2月になってスギ花粉が飛び始め、花粉症の人にとって憂鬱(ゆううつ)な季節に入ってきました。子どもでも花粉症になることもあり、小児科や耳鼻科に受診する子も増えてきそうです。今回は、子どもの花粉症およびアレルギー性鼻炎について解説します。■花粉症の見分け方「この鼻水はカゼ? それともアレルギー?」花粉症の症状のひとつ、鼻水は小児科で最も多く見かける症状です。その中でも多い疑問のひとつが、「ずっと鼻水が続いている。花粉症ですか? カゼですか?」というものです簡単に区別することはできませんが、まず前提として、鼻水は生理的に出て当たり前ということを知っておいてください。鼻水が出たからといって、必ずしもカゼや花粉症というわけではありません。何もなくても少量出ることがあり、とくに鼻の通り道の狭い乳児であれば、生理的な鼻水でもつまって鼻がフガフガすることがあります。では、カゼの鼻水と花粉症の鼻水は、それぞれどういった特徴があるのでしょうか?まず、カゼの鼻水は症状のピークが2~3日で、ときにせきや発熱をともないます。おおむね1週間ほどで改善傾向となり、2週間もすれば出なくなるでしょう。一方、花粉症はスギなど特定の花粉にアレルギー反応を起こすもので、季節性アレルギー性鼻炎(結膜炎)といいます。花粉などに反応し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を引き起こします。そのほか、ダニや動物の毛など季節に関係なく身の回りにあるものに対して反応する通年性アレルギー性鼻炎(結膜炎)もあります。花粉症であれば特定の季節に悪化することが特徴で、その期間の症状には変動があまりなく、ずっと続く点がカゼとは異なるところです。例えば、毎年春先にダラダラと3週間、鼻水や鼻づまりが続くようであれば花粉症の可能性が高い症状と考えます。また、一般的に花粉症の鼻水は透明でサラサラです。熱もなく元気だけど、サラサラの鼻水だけずっと出続ける場合も花粉症の可能性が高くなります。ただ、花粉症の途中でカゼをひき、鼻水がドロドロになるなど症状が変動することもあるため、一概に鼻水だけでは区別できないことも多いです。そのほか、花粉症の症状としては、よくさわることで鼻に湿疹ができていたり、鼻にティッシュや指を入れることが多いために鼻血を繰り返している、目の周囲に黒いくまができやすいことも特徴にあげられます。子どもでも花粉症になるの? と思われるかもしれませんが、スギ花粉については5~9歳の有病率は13.7%(※1)と頻度の高いものです。2歳以下での発症は少なく、とくに1歳未満では稀(まれ)です。この年齢でずっと鼻水が続く場合は、カゼが長引いている可能性のほうが高いと考えてください。■子どもの花粉症「診断・治療・予防」診断先に述べたような特徴を、まず問診や診察で確認することが最も重要です。そのうえで、鼻の粘膜を直接観察する鼻鏡検査や、鼻水の性質を調べる鼻汁好酸球検査、アレルゲン(原因となる物質)を特定するための皮膚テストなどを組み合わせて総合的に診断します。これらの検査は一部、小児科でも行っている場合はありますが、通っている小児科で難しいようであれば、耳鼻咽喉科に相談するのがよいでしょう。ちなみに、アレルギーの血液検査は必須ではありませんが、もし食物アレルギー等で検査をする機会があれば、一緒に花粉やホコリ、動物の毛などを調べると、原因アレルゲンを知ることができます。治療主要なものとして内服の抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬の2つがあります。まず抗ヒスタミン薬は、いわゆる花粉症の飲み薬として処方されるものです。花粉などのアレルゲンが侵入するとヒスタミンという物質が出てきて、鼻水やくしゃみなどを引き起こしますが、そのヒスタミンをブロックするお薬です。こちらは効き目や副作用の眠気に個人差があるので、合わない時はほかの薬に変更してもらってください。抗ヒスタミン薬はカゼの時にも処方されることがありますが、花粉症とは鼻水の出る仕組みが異なるため、カゼの場合はあまり効果が期待できません。もう一つのお薬、ステロイド点鼻薬は鼻の穴にシュッと噴霧するものです。アレルギー反応をおさえ、鼻の粘膜のはれを改善します。効果は大きく、くしゃみや鼻水、鼻づまりがましになってとても快適に過ごせるようになる患者さんも多いです。これらの治療は、あくまでも症状を改善させる対症療法ですが、最近は、根本的に花粉症を治療する免疫療法も注目を集めています。これは、スギやダニなど特定のアレルゲンのみが対象になりますが、その成分をお薬として摂取することでアレルギーそのものを治す方法です。ただし、今のところ治療できる施設や、投与できる年齢に制限があるため、治療を希望する場合はまず医師とご相談ください。予防花粉症を予防するには、まずアレルゲンをさける、減らすことです。花粉情報をチェックして花粉が多い日の外出はさける、マスクやゴーグルを利用する、外出から帰宅したら衣服についた花粉を払ったり、すぐ洗濯機に入れて家の中に持ち込まないようにするなどです。鼻の穴の中にワセリンを塗ることで、侵入するアレルゲンを減らすという方法(※2)もあります。ただ、これらの対策には限界があるので、アレルゲンが来ても大丈夫なようにステロイド点鼻薬等で治療をしていくほうが現実的でしょう。花粉症の症状は、鼻水やくしゃみがつらいだけでなく、学校の授業に集中できない、鼻づまりでよく眠れないなど生活全体に影響をおよぼします。ここにあげた予防法や治療法を参考にして、快適な春を迎えていただけたら幸いです。参考資料※1:『鼻アレルギー診療ガイドライン2016』鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会 編※2: 『Efficacy of pollen blocker cream in the treatment of allergic rhinitis.』National Center for Biotechnology Information
2019年02月19日子育て中は「子どもの体って不思議だなあ」と思うこと、たくさんありますよね。例えば、世のママたちの多くが口をそろえていうのが「子どもの寝相の悪さ」についてです。枕に頭をのせて寝たはずなのに、朝には足が枕の上に…。毎日のことなので、寝相の悪さについては当たり前のことになっているかもしれませんね。それから、赤ちゃんがウトウトして眠りにつく前、急に手足がポカポカしてくるように感じますよね。子どもの手足があたたかくなってきたら、「そろそろ寝るかな…」と予想がつくことも。また、大人と比べて大量にかく寝汗なども、子ども特有の不思議な現象です。子どもはどうして寝相が悪いのか、どうして眠りにつく前に手足があたたかくなるのか、どうして寝汗が多いのか? 小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生に「子どもの睡眠」にまつわる不思議をいろいろと教えてもらいました。お話をうかがったのは…医師・お茶の水女子大学名誉教授榊原洋一先生お茶の水女子大学人間発達教育研究センター教授。東京大学医学部卒業。専門は小児科学、小児神経学、発達神経学など。小児科医として発達障害児の治療にかかわる。著書は『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)など多数。■子どもの寝相はどうして悪い?――どのお母さんも口にすることだと思うのですが、子どもって本当に寝相が悪い! 夜眠ったときと朝起きたときの姿勢がまったく違います。この寝相の悪さ、何か理由があるんでしょうか?榊原洋一先生(以下、榊原先生):子どもの寝相が悪いのは「睡眠の質」が大人と違うからなんですね。――質ですか…?榊原先生:人間には「睡眠パターン」というものがあります。このパターンは年齢とともに変わっていきます。特に睡眠時間と睡眠リズムに大きな変化が起こるんです。まず大人になると、乳児のときと比べ睡眠時間が短くなりますよね。それから睡眠中に見られる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の割合も変わります。どう変わるかというと、成長していくにつれてレム睡眠の割合がどんどん少なくなっていくんです。――先生! レム睡眠とノンレム睡眠とは何でしょう?榊原先生:レム睡眠とノンレム睡眠はどちらも睡眠状態のことを指しています。ただし、レム睡眠中の脳波は起きているときとよく似ています。眼球がきょろきょろと左右に速く動くこともあるし、体もよく動きます。睡眠中の様子を脳波とビデオカメラで同時に記録すると、レム睡眠のときに寝がえりや手足を動かす様子が多く見られるんです。――よく動くのはレム睡眠中だからなんですね。榊原先生:そうです。一方、ノンレム睡眠は深い眠りなので、こうした動きがほとんど見られません。子どものころはレム睡眠の割合が多いので、寝ている間にたくさん体が動くんですね。――覚醒状態と似たレム睡眠の割合が多いから、自然と寝相が悪くなるんですね…。ちなみによく動く時間帯などはあるのでしょうか?榊原先生:レム睡眠は明け方、目が覚める前に多く出る睡眠パターンです。だから夜中は寝相が良かったけれど、起きる時間近くになったら急に寝相が悪くなっていた…なんてことがあるかもしれませんね。■寝る前、子どもの手足が急にあたたかくなるのはなぜ?――赤ちゃんを抱っこしていて「あれ、なんだかポカポカしてきたな」と思ったらすやすや眠っていた…ということがよくあったのですが、手足があたたかくなることと眠ることに何か関係はあるのでしょうか?榊原先生:実際に手足の先の皮膚温度をはかってみると、子どもは眠くなると温度が1.5度くらい上昇することが分かっているんですね。でも、脇の下の体温をはかっても変化がない。このことから、子どもの手足があたたかくなることには、体の中の血液の流れが関係していると考えられます。――血液ですか…?榊原先生:普通、熱が発生するのは筋肉や臓器なんです。でも、手足の先には大きな筋肉も臓器もありませんよね。では、なぜ皮膚温度が上がるのか。温度を上昇させる方法としてほかに考えられるのは、血液です。血液は熱を運ぶことができます。子どもの手足の先があたたかくなったのは、体の中心部からたくさんの血液が流れてきたから、と考えることができます。――血液が手足のポカポカを生んでいるんですね…! でも、子どもの血管は細そうなイメージがあります。たくさんの血液を手足の先に運ぶことってできるんでしょうか?榊原先生:血液量が増えるのは、細い血管が広がるからなんです。血管が広がるのは交感神経と、副交感神経といった自律神経が関係しています。――交感神経と副交感神経?榊原先生:交感神経は獲物を追う、敵から逃げるといったときに優位になるもので、皮膚の血管を収縮させます。血管を細くすることで、万が一傷を負うことになっても少ない出血ですむんですね。――生き抜くための反応ですね…!榊原先生:反対に副交感神経は休息しているときに優位になるもので、血管は広がります。そのため、熱を持ったたくさんの血液が手足の先にまで運ばれて、体がポカポカしてくるというわけです。眠る前に子どもの手足があたたかくなるのは「休息モード」に入っているからなのです。お母さんに抱っこされて、安心した状態になることで、より眠りやすくなったからでしょうね。――なるほど。赤ちゃんの手足が急にあたたかくなってくるのはリラックス状態に入った、ということなんですね。■朝起きると寝汗でびっしょり…子どもが汗かきなのはどうして?――寝ている子どもでびっくりするのが、大人と比べて寝汗がすごい…! 子どもはどうしてあんなに汗をかきやすいのでしょうか?榊原先生:1日に必要な水分量で比較すると、子どもは大人の倍量が必要になります。子どもの体は大人と比べ、水分の割合がすごく多いんです。――大人の倍量も必要なんですね…!榊原先生:その理由として、腎臓の機能によることと、失われる水分量が多いことがあげられます。子どもは腎臓の機能がまだ未熟で、尿としてたくさんの水分を排出します。それから新陳代謝も活発なので、汗や呼吸によって、どんどん体の外に水分が出てしまうんですね。失われる水分量は大人の1、5~3倍近くになるといわれています。――そんなに…! 子どもはそもそも水分を失いやすいものなんですね。榊原先生:そうですね。それと、単純に大人は汗をかくとハンカチで拭きますよね。でも、子どもは拭きません。よだれが多いのと同じで、出てくるものに構わない…(笑)。子どもは大人のように汗を拭いたりしないから、いっそう汗が目立って見えていることもあると思います。今回は、子どもの睡眠にまつわる不思議について、お話をうかがいました。子どもの寝相が悪いのは、子どもと大人で睡眠の質が違うからということが分かり、長年の謎がようやく解けました(笑)。また、赤ちゃんの手足があたたかくなるのは、交感神経・副交感神経が状況に応じて優位になることで、体の中でさまざまな反応が起こっているから。「人の体はなんて複雑でおもしろい仕組みなんだろう」と感心するインタビューとなりました。引き続き、榊原先生に「子どもの体の不思議」について、お話をうかがっていきます。参考図書: 『大人が知らない子どもの体の不思議』 (講談社)榊原洋一著子どもと大人はどう違うのか。それは単に大きさだけの違いではありません。どうして夜泣きをするの? どうして寝相が悪いの? どうして落ち着きがないの? 子育て中に親が抱く「答えが見つかりにくい質問」にエビデンスの精神で解答することを試みました。子どもの心と体の不思議を理解する、手助けとなる一冊。
2019年02月06日子育て中は「子どもの体って不思議だなあ」と思うことが、たくさんありますよね。例えば「大人に比べ、体は小さいのに頭が大きい」と思ったことはありませんか? 子どもの頭はその小さな体に不釣り合いなくらい大きいですよね。また、久しぶりに会った友人から「赤ちゃんの顔つきが、生まれてすぐの時とは変わったね!」と言われ、そういえば…気づくこともあるでしょう。子どもの頭はどうして大きいのか? 顔つきが変わるとは一体どういうことなのか? 小児科医でありお茶の水女子大学名誉教授・榊原洋一先生に「子どもの顔・頭」にまつわる不思議をいろいろと教えてもらいました。お話をうかがったのは…医師・お茶の水女子大学名誉教授榊原洋一先生お茶の水女子大学人間発達教育研究センター教授。東京大学医学部卒業。専門は小児科学、小児神経学、発達神経学など。小児科医として発達障害児の治療にかかわる。著書は『大人が知らない子どもの体の不思議』(講談社)など多数。■子どもの頭はなぜ大きい?――前から気になっていたのですが、大人に比べると赤ちゃんの頭ってすごく大きいですよね。体のサイズからすると、もっと小さくても良いような気がするのですが、何か理由があるのでしょうか?榊原洋一先生(以下、榊原先生):子どもの頭が大きいのは、脳の大きさが体に対して大きいということがあげられます。なぜ体に対して、脳が大きいのか。これには、人の体の中で脳がどう働いているのか、そのシステムに関係があるんですね。――システム?榊原先生:そうです。人の体は働きによって大きく8つのシステムに分けることができます。例えば、心臓や肺は「呼吸循環器系」、胃や腸や肝臓は「消化器系」、骨髄や赤血球なんかは「血液系」、リンパ節や胸腺は「免疫系」、骨格筋や骨は「骨格系」などと呼ばれていますね。――「~系」というのが、システムのことなんですね。聞いたことがあるものもあります。榊原先生:こうしたシステムのうち、脳に関係するものが「神経系」です。――頭の大きさと関係してくるのが神経系?榊原先生:はい。システムの中でも神経系は、もっとも負荷のかかる部分といわれています。どのシステムも人が生きるために不可欠なんですが、神経系はほかのシステムにはない仕事をこなす役割があるんです。■赤ちゃんの頭の大きさと「神経系」の関係とは?――ほかにはない仕事…?榊原先生:はい。システムの中には急いで完成させる必要がなく、人間の成長に合わせて、長い時間をかけて形作られていくものもあります。でも、神経系は違うんですね。神経系はお母さんのおなかの中にいるときから、生命のリズムを維持する働きや、手足・胴体を動かす働きをしているんです。――お母さんのおなかにいるときから、神経系は働き始めている?榊原先生:そうです。でも、おなかの中にいる間は、それほど働かせる必要はないんです。それがいったん子宮の外に出ると、環境が激変します。――居心地のいいお母さんのおなかから、急に外に出てくるわけですもんね…。赤ちゃんにしてみれば「なんだ、ここは!」ってびっくりすると思います(笑)。榊原先生:そうです。赤ちゃんは生まれてすぐ、まぶしい光、さまざまな音、体に感じる重力といったものにいきなり対応しなければなりません。それに成長するにつれて、立って歩いたり、指先を細かく動かしたり、言葉の使い方なども知っていかなければなりませんよね。