モデルで女優の佐野ひなことタレントのさかなクンが21日、都内で行われた映画『ファインディング・ドリー』MovieNEX(22日発売 4,320円税込 発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン)発売記念イベントに出席した。ウォルト・ディズニー・ジャパンは、世界興収10億ドルを突破し、日本でも68億円突破の大ヒットを記録したディズニ/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』のMovieNEXを22日より発売。そんな本作の発売を記念し、本作の海洋生物監修を務めたさかなクン、本作の大ファンだという佐野ひなこを招いてトークショーを行った。黄色のワンピースに白のアウターを羽織って登場した佐野は、5回ほど見たという本作について「今回は泣いて笑ってって感じなんですけど、笑いの方が多い印象です、ハンクちゃんの運転がとても上手でワイルドだったので、そのシーンが大好きです。すごくハラハラしたので、ハンクちゃんの運転にも注目です」とアピール。また、会いたいキャラクターを「いっぱいいるんですけど、中でもエイ先生がかっこよかったです。好きだった先生に似ているイメージがあったので」と意外なキャラクターを上げた。クリスマスが1カ月後に控えており、クリスマスに会いたい人は? という質問に佐野は「毎回記念日になるとお母さんがケーキを用意してくれるので、お母さんに会いたいです。可愛らしいケーキを作ってくれるから、クリスマスらしいケーキを楽しみにしています」と笑顔。報道陣からは、長友佑都選手と結婚報道のある平愛梨の話題を振られ、「ますますキレイになってとても幸せなんだろうなって思います。本当に羨ましいですよね。私も是非続きたいです。来年ぐらいには」と羨望の眼差しで「今年のクリスマスは早すぎますね。もう少し時間をいただきたいです(笑)」と苦笑いを浮かべていた。
2016年11月21日佐野プレミアム・アウトレットで「サマー スペシャル セール」が開催される。期間は、2016年6月3日(金)から12日(日)まで。本格的な夏シーズンが始まる直前のこのシーズン。「サマー スペシャル セール」では、半袖シャツやワンピースなどの夏物ファッションはもちろん、スポーツからアウトドア用品、生活雑貨まで、様々なアイテムがお得に手に入る。バーニーズニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)では、最大70%オフ。キーン(KEEN)では、2足購入でさらに5%オフなど、店舗によって様々な割引が用意されている。また、アウトレット初出店を含め、新たな店舗が3店舗オープン。2016年6月2日(木) には、北関東エリア初出店のワイン専門店「エノテカ(ENOTECA)」、3日(金)には分厚いパンケーキとかき氷で有名な「雪ノ下」が、7日(火)には、本格グリル料理を手軽に楽しめる「太陽のグリル」が展開される。セールと合わせて、新たなフードにもチャレンジしてみては。【概要】佐野プレミアム・アウトレット「サマー スペシャル セール」期間:2016年6月3日(金)〜12日(日)セール例:バーニーズ ニューヨーク 最大70%オフキーン 2足目5%オフ、3足以上でさらに10%オフ住所: 栃木県佐野市越名町2058■エノテカ(ENOTECA)オープン日:2016年6月2日(木)営業時間:10:00〜20:00TEL:0283-86-9595■雪ノ下オープン日:6月3日(金)営業時間:9:30〜20:30※9:30〜11:00 まではモーニングメニューのみ。TEL:0283-86-7775メニュー例:・自家製苺コンフィチュール ココアチョコの黒いパンケーキ 800円(税込)・石垣島パイン氷 900円(税込)・愛媛チーズと富士の鶏のマカロニグラタン 1,026円(税込)■太陽のグリルオープン日:6月7日(火)営業時間:11:00〜21:00(LO 20:30)TEL:0283-23-0031メニュー例:・大麦牛 100%ハンバーグ(ライスつき) 1,180円(税込)・オムライス~自家製トマトケチャップ 1,080円(税込)・石窯ブールのフレンチトースト 〜サワークリーム&ブルーベリージャム 680円(税込)【問い合わせ先】佐野プレミアム・アウトレットTEL:0283-20-5800
2016年06月02日武豊騎手が2日、映像配信サービス・AbemaTV FRESH!で生配信されたバラエティ番組『競馬のおはなし』(隔週月曜21:00~)にサプライズ出演した。同番組は、競馬好きタレントとしてさまざまな番組を持つ見栄晴、"JRAのカリスマ装蹄(そうてい)師"の異名を持ちディープインパクトなどを担当する西内荘氏が司会を務め、週末に催されたレースの反省や検証、分析を行うトークバラエティ。アシスタントとしてモデルで女優の坂田梨香子が出演するほか、競馬関係者のゲストが迎えられることもある。武騎手の登場は番組開始直後、最初のコーナーの進行中で、ネプチューン・堀内健や金子昇と共に偶然スタジオ近くにいたことから急きょゲストイン。先日行われた天皇賞・春で歌手・北島三郎所有のキタサンブラック号を優勝へと導いたことから、「豊さん!!」「武さん、天皇賞おめでとう!」といった視聴者のコメントを誘った。その天皇賞のレースを映像で見ながら、武騎手は「1,000mを61秒で行こうと思っていたので、(ピッタリ通過し)思い通りだった」とニヤリ。続けて、レースは「ずっといい感じだったので、一周目のスタンド前でターフビジョンで見て良い形だなと思っていた」と振り返った。また、JRA・G1レース70勝目で初の"逃げ切り勝ち"での優勝となったことについては、「あまり意識はなかった。逃げられたら逃げようと思っていた」と話した。そんな中、堀内が番組を裏側から見ていた武騎手の妻で元女優・佐野量子さんを連れ出し出演させることに。この夫婦そろっての共演に視聴者からも「おきれいです!」などのコメントが寄せられると、事務所の先輩でもある見栄晴は、当時事務所に内緒で付き合っていたことを思い返し、懐かしんだ。天皇賞の感想を求められた佐野さんは、「とてもうれしかった」とニッコリ。夫婦仲むつまじい様子を見せた。このほか、日本馬が出走した香港でのレースの様子を写真で振り返ったり、週末のレース予想をしたりする模様が放送された。武騎手は、8日の7時30分(日本時間)にはUAEダービーで勝利を収めたラニ号に乗り、ケンタッキーダービーに出走予定。さらに、デビュー30周年を記念して、9日までの会期で、東京・日本橋三越本店にて展覧会「武豊展」を開催中しており、会場では武騎手の国内外での貴重な写真、優勝カップ、馬具などさまざまな展示が実施されている。
2016年05月06日佐野瑞樹、大樹の兄弟ユニットによる公演WBB vol.10『懲悪バスターズ』が5月に上演される。作・演出・出演をする佐野大樹と、佐野の舞台に初出演する鈴木勝吾が、作品にかける想いを語ってくれた。WBB vol.10『懲悪バスターズ』チケット情報「今作は子供にも観に来てほしい。家族で楽しめる舞台にしたいです」と話す佐野。瑞樹演じる天才科学者と、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)演じる悪霊によるハートフルコメディ。「落ちこぼれの悪霊とそれを退治する気難しい天才科学者が、お互いを知って仲良くなっていくストーリーです。今回のテーマは『知ること』。病気にしても何にしても知ることで怖くなくなるじゃないですか。未知なものにみんな恐怖を感じるから、そこを描けたらいいなって」鈴木は悪霊役。佐野は「色んなチラシ見るたびに(鈴木の)名前があるんですよ。きっとみなさんお願いしたがる方なんだろうなと思って」と話す。鈴木は「コメディはそんなに体験してきてないのですが、年々『勝吾くんっておかしいよね』って共演者から言われるようになって…(笑)。自分のズレてるところが出せたらと思っています」今作の構想を「お祭りのイメージ。普段はやらないダンスを取り入れたり、いつもより派手に。身体と体力で見せたいですね。どれだけ演劇的に表現できるか」と佐野が語ると、鈴木も「絶対そっちの方が楽しいと思います。演劇でしかできないことだから」と目を輝かせた。