舞台『ウーマン・イン・ブラック』チケット情報稽古場に入ると、ウォーミングアップなのか岡田と勝村がサッカーのリフティングを延々とラリーしている。ハーフォードがふたりに近づいて簡潔に指示を告げ、リラックスした雰囲気のなかで立ち稽古が始まった。はっきりとした発声で素直な表現をみせる岡田に対し、勝村はさまざまな変化球を放って稽古場の空気を楽しく揺るがす。ホラーと思いきや、コミカルな味わいだ。こらえきれずに岡田が吹き出すが、ハーフォードもふたりの掛け合いを嬉しそうにみつめている。劇中劇では岡田が若き日の弁護士に扮し、勝村はひとりで多役を担うため、見応えのある“勝村劇場”を岡田も、演出家もともに楽しんでいるかのよう。だがクライマックスに近づくとムードは一転。真剣な岡田とひょうひょうとした表情の勝村、ふたりのバランスのズレが不思議に胸をざわつかせる。少し前まで笑いの響いた稽古場が、しんと静まり、得体の知れない戦慄が忍び寄る。終始、頷きながらみつめていたハーフォードの「Well done!」で緊張が解けた。談笑しながらの演出チェックの後に休憩に入るや、岡田と勝村は再びリフティング合戦を開始。その喜々としたやんちゃな素振りと直前の緊張感とのギャップに、頬が緩む。ふたりの俳優と演出家が、それぞれの能力に敬意を払い、心から信頼して実直に作業を積んでいる様子が好印象だった。「こんな穏やかな稽古場は僕、初めてです」と笑う勝村に話を聞いた。「26年もこの作品を演出し続けているロビンさんは、名匠ですよね。静かに状況を説明するだけで、自然に彼の求める方向へと僕らを導いていく。また岡田くんは身体的なポテンシャルが高く、身体をうまく使って声を出すことができる。恥ずかしがりやで、それを隠すことなくそのまま提出できる強さがある人です。過剰な演技を選択せず、自分の役と演出家のリクエストに対して、非常にシンプルに奉仕している。僕にとって理想の相手ですね」ホラー演劇と謳われるが、自身が感じた作品の一番の魅力は「根本に愛があること」だと言う。「皆が良かれと思って動くことが悲劇につながっていく。岡田くん扮する若い俳優は、弁護士に感情移入するほどに同じ悲劇に到達してしまうんです。この芝居が巧妙なのは、観客が若い俳優と同じ目線になるところ。彼の恐怖がすべて、お客さんの恐怖に変わっていくんですね。お客さんには、この作品がウエストエンドで26年間ロングランされている意味をぜひ問いに来ていただきたい。その答えは岡田くんの明確な芝居にあると、僕は思っています」絶妙のコンビネーションが生み出す愛と恐怖。劇場の暗闇でその感覚をぜひ共有してほしい。取材・文上野紀子
2015年07月31日KADOKAWAは7月23日、ツイッターで人気のラブホテルスタッフ・上野さんが贈る恋愛指南本『ごきゅうけいですか?』(税別1,000円)を発売する。上野さんは、スタッフという立場から実際に見てきたいろいろな現場をもとにした「ラブホテル」業界の裏話や、その経験を活かした恋愛指南で人気を集めている。同書では、どんなタイプの女性に対してもシチュエーションごとに的確にアプローチするためのロジックを多数掲載。上野さんならではの独特な雰囲気と、くすりと笑えるコミカルな観点の恋愛指南で、ちょっと大人な恋愛模様をライトな感覚で楽しめるという。また、コミックス『ラブホの上野さん 2』(漫画 博士、原案 上野/税別514円)も同日発売される。
2015年07月23日ニール・サイモン作のブロードウェイ・ミュージカル『グッバイ・ガール』が8月、有楽町・東京国際フォーラム ホールCにて開幕する。1977年公開の同名映画をもとに作られ、日本では実に17年ぶりの上演となる本作は、子持ちのダンサーと売れない役者の恋物語を描いた大人のロマンチック・コメディだ。7月6日に行われた制作発表には、自ら「ニール・サイモンの大ファン」と称する演出のマキノノゾミを筆頭に、子持ちダンサーのポーラを演じる紫吹淳と、売れない役者エリオット役の岡田浩暉の主演ペア、アパートの管理人ミセス・クロスビー役の中尾ミエ、ポーラの娘ルーシー役(Wキャスト)の吉井乃歌と児玉萌々が登壇し、作品にかける意気込みを語った。ミュージカル『グッバイ・ガール』チケット情報「ポーラに一番共感できる点は、“男運がない”というところ(笑)。私の代表作になるんじゃないかなと思っています」(紫吹)。「エリオットは夢を追ってニューヨークに出てきた男。僕自身も地方出身で、音楽への思いを抱いて都会に出てきた、あの頃の気持ちを思い出します」(岡田)“変わり者”という設定のエリオットについて、自身との共通点を聞かれた岡田は「これは言いたい。俳優は皆、変わり者です!」ときっぱり。横から紫吹も「芸能界に属していることがもう変わり者ですよね」と調子を合わせるが、中尾は「私はミュージシャンなので、自分はノーマルだと思っています」とすまし顔。さらに「私は実際もアパートの管理人をしているので、私生活とリンクするんですよね」と語り、会場の笑いを誘った。ミュージカル演出に初挑戦するマキノは「俳優の皆さんには、『血中ガイジン・モードをあげて(笑)、ニューヨーカーになってね』とお願いしたい。日本人の感性では恥ずかしくてできないことだけど、それをやらないと成立しませんから。体全体、細胞からアメリカ人の思考で取り組んでほしい。(観客に)有楽町でブロードウェイを体験していただけるよう、しっかりとしたブロードウェイ・ミュージカルを作り上げたいと思います」と力強く宣言。制作発表の後には立ち稽古の一部が公開され、思いがけずアパートで同居するハメになったポーラとエリオット、その騒動の始まりを描くシーンが行われた。共同生活のルールについてお互いの主張をぶつけ合うナンバー『My Rules』を歌いながら、部屋中を駆け回ってにらみ合うふたり。どこか不器用だけれどチャーミング、そんな紫吹ポーラと岡田エリオットをいつしか応援したくなる、胸にしみ入るラブストーリーが期待できそうだ。「ラブシーンもありますので、存分に楽しませていただこうと思います(笑)。観終わった時には、『恋をもう一回やってみようかな』という気になるんじゃないかな」(岡田)。「そう。だから倦怠期のご夫婦とか、ちょっとうまくいってない恋人同士で観ていただけたら、寄りが戻るかも(笑)。恋をしたいな~と思っていただきたいですね」(紫吹)公演は8月7日(金)から23日(日)まで。なお、本日7日(火)26:10よりフジテレビにて原作映画『グッバイガール』が放送。取材・文上野紀子
2015年07月07日6月26日、韓国ミュージカル『RUN TO YOU~Street Life~』が東京・Zeppブルーシアター六本木にて開幕した。物語に登場するのは、いつか自分たちの音楽が認められ、ステージで輝くことを夢見ながらナイトクラブで働くジェミン、スチャン、ジョンフン。夢に向かって奮闘する若者たちの成長潭を描いた本作では、これまで多くのK-POPスターが“自らの過去の姿”に重なるキャラクターを担い、熱演を繰り広げてきた。今回も、ジェミン役にグァンス(超新星)、ゴニル(超新星)、ジュン(U-KISS)、スチャン役にスヒョン(U-KISS)、ユグォン(Block B)、ジョンフン役にジェヒョ(Block B)、ヨンウク(Apeace)、ソンホ(Apeace)といった豪華な面々が集結。初日前日に行われた会見では、初日から3日間の先発を務めるジュン、スヒョン、ジェヒョの3人が登壇し、報道陣と一般のファンの前でにぎやかに意気込みを語った。ミュージカル『RUN TO YOU~Street Life~』チケット情報まず年長のスヒョンが「音楽が大好きな3人の友情物語。個人的にスチャン役は、夢を追うところが昔の僕と似ているので、楽に演じることができます」と巧みな日本語で挨拶。ジェヒョは「スヒョン兄さんが日本語が上手だから気後れします~」と苦笑し、「ジョンフンは末っ子の役です。(年下の)ジュンくんとは7歳差がありますけど、劇中では僕がジュンくんとスヒョン兄さんに愛嬌をふりまく姿がポイントになるんじゃないかな」と会場の笑いを誘った。