実はこれらは基本的に、すべて神経系の受け持ちなんです。だから神経系は生まれたその瞬間から、いっそう活動を活発化させていくんです。――なるほど。体が小さいうちに神経系の働きがものすごく活発になるから、最初から脳、つまり頭が大きくなっているということでしょうか?榊原先生:そうです。これには脳の発達スピードも関係しています。脳を中心とした中枢神経は、成長や発達にともなって、フル回転で機能を発揮しなければなりません。そのため赤ちゃんの脳の中では、機能を充実させるための「突貫工事」が急ピッチで進められているんです。――短時間で一気に発達しようとするんですね。榊原先生:乳児から幼児期前半は、人生の中で脳の発達がもっとも著しい時期といわれています。神経系の発達はほかのシステムに比べ、とても早い時期に行われるんです。だから、小さな子どもの頭が大きく見えるのは「脳が大きい」から。そして脳が大きくなるのは「神経系を急いで作り上げなければならないから」といえるでしょうね。■「子どもの“顔つき”が変わった」どうして?――子どもの顔を見ていると、小さいころとは顔つきが変わったように感じることがあります。赤ちゃんのころは男女差があまりないように感じるのですが、顔つきの変化はどうして起こるのでしょうか?榊原先生:顔は成長するにつれて変化していきます。要因はいろいろですが、頭蓋骨とその中にある脳は、4歳くらいまでに急激に大きくなるので、顔の形が大きく変わる時期でもあるんです。だからこの年齢で「顔つきが変わった」と感じるお母さんもいるかもしれません。――顔の大きさや形って、印象に影響するものなんですね。榊原先生:影響すると思います。一般的には目や口、鼻の配置などが大きく変わると、顔の印象も大きく影響を受けると思うでしょう。それもありますが、実は皮下脂肪や顔の表情をつくる表情筋の発達なども、印象を大きく変えるんですよ。――顔の皮下脂肪や、表情をつくる筋肉も、顔を印象づける要因になっている…?榊原先生:子どもの顔を見ると、皮下脂肪が多くてふっくらと丸顔であることが多いですよね。これは人に限ったことではなくて、動物全般に当てはまることなんです。ふっくらと丸顔であることで、かわいい印象を周りに与えているんです。――確かに、ふくふくとした真ん丸のほっぺを見ていると「かわいいな~」と思いますし、抱きしめたくなります(笑)。榊原先生:大人になると皮下脂肪が薄くなり、重力の影響もあって、顔はどんどん細長くなっていくんです。丸顔から、細長い顔に変わっていく。だから、印象が変わったように見えるんですね。それから、日常的にどんな表情をしていることが多いか、表情筋をどう使っているかということも、顔つきの印象変化に関わってくると思います。――なるほど。顔のパーツ、大きさ、脂肪、表情筋のつき方…。顔つきを変える要因はひとつじゃないということですね。榊原先生:そうです。いずれにせよ、顔つきは「急に変わる」ということはありません。顔の印象は年齢とともに少しずつ変化していくものなんですね。今回は、体の中のシステムなどちょっと難しいお話もありましたが、赤ちゃんの頭が大きい理由について知ることができました。神経系はお母さんのおなかの中にいるときから少しずつ働き、この世界に誕生してすぐにフルスピードで発達し始めているんですね。先生のお話をうかがったことで、赤ちゃんは生まれた瞬間から「生きることに一生懸命」と感じ、がんばれ! がんばれ! と応援したい気持ちが芽生えました。小さな体の中ではさまざまな変化が起こり、日々新しい何かが生まれているんですね。次回は、「子どもの寝相はどうして悪い?」「寝るときに手足が温かくなるのはなぜ?」など、子どもの睡眠にまつわる疑問についてお話をうかがいます。お楽しみに…!参考図書: 『大人が知らない子どもの体の不思議』 (講談社)榊原洋一著子どもと大人はどう違うのか。それは単に大きさだけの違いではありません。どうして夜泣きをするの? どうして寝相が悪いの? どうして落ち着きがないの? 子育て中に親が抱く「答えが見つかりにくい質問」にエビデンスの精神で解答することを試みました。子どもの心と体の不思議を理解する、手助けとなる一冊。
2019年01月31日皆さん、耳鼻科ってお好きですか?私は苦手です。なぜかというと、細長い管を鼻の奥まで入れられる鼻掃除がつらいから…。以前、急性副鼻腔炎にかかり、耳鼻科通いをしていた時期がありましたが、毎回この鼻掃除が憂うつでした。子どもたちを連れて診察に行ったときは、すごいしかめっ面で処置されている顔を見られ、大笑いされてしまったことがあります。そんな子どもたちも、もちろん耳鼻科は苦手です。■「もう絶対行かない…!」と涙した娘近くの耳鼻科は、そんな子どもたちの苦痛をわかっていて、診察が終わるとコインが一枚もらえてガチャガチャが一回まわせるようになっています。三度の飯よりガチャガチャが好きな娘ですが、一度行った以来、耳鼻科は断固拒否です。風邪をひいたときは、小児科を受診すべきか耳鼻科を受診すべきか悩みますが、娘には耳鼻科という選択肢ははなからないようで、「小児科いこ! 小児科がいい! 」を連呼します。どちらでも診てもらえそうな症状のときは問題ないのですが、ある日息子が耳の痛みを訴えたときは、中耳炎の疑いがあったので耳鼻科に行くしかありませんでした。耳鼻科に向かう車の中で、「今回は弟が診てもらうだけやんね? 私は何もされないやんな? 」と、娘は何度も繰り返しきいていました。■全然平気な息子…それを見た娘は前回、娘と同じように泣いていた息子でしたが、今回は泣かないばかりか、うんともすんとも言いませんでした。それには娘も私もびっくりしました。「すご~い!かっこいい~!」二人で息子を褒め称えると、「でんでん(全然)いたくなかったもん!」と得意そうな顔をする息子。そして数日後、娘が鼻水だらだらになり、病院に行く機会が訪れました。だめもとで「お鼻のことやし、耳鼻科行ってみる?」ときいてみると、思いがけない言葉が返ってきたのです。■弟の姿に触発され、耳鼻科リベンジ!「お鼻のやつは怖いけど、弟も泣かずにできたんだから、私もやってみる!」と、いうわけで…いざ耳鼻科リベンジ!看護師さんにコインをもらって、颯爽(さっそう)とガチャガチャをしに走る娘。大人が言葉でどれだけ「怖くないよ」「痛くないよ」と言っても効果はなく、『自分と同じくらいか、もっと小さい子でもできている』というのが娘にとって一番説得力があったようでした。また、「病は気から」と昔からよく聞きますが、同じ痛みでも「すごい痛い」と思えばそう感じるし、「あんまり痛くない」と思えば本当に痛くなくなる…ということもあるんだろうと思います。注射でも同じですよね。実際の痛みはちょっとつねられた程度でも、「皮膚に針を刺して、そこから薬を注入する」って考えると、恐怖心によってたちまちすごく痛く感じるから不思議。前回は一緒に鼻掃除で泣いていた息子が泣かなくなったことで、「あ、これは大丈夫なやつだ。だって自分より小さな息子だってできているんだから」という気持ちが娘を強くしたようです。これで心置きなく耳鼻科に行けるようになり、ほっと一安心です。
2019年01月25日寒い日が続き、我が子のまわりでも風邪が流行っています。みなさんはいつ頃、どのようにかかりつけ医を決めましたか?今回は、わたしがかかりつけ医を選んだポイントをまとめてみました。小児科デビューは、地元で人気のクリニック人の病院の付き添いなんてあまりしたことがなかった私。自分自身も特にかかりつけ医がいるわけではなく、ましてやまだ自分で症状の説明もできない赤ちゃんのお医者さん探しとなるとより慎重に…。息子の産まれた産院では、すぐにかかりつけ医を決めるよう指導していたので、出産後すぐ近くの小児科の場所や数、評判をチェックしていました。実は、息子の初めての小児科受診は、退院して二日後のお昼頃。検温すると、なんだか熱が高い…!リサーチしておいたなかから、急遽一番近所にある小児科に行ってみることに。急な病気の時に頭に浮かぶ病院がいくつかあるのはとても心強かったので、妊娠中や産後すぐに小児科のリサーチをしておくことは大切だなぁと実感しました。息子が診てもらった先生は、感じがよく信頼できそうな印象。新生児~低月齢のうちは病院にかかる基準がわからない新米ママの私に、「心配しすぎくらいでいいですよ」と言ってくれたのも安心できました。結局、この小児科がそのままかかりつけ医に。通うようになって後から知ったのですが、ここの小児科地元では超人気。病児保育やおでかけ広場も併設していて、地元の人の小児科検診やワクチン接種はだいたいここなんじゃないかというくらい。風邪が流行っている時期などはすごく混みますが、何人か先生がいるし、ネット予約も出来るので長時間は待ちません。どの先生も感じがよいから質問しやすいし、親身に向き合ってくれることが一番の良いところでした。立地や設備も、病院を選ぶ条件に先生の印象のほかに、病院を選ぶ基準となるのは、通いやすい立地と、院内の設備。距離が近いというだけでなく、アクセスが良い立地であることも大事。私にとっては保育園の帰りにサクッと寄れる場所にあるというのもポイントでした。また、院内の設備も病院の心遣いの表れのひとつ。月齢が低いうちは少し離れたところの待合を使わせてくれるのは、伝染する風邪が流行っている時期などには有難かったです。もちろん、オムツ替えシートも完備、清潔なキッズスペースもあり、待合ベンチの配置や院内の雰囲気は総じて心地よいものでした。最近では、ワクチンや検診の予約がネットでできるかどうかも、病院選びのポイントに。具合の悪い赤ちゃんを抱えて電話するのは大変だし、診療時間外に調子が悪くなったときにもネットで予約すれば安心できます。いざという病気のときに、大型病院への連携は?また、いざという病気が判明した場合や、風邪が悪化して入院が必要な症状になってしまった場合など、その小児科がどういった大病院と連携しているかも大事です。小児科のサイトに、地域連携医の登録などが記載されていると知ることができます。息子を出産した病院は小児分野が専門の大病院で、自宅からバスで30分ほどかかりますが、救急もやっているので心配な症状の時は足を運んでいます。最新の研究も行ってるので、マイナーな病気を見逃してしまうなんて可能性も低い気がするので、地域の総合病院を知っておくのはリスクヘッジにつながると思います。かかりつけ医が、なかなか見つからない場合は?私の知人には、通っていた小児科が閉院になったり、「なんだか先生と合わない…」と感じているママも。そんなときに何よりタメになるのが、やっぱりご近所ママたちの声。児童館や地域の子育てセンター、保育園や幼稚園ママたちに話を聞いてみて。また、乳幼児家庭訪問で来た保健師に、地域のママたちが通っている小児科を聞いてみてもいいかもしれません。でも一番はやっぱり、自分と自分の赤ちゃんが、その小児科に合うかどうか。小児科難民だからっていろいろなところを転々とするのはおすすめできませんが、小さなうちは予防接種項目が続くので、数院回ってみるのも手。納得できるかかりつけ医選びのためにも、かかりつけ医が休診だったときのためにも、いくつかの小児科を知っておく方がいいと思います。保育園生活スタート、鼻水の症状は耳鼻科に!保育園入園前は、前述した小児科だけに通っていた息子。しかし、入園後は治れども治れどもちょっとした風邪をうつしあってしまい、鼻水がだらだら出ている状態が続いたことも。基本は家の自動吸引器で吸ってるのですが、あまりにひどい時は病院に行きます。鼻水の症状が強い場合は、小児科ではなく耳鼻科に連れて行くように。耳の中を細かく見たり、薬をつけたりする機械などが耳鼻科のほうが充実しているからです。こちらも、近所の耳鼻科が一児のママである先生がやっていて、子どもを診せやすかったのでかかりつけに。待合にキッズスペースもあったり、ネットで順番待ちも出来るので助かっています。小児科以外の病院にかかる場合、子供歓迎の雰囲気があると◎。風邪から中耳炎になりかけてしまったときにもすぐに見つけてくれて薬もよく効いたのでこれからも耳や鼻の症状はこちらにかかろうと思っています。最近では、なんだか耳を気にしているなと思って耳鼻科に連れて行ったらものすごく大きな耳垢が!綿棒ではとれない耳垢ってよくあることらしく、いつでも来てくださいねと言ってくれました。お子さんの様子が気になったら行ってみてくださいね。1歳を過ぎた頃から…、歯医者さんの選び方は?息子は、1歳ではじめての歯医者さんを経験。歯磨きが苦手な息子に悩んでいたので指導を受けたかったことと、フッ素塗布がきっかけです。歯医者さんは口の中を長時間診るため、こどもが嫌がってしまうと診察にらないので、お医者さんとの相性はとっても大事。赤ちゃん慣れしていて優しい先生のところに通うことにしました。それでもやはりグズりますが、なんとか診察できています。小児専門歯科もたくさんありますが、虫歯や病気などでない場合は、検診やフッ素塗布がメインなので、近所で通いやすく雰囲気の良い歯科で十分かなと思います。病院へ行く時の注意点!診察時の吐き戻しの心配があるので、診察の30分~1時間前までには食事や授乳を済ませておきましょう。熱を測ったり、防寒やマスクも忘れずに。病院へいくときは、保険証、乳児医療証、診察券、お薬手帳、この4点セットは、母子手帳ケースにまとめて!それと子どものことに気を取られて忘れがちですが、感染予防にママ用マスクも必須です。キッズスペースや絵本がない病院では、おもちゃや絵本があると待ち時間に退屈させずに済みます♪着替えやオムツなども適宜持参して。子どもが風邪や病気、ケガなどでつらいときにママが焦ってしまっては本末転倒。信頼できるかかりつけ医さんにを見つけて、親子で安心して診てもらえるといいですね。
2019年01月11日婦人科検診で受けられる検査は?ひとことで、婦人科検診といっても、受ける病院や人間ドックによって検査内容は様々です。なので、検診を申し込む前に、どのような検査内容が含まれているのかを事前にチェックしておく必要があります。一般的には・子宮頸がん検査・内診・子宮体がん検査・乳がん検査が挙げられます。 婦人科検診は何歳から受けられるの? 婦人科検診は、何歳から受けるべきという基準は特にありません。いつでも婦人科を受診することは可能ですし、自治体などでは30歳を過ぎると1年に1回程度、子宮がん、乳がんなどの検診を受けることができます。婦人科の病気と言ってもいろいろあります。内科などと同じく、症状が現れてからの受診でも治る病気がほとんどですが、がんなど、症状が出てからでは遅すぎる病気については、定期的に検査をしておくほうがよいでしょう。 婦人科の選び方と予約方法 どんな病院を選んだらいいの?インターネットで検索して評判の良い病院、家や通勤途中にある病院、一度電話で問い合わせして対応の良い病院、女医さんのいる病院など…。選ぶ基準は人それぞれですね。特に気をつけたいのは、乳房の検査をしたいときです。子宮や卵巣の検査は婦人科ですが、乳房の検査は、基本的に外科だということを覚えておくとよいでしょう。婦人科でも乳がん検診をしてくれるところもあるので、事前に確認することをおすすめします。また、最近では、乳房を専門に見てくれる乳腺外来も増えているので、そちらを探してみるのもおすすめです。 予約の仕方は?受けたい検査をしてくれる病院を見つけたら、まず電話やネットで予約。そのときに気をつけたいのは、月経日です。時期によっては受けられない場合があるので、あらかじめチェックしておきましょう。 婦人科検診当日の準備。必要なもの、服装は? 必要なものは?保険証、費用は忘れないようにしましょう。クレジットカードが使えないところもありますので、予約の段階で、あらかじめ費用などと合わせてチェックしておくとよいですね。 診察費はいくらくらいなの?・STD(性感染症)を疑って受診した場合自己負担額は6,000円~11,000円ほどです。内訳としては、だいたい以下の通り。初診料:保険適用3割負担で800~1000円ほど検査費用:4,000~9,000円ほど薬代:1000円前後自費診療の場合は、総額で15,000~20,000円ぐらいが相場となります。 ・子宮頸がん、子宮体がん検診の費用自治体からの公費検診であれば、無料から、2,000円程度の自己負担が一般的です。また、自費診療の場合は、各機関によって異なりますが、子宮頸がん検査のみで、3,500円~6,000円程度というケースが多いようです。 服装は脱ぎ着しやすいもので検診の当日は脱ぎ着しやすい服装で向かいましょう。診察台では下着を脱ぐ場合もあるので、パンツスタイルより長めのスカートが◎!検査着を用意してくれている病院もあるので、事前に確認してみましょう。 なるべくナチュラルな状態でメイクはせずに、すっぴんに近い方が、顔色の状態が分かりやすく貧血などの症状もわかるのでベターです。 婦人科検診でわかる病気 婦人科にかかわる病気には、以下のものが挙げられます。・乳がん・HPV(ヒトパピローマウイルス)または子宮頸(けい)がん・子宮体がんが挙げられます。