記念すべきWBB10作目。佐野は「今作の目標として、最後の最後までこだわり続けたい。どこまで追求できるか、その勝負はしたいです。大人になるとできないこともわかってしまうから、わがままを言わなくなったりもするんですけど、その時期を経て、それじゃだめだよなと思いました。嫌われてもいいからギリギリまで詰めていきたいです」。それに対し鈴木が「すごく共感します。それをやってこそ、ですよね。観客の前に出すものであること以前に、自分が選んでやっていることだったりするので、やっぱり納得いくまでやりたい」と話すと、佐野は「素晴らしい!」と笑顔を見せた。「大樹さんの想いを聞いて、僕ももっと頑張んなきゃなと思いました。夢が詰まった楽しい作品に必ずしようと思います。がんばって踊ります!」(鈴木)「今回は先輩方が多いのでプレッシャーはありますけど、そこは信じて、自分のやりたいものをまっすぐぶつかっていけたらなって思います」(佐野)WBB vol.10『懲悪バスターズ』は5月19日(木)から5月22日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて。その後、兵庫にて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2016年04月25日女優でタレントの足立梨花、タレントの春香クリスティーン、タレントでモデルの佐野ひなこが13日、東京・銀座の松屋銀座で行われた展示会「POWER OF PRINCESS『ディズニープリンセスとアナと雪の女王展』」オープニングイベントに出席した。4月13日から5月8日まで松屋銀座で開催される「POWER OF PRINCESS『ディズニープリンセスとアナと雪の女王展』」は、1937年公開の『白雪姫』から『アナと雪の女王』のアナとエルサまでディズニー作品に登場する9人のプリンセスにフォーカスした展示会。そんな同展示会のオープニングイベントに足立梨花ら3人の女性タレントが華やかなドレス姿で登場した。『美女と野獣』のベルを意識したドレス姿の足立は「小さい頃から『美女と野獣』が大好きでなんです。ヒロインのベルは、人を外見で判断せず、周りに流されずに自分を貫く芯の強い女性。そういう女性になりたいと思っています」と話しながら、イベント前に見た展示会を「本当に貴重なものばかりです。誰もが見てもテンションが上がると思うし、自分もプリンセスになれるんじゃないかと思うものばかりでしたね」と感想を。ディズニーファンには「25カ国語でつないだ『レット・イット・ゴー』は、違う言葉なのに感情がつながっていて、すっと耳に入っていきます。それにここでしか手に入らない特別なものがありますので、ぜひ来て下さい!」とアピールした。プリンセスには王子さまが付きものだが、理想な王子さまの条件を「優しくて気遣いをしてくれる人で笑いのツボが一緒で趣味も合ってオシャレな人ならありがたいですね。一番は一緒にいて楽な人がいいな!できたらリードしてくれる王子さまが現れてくれたらいいですね」とハードルが高そうな足立に対し、部屋を片付けられない春香クリスティーンは「家事が出来る人!」と笑わせる場面も。3人の中で一番年下の佐野は「今年こそ王子さまが出来るのを信じています。恋すると痩せるような気もするし」とウエスト51㎝にも関わらずまだ細くなりたい様子で、腹筋など細くなる秘けつを説明しだすと足立が「それ以上痩せなくていいよ。横に並びたくない…。努力してるんだね。努力って大事だと思いました(笑)。私はまだまだプリンセスにはなれないかな…」と諦めモードだった。
2016年04月13日WBB vol.10公演「懲悪バスターズ」制作発表会見が4月7日(木)に都内で行われ、主演の佐野瑞樹、共演の佐野大樹、田村亮(ロンドンブーツ1号2号)、鈴木勝吾、土屋佑壱が出席した。ジャニーズ事務所所属の瑞樹さんと演劇ユニット*pnish*(パニッシュ)のリーダー・大樹さんによる兄弟演劇ユニットWBBが手がける第10回公演。間もなく真夏を迎える大都会の片隅を舞台に、なんちゃってポルターガイストを巻き起こす悪霊(落ちこぼれ)たちと、悪霊対峙に立ち向かう一人の天才科学者の戦いを描いた、サイエンス・ホラー・アクション活劇。瑞樹さんといえば、42歳になっても公式サイトのJr.枠に名前が記載され、“最年長のジャニーズJr.”として話題を集めた人物。昨年10月にようやく独立したページが設けられてJr.から卒業したと噂されたが、瑞樹さんは「僕も20代後半から役者としてずっとやって来たので、いつの間にかJr.というのはなくなっていたみたい」と釈明。故にこの一件がネットで広まった時には「まだそう(Jr.)なの?」と驚いたそうで、「誤情報を流してしまったみたいですみません」と頭を下げた。そんな瑞城さんは、天才科学者を演じるにあたり、「天才とは何ぞや?」と考えを巡らせた結果、福山雅治演じる天才物理学者・湯川学が主人公のドラマ「ガリレオ」を一話から見直すことに至ったそうで、「それを見ながらパクろうかな?」とニヤリ。土屋から「仕上がりは福山さんに寄って来るんですか?」と尋ねられると、「そうですね、ウリ似の可能性はありますね」とぶっちゃけ。演出を手掛ける大樹さんも「問題ありません!」となぜかきっぱり容認し、笑いをさらった。のっけから爆笑が響く会見に、お笑い畑から参戦する田村さんは少し押され気味。劇中、ダンスを披露することになるが、それについてはオファー時に全く聞かされていなかったようで、嘆きの声をあげる。しかし、「足を引っ張らないように」と気を引き締めると、「落ちこぼれの悪霊役なので役作りせずにイケそう」と自信もチラリ。そして「みんな個性があって面白くなりそうな予感」と初の客演に期待を寄せた。WBB vol.10公演「懲悪バスターズ」は東京芸術劇場プレイハウスで5月19日(木)から22日(日)、新神戸オリエンタル劇場で5月28日(土)から29日(日)まで上演。(text:cinemacafe.net)
2016年04月07日モデルの佐野ひなこが30日、東京・渋谷パルコで行われた「2016 PARCO SWIM DRESSキャンペーン記者発表会」に出席した。2003年の森下千里から始まり、2009年には佐々木希、2012年には優香ら数々の女性タレントを起用し、スターへの登竜門的キャンペーンとして注目を集めている「PARCO SWIM DRESSキャンペーン」。今年はモデルでタレント、女優にとマルチな分野で活躍している佐野ひなこが選ばれ、夏ファッションのキーアイテムでもある水着姿となって、ポスターやWEBサイトを中心にアピールしていく。記者発表会が行われたこの日は、佐野が水着姿となった巨大なポスターをお披露目。初めて目にしたポスターに佐野は「初めて大きなポスターを見ましたが、ようやくイメージガールに選ばれたことを実感しました。本当に飾られるのか半信半疑なので、絶対見に行っちゃいます(笑)」と信じられない様子だったが、「私が小さい頃から見ていたものなので、まさか自分がという思いです。本当にありがたいことですし、キャンペーンを皆さんに知って欲しいですね」と笑顔を見せていた。84㎝のFカップバストに驚異の51㎝というウエストが魅力の佐野。経歴詐称が発覚した経営コンサルタントの"ショーンK"ことショーン・マクアードル川上氏に絡めて「51㎝は詐称?」という報道陣の質問に「ないです! !ないです! すぐに測れます! 詐称ではないです」と全面否定するも「うっかりすると増えちゃうので、腹筋は意識するようにしています。そうすれば戻りますから。増えないようにキープしていきたいですね」と51㎝のウエストは努力の賜物だとか。また、夏と言えば恋愛の季節でもあるが、恋愛の話題を振ると「いいですよね~。夏にデートしたいですよ…。今はいないんですけど、『イイな!』と思う人は毎回作るようにしています。恋はキレイになれる秘けつだと思うので」と前向きだった。