続くジュンは「僕はU-KISSでは末っ子だけど、劇中ではリーダー役。いつもファンの皆さんには愛嬌たっぷりの姿をお見せしているけど、今回はカッコいい姿を見せられるよう努力しています」と語り、ファンからの大きな声援に包まれた。グループの垣根を越えて、息の合ったやりとりで会場を沸かす3人。ミュージカル初挑戦となるジェヒョが「スヒョン兄さんとジュンが僕に教えてくれた一番大切なことは、ちゃんとできる!という自信を持つこと」と言うと、スヒョンが照れくさそうに日本語で「それだけ?」と返す。また、U-KISSのリーダーであるスヒョンが「僕がジュンに“リーダーとはこういうもの”とアドバイスしたことはないけれど、ジュンは僕を見て真似してるみたいで。演技している時は本当にリーダーっぽいな、カッコいいなと思います」と言うと、今度はジュンが「ありがたいな~」と日本語で茶目っ気たっぷりに照れ笑い。和やかムードが終始漂う会見となったが、その絶妙のアンサンブルが本番の舞台でどのように変化し、違った味を見せるのか。新生『RUN TO YOU』の爽快なスタートダッシュを期待したい。「真剣に頑張る僕ら3人のハーモニーを見逃したら絶対に後悔しますよ!」(ジェヒョ)「いつもは明るいイメージの僕ですが、男らしい、真面目な姿を見てほしいです」(ジュン)「ほかの俳優さんたちも頑張っています。まずは僕ら3人で、新しい姿を見せたいと思います」(スヒョン)公演は7月5日(日)まで。取材・文上野紀子
2015年06月29日日本でも熱狂的な支持を得ているブロードウェイ・ミュージカル『RENT』が、この9月、新たなキャストでシアタークリエに帰ってくる。貧困やエイズなどの苦難に直面しながらも、愛と友情を信じ、夢をつかもうとする若者たちの姿を描いた青春群像劇だ。前回の2012年公演と同様、今回もオリジナル版の演出を手がけたマイケル・グライフによる新演出版で上演され、キャストはオーディションにより選出。そこでHIVポジティブのロック青年・ロジャー役を射止めたのがこの人、日韓で活躍するグループ“超新星”のリーダー、ユナクである。(堂珍嘉邦とのWキャスト)ミュージカル『RENT』チケット情報「昔からミュージカル俳優になるのが夢で、“いつかやりたい作品”のベスト5のひとつが『RENT』でした。韓国の『RENT』に出演した友人が“ロジャーの役は大変だけど魅力がある。やり遂げられたら、ほかのどんな舞台でもできるようになるよ!”と話してくれて、夢が叶うチャンスだと思いました」すでに日韓両国で舞台経験を持ち、確かな表現力と美声は証明済み。そんな彼のオーディション挑戦にファンのあいだでは驚きの声が上がったそうだが、当人は「オーディションを受けるのは当たり前のこと。知名度ではなく、僕はここまでのことができます!というのをちゃんと見せて認めてもらわなければ、舞台には立てませんから」と真摯に臨む。最も意識を傾けるのは、日本語での台詞の伝わり方だ。「日本語で普通に会話することにはプレッシャーはないけれど、舞台では、お客さんが違和感を持たないように頑張りたい。意味はわかるけど、なんかぎこちない……なんて思われないように、日本人の話し方のニュアンスに完璧に合わせていきたいと思ってます。お客さんからチケット代をいただくに値する作品を見せたい。日本の皆さんに喜んでもらえる舞台をやっていきたいですね」超新星のメンバーたちが今回の出演を自慢に思い、応援してくれることが何より嬉しい、と笑顔満面。グループについて語る時、切れ長の瞳にいっそう穏やかな優しさが満ちる。「本当なら自分よりもメンバーのことを考えなきゃいけないんです。リーダーだから」。控えめで誠実な内面からくる端正な物腰は大きな魅力。それを俳優ユナクの独自の輝きに昇華させた瞬間を、ぜひ舞台で見届けたい。「もう“ミュージカル俳優”を名乗れるのでは?」と問うと、「この『RENT』を成功させたら!」と力強い答えが返ってきた。「『RENT』の一番の魅力はやっぱり音楽!素晴らしい歌を全身で感じて、世界にハマってほしい。僕も新しいロジャーを作り上げて、この挑戦を楽しみたいと思います」公演は9月8日(火)から10月9日(金)まで、東京・シアタークリエにて。その後大阪でも上演。東京公演のチケット一般発売は7月4日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「いち早プレリザーブ」を実施中、6月25日(木)午前11時まで受付。取材・文上野紀子
2015年06月23日中谷美紀と神野三鈴が競演するふたり芝居『メアリー・ステュアート』が6月13日、東京・PARCO劇場にて開幕した。16世紀のイングランドを舞台に、実在したスコットランド女王メアリー・スチュアート(中谷)とイングランド女王エリザベス一世(神野)の対立、そして史実にはなかったふたりの出会いが描かれた、イタリアの女性劇作家ダーチャ・マライーニによる創作劇だ。イギリス演劇界の精鋭マックス・ウェブスターの演出、ワダエミの衣装デザインなど、世界の才能が集結した話題作でもある。前日の開幕直前会見では、「できることなら逃げ出したいほど緊張しています。でもそれだけ素晴らしい作品に巡り合えた証だと思う」(中谷)、「もうどうにでもなれ!と武者震い(笑)。中谷さんと舞台の上で生きたいと思います」(神野)と率直な心情を語ったふたり。「メアリーを通して、感情を爆発させ、普段言えないことを口にするのはとても心地がいい」という中谷を、神野がさらに「歌い、叫び、踊り、狂う中谷さんが見られます!」ともり立てる。中谷からも「神野さんもスゴいです!」と気になるひと言が飛び出した。姉妹のように睦まじいやりとりを見せるふたりが、女王の激しい生きざまをどのように体現するのか。期待をもって初日公演に駆けつけた。ふたり芝居『メアリー・ステュアート』チケット情報中谷がメアリーとして登場する時は、神野は乳母ケネディ役に扮し、また神野のエリザベスには、中谷は侍女ナニーとなって相対する。中谷はさらに、エリザベスの寵臣と結婚し、女王の怒りを買う若き女レティス役をも兼任。傾斜した鏡を背面としたシンプルな舞台上で、ふたりの女優は全身を観客にみつめられたまま、滑らかに役を切り替えてドラマを交錯させる。傍らで時に軽やかに、時にけだるく妖艶な音色を響かせる古楽器リュートの生演奏、微細な変化をみせる照明が、女王たちの心の動きを浮かび上がらせて効果的だ。恋に溺れ、感情のままに揺れ動くメアリーと、一国を背負い、頑なに社会への体面を守って厳しく生きるエリザベス。中谷、神野両者が放つ豊かな表情、深みのある声の魅力に引き込まれ、どちらの言い分にも強く頷いて展開を追いかける。白眉はやはり、夢の中でふたりの女王が出会うシーンだ。会見での発言通り、大胆過激にはじけまくる中谷メアリーと、鉄の仮面を崩して淫らな笑みを浮かべる神野エリザベス。ウェブスターが仕掛けた、激走するエロチシズムとでも言おうか、とにかく痛快な妖しさに満ちた瞬間だった。その絶頂が際立つからこそ、カタルシスが過ぎ去った後のメアリーの滑稽さが哀しく、迎える最期は美しくせつなく、胸に沁みわたる。「誰のせいでもなく、自分が選択した生き方なのだと覚悟を決めた人たちの姿に、私自身も力をもらったように思います」(神野)。「仕事を選ぶか、家庭を選ぶか。現代の女性にとっても身近で普遍的なテーマです。男性には少しでも女性をご理解いただけるようにご覧いただきたいですし、女性の皆様とは手と手を取り合って、この物語を味わっていきたいです」(中谷)。東京公演は7月5日(日)まで。その後、大阪、広島、愛知、福岡を巡演。取材・文:上野紀子