それでは、それぞれの検査の内容について解説していきましょう。 乳がんの検査について 乳がんってどんな病気?乳がんとは、乳房組織に発生する悪性腫瘍のこと。妊娠・出産経験のない人の方がなりやすく、30代でも発症する病気です。乳がんは、早期発見し、治療を開始すれば完治が可能な病気。ですので、乳がん検診は定期的に受けることが大切です。 乳がん検査の方法は?乳がん検診は上半身裸で行います。基本的な流れは以下の通り。【視診】↓両側の乳房をくまなく観察します。↓【触診】しこりを探します。↓【医療機器による検査】マンモグラフィーか超音波検査のどちらかを合わせて行います。施設によっては、マンモグラフィーと超音波検査を両方とも行うところもあります。それぞれの方法に一長一短はありますが、一般に、40代より上の年齢ならマンモグラフィー、40代より下の年齢ならエコーが推奨されます。 マンモグラフィーとは?検査って痛いの?マンモグラフィーとは、乳房専用のレントゲン検査を行う装置のこと。マンモグラフィーは乳房を上下に挟んで一枚、さらに挟んだ状態で斜めにねじって一枚撮影する方法が一般的です。欧米人のように乳房にボリュームのある方は挟みやすく、挟まれる痛みもそれほどありませんが、東洋人は比較的乳房のボリュームがなく、特にやせて乳房の小さい方は挟みにくいので、多少挟まれる痛みがあると思います。しかし、個人差はありますが我慢できる程度の痛みですので、さほど心配はないでしょう。 HPV・子宮頸がんの検査について 子宮頸がんってどんな病気?子宮にできる悪性の腫瘍(しゅよう)のうち、子宮の入り口にできるものを子宮頸がんと呼びます。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)という病原体のうち、高リスク型HPV感染により発症します。このHPV はほとんどが性行為による感染とされていて、約80%の女性が一生のうちに一度はHPVに感染するといわれています。 HPV・子宮頸がん検査の方法と流れ・HPV高リスク型HPV感染を調べます。検査室でおりものを採取し、ウイルスの有無を判定します。子宮頸部の細胞診と同時にHPV検査も行うこともあります。医師にしてもらう他、自己採取で検査する方法もあります。自分で膣の中に綿棒を入れて、おりものを採取する方法です。ただ、自分で綿棒を入れるほうが怖いということであれば、医師に採取してもらいましょう。また、自宅などで自分で採取した子宮頸部の細胞を郵送し、検査してもらうサービスもあります。 ・子宮頸がん一般的に次のような流れで検査します。病院によって異なる場合があります。【問診】↓【視診】下着を取って内診台へと向かい、医師が子宮、おりものなどの状態を目で診ていきます。↓【内診(触診)】医師が直接、膣内に指を入れ、腫れ、しこり、その他の異常がないかを確認します。↓【細胞診】クスコという器具を膣に入れて中を広げ、子宮の入り口をブラシで擦って細胞を採取します。クスコは様々な大きさのものがありますが、一番小さいものだと人差し指くらいです。性行為の経験がなく不安な方は、受診の際に初めて検診を受けることを伝え、一番細いクスコを使ってもらえるよう、あらかじめ相談しておくといいでしょう。細胞診でがんが疑われる場合は、さらに精密検査を行います。 子宮体がんの検査について 子宮体がんってどんな病気?子宮にできる悪性の腫瘍のうち、子宮体部(内膜)にできるものを子宮体がんと呼びます。子宮の入り口に発生する子宮頸がんとは性質が異なります。症状としては不正出血、おりものの増加などがあり、子宮体がんになる前段階から見られることがありますので、月経の不順と簡単に片づける前に疑いを持ってみましょう。逆に子宮体がんになってからも自覚症状が全くない場合もあるので、早期発見には定期的な検診がもっとも重要です。ただし、自治体や会社などで行われる検診は、頸がんの検診だけのことが多く、体がんを発見するのは困難です。また、月経不順は子宮体がんだけでなく、ほかの病気の兆候であることも多いので、繰り返しになります、「体質だから」と簡単にとらえずに、積極的に婦人科の診察を受けることをおすすめします。 触診や機械での内診は、絶対に必要なの?検診には、視診、指での触診の他、「プローブ」という細長い超音波器具を膣に入れる経膣エコーの検査を受けることがあります。ただし、膣内に器具を入れることに抵抗があるようであれば、検査の際に「経膣エコーの代わりに腹部エコーかCT/MRIで検査してほしい」と話してみてください。受診前に問い合わせをしたり、かかりつけのお医者さんに、この点を記載した紹介状を書いてもらったりするのもよいでしょう。 子宮体がんの検査方法と流れ一般的に次のような流れで検査します。病院によって異なる場合があります。【問診】↓【視診】医師が性器周辺、膣内、分泌物のチェックをします。↓【内診(触診)】子宮や卵巣の状態を、腟から指を入れて調べます。肛門から指を入れ、直腸やその周囲に異常がないかを調べることもあります。↓【細胞診】子宮口から細い器具を挿入し細胞を採取し、検査します。分泌物や子宮細胞の検査結果はだいたい一週間後くらいかかります。細胞診でがんが疑われる場合は、さらに精密検査を行います。 わかれば怖くない!婦人科検診に行ってみよう 子宮頚がんと乳がんは一番早期発見しやすいがんであり、早期発見すれば、命を救うことはもちろん、子宮や乳房を温存する治療法も選択できます。また、がん以外でも、子宮筋腫や卵巣のう腫などの病気であれば20代でも多く見られることがあります。様々な婦人科の病気を早期に発見するためにも、若いうちから定期的に検診を受けたり、異常を感じたらすぐに受診することが大切です。怖がらないで、ぜひ検診を受けてくださいね。 wellfyより
2018年12月11日専門家・プロ:野﨑誠第3回社会に出ると湿疹ができるの法則秋の湿疹のお話3回目は、「社会生活と湿疹」についてです。社会生活が関係するのは学童期以降であって、それ以前の年齢は関係ない?いえいえ、そうとも言い切れないのです。皮膚科外来をのぞけば湿疹の予測ができる秋になぜ湿疹が悪化するのか?その答えは9月上旬の皮膚科外来にヒントがあったりします。その時期の皮膚科では、一部の年齢層の子の来院が一時的にガタッと減ります。そして、9月下旬から10月にかけて戻ってくるんですね。さて、どの年齢の子たちでしょうか?答えは幼稚園児から小学生にかけてです。とくに小学生にその傾向があります。原因は学校。夏休みが終わると急に慌ただしくなります。通学という生活習慣に慣れるまで、どうしても病院に行く時間が取れなくなってしまうんですね。とくに湿疹の治療は緊急性はあまりありませんので、どうしてもあと回しにされてしまいます。え、夏休みの宿題が終わっていない子もいるのか?さすがにそういう子は耳にしませんが・・・幼稚園児に比較的その傾向が少ないのも同様の理由から。小学生に比べて自発的に生活を組み立てているわけではなく、家族に連れられての受診になりますので、9月になったからといって小学生ほど大きな生活の変化はないようです。ただしお母さんがバテてしまい受診できない子はいるようですね。つまり、夏休みが明けてすぐの時期には皮膚科の受診は減り、その間に湿疹が悪化してしまうパターンが結構多く見られることになります。子どもだってストレスフルなんだ子どもの側から見ていきましょう。夏休みが終わると、どうしてもバタバタします。程度の差はあるでしょうが、夏休みのマイペースな生活習慣を学校生活に合わせて修正していかなければなりません。そしてまた、学校の社会関係の中で長い時間を過ごしていくという、非常に大きなストレスを抱えることになります。ときには眠れない夜を過ごす子もいるでしょう。これは小学生だけではなく幼稚園児にもその傾向はあります。家族と離れて生活する時間が増えるのですから。この生活の変化がストレスとなり、結果として湿疹を悪化させてしまうということも十分に起こりうるのです。いや、子どもたちも大変です。学校行事も湿疹を悪くする秋の学校行事も9月末ごろから続々と入ってきます。その筆頭となるのは運動会でしょうか。最近は春に行なうところも多いようですが、2学期が始まってから運動会の練習がスタートするところも多いようです。運動会の練習は湿疹に対してはくせものです。大汗をかき、泥だらけになります。この時期だけは他の科目の時間まで体育の時間にあてて運動会の準備や練習に取り組んでいる小学校も多いようです。こうした環境は湿疹を治療する立場からすると非常に憂慮すべき状態です。先に述べた行為はすべて湿疹を悪化させる要因となるからです。だからといって練習をやめなさいとは言えないですし・・・皮膚科医にとって悩ましい時期となるのです。また、遠足だったり、おいも堀りだったりといったイベントも汗と汚れから湿疹を悪化させます。とくに指先の湿疹ですね。やっと治ったと思った翌週に遠足に行って指の湿疹を悪化させた子も数多くいます。はあ。治療はすごく大変なのです実は最も治療に苦労するのが、この社会的活動からくる湿疹です。まず厄介なことは、予防がほとんどできないこと。今までのお話のように汗にはシャワーで対抗し、乾燥には保湿剤で対抗するというような単純な対策が取れません。湿疹を治すためだけに運動会に出るなとは言えませんしね。なので、皮膚科医としてはできるだけこのようなイベントで皮膚が悪化しないように願う限りだったりするのです。練習のとき、暑くなりすぎないように、さりとて乾燥しすぎないように。太陽にも程々に隠れてもらって、かといって雨に降られても困ります(スケジュールが遅れてしわ寄せがきて、湿疹も悪化するのです)。ヤキモキする毎日です。と、このように社会活動がダイレクトに影響してくるのが湿疹の特徴ともいえるでしょう。皮膚科医って、実はこんなところにも目配りをしているんです。というお話でもありました。ここ3回は体の外の原因についてお話をしてきました。最終回となる4回目は、体の中の原因について触れていくことにしましょう。ではでは。おまけ気象・社会生活と皮膚についてちょっとだけこぼれ話をしましょう。「手湿疹」という病気があります。子どもたちも結構な頻度で手先や指先が剥けたり割れたりする病気です。この原因はいろいろありますが、その1つが汚れること、力がかかることです。実はこの手湿疹、今年の7月から8月にかけて、比較的良くなる子が多かったです。例年は悪くなる子のほうが多いにもかかわらずです。なぜでしょうか?答えは熱波です。熱波が直接湿疹に作用したわけではありませんよ。気温があまりにも高くなりすぎたので、みんな外で遊ぶことを止めたんですね。子どもの手湿疹の原因は想像の通り、砂遊びからの汚れなので、外遊びに行けなくなったことが湿疹を良くしたのでしょう。また、あまりの暑さのためにうんていや鉄棒で遊べなくなり、結果的に湿疹が良くなったと言っている子もいました。気象条件って、これだけ皮膚に影響してくるんですね。勉強になった今年の熱波でした。関連記事秋 -季節の変わり目‐ になぜ湿疹が悪化するのか第1回夏の戻りが湿疹を呼ぶ第2回冬の始まりが湿疹を招く野﨑誠(のざきまこと)わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市・皮膚科、小児皮膚科)院長。国立成育医療センター(小児皮膚科)、東京都立東大和療育センター(皮膚科)勤務。2001年山形大学医学部卒業山形大学医学部皮膚科入局山形県公立置賜病院(山形県長井市)、国立成育医療センター(東京都世田谷区)、はせがわ小児科医院(東京都武蔵野市)などの皮膚科・小児皮膚科を経て、2013年、わかばひふ科クリニック(東京都武蔵野市)開院。院長を務めるかたわら、専門家向け、一般向け、教育機関(保育園、幼稚園、小学校、中学校など)向けの各種講演会、勉強会を精力的にこなす。雑誌他執筆多数。広い年齢層の皮膚病、あざの治療やスキンケアに携わる。わかばひふ科クリニックWebサイト
2018年10月16日子どもに発熱はつきもので、対応や処置について判断が迷うことでしょう。そんなみなさんのために、 前回 は子どもが発熱した時の救急受診する目安や判断基準についてお話しましたが、今回は子どもが発熱した際のホームケアについてお話します。意外と出来ていない? 正しい体温計の使い方まずは、正しく体温計を使って正確に体温を測定しましょう。耳式体温計はやや低くなる傾向にあるので注意してください。検温のポイント汗を拭いて、熱の伝導率が異ならないようにする体温計が下着に触れぬよう、気をつけるわきの中心に体温計をあてる体温計の先を下から少し押し上げるようにして、わきをしっかり閉める測る時はいつも同じ測り方をする参照サイト: omron公式サイト 熱がある時にお風呂は入っていいの?発熱していても、ぐったりしていなければお風呂に入ってもいいでしょう。ただし、外からあたためることで体温が高くなることもありますし、お風呂では汗をかいて水分が失われますから、子どもが辛そうな時は控えて下さい。ややぬるめのシャワーで軽く流す程度なら負担は少ないでしょう。熱がある時は温めるべき? 冷やすべき?一般的に熱の上がり始めの時は寒気を感じやすいです。寒気を感じたら温めた方が良いでしょう。上がりきってしまうと今度は体が熱くて辛いので、冷やしたほうが気持ち良いです。首、脇、そけい部(足の付け根)には太い血管がありここを冷やすほうが効率的です。おでこに冷却シートを貼っているお子さんをよく見かけますが、冷却の効率は良くないですし、はがれて鼻の穴を塞いだりといった事故も生じているので、あまりおすすめはしていません。私は、市販の繰り返し使える子どもの脇の下冷却袋をおすすめしています。冷却袋に紐が付いているので、簡単に装着でき、寝ている子どもにも利用できます。室温や湿度は何度くらいに保ったらいい?エアコンなどで過ごしやすい温度に調節してください。夏であれば26~28℃、冬は20~23℃くらいが目安です。風邪で咳や鼻症状がある時などは乾燥した空気は刺激になるので、湿度60%程度を維持できるよう調節してください。食欲がない時はどうすればいい?熱がある時は子どもはぐずぐずして食欲も低下します。食欲がない時は無理に食べなくてもかまいません。その代わり脱水が心配されますので、水分をこまめにとりましょう。水分だけでなく塩分や糖分も必要ですので、経口補水液やスポーツドリンクを使用してください。解熱剤は使わないほうがいい?発熱そのものは正常な生体反応ですので元気であれば不要です。しかし、高熱で辛い時や寝れない時には使用してもかまいません(38.5度以上が目安)。ただし、解熱剤の効果は4~6時間ですので、効果がなくなれば再度熱はあがること、解熱効果はせいぜい約1℃ほどで必ずしも平熱にまで下がるわけではないことに注意してください。また、子どもは「痛み」をうまく伝えることができません。発熱していて不機嫌な時、実は頭などが痛いということもあります。解熱剤や鎮痛剤には痛みどめの効果もありますから、発熱していて機嫌が悪い時は使用を考慮してもいいでしょう。様子をみても大丈夫かどうかは前回の記事 「子どもが発熱! 救急受診する目安や判断基準は?」 も参考にしてください。朝起きたら平熱だった。登園(登校)しても大丈夫?体温は一日の中でも変動しています。おおむね朝に一番低く、夜に高くなります。朝に低くても、登園してから午後に発熱してしまうことは多いです。熱が下がったといえるのは丸一日平熱になってからでしょう。風邪をひいている時の外出の目安は?おたふくかぜやインフルエンザなど、厚生労働省が出している、学校保健安全法で定められた出席停止基準のある感染症は原則として登園(登校)不可=外出不可と考えてください。詳しい出席停止期間は 公益社団法人日本小児科学会 学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 を参考にしてください。一方、そのほかの病気については明確な基準はなく、各自で判断しなければなりません。発熱や咳などの症状がある時は、人にうつす可能性がありますし、本人にとっても負担ですから可能であれば外出は控えた方が良いでしょう。しかし、兄妹のお迎えや必要なものを買い出しに行くなど外出しなければならない状況もあるでしょう。外出の必要度やマンパワー、体調や症状などを天秤にかけながら判断していくことになりますが、難しい時はかかりつけ医で相談してください。安静にできない子どもとの過ごし方はどうする?このように外出ができない場合でも、子どもはちょっと元気になってくると動きたくてうずうずしてきます。体調が悪い時は絵本やブロックなどの静かな遊びがいいでしょうが、しばらくしたら飽きてきてしまいます。体調不良時用に新しいおもちゃをストックしておくと、最初は新鮮な気持ちで遊べて少し時間はもつでしょうが効果は一時的なものです。あくまで体調をみながらですが、発熱などがあってもある程度元気で動ける時は、少しアクティブな室内遊びも許容していいのではと思います。「安静に」といっても子どもにとっては難しいですから、比較的元気なタイミングに多少体を動かす遊びもとり入れてもいいでしょう。その子によっても体調によってもでき得る安静の度合いは異なります。状態にあわせて無理のない範囲で遊んでください。最後に、子どもが熱をだすと手がかかり保護者も疲れてきます。そして看病をしている親にも風邪がうつることはよくあります。子どもの具合が悪い時には自分の優先度は低くなりがちですが、体調管理のためにしっかり栄養をとり、寝れる時には寝てください。そして体調不良の中の看病はとても大変ですから、元気な人がお仕事を休んだりして看病を交代してくださいね。