2016年03月31日玉川大学は2月25日、米国国防高等研究計画(DARPA)で開発された量子計測の原理を自動車用の量子レーダーカメラとして転用する理論を開発したと発表した。同成果は玉川大学量子情報科学研究所の研究グループによるもので、3月14日に英国ロンドンで開催される「Quantum Physics」の国際会議の招待講演で発表する。現在、自動運転に向けて障害物を捕捉するために必要となる超高感度ステレオカメラやイメージング・ライダーなどの開発が進められている。これらのセンサーは原則的にターゲットに照射する光の反射波が運んでくる1次情報を分析することで障害物を画像化するため、反射波に対する錯乱によって性能が急激に劣化するという課題がある。DARPAの量子計測原理は反射波の2次情報を利用した画像化が可能で、その原理を転用した量子レーダーカメラはレーザー波の伝搬時の環境に依存しないため、濃霧などの環境でもターゲットの形状を補足することができる。同研究グループは、約100m程度のセンサー領域をカバーするシステムが実現可能であることを理論的に確認しているほか、すでに日欧の自動車部品メーカーなどに情報を提供している。また、同技術は広い範囲に応用が可能なため、量子光源やシステムを開発するベンチャー企業の設立を計画中だとしている。
2016年02月26日京都大学(京大)と物質・材料研究機構(NIMS)は12月14日、量子もつれ光を用いた超高分解能光断層撮影技術を開発したと発表した。同成果は、京都大学大学院 工学研究科 竹内繁樹 教授、岡野真之 特定研究員ら、物質・材料研究機構 栗村直 主幹研究員ら、および名古屋大学 西澤典彦 教授からなる研究グループによるもので、12月14日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。光干渉断層撮影技術は、眼科分野において網膜などさまざまな組織の診断技術として急速に普及している。また、肺や消化管の表層組織の断層撮影への応用も進められており、早期がんの診断などへの検討も進められている。光干渉断層撮影技術の深さ分解能を向上させるには、光源の帯域を拡げる必要があるが、その場合、光の波長ごとに光の進行速度が異なる群速度分散により、分解能が逆に劣化するというジレンマがあるため、これまで分解能は5μmから10μm程度に制限されていた。今回、同研究グループは、非常に広い帯域を持つ量子もつれ光源を開発した。同光源では、電子ビーム露光法により形成した微細電極を用いた高精度分極反転技術により、高効率な擬似位相整合素子を利用。素子の材料は、独自に研究開発した定比組成タンタル酸リチウムを用いることで安定した量子もつれ光子の発生が実現されている。実験では、擬似位相整合素子から発生させた、波長660nmから1040nmという超広帯域量子もつれ光子対を用いて、従来の光断層撮影法で用いられる低コヒーレンス干渉、および量子光断層撮影法で用いられる2光子量子干渉を、今回開発した高安定高精度干渉計を用いて実施した。この結果、世界記録となる、0.54μmの分解能に相当する量子干渉縞を実現。これは、従来の光断層撮影の原理検証で記録されていた世界記録である0.75μmを超える値となっている。今回の成果により、光断層撮影技術の分解能の飛躍的な向上が期待され、今後は緑内障の早期診断など、医療分野をはじめとするさまざまな計測技術への波及が期待される。
2015年12月15日横浜国立大学(横国大)は11月24日、完全な情報セキュリティを保証する量子通信長距離化に必須な中継器要素技術の開発に成功したと発表した。同成果は、同大学大学院工学研究院 堀切智之 准教授、米スタンフォード大学 山本喜久 名誉教授グループ Leo Yu 博士、Chandra Natarajan 博士ら、および国立情報学研究所、独Wurzburg大学などの研究グループによるもので、11月24日付けの英科学誌「Nature Communications」に掲載された。完全な情報セキュリティを保証する通信方式である量子通信において、現在実証されている最長距離は300km程度。これ以上の長距離化には「量子中継」という中継技術が必要になる。中継には、中継器内の量子メモリー物質と光、遠方の量子メモリー同士の間にエンタングルメントを共有する必要があるが、量子メモリー物質と光のエンタングルメントに関してはその困難さにより、これまで総じて未成熟だった。また、量子メモリーに吸収される光波長は多くの場合、可視光か近赤外領域にあり、光ファイバーを用いた長距離伝送に有利な通信波長帯には存在しないため、ノイズ極小の波長変換技術が必要となる。これに加えて、量子メモリー間のエンタングルメントを生成し、さらにより遠方の量子メモリー同士にエンタングルメントを生成できるように、異なるメモリーから生じた独立な光子同子が完全に同一な性質を持つ必要がある。同研究グループは、量子メモリー物質となる量子ドット中の電子スピンと量子相関した光を発生させ、その光を光ファイバー通信に適した通信波長へとノイズを極限まで低下させたまま変換することに成功。その結果、2kmというこれまでで最長の量子メモリーと光との相関を達成した。また、波長変換用レーザーの波長調整により、長距離光ファイバー伝送後もほかの独立光源との高い干渉性を持たせることにも成功。波長変換時のノイズを従来より3桁以上抑え、干渉する2光源間の波長隔たりは10nm以上を達成した。同研究は、固体量子メモリー物質と光ファイバーベースのシステムを用いているため、大スケール長距離量子通信の構成要素となる中継技術として有望だという。今後は、量子通信の実験的な限界距離である300kmを克服するため、長距離の量子通信実用化に向けて研究に取り組んでいくとしている。
2015年11月26日大阪市立大学は11月24日、理論的に予測されてきた非平衡状態にある量子液体の挙動を詳細に明らかにすることに成功したと発表した。同成果は、大阪市立大学大学院理学研究科 小栗章 教授、東京大学物性研究所 阪野塁 助教、大阪大学大学院理学研究科 小林研介 教授、同理学研究科 Meydi Ferrier 特任研究員、同理学研究科 荒川智紀 助教、同理学研究科大学院生 秦徳郎氏、藤原亮氏らの研究グループによるもので、11月23日に英科学誌「Nature Physics」のオンライン版に掲載された。量子液体とは、多数の粒子が量子力学的に相互作用し、一体となって振る舞う「量子多体現象」を示す粒子の集団のことをいう。「超伝導」や「超流動」は、電子や原子が量子液体を形成することによって引き起こされる量子多体現象の代表例となっている。同研究グループは、量子多体現象の典型的な例となる「近藤効果」によって形成された量子液体の性質を、カーボンナノチューブを用いて作製した人工原子を用いて調査した。今回の研究では、人工原子に加える電圧や磁場などを制御することによって、理想的な近藤状態を実現。さらに電流だけではなく、電流に含まれる「電流ゆらぎ(雑音)」を精密に調べた結果、さまざまな近藤効果について、有効電荷を高精度で検出した。またこの有効電荷から、量子液体を特徴づける量「ウィルソン比」を求めると、同研究グループの人工原子が、非平衡状態にあるにもかかわらず、極めて強い量子多体現象を示していることを実証できた。この有効電荷とウィルソン比は、最新の非平衡近藤効果に関する理論の予言と高い精度で一致したという。これまで超伝導や超流動といった量子液体の示す不思議な現象の研究は、主に平衡状態にある場合について行われてきたが、今後、量子液体の性質を非平衡の領域まで拡大して調べることによって、物質の新しい性質・機能を見出せる可能性が期待されるという。