2015年06月15日中谷美紀と神野三鈴による二人芝居『メアリー・ステュアート』が6月13日(土)、東京・PARCO劇場にて開幕する。16世紀の英国を舞台に、スコットランド女王メアリー(中谷)とイングランド女王エリザベス1世(神野)の対立、生きざまを描いた本作は、過去に同劇場において二組の女優ペアが競演。今回は10年ぶりに新たな顔合わせでの女優対決が実現した。さらなる注目はイギリス演劇界の精鋭マックス・ウェブスターによる新演出である。開幕を間近にひかえた話題作の稽古場を訪れた。【チケット情報はこちら】舞台セットの上には、肘や膝にサポーターをつけた中谷と神野がいた。まず始まったのは、メアリーと、神野が演じる乳母ケネディとの激しいアクションの確認である。神妙に動線のチェックをするふたりの女優の顔が、徐々に昂揚。いつしか迫力を帯びたぶつかり合いへと変わっていく。自身の感情に忠実に生きたメアリーゆえの激情を、中谷が鬼気迫る表情で全身を踊らせて表現。その熱を受けとめる神野も必死の形相で激しく立ち回る。高貴な女王たちの物語と思っていたら不意を突かれる、予想外のパワフルなステージングだ。演出のウェブスターもふたりの女優のたくましいやりとりを笑顔でみつめていた。続いて、この戯曲の要とも言えるシーンの稽古に入る。史実では出会うことのなかったメアリーとエリザベスが、夢の中で相対するのである。女王同士の毅然とした対話はいつしか、情愛にあふれた姉妹のじゃれ合いへと変化。中谷と神野の振り幅の大きい演技が、不思議なエロチシズムを生み、場の空気を支配していった。ウェブスターはシーンを止めると舞台に上がり、キャラクターの感情の流れを事細かに説明。「質問!」と神野が手をあげ、時おり笑いが起こるなどして、三人の時間をかけた話し合いは続いた。「中谷さんと神野さんは、ルックスも演技スタイルもエネルギーも全然違う。だからこそお互いを補い合える、いい組み合わせだと思います。会ってすぐにふたりとも、非常に知的でカリスマ性のある優れた女優だとわかりました」とウェブスター。初めての日本での舞台作りについて「とても幸運でエキサイティング。クオリティの高い作品になりそうです」と言葉に力を込めた。「この戯曲の面白い点は、女性に求められるもの、それが彼女たちの人生にどう影響を及ぼすかに焦点を当てているところです。キャリアに重点を置くか、それとも恋愛などプライベートに重点を置くか。その選択に対する代価とは何なのか。ふたりの女王が直面しているジレンマを、今を生きる私たちの問題ととらえて観ていただけたらと思います」その狙いに添って衣裳や美術も、古風とモダンの両面を感じさせるイメージを追求。劇中を流れる古楽器リュートの魅惑的な音色も、歴史と現代の垣根を揺るがす効果を発揮していた。二人の女優が体当たりで挑む濃密な人間ドラマ、その奮闘をぜひ見届けたい。舞台『メアリー・ステュアート』は6月13日(土)から7月5日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、大阪、広島、愛知、福岡を周る。取材・文:上野紀子
2015年06月12日トム・クルーズ主演映画で知られる軍事法廷サスペンス『ア・フュー・グッドメン』が、鈴木勝秀脚本・演出の舞台劇として新たに登場する。映画『ソーシャルネットワーク』、TVドラマ『ニュースルーム』の人気脚本家アーロン・ソーキンが手掛け、1989年にブロードウェイで上演されたオリジナル戯曲は20人以上の登場人物を要したが、鈴木はそれを7人の出演者のみで構築するドラマにブラッシュアップ。米海軍基地を舞台に奮闘する若き弁護士ダニエル役にTVドラマ『昼顔』で注目された新鋭、淵上泰史を抜擢し、紅一点の女性法務官ジョアン役を瀬奈じゅん、基地司令官のジェセップ大佐役を田口トモロヲが演じるなど、個性派による新鮮な顔合わせが実現した。舞台『ア・フュー・グッドメン』チケット情報6月19日の開幕を前に、公開舞台稽古が行われた。稽古場に入るや取材陣が見たものは、検察官ロス役の小西遼生、判事ランドルフ役の阿部丈二、被告人ドーソン役の平埜生成の3名による快活なウォーミングアップだ。海兵隊の物語よろしく、腹筋や腕立て伏せなど、顔を真っ赤にして息を弾ませるほどに入念に動く様子を、瀬奈が笑いながら見守っている。その横では初舞台にして初主演の淵上が、一心に台詞をつぶやき続けていた。演出の鈴木が所定の位置につくのに合わせて、各々もスタンバイ。演出家が自ら音響を操作して、海兵隊の訓練音を流す。それと同時に冒頭から立ち稽古がスタートした。いかにも鍛えられた海兵隊員のように、感情を見せず、声を張って堂々と事件を供述する平埜。彼の弁護人に志願するジョアンの熱意を、背筋の伸びた美しい立ち姿で表現する瀬奈。ダニエルの若さゆえの大胆不敵な勢いを、全身で軽快に見せる淵上。最小限のセットのみで展開する序盤は、各キャラクターの個性が観る側にはっきりと迫ってくる。ダニエルの友人ながら事前取引を持ちかけられても揺るがないロス役の小西は、瞬時に甘さを消す怜悧な瞳が魅力的だ。事件のカギを握るケンドリック中尉に扮した菅原永二も、少ない言葉の中に不穏なムードを漂わせ、気になる存在である。俳優の空間移動による場面転換、テンポのよい会話の応酬によって、スリリングな空気が見事に増幅していった。欠席の田口の代役を途中まで務めていた阿部が、判事として舞台中央に立つ。芯のある穏やかな声が響き、いよいよ緊迫の法廷シーンへ突入か……と思ったその時、鈴木が「じゃあここまで」とストップをかけた。取材陣に向けられた「続きは劇場にて」という微笑みまじりの言葉に、思わず脱力。たった7人による巧妙な会話劇、その濃さとスピード感にまんまとあおられてしまった。この後に控える手に汗握る法廷対決は、なんとしても劇場で確かめなければならない。映画ではジャック・ニコルソンの怪演が光ったジェセップ大佐を、田口がどう立ち上げてくるかにも期待したい。公演は6月19日(金)から28日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。取材・文:上野紀子
2015年05月28日ふたりの男優のみで語られるイギリス発のホラー演劇『ウーマン・イン・ブラック』が今夏、7年ぶりにPARCO劇場にて上演される。世界40か国以上で翻訳上演され、日本では過去に6回上演。いずれも斎藤晴彦の名演技が記憶に残る傑作である。薄暗がりの観客のいない劇場を舞台に、中年の弁護士が若い俳優とともに、劇中劇の形を取りながら過去の恐怖体験を再現していく。今回、斎藤が演じてきた弁護士キップス役を勝村政信が引き継ぎ、相対する若き俳優役に、本作が舞台出演2作目となる岡田将生が挑むこととなった。舞台『ウーマン・イン・ブラック』チケット情報「斎藤さんは名作と言われるこの作品を、日本でも名作に仕上げた方。何か大きな力を背負っていることが、その存在だけでわかる方だった。その人がやってきた役をやるのは正直キツいな、すごいものが来ちゃったな…という思いです。でもそれとは別に、やったほうがいいと思ったんですね。オリジナル演出家(ロビン・ハーフォード)とともに芝居作りをすることで、翻訳物に対する怖れや恥をなくすことができるかもしれないと」(勝村)「僕はまだ舞台を一回しかやったことがないので、いろいろ経験してみたかったのと、ふたり芝居というものにすごく惹き付けられました。勝村さんは百戦錬磨な方ですし、舞台に対する姿勢を尊敬しているので、ご一緒できることが嬉しいです」(岡田)ホラー演劇という特異な形態の作品に挑むにあたり、「ホラー映画は結構観るので怖い話は苦手ではないです。勝村さん、嫌いなんですよね?」と岡田が問うと、勝村が「ホラー映画とかとんでもない!イヤだな~」と首をすくめて周囲の笑いを誘う。だが続けて「観客とともに時間と場所を共有し、同じ恐怖を体験していく。全員が等価でひとつの作品に向かっていけるという、すごい力を持った戯曲です」と、あらためて作品の巧妙さに感じ入るように語った。「僕自身、この台本を読み終わった時に鳥肌が立って、怖くて素直に後ろを振り向いてしまいました(笑)。その時の感覚を忘れずに稽古場に持っていって、新鮮なままに芝居にしていきたいです。日々挑戦しながら作品をどんどん突き詰めていけるので、舞台の稽古はとても好きです」(岡田)「しっかりとした歴史のある作品ですから大きな枠組みは変わらないと思う。それを僕らがちゃんと踏襲したうえで、何か今までとは違った化学反応が起こればいいなと。ほんのちょっとしたことが、大きな変化を感じさせるものにつながっていけば、僕らふたりが新しく作る意味があるんじゃないかと思っています」(勝村)膨大な量の台詞を始め、遣り甲斐あふれるふたり芝居を前に「合宿でもしようかと話しています」と笑い合うふたり。熱き奮闘の末にはきっと、私たちに背筋の凍る驚きの演劇体験をもたらしてくれるだろう。公演は8月7日(金)から30日(日)まで。チケットの一般発売は6月13日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選を5月23日(土)午前11時より受付。取材・文上野紀子