2018年09月24日子どもたちの肌に関する知っておきたいマジメなことから、皮膚科の先生にはなんとなく聞きにくいキッズビューティに関することまで。女性誌やTVなどでも大活躍の美容皮膚科医、髙瀬聡子先生が回答してくれます!答えてくれたのは……髙瀬聡子先生ウォブクリニック中目黒総院長。皮膚科医、美容皮膚科医。自身もふたりのお子さんを育てる先輩ママとしての経験も踏まえ、皮膚科学会での見解なども盛り込みつつ、回答してくれました。Q. 幼稚園児や保育園児のスキンケアって意外とわからない。どうすればいいの?0歳からのエイジングケアという発想で誕生。敏感なキッズにもOKの精油を慎重に選び天然由来成分99%以上で、完成。キッズたちの心にまでアプローチ。左から)ベビー&キッズ スキン ピュアソープ 80g ¥2800、同 ミルキーエマルジョン 150ml ¥3500、同 UVミルク SPF30・ PA+++ 50g ¥3500(11/7発売)/THREE(0120-898-003)A. 繊細だからこそUVケアはマスト。落とすケアも忘れずに。夏はプール、秋には運動会に向けての練習が毎日あったり。そもそも天気がよければ毎日外遊びが基本。日光を浴びることはカラダにとってメリットも多いですが、強い紫外線は肌にダメージを与える可能性大。とくにまだ皮脂腺が発達しておらず、バリア機能が弱いキッズたちには刺激になりやすいのです。だから、日差しの強い季節はとくにUVケアはマストです。子どもには、ノンケミカルなど刺激の少ないUVケアが◎。ベビー&キッズ用が安心です。また、ぜひ意識して欲しいのが、毎日、きちんと洗って落とすということ。オフがおろそかだと、またそれが刺激になって新たなトラブルに繋がります。ちなみに、顔やカラダを洗う洗浄料は、皮脂腺が発達し、バリア機能がオトナの状態に近づく小学校の中学年ぐらいまでは、ベビー&キッズ用がオススメです。そして、保湿もぜひ。実は顔は皮脂腺が発達しているので、顔の保湿必要がないお子さんもいますが、カラダは皮脂腺が少ないため、保湿をしてあげたほうがベター。シンプル処方で刺激の少ない保湿ミルクなどを選びましょう。Q. レジャーやリゾート、運動会などで赤くほてるほど日焼けしてます。どうしてあげればいい?左)赤ちゃんの肌や敏感肌にもOKの温泉水100%スプレー。ほてった肌を鎮める効果も。アベンヌ ウオーター 150g ¥1500(編集部調べ)/ピエール ファーブル ジャポン(0120-171-760)右)赤ちゃんの肌に使える安全性が認められた綿100%コットン。肌あたりがふわふわとやさしい。フェイシャルコットン L(ソフト) 120枚 ¥380/アルビオン(0120-114-225)A. まずはオトナと同じで冷やすこと。水コットンパックもオススメです。赤くほてっているのは軽いヤケド状態。ここできちんと鎮めておかないと炎症がひどくなり、さまざまなトラブルを引き起こすことに。子どもはなかなかじっとしていないので難しいですが、冷水を含ませて絞ったタオルなどをあてて、熱がとれるまでしっかりとクーリングするのが◎。腕や脚などであれば、冷たいシャワーをやさしくかけてあげるのもありです。注意したいのが保冷剤や氷を使って冷やすとき。クーリング効果は高いのですが、直接あてると肌にくっついてしまい、はがすときに皮がむけてしまうなんてことも。必ずタオルなどでくるんであてるようにしましょう。また、赤くほてっているときは、肌はもちろん、カラダも脱水している可能性あり。水やスポーツドリンクなどでこまめに水分を補給するようにしましょう。ちなみに赤みやほてりがひどい場合は、本格的にヤケドしている可能性も。この場合は、皮膚科を受診するようにしてください。ほてりや赤みがおさまったら、今度は肌にも水分補給を。オススメはコットンがひたひたになるぐらい温泉水ミストなどをたっぷりと含ませて、肌にぺたっとはりつけてパック。水分を補いながら、やさしくクーリングする効果も狙えます。もし温泉水ミストがなければ、ミネラルウォーターでもOK。無添加や低刺激性の化粧水を含ませるのもありです。では、シートマスクでもいいのでは?と思うかもしれませんが、あまりオススメはできません。保存料などが含まれている可能性があり、それが子どもの肌にとっては刺激になることがあるからです。いろいろ入っていないシンプルな処方のもので水分を補い、その後、普段、使っているマイルドなミルクを重ねてあげればOKです。Q. 3歳ぐらいから口紅を塗りたがるオシャマガールたち。どんな口紅ならOK?100%天然由来原料を使用。唇を潤しながら保護し、荒れも予防。ほんのり淡く発色し、つるぷるの唇に。左から)ナチュラグラッセ トリートメント リップオイル 01、同02 各¥2300/ネイチャーズウェイ(ナチュラグラッセ)(0120-060802)A. なめることも想定して、ナチュラルでオフしやすいものを。ママのメイクを見て“私もやりたい!”ってなりますよね。実際、キッズ用のコスメも今は充実していますが、キッズ用かどうかというより、もしなめたり、食べてしまっても安心なもの、という基準でセレクトを。そういう意味では顔料が少ない方が◎。オフするときの刺激を考えても、ナチュラル系で薄づきのものを選ぶのがいいでしょう。また、七五三や結婚式へのお呼ばれなどで濃いめのリップを使ったときは、クレンジングミルクなどをたっぷりと使い、唇をこすらないようにクルクルしてやさしくオフしましょう。Q. 鼻下の産毛が濃くてヒゲみたいに見えて……。剃ってもOKなものですか?1秒間に約100回という高速の音波振動で、剃るときの抵抗を少なくした顔用カミソリ。キッズのやわらかな産毛もしっかりキャッチ。bi-hada ompa(ビハダ オンパ)ホルダー 替刃1個付き オープン価格/貝印(0120-016-410)A. 剃ってもOKですが、毛流れにそって。アフターケアの保湿もマストです。ひげや産毛が濃いという悩みもよく聞きますが、おとなしくしていられるなら、剃るのもありです。そるときは、ミルクなどをぬってすべりをよくしてあげて、毛流れに沿って剃るようにしましょう。剃ったら濃くなるかも、と心配する方もいらっしゃいますが、濃くはなりません。ただし、産毛と一緒に顔の表面の潤いもとられてしまうので、きちんと保湿をする必要があります。また、剃るとしても1~2週間に1度ぐらいを目安に。皮膚科学会でも話題になるのが、子どものレーザー脱毛。小学校低学年の症例も報告されています。究極をいえばありですが、まだ成長期の途中なので、永久に生えてこない状態にするのはムリ。効率は悪いといえます。ただ、やはり子どもでもレーザー脱毛は痛いので、怖い思いをする子も。肌に対するダメージも少なからずあるので、その点を考えても、剃ってあげるほうがいいと思います。もし、レーザー脱毛をやるなら、効率面、子どもの負担、どちらを考えても、成長期が終わった後のほうがいいでしょう。Photos:Yasuhiro ItoLettering:Saori Kasai(Instagram : @_lil.something_)Composition&Text:Hiromi Narasaki
2018年09月09日精神科は行きにくい場所?出典 : 自分や家族が精神的なつらさを感じている、悩みや困りごとをずっと抱えているという方に精神科の受診をすすめると、「病院に行くほどではないから」と断られることがしばしばあります。精神科はもっと深刻な悩みや症状を抱えた人が行く場所ととらえている方や、子供が行く場所ではないのでは…と考えている方も多いのかもしれません。しかし、もしも何らかの病気や障害だった場合、早めに治療を始めれば症状が軽くなったり、対処法を知ることで生きやすくなったりします。自分や家族だけで悩んでいるだけだと、対応策が見つけられないことも多いものです。専門家の診察があってはじめて、状況を理解して良い方向へ進むことができるようになった人もたくさんいます。そこで今回は、どんな病気の人が精神科にかかっているのか、診察はどのように行うのかなどが理解できる本をご紹介します。これらの本を通して、精神科がどんなところかイメージできるようになると、受診しやすくなるかもしれません。「精神科ではどんな病気をみるの?」が分かる本出典 : 冊目にご紹介するのは、精神科医である斎藤環先生・山登敬之先生の共著である『世界一やさしい精神科の本』。「14歳の世渡り術」シリーズとして出版された単行本の文庫版になります。この本は、発達障害やひきこもり、摂食障害、うつ病、統合失調症といった精神科で診療を行うメジャーな病気や障害、症状について解説されたものです。もともと14歳の子どもたちを対象に書かれた本なので、難しい言葉が使われておらず、とても分かりやすい内容になっています。「発達障害って、そもそもどんな特性があるの?」「ADHDやアスペルガー症候群などと言われるけれど、どう違うの?」といった疑問の解決にも役立つ1冊となりそうです。「精神科医は何を考えながら診察をしているのか」が分かる本出典 : 精神科が対象としている病気や障害について理解ができたら、次に読んでみたいのが『精神科医はどのように話を聴くのか』という本です。精神科医である藤本修先生の著書で、「精神科医はどのようなことを考えながら診察をしているのか」について書かれています。精神科医というと、ただ話を聴いて薬を処方する、というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その行為の裏にはさまざまな思慮が隠されています。同じ病気であっても、詳しく話を聴かないほうがいい場合もあれば、適切な治療をするためにしっかりと聞いたほうがいい場合もあります。また、病気によっては話を聴き過ぎると逆効果になってしまうこともあり、精神科医は場面ごとに見極めながら対応をしているのです。診察中の医師の考えがわかると、受診したときに何を話せばいいのか、医師がなぜそのような対応をするのかなどが理解しやすくなると思います。そうすると、精神科を受診することへのハードルが低くなるかもしれません。巻末には、藤本先生が提案する「聴き上手になるための10箇条」も掲載されています。子供が悩んでいるときにどう接したら良いのかなど、家族と会話をする上での参考書にもなる1冊です。「精神科って行きにくい…」と感じる人に読んで欲しい本出典 : 最後にご紹介するのは、『ラブという薬』。タレントや作家として活躍するいとうせいこうさんと、精神科医でありながらミュージシャンとしても活動している星野概念さんの対談を本にまとめたものです。帯に書かれている、「つらいことを無理に我慢するのではなく、つらいときはもっと気軽に精神科に行こうよ」というメッセージ。精神科ってすごく困っている状況じゃないと受診してはいけないのでは…と思われがちですが、そんなことはありません。実際にいとうさんは、仕事ができなくなるほど深刻な状態ではなかったけれど、診察を受けるようになって楽になったと本書の中で話しています。風邪をひいたら内科へ行くように、怪我をしたら外科へ行くように、心がつらいときは精神科を頼っていい。そのことが腑に落ちると、我慢しすぎていた「きつい現実」が、誰かを頼ってもいいんだという「少しゆるい現実」に変わっていきます。読み物としても非常に面白いので、精神科の本と難しく捉えずに、ぜひ気軽に読んでいただきたい1冊です。まとめ出典 : 「なんだかつらいけれど、これくらいのことで受診していいの?」「病院に行っても、大したことないって言われたらどうしよう…」そんなふうに悩んでいる方もおられるかもしれません。ですが、悩んでいるうちに問題がより深刻になってしまうことも少なくありません。精神科は、こわいところではありません。もし、受診しようかどうか悩んでいるのであれば、今回ご紹介したような本を少し読んでみてください。精神科を受診するためのハードルが、少し低く感じられるのではないかと思います。
2018年04月14日心療内科とは出典 : 心療内科とは、何かしらのストレスが招いた体の不調を診ることを専門とする診療科です。「内科」とついているところからも分かるように、頭痛やめまいなど体に表れた症状を主に診ます。精神疾患の中には、症状として頭痛や吐き気、めまいなどの体調不良が現れるものがあります。しかしその不調の原因が精神的なものと分からないまま対処しても、なかなか症状が改善しないことがあります。そんなとき、症状の原因となる精神的なストレスに、カウンセリングなどを通してケアも同時に行うのが心療内科です。そのため、本来は精神科の領域のものでも程度が軽いものは心療内科でも診てもらえます。心と体の関係を考えながら、体の不調をケアしてくれるのが心療内科なのです。精神科・内科と心療内科の違い出典 : 心療内科は1996年に政令で表示を許された、比較的新しい名称の診療科です。名前のイメージから、精神科や内科と混同する人も多いようです。それぞれの科によって、診療できる疾患や得意とする診断領域、治療のアプローチが異なることもあります。心療内科ともっとも混同しやすいのは精神科ではないでしょうか。心療内科は大きなくくりで言うと内科です。体に表れた症状を治す診療科ですが、原因がストレスにあるため、カウンセリングなどで精神的なケアも行います。体と心の両方にアプローチして治療をするのが心療内科なのです。一方、精神科は不安や落ち込み、イライラなど心に現れた症状に向き合います。対象となる病気は躁うつ病、アルコール依存症、統合失調症などです。とはいえ厳密にはっきりと線引きされているわけではなく、両方の看板を掲げる病院も少なくありません。うつ病など、本来は精神科の範囲にある病気でも症状や程度によっては心療内科で診ることもあり、心療内科で相談したら精神科を紹介されたというケースもあります。心療内科も内科も、体の不調を治療するという点では同じです。違うのは、心療内科は体だけでなく心も含めて治療をするということです。内科はさまざまな症状に対応してくれるイメージもあるため、原因のよく分からない不調はとりあえず内科へ行く人も多いでしょう。そのため内科の検査では異常が見つからず、心療内科を紹介されたというケースもあります。心療内科や精神科ではなく、「メンタルクリニック」「メンタルヘルス科」という看板を掲げる病院も多くあります。これらは病院によって診療内容のとらえ方が違います。「精神科」という名前に抵抗のある人が多いと考え、精神科でありながらあえて名前を変えているケースもあります。また心療内科と精神科の両方の診療をするため、メンタル全般を診るという意味合いで看板を掲げるケースもあります。【参考】みんなのメンタルヘルス|厚生労働省心療内科の専門領域は、ストレスが招く体の不調出典 : ストレスが招く体の不調には以下のようなものがあります。・頭痛・倦怠感・めまい・不眠・過呼吸・食欲減退、過食・吐き気・腹痛、胃痛・動悸・発汗・抜毛頭痛や吐き気など、身近な症状が多く並びます。このような不調の背景には、以下のような疾患が隠れている可能性があるのです。心療内科の対象となる病気や障害など出典 : 心療内科の対象になる病気をいくつか挙げました。症状の程度や原因によっては精神科など、他の診療科を勧められる可能性もあります。何らかの理由で学校や会社にいけない、あるいは行きたくても行けないのが不登校・出社拒否です。登校や出社をしたい気持ちはあるのに、体がそれを拒否して腹痛や頭痛といった症状が表れるというケースもあります。休んで家にいれば症状が落ち着くこともあり、休むための嘘だと思われてしまうこともあります。ですが、子どもの不登校や配偶者の出社拒否から、本人だけでなく周りの人までストレスで体調を崩してしまうことも少なくありません。そのため、早めのケアが重要となります。主な症状は吐き気や腹痛、倦怠感、動悸などです。うつ病の中でも、心の不調が体の不調に隠れてしまっているものが「仮面うつ病」と呼ばれています。うつ病によくある気分の落ち込んだ状態が見られず、頭痛やめまい、不眠といった症状が目立つため、内科で診断を受けても異常は見つからず、単に調子が悪いだけだと思い込んでしまうことも多くあります。腹痛や下痢、便秘といった腸の不調が見られる病気です。日常生活への支障は痛みによる不快感だけではありません。急におなかが痛くなってトイレへ駆け込む、出勤前にトイレから出られなくなる日が多いなど、学校や仕事に影響が出ることもあります。