2015年11月24日初回視聴率好発進となった、松坂桃李主演のフジテレビ系で放送中の連続ドラマ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」。里見を誘惑する会員制高級クラブのホステス役・佐野ひなこと入山杏奈に加え、新たに女医役で笛木優子が出演することが決定した。そして、話題満載のドラマから11月3日(火)放送の第3話の詳細が到着した。原作は、週刊モーニングで連載されていた人気コミックス「サイレーン」。機動捜査帯(通称:キソウ)の物語が描かれ、相棒でありながら実は恋人同士である里見(松坂桃李)と猪熊(木村文乃)が、とある殺人現場に突如現れた謎の美女・橘カラ(菜々緒)と出会い、運命を狂わされていくクライム・ラブサスペンス。前回放送の2話では、管内で起きた2つの事件をきっかけに、カラの存在が気になり始める里見。そんなある日、被害者が通っていた美容整形外科にカルテを借りに行った里見は、院長の月本(要潤)と対面。しだいにすべての黒幕は月本なのではないかと考え始める。一方猪熊はカラとの距離を急速に縮めていく。数日後、繁華街で通り魔事件が発生。犯人の説得に失敗した猪熊は自分の力不足に落胆し、里見の慰めも耳に入らないまま二人は喧嘩別れしてしまうといったところで物語は終わっていた。松坂さん演じる里見がオタク風の格好に変装し捜査するなどなかなか見ることの出来ない松坂さんに話題を集めた回となった。今回出演が決定した笛木さんが演じるのは、主人公の里見(松坂桃李)が、3話で出会う被害者を担当する医者・倉本。佐野さんと入山さん演じるアイ&レナ同様、原作でも描かれている登場人物で、里見を誘惑するものの、里見の協力者となる重要な役どころ。そして11月3日放送の第3話では、通り魔の一件で、自分も猪熊の正義感を手に入れたいと考えるようになったカラ。一方、月本こそが一連の事件の黒幕ではないかと考えた里見は月本をマーク。とある高級会員制クラブに出入りしていることが分かると、猪熊にも内緒で潜入捜査を開始する。やがて、紹介されたアイ(佐野ひなこ)とレナ(入山杏奈)から、クラブの実態が売春組織であること、さらに月本とクラブの関係を聞き出すことに成功した里見。しかし、その話をライバルの速水(北山宏光)が聞いていた。一方で、マンションで待っていた猪熊は、帰ってきた里見からほのかに香水の匂いがすることに気付き、不安を覚える。しばらくして、里見の報告書がきっかけで署に捜査本部が開かれ、クラブを摘発することに。ところが当日、現場で待機していた里見と猪熊の元に、突如「捜査中断」の指示がかかる――。そんなお色気あふれる3人が登場するのは3話以降。4話から登場する笛木さん演じる倉本が、酔った勢いで里見の体をツンツン突いて、手を重ねたりするシーンでは「日曜の早朝、西麻布で酔っ払いのハイテンションシーンの撮影はキツイものがありました(笑)私が里見さんを誘惑しなきゃいけないのに(松坂さんが魅力的で)こっちが落とされてしまいそうで逆に身の危険を感じました(笑)」と語り、「年の差もあるのでイタくならないよう頑張りつつ、倉本としてこれから里見さんを色々と助けられたらいいなと思います」と意気込みを語った。また里見をホテルで誘惑するシーンで3話から登場する佐野さんは、「撮影を行う前に、助監督さんとリハーサルを行ったのですが…(松坂さん)筋肉の質感が全く違いました。助監督さんは筋肉なかったです(笑)でもそんなリハーサルの効果もあって、“思い切り演じきらないといけないんだ”っていう心構えができました」撮影秘話を暴露。一方、入山さんも「初日は、いきなり松坂さんの服を脱がせるシーンだったのですが“何をされても平気なので好きにしちゃってください”と言ってくださって、その優しさが嬉しかったです」と話した。なぜカラは猪熊をつけ狙うのか、事件を謎得ヒントを握る彼女たちの活躍にも期待したい。「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」は毎週火曜日22時よりフジテレビ系にて放送。(cinemacafe.net)
2015年11月03日NECは、暗号技術である量子暗号の実用化に向けて国内で初めて長期のフィールド評価実験を開始したと発表した。サイバーセキュリティ・ファクトリーにおいて、同一フロアの異なる部屋との間でサイバー脅威情報等を暗号化して通信するための暗号鍵を「量子鍵配送」技術により供給する評価実験を、情報通信研究機構(以下 NICT)の協力を得て実施する。「量子鍵配送」は、量子力学にもとづき光子を使って拠点間で暗号鍵を共有する仕組み。NECはNICTより委託研究「セキュアフォトニックネットワーク技術の研究開発」を受託し、NICT内の実験室において、量子鍵配送装置の長期運用試験を実施してきた。今回、NECは、量子鍵配送について、装置が理論通り実現できているかの検証を含めた安全性評価および安全性評価手法の確立を推進するとともに、より利用者に近い環境での長期評価実験を実施することにより量子暗号通信の実用化を目指す。加えて、現在実際に利用されている暗号と量子鍵配送の統合による高速かつ高度に安全な暗号技術として、量子鍵配送装置からの暗号鍵を種鍵(たねかぎ)として使用する高速回線暗号装置の開発と評価もあわせて行うという。
2015年09月29日NECは9月28日、量子暗号の実用化に向けた長期フィールド評価実験を、国内で初めて開始したと発表した。同実験は、同社のサイバーセキュリティ対策の要となる施設サイバーセキュリティ・ファクトリーにて実施されるもので、情報通信研究機構(NICT)の協力を得る形で行われる。具体的には、同社がこれまで行ってきた量子鍵配送装置の長期運用試験の知見などを元に、装置が理論通り実現できているかの検証を含めた安全性評価および安全性評価手法の確立を目指すとともに、より利用者に近い環境での長期評価実験を実施することで量子暗号通信の実用化を目指そうというもの。また、現在実際に利用されている暗号と量子鍵配送の統合による高速かつ高度に安全な暗号技術として、量子鍵配送装置からの暗号鍵を種鍵として使用する高速回線暗号装置の開発と評価もあわせて行っていく予定とする。なお、今回の成果については同社も参加している革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「量子人工脳を量子ネットワークでつなぐ高度知識社会基盤の実現」における2016年度以降の研究開発に引き継ぎ、より利便性・安全性の高い量子暗号システムの開発を進める予定だという。
2015年09月28日東京大学(東大) ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構、富士通研究所、NECの3者は9月28日、共同で単一光子源を組み込んだシステムで世界最長となる120kmの量子暗号鍵伝送に成功したと発表した。同成果は、東大の荒川泰彦教授ら、富士通研、NECの研究グループによるもの。詳細は9月25日発行の「Scientific Reports」(電子版)に掲載された。量子暗号は、第3者が鍵情報を伝送路上で盗み見ようとすると、光子に状態変化が生じるといった特性から、高度な秘匿通信を実現する技術として期待されている。実現には、単一光子源と呼ばれる光子を1個ずつ正しく生成するための装置が必要とされるが、従来はレーザー光を弱めた減衰レーザー光による疑似的な単一光子源が主に用いられており、これだと、鍵情報を盗み取れる可能性があった。一方、疑似ではない量子ドット単一光子源を組み込んだ量子暗号システムでは、単一光子の発生段階で余計な光子が混じることにより生じる単一光子源の高い複数光子発生率と、半導体検出器で光子を検出する際の高い雑音という2つの影響を受け、長距離伝送に有利な1.5μm波長帯においても安全鍵伝送可能距離は50kmにとどまっていた。今回研究グループは、伝送距離を制限する主要因の1つである複数光子の発生率を1パルスあたり100万分の1に抑えた高純度の1.5μm量子ドット単一光子源を開発したほか、平面光回路をプラットホームとした通信波長帯単一光子源に最適化した低損失な干渉計を用い、温度変動や張力変動などに左右されない実用レベルの単一光子量子暗号鍵伝送システムも開発。低ノイズの超伝導単一光子検出器と組み合わせることで、単一光子源を組み込んだシステムとして従来比2倍となる120kmの安全鍵伝送を実証することに成功したという。なお3者は、今後、単一光子源を含めたシステムの小型化および高速化を進め、2020年以降に主要都市圏をカバーする盗聴不可能な高セキュア通信の実現を目指すとしている。