2015年05月22日上野動物園では、"PANDA SPECIAL MENU"「竹皮パンダ弁当」と「パンダちゃんマフィン」を販売している。○八重桜の木の下で、「パンダ弁当」を食べながらお花見を満喫「竹皮パンダ弁当」は、パンダにちなんで竹の皮で包んだ、かわいらしいパンダをモチーフにしたお弁当。もち米のモチモチした食感とシイタケなどの具材のハーモニーを楽しめるとのこと。今から見頃の八重桜の木の下で、「パンダ弁当」を食べながらお花見を満喫できる。価格は580円(税込)。「パンダちゃんマフィン」は、ココア生地をベースにチョコチップを練りこんだマフィン。園内散策の合間に、ほっとひと息つきたいときにおススメできる動物園スイーツとなる。価格は330円(税込)。同園の所在地は、東京都台東区上野公園9-83。
2015年04月16日チャップリン晩年の傑作映画『ライムライト』、その世界初の舞台化が日本で実現することとなった。映画と、チャップリンの未発表小説『フットライト』を下敷きに、オリジナル音楽劇として再構成される。映画の中で名優が演じた主人公カルヴェロに扮するのは、近年舞台のみならず映像でも目覚ましい活躍を見せる実力派、石丸幹二だ。以前からチャップリンに深い関心を持っていたという石丸は、今回の縁について「運命の結びつきかもしれない」と熱を込めて語った。音楽劇『ライムライト』チケット情報「もう20年も前に『チャップリン自伝』という本を読んでいたんですね。あれほどの名作を作った人ってどんな人なんだろう…と、彼自身の人となりに興味があったんです。その後、チャップリンの半生を綴った創作音楽劇(2013年『スマイル・オブ・チャップリン』)に出演する機会を得て、その舞台で『ライムライト』のテーマ曲『エターナリー』を歌いました。そういったさまざまな出来事が今、運命のパレットの中でひとつの色に集約されたような気がしています」かつては名声を博したが、いまや往年の輝きを失った老喜劇役者カルヴェロ。彼は若きバレリーナ(野々すみ花)から献身的な愛を受けるも、彼女の幸せを願って身を引き、新進作曲家(良知真次)と結びつけようと画策する。美しくもせつないラブストーリーを、映画では当時60代前半のチャップリンが至高の演技で見事に表現している。「ものすごいチャレンジです。この役を演じるには私はまだ若いかな…と最初は思いました。でも単なる映画の再現とは違うオリジナルの舞台ですから、役を自分に引き寄せることもありだと思う。あまりにも多くの方に知られた作品なので、はたして石丸幹二はこの役を表現するのに適しているか?とはかられるでしょうね。でもそこで認めていただけたら、この先何年でもやれる役だと思うし、ぜひそうしていきたいと思っています」カルヴェロの生き方から強く心に響いたテーマは「人にものを残し、伝えること」だという。「カルヴェロが自ら身を引き、若い者同士が結ばれるように仕向けたのは、愛情という面だけでなく、才能と才能を出会わせたとも言える。そういう生き方を自分もできたら素敵だなと思いました。私自身も50歳を前にして、後進の人たちの才能を表に推し出すことを考えるべき歳になったんだな……なんて思ったりしましたね」世界中のチャップリン・マニアが日本の舞台に押し寄せるのでは?と問うと、「そうなったら楽しい!ありがたいことですよね。プレッシャーも楽しく受けとめます。コピーではない、自分たちの『ライムライト』を作っていけば、ちゃんと胸を張れるものができるはずだから」と頼もしい言葉が返ってきた。この予想、あながち冗談では終わらないはず。世界が愛した名作の進化に期待したい。公演は7月5日(日)から東京・シアタークリエにて。チケットの一般発売は4月25日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、4月13日(月)午前11時まで受付。取材・文:上野紀子
2015年04月10日ミュージカル『グッバイ・ガール』が今夏、紫吹淳と岡田浩暉のW主演で新たにお目見えする。コメディの名手ニール・サイモン作、リチャード・ドレイファス主演映画を原作としたブロードウェイ・ミュージカルである。今回の日本版は「日本一のニール・サイモン好き」と自負するマキノノゾミが初となるミュージカル演出を担い、上演台本の脚色にも着手。キャスト・スタッフともに実力派の布陣が構築する、大人のロマンチック・ラブコメディだ。ミュージカル『グッバイ・ガール』チケット情報稽古に先駆けて行われたポスター撮影では、主演のふたりが早くも雰囲気十分に、息の合った様子を見せてくれた。2011年の舞台『風と共に去りぬ』で共演した間柄に加え、ともに群馬県太田市出身。まるで幼馴染み同士のようなお互いへの深い信頼が、朗らかな対話から伝わってくる。「今回は気心の知れた岡田さんとご一緒なので、とても心強いです。岡田さんは見た目と同様にソフトで爽やかな人。いつまでも群馬の少年の心を持っているよう(笑)」(紫吹)。「紫吹さんはいつお会いしても優しくて、ふわ~っとした印象。でも決める時にはバチッ!と決めてくる。どんな役をされてもはずしませんね」(岡田)売れない役者エリオットと、ひとり娘を連れたダンサー・ポーラ。予期せぬ出会いをしたふたりが結ばれるまでのオシャレな恋物語を、この同郷のご両人が立ちあげると想像すると、早くも心和み、頬が緩む。「ついにこういう役がきたか、と(笑)。シングルマザーの役は初めて。結婚も、子供を産んだこともないですが、ポーラの役を通して経験ができて、少しでもオンナに磨きがかかったらいいな」とチャーミングに笑う紫吹に、岡田は「でも紫吹さんは落ち着いているじゃないですか。前回ご一緒した舞台でも母性を感じたし、芝居から豊かな個性が伝わってきた。すぐに母親の顔になっちゃうと思うよ」と太鼓判。岡田自身も「これをやりたいんだ、という情熱を持っている」エリオットに自らを重ね、「実感を持って演じられます」と強い意欲を見せた。マキノがふたりに当てて脚色する台本を心待ちにしているというふたり。役柄の中に素の魅力がのぞく、応援せずにはいられないカップルの誕生を期待したい。「大人だとか子供だとか、そんな定義を超えた恋愛がそこにある、しっかりとしたラブストーリーだと思います。2回観たくなるようなミュージカルにしたいですね」(岡田)。「私は3回観てもらいたい(笑)。子供の頃は今の自分の年齢を、もっと大人だと思ってた(笑)。だから子供のほうが冷静に大人を見ているのかも。そんな雰囲気をうまく出せたらいいですね」(紫吹)公演は8月7日(金)から23日(日)まで東京国際フォーラム ホールCにて。チケットの一般発売は4月25日(土)午前10時より。チケットぴあでは前から18列目までの良席先行をインターネット先行先着「プリセール」にて、4月11日(土)昼12時より受付。取材・文:上野紀子