症状を訴える人は男性と比べると女性が約1.6倍多く、年齢では30代までの比較的若い人に多く見られます。【参考】機能性消化管疾患心療ガイドライン2014|日本消化器病学会自律神経とは、体のバランスを整える神経です。その自律神経のバランスが崩れているというのが自律神経失調症ですが、自律神経の働きは検査ではなかなか正確に測れません。そのため、何となく体調が悪いのに検査では異常の見つからない状態が長く続いているものを自律神経失調症と呼んでいます。症状は倦怠感、不眠、めまい、頭痛、動悸、食欲不振などさまざまです。寝込んで起き上がれないほどの症状になることは少なく、多くの人は「なんだか調子が悪い」という状態がずっと続きます。片頭痛は名前の通り頭の片側に起こる頭痛ですが、両側に起こることもあります。ストレスなどにより頭部の血管が収縮、その反動で血管が広がったときにズキンズキンという痛みが起こります。主な症状は頭痛ですが、ひどくなると吐き気をともなうこともあります。頭や体を動かすと痛みが増すこともあるので、光や音の刺激を避けて安静にすると症状が緩和されます。発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。広汎性発達障害、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、症状や特徴でいくつかの種類に分類されます。不登校やうつ(気分が落ち込んでいる)状態をきっかけに心療内科へ行ったところ、発達障害が判明したというケースもあります。発達障害の場合、環境とのミスマッチや人間関係がストレスとなったりすることも多く、発達障害の二次的な障害として、睡眠障害やうつ、不安障害などが併存するケースもあります。甲状腺の機能異常により起こるのがバセドウ病で、動悸や疲労感、発汗が主な症状です。脈拍も早くなり精神的にも落ち着かないため、「体が常に全力疾走をしている」と形容されることもあります。まぶたの筋肉が緊張することで常に目を見開いているように見えたり、眼球の周りの筋肉が肥大して眼球が突出することもありますが、バセドウ病が必ずしも眼球への変化をきたすとは限りません。突然息苦しさを感じ、呼吸が乱れ、息が入ってこないように感じるのが過換気症候群の特徴です。動悸や胸の圧迫感のほか、手足のしびれや筋肉のけいれんを感じることもあります。発症した場合、呼吸を遅くしたり止めたりすると症状は改善しますが、本人が呼吸をコントロールするのは難しいものです。紙袋などを口に当てて呼吸をするという対処法もありますが、医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。【参考】過換気症候群|日本呼吸器学会突然息苦しさや動悸、冷や汗、恐怖感などを感じてパニック状態になり、そのせいで社会生活に支障の出ている状態をパニック障害と言います。電車やエレベーターなど閉鎖された空間では「逃げられない」と感じるため、外出ができず、学校や会社へ行くことができなくなることもあります。状況によってはだれもがパニック状態に陥る可能性はありますが、自宅でテレビを見ているときに突然、寝ているときに突然など、予期しないところで発作が起きるのが特徴です。食事をうけつけなくなる「拒食症」と、無謀な食べ方を繰り返す「過食症」。この両方を合わせて摂食障害と呼びます。食べては吐く、を繰り返すこともあり、その場合は体内のカリウムが下がって不整脈を起こすこともあります。拒食により栄養状態が悪くなり、月経が止まることもあります。拒食と過食、行動は正反対ですが根っこは同じです。拒食から過食へ、過食から拒食へと症状が変化することも少なくありません。「やせたい」という思いから治療を拒むケースもあるため、まずは治療の必要性を理解するところから始まります。生活習慣病と言われる糖尿病ですが、ストレスがホルモンバランスに影響して血糖値を上げることもあります。倦怠感やのどの渇きなどが症状として挙げられます。治療は一般の糖尿病と変わりませんが、運動や食事などの生活コントロールがうまくいかずにストレスをためることにならないよう、注意が必要です。40代以降に見られる、様々な体調不良や情緒面での不安定な状態を更年期障害と呼びます。ホルモンの影響を受けやすい女性に多いのですが、男性にも症状が表れます。症状は自律神経失調症に似ていて、動悸やめまい、疲労感、イライラ、不眠など様々です。ちょうど子どもが就職や結婚で親元を離れる時期と重なることも多く、環境の変化に心がついていけずにうつ状態となることもあります。皮膚に病気や傷がないのに円形に毛が抜けてしまうのが円形脱毛症です。痛みはなく、社会生活に直接の支障はありません。自覚症状がないのが特徴で、美容院で髪を切ってもらうときに指摘され気が付くということもあります。しかし容姿が変わることでショックを受けて、他人の視線が怖くなり外出を拒むなど、間接的に影響が出ることはあります。皮膚に症状が現れるため皮膚科を受診するのが一般的ではありますが、背景にはストレスがかかわっている場合もあります。その点から考えると心療内科で治療を受ける選択肢もあります。心療内科における治療の流れ出典 : 心療内科ではカウンセリングを含めた診察、検査を経てそれぞれの症状に合わせた治療を行います。まずは医師に現状を伝えます。病歴や症状、薬を飲んでいるかなどはもちろん、原因になりそうなストレスや家族との関係、生育歴などを話します。もし同じ病状で他の病院にかかっていた場合はそれも話しておくと良いでしょう。うまくまとめて話せないことも多いため、受診前に簡単に話す内容をまとめてメモしておくとスムーズです。話しているうちに人間関係や仕事の相談をしたくなる気持ちも出てくるかもしれません。ですが、心療内科の医師は体の不調の原因を探るために話を聞いています。悩みを聞いて答えを探してほしいという場合は、カウンセリングルームを利用するという方法もあります。じっくりと話を聞いてもらえますが、保険が適用されないため、1時間で1万円くらいの費用がかかることもあります。問診の後は体の不調の原因や程度を探るため、必要に応じて血液検査、心電図、MRIなどが行われます。心理状態や性格を知るために、心理検査(心理テスト)をすることもあります。簡単な質問に答える検査のほか、カードに描かれた模様を見て何に見えるかを答えるロールシャッハテストなど、あいまいな質問で深層心理を見る検査が行われることもあります。心療内科の対象となる病気は、原因にストレスなどがあると考えられます。そのため、生活習慣や考え方を変えることにより、症状が改善することもあります。内科的な治療としては薬物療法があります。病気やその症状に合わせて抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、自律神経調整薬といった薬が使われます。最終的には薬物を使わなくても安定して社会生活を送れるように、徐々に薬を減らしていきます。ほかには患者の無意識を探りストレスの原因をあぶり出す精神分析療法、行動を変えて不安を減らす行動療法、認知のゆがみ(思い込み)を正して心を軽くする認知療法といった心理療法が用いられることもあります。診療にはどのくらい費用がかかる?出典 : 心療内科へ行こうと思ったとき、気になるのは費用ではないでしょうか。内科と違って問診(カウンセリング)の分の時間もかかるので、高額なイメージはあるかもしれません。しかしカウンセリングルームとは違って保険が適用されますし、カウンセリングと言っても何十分も時間をとれるわけではないため、驚くような額にはなりません。保険適用で3割負担のため、初診で払う費用の目安は2500円~5000円程度です。症状によっては薬や検査代が別途かかることもあります。臨床心理士によるカウンセリングを行っている場合など、別途予約料が必要なところもあります。予約の要不要を含めて、行く前に病院のシステムを調べておくと安心です。心療内科では、子どもが不登校の場合など、本人以外だけで話を聞きたいという要望にも応えてくれます。ただし本人不在の場合は自費診療となるため、費用も高額になってしまいます。パニック障害など、心療内科の対象となる病気には、自己負担が1割となる「自立支援医療制度」が適用されるものもあります。利用には医師の診断書と市町村での申請が必要で、市町村や都市に指定された「指定自立支援医療機関」でなければ適用されません。治療に時間と費用がかかる場合は、制度の適用について医師に相談してみると良いでしょう。【参考】自立支援医療制度|厚生労働省まとめ出典 : 心療内科は、ストレスが原因と考えられる多様な症状に対応してくれます。費用もほかの診療科とそれほど変わらず、特に高額ではありません。症状の中には自覚しづらいものも多くあるので、気になる症状があれば、一人で抱え込まずに一度心療内科へ行ってみるのも良いでしょう。ストレスの内容や症状について話すことで、客観的に自分を見つめることもできます。あわせて普段からストレスをためないような生活を送ることも重要です。ストレスは多くの病気の引き金になります。学校や仕事、人間関係など、ストレスと無縁に生きることはできませんが、できる限りため込まず上手に発散できると良いですね。
2018年04月05日診察室で、日々、出会うのです。親たちの思いと、言葉に…出典 : わが子のそだちに寄り添うなかに生じる違和感、「なにかが違うんです」という親の思い。そこには、わが子のこころに自分のこころが重ならないことの悔しさともどかしさがある。それが時に自分へのふがいなさとなり、自分を責めたり、わが子のわがままとしてつい追い詰めてしまう。発達障害という診断は、生来的にわが子にある特性として、その日その時にできる関わり方で対応するという医学モデルを提案するもの。診断が下ったとしても、誰も責めあう必要はないのです。親は「私の育て方でも、この子が私を嫌っているからでもないのですね」という安堵と、「でもこれからずっと、その特性と私もこの子もつき合っていくしかないのですね」という荷を背負う覚悟を、時には疲れ果てた思いとともに、語る。画期的な治療方法があれば、なにか魔法のようなものがあれば、ある日、朝起きたときにすべての課題が霧のように消えてしまっていたら。そういう願いを、いつもこころのどこかに抱きながら、親は毎日を送っているのだろうなぁ。僕は診察室での出会いから空想する。診察室で話をしながら、僕は、この子と親が自宅で悪戦苦闘している姿を空想する。リビングで、食卓で、トイレの前で。ゲーム機やタブレット、携帯を間に、激しい言葉のやりとり。モノが飛び交い、時に破損していく姿。そうした光景を走馬灯のように頭のなかで巡らせながら、僕はその子と親を診る。わが子のそだちにつき合っていくのは、もちろん楽しみでもある。しかし、苦痛でもある。先のゴールが見えないだけでなく、今歩いているこの道さえも、本当に正しい道かどうかすら、誰からも正しい助言を、親はもらえない。「日々のわが子の言動に迷いと途方にくれる思いを持ちながら、眼の前のわが子の言動に一喜一憂しながら、親としての時間が過ぎていく」「こんな苦労もそのうち終わると思っているのですが、ひょっとして終わりのない苦労なのじゃないかと思うのです」「いつまで私はこの大変さとつき合っていかないといけないのでしょう」「小さい喜びのあと、決まって大きな哀しみが来ます。最近は笑いながら泣いています」「この子が変わらないなら、私が家を出るしかないと、先日荷物をまとめたことがあります」「家族ですら、私の気持ちを分かってくれる人はいません。本当に疲れてしまいました」「本当は、私のせいではないのですか」僕は、診察室で、このような言葉と出会うのです。そしてその言葉の後ろにある、思いにー。子どもの生きる力を、思いを、翻訳して親に伝える。それが、僕ができることー出典 : 診察室でできることは限られている。育ちの見通しを明確に告げる予言は僕にはできない。せめてこの子の行動に裏にある意味や行動を説明する仮説を設定し、それを言葉にして親に伝えようと、僕は苦心する。時にそれは発達段階としての生物学的説明であったり、思いを言葉にできないゆえの行動であったり、強い個性から生じるちょっと分かりにくい個性的思考であったりする。同時に、言葉を届ける相手の気持ちに思いを馳せる。僕にとってそれほど的を外していないと思われる言葉であっても、今の眼の前の親には届かない場合もある。今、欲しい言葉でないときに、聴きたくないときに、言葉は対話とならずに宙をさまよう。今、最大限伝わると思われる言葉を選りすぐり、僕は親に言葉を贈る。何年やっても、その選択には自信がない。語り合うなかでの、微妙な表情の変化を読み取り、僕の言葉がシャットアウトされていないか、スルーされていないか、誤解されて伝わっていないか、恐る恐る微調整していく。気持ちの乗せ方、発語のスピード、抑揚、一期一会のやりとりである以上、できる限りこころを砕く。思いがこもる発話は、侵襲性が高い場合もある。記号化した言葉よりも、思いが過剰に残像となる場合もある。時に僕は紙に説明文を書き、それを説明して音としての言葉でなく、文字としての言葉を遺すこともしている。言葉は、恐ろしいものである。誤解も簡単に作ってしまう。そもそも、育ちという先の見えない、しかも、すべてが例外という育ちを、平均的に説明すればするほど、眼の前の子どもの有り様が消えていく。発達障害臨床、あるいは子どもの精神医療とは、マニュアル、ガイド化しにくいもので、診断名がついたことで、先が見えるというものではない。常に「じゃ、今を、明日を、これからを、どのように生きていけばよいのですか」。答えのない疑問を共有し、今できる小さいことを提案し、それを積み重ねていく作業を応援していく、それがそだちに関わる僕の仕事である。そのために、なにをおいても親には先に倒れることなく、焦らずに、日々の小さいできごとを、きちんと受け止め、喜び、泣き、次に生きる糧にしてもらいたいと、願う。子どもの育ちの速度を変えることは僕の臨床ではできない。子どもの力を一新することも、僕にはできない。僕にできることは、今のこの子の生きる力を捉え、同時に、この子の思いに近づく努力をし、それを周囲に翻訳し伝えることである。そのためには常に、大きく貢献してきた親への感謝と労いを、言葉にすることが重要なのである。「よく、ここまでそだてましたね」「この子に上手に寄り添っていますね」「この子も安心していることでしょうね」「お疲れさまです。ちょっと休んでよいかと思います」いくら言葉にしても、足りないくらいである。その子のこころに近づこうとすることー発達障害を突き詰めることより、大切なもの出典 : 医学は個々の発達のなかで、ある特性を強く持つ状況を、医学的に病態としてグループ化し、それぞれのグループに診断名をつけた。大きな括りは「発達障害」である。そのなかを、自閉スペクトラム症とか注意欠如多動症とかさまざまな名称で区分けをした。その特性の度合いは一定ではなく濃淡というイメージで、非常にバリエーションがあり、個々のなかでも、生活状況によって流動的だ。しかも、その区分けの境界線も非常に脆いもので、時に複数が混じり合っている場合もある。その特性は、突き詰めると、すべての子どもに濃淡があり、まったくないという子どもは、そもそも存在しないのではないか、鍵は濃淡の度合いになってしまう。すると、時にその特性は、医学的に診断されるものに該当し、ある特性は、存在するが診断されるほどの濃さではないと、医学的に判断される、ということになる。もちろん、大きな戸惑いもなく、判断される濃さもある。診断する側によって右往左往してしまう微妙な濃さもある。発達障害があるかないかという境界線は、実際には、明確さに欠ける部分がある、という感想を僕は診察室で常に抱く。それは、問題視するべきではない、全然大丈夫、という判断をしてもよいということではない。少なくとも、これまで述べてきた親の言葉は生活のなかで紡ぎ出された思いである。子どもたちも、どこか生活場面に戸惑い、追い詰められ、自己判断を否定され、思いを拾い上げてもらえず、糾弾されてしまう、という体験のなかで、苦しみうめいている。この事実に、僕はより生活がしやすい方法を探し、環境調整に苦心するのが精神科臨床であると思っている。明確な診断がつかなくても、診断という海図におおよその目途をたて、難破することなく、巡航できることを計画することはできる。あとは天候に応じて微調整を計り続けるだけである。海図は、あくまでも海図である。そこにリアルタイムな関わりを創造していくのが僕たちの臨床なのだ。発達障害を突き詰めるよりも、この子のこころにより近づこうとするほうが、実際は難しいが必要なことであり、近づく人は、この子の生活に実際に関わるすべての人たちでないといけない。その橋渡しが僕の役割である。僕は、日々を送られる子どもたちとその親を、こころから応援したいと思っている。そしてそれを支える周囲の生活者に敬意を払いたいと思います。