2015年09月28日ジャニーズ事務所所属の俳優、佐野瑞樹と、演劇ユニット*pnish*のリーダー、佐野大樹による兄弟演劇ユニット「WBB」。同ユニットの第9回公演、WBB vol.9『殺意は月夜に照らされて』が11月14日(土)より東京・赤坂RED/THEATERで上演される事が決定した。「WBB」は毎回、遇数回公演は弟の佐野大樹が企画を担当する通称「Side-B」、奇数回公演は兄の佐野瑞樹が企画を担当する通称「Side-W」のふたつの形式で行われている。奇数回となる今回は佐野瑞樹が得意とするワンシチュエーションコメディ作品。脚本を務めるのはフジテレビ系ドラマ『ロストデイズ』などで知られる徳尾浩司。キャストは佐野大樹、佐野瑞樹のほか、ミュージカル『薄桜鬼』、舞台『K』などに出演した俳優の荒牧慶彦、劇団「柿喰う客」に所属する俳優の永島敬三、劇団「動物電気」に所属する森戸宏明など、多彩な面々。物語は、豪雨の中、結婚式の参列者が車で2次会に向かう所から始まる。途中、車が動かなくなってしまい、とある洋館を訪ねる一同。彼らを迎えたのは、温かい食事、清潔なベッド、燃えさかる暖炉。だが、洋館の住人の姿はどこにもない。まるで、彼らが来ることが分かっていたかのような・・・。恐怖が笑いを、笑いが恐怖を誘うサスペンス風ワンシチュエーションコメディだ。同作の上演決定に際し、佐野瑞樹は「WBBもあっという間に9回目。来年には10回記念公演が待っています!その前に、僕が企画を担当するSide-Wの純粋なコメディの力というものを存分に魅せつけたいと思います!! まずは脚本。そしてガチな役者勢。それを支えるスタッフと一丸となって笑わせます!!こだわりのワンシチュエーションコメディ、観たことある人もない人も、好きな人もそうでない人もぜひ劇場まで足を運んでください!! きっとほっこりとした気持ちで帰れますよ(笑)」とコメントを寄せている。WBB vol.9『殺意は月夜に照らされて』は11月14日(土)から23日(月・祝)まで東京・赤坂RED/THEATERにて上演。チケットの一般販売は10月10日(土)午前10時より開始。
2015年09月07日日本のロック界におけるレジェンドのひとり、佐野元春さん。最近は、年齢的には10歳以上も年下のバンドであるザ・コヨーテバンドを率いての活動を行っています。そのザ・コヨーテバンド名義による3作目のスタジオアルバムが『BLOOD MOON』です。ザ・コヨーテバンドは、それぞれ独自の活動を行う脂の乗り切った凄腕ミュージシャンがそろい、佐野さんの楽曲に新たな息吹を吹き込んでいます。佐野さんがライブのMCでも話されていましたが、「ザ・コヨーテバンドの一番いい時期がついにやって来た」という印象の1枚です。楽曲自体はどこからどう聴いても佐野元春そのものですが、21世紀という時代に合わせた繊細な音作りは、ザ・コヨーテバンドだからこそ可能になったように思います。実は2015年は、佐野さんにとってデビュー35周年という記念イヤー。そのアニバーサリーにふさわしい1枚、それがザ・コヨーテバンドによる『BLOOD MOON』というアルバムなのです。リリース情報:『BLOOD MOON/佐野元春&ザ・コヨーテバンド』(2015.7.22発売/¥3000(tax out)/POCE3810)※初回限定盤(¥4500(tax out)/POCE9390/ボックス仕様)も同時発売
2015年07月17日東京大学(東大)は7月10日、超伝導回路を用いた量子ビット素子と強磁性体中の集団的スピン揺らぎの量子(マグノン)をコヒーレントに相互作用させることに成功し、ミリメートルサイズの磁石の揺らぎが量子力学的に振る舞うことを発見したほか、その揺らぎの自由度を制御する方法を開発したと発表した。同成果は、東大 先端科学技術研究センター 量子情報物理工学分野の中村泰信 教授(理化学研究所創発物性科学研究センター チームリーダー)、田渕豊 特任研究員(現 日本学術振興会 特別研究員)および同大 工学系研究科 物理工学専攻 修士学生の石野誠一郎氏らによるもの。詳細は米国科学振興協会(AAAS)発行の学術雑誌「Science」に掲載された。量子コンピュータや量子暗号通信といった量子力学の応用分野の1つに、情報処理と通信を統合した量子情報ネットワーク技術があるが、これを実現するためには、互いの間で量子情報を授受するためのインタフェースが必要となり、マイクロ波と光の活用が期待されている。しかし、量子状態をコヒーレントに転写する方法があり、その手法として、ナノ機械振動子や単独の電子スピン、常磁性電子スピン集団などを用いた研究が進められてきたが、強磁性体中のスピン集団に着目し、スピン波のエネルギー励起運動の量子であるマグノンを用いた研究はこれまでなかったという。研究では、強磁性絶縁体であるイットリウム鉄ガーネット(YIG)単結晶球の中のマグノンと共振器の中のマイクロ波光子の結合について調査を実施。その結果、絶対零度に近い状態において、共鳴スペクトルに反交差が見られ、両者のコヒーレントな結合が示されたという。また、1つのマイクロ波空洞共振器の中にYIG球とミリメートルスケールの超伝導回路上で動作する量子ビットを配置した実験では、超伝導量子ビットとYIG球上のマグノンの間のエネルギー量子のコヒーレントな相互作用の証拠を、真空ラビ分裂と呼ぶエネルギー準位の分裂として観測することに成功したとのことで、これにより量子力学的な基底状態ある強磁性体中のスピン集団と、超伝導量子ビットの間でエネルギー量子をコヒーレントにやりとりできることが示されたとする。今回の成果について研究グループでは、今後、超伝導量子ビットとマグノンの結合を用いて、強磁性体中の集団スピン励起の自由度であるマグノンの量子状態を自在に制御し、観測することができるようになることが期待されるとするほか、並行してマグノンと光通信波長帯光子との相互作用の研究も進めているとのことで、マグノンを介したマイクロ波と光の間の量子インタフェースの実現やそれを用いた量子中継器への応用を目指すとコメントしている。
2015年07月10日東京大学(東大)は、ナノワイヤ量子ドットレーザの室温(300K)での動作に成功したと発表した。同成果は、同大ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構の荒川泰彦 教授、舘林潤 特任助教らによるもの。詳細は「Nature Photonics」に掲載された。ナノワイヤレーザは、従来の半導体レーザと同様の動作原理ながら、1万~10万分の1の体積でレーザ発振が可能なほか、出力先の方向・形状を制御しやすいため、次世代半導体技術として期待される光電子融合集積回路へオンチップで実装することが可能だ。これまで、さまざまな材料系でのレーザ発振が報告されてきたが、それらのほとんどがバルク材料の光利得を用いてきたが、今回、研究グループでは、量子ドットを活性層に持つナノワイヤレーザ(ナノ量子ドットレーザ)を作製し、共振器構造の最適化を行うことで室温でのレーザ発振を実現したとする。実際にデバイスの評価を実施した結果、光励起による室温発振を確認。性能の指標となる特性温度は133Kと、従来のナノワイヤレーザに比べても高く、これについて研究グループでは、量子ドット導入によるキャリアの効率的な閉じ込めが起きていることが示唆されると説明する。なお研究グループでは今後、ナノレーザ光源の高性能化や多機能化が見込めることから、成長・プロセス・評価技術のさらなる開発による低しきい値動作化や長波長化、実用化に向けた電流駆動によるレーザ発振動作を目指すとしいている。
2015年06月30日佐野瑞樹・佐野大樹の兄弟プロデュースであるWBB Vol.8公演『ネバー×ヒーロー』が6月26日に幕を開けた。みず=WATER、だい=BIG、兄弟=BROTHERSの頭文字を取って名付けられた通り、佐野兄弟が全力でエンタメ舞台をお届けするユニットだ。今回、企画・演出を手がけたのは弟の佐野大樹。彼らが選んだ題材はヒーロー!【チケット情報はこちら】舞台は悪の組織“ヨゴス”に対抗して設立された正義の組織“ヒーロー協会”が正義の中枢と呼ばれていた時代。協会に雇われた彼らは給料制で、活躍によって決まる“ヒーローポイント”が0になるとライセンスを剥奪され、引退しなければならなかった……。しかし、ここにポイントの残りがわずか5点という崖っぷちヒーローがいた。その名もギブアップマン(佐野瑞樹)。「おばあちゃん、荷物重そうだね。このギブアップマンが持ってあげますよ」と、姑息(?)にポイントを集める彼をアシストするのは、優秀すぎるサポートヒーローのシュン(神永圭佑)。この日も、なんとかギブアップマンにポイントを稼いでもらおうと怪人ヨゴレール(小林健一)に立ち向かうが、強すぎて自分が倒してしまう。「スターゲイザーメテオストライク!」とカッコよく、必殺技を決めた後、「しまった!」と慌てるもすでに遅し。