2015年04月10日16世紀のスコットランド女王メアリー・ステュアートと、イングランド女王エリザベス1世。ふたりの女王の激動の生を描いた舞台『メアリー・ステュアート』(ダーチャ・マライーニ作)が10年ぶりに東京・PARCO劇場に登場する。かつて麻実れい×白石加代子(1990年)、南果歩×原田美枝子(2005年)の競演で話題を呼んだ、女優ふたり芝居。今回のタイトルロール、メアリー・ステュアート役を演じるのは、3作目の舞台出演となる中谷美紀だ。ひとり芝居の『猟銃』(2011年)で初舞台とは思えぬ圧巻の存在感を放ち、続く家族劇の『ロスト・イン・ヨンカーズ』(2013年)では読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。さらなる高みを目指し、本作に挑むこととなった。舞台『メアリー・ステュアート』チケット情報「ふたり芝居という点で躊躇したところはありました。ひとり芝居の場合は自分でペースをコントロールできますし、また群像芝居の場合は、自分がすべてのエネルギーを使わなくても相手のリズムに委ねられる部分が大きいんですね。でもふたり芝居では寸分の隙も見せられないな…と思っています」同時代に同じ島の中で生きたふたりの女王は、史実においては出会うことがなかったという。だがこの戯曲では、相反する個性を持ったふたりが夢の中で激突する。「エリザベスは大変理性的で、自らを律することができる人間。一方、メアリーはその場の感情で動いてしまうような、少し浅はかな部分もある女性です。そんなふたりの対比は、とくに女性の観客の方々にとっては働く女性の在り方や、どのように生きていくのかといったことを考えていただくきっかけになるのではないかなと思いますね」エリザベス1世に扮するのは、多くの舞台で華々しい活躍をみせる実力派、神野三鈴だ。それぞれが女王役を演じるほかに、中谷はエリザベスの侍女に、神野はメアリーの乳母に扮して相手役と対峙する点もこの戯曲の妙味である。「神野さんは圧倒的な存在感と、深みのある、いかようにも変化する声をお持ちの方です。多くを学ばせていただければと思っています。戯曲の上ではメアリーとエリザベスの侍女、二役が頻繁に切り替わるので、それもかなり難しい課題でしょう」気鋭のイギリス人演出家マックス・ウェブスターによる新演出にも注目だ。作品ごとに舞台女優の貫禄を増幅させていると感じる中谷だが、当人は「新たな作品や演出家と出会うことで、これまでの価値観はすべて壊さなければならない。ゼロからのスタートです」ときっぱり。潔く、涼やかな視線で臨む、濃厚な女優対決に期待したい。「女性が社会の中で生きていくのは容易ではないでしょう。身の振り方に迷いを感じている女性はたくさんいらっしゃると思います。ふたりの女王の姿が、ご自身の人生についてあらためて考えていただくきっかけになれば嬉しいです」東京公演は6月13日(土)から7月5日(日)まで。その後、大阪、広島、愛知、福岡でも公演。チケットの一般発売は4月4日(土)午前10時より。取材・文:上野紀子
2015年04月03日リン・クルーはこのほど、東京都・上野恩賜公園内の商業施設「上野の森さくらテラス」に入居するお好み焼き業態「こて吉上野店」と和食業態「かまくら上野店」において「桜フェア」を開催した。実施期間は4月12日まで。同フェアでは、4月12日まで上野恩賜公園にて開催している「うえの桜まつり」に合わせ、本物の桜を使用したメニューを提供する。「こて吉上野店」では、パンダをモチーフにした「アイスパンダ大福」を、桜の花びら入りのアイスとピンク色の牛皮(ぎゅうひ)で仕立てた「桜アイスパンダ大福」(810円)を提供。あわせて「桜山芋焼き」(1,296円)、「こぼれ桜枡」(843円)、「桜ハイボール」(486円)を販売する。「かまくら上野店」からは、「ランチ限定 桜御膳」(2,800円)が登場。桜の花で炊き上げたごはんや桜を練りこんだそば、桜色醤油で食べる湯葉の刺身、桜海老のかき揚げや野菜の天ぷらに桜香塩(おうかじお)を添えた揚げ物、桜アイスで味わうおはぎなどの内容となっている。このほか、「サヨリの紅白新挽き揚げと桜葉包み揚げ~桜香塩添え~」(735円)、「真鯛の淡雪蒸し桜葉包み~銀餡掛け~」(994円)、「桜白玉ぜんざい」(486円)も用意する。※表示価格はすべて税込
2015年03月27日秋篠宮妃紀子さまと次女の佳子さまが3月23日(月)、東京・TOHOシネマズ スカラ座で映画『風に立つライオン』を鑑賞された。同席した主演の大沢たかお、原作のさだまさし、三池崇史監督が上映後、取材に応じ「緊張で頭が真っ白」(大沢さん)とふり返った。さださんが1987年に発表した同名の楽曲に感銘を受けた大沢さんが、さださん本人に小説化を依頼。自身も企画に名を連ね、映像化までに足かけ8年の歳月をかけた渾身の一作で、『藁の盾』に続き三池監督とタッグを組んだ。ケニアロケを敢行し、アフリカで奮闘する日本人医師の姿を描いた。紀子さまの隣で鑑賞した大沢さんは「自分の映画なのに、緊張しっぱなしでほとんど覚えていませんが、(ご高覧いただき)感謝しますし、俳優として幸せを感じました。ご感想もいただいたが、逆に僕らが感動してしまい、何も喋れなくなってしまって」と感無量の面持ち。また、佳子さまの印象を「本当にすてきな方」と語り、「おふたりで映画に集中されていて、後半には涙をぬぐわれるようにお見受けした」と明かしていた。一方、さださんは佳子さまの隣で鑑賞したと言い「そりゃ、緊張しますよ。(上映時間の)2時間半ずっと背筋を伸ばしていたので、背骨が痛いです」と緊張がほぐれたのか、安堵の表情。「こういう言い方は不遜ですが、素敵なお嬢様ですね」とお人柄にも感動しきり。「私たちが伝えたかった命の重さについて、同じ気持ちで感動してくださったようにお見受けした」とおふたりのご様子を報告した。三池監督も「本当にきちんと映画を鑑賞していただき、作り手の思いを汲み取ってくださった」。報道陣からネクタイ姿は珍しいと指摘されると、「ネクタイしなくてもいいように、映画監督になったんですけどね…」と照れ笑いを浮かべつつ、おふたりのご高覧に感激していた。『風に立つライオン』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:風に立つライオン 2015年3月14日より全国東宝系にて公開(C) 2015「風に立つライオン」製作委員会
2015年03月24日ジェイアール東日本フードビジネスは10日、東京都台東区のJR上野駅エキュート上野内に、同社直営新居酒屋業態「はいり屋エキュート上野店」と、ホットランドと業務提携を行う「大釜屋エキュート上野店」を2店舗同時開業した。○朝昼晩それぞれのニーズに対応両店は、駅施設内における"ちょい飲み"ニーズに対応するとともに、朝から食事系メニューも充実させ、移動中にさっと食事をしたいというニーズに応える店舗だという。また、両店舗は客席を共用するため、両方の店舗のメニューを同時に味わえる。「はいり屋エキュート上野店」は、同社の新居酒屋業態店舗で、朝から夜までさまざまなシーンで利用できる、懐かしく新しい大衆食堂・酒場。「いろいろ選べる朝定食」は、全5種の主菜から1品、全14種の副菜から2品を好みで選択できる定食。価格は490円。6時30分~11時まで販売。ランチでは、青山の名店「もくち」の名物「黒酢とり唐定食」(830円)を中心に定食や丼を提供。夜は米油で揚げた「串揚げ」(1本98円~)や「自家製モツ煮込み」(420円)などのおつまみと、焼酎をはじめとしたお酒を提供する。「大釜屋エキュート上野店」は、「築地銀だこ」を運営するホットランドのブランドで、たこ焼と釜めしの専門店。新鮮な生タコを仕入れ、専用の鉄釜でふっくらやわらかく茹で上げ、ふわふわの生地で包んだ「築地銀だこ」とは一味違うたこ焼(6個420円、8個500円、10個620円)と、タコをたこ飯に乗せた「たこ釜めし」(850円)などを提供する。オープン日時は10日11時。場所は東京都台東区上野7-1-1JR東日本上野駅改札内3階「ecute 上野」内。営業時間は6時30分~22時30分(日祝21時30分、大釜屋メニューは10時からの提供)。※価格はすべて税込価格