2018年04月03日まだまだ子どもだと思っていたのに、半袖の隙間からちらっとみえたわが子の毛にドキッ! 親であれば、そんなシーンがいつかはやってきます。気になる子どものムダ毛は、どんな方法でケアすればいいのでしょう。皮膚科のドクターにお聞きしました。お話をうかがったのは衣原 公美子先生美容外科・皮膚科 レイクリニック院長。肌コンディションに加え、思春期、妊娠出産期、更年期といったライフステージも鑑みて、人それぞれに適した丁寧な診察を心がける。一児のママ。 ■顔の産毛も濃く? 意外と知らない成長期の「毛」のメカニズム体が大人に近づくにつれ、少しずつ生えてくるわき毛や、濃くなりはじめる手足や顔の産毛。自然なことではあるけれど、そんなわが子の変化に戸惑うママも少なくないかもしれません。実際、お話をうかがった衣原先生のクリニックでは、わが子のムダ毛相談が増えているそう。「10歳前後~中学生くらいの子のママから、お子さんの毛に関するお悩みを相談されることが多いです。最近は女の子だけでなく、男の子のママからの相談も増えてきました」10歳前後といえば、第二次性徴期に入る子も増えてくる時期です。この時期にはホルモンの影響などから、体毛にもさまざまな変化があらわれるそう。「毛の生える順番やスピード、毛の質などは個人差が大きいため目安ではありますが、女の子の場合、まずはおでこや口周りといった顔の産毛が増え、少しずつわき、外陰部周辺の毛がはっきりしてきます。顔の産毛はホルモンバランスが安定すれば自然に薄くなりますので、過度に心配しなくても大丈夫です。男の子は、顔の産毛、外陰部周辺、そしてわきの毛が生えそろってきます。濃いヒゲが生えそろうのはゆっくりめで、20代中頃から少しずつ増えてきます」■まだまだ不安定な、成長期の毛周期ちなみに、成長期の毛は生え変わりのサイクル(毛周期)もまだ安定していないとのこと。「毛と毛をつくる毛包と呼ばれる組織構造は、成長期に少しずつ完成していきます。この構造が未熟なうちは、毛の太さがまばらだったり、毛周期が不安定だったりします。わきでいうと、毛周期が安定してくるのは20歳頃です」わきに毛が生えてきたり、顔の産毛が濃くなったりするのは成長の課程で誰もが通る道。そうはわかっていても、親としてはムダ毛をからかわれないか心配になったり、子ども自身が気にしていることもありそうです。「たしかに、第二次性徴期の子は心も揺れやすいものです。もしかすると、大人が思う以上に気にしている可能性もあります。お子さんがムダ毛に悩んでいる様子だったら、毛が生えてきたり、濃くなったりするのは普通のことなんだよと伝えてあげて、そのうえで剃ったりするなどのお手入れ方法を教えてあげましょう。一時的ではあっても毛がなくなることで、心理的な負担は少しやわらぐと思いますよ。また、ムダ毛は治療で減らすこともできます。気がかりがあれば、皮膚科に相談してみてくださいね」■お手入れのコツは? ムダ毛処理方法別、留意ポイント子ども自身の気がかりをやわらげるのはもちろん、身だしなみの意味でも適切なケアをしてあげたいところです。そこで、さまざまなムダ毛ケアの方法と気をつけたいポイントを、衣原先生に教えていただきました。【家庭でのセルフケア】▼カミソリで「剃る」気になったらいつでもお手入れができ、コストも低いため一般的にもよく行われている方法です。上手にケアすれば、肌への負担も少なく毛の処理ができます。ただし、剃ってもすぐに生えるため目立ちやすく、また、カミソリの刃のあて方によっては、皮膚を傷つけてしまうことも。お手入れのポイントは、カミソリの刃を皮膚にできるだけ水平にあて、毛だけを剃るように心がけること。肌を傷つけにくいアイテムを利用するのもよいでしょう。お手入れ後には、低刺激性のローションなどで皮膚を保護するとなお安心です。▼毛抜き・家庭用脱毛器・ワックスなどで「抜く」家で手軽にでき、剃るよりも毛のない状態がキープできます。しかし、毛を抜く際に毛包が傷つくため、毛包の中で炎症や感染が起こりやすくなったり、毛周期が崩れたりします。毛穴のブツブツや黒ずみ、皮膚の中に毛が埋まったままとどまる「埋没毛」になることもあります。ワックスの場合、毛包の炎症に加えて皮膚の表面も薄く剥がされるためバリア機能の低下にもつながります。子どもも大人も、毛を「抜く」方法はおすすめできません。▼除毛クリーム・ジェルで「溶かす」/脱色剤で「脱色する」いずれも、薬剤を使う処置方法です。ここで心配なのが、薬のアレルギーによる接触性皮膚炎です。使用する場合は必ず目立たないところでパッチテストを行いましょう。もし赤みやかゆみなどのトラブルが起こったら使用を中止し、早めに皮膚科に相談しましょう。【エステ・医療機関などでのケア】▼レーザー脱毛毛の黒い部分(メラニン)に熱をあて、毛をつくる毛包を破壊する方法で、専門医のみが施術を行えます。脱毛が完了した後は、剃る、抜くといったケアをしなくてすむので、肌荒れを起こしにくい健康な皮膚を維持しやすくなります。治療にはやや痛みが伴い、脱毛後は毛包部がやけどを起こしている状態になるため、医師によるお薬の処方が必要です。医療機関を選ぶときは、知識と経験が豊富な医師がいるかどうか、事前の診察がじゅうぶんかどうかをチェックするとよいでしょう。▼光脱毛レーザー脱毛と同じようなメカニズムで、熱で毛包を破壊する脱毛方法です。レーザーより熱エネルギーの出力が弱いため、専門医だけでなくエステサロンなどでも受けられます。レーザーに比べると熱の吸収効率が落ちるぶん、脱毛効果はやや不安定で、細い毛は減りにくいことも。また、光は皮膚のメラニンにも吸収されるため、人によってはやけどのリスクがレーザーより高くなる可能性があります。▼ニードル脱毛毛の1本1本に沿って針を刺し、電気で毛包を破壊する方法です。施術に時間がかかることと、針と熱の痛みもともなうため、最近では行う施設が少なくなってきました。レーザーや光は毛の黒い部分に反応しますが、ニードルの場合は毛を目で認識できればよいので、どんな毛にも対応でき、脱毛結果は確実です。▼蓄熱式脱毛法医療脱毛のなかでも新しい治療方法です。痛みが少なく、治療時間が短い特徴がありますが、歴史が浅いのでデータもまだ少なめです。この点をきちんと考慮し、慎重に検討しましょう。■小学生でも脱毛できる? 子どもに安心なムダ毛ケアとはご紹介したように、どんなムダ毛のお手入れも一長一短があります。では、子どものデリケートな肌にも安心な方法は、つまるところどれなのでしょう。「じつは、最も肌にやさしいムダ毛ケアは、専門医によるレーザー脱毛だと考えています。レーザー脱毛以外は肌に負担がどうしてもかかってしまうことと、レーザーで脱毛が完了すればその後は剃ったりせずにすみ、肌への刺激が減ることがその理由です。ただし、先にもお伝えしたとおり、成長期の子どもの毛周期は安定していませんので、大人よりも治療の回数が増えますし、施術からずっと後になって発育が遅い毛が生えてくるケースもあります。また、治療には痛みが伴いますので、お子さんによっては恐怖心が生まれてしまうことも考えられます。これらをふまえると、小学生のうちはやさしく剃る方法でしばらく様子をみてあげるのが安心だと思います。とはいえ、レーザー脱毛治療に年齢制限はありませんので、10代であっても、お子さん本人の強い要望があり、また成長期の治療効果が一定ではないこと、痛みや副反応などが出る可能性もあることなどをご理解いただければ、治療は可能です。いずれにしても、親子でじゅうぶんに話し合ったうえで、きちんとした診察やカウンセリングを受け、慎重に検討していただくことが大切です」ちなみに、「抜く」方法で起こりやすい埋没毛は、ゆくゆくレーザー脱毛を行うときの治療の妨げにもなるそう。からだつきや体毛の変化はもちろん、毛に関する組織といった目にみえない部分も成長していく大切な時期だからこそ、後々のことも考慮しながら安心でやさしいケアを選んであげたいものですね。
2017年06月12日背中ニキビは皮膚科で治すのが最適といえるのですが、保険が適用された治療とそうではない治療というのがあります。皮膚科で行われるその背中ニキビの治療法について、解説していきます。背中ニキビを病院で治すタイミング背中のニキビは他の場所と違って見えにくいところにあるので、背中に違和感を覚えても確認することが困難です。気づいたときにはすでにニキビが大きくなっている、または炎症を引き起こしていることが多いとされています。背中ニキビに気をつけるため、外側だけでなく内側のケアを心がけても、治らない場合は皮膚科への受診が求められます。背中はニキビの発生率が高いです。背中に皮脂腺と呼ばれる皮脂の分泌腺が集中しているので皮脂の分泌量が多く、汗もかきやすく、衣服などで常に覆われているなど、さまざまな要因によってニキビができる環境が整っていると考えられます。上述したように、みえにくいのでケアも遅れがちになるのがほとんどです。ニキビができても、炎症や化膿などの重症化に至っていない場合は、日常的なケアなどで改善が見込めるでしょう。背中ニキビの皮膚科での治療方法と処方薬治療法を説明する前に、健康保険が適用されるかどうかについて、説明していきます。治療ですので基本的に健康保険が効きますので、経済的な負担も少なくて済みます。しかし、治療方法の種類によっては健康保険が効かず自由診療となります。保険適応の治療法と保険適応外の治療を次にあげて、解説していきます。保険適用の治療法毛穴につまっている皮脂などの内容物を取り除くという治療である面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)というのがあります。内容物を取り除くことによって、ニキビの治りを早くします。しかし、保険適用内に限定すると、一度に多くのニキビの面皰圧出ができないことが多く、5〜6個までが一般的とされています。外用薬は抗生物質が一般的に使われています。抗生物質で炎症を起こしたニキビの原因菌とされるアクネ菌を殺菌して治療します。もうひとつ、毛穴のつまりを解消してつまりにくくするという効果を持つ外用薬(アダパレンなど)があり、この外用薬もニキビの治療薬として使われています。内服薬も抗生物質が処方されますが、漢方製剤、また少ないのですが原因がホルモンバランスの乱れであることが判明している場合は、ホルモン治療として低用量ピルや抗男性ホルモン薬などが処方されます。ホルモンバランスの乱れによって、男性ホルモンが過剰に分泌され、男性ホルモンが持つ作用である、皮脂の過剰分泌や角栓の発生や毛穴の縮小などがあります。その作用の働きを抑えるには、ホルモンバランスを整えるなどの治療が求められます。しかし、ほとんどはホルモンバランスが崩れていないことが多いようです。改善のために皮脂のコントロールの意味で、ビタミン剤が処方されます。美容皮膚科などでは保険適用外の治療も一般的な治療法は、イオン導入、ケミカルピーリング、そしてレーザー治療などがあげられます。ほとんどの場合はクリニックで処置されます。イオン導入は微弱な電流を流して、ニキビに有効とされる成分を肌深くまで浸透させます。痛みなどはほとんどありませんが、ペースメーカーを装着している場合は、この治療を受けることができません。ケミカルピーリングは、簡単にいえば古い皮膚をはがして、新しい皮膚を蘇らせるという治療法です。これによって、ニキビやニキビ跡の改善、さらにシワやたるみなどにも効果が期待できるとされています。レーザー治療は、ニキビの原因菌でもあるアクネ菌を殺菌し、ニキビ跡のケアなどを目的とした治療法です。ケミカルピーリングとレーザー治療は肌に負担がかかるので、肌の弱い人はクリニックで事前に申告し、受けられるかどうかを事前に相談するようにしましょう。背中ニキビの予防法食生活を含む生活習慣の乱れなどを改善することによって、背中ニキビの予防につながることに期待が持てますが、背中のケアも心がけることも求められます。入浴時、背中を洗うときにおすすめなのが一般の固形石けんです。抗菌作用のある石けんもありますが大きな効果の違いはありません。消臭効果もあるので、体臭の予防には効果的とされています。入浴後、汗をかかないようにすることが大切です。衣服など、背中に触れるものすべて清潔に保つことも求められます。また、背中の風通しのよい肌着や衣服の着用も心がけましょう。監修:馬野詠子
2017年04月25日子どもが生まれると頻繁にお世話になる小児科。子どもが病気になったときはもちろん、健診や予防接種など、小児科を訪れる機会はとても多くなります。でも、受診したとき「症状をうまく伝えられなかった」「質問したかったことを聞き忘れてしまった」という経験があるママもいるのでは。しっかりと治療をしてもらうためにも、小児科の上手なかかり方を知っておきたいですね。■子どものふだんの様子がわかる人が連れて行く赤ちゃんや小さい子どもは、自分の症状を言葉で説明できません。小児科医がきちんと診断をするためには、付き添いの保護者の話がとても重要です。受診時には、子どものふだんの様子をよく知っているママやパパが付き添うようにしましょう。仕事の都合などでやむを得ずおじいちゃんやおばあちゃんに頼む場合は、症状や睡眠、食欲、機嫌など、子どもの様子がわかるようなメモを用意しましょう。■受診時に必要な情報は?「熱が出た」「おなかの調子が悪い」など、小児科を受診する症状はさまざま。症状を説明するときは「いつからあらわれて、どのように変化しているか」という時間的な経過もあわせて伝えるようにしましょう。また、あらかじめ熱や身長、体重をはかっておくと受診がスムーズです。子どもの身長や体重は薬の処方時にも必要な情報なので、日頃からこまめに把握しておきたいですね。■聞きたいことはメモで用意しておく医師にいろいろと聞きたいことがあったのに、診察でつい聞き忘れてしまい、家に帰ってから後悔…。そんな経験があるママも多いのでないでしょうか。診察時や待ち時間には、体調不良の子どもがグズったり泣いたりすることも。付き添いのママもバタバタして、つい質問を忘れてしまいがちです。聞き漏れを防ぐためには、病院に行く前に、聞きたいことをリストにしてメモで準備しておきましょう。メモを見ながら診察を受ければ、後で「あれも聞けばよかった」ということもありません。■下痢や嘔吐のときはオムツや写真を持参下痢や血便、嘔吐の症状のときは、便そのものが診断の助けになることがあります。可能であれば、なるべく新しい便をオムツごと持っていくと診てくれることも。その際は二重のビニール袋で密閉するなどして持ち運びましょう。持っていくのが難しいようであれば、便や吐物を写真に撮っておくだけでも、症状を正確に伝えることができます。また、湿疹などは受診時には消えていることもあります。気になる症状は画像で記録しておくと、分かりやすく伝えられて安心です。■病気と関係ない相談をしたいときは?小児科では健診のときに、栄養相談や育児相談にも対応してくれます。でもそれ以外のときでも、子どもの健康や発達についての不安を相談したいこともありますよね。クリニックによっては、診療時間とは別に、栄養士や看護師による相談を実施している院もあります。多くの場合事前に予約が必要なので、近隣の小児科に問い合わせをしてみては。なお、予防接種のスケジュールについての相談は、随時対応してくれるクリニックが多いようですよ。子どもが体調不良のときは、ママも慌ててしまいますよね。でも、だからこそ小児科を訪れる際はスムーズな受診を目指したいもの。子どもの健康のためにも、小児科と上手なおつきあいをしてきましょう。