リポーターの平岡(稲垣成弥)にマイクを向けられ、逃げ出してしまう。そのシュンを目障りに思う、同じくサポートヒーローのキッド(安川純平)は「キライなんです」と愛らしい笑顔で毒を吐く。そんな彼がいやいやながらもサポートするビリーマン(ヒカリゴケ片山)も努力のわりにポイントは今ひとつ伸び悩み、ギブアップマンに「辞めようかな……」と愚痴る日々。しかし、それを聞いたギブアップマンは「俺はヒーロー以外にできることがないからなあ」と明るく、笑う。そんなある日、やることすべてが裏目に出て落ち込むシュンのもとに最強と謳われるヒーロー、アルティメット・ソリューション(小野健斗)からスカウトが……けれど、シュンには絶対にギブアップマンのサポートでいたい理由があった。一方、負け続けるヨゴレールはついに自分の上司であるドクロマンサー(佐野大樹)に退職を申し出る。しかし、ドクロマンサーは高笑いとともに「退職は契約不履行で違約金だ!」と言い放つ。失意のヨゴレールは謎の男が差し出す薬に手を伸ばし――暗躍する要注意人物(和田雅成)、ポイントを減点し続ける監察官(斉藤コータ)、彼らの記録を語る記者(権藤貴志)、果たしてその正体は?問われるのは辞めない強さと真の正義。これは、うんと笑えて情けなく、けれどとてつもなくカッコイイ伝説のヒーローの物語。今回もいかにもWBBらしい肩の力を抜いて観れるアクションコメディ作品に仕上がっており、照明、音響効果を駆使し、数々のシーンをコミカルに演出。パワーマイムで表現するヒーローバトルも見応え十分だ。公演は6月30日(火)まで東京芸術劇場シアターウエストにて。7月3日(金)~5日(日)にはグランフロント大阪北館4Fナレッジセンターにて上演される。取材・文:おーちようこ
2015年06月29日東芝は6月18日、盗聴が理論上不可能な量子暗号通信システムにより、ゲノム解析データの通信を行う実証試験を8月31日から開始すると発表した。実データを用いた量子暗号通信システムの実証試験は、国内初となる。量子暗号通信は、光子の量子力学的な性質を利用する通信手段。通常の光通信では、大量の光子を使い1ビットのデータを送信しているため、いくつかの光子を盗まれても、盗聴に気づくことができない。量子暗号通信では、光子1個に1ビットのデータを載せて送るため、盗聴があると光子の状態が変化し、確実に盗聴を検知することが可能となる。盗聴されていないことが保証された暗号鍵を、次々に更新しながら暗号化することにより、通信データの盗聴は理論上不可能とされている。実証実験では、東芝ライフサイエンス解析センターにおいて、日本人ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ」で解析したゲノム解析データを、量子暗号通信システムにより暗号化し、7km先の東北大学 東北メディカル・メガバンク機構まで送信する。実証期間は、2017年8月までの2年間で、長期間の運用における通信速度の安定性や天候、温度や光ファイバーの状態など環境条件の影響度などを検証する。
2015年06月18日東京大学(東大)は5月27日、一般相対性理論から導き出される重力の基礎となる「時空」が、さらに根本的な理論の「量子もつれ」から生まれる仕組みを計算を用いて解明したと発表した。同成果は、同大国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の大栗博司 主任研究員、カリフォルニア工科大学数学者のマチルダ・マルコリ教授と大学院生らの物理学者と数学者からなる研究グループによるもの。詳細は米国物理学会が発行する学術誌「Physical Review Letters」に掲載された。世界は、「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」の4つの力が存在しているとされているが、このうち重力を除く3つの力については量子力学を基礎とした理論を用いて統一的に説明できることが分かっていたが、重力も含めて統一的に説明するためには、重力も量子化する必要があった。一般相対性理論では、ある時空に含まれる情報は、その内部ではなく表面に蓄えられるとする原理「ホログラフィー原理」により、量子効果から重力現象の基礎となる時空が生じるとされてきたが、その仕組みはよくわかっていなかったという。今回、研究グループは、量子効果から時空が生じる仕組みの鍵は量子もつれであることを見出し、中でもエネルギー密度のような時空中の局所データが、量子もつれを用いて計算できることが示されたとしており、これにより、量子もつれが重力現象の基礎となる時空を生成することが示されたとする。なお研究グループでは、今回の成果について、一般相対性理論と量子力学とを統一する理論の構築に向けた研究の前進に寄与することが期待されるとコメントしている。
2015年05月28日広島大学は5月20日、ナノシリコン(シリコンの量子ドット)を発光体とした青白色LEDを開発したと発表した。同成果は、広島大学 自然科学研究支援開発センターの齋藤健一 教授、理学研究科の辛韵子 大学院生らによるもの。詳細は科学速報誌「Applied Physics Letters」(オンライン版)で公開された。バルクシリコンの電子構造は、発光強度が弱く発光波長も肉眼では見えない赤外線であることから、発光素子として用いられていない。しかし、量子ドットは粒子サイズを変えることで発光波長を制御することが可能であり、研究グループもこれまで、三原色を発光するシリコンナノ粒子の製法の開発や、白色発光のシリコン量子ドット分散溶液の作製などを行ってきた。今回の取り組みはそうした研究を発展させたもので、ITO透明電極付きガラスを洗浄し、そこに導電性高分子溶液ならびにシリコン量子ドット溶液を塗布・乾燥させて成膜し、電子注入層とアルミ電極を形成することで白色または青白色の発光を実現したという。これを用いて開発されたLEDは厚さ0.5mm、電圧6Vで、電極以外は透明な面発光型。発光面積は2mm角で、電界発光(EL)スペクトルから可視領域(400~600nm)で広く発光していることが確認されたとする。なお研究グループでは現在、複数の方法でシリコン量子ドットならびLEDの作製を行っているとのことで、今後はさらに高強度・高効率なシリコン量子ドットとLEDの開発を行っていく予定としている。
2015年05月26日NTTとトロント大学の研究チームは4月15日、長距離量子通信に必要となる「量子中継」に、「物質量子メモリ」が必須であるというこれまでの説を覆し、光の送受信装置のみで実現できる「全光量子中継方式」を理論的に提唱したと発表した。同成果の詳細は、4月15日付(英国時間)で英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。量子通信の中でも量子暗号は100km程度の距離であれば、すでに海外では製品化されているほか、日本でも試験運転が行われている。しかし、光ファイバ中の光損失に抗して、量子通信をより長距離化するためには「量子中継」が必要であり、実現するためには光の送受信装置に加えて、「物質量子メモリ」が必要であるというのがこれまでの定説となっていた。今回研究チームが提唱した方式は、物質量子メモリのメモリ機能を利用する際の待ち時間から生じる量子通信速度の制限がかからないため、通信距離によらず、光デバイスの動作速度と同程度の通信速度を実現することが可能。また、物質量子メモリと、通信用の光子を結ぶための「量子情報インタフェース」も不要となるほか、光デバイスのみに基づくため、常温動作が可能で、雑音を抑える目的で用いられる冷却装置も不要、という特徴もある。さらに、全光量子中継は(全光)量子コンピュータに比べ容易な技術である事が理論的に保障されていることから、全光量子中継に必要となる光デバイスを発展させていくことが全光量子コンピュータの実現につながると研究チームでは説明しているほか、既存の全光量子コンピュータに加え、長距離量子通信も光子のみで実現可能であることが示されたことは、任意の量子情報処理が「光子」を統一的な言語として書き下せることを保障しており、これまで「通信」と「計算」とで個別に議論されてきた量子情報処理を統一的に理解することを可能にするとも説明している。なお、研究チームでは、同方式は理論の枠組みの中で産声を上げたに過ぎないが、線形光学素子、単一光子源、光子検出器、アクティブフィードフォワード技術に関する光デバイスの研究を進めていくことで、将来的な全光量子中継の実現、および量子インターネットの実現に繋がっていく可能性が示されたとコメントしている。