2015年03月12日東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館の3館は、上野観光連盟と共同で、JR東日本「上野東京ライン」の開業を記念した共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」を、各館の窓口およびエキュート上野、浅草文化観光センターなどにおいて3万部限定で発売する(売り切れ次第販売終了)。販売開始は3月14日。価格は1,000円。「UENO WELCOME PASSPORT」は、3月14日~5月31日の期間中、3館の常設展および総合文化展を各館1回観覧できる共通入場券。「パスポート」をイメージした小冊子タイプで、入国審査のようなスタンプラリー(オリジナルプレゼント付)が盛り込まれている。また、購入者には"江戸すごろく"を模した上野周遊マップも提供されるとのことだ。ちなみに、同券は各館の大人料金での入場者が対象となっているが、3館とも「中学生以下は無料」のため、親子で各館を巡りながらスタンプラリーを楽しむことが可能となっている。なお、各館の開館時間と休館日は、「東京国立博物館」が 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで。金曜日は20:00まで、4月以降の土日祝日は18:00まで)、月曜日休館(月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌火曜日に休館。ただし、3月23日、3月30日は特別開館、5月7日は休館)。「国立科学博物館」が 9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで。※金曜日は20:00まで、4月25日~5月10日は18:00まで)、月曜日休館(ただし、3月30日、4月27日、5月4日は開館)。「国立西洋美術館」が 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで。※金曜日は20:00まで)、月曜日休館(※ただし、3月30日、5月4日、5月18日は開館、常設展示は3月16日まで閉室)となっている。
2015年03月02日宮本亜門演出によるミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』が3月、再演の幕を開ける。2012年の初演で話題となったのは、AKB48グループ・メンバーによる主人公ドロシー役のオーディションだ。今回も同様に熱き選考の結果、梅田彩佳(NMB48)と田野優花(AKB48)のふたりのドロシー(Wキャスト)が誕生。意欲十分のふたりの奮闘を探りに、ある日の稽古場を訪れた。ミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』チケット情報空間を支配していたのは、アンサンブル・キャストによる歌とダンスの圧倒的な熱量だ。個性際立つ巧者たちが、ポップなナンバーに乗せて魅せるキレのよい動きに目が離せない。その中を、ある時は皆に負けじと弾けるようにステップを踏み、ある時は不安げに群衆をかき分けてさまよう梅田ドロシーを発見。全身を思い切りよく使った表現、豊かな表情変化が愛らしい。全体を見つめる宮本亜門の顔にも勝算の笑みが浮かぶ。その横では田野優花が背筋をピンと張って、舞台面に真っ直ぐな瞳を向けていた。宮本が短い指示を与えた後は、すぐさまシーンを反復。今度は田野ドロシーの登場だ。また違ったドロシーの喜びと不安が群衆に溶け込み、同じシーンでも色合いが大きく変化して面白い。簡単に印象を言うなら、ひたむきで全力投球の梅田、ピュアでマイペースな田野といったところか。田野が入ったシーンを、今度は梅田が体育座りをして真剣に見つめていた。「亜門さんは私たちと同じ目線になって、ひとつひとつ問題提起してくださる。その答えを探していく作業がすごく楽しいです」(梅田)「休憩中も亜門さんやキャストの皆さんと話しているのが面白くて。無駄な時間はまったくないですね」(田野)充足感いっぱいに稽古の日々を語るふたりに、お互いについて聞いてみた。「田野ちゃんのことを大人しい子だと思っているなら、それは違います(笑)。そんな無邪気な笑顔をするんだ!と発見したので。まだ知られていない一面が見られると思いますよ」(梅田)「私は感覚でやっちゃうタイプだけど、梅田さんはしっかりと考えて演じているのですごい。オリジナリティもあるので、こんな歌い方があるんだ!って勉強になります」(田野)それぞれの魅力と情熱が詰まったふたつの『ウィズ』の世界。両方ともに味わってこそ、『ウィズ』の感動は完結する。「私自身もパワーをもらって元気になれる舞台。たくさんの方の心を満たせるよう、愛を届けたいです」(梅田)「観終わった時、皆さんが良い方向に変わっていけるような作品にしたい。私次第なので頑張ります!」(田野)ミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』は3月7日(土)から22日(日)まで東京国際フォーラム ホールCで上演。その後、大阪、愛知、福岡を巡演。チケットは発売中。取材・文上野紀子
2015年02月25日東京都・上野の上野の森美術館にて、平面分野の現代アートで、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的とした「VOCA展2015 現代美術の展望 -新しい平面の作家たち」が開催される。開催期間は3月14日~3月30日。開館時間は10:00~18:00。入場料は一般・大学生が500円、高校生以下は無料。同展は、現代アートにおける平面の領域で、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催している美術展。全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから推薦委員を選出し、それぞれ40歳以下の若い作家1名を推薦し、推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼している。こうしたシステムのため、東京のみならず全国で活躍する作家たちにスポットがあたることが同美術展の特徴のひとつという。過去には福田美蘭(1994年VOCA賞)、やなぎみわ(1999年VOCA賞)、蜷川実花(2006年大原美術館賞)、清川あさみ(2010年佳作賞)など多方面で活躍している作家たちが出品している。同展では、作家34名による出品作の中から、グランプリとなるVOCA賞に、シルクスクリーンで数十から100回ほどインクを重ねるという独自のスタイルで作品を制作する小野耕石さん(美術家・版画家/岡山 県出身、埼玉県在住)の「Hundred Layers of Colors」が決定したほか、VOCA奨励賞には岸幸太さん、水野里奈さん、佳作賞には松岡学さん、松平莉奈さんが選出された。また、大原美術館賞には川久保ジョイさんが同美術館独自の選考を経て選出された。選出に際して、受賞作家によるアーティスト・トークとして3月14日15:00~16:00には小野耕石さん・水野里奈さん・松平莉奈さんが、3月21日(土)15:00~16:00には岸幸太さん、松岡学さん、川久保ジョイさんが自作について語る。また、上野の森美術館学芸員が出品作品を紹介するトークが開催される。開催日時は3月15日、22日の15:00~16:00。また、シンポジウム「VOCA展とは?」が開催される。開催日時は3月13日15:00~17:00。参加の際は、FAXまたはeメールによる申し込みが必要となる。定員は150名。そのほか、会場では同展にゆかりのある作家として、「VOCA展’97」でVOCA賞を受賞した小池隆英さんの個展も同時開催されているということだ。いずれも催しも参加費は無料だが、同展の入場券が必要となる。