2017年02月11日発達障害の診療のための医療機関にはどんなものがある?それぞれが担う役割は?出典 : これまでの記事では、発達障害のための医療機関が少ない原因や、医療機関でできる支援についてお話させていただきました。今回は医療機関の種類をご紹介していきます。発達障害の診療に携わる医療機関には様々な種類がありますが、その分け方も色々あるのです。医療機関の種類というと、もちろん小児科や精神科などの診療科による分類が思い浮かぶのですが、今回の記事では別の切り口で分けてみたいと思います。いくつかの医療機関は日本の、時には世界の発達障害研究を担っていく役割を持っています。こうした先進的な医療機関にかかると厳密な手続きを経た診断が受けられたり、他では利用できない治療法が使えたりすることもあります。日本の、世界の発達障害支援の質の向上に貢献できる可能性があるというメリットもあります。一方でこうした機関の医療者は診療以外の業務が多く多忙です。また機関の数も限られるので、通院時間が長くなるなどアクセスも良くないことが多いでしょう。また研究途上の新しい治療には、確かめられていないリスクも伴います。良くも悪くもハイリスク、ハイリターンな選択です。その他に、地域の中核的な発達障害診療を担っている医療機関もあります。小児や障害者の病院、療育センターに附属している診療所などがこうした役割を担っていることが多いでしょう。こうした機関の専門性は高く、既存の診療技術に限って言えば、研究機関と比べても遜色がないことが大半です。また入院治療の機能を持っていることもあります。一方でこうした医療機関は比較的広域(都道府県単位)などから患者がきていることが多く、地元に密着した支援機関や学校の情報などはやや医療者に集まりにくくなります。また地域への医療サービス提供の責任を負っているので、新規患者優先、診断と投薬優先になりがちです。発達障害専門の小児科や児童精神科のクリニックなどを中心とした地域密着の医療機関も増えてきました。こうした医療機関は医師によっては、非常に高い専門性を持っていることもありますし、アクセスも良く比較的患者数も少なく、丁寧な診療が可能であることもあります。また何よりも地元の情報が集まりやすいことがメリットです。ただし地域によっては医療機関の不足のため、こうしたクリニックが中核的医療機関の役割を担わざるを得なくなっていることもあります。また最近では、地域のかかりつけ医、つまり一般の小児科医や内科医の役割にも注目が集まっています。こうした医療機関は、発熱やワクチン接種などの日常の身体的な問題に対応できるのはもちろんですが、典型的な事例の診断や専門的な医療機関での診断後のフォローアップなどが期待されています。平成28年度からは厚生労働省によるかかりつけ医向けの発達障害の診療研修も開始されました。こうした医療機関は極めてアクセスがよく、また発達障害の特性を知ってもらった上で、身体医療が受けられるという大きなメリットがあります。医療以外の支援者に恵まれている場合、医療の役割は限られるので、必要な時にかかりつけ医に相談するというスタイルでも、充分に対応が可能である場合があります。年齢の高い方の場合、成人の精神科医療機関も受診先の候補になります。現状では全ての精神科医療機関が発達障害の診療に対応できるわけではありませんが、着実にそうした機関は増えています。こうした医療機関のメリットはアクセスの良好さと、何よりも併存する他の精神疾患への対応への熟練度と手立ての豊富さです。ただし構造的に成人精神科の診察時間は短いことが多いので、それに合わせた受診の工夫を考えておく必要があります。医療機関に迷ったら、身近な支援者に相談を出典 : こうした分類は医療機関の看板に書いてあるわけではないので、利用者の方からは見分けにくいかもしれません。受診の前に保健センターなどの身近な支援者や、先輩の親御さん、ペアレント・メンターなどに受診先を相談するのはよい方法です。最後に、多くの種類の医療機関があるので、専門機関のいいとこ取りをしたい、かけ持ちをしたいという気持ちはとてもよくわかります。しかし極めて恵まれた一部の地域(ほんとにそんなのところが日本にあるのでしょうか……?)を除けば、現状ではそれはマナー違反であると考えるべきでしょう。必要な人が、少しでも早く、少なくとも正しい診断と診断書、時には薬物療法にたどり付けるような気遣いができる、余裕が持てるとよいですね。
2016年10月05日遠隔診療でオンライン通院愛知県名古屋市の佐井泌尿器科・皮フ科クリニックでは、7月5日より、遠隔診療を導入した外来の受付を開始している。このシステムの導入にあたっては、株式会社メドレーが提供している「CLINICS(クリニクス)」というオンライン通院システムを採用している。愛知県の泌尿器科クリニックとしては初めての導入事例となる背景には、現在の多忙過ぎるサラリーマンなどに配慮した結果がある。というのは、今回のオンライン通院で提供する予定の診療メニューは、ED(勃起障害)、AGA(男性型脱毛症)、そして女性びまん性脱毛症であり、これらの治療には定期的な通院が不可欠だという。さらにこの病気の患者傾向をみてみると、30~50代に増加傾向だ。つまり、一番働盛りで忙しいために、最初は受診したとしてもそのうちに通院を諦めてしまったり、最初から諦めてしまう人が多いという状況を打破するためなのだ。厚生労働省も推奨実は、オンラインを活用した遠隔診療の分野の促進は、厚生労働省も推奨している。もとは、離島など遠隔地にいる患者と医師をつなぐための遠隔診療に対する解釈であり、遠隔地意外ではこのシステムを導入することを原則禁止していた。しかし2015年8月に解釈を変更し、遠隔地だけではなく、患者側の希望があり、かつ患者側の利点があれば、対面診療と組み合わせることで他の医療機関も導入しても良いという方針に変わったという。しかも、処方した薬についても、予約時に登録した住所に配送してくれるというから、大変便利なシステムではないだろうか。ストレス社会に救いの手今の社会は特にストレス社会と言われ、ただ生活をおくるだけでも過酷な精神環境、また紫外線の増加など過酷な自然環境下で生活している。女性の脱毛症が増加しているのは、そういったことも要因の一つとみられている。今回の愛知県での導入事例が全国に展開していく日も、そう遠くはないかもしれない。【参考】※株式会社メドレー※佐井泌尿器科・皮フ科クリニック※株式会社メドレー プレスリリース(Dream News)
2016年07月13日【ママからのご相談】小学校2年生の子どもがいます。先日、学校の耳鼻検診で『耳垢栓塞』という症状なので一度耳鼻咽頭科を受診するようにと用紙をもらってきました。これって、耳垢が詰まってしまっているということなのでしょうか?以前テレビで耳掃除はしたらいけないとあったので、普段あまり耳掃除をしていないのですが、それがよくなかったのでしょうか……。●A. 『耳垢栓塞』とは子どもによく見られる耳垢がたまる症状です。こんにちは。ライターのakiです。『耳垢栓塞』と書いて「じこうせんそく」と読みます。文字通り、耳垢がたまり外耳道を栓をしたように塞いでしまう症状のことです。耳垢が固まってしまっているケースが多く、素人が無理にとろうとすると耳の中を傷つけてしまう恐れ があるので、耳鼻科を受診する方がいいです。単純に耳垢がたまっているだけの場合や、耳掃除をしているときに奥に垢を追いやってしまう場合に生じますが、必ずしも耳掃除を怠っていたり不潔にしていたりするからではないそうです。症状としては、耳が聞こえにくく詰まったような感覚になります。なかには耳鳴りや耳痛に及ぶこともあります。でも、お子さまの場合はまったく自覚症状がない場合も多いそうです。●治療は4〜5日かかる場合も軽度のものであれば、その場で耳垢をとってもらって終了しますが、あまりにも耳垢が頑固なものであればベビーオイルやグリセリンで耳垢を柔らかくしてから 4〜5日かけてとる場合もあります。その場合、家で点眼機を使って自分で耳に薬を入れなければならなくなります。お子さんの場合、受診中は不安から泣き出す場合も多いですが、痛みはそれほど伴いませんのでママがフォローしてあげるといいでしょう。●耳掃除は、2週間に1回をめどに行うでは、『耳垢栓塞』の予防のためにも耳掃除は毎日したほうがいいのでしょうか?答えはNOです。耳垢には自浄作用があるので、それらをとってしまうと逆に菌が繁殖しやすくなったり皮膚が傷つきやすくなったりするのです。だからと言って、まったく耳掃除をしないのも耳垢がどんどんたまっていく原因になります。では、一体どれくらいの頻度で耳掃除をすればいいのでしょうか?耳鼻科医の方が口を揃えて言うには、耳掃除は2週間に1回くらいをめどに行うといいそうです。これが、『耳垢栓塞』の予防にもなるそうです。その際、お風呂上がりに耳の中1cmくらいをめどに軽く拭きとる感じ がいいようです。綿棒ではなく、濡れた布やティッシュでやさしく拭くのもおすすめです。どうしてもお子さまの耳垢をとるのが難しければ、かかりつけの耳鼻科の先生に見ていただいたり相談をしたりしてみるといいかもしれません。【耳掃除のやり方】・耳掃除は2週間に1度くらいを目安に・お風呂上がりに・場所は耳の入口1cmくらいのところ・綿棒ではなく濡れた布やティッシュでやさしく拭きとる・難しければ耳鼻科で耳掃除を頼んでみる耳はデリケートな器官です。『耳垢栓塞』を放置しておくと炎症を起こしたり難聴になったりしてしまう場合もあるそうです。まずは、症状が疑われた場合はすぐに耳鼻科を受診すること。また定期的な検診も怠らないようにすることが大切です。これからプールの時期になります。お子さまの耳トラブルはぜひ早めに治しておきましょう。【参考リンク】・耳垢栓塞 | healthline(原因2)・正しい“耳かき”の仕方とは | セルフドクターニュース()・耳垢・耳垢栓塞 | たなか耳鼻咽喉科()●ライター/aki(中高英語教員)
2016年06月11日●子宮頸がんや乳がん、検査の内容と適応年齢は?あなたは「婦人科検診」を受けたことがありますか? 婦人科検診とは、婦人科で行われている、子宮頸がんや乳がんなど女性に特有のがんの検査を含む検診のこと。婦人科系の病気の早期発見のために、20歳をすぎたら1年に1回程度、受けておきたいものです。まだ受けたことがないという人は、初めての検診に備えて、検査内容や注意点を知っておきましょう。○20・30代は「子宮頸がん検査」が中心検査内容は、病院や検診プランによってさまざま。20・30代の女性であれば、この年代に多い「子宮頸がん検査」を中心に、子宮や卵巣の様子を見る検診が一般的です。通常は、問診を行った後に、医師が膣内に指を入れて触診する「内診」、子宮の入り口(子宮頸部)の細胞を採取する「子宮頸部細胞診」、膣内に超音波の器具を入れて子宮や卵巣の様子をモニターに映して詳しく見る「超音波検査」という流れで行われます。プランによっては、子宮内膜症や子宮体がん、卵巣がんの有無を調べる「腫瘍マーカー」と呼ばれる血液検査が付くこともあります。前述の基本的な検診に加えて、30歳からは「乳がん検査」、40歳からは「子宮体がん検査」を受けることをおすすめします。乳がん検査では主に、X線で乳房を撮影する「マンモグラフィー検査」や、乳房に超音波をあてて異常がないかを見る「乳腺超音波検査」を行います。一方、子宮体がんの検査では、子宮の内部から細胞を採取して調べる「子宮体部細胞診」を行います。○検診前の注意点とNG行為婦人科検診をできるだけ苦痛なく受診し、より正確な検査結果を得るためには、いくつか注意したいことがあります。検診を受ける前には、次のポイントに気をつけましょう。・生理中の受診は避ける生理中でも婦人科検診を受けることはできますが、細胞診で採取した細胞を医師が顕微鏡で見る際に、血液が混ざって見にくくなることがあります。生理が終わったタイミングで受けるのがベストです。・前日のセックスは控える検診の前日にセックスをすると、膣内に精液が残っていたり、一時的に細菌が増えたりして、検査の妨げになることがあります。前日にはセックスを控えるか、コンドームを使いましょう。・ビデで膣内を洗わない清潔を心がけようと検診前にビデ(温水洗浄便座に付いている膣を洗浄する機能)で膣内を洗浄すると、細菌が洗い流されてしまい、検査のときに感染を見逃すことがあります。前日にお風呂に入って、外側をいつも通りに洗う程度にしましょう。●検診当日、「経験」について聞かれたら……○検診当日のポイント次に、検診当日に気をつけるポイントも覚えておきましょう。・リラックスを心がける内診や膣に器具を入れる際に緊張していると、体が硬くなって痛みを感じやすくなります。なるべくリラックスして力を抜きましょう。・服装はスカートがベスト検診では下着を脱ぐ必要があります。パンツスタイルで行くと、下半身に身につけているものをすべて脱ぐことになります。下着を脱ぐだけで受診できる、裾の広がったスカートがおすすめです。・セックス経験に関する質問には、正直に答える問診でセックス経験の有無を聞かれたら、恥ずかしがらずに正直に答えましょう。セックス経験がない女性は、子宮頸がんにかかるリスクは低くなりますが、子宮体がんのリスクは高くなります。また、膣が狭いために器具が入りにくいことが多いので、医師の判断によっては、器具を使用せずに細胞診をするか、極小の器具を使用して採取します。超音波検査では、肛門から器具を入れるか、お腹の上から超音波を当てて検査を行う場合があります。婦人科検診にかかる費用の目安は、子宮頸がん検査中心の基本的な検診であれば、数千円から1万円前後。乳がん検査や子宮体がん検査、診察などをプラスすると、2万円以上かかることもあります。各自治体が実施している婦人科検診では、無料または低料金で受けることができるので、自治体ホームページまたは窓口に問い合わせてみましょう。最後になりますが、特に子宮がんは、早期発見・早期治療のために、検診が最も有効といわれる病気です。適応年齢になったら検診を受けることを強くおすすめします。※画像は本文と関係ありません○記事監修: 善方裕美医師日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。主な著書・監修書籍『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など
2016年03月18日メドピアはこのほど、「舌下型免疫治療について」のアンケート結果を発表した。同調査は1月18日~24日、医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」会員医師を対象にインターネット上で実施。有効回答は耳鼻咽喉科の医師102人。「舌下免疫治療」とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、アレルギー反応を弱めていく「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」のうち、舌の下に薬を滴下する治療法のこと。スギ花粉症では2014年10月より、舌下型免疫療法薬が発売されている。なお処方する医師は、あらかじめ指定の講習会やeラーニングを受講する必要がある。花粉症などのアレルギー疾患に対する「舌下型免疫治療」の施行について尋ねたところ、34%が「やるかどうか思案中」と回答した。その理由については、治療薬の発売から間もないため、「もう少し様子を見て、効果や安全性を確認してから」という声や、導入における「手続きの煩雑さ」を懸念しているケースが多かった。「すでにスギ花粉で始めている」は21.6%、「すでにスギ花粉もダニ抗原も始めている」は4.9%で、合わせて26.5%が導入していることがわかった。「スギに関しては安全性が高いと考えて始めた」「患者が希望している」といった声が寄せられており、中には「効果が出ている患者も増えている」という医師のコメントもあった。「やりたい」と回答した医師は12.8%であり、そのほとんどが講習会やeラーニングは受講済みだった。医師からは、「投与期間が長いので適した患者がいない」「唯一の根治治療なのでやりたいが、患者を慎重に選ぶ必要がある」など、価値は感じているものの、患者のニーズや適正が懸念点になっているコメントが寄せられた。一方、「やらない」と回答した医師は26.5%だった。主な理由は、「治療期間の長いため継続できるか疑問」や「副作用などのリスク」であった。中には「十分に対応できないと、モンスター患者がこわい」「需要が増えれば考え直す」といった意見もあった。