2015年04月16日ジャニーズ事務所所属の俳優・佐野瑞樹と、演劇ユニット*pnish*のリーダー・佐野大樹による兄弟演劇ユニット「WBB」の第8回公演、WBB vol.8『ネバー×ヒーロー』が決定した。偶数回となる今回は弟である佐野大樹による企画、通称Side-B。まるで漫画の世界観をそのまま舞台に持ってきたようなアクションコメディ作品になるという。脚本にコメディユニット磯川家の代表にして『朝ドラ殺人事件』等、数多くのドラマ脚本も手掛ける保木本真也を迎え、WBBでは初めて大樹自らが演出を担当する。物語は悪の怪人が現れる町を舞台に、ヒーローやそのサポート役のバディ達によるハートフルアクションコメディ。バカバカしくありながらも、熱い友情と人間ドラマにスポットを当てた、Side-Bらしい作品だ。出演は佐野兄弟の他、舞台や映像の世界から個性豊かな俳優陣が顔を揃える。最近では『学校のカイダン』等、TVドラマでも活躍中の神永圭佑。『タンブリング』等、数多くの舞台で人気を博している安川純平。そして、元お笑いコンビ「ヒカリゴケ」で、現在はピン芸人として活躍するヒカリゴケ片山。また、昨年1月より俳優としての活動を休止していた小野健斗が本作で舞台復帰を果たす。小野は過去に『天装戦隊ゴセイジャー』でゴセイブルー役を演じていたが、本作で再び「ヒーロー」役に挑むという点にも注目が集まる。他に小林健一、稲垣成弥、和田雅成が出演。公演は6月26日(金)から30日(火)まで東京芸術劇場 シアターウエストにて、7月4日(土)・5日(日)にグランフロント大阪北館4Fナレッジシアターにて上演される。チケットの一般発売は5月24日(日)午前10時より。
2015年04月07日東京大学(東大) 大学院工学系研究科/ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構は2015年3月31日、量子コンピュータの実現に向け、装置の心臓部となる量子もつれの生成・検出部分を半導体技術などを用いて1チップ化することに成功したと発表した。同成果は、同大大学院工学系研究科物理工学専攻の古澤明 教授(同ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 教授兼務)、同大学院工学系研究科 博士2年の宮田一徳氏、NTT先端集積デバイス研究所らによるもの。詳細は3月30日付(英国時間)の英国科学雑誌「Nature Photonics」に掲載された。古澤教授らは、量子コンピュータの実現に向け、2013年には光を用いて1万6000以上の量子もつれを生成し、量子もつれを用いて半導体のロジックゲート的に演算を可能とする「量子ロジックゲート」を構築、半導体プロセスではNANDゲートに相当する機能を有しており、多段にすることでどんな演算も可能であることを原理的に示していた。今回の成果は、以前の研究で用いた装置の小型化を目指したもの。これまでの実験系は1ゲートあたりで奥行4.2m、幅1.5mと巨大で、かつ光を反射させるミラーや集光させるレンズなどの光学素子が500個以上搭載されており、原理的にはどんな演算も可能であっても、複数の装置を配置して大規模演算を行う、というわけには簡単に行かなかった。そこで今回、研究グループは、シリコンチップ上に2つのホモダイン測定器に相当するビームスプリッタ(BS)を内蔵し、そこで測定のための変換を行い、最終的に光検出器での測定を可能とする、いわゆる量子コンピュータの心臓部とも呼べる箇所を形成することに挑んだ。具体的にはシリコンウェハ上に光ファイバを形成するのと同様、シリカのガラスを成膜。リソグラフィでパターンを露光し、そこに不純物をドープすることで屈折率を向上、その後、さらにふたをするようにシリカのガラスを成膜することで幅約3μmの導波路を実現したという。導波路は2つずつ4組並べられており、それぞれの上部にはヒーターの役割を果たす配線と電極を設置。電極に電流を流すことで、ホモダイン検出素子の1対のパスの長さが変わることで、ビームスプリッタの比率を変化させる効果を実現。これにより、単純な回路だけでミラーやレンズを複数組み合わせた効果と同じ効果を発揮できるようになったとする。また、このホモダイン検出素子は温度の変化によりビームスプリッタの比率を自由に変化させることが可能。そのため、はじめは50:50であったものを、(冷却する期間は必用となるが)1:99に変更する、といったことも電流の制御だけでできるといったメリットもあるという。実験の結果、2つのスクイーズド光が量子力学的な相関を表していることが確認されたとのことで、これにより光チップを用いて量子テレポーテーションを行うことができることが示されたこととなった。ちなみに、今回開発されたチップのサイズは26mm×4mmで、従来の実験系と比べて1万分の1の小型化に成功したこととなる。なお、古澤教授は、今後の課題は量子誤り訂正をいかに考えるか、とする、また、すでに光を用いた量子コンピュータを実現させる基礎的な技術はほとんどが存在しているとのことで、将来的には発光源となるシリコンフォトダイオードなどと併せてチップ化を図ることで、常温で動作し、かつ小型化が容易な量子コンピュータの実現が期待できるようになると説明している。
2015年03月31日東京大学(東大) 大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻の川﨑雅司教授らの研究グループは、マックスプランク固体研究所のJurgen Smet(ヨルグン・シメット)博士のグループと共同で、極めて高品質な酸化亜鉛ヘテロ界面を作製し、GaAs以外のヘテロ界面で特殊な量子相の観測に成功した。同成果は東京大学大学院新領域創成科学研究科のJoseph Falson(ジョセフ・フォルソン)大学院生、理化学研究所創発物性科学研究センターのDenis Maryenko(デニス・マリエンコ)特別研究員、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の小塚裕介特任講師、東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授との共同研究により得られたもの。異なる物質を組み合わせたヘテロ界面は、トランジスタや発光ダイオードなどの機能性デバイスとして応用されてきた。特に、GaAsのヘテロ界面では最も品質の良い電子が形成され、約30年前に低温で特殊な量子相が発見された。この量子相は、トポロジカル量子コンピュータと呼ばれる、計算エラーを低く保ちつつ飛躍的な計算速度の向上が期待できる、新たなコンピュータへ応用が可能であると考えられているが、その特性は長らく不明だった。今回の研究では、酸化亜鉛を用いた高品質ヘテロ界面を作製し、添加元素を用いず、結晶内部の電場を利用することで、極めて高品質な電子系を形成。理論的に未解決の量子相が酸化亜鉛のヘテロ界面で観測された。この量子相はエラーが起こりにくい強いトポロジカル量子計算に用いられる可能性があり、GaAsには無い特性を用い、より多角的な研究を可能にする。今回の発見で、酸化亜鉛にはGaAsにはない制御性があることが明らかとなり、酸化亜鉛がこの量子相の理解を進展させるのに非常に重要な材料であることを示した。なお、同研究成果は、英国科学雑誌「Nature Physics」の電子版(2015年3月23日版)に掲載された。