2015年02月25日井上芳雄と鈴木砂羽。活躍中の俳優ふたりが、蓬莱竜太の作・演出舞台『正しい教室』で初共演を果たす。注目の出会いは、過去に蓬莱作のミュージカル『TRIANGLE』シリーズを経験している井上が「次はぜひ、蓬莱さんの書いたストレートプレイをやりたい」と熱望したことから始まった。その意欲を受けた蓬莱は、かねてより気になる存在だったという女優、鈴木を井上の相手役に指名。かくして、同窓会という興奮のシチュエーションで繰り広げられる、大人の物語が動き出した。舞台『正しい教室』チケット情報「同窓会で再会した人たちの会話を聞くうちに物事がどんどん転がっていって、夢中になるままにクライマックスへと上り詰めます。蓬莱さんの書く台本はどんでん返しの繰り返しで、本当に見事なんですよね。意表をつく展開で、あらためて巧みな作劇だなと感じます」(井上)。井上が演じるのは“かつて委員長だった男”。対する鈴木は“かつてマドンナだった女”。時を経て再会した学友たち、そして当時、生徒に煙たがられていた先生(近藤正臣)も姿を現して……。スリリングで、可笑しくせつない人間模様が描かれていく。「ひさしぶりに故郷に戻ってきた、都落ちした女性ですね(笑)。その人物像は蓬莱さんの見たい鈴木砂羽なのかもしれなくて、どんな新しい発見があるのか楽しみです」という鈴木に対し、井上は「蓬莱さんはいつも“その人のパブリックイメージではないものを演じてほしい”と言っているんですよね。僕の役はかつては委員長で、今は教師になっている男。でも真っ当な道を歩んでいるふうに見えつつ、実は闇がある人物みたいです」と作家の思惑を探る。ひと筋縄ではいかないキャラクター同士のぶつかりあいが期待できそうだ。「井上さんは“華のある人”という印象。蓬莱さんとも初めての仕事になりますが、何かピンとくるものがあったんですよね。インスピレーションによる出会いは大切。必ず新鮮な驚きと勉強を得られますから。私にとって舞台は、たとえ転んだとしても何らかの気づきをもらえる場所ですね」(鈴木)「さまざまな出来事が起こっても最終的には温かい眼差しが向けられる、それが蓬莱さんの生み出すドラマです。同世代なので考えていることがなんとなくわかるんですよね。日々懸命に生きる中、絶望するでもなく、根拠のない希望を持つでもない。でも、どう先に進んでいくか、とにかく自分たちは考え続けよう。そういった蓬莱さんの真摯な視点を感じ取っていただけたらと思います」(井上)ミステリータッチに揺さぶられ、骨太ドラマに泣き笑う。蓬莱ワールドに挑む実力派ふたりの奮闘をぜひ劇場で見届けたい。3月21日(土・祝)からの東京・Zeppブルーシアター六本木公演を皮切りに、東京・PAROCO劇場(4月2日(木)~19日(日))ほかで公演。取材・文:上野紀子
2015年02月06日2013年に初演された中井貴一の主演舞台『趣味の部屋』(脚本・古沢良太、演出・行定勲)が3月、パワーアップして再登場する。絶賛を博した初演のキャスト、中井、戸次重幸、原幹恵、川平慈英、白井晃が完全集結して挑む、演劇ファン待望のサスペンスコメディの復活だ。「日本発の良質のミステリーをやりたかった」と語る中井は、この舞台の発起人でプロデューサーも担っている。あらためて本作誕生の経緯、再演にかける思いを聞いた。舞台『趣味の部屋』チケット情報「オリジナルにこだわりたいとずっと思っていたんです。海外の人間に『面白い、やりたい!』と思わせるような日本の作品を作れないかな、と」中井が狙いを定めたのは、巧妙なトリックを盛り込んだドラマを続々と生み出す脚本家、古沢良太。敏腕プロデューサーは自ら電話をかけて依頼し、理想の舞台の実現へと着実に歩を進めていった。「ミステリーで、ワクワクして、面白くて、観客が謎解きをしながら『えええ~!こうなるんだ!』って話を書いてください、とお願いしました。それ以外はいっさい制約なし。古沢さんに『今までで一番難しいオーダーだ』と言われましたね(笑)」その難題を見事にクリアして上回る作品がお目見えした。男たちが各自の趣味を心ゆくまで味わうために集う部屋、そこにある事件が舞い込んだことから、続々と予想外の事態が巻き起こる。謎が上書きされる毎に、観客席からは笑いと感嘆の息づかいが漏れた。「出ずっぱりなので、とにかく必死だった」と中井は当時を苦笑して振り返る。万全の態勢で迎える再演は、多少の余裕も生まれるのでは?と問うと……。「いや、古沢さんと相談して、少々作り替えることにしました。だから余裕はないです(笑)。前のことをなぞる稽古なんてしたくないし、お客様も慣れたことを見せられても喜ばないはず。役者が必死でいるから舞台は面白いんでしょう?」お決まりの面白さを味わうのではなく、新たな仕掛けを探る興奮が待つ再演だ。また、初演で見過ごした隠し味に気づくこともあるかもしれない。「伏線が多くて、裏の裏の、また裏がある。意外に最後のオチを理解しないままでお帰りになる方もいらっしゃるんですよ。でも、いろんな見方があって然るべき。それも古沢さんへのオーダーのひとつでした。幅広い世代のお客様に『面白かったね!』と言ってもらえるわかりやすさとスリル、それがミックスされたものが『趣味の部屋』です。終演後にお客様が1時間半、今観た舞台について話せるような作品を提供したい」そのためにも慣れは禁物!と強調する中井。自身は「緊張しいですから絶対に慣れない。最後まで手に汗をかいてるタイプ」と笑う。観客側も同じ心意気で劇場に駆けつけたい。公演は3月7日(土)から29日(日)まで東京・PARCO劇場にて。チケットの一般発売は2月7日(土)午前10時より。取材・文:上野紀子
2015年02月06日銀座コージーコーナーは2月1日より、上野公園ルエノ店にて、新作スイーツ「パンダパイ(チョコ)」を平日限定で販売する。○上野にちなんだ「パンダ」をかたどったかわいいパイに、新味登場「パンダパイ」は、店内で焼き上げる実演販売の"パンダ形HOTスイーツ"。パイ生地でクリームをサンドし香ばしく焼き上げた、パイのさくさく感とクリームのまろやかさが絶妙な組み合わせの人気商品だという。今回は、定番の「カスタード」に加え、新たに「チョコ」味が仲間入りする。ほんのりビターななめらかチョコクリームは、子供から大人まで、幅広いチョコ好きに愛されるおいしさだという。平日(月~金、祝日を除く)限定販売、数量限定で、価格は220円(税込)。取扱店舗は、上野公園ルエノ店(東京都台東区上野公園1-57 UENO3153ビル1F)。
2015年01月30日宮本亜門の演出で2012年に初演されたミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』が、2015年3月にパワーアップして再登場する。初演で話題となったAKB48グループ・メンバーによる主人公ドロシー役のオーディションを、この再演でも敢行。志望者108名の中から審査を勝ち抜いて栄冠を手にしたのは、梅田彩佳(NMB48)と田野優花(AKB48)のふたりだ。「踊ることが一番好き。踊りを見てもらったら、その楽しさは絶対に亜門さんに伝わる!と、自信を持っていました」。オーディションでの手応えをそう語る頼もしい17歳、田野優花に舞台への意気込みを聞いた。スーパー・ソウルフル・ミュージカル『ウィズ~オズの魔法使い~』チケット情報年齢よりも大人っぽいエキゾチックな瞳を輝かせて、最初に教えてくれたのは、初演のオーディションに参加した時に途中棄権したというエピソードだ。全員参加が義務だった前回は、「歌やダンスは好きだけど、演技はどちらかというとやりたくなくて、舞台にまったく興味がなかったんです。亜門さんに“正直、やりたくない人いる?”って聞かれた時に手を上げて、帰りました」と、あっけらかん。それが今では「お芝居がやりたくてしょうがなくて!」と急転直下。女優の友人たちの舞台を観に行くうちに、生の舞台が伝える感動、その素晴らしさを知ったという。新たに芽生えた演技への情熱を満面の笑顔で語る様子が、清々しく、愛らしい。