2016年03月10日『オーシャンズ』の監督コンビが描くネイチャードキュメンタリー『シーズンズ2万年の地球旅行』。この度、公開を間近に控えた映画で、ネコ科とイヌ科に分類した動物たちの社会構造の比較も見て取れることが明らかとなった。本作は、2万年という悠久の時間、そこで懸命に生きる生命をドラマティックに描いた壮大な旅。総製作費40億、構想4年、400人のスタッフが最新の撮影機材を駆使し、歴史学、動物行動学、人類学、哲学、民俗学、植物学ら多くのスペシャリストと共に、氷河期が終わり、あらゆる生命が春を謳歌し始めた2万年前から現在、そして未来へと至る地球の歩みを、動物の目でとらえる全く新しいネイチャードキュメンタリーだ。日本でも大ヒットを記録した『オーシャンズ』のジャック・ペランとジャック・クルーゾ監督コンビが挑戦する、新たなる映画。日本語版ナレーションには、笑福亭鶴瓶が落語家ならではの語り口でいままでにないネイチャードキュメンタリーの世界観を表現し、女優・木村文乃は壮大な時間軸の中で、移ろいゆく自然の様子と懸命に生きる動物たちを、俯瞰の立場でナビゲートしている。今回到着したのは、本作で登場する“イヌ科”と“ネコ科”の動物たちの写真。家族をもってなんぼのイヌ科のオオカミと、一人でチャキチャキ生きていきたいネコ科のオオヤマネコ。イヌ科とネコ科の大きな違いの一つには、群れの社会構造の違いがあるという。ライオンは例外だが、ネコの仲間は単独で狩りをして、母親のみが育児をする。そのため、イヌ科動物が複数で仕留める獲物も、ネコ科は単独で捕らえるだけの高い運動能力が必要になる。一方、オオカミなどイヌ科動物は、群れをなし夫婦交代で狩りと育児を行うので、高いコミュニケーション能力が必要だ。オオカミなど群れの動物は、集団なので狩りの成功率が上がるものの、分け前が少なくなってしまう。オオヤマネコなど単独性の動物は、獲物を独占できるが、狩りに失敗すると空腹がつづくこともある。同じ生態系ピラミッドの頂点に君臨していても、それぞれに悩ましい一長一短があるというのだ。そんな動物たちの社会構造の比較が世界初の迫力ある映像で観ることができるのも本作の見所のひとつ。2万年という時を力強く生きてきた野生動物たち、そんな動物たちの姿に勇気や希望が湧いてくるかもしれない。『シーズンズ2万年の地球旅行』は2016年1月15日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年01月04日「子ども心がイマイチ理解できない……」と感じたことはありませんか? 特に育児中のお母さんやお父さんは、赤ちゃんや子どもの心をもっと知りたいと思っていることでしょう。今回の精神科医のゆうきゆう先生の著書『子育てがもっと楽しくなる子どもゴコロの心理学』(KKベストセラーズ)では、心理学を使って子どもの内面を分かりやすく説明しています。その一部をご紹介しましょう。■子どもを叱る5倍ほめることが大事心理学的には、叱るよりもほめる方が学習効果を期待できるようです。叱ることは、子どもの精神衛生や発達にはあまりよい影響を与えません。子どもに物事を教える場合は、叱るのではなく、ほめながら学ばせるのがよいでしょう。1つ叱ったら5つほめるくらいがちょうどいいあんばいのようです。意識的にほめる回数を増やしていけば、子どもの心も安定してきて、叱られたときの態度も少しずつ変化してくるのかもしれませんね。■まわりの子と比較して叱るのはNG一番いけないのは「まわりと比較して子どもを叱る」ことです。誰かと比較するのは、大人でも気持ちいいものではありません。子どもの場合も同様で、くらべられて叱られると心を深く傷つけてしまいます。その後の人生にも影響してしまうような、大きな劣等感を植えつけてしまう恐れもあるようです。もちろん、ほめる場合もまわりとくらべた表現はよくありません。他の子とは比較せず、その子自身のよいところをそのままほめてあげるのがよさそうです。■ダメな理由を子どもにも理解させよう「ダメ!」「なんでそんなことするの!」などと頭ごなしに叱っても、子どもは「なぜダメなのか」を理解できません。また、怒りをぶちまけるような感情的な叱り方も子どもにとってよくないようです。叱るときは落ち着いて「なぜダメなのか」理由を必ず伝えることが大切。また、人格を叱るのではなく、その子の行動に焦点を当てて叱るということも重要なポイント。叱った後に子どもがよい行動をしたら、笑顔でたくさんほめてあげましょう。子どもは自分がした行動がほめられると、うれしくなってまたその行動を繰り返すようになるようです。子どもがよくない、危険なことをしたら、叱ることはあるでしょう。しかし、頭ごなしで叱るのではなく、正しい叱り方のポイントを押さえれば、子どもだってよいことと悪いことの区別がついてくるはず。*その他、この本では大人が疑問に思う、赤ちゃんから小学生までの子ども心や気持ちを代弁してくれています。子育てに悩むお母さんお父さんは、読むだけで気持ちがラクになることでしょう。心理学的な子育てアドバイスが欲しい人は、ぜひ手にとってみてほしいと思います。(文/齊藤カオリ)【参考】※ゆうきゆう(2015)『子育てがもっと楽しくなる子どもゴコロの心理学』(KKベストセラーズ)
2015年12月03日医療法人社団スリープクリニックはこのほど、日本で初めて内科・耳鼻咽喉科・心療内科・精神科・小児科の総合的な子ども睡眠外来「キッズすいみんクリニック」を、「スリープクリニック銀座」内に開設した。スリープクリニック調布の院長である睡眠専門医・遠藤拓郎(通称:えんたく先生)は、これまでに1万2,000名以上の不眠やいびきなどに悩む患者の診療を行ってきた。子供の睡眠障害は以前から問題視されているが、専門の医療施設はなく、症状を放置しているという現状がある。子供の睡眠障害は、大人のものとは病気の程度も種類も違うという。症状や治療法も特殊なため、経験と技術を持った医師、スタッフ、医療施設が必要となる。このような状況に応えるため、同院は子供のための専門機関として「キッズすいみんクリニック」を開設した。院長・遠藤拓郎をはじめとする医師が、小児の睡眠障害の治療にあたる。院長の遠藤拓郎医師は、子供のころは重症な睡眠時無呼吸症候群で、手術により症状が改善したという。「子供にとって、良質な睡眠は欠かせません。睡眠中には、成長ホルモンが盛んに分泌し、記憶の整理なども行われています。私は医師として、この『キッズすいみんクリニック』を通して、子供たちの健やかな成長を応援したいと考えています」とコメントしている。来春には、同ビル7Fに子供の健やかな睡眠を応援するため「キッズステーション」も開設する。同施設は自由に楽しく遊び、学べるオープンスペース。睡眠に関する知見を持ったスタッフが常駐し、夜泣きや不登校の対応をはじめ、子供の睡眠に悩みをかかえた人々のサポートを行う。
2015年02月03日成長中の子どもたちにとって、タバコのリスクは大人以上に深刻。「子どもが吸うわけじゃないんだから問題ない」と思ったアナタが知らないだけかもしれない。内科・精神科の診療をしながら禁煙外来を担当し、アフター5や週末は子どもたちへの講演会や禁煙のイベントなど、「禁煙推進にすべて捧げている」という川合厚子先生。現在会長を務める「NPO法人山形県喫煙問題研究会」では「きれいな空気を子どもたちに」をスローガンに掲げている。そんな川合先生に、子どもの体とタバコについて話を聞いてみました。○想像以上?副流煙は危険??タバコの煙にはさまざまな有害物質が含まれていて、健康に悪い。大人が吸っても健康に影響のあるタバコを、成長中の子どもが吸ったら??今回先生には「受動喫煙」に関して聞いてみました。受動喫煙とは親が吸っているタバコの先から出る煙(副流煙)や、口から吐き出される煙(呼出煙)にさらされることだ。それを吸った子どもの体には、どんな影響があるのだろうか。「最も有名なのは、乳幼児突然死症候群ですね。赤ちゃんが突然亡くなってしまう。これは赤ちゃんのうつぶせ寝のほか、家族の喫煙が要因とされています」同じ室内でタバコを吸っているだけで、知らないうちに自分の子どもにリスクを背負わせる場合もあるようです。「他にも家族の喫煙が大きな要因となり、子どもの呼吸器疾患を起こしやすいといわれています。気管支炎、肺炎やぜんそく発作、咳や痰を起こしやすくなったり、肺の発達の遅れにつながります。また、米国疾病管理予防センターの報告では、中耳炎にかかりやすく、脳腫瘍とリンパ腫、白血病にも因果関係があるとされています」基本的に、副流煙に含まれる化学物質の量は、本人が吸っている主流煙に比べて何倍も多い。国際がん研究機関(IARC)のデータによれば、ニコチンは2.3倍、発がん性物質であるカドミウムは1.5倍。アンモニアは何と147倍。その他シックハウス症候群で知られているホルムアルデヒドも多いという。「だから、刺激で目やのどが痛くなりますよね。副流煙の影響って非常に大きいんです」○北京の環境問題どころじゃないPM2.5「実は、タバコの煙はPM2.5のかたまりで、私たちが一番身近に接するPM2.5は、タバコの煙なのです」と川合先生。え、環境問題のPM2.5?少しおさらいしておくと、PM2.5とは物が燃えたり、大気汚染物質が化学反応を起こしたりして発生する2.5マイクロメートル以下の微粒子。日本の環境基準では35マイクログラム/立方メートル以下が望ましいとされており、70マイクログラム/立方メートルを超えると「注意喚起」となり、学校や保育園では屋外の活動をやめるなどの対処がとられている。問題になっている北京はいまも400マイクログラム/立方メートルくらいの「危険水準」を超えているが、川合先生によれば、喫煙中の室内はそれ以上の場合があるそうだ。「たとえば、マイカーの中。車内は狭いので、1本タバコに火をつけると窓を開けていても1000マイクログラム/立方メートル、窓を閉めていると3000マイクログラム/立方メートルになることがあります。保育園で外遊びが中止されても、親御さんが送り迎えの車内でタバコを吸ったらそれどころではありません」○ニコチン依存は世代を超えて連鎖する受動喫煙の問題も大だが、子ども自身の喫煙ももちろん問題だ。「生まれたときから周囲の大人がタバコを吸っていると、子供も大人になったとき、あるいは大人になる前にタバコを吸い始めやすいのです。小学5年生までにちょっとでもタバコを吸った経験のある子どもは、成人になったときに喫煙する割合が高いこともわかっています」子どもは親の背中を見て育つ。「タバコが似あうシブイ俺」などと自惚れていると、子どもにはその姿が刷り込まれてしまう危険もあるようだ。だから、まず親が吸わないことが大切だという。川合先生が診療の傍ら、小学校での喫煙防止教育に力をいれているのは「子どもへの教育だけではなく、親の禁煙につながることを期待している」からだ。「大人はタバコが体には悪いのは何となく知っていても、具体的な影響までは知りません。だから講演を聞いた子どもが家で『タバコをやめて』と訴えても『それは親の勝手だ』とか『わかったわかった!』と受け流したりして、子どもたちが親の体を心配する気持ちを受け止められないのです。仕事が忙しい年代の親御さんが、自分からわざわざタバコについて学ぶのは難しいでしょうが、子どもとタバコについて話し合う時間を持ってもらえたらと思います」自分の健康は犠牲にしてもタバコはやめられないが、子どもの健康のためなら禁煙してもいい、と思った人もいるかもしれない。川合先生、そんな人へのアドバイスをお願いします。「少しでもタバコをやめたい気持ちがあったら、禁煙外来を受診するのがお勧めです。禁煙治療は条件を満たせば保険が使えて、より楽により確実に、少ない費用で禁煙できます。お薬にはいくつか種類もありますので、医師と相談して自分にあったものを選ぶとよいと思います。また、薬局・ドラッグストアで買える禁煙補助薬(パッチタイプ・ガムタイプ)もありますが、ガムタイプは噛み方が普通のガムとは異なるので、薬剤師さん・登録販売者さんによく説明を聞いてください。薬局・ドラッグストアでカウンセリングを受け、正しい情報にもとづいて、禁煙することが大事です」お子さんと家族、そして自分の将来の健康のためにも、ぜひ禁煙にトライしてはいかがだろうか。
2014年11月13日キリンMCダノンウォーターズはこのほど、小児科医107人に聞いた「子どもの低体温傾向とその対策に関する調査」の調査結果を発表した。同調査は、全国の小児科医を対象に10月30日~31日にかけて行われたインターネット調査。「近年、平常時の体温が低い子どもが増えていると感じるか」との問いには、2.8%の医師が「増えている」、75.7%の医師が「やや増えている」と答えた。増えていると答えた医師を対象に「いつ頃から低体温の子どもが増えてきていると感じているか」を尋ねたところ、4割の医師が「2~3年前ごろより」と答えた。「5年前ごろから」増えたという医師も36.9%おり、ここ5年内に子どもの低体温化が目立っていることが分かった「低体温の子どもに共通する特徴」について聞いたところ、「やせ気味」が49.5%、「疲れやすい」が38.3%、「集中力がない、落ち着きがない」が18.7%、「動きが緩慢、反応が遅い」が17.8%、「食欲にムラがある」が16.8%などとなった。「子どもの低体温の原因」についての問いには、「代謝の低下」が58.9%、「睡眠不足」と「就寝時刻が遅い」がともに45.8%、「食生活の乱れ」が42.1%、「冷暖房使用による体温調節機能の低下」が41.1%などとなった。「低体温対策として有効なこと」を聞いたところ、は「適度な運動」が72.9%、「十分な睡眠」が65.4%、「食生活の改善」が57.9%などとなった。「適度な運動」の強度については、ジョギングや鬼ごっこなど軽く汗をかく程度の運動を指すとする意見が71.8%、ウオーキングや体操、お遊戯などが52.6%だった。また、必要とされる睡眠時間については、9割の医師が「8時間以上は必要」と答えた。「子どもの低体温傾向改善と水分補給」についての問いには、72.9%の医師が「水分補給は有効」と答えた。また、水分補給の方法は「少量をこまめに」が88.5%となり、温めて飲むよりも「常温を飲む」をあげた医師のほうが2倍以上多かった。「1日に子どもが必要な水分量」は「1.5リットル」という回答が40.2%で最多。「1リットル程度」が32.7%、「2リットル程度」が21.5%で、94.4%の医師が「1~2リットルの水分補給」を推奨した。詳細は「キリンアルカリイオンの水トピックス」で閲覧できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日声は個性の一つですが、相手の声に「好感をもつ」ことはよくあります。では、ぐっとひかれる声、そう、モテ声になるポイントはあるのでしょうか。耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科院長の遠山祐司先生に、好感を持たれる声や発声法についてお話を伺いました。■声肺活量、声帯、口腔の形……。複数の要素で声の個性が決まる――個人の声を決める要素には何があるのでしょうか。遠山先生声は肺から押し出された呼気(こき)が、声帯を通って口腔(こうくう)内で響いて出てきます。声を決める要素は複雑で、肺活量や声帯、口腔(こうくう)の形、下顎(したあご)の形、鼻からの空気の抜け方などによって変わります。体質が千差万別なのと同様に、声の個性も、多くの要素が発声の環境をつくって生み出しています。子どもの声帯は柔らかで声が高く、年齢を重ねるにつれて声帯の弾力性が低下し、いわゆるシワがれた声に変化していきます。男性は変声期、つまり「声変わり」を経て声が低くなり、女性は高くなります。それに、病気や扁桃腺(へんとうせん)の手術でも声は変質します。■男性は腹式呼吸を低い声を出すと好印象に――男性はやや低めの声が好感を持たれると言いますが、どうしたら低めの声を出せますか。遠山先生腹式呼吸でおなかをふくらませるように息を吸い、その息を吐きながら胸で響かせるように発声すれば、低音でよく響く声が出ます。また、口を大きく動かすことによって、口腔内が大きく広がるので、響きのよい声が出ます。アナウンサーの発声練習をイメージしながら、腹式呼吸で息を吸って発声するとよいでしょう。男性の低音が魅力的なのは、「変声期後の大人の男性」という印象になるからかもしれません。反対に女性の場合は「少し高めの声に好感を持たれる』と言われますが、それは子どもの声に近いことになります。■耳に入りやすい声は好かれる――なぜ、よく響く声は「モテ声」なのでしょうか。遠山先生響きが良い声というのは、人の耳にとって心地が良いので、好感を持たれます。音が外耳道(がいじどう)を通って鼓膜(こまく)に到達するとき、2,500~4,000Hz(ヘルツ)の間の周波数を持つ音には共鳴による音圧増強作用が働きます。この周波数の音は、声の音量が小さくてもよく通り、よく聞こえます。外耳道は音響学的には、共鳴管としての意味があるわけです。居酒屋など、たくさんの人が話をしている場所で、大きな声で話しているわけではないのに声が通る人がいますが、この声は2,500~4,000Hz(ヘルツ)の間の周波数を出しているのです。前述で「腹式呼吸で発声するといい」と言ったのは、腹式呼吸をすると、この周波数を出すよく響いて共鳴した声になるので「モテ声」になるということなのです。――アナウンサーのように滑舌がいい声は、好感度が高いのはどうしてですか。遠山先生声の周波数は単一ではないので、大きく口を開けてハキハキと話すと、たくさんの周波数の声を出すことになります。「抑揚がある変化に富んだ声」は、先ほどの「人が聞き取りやすい2,500~4,000Hz(ヘルツ)の間の周波数」のうちの、たくさんの周波数の声という意味です。――女性のモテ声、少し高めの声というのは、どうすれば出るのでしょうか。遠山先生口角を少し上げて話してみてください。少し声が高くなって、ハキハキと明るい印象になるでしょう。口角は表情にも影響するので、上げることを意識するだけで、印象がいい声になるはずです。――これまで無意識だった声のことが少し分かったように思います。ありがとうございました。「モテ声」のポイントは、「相手に伝わりやすく、相手にとって心地よい声」であるようです。発声を意識してみると、初対面の人への挨拶やプレゼンでも声が通りやすくなったような気がします。ぜひ、挑戦してみてください。監修:遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科院長。とおやま耳鼻咽喉科TEL: 06-6923-4187大阪市都島区御幸町1-9-1地下鉄谷町線都島駅から徒歩7分藤井空、庄司真紀/ユンブル)
2012年02月06日