2015年03月26日NTTと国立情報学研究所(NII)、大阪大学、情報通信研究機構(NICT)は、ダイヤモンド中に閉じ込められた電子スピンに超伝導磁束量子ビットを結合させることにより、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命が約10倍に伸びることを示したと発表した。今回の研究成果は、2015年3月23日に「Physical Review Letters」で公開された。なお同研究の一部は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)、JSPS科研費No. 25220601、NICTの委託研究「量子もつれ中継技術の研究開発」により得られたもの。ダイヤモンド中の電子スピンは、数十nm程度の局所領域に閉じ込めることが可能であり、磁場や電場や温度を高い精度で検出できることから、ナノスケールの物質構造などを高精度でイメージングできるとされる量子センサへの応用が期待されている。しかし、ノイズが存在する環境下では寿命が短くなることから十分な計測時間の確保ができず、センサとしての感度が劣化するという問題点があり、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命の向上は大きな課題となっている。NTT物性科学基礎研究所、NII、大阪大学、NICTの研究チームでは、2011年に複数のダイヤモンド中の電子スピンと設計自由度が広く拡張性が高い超伝導磁束量子ビットという2つの異なる系をハイブリッド化した量子メモリの実現に成功。この成果を活かし、ハイブリッド系を用いたダイヤモンド中の電子スピンの長寿命化に向けて研究に取り組んできた。今回、NTT物性科学基礎研究所、NIIの根本香絵教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の水落憲和准教授、NICTの仙場浩一上席研究員らによる研究チームでは、100マイクロ秒程度の寿命を持つダイヤモンド中の電子スピンと短寿命(10マイクロ秒程度)な超伝導磁束量子ビットを結合させるハイブリッド化により、電子スピンの寿命が約10倍となる950マイクロ秒にまで長くなるという現象を理論的に見出した。これは、ダイヤモンド中の電子スピンを用いた量子センサの感度が一桁近く向上することを意味しており、高い効率で物質のイメージングが可能になると期待される。また、ダイヤモンド中の電子スピンはマイクロ波の印加といった外部からの要因を用いることで長寿命化を行っていたが、同成果は、ダイヤモンド中の電子スピンを超伝導磁束量子ビットに置くだけで寿命を約10倍に長くできるという、超高感度量子センサ実現に向けたまったく新しいアプローチとなる。同研究成果によって電子スピンの寿命が改善することで十分な計測時間の確保が可能になるため、計測感度の向上が期待される。さらに将来的に、超伝導磁束量子ビットと複数のダイヤモンド中電子スピンの間に量子絡み合いを生成することができれば、従来の精度を凌駕する量子絡み合いセンサを実現できる可能性がある。この量子絡み合いセンサが実現すれば、人や動物の脳の活動情報を高い精度で読み取って病変を特定したり、数十ナノメートル程度の極小物質の3次元構造を明らかにするなど医療分野・材料工学分野に貢献すると考えられる。
2015年03月25日情報通信研究機構(NICT)は、電気通信大学と共同で、量子情報通信ネットワークの基本操作である「量子もつれ交換」を従来技術の1000倍以上の高速化に成功したと発表した。これまでの量子もつれ交換技術は、速度が遅すぎて、原理実証実験はできても、実際のネットワーク上での通信実験に適用することは不可能だった。今回の研究成果により、光ファイバーネットワーク上で、量子もつれ光子対に対する回線交換や量子暗号を長距離化するための中継実験を行うことが可能になる。量子もつれ光子対は、離れた2地点にある光子の間に強い結びつき(いわゆる量子もつれ相関)を持つため、レーザー光では実現できない安全な通信(量子暗号)や高速の計算(量子計算)を実現することができる。複数の量子もつれ光子対をネットワーク上で伝送し、必要な地点間で量子もつれ相関を自在に形成することができれば、量子暗号の長距離化や量子計算機のネットワーク化が可能になる。そのための基本的なプロトコルが量子もつれ交換である。これは、地点A、B間および地点B、C間でそれぞれ量子もつれ光子対A-BおよびB-Cを共有し、中間地点Bにおいて各対の光子2つにベル測定と呼ばれる操作を行うことで、本来、相関のなかった地点A、C間に量子もつれ相関を形成するもの。量子もつれ交換を通信ネットワーク上で実現するためには、光ファイバーに適した通信波長帯の光子対を用いる必要がある。通信波長帯における量子もつれ交換の処理速度は、これまで最大でも10秒ごとに1回程度しか行うことができなかったため、プロトコル自体の原理実証はできても、実ネットワーク環境下の通信実験には至っていなかった。量子もつれ交換を高速化するためには、要素技術となる光子検出器の高速化と高感度化、さらに、A-B間、B-C間の量子もつれ光子対を生成する量子もつれ光源の高輝度化と高純度化が必要となる。NICTでは、2013年11月に、通信波長帯超伝導光子検出器の高感度化(検出効率30%→80%)に成功していたほか、2014年12月、光ファイバー通信波長帯において、高輝度・高純度量子もつれ光を生成できる周期分極反転ポタシウムタイタニルフォスフェート(KTiOPO4)結晶を用いた独自の高純度かつ高速の「量子もつれ光源」を開発していた。今回、これらの要素技術を統合し、さらに、2つの独立な量子もつれ光源から生成されたA-B間、B-C間の2組の量子もつれ光子対の光子を地点Bで高精度で干渉させるための同期技術を確立することにより、1秒間に108回の量子もつれ交換を行う装置の開発に成功した。これは、従来の速度の1000倍以上に相当する。なお、今回の研究においては、NICTが量子もつれ交換システムの構築、実証実験を担当し、電気通信大学はデータ解析を担当した。今回の成果により、これまでは速度が遅すぎて不可能だった、光ファイバーネットワーク上での量子もつれ交換実験が可能になるとのことで、これにより、量子暗号の長距離化に向けた研究開発が大きく前進することとなるとのことで、NICTでは、今後も産学官の機関と連携し、量子暗号の長距離化や量子計算機のネットワーク化に向けた研究開発を進めていく予定だとしている。なお、同成果は、英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。
2015年03月23日日立製作所は2月23日、約1兆の500乗通りのパターン(組み合わせ)から適した解を導く「組み合わせ最適化問題」を量子コンピュータなみの性能で実現可能な新型コンピュータを試作したと発表した。同成果の一部は、2015年2月22日~26日の期間で、米国サンフランシスコにて開催されている半導体集積回路に関する国際会議「2015 International Solid-State Circuit Conference(ISSCC 2015)」で発表される。同コンピュータは、従来のコンピュータと同様に半導体素子を用いて動作するため、現在、量子コンピュータとして用いられている計算手法である量子アニーリングで必要となる冷却装置などを用いずに、室温で動作させることが可能だという。また、スケーリングも可能だという。具体的には、半導体CMOS回路上で量子アニーリングで解を求めていたイジングモデルの振る舞いを擬似的に再現するCMOSアニーリング技術を開発し、外部から特殊な回路を経て入力されるノイズを利用し、特定の局所解への固定を防ぐことで、より良い解を求めるアニーリング動作を実現。また、解くべき最適化問題を、+1と-1の2つの状態を取る強磁性体スピンが隣接するスピン間で相互作用する振る舞いを示すイジングモデルで表現し、半導体メモリ技術を用いて実装することで実現したという。これらの技術は65nmプロセスを用いて開発され、研究では、2万480パラメータを入力可能なコンピュータの試作機を開発し、実証実験を実施。その結果、システムが室温で動作することが確認されたほか、現在の量子アニーリングを用いた量子コンピュータのパラメータ数512の40倍となる2万480パラメータの大規模な組み合わせ最適化問題を数ミリ秒で解けること、ならびに従来のコンピュータを用いて解く場合と比較して電力効率約1800倍を実現できることを実証したという。なお同社では、現在実用化されている最先端半導体プロセスとなる14nmプロセスを用いた場合であれば1600万パラメータに対応するチップに大規模化することも可能だと説明している。
2015年02月23日