「二次審査の時に、亜門さんが“前回、帰った子だ”って気づいたみたいでした。印象悪いままじゃダメだから、今回は本気なんだぞ!って気持ちを行動で表さなきゃと思って、ガッツで取り組みましたね。受かりたい!って気持ちをアピールして。亜門さんに“アナタは踊っている時の顔が本当に素晴らしい”って褒めていただいて、やった~!って(笑)」言葉の端々から伝わってくるのは、自分を信じている強さだ。「本番に強いです。ギリギリまでは心臓が飛び出そうなくらい緊張していても、ステージに立つとホッとします」「怒られたら逆に火が着くタイプ。へこまずに、じゃあやってやろう!って気持ちになりますね」芯のある朗らかさで、周囲に前向きなパワーを振り撒いていく。Wキャストでドロシーを演じる梅田はすでに今春、『IN THE HEIGHTS』でミュージカルを経験。その姿に刺激を受けて「自分もあんなふうにキラキラしたい」と発奮した。「私に夢を与えてくれた大先輩です。たくさんのことを吸収して勉強させていただきつつ、自分なりの表現を出していけたら。ミュージカルファンの方たちに認めてもらえる、心にひっかかる存在になりたいと思います」。負けず嫌いを自認する彼女の、体当たりの挑戦を見届けたい。公演は3月7(土)から22日(日)まで、東京国際フォーラム ホールCにて。チケットの一般発売は1月17日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選「いち早プレリザーブ」を実施中、12月15日(月)午前11時まで受付。取材・文上野紀子
2014年12月12日東京都台東区の上野恩賜公園・噴水広場で、三重県伊賀市の忍者イベント「伊賀上野NINJAフェスタin上野恩賜公園」が開催される。開催日時は11月22日~24日10時~16時まで。○上野公園に"本場"の伊賀忍者が登場期間中は、伊賀忍者の正当な技を受け継ぐ「伊賀忍者特殊軍団阿修羅」による演武や、忍者衣装のマジシャンによるマジック、キッズ忍者たちのダンスパフォーマンスショー、さらに現代の「くの一」、藤崎ルキノさんらによるライブなどのステージイベントを開催。優勝者に伊賀特産品がプレゼントされる「伊賀上野NINJAフェスタ○×クイズ」、伊賀のご当地キャラクター「いが☆グリオ」によるショーも実施される。また、忍者気分で手裏剣打ちの体験が出来る「手裏剣体験コーナー」を設置。上野公園に隠された忍者クイズを解き明かす「忍者の謎解き!クイズラリー大作戦!」では、期間中各日先着200組に忍者衣装を無料で貸し出すので、忍者ファッションに身を包んでクイズラリーを楽しめるという。そのほか、昔ながらの肥育方法で飼育した黒毛和種の処女牛「伊賀牛」の牛肉や、独特のわび・さびが特徴の陶器「伊賀焼」、ソフトな味わいが特徴の「伊賀酒」、演劇用や鑑賞用、子ども向けなどの「忍者グッズ」など、伊賀ならではの商品が販売されるとのこと。
2014年11月21日11月7日、東京・天王洲 銀河劇場にてミュージカル『スリル・ミー』が開幕した。2011年の初演から話題を集め、熱烈なファンを着実に増やして今回5度目の再演を迎える人気作である。舞台上に現れるのは“私”と“彼”の、ふたりの青年。才色兼備の彼らがスリルを求めて犯罪に身を落とす様を、ピアノ伴奏のみでドラマチックに描き出す異色のミュージカルだ。残酷かつ甘美な愛憎をぶつけ合う青年たちを、尾上松也&柿澤勇人、田代万里生&伊礼彼方、松下洸平&小西遼生の3組の新ペアが競演。開幕の先陣を切ったのは、今回が初参加となる私役の尾上と、初演から彼役を演じ続けている柿澤のふたりである。初日前日に行われた最終リハーサルでの彼らの熱演を鑑賞した。ミュージカル『スリル・ミー』チケット情報ピアノの不穏な音色が響くとともに照明が落ちると、瞬時にして『スリル・ミー』の持つ背徳の空気が劇場を支配する。暗闇から現れた尾上“私”が口を開いた瞬間、これまでになかった感触に、おや、と目を見張った。狂気にも似た過剰な自負心で“私”を強引に振り回す“彼”と、そんな“彼”への思慕ゆえに抗えず、罪深い沼へ引きずり込まれてしまう“私”。そうした図式において、尾上の表現には“彼”を凌駕する“私”の意志の強さがはっきりと浮かび上がっていた。尾上が演じる“私”は強い。反対に、自己愛だけに支えられた柿澤“彼”がみせる強気は、不憫に思うほど脆さを感じさせ、そこがたまらない魅力となって観る者をせつなくさせる。息詰まるスピードで展開するふたりのやりとりを追ううちに、この“私”なら“彼”を戒め、ふたりもろとも地獄に堕ちるのを容易く防げたのではないか……と思えてくる。でも意図して、そうはしなかった。“私”は“彼”の共犯者になってしまったのではなく、自らが主体となって“彼”を共犯者にしたのだ。尾上&柿澤ペアが強烈に伝えてくる本質的な“私”の悔恨に、新たな興奮と胸の痛みを味わった。以前の取材で、尾上が「本来の自分からすれば“彼”役を演じるタイプだと思う」と言い、柿澤が「何だ、このペアは!?と観客は戸惑うのでは」と語っていたことを思い出した。当人たちの予想を上回る思いがけない化学反応は確かに起こり、作品をより熟成させたように感じた。俳優の組み合わせの違いによって、作品の見える角度が変わり、思わぬ気づきが訪れる。『スリル・ミー』が何度も上演を熱望されるのは作品自体の完成度もさることながら、キャスティングの妙に負うところが大きい。三組それぞれが道筋を変えて放つ新たなスリルを、ぜひ体感してもらいたい。公演は11月24日(月・休)まで東京・天王洲銀河劇場、11月29日(土)大阪・サンケイホールブリーゼにて。取材・文上野紀子
2014年11月10日JR東日本は10月30日、現在上野駅止まりになっている宇都宮・高崎・常磐線の列車を東京駅に乗り入れる「上野東京ライン」を2015年3月14日に開業すると発表した。これにより、宇都宮線および高崎線は東海道線と相互直通運転を実施し、常磐線は品川駅まで直通運転を実施する。常磐線の直通運転は朝通勤ピーク時間帯から(東京駅おおむね午前8時以降)となる。朝通勤ピーク時間帯(東京駅おおむね午前8時から9時)の直通本数は、宇都宮線が5本、高崎線が5本、常磐線が5本。常磐線特急列車はデータイムの全列車および夕夜間帯の一部列車を品川駅発着とし、常磐線普通列車はデータイムにおいては土浦方面からの一部列車を、夕夜間帯においては取手以南運転の快速電車を品川駅発着とする。また、上野東京ラインの開業に伴い、常磐線特急は、品川駅~いわき駅間を運転する新たな特急「ひたち」「ときわ」となる。
2014年10月31日JR東日本は2015年3月14日の上野東京ライン開業にともない実施する宣伝展開などについて発表した。上野東京ラインのロゴも各種宣伝物などで使用される。上野東京ラインは上野~東京間に在来線を新設し、上野駅止まりとなっている宇都宮線・高崎線・常磐線と、東京駅止まりとなっている東海道線の直通運転を実施。乗換えの解消や所要時間の短縮、並行する山手線・京浜東北線の混雑緩和などが期待されている。JR東日本の発表によれば、上野東京ラインの開業後、宇都宮線・高崎線と東海道線の相互直通運転を行い、常磐線も朝通勤ピーク時間帯(東京駅おおむね8~9時頃)以降、品川駅まで直通運転を実施、新たな特急「ひたち」「ときわ」も運転開始されるという。上野東京ラインのロゴは、上野駅・東京駅を中心に、直通運転を行う各路線をイメージしたデザインに。駅のポスターやパンフレットなど各種宣伝物で使用される。上野東京ラインおよび特急「ひたち」「ときわ」をPRする駅のポスターも制作される。11月1~3日に中部国際空港(愛知県)で開催される「ゆるキャラグランプリ2014」では、JR東日本水戸支社・E657系オリジナルキャラクター「ムコナくん」が上野東京ライン開業のPRを行う。その他にも、いばらき大使の磯山さやかさんによるプロモーションや、「上野東京ライン開業記念クイズ」「えきねっと入会プロモーション」も実施するとのこと。
2014年10月31日